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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】ラッチ装置及びドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 17/20 20060101AFI20220328BHJP
   E05C 3/32 20060101ALI20220328BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20220328BHJP
   E05B 63/08 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
E05B17/20 F
E05C3/32
E05B15/02 D
E05B63/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017187496
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019060193
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】598063683
【氏名又は名称】株式会社 ユーシン・ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森元 雄祐
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-239235(JP,A)
【文献】特開2010-024804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
E05C 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のドア枠に外開きで開閉自在に連結されたドアのラッチ装置であって、
前記ドア枠に設けられ、前記ドア枠から室外側へ突出されると共に、前記ドアが閉じられるときに前記ドアの室内側の面に形成された挿入孔から前記ドアの内部へ挿入するストライカと、
前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチするラッチ装置本体と、
を備え、
前記ラッチ装置本体は、
上下方向を軸方向として回転可能に構成され、前記ストライカと係合するラッチ位置と、前記ストライカとの係合状態が解除されるラッチ解除位置と、の間を回転するラッチ部材と、
前記ラッチ部材が前記ストライカに係合したときに作動して、前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止する阻止部材と、
を含んで構成され
前記阻止部材は、上下方向を軸方向として回転可能に構成されると共に、前記ラッチ部材の回転を許可する許可位置と、前記ラッチ位置における前記ラッチ部材と係合して前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止するロック位置と、の間を回転し、
前記ラッチ装置本体は、規制部材を有しており、
前記規制部材が、前記ロック位置における前記阻止部材と係合して前記阻止部材の前記許可位置側への回転を規制する規制位置と、前記阻止部材の前記許可位置側への回転を許可する非規制位置と、の間を移動可能に構成されているラッチ装置。
【請求項2】
前記ラッチ装置本体は、水平方向にスライド可能に構成されたスライド部材を有しており、
前記スライド部材が非作動位置からスライド位置へスライドすることで、前記スライド部材と前記阻止部材とが係合して前記阻止部材が前記ロック位置から前記許可位置へ回転される請求項に記載のラッチ装置。
【請求項3】
前記ラッチ装置本体は、回転可能に構成された回転体を有しており、
前記回転体が回転方向一方側へ回転することで、前記回転体によって前記規制部材が前記非規制位置から前記規制位置へ回転され、
前記回転体が回転他方側へ回転することで、前記回転体と前記スライド部材とが係合して前記スライド部材が前記非作動位置から前記スライド位置へスライドすると共に、前記回転体によって前記規制部材が前記規制位置から前記非規制位置へ回転される請求項に記載のラッチ装置。
【請求項4】
前記ラッチ装置本体は、
前記回転体を回転させるためのアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、
を含んで構成されている請求項に記載のラッチ装置。
【請求項5】
建物のドア枠に外開きで開閉自在に連結され、室内側の面に挿入孔を有するドアと、
前記ドア枠に設けられ、前記ドア枠から室外側へ突出されると共に、前記ドアが閉じられるときに前記挿入孔から前記ドアの内部へ挿入するストライカと、
前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチするラッチ装置本体と、
を備え、
前記ラッチ装置本体は、
上下方向を軸方向として回転可能に構成され、前記ストライカと係合するラッチ位置と、前記ストライカとの係合状態が解除されるラッチ解除位置と、の間を回転するラッチ部材と、
上下方向を軸方向として回転可能に構成されると共に、前記ラッチ部材の回転を許可する許可位置と、前記ラッチ位置における前記ラッチ部材と係合して前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止するロック位置と、の間を回転し、前記ラッチ部材が前記ストライカに係合したときに作動して、前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止する阻止部材と、
前記ロック位置における前記阻止部材と係合して前記阻止部材の前記許可位置側への回転を規制する規制位置と、前記阻止部材の前記許可位置側への回転を許可する非規制位置と、の間を移動可能に構成されている規制部材と、
を含んで構成されているドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ装置及びドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドア装置では、フック(ストライカ)がドア枠に取付けられており、ドアには、フックと係脱可能に構成されたドアキャッチ(ラッチ装置本体)が設けられている。このドアキャッチは、水平方向を軸方向として回転可能に構成された係合部材を含んで構成されている。そして、ドアが閉じるときに係合部材が回転して、係合部材の係合部がフックと係合することで、ドアキャッチがフックとラッチする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-239235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のドア装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記ドア装置では、フックがドア枠からドア枠の幅方向内側へ突出されている。このため、ドアを閉じた状態では、室外側から見て、ドアの開放端面とドア枠との間の隙間から、フックを視認することができる。これにより、フックと係合部材との係合部分に対して、当該隙間から、不正なアクセスが行われる可能性がある。