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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20220328BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20220328BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G01R1/073 B
G01R31/26 J
H01R33/76 503B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017156932
(22)【出願日】2017-08-15
(65)【公開番号】P2019035660
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大里 衛知
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519341(JP,A)
【文献】特開2004-325451(JP,A)
【文献】特開2008-096270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0023613(US,A1)
【文献】米国特許第08758027(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 31/26
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が形成された基板と、その基板上に設けられたソケット部とを備え、上記ソケット部に装着された被検査体の電極部を、上記基板に形成された配線に電気的に接続させる電気的接続装置において、
上記ソケット部は、
上記被検査体の上記電極部と接触する先端を有する複数の接触子と、
上記接触子と上記基板上の上記配線と接触する複数の接続部材と、
上記各接触子の回転を弾性的に支持する回動軸となるものであって、上記各接触子の後端側を支持する回動支持体と、
上記接触子、上記接続部材及び上記回動支持体を収容する穴部を備えたハウジング部と
を有しており、
上記ハウジング部の上記穴部は、上記接触子と上記接続部材とが対になって収容される上下に開放したスリットを有し、
上記各接続部材は、上記基板に対して起立して延び上記穴部の上記スリットの内壁奥端と接触する基部と、上記基板に対して平行に延び上記基板の上記配線と電気的に接触する底部とを有し、これら上記基部と上記底部とは連結されて略L字状に形成されており、
上記各接触子の後端側を支持する上記回動支持体は、上記接触子の上端面上に配置されて上記接触子の端面を上記接続部材の上記基部及び上記底部へ押し付けており、
上記接触子は、その先端が押し下げられたときの回動位置にかかわらず、その端面が上記接続部材の上記基部及び上記底部の2か所と同時に電気的に接触する
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
配線が形成された基板と、その基板上に設けられたソケット部とを備え、上記ソケット部に装着された被検査体の電極部を、上記基板に形成された配線に電気的に接続させる電気的接続装置において、
上記ソケット部は、上記被検査体の上記電極部と接触する先端を有する複数の接触子と、上記接触子と上記基板上の上記配線と接触する複数の接続部材と、上記各接触子の回転を弾性的に支持する回動支持体とを有し、上記接触子、上記接続部材及び上記回動支持体を穴部に収容しており、
上記各接続部材が、上記穴部の内壁面と接触する基部と、上記基板の上記配線と電気的に接触する底部とを有し、
上記接触子が、上記接続部材の上記基部及び上記底部と電気的に接触するものであり、
上記各接続部材の上記基部の上端部が後方に伸びており、上記ソケット部の穴部に設けられた溝部分と係合している
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項3】
上記接続部材の上記スリットの左右方向における上記基部の幅長が、上記スリットの上下方向における上記底部の幅長より大きいことを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
上記各接続部材の上記底部が上記基板の上記配線に沿って延びており、
上記各接続部材の上記基部が、上記基板に対して垂直方向に延びている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電気的接続装置。
【請求項5】
上記ソケット部が、上記各接触子の先端側を下方から支持する支持体をさらに有していることを特徴とする請求項1~4に記載の電気的接続装置。
【請求項6】
上記被検査体の上記各接触子の先端位置は、上記各接触子の先端側を下方から支持する支持体の上方に位置している
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続装置に関し、例えば、集積回路のような平板状の被検査体の通電試験に用いる電気的接続装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集積回路の製造過程では、パッケージされた集積回路についての電気的特性の検査(例えばパッケージテストやファイナルテスト)が行われる。そのような検査においては、被検査体である集積回路を着脱可能に保持した状態で、その保持された集積回路の電極端子に接触子を電気的に接触させる電気的接続装置(いわゆるテストソケットやソケットボード)が用いられる。電気的接続装置に装着された集積回路は、この電気的接続装置を介して検査装置(テスタ)に電気的に接続され、電気的特性の検査が行われる。
【0003】
特許文献1には、基板に組み付けられた電気的接続装置であって、電気的接続装置に装着される被検査体の複数の端子と、その複数の端子にそれぞれ対応する基板上に形成された複数の導電性部とを、内蔵した複数の接触子でそれぞれ接触させて電気的に接続する電気的接続装置が開示されている。各接触子は、前端に被検査体の端子と接触する先端を有すると共に、下側の端面に基板の導電性部と接触する凸に湾曲した部分を有している。複数の接触子は、基板上に組み付けられたハウジング内に、弾性部材である針押さえにより回動可能に弾性的に支持されている。また、複数の接触子は、先端と針押さえに支持されている部分との間の中間付近下方に配置されたゴム部材により回動部分が下方から弾性的に支持されている。
