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  • 特許-鉄道車両 図1
  • 特許-鉄道車両 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 37/00 20060101AFI20220328BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20220328BHJP
   B60N 3/02 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B61D37/00 Z
B61D19/02 Q
B60N3/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017227026
(22)【出願日】2017-11-27
(65)【公開番号】P2019094020
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】塩野 太郎
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240536(JP,A)
【文献】特開2011-109763(JP,A)
【文献】特開2016-164052(JP,A)
【文献】特開2007-230281(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02873581(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0087844(KR,A)
【文献】特開2007-230380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 37/00
B61D 19/02
B60N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の内壁面の出入口を開閉するドアが設けられた鉄道車両であって、
前記内壁面において前記出入口の側縁の戸柱の周辺から左右いずれかの方向に延在する手摺部を備えた、鉄道車両。
【請求項2】
互いに上下方向に離隔した複数の前記手摺部を備えた、請求項1に記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車室の内壁面の出入口を開閉するドアが設けられた鉄道車両において、出入口付近における乗客の行動を補助するために手摺を配置した構造が提案されている。例えば、特許文献1では、内壁面において出入口の側縁に沿って垂直方向に延在する手摺が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007‐230380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄道車両の乗客に高齢者や傷病者等が含まれることがある。握力や脚力等の体力が低下した高齢者等にとって、上記特許文献1のような手摺は把持し難く、行動を補助するために利用し難い欠点がある。そのため、高齢者等の出入口からの乗車及び降車を補助する効果については、改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、高齢者等の出入口からの乗車及び降車がより容易になる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車室の内壁面の出入口を開閉するドアが設けられた鉄道車両であって、内壁面において出入口の側縁の周辺から左右いずれかの方向に延在する手摺部を備えた鉄道車両である。
【0007】
この構成によれば、車室の内壁面の出入口を開閉するドアが設けられた鉄道車両において、内壁面において出入口の側縁の周辺から手摺部が左右いずれかの方向に延在するため、高齢者等が左右方向に延在する手摺部に体重を預けつつ、手摺部を左右方向に伝うことができ、垂直方向に延在する手摺が配置されている場合に比べて、高齢者等の出入口からの乗車及び降車がより容易になる。
【0008】
この場合、互いに上下方向に離隔した複数の手摺部を備えることが好適である。
【0009】
この構成によれば、互いに上下方向に離隔した複数の手摺部を備えるため、高齢者等の体格の大小や身体の状態等に応じて利用し易い高さの手摺部を選択することができ、高齢者等の出入口からの乗車及び降車がさらに容易になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鉄道車両によれば、高齢者等の出入口からの乗車及び降車がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の鉄道車両の車室の内壁面の出入口付近を示す側面図である。