したがって、上記ドア装置では、セキュリティ性能を向上するという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、セキュリティ性能を向上することができるラッチ装置及びドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、建物のドア枠に外開きで開閉自在に連結されたドアのラッチ装置であって、前記ドア枠に設けられ、前記ドア枠から室外側へ突出されると共に、前記ドアが閉じられるときに前記ドアの室内側の面に形成された挿入孔から前記ドアの内部へ挿入するストライカと、前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチするラッチ装置本体と、を備え、前記ラッチ装置本体は、上下方向を軸方向として回転可能に構成され、前記ストライカと係合するラッチ位置と、前記ストライカとの係合状態が解除されるラッチ解除位置と、の間を回転するラッチ部材と、前記ラッチ部材が前記ストライカに係合したときに作動して、前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止する阻止部材と、を含んで構成されているラッチ装置である。
【0007】
形態2:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記阻止部材は、上下方向を軸方向として回転可能に構成されると共に、前記ラッチ部材の回転を許可する許可位置と、前記ラッチ位置における前記ラッチ部材と係合して前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止するロック位置と、の間を回転するラッチ装置である。
【0008】
形態3:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ラッチ装置本体は、規制部材を有しており、前記規制部材が、前記ロック位置における前記阻止部材と係合して前記阻止部材の前記許可位置側への回転を規制する規制位置と、前記クローレバーの前記許可位置側への回転を許可する非規制位置と、の間を移動可能に構成されているラッチ装置である。
【0009】
形態4:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ラッチ装置本体は、水平方向にスライド可能に構成されたスライド部材を有しており、前記スライド部材が非作動位置からスライド位置へスライドすることで、前記スライド部材と前記阻止部材とが係合して前記阻止部材が前記ロック位置から前記許可位置へ回転されるラッチ装置である。
【0010】
形態5:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ラッチ装置本体は、回転可能に構成された回転体を有しており、前記回転体が回転方向一方側へ回転することで、前記回転体によって前記規制部材が前記非規制位置から前記規制位置へ回転され、前記回転体が回転他方側へ回転することで、前記回転体と前記スライド部材とが係合して前記スライド部材が前記非作動位置から前記スライド位置へスライドすると共に、前記回転体によって前記規制部材が前記規制位置から前記非規制位置へ回転されるラッチ装置である。
【0011】
形態6:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ラッチ装置本体は、前記回転体を回転させるためのアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、を含んで構成されているラッチ装置である。
【0012】
形態7:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、建物のドア枠に外開きで開閉自在に連結され、室内側の面に挿入孔を有するドアと、前記ドア枠に設けられ、前記ドア枠から室外側へ突出されると共に、前記ドアが閉じられるときに前記挿入孔から前記ドアの内部へ挿入するストライカと、前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチするラッチ装置本体と、を備え、前記ラッチ装置本体は、上下方向を軸方向として回転可能に構成され、前記ストライカと係合するラッチ位置と、前記ストライカとの係合状態が解除されるラッチ解除位置と、の間を回転するラッチ部材と、前記ラッチ部材が前記ストライカに係合したときに作動して、前記ラッチ部材の前記ラッチ位置から前記ラッチ解除位置への回転を阻止する阻止部材と、を含んで構成されているドア装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、セキュリティ性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施の形態に係るラッチ装置の作動を説明するための断面図である。図1(A)は、フォークレバーがラッチ解除位置に配置され、クローレバーが許可位置に配置された状態を示す断面図である。図1(B)は、図1(A)に示される状態からフォークレバーがラッチ位置に回転してストライカと係合し、クローレバーが阻止位置へ回転された状態を示す断面図である。図1(C)は、図1(B)に示される状態から規制レバーが規制位置に回転した状態を示す断面図である。図1(D)は、図1(C)に示される状態から規制レバーが非規制位置に回転し、ラッチプレートがスライド位置へスライドした状態を示す断面図である。図1(E)は、図1(D)に示される状態からストライカとフォークレバーとの係合状態が解除されて、フォークレバーがラッチ解除位置へ回転した状態を示す断面図である。
図2図2(A)は、ドア枠の一部及びドアの一部を示す斜視図であり、図2(B)は、ドアを閉じた状態におけるドア枠の一部及びドアの一部を上側から見た平面図である。
図3図3は、図2に示されるラッチ装置本体におけるハウジングの内部を示す室外側から見た正面図である。
図4図4は、図3に示されるラッチ装置本体におけるハウジングの内部を示す下方側から見た断面図(図3の4-4線断面図)である。
図5図5(A)は、図3に示されるラッチ装置本体におけるハウジングの内部を示す下方側から見た断面図(図3の5A-5A線断面図)であり、図5(B)は、図3に示されるラッチ装置本体におけるハウジングの内部を示す下方側から見た断面図(図3の5B-5B線断面図)である。
図6図6は、図3に示される状態から規制レバーが規制位置に回転した状態を示す正面図である。
図7図7は、図6に示される状態から規制レバーが非規制位置に回転し且つラチェットプレートがスライド位置へスライドした状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るラッチ装置10が適用されたドア装置12について説明する。図2(A)及び(B)に示されるように、ラッチ装置10は、建物のドア枠30に回動可能に連結されたドア20をラッチする装置として構成されている。以下、始めに、ドア20及びドア枠30の構成について説明し、次いで、ラッチ装置10の構成について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ドア20を閉じた位置に配置した状態で説明する。また、図面において適宜示される、矢印INは室内側を示し、矢印OUTは室外側を示しており、以下の説明では、矢印IN及び矢印OUTの方向を、見込み方向という。また、図面において適宜示される、矢印UPは、上側(垂直方向一方側)を示しており、矢印LHは、室外側から見た左側(水平方向一方側)を示している。