【0004】
特許文献1に記載の電気的接続装置は、接触子の先端が針押さえとゴム部材の復元力を利用して上方に付勢されているため、被検査体の電極に対して所定の針圧で接触子先端を接触させることができると共に、接触子先端がスクラブ動作をするため被検査体と接触子とを良好に接触させながら、安定した測定が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-89555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気的接続装置は、例えば被検査体の端子が半田メッキで形成されている場合のように、良好で安定した接触を得るために、より強い押し込み荷重で被検査体の端子を接触子に接触させることが望まれたり、周囲の埃りや、被検査体からの異物の影響で、接触性が低下しないようにスクラブ動作をより強化することが望まれたりする場合がある。
【0007】
しかしながら、高荷重で被検査体を接触子に接触させた場合、接触子の下端の端面により、基板が強く押圧されるとともに、基板パターンの表面を強く摺動されるので、基板パターンが損傷する虞が生じ得る。また、接触子のストロークを長くしてスクラブ動作を増やした場合にはさらに基板パターンが損傷する虞が高まる。
【0008】
そのため、上記課題に鑑み、従来よりも高荷重で被検査体の端子を接触子に接触させることができ、その場合でも、被検査体の基板パターンのダメージを抑えることができ、被検査体及び基板パターンとの電気的接触性を良好に安定させて被検査体の通電試験を行なうことができる電気的接続装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、配線が形成された基板と、その基板上に設けられたソケット部とを備え、ソケット部に装着された被検査体の電極部を、上記基板に形成された配線に電気的に接続させる電気的接続装置において、ソケット部は、被検査体の電極部と接触する先端を有する複数の接触子と、接触子と基板上の配線と接触する複数の接続部材と、各接触子の回転を弾性的に支持する回動軸となる支持体であって、各接触子の後端側を支持する回動支持体と、接触子、接続部材及び回動支持体を収容する穴部を備えたハウジング部とを有しており、ハウジング部の穴部は、接触子と接続部材とが対になって収容される上下に開放したスリットを有し、各接続部材基板に対して起立して延び穴部の上記スリットの内壁奥端と接触する基部と、基板に対して平行に延び基板の配線と電気的に接触する底部とを有し、これら基部と底部とは連結されて略L字状に形成されており、各接触子の後端側を支持する支持体は、接触子の上端面上に配置されて上記接触子の端面を接続部材の基部及び底部へ押し付けており、接触子その先端が押し下げられたときの回動位置にかかわらず、その端面が接続部材の基部及び底部の2か所同時に電気的に接触するとを特徴とする。
第2の本発明は、配線が形成された基板と、その基板上に設けられたソケット部とを備え、ソケット部に装着された被検査体の電極部を、基板に形成された配線に電気的に接続させる電気的接続装置において、ソケット部は、被検査体の電極部と接触する先端を有する複数の接触子と、接触子と基板上の配線と接触する複数の接続部材と、各接触子の回転を弾性的に支持する回動支持体とを有し、接触子、接続部材及び回動支持体を穴部に収容しており、各接続部材が、穴部の内壁面と接触する基部と、基板の配線と電気的に接触する底部とを有し、接触子が、接続部材の基部及び底部と電気的に接触するものであり、各接続部材の基部の上端部が後方に伸びており、ソケット部の穴部に設けられた溝部分と係合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被検査体の端子と接触子との接触を高荷重とすることができ、その場合でも、基板パターンのダメージを小さくすることができ、被検査体及び基板パターンとの電気的接触性を良好とすることができ、精度よく被検査体の通電試験を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の電気的接続装置の構成を示す平面図である。
図2】実施形態の電気的接続装置のソケット部の構成を示す底面図である。
図3】実施形態の電気的接続装置の構成を示す断面図である。
図4】実施形態の電気的接続装置のハウジング部に接触子組立体が収容された状態を示す断面斜視図である。
図5】実施形態の電気的接続装置に収容される接触子組立体の構造を示す断面図である。
図6】実施形態の接触子組立体の構造を示す構成図である。
図7】実施形態に係る接触子の先端に押し込み荷重が加わったときの動作を説明する説明図である。
図8】実施形態に係る接触子及び接続部材の導電経路を説明する説明図である。
図9】変形実施形態の電気的接続装置の構成を示す断面図である。
図10】変形実施形態の電気的接続装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る電気的接続装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(A-1)実施形態の構成
図1図4を参照して、実施形態に係る電気的接続装置1の構成を説明する。図1は電気的接続装置1の平面図、図2は電気的接続装置1を構成するソケット部20の底面図、図3図1に示した電気的接続装置1のA-A線矢視方向断面図、図4はソケット部20を構成するハウジング部24に接触子組立体40を収容した状態の断面斜視図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る電気的接続装置1は、基板10と、その基板10上に設けられたソケット部20とを有する。
【0015】
電気的接続装置1は、試験に必要な電気信号を送受信する検査装置(「テスタ」とも呼ぶ。)と接続し、収容した被検査体51の電気的特性を検査する。例えば、被検査体51としての集積回路の製造工程で、組立完了した集積回路の電気的試験(例えば、パッケージテストやファイナルテスト等)に用いる試験用ICソケットとして、電気的接続装置1を用いることができる。
【0016】