図2図1の手摺部付近を示す斜視図を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る鉄道車両について詳細に説明する。図1に示すように、本発明の実施形態の鉄道車両1は、車室2の内壁面3の出入口4を開閉するドア5が設けられている。出入口4及びドア5は、既存の鉄道車両の物を適用できる。ドア5は、自動又は手動で開閉する両開き及び片開きの扉であり、引き戸、プラグドア、スライドドアのいずれでもよい。本実施形態では、ドア5は自動で開閉する両開きの引き戸である。
【0013】
鉄道車両1は、内壁面3おいて出入口4の左右両方の側縁の戸柱6の周辺から左右いずれかの方向に延在する手摺部7H,7Lを備える。鉄道車両1は、互いに上下方向に離隔した複数の手摺部7H,7Lを備え、本実施形態では1本の戸柱6の付近に一対の手摺部7H,7Lを備える。手摺部7Hの高さは、車室2の床面から例えば105cm~115cmの高さであり、さらに具体的には110cmである。手摺部7Lの高さは、車室2の床面から例えば65cm~75cmの高さであり、さらに具体的には70cmである。
【0014】
本実施形態では、手摺部7H,7Lは内壁面3の平坦な部位から突出した戸柱6の周辺に配置されているが、手摺部7H,7Lは内壁面3の戸柱6が無い平坦な部位であって出入口4の側縁の周辺に備えられていてもよい。また、手摺部7H,7Lは、出入口4の左右一方の側縁の周辺にのみ備えられていてもよい。また、手摺部7H,7Lは、出入口4の左右一方の側縁の周辺について1つだけ備えられていてもよく、3つ以上備えられていてもよい。また、互いに上下方向に離隔した複数の手摺部7H,7Lのそれぞれは、必ずしも互いの左右方向の位置や範囲や形状が同じではなく異なっていてもよい。
【0015】
図2に示すように、手摺部7H,7Lは、円柱形状を有し、2箇所で内壁面3の側に90°屈曲している。手摺部7H,7Lは、内壁面3における戸柱6の両側縁の周辺にその円柱形状の両端部が取り付けられている。手摺部7H,7Lは左右方向に延在している。左右方向とは、車室2の床面に平行な水平方向の他に、例えば、車室2の床面に平行な水平方向から60°以内、45°以内及び30°以内の角度だけ傾斜している方向も含まれる。本実施形態では、手摺部7H,7Lは、車室2の床面に平行な水平方向に延在している。
【0016】
本実施形態では、手摺部7H,7Lは2箇所で内壁面3の側に90°屈曲しているが、円弧状に内壁面3の側に湾曲していてもよい。また、本実施形態では、手摺部7H,7Lは円柱形状を有しているが、手摺部7H,7Lは角柱形状やその他の形状を有していてもよい。また、本実施形態では、手摺部7H,7Lは内壁面3にその両端部が取り付けられているが、例えば、手摺部7H,7Lは内壁面3の近傍に位置し、車室2の床面から支持柱等により支持されていてもよい。つまり、内壁面において出入口の側縁の周辺から左右いずれかの方向に延在する手摺部を備えたとは、必ずしも手摺部が内壁面により支持されていることを要しない。また、本実施形態では、手摺部7H,7Lは内壁面3にその両端部が取り付けられ、手摺部7H,7Lと内壁面3との間に隙間を有するが、手摺部7H,7Lの全体が内壁面3から突出しており、手摺部7H,7Lと内壁面3との間に隙間が無くともよい。
【0017】
本実施形態によれば、車室2の内壁面3の出入口4を開閉するドア5が設けられた鉄道車両1において、内壁面3において出入口4の側縁の周辺から手摺部7H,7Lが左右いずれかの方向に延在するため、高齢者等が左右方向に延在する手摺部7H,7Lに体重を預けつつ、手摺部7H,7Lを左右方向に伝うことができ、垂直方向に延在する手摺が配置されている場合に比べて、高齢者等の出入口4からの乗車及び降車がより容易になる。
【0018】
つまり、握力が低下した高齢者等にとって、垂直方向に延在する手摺は下方向に滑り易いため、低下した握力で把持し難い欠点がある。また高齢者等が垂直方向に延在する手摺を把持したとしても、手摺を伝って左右方向に移動することは難しい欠点がある。一方、本実施形態では、高齢者等は左右方向に延在する手摺部7H,7Lに手を介して体重を預けるだけでよいため、必ずしも手摺部7H,7Lを強い握力で把持しないで済む利点がある。また、高齢者等は左右方向に延在する手摺部7H,7Lに体重を預けつつ、手摺部7H,7Lを左右方向に伝うことで、手摺部7H,7Lを利用して容易に左右方向に移動することができる利点がある。
【0019】
また、本実施形態によれば、互いに上下方向に離隔した複数の手摺部7H,7Lを備えるため、高齢者等の体格の大小や身体の状態等に応じて利用し易い高さの手摺部7H,7Lを選択することができ、高齢者等の出入口4からの乗車及び降車がさらに容易になる。つまり、体格の大きな乗客や傷病等の身体の状態により低い位置に手を下すことが困難な乗客は高い位置の手摺部7Hを利用することができ、体格の小さな乗客や傷病等の身体の状態により高い位置に手を上げることが困難な乗客は低い位置の手摺部7Lを利用することができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、手摺部7H,7Lの位置、長さ、範囲、個数等は適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0021】
1…鉄道車両、2…車室、3…内壁面、4…出入口、5…ドア、6…戸柱、7H,7L…手摺部。
図1
図2