【0016】
(ドア及びドア枠について)
ドア20は、見込み方向を厚み方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状を成している。また、ドア20には、後述するラッチ装置10のラッチ装置本体42が内蔵されている。このため、ドア20では、少なくともラッチ装置本体42が内蔵される部分が中空になっている。ドア20の右端部(基端部)は、図示しない位置において、上下方向を軸方向としてドア枠30に回動可能に連結されている。また、ドア20は、ドア枠30を閉じた状態から室外側へ外開きに開く構成になっている。
【0017】
また、ドア20の見込み方向一方側(室内側)の壁部には、左端部(ドア20の開放側の端部であり、詳しくは、後述するラッチ装置本体42を内蔵する部分)において、挿入孔22が貫通形成されている。この挿入孔22は、上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されており、後述するストライカ40が、挿入孔22からドア20の内部に挿入される構成になっている。
【0018】
ドア枠30の全体の図示は省略するが、ドア枠30は、全体としてドア20の外形に対応する略矩形枠状に形成されている。そして、ドア20を閉じた状態では、ドア20の左端部(開放端部)が、ドア枠30の受け部32に配置される設定になっている。この受け部32は、上側から見て、略クランク状に形成されている。具体的には、受け部32は、上側から見て、見込み方向に延在された第1受け面32Aと、第1受け面32Aにおける室内側の端部から右側へ延出された第2受け面32Bと、第2受け面32Bの右端部から室内側へ延出された内周面32Cと、を含んで構成されている。そして、第1受け面32A及び第2受け面32Bによって形成された切欠き状の空間32D内に、ドア20の先端部(開放端部)が配置されるようになっている。具体的には、ドア20の開放端面20Aが第1受け面32Aと左右方向に対向配置され、ドア20の先端部における室内側の面が、第2受け面32Bと見込み方向に対向配置される構成になっている。
【0019】
(ラッチ装置について)
ラッチ装置10は、ドア枠30に設けられたストライカ40と、ドア20の内部に設けられたラッチ装置本体42と、を含んで構成されている。そして、ドア20を閉じたときに、ラッチ装置本体42がストライカ40に係合してラッチする構成になっている。以下、各構成について説明する。
【0020】
<ストライカについて>
ストライカ40は、左右方向を板厚方向とし且つ見込み方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、ストライカ40の基端部(室内側の端部)が、ドア枠30の内周面32Cに対して右側に隣接して配置されて、複数のネジSによってドア枠30に締結固定されている。
【0021】
ストライカ40がドア枠30に固定された状態では、ストライカ40の先端側(室外側)の部分が、前述したドア20の挿入孔22に対応する位置に配置されると共に、第2受け面32Bよりも室外側へ突出されている。また、ドア20の閉状態では、ストライカ40の先端側の部分が、ドア20の挿入孔22からドア20の内部に侵入して、ドア20内に配置される構成になっている。つまり、ストライカ40は、ドア20の閉状態において、ドア20の開放端面20Aよりもドア20の基端側に配置されて、室外側から見て、ドア20(の開放端面20A)とドア枠30(の第1受け面32A)との間の隙間gからストライカ40が視認できない構成になっている。
【0022】
ストライカ40の先端側の部分には、略矩形状のストライカ孔40Aが貫通形成されている。このストライカ孔40Aは、後述するラッチ機構部60のフォークレバー61とストライカ40とが係合するときに、フォークレバー61が挿入される孔部として構成されている。また、ストライカ40の先端部(ストライカ孔40Aの周縁の一部を構成する部分)は、被係合部40Bとされており、被係合部40Bが上下方向に延在されている。
【0023】
<ラッチ装置本体について>
ラッチ装置本体42は、ドア20の挿入孔22に対応する部位の内部に配置されている。図3図5に示されるように、ラッチ装置本体42は、ラッチ装置本体42の外郭を構成するハウジング44を有している。また、ラッチ装置本体42は、ハウジング44内に収容された、ラッチ機構部60と、施錠機構部70と、駆動機構部80と、制御部90と、を含んで構成されている。以下、各構成について説明する。
【0024】
[ハウジングについて]
ハウジング44は、上下方向を長手方向とする中空の略矩形箱状に形成されており、ハウジング44の厚み方向がドア20の厚み方向と一致している。具体的には、ハウジング44は、見込み方向他方側(室外側)及び左側へ開放された略矩形箱状を成すハウジング本体46と、ハウジング本体46の室外側の開口部を塞ぐハウジングカバー48と、ハウジング本体46の左側の開口部を塞ぐサイドパネル50と、を含んで構成されている。そして、ハウジング44が、ドア20の左側からドア20の開放端面20Aに形成された孔部(図示省略)内に差し込まれて、ドア20の内部に収容されている(図2参照)。また、サイドパネル50は、化粧パネルとして構成されており、サイドパネル50の上端部及び下端部が、ハウジング44よりも上側及び下側へ突出されている。そして、サイドパネル50の上端部及び下端部が、ドア20の開放端部にネジ等によって締結されて、ハウジング44がドア20に固定されている。なお、ハウジング44がドア20に固定された状態では、ドア20の開放端面20Aと、サイドパネル50の外側面とが、面一に配置されている。
【0025】
また、ハウジング本体46の底壁46A(ハウジングカバー48と厚み方向に対向する壁部)には、挿入孔22と対向する位置において、連通孔46A1が貫通形成されている。この連通孔46A1は、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されており、連通孔46A1の大きさが、挿入孔22の大きさに比べて若干大きく設定されている。これにより、ハウジング44の内部とドア20の外部とが、挿入孔22及び連通孔46A1によって連通されている。
【0026】
さらに、ハウジング44内における下部には、連通孔46A1に対して右側の位置において、上下一対のガイドプレート52が設けられている。このガイドプレート52は、上下方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、一対のガイドプレート52が、上下方向に所定の間隔をあけて配置されると共に、ハウジング本体46の底壁46A及びハウジングカバー48に挟み込まれた状態で両者に固定されている(図5(B)参照)。
【0027】
一対のガイドプレート52には、左側の端部において、上下方向を軸方向とした第1支持軸52Aが架け渡されている。また、一対のガイドプレート52には、第1支持軸52Aに対して右側の位置において、上下方向を軸方向とした第2支持軸52Bが架け渡されている。さらに、一対のガイドプレート52には、第2支持軸52Bに対して見込み方向一方側の位置において、上下方向を軸方向としたストッパピン52Cが架け渡されている。
【0028】