電気的接続装置1は、ソケット部20の中央部にある開口部14に被検査体51を収容する(図3参照)。例えば、図示しない手段により、所定の押し込み荷重により、被検査体51を下方向、すなわち開口部14の上方から基板10側に押し付け、電気的接続装置1に被検査体51を装着する。ここで、被検査体51の端子511は、例えば半田メッキ等で形成されている場合を例示する。このような材質で形成された端子511を持つ被検査体51の押し込み荷重は高荷重であることが好ましく、特に限定されないが、例えば、70gf~80gf程度とすることができる。
【0017】
基板10は、例えば電気絶縁部材で形成された配線基板である。基板10の表面上には、例えば印刷配線技術により導電性を有する金属材料からなる配線パターン11が形成されている。配線パターン11が形成された基板10の表面上に、例えばネジや位置決めピン等の固定部材15によりソケット部20が固定される。
【0018】
基板10上の配線パターン11は、図1及び図3に示すように、各接触子12の位置と対応する位置に帯状に形成されている。すなわち、配線パターン11は、基板10上であって、各接触子12の下部と接触して電気的に接続するように形成されている。
【0019】
配線パターン11は、図1に示すように、ソケット部20の外側に延び、図示しない検査装置側の配線パターンと接続している。この実施形態では、ソケット部20の各辺から6本の配線パターン11が、所定の間隔をあけて並んでソケット部20の外部へ延びている。
【0020】
ソケット部20は、フレーム部26と、被検査体51の端子(電極部)511に電気的に接触する複数の接触子12を含む接触子組立体40と、その接触子組立体40を収容するハウジング部24とを有する。なお、電気的接続装置1は、同一の基板10上に、複数のソケット部20が設けられるようにしてもよい。
【0021】
フレーム部26は、電気絶縁部材で形成されており、ハウジング部24の上面に固定されている。フレーム部26は平面視外形状が略長方形(なお、略長方形には正方形を含む。)をしており、その平面視中央部分に、被検査体51を収容するための上下に貫通した孔であって、長方形の開口を有する開口部14が設けられている。
【0022】
フレーム部26の開口部14の内壁面下側は、被検査体を脱着可能に装着すると共に収容された被検査体51の位置決めを確実にするため、基板10に対して垂直な収容壁面14bが設けられており(図3参照)、その正面視内形状は、装着される被検査体51の外形と同程度か、わずかに大きく形成された略長方形をしている。また、開口部14の内壁面上側は、被検査体51の装着を容易にするため、フレーム部26の上方に向けて、開口が広がるように傾斜する傾斜面14aを有する。すなわち、開口部14の4つの側面の上側が、それぞれ傾斜面14aとなっている。
【0023】
ハウジング部24は、接触子組立体40を収容し、フレーム部26及び基板10と連携して接触子組立体40を保持する部材であり、電気絶縁部材で形成されている。ハウジング部24は、図3に示すように基板10上に設けられており、又ハウジング部24の上面には、フレーム部26が設けられている。ハウジング部24の平面視外形状はフレーム部26の平面視外形状と同形状の略長方形をしたおり、ハウジング部24とフレーム部26は平面視で外形が一致するように重ねられている。
【0024】
ハウジング部24には、フレーム部26の開口部14に収容される被検査体51の端子511の位置に合わせて、接触子組立体40を収容するための穴部18が設けられている。この実施形態では、被検査体51が平面視略長方形で、その底面の4つの辺に沿って端子が並んで配置されているため、穴部18は、開口部14の4つの辺とそれぞれ平行に設けられている。なお、穴部18は被検査体51の端子511の位置に応じて、開口部14の辺に対応する位置に設ける事ができ、例えば平面視長方形の被検査体51において、端子511が対向する一組の辺に沿って配置されている場合は、開口部14の対向する一組の辺に対応する位置に穴部18を設けると良い。
【0025】
各穴部18は、複数の接触子12を個々に収容するための複数のスリット17と、各スリット17に収容された複数の接触子12を弾性的に支持するための柱状の支持体を収容する横穴であって、接触子12の先端側を支持するための第1支持体41を収容する第1横穴191と、接触子12の後端側を支持するための第2支持体42を収容する第2横穴192とがつながった空間を有している。
【0026】
穴部18を構成する複数のスリット17部分は、開口部14の各辺に対して垂直の向きで一定の間隔で平行に一列に並んで配置されており、隣り合うスリット17同士は隔壁25によって区画されている。スリット17はハウジング部24の上下に開放している。
【0027】
ハウジング部24の上面に位置する各スリット17の上側開口は、内側がフレーム部26の開口部14に面しており、外側がフレーム部26の下面によって塞がれている。開口部14に面しているスリット17の上側開口部分は、接触子12の先端が上下動可能に開口部14に向かって突出する部分であり、接触子突出用開口171とも呼ぶ(図5参照)。接触子突出用開口171から突出した複数の接触子12の先端は、開口部14に装着された被検査体51の複数の端子511にそれぞれ接触することできる。
【0028】
穴部18を構成する第1横穴191部分及び第2横穴192部分は、複数のスリット17と垂直に交差するように、スリット17間の複数の隔壁25に設けられた凹部251、252を通ってそれぞれ延在しており、ハウジング部24の下面に開放している。第1横穴191及び第2横穴192は、両端のスリット17と交差して両外側に伸びている。なお、この実施形態では、第1横穴191は直角に隣接する他の第1横穴191と端部でつながっている。
【0029】
第1横穴191はスリット17の内側(すなわち、開口部14に近い側)に位置し、第2横穴192は第1横穴より外側(開口部14から遠い側)に位置している。第1横穴191は接触子突出用開口171の下方に位置していると第1横穴191に収容される第1支持体41が接触子12の先端下方を支持できるため好ましい。
【0030】
スリット17の隔壁25に設けられた第1横穴191が通る第1凹部251は、ハウジング部24の下面から同じ幅で垂直方向上方に伸びる凹部であり、その奧端は半円形状をしている。同様に、スリット17の隔壁25に設けられた第2横穴192が通る第2凹部252は、ハウジング部24の下面から同じ幅で垂直方向上方に伸びる凹部であり、その奧端は半円形状をしている。