さらに、ガイドプレート52におけるハウジング本体46の底壁46Aと対向する端部には、右半分の部位において、ハウジングカバー48側へ一段上がった段差状の切欠き52D(図5(B)参照)が形成されている。このため、切欠き52Dとハウジング本体46の底壁46Aとの間に、左側へ開放されたガイド溝53が形成されている。
【0029】
[ラッチ機構部について]
ラッチ機構部60は、「ラッチ部材」としてのフォークレバー61と、「阻止部材」としてのクローレバー63と、「スライド部材」としてのラッチプレート65と、を有している。
【0030】
「フォークレバー61について」
フォークレバー61は、ストライカ40に係脱可能に係合する部材として構成されている。このフォークレバー61は、全体として、上下方向を厚み方向とする略扇形ブロック状に形成されたレバー本体61Aを有しており、レバー本体61Aの外周部の一部が、円弧状に湾曲された円弧面61Bとされている。また、フォークレバー61には、円弧面61Bの中心となる位置において、支持部61Cが形成されており、支持部61Cは、レバー本体61Aと一体に形成されて、レバー本体61Aから突出されている。また、支持部61Cの略中心部には、円形状の支持孔61Dが貫通形成されており、支持孔61Dは、円弧面61Bの中心となる位置に配置されている。そして、フォークレバー61が、一対のガイドプレート52の間に配置されて、支持孔61D内に第1支持軸52Aが相対回転可能に挿入されている。これにより、フォークレバー61が第1支持軸52Aに回転可能に支持されている。
【0031】
また、レバー本体61Aの回転方向一方側(図4の矢印A方向側)の端面は、係合面61Eとされており、係合面61Eは、後述するクローレバー63と係合可能に構成されている。さらに、レバー本体61Aの回転方向他方側には、ストッパ部61Fが形成されている。このストッパ部61Fは、レバー本体61Aに対してレバー本体61Aの回転方向他方側に離間して配置されると共に、レバー本体61Aの回転方向他方側の端面と平行を成すように、支持部61Cから径方向外側へ延出されている。これにより、ストッパ部61Fが、フォークレバー61の回転方向他方側の端部を構成すると共に、ストッパ部61Fと、レバー本体61Aと、の間には、フォークレバー61の径方向外側へ開放された係合溝61Gが形成されている。そして、係合溝61Gは、ストライカ40の被係合部40Bと係合可能に構成されている。
【0032】
また、フォークレバー61は、図1(B)に示されるラッチ位置と、ラッチ位置から回転方向一方側へ回転されたラッチ解除位置(図1(A)及び図4に示される位置)と、の間を回転可能に構成されている。具体的には、フォークレバー61がラッチ位置に配置された状態では、フォークレバー61のストッパ部61Fが、ハウジングカバー48に当接して、フォークレバー61の回転方向他方側への回転が制限される構成になっている。一方、フォークレバー61がラッチ解除位置に配置された状態では、レバー本体61Aの回転方向一方側の端部が、ハウジングカバー48に当接されて、フォークレバー61の回転方向一方側への回転が制限される構成になっている。
【0033】
また、フォークレバー61のラッチ解除位置では、係合溝61Gが、上側から見て、室内側へ向かうにつれて左側へ斜めに傾斜して配置されており、係合溝61Gの開口部が、ハウジング44の連通孔46A1側へ開放されている(図1(A)及び図4参照)。これにより、ドア20を閉じるときに挿入孔22及び連通孔46A1から挿入されるストライカ40の被係合部40Bが、係合溝61G内に挿入して、フォークレバー61をラッチ位置側へ回転させるようになっている。また、フォークレバー61のラッチ位置では、上側から見て、係合溝61Gが左側へ開放されるように係合溝61Gが左右方向に沿って配置されている。このため、ストライカ40の被係合部40Bと係合溝61Gとが、見込み方向に係合する構成になっている(図1(B)参照)。
【0034】
また、フォークレバー61が第1支持軸52Aに支持された状態では、フォークレバー61が上側のガイドプレート52寄りに配置されている(図3参照)。すなわち、フォークレバー61は、第1支持軸52Aの上部に支持されている。一方、第1支持軸52Aの下部には、トーションスプリングとして構成された付勢バネ62が装着されている。付勢バネ62の一端部は、フォークレバー61に係止されており、付勢バネ62の他端部は、ガイドプレート52に係止されている。そして、付勢バネ62は、フォークレバー61を回転方向一方側へ付勢している。これにより、フォークレバー61とストライカ40との係合が解除された状態では、フォークレバー61が、ラッチ解除位置に保持される構成になっている。
【0035】
「クローレバーについて」
クローレバー63は、上下方向を厚み方向とした略V字形ブロック状に形成されている、具体的には、クローレバー63は、その基端部を構成する略円筒状の支持部63Aと、支持部63Aから支持部63Aの径方向外側へ延出された第1アーム部63B及び第2アーム部63Cと、を含んで構成されている。そして、支持部63Aの内部が支持孔63Dとされており、支持孔63D内に第2支持軸52Bが相対回転可能に挿入されている。すなわち、クローレバー63が、フォークレバー61に対して右側に配置されて、第2支持軸52Bに回転可能に支持されている。また、第2アーム部63Cは、第1アーム部63Bに対して、クローレバー63の回転方向一方側(図4の矢印C方向側)に離間して配置されており、第1アーム部63Bと第2アーム部63Cとの成す角度は、鋭角に設定されている。
【0036】
また、クローレバー63は、図1(A)及び図4に示される許可位置と、許可位置から回転方向他方側(図4の矢印D方向側)へ回転されたロック位置(図1(B)に示される位置)と、の間を回転可能に構成されている。具体的には、クローレバー63が許可位置に配置された状態では、クローレバー63が下側へ開放された状態に配置されると共に、第1アーム部63Bと第2アーム部63Cとの間に、ストッパピン52Cが配置されている。また、この位置では、第1アーム部63Bが、ラッチ解除位置におけるフォークレバー61の円弧面61Bに対して右側に隣接して配置されている。具体的には、第1アーム部63Bの側面が、円弧面61Bの接線方向に延在するように配置されている。これにより、フォークレバー61がラッチ解除位置から回転方向他方側へ回転するときには、フォークレバー61の円弧面61Bが第1アーム部63Bの側面を摺動しながらフォークレバー61が回転するようになっている。よって、クローレバー63の許可位置では、フォークレバー61のラッチ解除位置からラッチ位置への回転が許可される設定になっている。
【0037】
一方、クローレバー63のロック位置では、クローレバー63の第1アーム部63Bの先端が、ラッチ位置におけるフォークレバー61の係合面61Eに対して、フォークレバー61の回転方向一方側に隣接配置されて、フォークレバー61とクローレバー63が係合可能に構成されている。これにより、ラッチ位置におけるフォークレバー61の回転方向他方側(ラッチ解除位置側)への回転が、クローレバー63(第1アーム部63B)によって阻止されて、フォークレバー61がロックする構成になっている。また、クローレバー63のロック位置では、第2アーム部63Cがストッパピン52Cに当接されて、クローレバー63の回転方向一方側への回転が制限される構成になっている(図1(B)参照)。
【0038】
さらに、クローレバー63が第2支持軸52Bに支持された状態では、クローレバー63が上側のガイドプレート52寄りに配置されている(図3参照)。すなわち、クローレバー63が、第2支持軸52Bの上部に支持されている。一方、第2支持軸52Bの下部には、トーションスプリングとして構成された付勢バネ64が装着されている。付勢バネ64の一端部は、クローレバー63に係止されており、付勢バネ64の他端部は、ガイドプレート52に係止されている。そして、付勢バネ64は、クローレバー63を回転方向他方側へ付勢している。これにより、クローレバー63の許可位置では、付勢バネ64の付勢力によって第1アーム部63Bの側面がフォークレバー61の円弧面61Bに当接して、クローレバー63が許可位置に保持される設定になっている。また、クローレバー63のロック位置では、付勢バネ64の付勢力によって第2アーム部63Cがストッパピン52Cに当接して、クローレバー63がロック位置に保持される設定になっている。
【0039】
「ラッチプレートについて」
ラッチプレート65は、左右方向から見て、ハウジング本体46の底壁46A側へ開放された略U字形板状に形成されている。具体的には、ラッチプレート65は、ハウジングカバー48と平行に配置された略矩形板状のベースプレート部65Aと、ベースプレート部65Aにおける左側部分の上下端部からハウジング本体46の底壁46A側へ略直角に屈曲された上下一対のサイドプレート部65Bと、を含んで構成されている。このサイドプレート部65Bは、ベースプレート部65Aに対して左側へ突出されると共に、前述した一対のガイドプレート52の上側及び下側にそれぞれ隣接配置されている。換言すると、一対のサイドプレート部65Bが、一対のガイドプレート52を上下方向に挟み込むように配置されて、ラッチプレート65がガイドプレート52に左右方向(水平方向)にスライド可能に支持されている。また、ラッチプレート65がガイドプレート52に支持された状態では、ベースプレート部65Aがハウジングカバー48に対して見込み方向一方側に隣接して配置されている。
【0040】
サイドプレート部65Bにおけるハウジング本体46の底壁46A側の端部には、右半分の部分において、ハウジングカバー48へ一段上がった段差状の切欠部65C(図4及び図5参照)が形成されている。このため、ハウジング本体46の底壁46Aと切欠部65Cとの間には、隙間が形成されている。また、一対のサイドプレート部65Bの間には、切欠部65Cに対して左側の位置において、上下方向を軸方向とする解除ピン65Dが架け渡されている。この解除ピン65Dは、前述したガイドプレート52とハウジング本体46の底壁46Aとによって構成されたガイド溝53内に収容されている。
【0041】
また、ベースプレート部65Aにおける右端部には、ハウジング本体46の底壁46A側へ略直角に屈曲された支持片65Eが形成されている。この支持片65Eには、左右方向を軸方向とした支持ピン65Fが設けられており、支持ピン65Fは、支持片65Eから右側へ突出されている。この支持ピン65Fには、圧縮コイルスプリングとして構成された付勢バネ66が装着されている。付勢バネ66の一端部は、支持片65Eに係止され、付勢バネ66の他端部は、ハウジング本体46の右側壁に係止されており、付勢バネ66は、ラッチプレート65を左側(すなわち、クローレバー63側)へ付勢している。これにより、解除ピン65Dが、ガイドプレート52の切欠き52Dの左端部に当接されて、ラッチプレート65が、図3及び図4に示される位置に保持されている(以下、このラッチプレート65の位置を、「非作動位置」と称する)。
【0042】
また、ラッチプレート65の非作動位置では、解除ピン65Dが、許可位置及びロック位置におけるクローレバー63の第1アーム部63Bと第2アーム部63Cとの間に配置されている。すなわち、クローレバー63が、許可位置とロック位置との間を回転するときに解除ピン65Dがクローレバー63の回転を阻害しないように、解除ピン65Dの位置が設定されている。さらに、クローレバー63のロック位置において、ラッチプレート65が非作動位置から右側へスライドすると、解除ピン65Dが第2アーム部63Cに当接して、クローレバー63がロック位置から許可位置へ回転する構成になっている(図1(D)及び(E)に示される位置であり、以下、このラッチプレート65の位置を「スライド位置」という)。すなわち、ラッチプレート65は、クローレバー63のフォークレバー61に対する回転阻止状態を解除する部材として構成されている。
【0043】
さらに、ラッチプレート65におけるベースプレート部65Aの左右方向中間部には、ベースプレート部65Aから上下方向にそれぞれ延出された係合片65Gが一体に形成されている。
【0044】
[施錠機構部70について]
施錠機構部70は、「規制部材」としての規制レバー72を主要部として構成されている。この規制レバー72は、見込み方向を板厚方向とした略T字形板状に形成されている。具体的には、規制レバー72は、略長尺板状に形成されたレバー本体72Aと、レバー本体72Aの長手方向中間部からレバー本体72Aの長手方向に直交する方向に延出された規制片72Bと、を含んで構成されている。また、規制レバー72は、ラッチプレート65の切欠部65Cとハウジング本体46の底壁46Aとの間に形成された隙間内に配置されている。すなわち、規制レバー72は、ハウジング本体46の底壁46Aに隣接して配置されている。そして、レバー本体72Aの長手方向中間部が、ハウジング本体46の底壁46Aに設けられた見込み方向を軸方向とする支持ピン74に回転可能に支持されている。
【0045】
また、規制レバー72は、図6に示される規制位置と、規制位置から回転方向一方側(図6の矢印G方向側)へ回転された非規制位置(図3に示される位置である)と、の間を回転可能に構成されている。規制レバー72の非規制位置では、レバー本体72Aが上側へ向かうに従い右側へ傾斜し、規制片72Bがレバー本体72Aから左側へ向かうに従い上側へ延出されるように、規制レバー72が配置されている。また、この位置では、ハウジング本体46の底壁46Aに突設されたボス46A2が、レバー本体72Aの長手方向一端部に対して右側に隣接配置されている。これにより、非規制位置における規制レバー72の回転方向一方側への回転がボス46A2によって制限される構成になっている(図3参照)。
【0046】
一方、規制レバー72の規制位置では、レバー本体72Aが上下方向に沿って延在し、規制片72Bがレバー本体72Aから左側へ延出するように、規制レバー72が配置されている。この位置では、ハウジング本体46の底壁46Aに突設されたボス46A3が、レバー本体72Aの長手方向他端部に対して右側に隣接配置されている。これにより、規制位置における規制レバー72の回転方向他方側への回転がボス46A3によって制限される構成になっている(図6参照)。また、規制位置では、規制片72Bの先端が、ロック位置におけるクローレバー63の第2アーム部63Cに対して右側に隣接配置される設定になっている(図1(C)参照)。これにより、クローレバー63(の第2アーム部63C)と規制レバー72(の規制片72B)とが係合可能に構成されている。具体的には、クローレバー63と規制レバー72とが係合することで、ロック位置におけるクローレバー63の回転方向一方側(許可位置側)の回転が制限されて、クローレバー63がロックするように構成されている。このため、クローレバー63とフォークレバー61との係合状態が確実に維持されるようになっている。
【0047】