【0031】
ハウジング部24の下面に位置する穴部18の開口は、スリット17の下側開口、第1横穴191の開口、及び第2横穴192の開口が合わさった開口であり、基板10よって塞がれている。
【0032】
スリット17の上端部分には、同じ幅で外側に延長した溝である延長溝172が形成されており、延長溝172の底面が後述する接触子組立体40の接続部材43が係合する段部173となっている(図5参照)。
【0033】
次に、図5図6を参照して、実施形態に係るハウジング部24に収容される複数の各接触子12を含む接触子組立体40の構造を説明する。図5図3に示した断面図のハウジング部24に収容される接触子組立体40の構造を示す拡大図であり、図6は接触子組立体40の構造を示す構成図である。
【0034】
ハウジング部24の各穴部18には、複数の接触子12を含む接触子組立体40が組み込まれている。この接触子組立体40は、複数の接触子12と、複数の接続部材43と、第1支持体41と、第2支持体42とを有する。
【0035】
各接続部材43は、導電性を有する金属部材で形成され、接触子12と基板10上の配線パターン11との間に介在させて、接触子12と配線パターン11とを電気的に接続するための部材である。接続部材43は、図5に示すように、略L字状に形成された板状部材であり、基板10に対して垂直方向に起立した基部432と、基板10に対して平行に延在した底部431とを有する。接続部材43の厚さは、接触子12の厚さと同じに形成されている。
【0036】
接続部材43は、各スリット17内に接触子12と対になって収容されており、底部431の下端面が基板10上面の配線パターン11と接触すると共に、基部432の外側側端がスリット17の内壁奧端と当接するようにスリット17内に配置されている。接続部材43の底部431の上端面と基部432の内側側端面は、接触子12の端面と接触する面となる。これにより、接続部材43は、接触子12の先端が被検査体51の端子511によって下方に押し込まれた時の接触子12端面の摺動や押圧から、基板10や配線パターン11、スリット17内壁奧端の損傷を防ぐ働きをする。
【0037】
基部432の幅長(図5における左右方向の幅長)を底部431の幅長(図5における上下方向の幅長)より大きくすると基部432の放熱性が向上するため好ましい。また、スリット17の内壁奧端が凹の円弧状に湾曲していると基部432の外側端面との間に隙間ができ放熱性が向上するため好ましい。
【0038】
各接続部材43の基部432の上部には、横方向外側に突出した上端部434が設けられており、この上端部434がスリット17の延長溝172に入り、上端部434の下面が段部173上面と接触して掛合するようになっている。これにより、各接続部材43が安定して支持できるようになっている。上端部434の上面は、ハウジング部24の上面の位置と同じかそれより低い位置になる様に設定されており、これにより、フレーム部26下面とハウジング部24上面の接続を妨げることなく、接続部材43の飛び出しを防ぐことができる。上端部434と基部432とがつながる角部分の端面には、凹部433が形成されており、上端部434に力が加わったときの損傷を防いでいる。
【0039】
各接続部材43の底部431は、その下面が基板10の帯状の配線パターン11と電気的に接触するように設けられている。底部431は、配線パターン11の長手方向に沿って延びているため、各接続部材43と基板10の配線パターン11との電気的接触性を良好にすることができる。
【0040】
接続部材43の基部432の内側の側端面は、上側がわずかに外側に沿っており、接触子12の回動が滑らかに行えるようになっている。
【0041】
各接触子12は、導電性を有する金属部材で形成され、図5に示すように、略C字形状に形成された板状部材であり、前端側(先端側)に被検査体51の端子511と電気的に接触する先端を有すると共に、後端側に接続部材43の基部432と電気的に接触する後端を有する。
【0042】
接触子12の先端側の部分は、接触子12の後端側の部分から斜め上方に伸びているアーム部128と、アーム部128の端部から略垂直上方に伸びる先端部121とを有している。
【0043】
アーム部128は先端に近い方が幅が狭くなっており、アーム部128の下側の端面には、第1支持体41の後方側斜め上方の円弧部分と接触して支持される凹の円弧状に湾曲した第1支持端面122を有している。第1支持端面122は、先端部121の下方に設けられていると共に、接続部材43の底部431の上方に位置している。これにより、被検査体51の強い押し込み荷重に対応できるようになっている。第1支持端面122は、先端部121が下方に押し下げられたときに、圧縮された第1支持体の復元力により後方側斜め上方に付勢されるため、接触子12の後端部分の浮き上がりを抑えることができる。
【0044】
先端部121は、その先端形状が凸の円弧状になっているので、先端部121が被検査体51の端子511によって押し下げられて、アーム部128が回動し、先端部121が前方に傾斜した状態でも、先端部121の接触部分の曲率が変わらずに安定して接触できる。
【0045】
接触子12の後端側の部分は、その上端に、第2支持体42の下方及び側方の円弧部分と接触して支持される凹の円弧状に湾曲した第2支持端面123を有している。また、接触子12の先端が押し下げられていない状態で、接続部材43の底部431上面と接触する第1接触端面124を下端に有し、接続部材43の基部432内側側端面と接触する第2接触端面125を後方側端に有する。
【0046】
第1支持端面122と第1接触端面124との間の接触子12下方の端面は、凸に湾曲した第3接触端面126となっている。また、第1接触端面124と第2接触端面125は略直角になっており、その角部分は凸の円弧状に湾曲した第4接触端面127となっている。
【0047】
接触子12先端が下方に押し込まれて接触子12が回動した状態では、第3接触端面126は接続部材43の底部431に接触して電気的に接続され、第4接触端面127は接続部材43の基部432に接触して電気的に接続される。第3接触端面126から第1接触端面124、第4接触端面127を経て、第2接触端面125に到るまでの端面は滑らかにつながっており、接触子12の回動時の接続部材43との接触が良好に行われるようになっている。
【0048】
接触子12の後端には、第2支持端面123と第2接触端面125に挟まれて基板10に対して略垂直方向上方に伸びる凸部129を有している。凸部129は、接触子12の先端が下方に押し下げられて接触子12が回動した時に、第2支持体42を押圧する部分であり、圧縮された第2支持体42の復元力により、接触子12の回動を元に戻すように力が加えられると共に、第4接触端面127を接続部材43の基部432に押し付けるように力が加えられる。
【0049】
第4接触端面127は凸の円弧状に湾曲しているので、接触子12の回動位置にかかわらず同じ曲率の端面を接続部材43の基部432に接触させることができる。また、第4接触端面127は、第3接触端面126よりも曲率が大きく、接続部材43の底部431の上面と基部432の内側側端面との角部分よりも曲率が小さい凸の弧状をしている。これにより、被検査体51により接触子12先端が押し下げられ、接触子12が回転したときでも、接続部材43の基部432との電気的接触を確実にすることができる。
【0050】
各接触子12の第2支持端面123は、弧の中心角が180度以上の凹の円弧状に湾曲しており、第2支持体42の下方と側方の側面と接触できるようになっている。このようにすることで、接触子12先端が被検査体51によって押し下げられた時、第2支持体42を軸として接触子12が回動すると共に、第2支持端面123によって押圧された第2支持体42の復元力により第2支持端面123が下方や後方側側方に押し付けられるため、第3接触端面126が接続部材43の底部431上面に押し付けられながら摺動すると共に、第4接触端面127が接続部材43の基部432内側側端面に押し付けられながら摺動する。これにより確実かつ安定して接続部材43と電気的に接続することができる。
【0051】
各接触子12は、接触子12の先端が押し下げられた時の回動位置にかかわらず、各接続部材43の底部431と基部432の双方と同時に電気的に接触すすることができるので、基板10の配線パターン11との電気的接触性を良好にすることができる。また、各接続部材43の底部431と基部432の両方に接触可能に構成されているため、どちらか一方が何らかの理由で接触ができなかった場合でも他方が接触していれば電気的接続は確保されるための接触不良を低減できる。
【0052】
各接触子12の先端部121は、図4に示すようにハウジング部24のスリット17から突出して、図3に示すように被検査体51の端子511に対して電気的に接触する。この実施形態では、先端部121は、基板10に対して垂直方向に伸びている場合を例示しており、高い荷重で先端が押し下げられた場合に適するが、これに限定されるものではなく、前方に傾斜していてもよい。なお、接触子12の先端は、先端部121が下方に押し下げられる前、及び押し下げ中も第1支持体41の上方に位置するように構成されていると、高い荷重で先端が押し下げられた場合に対応できるため好ましく、接触子12の先端が押し下げられていない状態で接触子12先端が第2支持体42の中心より後方側に位置するとより好ましい。また、先端部121の先端形状は円弧状である場合を例示するが、これに限定されるものではない。
【0053】
第1支持体41及び第2支持体42は、いずれも、弾性を有する電気絶縁材料からなり例えば、シリコーンゴム等のエラストマーからなる材料を用いることができる。第1支持体41及び第2支持体42は、図6に示すように、円柱状に形成されており、複数の接触子12を支持するために、複数の接触子12の並び方向に沿ってそれぞれ配置されている。第1支持体41は、接触子12の先端部121の下方に配置され、第2支持体42は接触子12の第2支持端面123上に配置されている。
【0054】
第1支持体41は、穴部18の第1横穴191の両端や、隔壁25に設けられた第1凹部251と、幅が同じかわずかに大きい寸法になっているため、第1横穴191に押し込まれることによりハウジング部24に保持される。同様に第2支持体42は、第2横穴192の両端や、隔壁25に設けられた第2凹部252と、幅が同じかわずかに大きい寸法になっているため、第2横穴192に押し込まれることによりハウジング部24に保持される。
【0055】
第1支持体41は、図5に示すように、穴部18の前方側内壁面、接触子12の第1支持端面122、及び接続部材43の底部431上面と同時に接触するように配置されており、第1支持端面122は第1支持体41の後方側斜め上方で接触している。これにより、接触子12先端が押し下げられた時に荷重が適度に分散されるため高荷重にも対応できる。
【0056】
第2支持体42は、図5に示すように、各接触子12の第2支持端面123の円弧状の面と接触するように配置されている。第2支持体42の径は、第2支持端面123の弧形状の径より大きく形成されているため、各接触子12端面が接続部材43の底部431や基部432に押し付けられ確実に接触させることができる。
【0057】
なお、この実施形態では、それぞれ1個の第1支持体41及び第2支持体42が、複数の接触子12を共通に支持する場合を例示するが、これに限定されるものではない。例えば、長手方向の長さが短い第1支持体41及び第2支持体42をそれぞれ2個ずつ設け、1組の第1支持体41及び第2支持体42が、3個の接触子12を支持するように配置し、もう1組の第1支持体41及び第2支持体42が、残りの3個の接触子12を支持するように配置してもよい。
【0058】
また、この実施形態では、第1支持体41と第2支持体42の2個の支持体で、各接触子12を支持しており、1個の支持体で支持する場合に比べて、負荷荷重を分散することができる。つまり、支持体(第1支持体41と第2支持体42)の寿命を延ばす(劣化速度を低下させる)ことができる。
【0059】
次に、図7を参照して、実施形態に係る接触子12の先端部121に押し込み荷重が加わったときの動作を説明する。図7は、接触子組立体40が収容されている部分のソケット部20及び基板10の断面図であり(フレーム部26は記載は省略している)、実線で描かれた接触子12は、先端が被検査体51によって押し込まれる前の状態を示し、点線で描かれた接触子は、先端が被検査体51によって押し込まれている状態を示している。
【0060】