さらに、レバー本体72Aの長手方向他端部には、トーションスプリングとして構成された付勢バネ76の一端部が形成されており、付勢バネ76の他端部は、ハウジング本体46の底壁46Aに突設されたフック46A4に係止されている。この付勢バネ76は、規制レバー72の規制位置と非規制位置との間の中間位置を境に、規制レバー72に対する付勢方向を切替えるバネとして構成されている。具体的には、規制レバー72が中間位置から回転方向一方側へ変位したときには、付勢バネ76が規制レバー72を回転方向一方側へ付勢し、規制レバー72が中間位置から回転方向他方側へ変位したときには、付勢バネ76が規制レバー72を回転方向他方側へ付勢する構成になっている。すなわち、付勢バネ76が、所謂センタオーバーのバネとして構成されている。これにより、規制レバー72の回転位置に応じて、規制レバー72が、非規制位置または規制位置に保持されるようになっている。
【0048】
さらに、レバー本体72Aの長手方向一端部には、幅方向中央部において、連結溝72Cが形成されており、連結溝72Cはレバー本体72Aの長手方向一方側へ開放されている。これにより、レバー本体72Aの長手方向一端部には、一対の連結片72DL,72DRが形成されている。また、左側の連結片72DLは、右側の連結片72DRよりもレバー本体72Aの長手方向一方側へ突出されている。
【0049】
[駆動機構部80について]
図3に示されるように、駆動機構部80は、駆動源となる「アクチュエータ」としてのモータ81と、「回転体」としてのハブ85と、を含んで構成されている。
【0050】
モータ81は、ハウジング44の左側の上部内に配置されて、後述する制御部90に電気的に接続されている。このモータ81は、ハウジング44に設けられたケース82内に収容されている。モータ81の出力軸には、ウォーム83が設けられており、ウォーム83には、略円形状を成す伝達ギヤ84が噛合されている。この伝達ギヤ84は、見込み方向を軸方向としてハウジング44に回転可能に支持されている。
【0051】
ハブ85は、伝達ギヤ84の右側に配置されている。このハブ85は、見込み方向を軸方向とする略円筒状を成すハブ本体86と、ハブ本体86から径方向外側へ延出された動力伝達片87と、を含んで構成されている。ハブ本体86は、ハウジング44に回転可能に支持されている。また、ハブ本体86の内側は、連結孔86Aとされており、ハウジング本体46の底壁46A及びハウジングカバー48には、ハブ85の連結孔86Aを露出させるための露出孔(図示省略)が形成されている。さらに、ドア20の室内側の壁部には、サムターン(図示省略)が取付けられており、ドア20の室外側に壁部には、鍵部(図示省略)が取付けられている。そして、サムターン及び鍵部のシリンダが、露出孔を介してハブ85の連結孔86Aに連結している。
【0052】
ハブ本体86の連結孔86Aの内周面には、周方向に延在された一対の係合片86Bが一体に形成されており、係合片86Bは、連結孔86Aの内周面から連結孔86Aの径方向内側へ突出されている。そして、係合片86Bが、サムターン及び鍵部のシリンダと係合可能に構成されている。
【0053】
ハブ本体86の外周部には、ハブギヤ部86Cが一体に形成されており、ハブギヤ部86Cは、ハブ本体86の周方向全周に亘って形成されている。そして、ハブギヤ部86Cが、伝達ギヤ84に噛合されている。これにより、モータ81が駆動すると、モータ81の回転力が伝達ギヤ84及びハブギヤ部86Cによってハブ85に伝達されて、ハブ85がハブ本体86を回転中心として回転されるようになっている。
【0054】
動力伝達片87は、見込み方向を板厚方向した略扇形板状に形成されている。そして、駆動機構部80の非作動状態では、動力伝達片87がハブ本体86から下側へ延出されている(図3に示される位置であり、以下、この動力伝達片87の位置を「初期位置」という)。また、動力伝達片87は、ラッチ装置本体42の厚み方向において、前述したラッチプレート65の係合片65Gと、規制レバー72と、の間に配置されている。
【0055】
動力伝達片87の先端部には、一対の第1駆動ピン87A及び第2駆動ピン87Bが一体に形成されている。この第1駆動ピン87A及び第2駆動ピン87Bは、見込み方向を軸方向として、動力伝達片87から見込み方向一方側及び見込み方向他方側へ延出されている。また、第1駆動ピン87Aが動力伝達片87におけるハブ85の回転方向一方側(図3の矢印J方向側)の端部に配置され、第2駆動ピン87Bが動力伝達片87におけるハブ85の回転方向他方側(図3の矢印K方向側)の端部に配置されており、第1駆動ピン87A及び第2駆動ピン87Bのハブ85の回転中心からの距離は同じに設定されている。
【0056】
動力伝達片87の初期位置では、第1駆動ピン87Aが、ラッチプレート65の係合片65Gに対して左側に離間して配置されている。そして、ハブ85(動力伝達片87)が、初期位置から回転方向他方側へ回転されると、第1駆動ピン87Aが、非作動位置におけるラッチプレート65の係合片65Gに係合して、ラッチプレート65を右側へ押圧するように構成されている。これにより、ラッチプレート65がスライド位置へスライドする構成になっている(図7に示される位置であり、この動力伝達片87の位置を「ロック解除位置」という)。
【0057】
一方、初期位置では、第2駆動ピン87Bが、非規制位置における規制レバー72の連結片72DLの右側に隣接配置されている。そして、ハブ85が、初期位置から回転方向一方側へ回転されると、第2駆動ピン87Bが連結片72DLを押圧するように構成されている。これにより、規制レバー72が非規制位置から規制位置へ回転する構成になっている(図6に示される位置であり、この動力伝達片87の位置を「施錠位置」という)。また、第2駆動ピン87Bは、規制レバー72の連結溝72C内に挿入可能に構成されており、動力伝達片87が施錠位置に配置されたときには、第2駆動ピン87Bが連結溝72C内に挿入される構成になっている。よって、施錠位置では、連結片72DL,72DRと、第2駆動ピン87Bと、が左右方向に係合するようになっている。
【0058】
なお、施錠位置では、第1駆動ピン87Aがラッチプレート65の係合片65Gに対して左側に離間して配置されている。また、ロック解除位置では、第2駆動ピン87Bが規制レバー72の連結片72DL,72DRに対して右側に離間して配置されている。
【0059】
[制御部90について]
制御部90は、モータ81の右側において、ハウジング44内に収容されている。制御部90は、モータ81と電気的に接続されており、モータ81の駆動制御を行うようになっている。また、制御部90は、使用者が所有するリモコンキーと、無線通信可能に構成された無線通信部を有しており、リモコンキーからの出力信号に基づいて、モータ81を作動させるようになっている。
【0060】
(作用効果)
次に、ラッチ装置10の作動を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0061】
図1(A)に示されるように、ドア20を開いた状態では、フォークレバー61とストライカ40とは係合されていない。このため、フォークレバー61が付勢バネ62の付勢力によってラッチ解除位置に配置されており、フォークレバー61の係合溝61Gがハウジング44の連通孔46A1側へ開放されている。また、クローレバー63は、許可位置に配置されており、付勢バネ64の付勢力によって、クローレバー63における第1アーム部63Bの側面がフォークレバー61の円弧面61Bに当接されている。さらに、ラッチプレート65は、非作動位置に配置されており、解除ピン65Dがクローレバー63の第1アーム部63B及び第2アーム部63Cの間に配置されている。