図7に示すように、基板10上の配線パターン11上に接続部材43が配置されており、接続部材43の底部431上に接触子12が配置されている。接触子12の前方側では、先端部121の下方に第1支持体41が配置されており、接触子12の第1支持端面122が第1支持体41により上方に向けて支持されている。また、接触子12の後端側では、第2支持端面123上に第2支持体42が配置されており、第2支持端面123が第2支持体42により下方及び後方に向けて支持されている。
【0061】
接触子12先端が下方に押し込まれる前の状態では、第1接触端面124が接続部材43の底部431の上面と接触していると共に、第2接触端面125が接続部材43の基部432と接触している。
【0062】
接触子12のアーム部128先端側は第1支持体41により支持されており、先端部121は、接触子突出用開口171から開口部14に突出していると共に、被検査体51の端子511に対して、略垂直となっている。また、先端部121の先端位置は、第1支持体41の中心Aよりも、図6における右側(すなわち、接触子12の回転軸である第2支持体42側)にある。
【0063】
この状態から、被検査体51が所定の押し込み荷重で基板10に対して垂直に押し下げられると、接触子12は回動し、先端部121は孤を描いて下方に移動しつつ、図6での左方向に移動し、接触子12先端が端子511をスクラブする。また、接触子12が回動し、第4接触端面127が接続部材43の基部432に接触しながら上方に移動すると共に、第3接触端面126が転がりながら左右方向に移動する。
【0064】
このとき、接触子12の第1支持端面122が第1支持体41を押圧するので、第1支持体41が圧縮されながら弾性変形する。また、接触子12の凸部129が回動し。第2支持端面123が第2支持体42を押圧するので、第2支持体42が圧縮されながら弾性変形する。
【0065】
そして、被検査体51が完全に押し下げられ状態では、第1支持体41が接触子12の第1支持端面122に押し込まれ圧縮変形しているため、第1支持体41の復元力により先端部121の先端が被検査体51の端子に向けて上方に押圧される。また、第2支持体42が接触子12の第2支持端面123に押し込まれて圧縮変形しているため、第2支持体42の復元力により、接触子12の回動を元に戻すように力が加えられるため、これによっても先端部121の先端が被検査体51の端子に向けたを上方に押圧される。
【0066】
このとき、接触子12の先端部121は斜め方向の姿勢をとり、端子51に接触している先端部121の先端の位置は、第1支持体41の中心Aの位置と同じ若しくは左側に移動はするが、第1支持体41の上方に位置している。接触子12の先端部121の下方に第1支持体41があるため、被検査体51の端子511から先端部121に作用する荷重Pは、第1支持端面122を通じて第1支持体41に伝達し、接続部材43の底部や穴部18の前方側内壁面に分散荷重が伝達される。また、第3接触端面126は底部431に接触し、且つ、第4接触端面127は基部432に接触しているので、被検査体51からの分散荷重が第3接触端面126から底部431に伝達され、且つ、第4接触端面127から基部432に伝達される。このように、被検査体51が押し込まれると、接触子12と接続部材43とが確実に安定して電気的に接続される。
【0067】
次に、図8を参照して、実施形態に係る接触子12及び接続部材43の導電経路を説明する。図8は、被検査体51が装着された状態での接触子組立体40が収容されている部分のソケット部20及び基板10の断面図(フレーム部26の記載は省略)において、導電経路を説明した図である。
【0068】
図8において、太線が導電経路を概念的に表した部分である。なお、図8では、導電経路R1及びR2は、被検査体51の端子511と基板10の配線パターン11とを結ぶ最短経路とする。
【0069】
図8に示すように、略L字状の接続部材43を設置し、接続部材43の底部431と基部432とに接触するように接触子12を配置することにより、2個の導電経路R1及びR2となる。
【0070】
導電経路R1は、接触子12の先端部121から、第3接触端面126、接続部材43の底部431、配線パターン11を通る経路である。導電経路R2は、接触子12の先端部121から、第4接触端面127、接続部材43の基部432、配線パターン11を通る経路である。
【0071】
従来は、接続部材43を設けていないため1個の導電経路であったが、この実施形態のように、配線パターン11に対して、略L字状の接続部材43を介して接触子12を設けることにより、図8に示すように、2個の導電経路R1及びR2とすることができる。その結果、電気的接続装置1による被検査体51の通電試験の電気的接続を良好とすることができ、精度よく試験することができる。また、仮に一方の導電経路が形成されなかったとしても、他方の導電経路で電気的接続を確保することができるので接触不良を低減することができる。
【0072】
また、従来は、略L字状の接続部材43を設けていないため、接触子12の第4接触端面127に相当する部分が、直接、ハウジング部24の穴部の内壁面と接触している。一般的にハウジング部24は絶縁性の合成樹脂で形成されているため、第4接触端面127に相当する部分がハウジング部24の穴部の内壁面を傷つけてしまいそれに接触子12が引っかかってしまい、接触子12が基板10の配線パターン11から離れてしまったり、ハウジング部24から生じた異物が、接触子12と基板10の配線パターン11との電気的接触性を悪くしたりする可能性があった。しかし、この実施形態によれば、略L字状の接続部材43を介して接触子12を設けることにより、接触子12とハウジング部24との接触がなくなるので、ハウジング部24の内面を傷つけること等を回避でき、異物発生も回避できる。
【0073】
(A-2)実施形態の効果
上述したように、この実施形態によれば、接触子と基板の配線パターンとの間に導電性部材からなる接続部材を介在させることにより、基板の配線パターンのダメージやハウジング部の内面のダメージを低減でき、異物の影響による電気的接触性の低下を回避できる。
【0074】
また、接続部材は、略L字状の形状とすることにより、接触子の端面と2か所で接触することができるため、接触子と基板の配線パターンとの間を安定して電気的に接続することができる。
【0075】
また、接触子先端の下方でかつ接続部材の上方に配置して支持する第1支持体と、接触子の回動軸となると共に接触子の端面を接続部材に2か所で押し付ける第2支持体との2個の支持体を設けることにより、接触子を強く支持することができるため、被検査体の押し込み荷重を高荷重とすることができる。また、接触子先端に作用する荷重を2個の支持体と接続部材とを備えることにより、分散でき、高温環境下又は低温環境下での各支持体の劣化を低減することができる。その結果、支持体の寿命を長くすることができる。
【0076】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の実施形態にも適用できる。
【0077】
(B-1)図9は、第1の変形実施形態の電気的接続装置1Aの構成を示す断面図である。
【0078】
図9において、第1の変形実施形態の電気的接続装置1Aは、接続部材43Aの基部432Aの幅長を、第1の実施形態の接続部材43の基部432の幅長より、大きくして設けている。このように、基部432Aの幅長を大きくすることにより、放熱性がさらに向上し、通電時の接触子12Aの温度上昇を抑えることができるので、より大きな電流を流すことができる。すなわち、大電流で被検査体51を試験することができる。接続部材43Aの基部432Aの幅長は、電気的接続装置1Aの仕様に応じて決定することができるが、基部432Aの幅長が、接続部材43Aの上に配置される接触子12Aの後端側でその長手方向に長くすることで、効率よく放熱することができるため、より精度の高い試験ができる。
【0079】
(B-2)図10は、第2の変形実施形態の電気的接続装置1Bの構成を示す断面図である。
【0080】
図10において、第2の変形実施形態の電気的接続装置1Bは、第1支持体41を有していない点で第1の変形実施形態と異なる。また、接触子12Bの形状、穴部18Bの形状、第2支持体42の保持構造、及び接続部材43Bの形状も異なる。
【0081】
第2の変形実施形態に係る電気的接続装置1Bは、基板10と、その基板10上に設けられたソケット部20Bとを有する。ソケット部20Bは、フレーム部26と、接触子組立体40Bと、その接触子組立体40Bを収容するハウジング部24Bとを有する。基板10とフレーム部26については、第1の実施形態とほぼ同じなので説明を省略する。
【0082】
ハウジング部24Bは、接触子組立体40Bを収容し、基板10と連携して接触子組立体40Bを保持する部材であり、電気絶縁部材で形成されている。ハウジング部24Bは、基板10上に設けられており、又ハウジング部24Bの上面には、フレーム部26が設けられている。ハウジング部24Bの平面視外形状はフレーム部26の平面視外形状と同形状の略長方形をしたおり、ハウジング部24Bとフレーム部26は平面視で外形が一致するように重ねられている。
【0083】
ハウジング部24Bには、フレーム部26の開口部14に収容される被検査体51の端子511の位置に合わせて、接触子組立体40Bを収容するための穴部18Bが設けられている。穴部18Bは、開口部14の4つの辺とそれぞれ平行に設けられている。
【0084】
各穴部18Bは、複数の接触子12Bの前端側を個々に収容するための複数のスリット17Bと、各スリット17Bに収容された複数の接触子12Bの後端側を収容するとともに、接触子12Bの後端側を弾性的に支持する支持体42Bを収容する凹部である後端収容部16を有している。スリット17Bの幅は、接触子12の厚さよりも僅かに広く設定され、接触子の前端側が自由に回動できるようになっている。スリット17Bはハウジング部24Bの上下に開放しており、後端収容部16はハウジング部24Bの下面に開放している。そして、複数のスリット17Bの奧側下方と後端収容部16の手前側下方は連通している。
【0085】
穴部18Bを構成する複数のスリット17B部分は、開口部14の各辺に対して垂直の向きで一定の間隔で平行に一列に並んで配置されており、隣り合うスリット17B同士は隔壁25Bによって区画されている。
【0086】
ハウジング部24Bの上面に位置する各スリット17Bの上側開口は、内側がフレーム部26の開口部14に面しており、外側がフレーム部26の下面によって塞がれている。開口部14に面しているスリット17Bの上側開口部分は、接触子12Bの先端が上下動可能に開口部14に向かって突出する部分であり、接触子突出用開口171Bとも呼ぶ。接触子突出用開口171Bから突出した複数の接触子12Bの先端は、開口部14に装着された被検査体51の複数の端子511にそれぞれ接触することできる。
【0087】
穴部18Bを構成する後端収容部16は、手前側内壁上隅には円柱状の支持体42Bの円柱面と接触するように凹の円弧状に湾曲した支持体受け面161を有している。この支持体受け面161が支持体42Bを手前側斜め上方から支持している。また、後端収容部16の両側には、支持体42Bの両端部を支持するための図示しない溝部を有している。この溝部は支持体42Bの幅と同じかわずかに狭い幅でハウジング部24Bの下面から垂直上方に窪んだ溝であり、奧端は凹の円弧に湾曲している。支持体42Bは、側面が支持体受け面161に接するように両端を前記溝部にそれぞれ押し込まれ後端収容部16に取り付けられる。
【0088】
ハウジング部24Bの下面に位置する穴部18Bの開口は、スリット17Bの下側開口と後端収容部16の開口が合わさった開口であり、基板10よって塞がれている。
【0089】
次に、ハウジング部24Bに収容される複数の各接触子12Bを含む接触子組立体40Bの構造を説明する。
【0090】
ハウジング部24Bの各穴部18Bには、接触子組立体40Bが組み込まれている。この接触子組立体40Bは、複数の接触子12Bと、複数の接続部材43Bと、支持体42Bとを有する。
【0091】
各接続部材43Bは、導電性を有する金属部材で形成され、接触子12Bと基板10上の配線パターン11との間に介在させて、接触子12Bと配線パターン11とを電気的に接続するための部材である。接続部材43Bは、略L字状に形成された板状部材であり、基板10に対して垂直方向に起立した基部432Bと、基板10に対して平行に延在した底部431Bとを有する。接続部材43Bの厚さは接触子12Bの厚さと同じに形成されている。
【0092】