一方、図3に示されるように、駆動機構部80におけるハブ85の動力伝達片87は、初期位置に配置されており、施錠機構部70の規制レバー72が、非規制位置に配置されている。
【0062】
この状態からドア20が閉じられると、ストライカ40の被係合部40Bが、ドア20の挿入孔22及びハウジング44の連通孔46A1からハウジング44の内部に侵入する。このとき、ストライカ40の被係合部40Bが、フォークレバー61の係合溝61G内に挿入されて、係合溝61Gの内周面を押圧する。これにより、フォークレバー61が、付勢バネ62の付勢力に抗して、ラッチ解除位置から回転方向他方側(図1(A)の矢印B方向側)へ回転する。また、フォークレバー61の回転時には、フォークレバー61の円弧面61Bがクローレバー63の第1アーム部63Bの側面を摺動しながら回転する。
【0063】
そして、図1(B)に示されるように、フォークレバー61がラッチ位置に到達すると、フォークレバー61のストッパ部61Fがハウジングカバー48に当接してフォークレバー61の回転が停止する。また、この位置では、係合溝61Gが左右方向に延在されて、係合溝61Gとストライカ40の被係合部40Bが見込み方向に係合する。
【0064】
さらに、フォークレバー61がラッチ位置に到達すると、フォークレバー61の円弧面61Bと第1アーム部63Bとの当接状態が解除される。このため、クローレバー63が、付勢バネ64の付勢力によって、許可位置から回転方向一方側(図1(A)の矢印D方向側)へ回転する。そして、図1(B)に示されるように、クローレバー63の第2アーム部63Cがストッパピン52Cに当接して、クローレバー63の回転が停止すると共に、クローレバー63がロック位置に配置される。
【0065】
クローレバー63のロック位置では、クローレバー63の第1アーム部63Bが、フォークレバー61のレバー本体61Aに対して、フォークレバー61の回転方向一方側に配置される。このため、第1アーム部63Bの先端とフォークレバー61の係合面61Eとが係合可能状態になる。これにより、フォークレバー61が回転方向他方側(ラッチ解除位置側)へ回転しようとすると、フォークレバー61とクローレバー63とが係合して、ラッチ位置におけるフォークレバー61の回転方向他方側(ラッチ解除位置側)への移動が阻止される。その結果、フォークレバー61がロックされて、フォークレバー61によるストライカ40に対する係合状態が維持される。
【0066】
次に、使用者のリモコンキー等の操作によって制御部90が駆動機構部80のモータ81を作動させて、駆動機構部80の動力伝達片87を初期位置から施錠位置へ回転させる。具体的には、制御部90の制御によってモータ81が作動して、ハブ85が初期位置から回転方向一方側(図3の矢印J方向側)へ回転する。このとき、第2駆動ピン87Bが、規制レバー72の連結片72DLを押圧しながら、回転方向一方側へ変位する。これにより、規制レバー72が非規制位置から回転方向他方側へ回転して、規制位置に配置される。なお、このときには、第2駆動ピン87Bが、規制レバー72の連結溝72C内に挿入されて、連結溝72Cと左右方向に係合される。これにより、規制レバー72の規制位置の配置状態が維持される。
【0067】
図1(C)及び図6に示されるように、規制レバー72が規制位置に配置されると、規制レバー72の規制片72Bの先端部が、ロック位置におけるクローレバー63の第2アーム部63Cの右側に隣接配置される。このため、クローレバー63と規制レバー72とが係合可能状態になる。これにより、クローレバー63が回転方向一方側(許可位置側)へ回転しようとすると、クローレバー63と規制レバー72とが係合して、クローレバー63の回転方向一方側(許可位置側)への回転が制限される。その結果、クローレバー63がロックされて、クローレバー63のロック位置に配置された状態が維持されると共に、ストライカ40とフォークレバー61との係合状態が、確実に維持された状態になる。すなわち、ドア20が確実に施錠された状態になる。
【0068】
図1(C)及び図6に示される状態からドア20を開くときには、まず、使用者のリモコンキー等の操作によって制御部90が駆動機構部80のモータ81を作動させて、駆動機構部80の動力伝達片87を施錠位置からロック解除位置へ回転させる。具体的には、制御部90の制御によってモータ81が作動して、ハブ85が施錠位置から回転方向他方側(図6の矢印K方向側)へ回転する。このとき、第2駆動ピン87Bが、規制レバー72の連結片72DRを押圧しながら、回転方向他方側へ変位する。これにより、規制レバー72が規制位置から回転方向一方側(図6の矢印G方向側)へ回転して、非規制位置に配置される(図7参照)。また、動力伝達片87がロック解除位置に到達した時点では、第2駆動ピン87Bが規制レバー72の連結片72DL,72DRに対して右側へ離間して配置される。
【0069】
一方、動力伝達片87が施錠位置からロック解除位置へ回転されるときには、第1駆動ピン87Aが、ラッチプレート65の係合片65Gを右側へ押圧する。このため、ラッチプレート65が、非作動位置から右側(図1(C)の矢印E方向側)へスライドして、スライド位置に変位する。また、図1(D)に示されるように、ラッチプレート65の非作動位置からスライド位置へのスライド時には、ラッチプレート65の解除ピン65Dが第2アーム部63Cに当接して、クローレバー63を回転方向一方側へ押圧する。このため、クローレバー63が付勢バネ64の付勢力に抗してロック位置から許可位置へ回転して、クローレバー63の第1アーム部63Bがフォークレバー61のレバー本体61Aに対して右側へ変位する。これにより、クローレバー63とフォークレバー61との係合状態が解除されて、フォークレバー61のラッチ位置からラッチ解除位置への回転が許可された状態になる。
【0070】
この状態でドア20を開くと、ストライカ40がドア20の挿入孔22から抜けるように、フォークレバー61に対して相対変位する。これにより、図1(E)に示されるように、フォークレバー61がストライカ40の変位に伴って、ラッチ位置からラッチ解除位置へ回転される。そして、ストライカ40の被係合部40Bがフォークレバー61の係合溝61Gから抜け出て、フォークレバー61とストライカ40との係合状態が解除される。また、フォークレバー61とストライカ40との係合状態が解除されたときには、フォークレバー61が付勢バネ62の付勢力によってラッチ解除位置に保持される。
【0071】
なお、動力伝達片87を施錠位置からロック解除位置へ回転させた後では、制御部90が駆動機構部80のモータ81を作動させて、駆動機構部80の動力伝達片87を非規制位置から初期位置へ復帰させる。
【0072】
このように、本実施の形態のラッチ装置10では、ドア20が閉じられるときに、ストライカ40が、ドア20の内部に侵入して、ラッチ機構部60のフォークレバー61がストライカ40の被係合部40Bに係合する。さらに、ラッチ機構部60のクローレバー63が、フォークレバー61のストライカ40への係合時に作動して、フォークレバー61のラッチ位置からラッチ解除位置への回転を阻止する。これにより、フォークレバー61のストライカ40に対する係合状態が維持される。
【0073】