接続部材43Bは、各スリット17B内に接触子12Bと対になって底部431Bの前端側が収容されており、底部431Bの下端面が基板10上面の配線パターン11と接触すると共に、基部432Bの外側側端が後端収容部16の奧側内壁と当接するように後端収容部16に配置されている。接続部材43Bの底部431Bの上端面と基部432Bの内側側端面は、接触子12Bの端面と接触する面となる。これにより、接続部材43Bは、接触子12Bの先端が被検査体51の端子511によって下方に押し込まれた時の接触子12B端面の摺動や押圧から、基板10や配線パターン11、後端収容部16の奥側内壁面の損傷を防ぐ働きをする。
【0093】
接続部材43Bの基部432Bの上端面は、後端収容部16の天井面162と同じかそれより低い位置になる様に設定されている。接続部材43Bの底部431Bは、下面が基板10の帯状の配線パターン11と電気的に接触するように設けられている。
【0094】
各接触子12Bは、導電性を有する金属部材で形成され、略C字形状に形成された板状部材であり、前端側(先端側)に被検査体51の端子511と電気的に接触する先端を有すると共に、後端側に接続部材43Bの基部432Bと電気的に接触する後端を有する。
【0095】
接触子12Bの先端側の部分は、接触子12Bの後端側の部分から斜め上方に伸びているアーム部128Bと、アーム部128Bの端部から略垂直上方に伸びる先端部121Bとを有している。
【0096】
アーム部128Bは同じ位の幅で伸びており、アーム部128の上端は凹の円弧状に湾曲しており、下端は凸の円弧状に湾曲している。先端部121Bは、その先端形状が凸の円弧状になっている。
【0097】
接触子12Bの後端側の部分は、その上端に、支持体42Bの後方側斜め下方の円弧部分と接触して支持される凹の円弧状に湾曲した支持端面123Bを有している。また、接触子12Bの先端が押し下げられていない状態で、接続部材43Bの底部431B上面と接触する第1接触端面124Bを下端に有し、接続部材43Bの基部432B内側側端面と接触する第2接触端面125Bを後方側端に有する。
【0098】
アーム部128Bの下端の第1接触端面124Bより前方側は、凸に湾曲した第3接触端面126Bとなっている。また、第1接触端面124Bと第2接触端面125Bは略直角になっており、その角部分は凸の円弧状に湾曲した第4接触端面127Bとなっている。なお、この実施形態では第4接触端面127Bは第1の実施形態の第4接触端面127より曲率を大きくしており、接続部材43Bの基部432Bへの接触圧を大きくしている。
【0099】
接触子12Bの先端が下方に押し込まれて接触子12Bが回動した状態では、第3接触端面126Bは接続部材43Bの底部431Bに接触して電気的に接続され、第4接触端面127Bは接続部材43Bの基部432Bに接触して電気的に接続される。第3接触端面126Bから第1接触端面124B、第4接触端面127Bを経て、第2接触端面125Bに到るまでの端面は滑らかにつながっており、接触子12Bの回動時の接続部材43Bとの接触が良好に行われるようになっている。
【0100】
接触子12Bの後端には、支持端面123Bと第2接触端面125Bに挟まれて基板10に対して略垂直方向上方に伸びる凸部129Bを有している。凸部129Bは、接触子12Bの先端が下方に押し下げられて接触子12Bが回動した時に、支持体42Bを押圧する部分であり、圧縮された支持体42Bの復元力により、接触子12Bの回動を元に戻すように力が加えられると共に、第4接触端面127Bを接続部材43Bの基部432Bに押し付けるように力が加えられる。
【0101】
各接触子12Bの支持端面123Bは、弧の中心角が約90度の凹の円弧状に湾曲しており、支持体42Bの後方側斜め下方と接触できるようになっている。このようにすることで、支持体42Bの前方側斜め上方と接触している支持体受け面161との連携により、接触子12B先端が被検査体51によって押し下げられた時、支持体42Bを軸として接触子12Bが回動すると共に、支持端面123Bによって押圧された支持体42Bの復元力により支持端面123Bが下方や後方側側方に押し付けられるため、第3接触端面126Bが接続部材43Bの底部431B上面に押し付けられながら摺動すると共に、第4接触端面127Bが接続部材43Bの基部432B内側側端面に押し付けられながら摺動する。これにより確実かつ安定して接続部材43Bと電気的に接続することができる。
【0102】
この変形実施形態のおいても、上述した実施形態と同様に、各接触子12Bは、接触子12Bの先端が押し下げられた時の回動位置にかかわらず、各接続部材43Bの底部431Bと基部432Bの双方と同時に電気的に接触すすることができるので、基板10の配線パターン11との電気的接触性を良好にすることができる。また、どちらか一方が何らかの理由で接触できなかった場合でも他方が接触していれば電気的接続は確保されるための接触不良を低減できる。
【0103】
支持体42Bは、実施形態の第2支持体42と同様の物を利用できるため詳細な説明は省略する。なお、この実施形態においては、支持体が一つなので、接触荷重が比較的小さい場合に適する。
【0104】
(B-3)上述した実施形態では、円柱状部材である第1支持体と第2支持体との直径が同じ部材である場合を例示した。しかし、第1支持体の直径と第2支持体の直径とが異なるものであってもよい。第1支持体の直径を調整することにより接触子先端のストロークや接触荷重を容易に調整する事ができる。また第1支持体と第2支持体の弾性率とが異なるものであってもよい。第1支持体の弾性率を調整することにより接触荷重を容易に調整する事ができる。
【符号の説明】
【0105】
1、1A及び1B…電気的接続装置、10…基板、11…配線パターン、20、20A及び20B…ソケット部、12,12A及び12B…接触子、41…第1支持体、42…第2支持体、42B…支持体、43、43A及び43B…接続部材、
24及び24B…ハウジング部、26…フレーム部、14…開口部、18及び18B…穴部、
121及び121B…先端部、122…第1支持端面、123…第2支持端面、123B…支持端面、124及び124B…第1接触端面、125及び125B…第2接触端面、126及び126B…第3接触端面、127…第4接触端面、
431、431A及び431B…底部、432、432A及び432B…基部、433…凹部、434及び434A…上端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10