ここで、ストライカ40は、ドア枠30(受け部32の第2受け面32B)から室外側へ突出されている。そして、ドア20が閉じられるときに、ストライカ40が、ドア20の室内側の面に形成された挿入孔22からドア20の内部へ挿入する。すなわち、ドア20の閉状態では、ストライカ40が、ドア20の開放端面20Aに対してドア20の基端側に配置される。このため、ドア20の閉状態を室外側から見たときは、ドア20の開放端面20Aとドア枠30(の第1受け面32A)との間の隙間gに、ストライカ40が配置されておらず、ストライカ40が当該隙間gから視認不能になっている。これにより、ドア20の開放端面20Aとドア枠30(の第1受け面32A)との間の隙間gから、ストライカ40とフォークレバー61との係合部位に不正にアクセスすることを防止又は抑制することができる。したがって、セキュリティ性能を向上することができる。
【0074】
また、ラッチ装置10では、ラッチ位置におけるフォークレバー61の回転を阻止するクローレバー63が、第2支持軸52Bに回転可能に支持されて、許可位置とロック位置との間を回転可能に構成されている。このため、例えば、クローレバー63を水平方向にスライドさせてフォークレバー61の回転をクローレバー63によって阻止する場合と比べて、クローレバー63の移動距離(許可位置とロック位置との間の距離)を比較的短く設定することができる。これにより、クローレバー63の設置スペースを小さく設定することができ、ラッチ機構部60の小型化に寄与することができる。
【0075】
また、ラッチ装置10は、規制レバー72を有している。そして、規制レバー72が、ハブ85の動力伝達片87の回転によって非規制位置から規制位置へ回転すると、規制レバー72の規制片72Bの先端部が、ロック位置におけるクローレバー63の第2アーム部63Cの右側に隣接配置される。このため、クローレバー63と規制レバー72とが係合して、クローレバー63のロック位置から許可位置への回転が規制される。その結果、フォークレバー61とストライカ40との係合状態を確実に維持することができる。したがって、セキュリティ性能を効果的に向上することができる。
【0076】
また、ラッチ装置10では、ラッチプレート65が非作動位置から右側へスライドしてスライド位置へ配置することで、ラッチプレート65の解除ピン65Dとクローレバー63の第2アーム部63Cとが係合して、クローレバー63がロック位置から許可位置へ回転される。このため、フォークレバー61とクローレバー63との係合状態を、簡易な構成で解除することができる。
【0077】
また、ラッチ装置10では、ハブ85の動力伝達片87が初期位置から回転方向一方側へ回転することで、規制レバー72が動力伝達片87の第2駆動ピン87Bによって非規制位置から規制位置へ回転される。一方、ハブ85の動力伝達片87が施錠位置から回転方向他方側へ回転することで、ラッチプレート65が動力伝達片87の第1駆動ピン87Aによって非作動位置からスライド位置へスライドすると共に、規制レバー72が動力伝達片87の第2駆動ピン87Bによって規制位置か非規制位置へ回転される。すなわち、動力伝達片87が、規制レバー72及びラッチプレート65に対してモータ81の駆動力を伝達する部材として機能すると共に、規制レバー72及びラッチプレート65の位置を切替える部材として機能する。これにより、規制レバー72及びラッチプレート65に対する位置切替を一部材で実現することができる。
【0078】
また、ラッチ装置10では、駆動機構部80が、ハブ85の動力伝達片87を回転させるモータ81と、モータ81を駆動する制御部90と、を含んで構成されている。このため、ラッチ装置10を電動で作動させることができる。これにより、使用者に対する利便性を向上することができる。
また、上述のように、クローレバー63が回転可能に構成されて、フォークレバー61の回転を阻止している。このため、上述のように、クローレバー63をスライドさせる構成に比べて、クローレバー63の移動量を比較的短く設定することができる。これにより、例えば、ハブ85の動力伝達片87を施錠位置から初期位置へ回動させるときの、駆動機構部80の作動時間を短くすることができる。
【0079】
また、ラッチ装置10では、規制レバー72とハウジング44の右側の側壁との間には、付勢バネ66が設けられており、付勢バネ66の付勢力によって規制レバー72が非作動位置側へ付勢されている。このため、動力伝達片87がロック解除位置に配置されてから初期位置に復帰したときに、規制レバー72を付勢バネ66の付勢力によって非作動位置に自動的に復帰させることができる。
【0080】
また、ラッチ装置10では、ラッチプレート65の一対のサイドプレート部65Bが、上下一対のガイドプレート52を挟み込むように配置されて、ラッチプレート65がガイドプレート52にスライド可能に支持されている。さらに、ガイドプレート52は、ハウジング本体46の底壁46A及びハウジングカバー48に挟み込まれて、両者に固定されている。このため、一対のガイドプレート52の固定状態を良好にできると共に、一対のガイドプレート52によってラッチプレート65を良好に支持することができる。その結果、ラッチプレート65を良好にスライドさせることができる。
【0081】
また、ラッチ装置10では、ラッチプレート65のサイドプレート部65Bにおけるハウジング44の底壁46A側の端部に切欠部65Cが形成されており、切欠部65Cの内部に規制レバー72が配置されている。このため、ラッチ装置本体42の厚み方向の小型化に寄与することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 ラッチ装置
12 ドア装置
20 ドア
20A 開放端面
22 挿入孔
30 ドア枠
32 受け部
32A 第1受け面
32B 第2受け面
32C 内周面
32D 空間
40 ストライカ
40A ストライカ孔
40B 被係合部
42 ラッチ装置本体
44 ハウジング
46 ハウジング本体
46A 底壁
46A1 連通孔
46A2 ボス
46A3 ボス
46A4 フック
48 ハウジングカバー
50 サイドパネル
52 ガイドプレート52
52A 第1支持軸
52B 第2支持軸
52C ストッパピン
52D 切欠き
53 ガイド溝
60 ラッチ機構部
61 フォークレバー(ラッチ部材)
61A レバー本体
61B 円弧面
61C 支持部
61D 支持孔
61E 係合面
61F ストッパ部
61G 係合溝
62 付勢バネ
63 クローレバー(阻止部材)
63A 支持部
63B 第1アーム部
63C 第2アーム部
63D 支持孔
64 付勢バネ
65 ラッチプレート(スライド部材)
65A ベースプレート部
65B サイドプレート部
65C 切欠部
65D 解除ピン
65E 支持片
65F 支持ピン
65G 係合片
66 付勢バネ
70 施錠機構部
72 規制レバー(規制部材)
72A レバー本体
72B 規制片
72C 連結溝
72DL 連結片
72DR 連結片
74 支持ピン
76 付勢バネ
80 駆動機構部
81 モータ(アクチュエータ)
82 ケース
83 ウォーム
84 伝達ギヤ
85 ハブ(回転体)
86 ハブ本体
86A 連結孔
86B 係合片
86C ハブギヤ部
87 動力伝達片
ピン87A 第1駆動
ピン87B 第2駆動
90 制御部
g 隙間
S ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7