(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】車両用電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20220328BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20220328BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20220328BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20220328BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220328BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20220328BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20220328BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20220328BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20220328BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20220328BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20220328BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H05K1/11 C
H05K3/28 G ZHV
H05K3/40 C
H02M1/00 Z
H01L23/12 K
H01L23/12 Q
H01L25/04 C
B60K6/26
B60K6/48
B60K6/54
B60R16/03 Z
B60L9/18 J
(21)【出願番号】P 2017234479
(22)【出願日】2017-12-06
【審査請求日】2020-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127344
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キョン-クク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンソク
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-334057(JP,A)
【文献】特開2017-017204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 3/28
H05K 3/40
H02M 1/00
H01L 23/12
H01L 25/07
B60K 6/26
B60K 6/48
B60K 6/54
B60R 16/03
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力の入力を受けるか外部に電力を出力するように構成されるリードフレーム;および
前記リードフレームと接合するように構成される基板;を含み、
前記基板は、
前記リードフレームと電気的に連結するように配置されるパターン層、
前記パターン層と離隔して配置され電気的に接地するように構成される電導層、および
前記パターン層を前記電導層から絶縁させるように前記電導層と前記パターン層との間に配置される絶縁層を含み、
前記絶縁層は、前記パターン層に前記リードフレームの連結される位置を回避して設けられ、
前記パターン層は、前記リードフレームに向かって前記絶縁層よりも突出する、車両用電力モジュール。
【請求項2】
前記パターン層は、前記絶縁層と接する第1パターン部、および前記リードフレームと接する第2パターン部を含む、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【請求項3】
前記パターン層は、前記第1パターン部と前記第2パターン部が離隔するように前記第1パターン部および前記第2パターン部の間に設けられる第3パターン部をさらに含む、請求項2に記載の車両用電力モジュール。
【請求項4】
前記リードフレームは、外部に向かう第1リード端部、および前記第1リード端部と対向する第2リード端部を含み、
前記絶縁層は、前記リードフレームと隣接する第1絶縁端部、および前記第1絶縁端部と対向する第2絶縁端部を含み、
前記第1リード端部および第2リード端部の間の水平距離は、前記第1リード端部および前記第1絶縁端部の間の水平距離より短い、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【請求項5】
前記パターン層は、前記リードフレームと隣接する第1パターン端部、および前記第1パターン端部と対向する第2パターン端部を含み、
前記リードフレームは、前記第1パターン端部および前記第1絶縁端部の間に対応する前記パターン層に接合する、請求項4に記載の車両用電力モジュール。
【請求項6】
前記第1パターン端部および前記第1絶縁端部の間の面積は、前記パターン層に接合する前記リードフレームの面積より大きい、請求項5に記載の車両用電力モジュール。
【請求項7】
前記リードフレームが前記パターン層の一側面に接合するとき、前記パターン層が曲がることを防止するように前記パターン層の他側面に配置され得る支持部材をさらに含む、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【請求項8】
前記絶縁層は、アルミナセラミック材質を含む、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【請求項9】
前記リードフレームと前記パターン層の接合を補強するように、前記基板を取り囲むモールディング部材をさらに含む、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【請求項10】
前記パターン層の厚さは、0.15mm以上である、請求項1に記載の車両用電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力を変換し、改善された基板を含む車両用電力モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両は車輪を駆動させて道路を移動する機械である。
【0003】
このような車両は、ガソリン、軽油のような石油燃料を燃焼させて機械的な動力を発生させ、この機械的な動力を利用して走行する内燃機関の車両(一般のエンジン車両)と、燃費および有害ガス排出量を減らすために電気を動力にして走行する環境負荷が小さい車両を含む。
【0004】
ここで、環境負荷が小さい車両は充電可能な電源部であるバッテリーとモーターを含み、バッテリーに蓄積された電気でモーターを回転させ、モーターの回転を利用して車輪を駆動させる電気車両およびエンジン、バッテリーおよびモーターを含み、エンジンの機械的な動力とモーターの電気的な動力を制御して走行するハイブリッド車両または水素燃料電池車両を含む。
【0005】
このうちバッテリーとモーターを利用して走行する車両は、バッテリーの電力をモーターの駆動のための電力に変換し、ジェネレーターで発生した電力をバッテリーの充電のための電力に変換するインバータおよびコンバータのような電力モジュールを含む。
【0006】
このような電力モジュールは、外部との絶縁のための絶縁層および絶縁層を中心に上部と下部にパターン層および電導層が付着する絶縁回路基板を含むことができる。
【0007】
一般に、絶縁回路基板はアルミナ(Al2O3)セラミックからなる絶縁層と銅(Cu)からなるパターン層および電導層を酸化接合したDBC(Direct Bonded Copper)基板を含むことができる。
【0008】
一方、一般的に絶縁回路基板のパターン層とリードフレームは半田付け(soldering)方式を通じて接合するが、半田付け方式は使用温度および寿命に限界がある。
【0009】
最近、パターン層とリードフレームの接合に超音波溶接(UW、Ultrasonic Welding)が試みられているが、超音波溶接時に絶縁回路基板に印加される過度な力と振動によって絶縁回路基板の絶縁層が破損する恐れがある。
【0010】
絶縁層の機械的強度を向上させるために、アルミナセラミック対比高強度の窒化ケイ素(Si3N4)セラミックを適用することができるが、費用が上昇し、窒化ケイ素セラミックも機械的な衝撃を完全に防止することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、リードフレームを基板に超音波溶接方式で接合する過程で発生するセラミックからなる絶縁層の破損を低減させるように改善された車両用電力モジュールを提供する。
【0012】
本発明は、リードフレームを基板に超音波溶接方式で接合する過程で加えられる力が絶縁層に印加されないように、リードフレームが接合するパターン層の下部の絶縁層を削除するように改善された車両用電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の思想によると、車両用電力モジュールは外部から電力の入力を受けるか外部に電力を出力するように構成されるリードフレームおよび前記リードフレームと接合するように構成される基板を含み、前記基板は、前記リードフレームと電気的に連結するように配置されるパターン層、前記パターン層と離隔して配置され電気的に接地するように構成される電導層、および前記パターン層を前記電導層から絶縁させるように前記電導層と前記パターン層との間に配置される絶縁層を含み、前記パターン層は、前記リードフレームに向かって前記絶縁層よりも突出され得る。
【0014】
前記パターン層は、前記絶縁層と接する第1パターン部、および前記リードフレームと接する第2パターン部を含むことができる。
【0015】
前記パターン層は、前記第1パターン部と前記第2パターン部が離隔するように前記第1パターン部および前記第2パターン部の間に設けられる第3パターン部をさらに含むことができる。
【0016】
前記リードフレームは、外部に向かう第1リード端部、および前記第1リード端部と対向する第2リード端部を含み、前記絶縁層は、前記リードフレームと隣接する第1絶縁端部、および前記第1絶縁端部と対向する第2絶縁端部を含み、前記第1リード端部および第2リード端部の間の水平距離は、前記第1リード端部および前記第1絶縁端部の間の水平距離より短くてもよい。
【0017】
前記パターン層は、前記リードフレームと隣接する第1パターン端部、および前記第1パターン端部と対向する第2パターン端部を含み、前記リードフレームは、前記第1パターン端部および前記第1絶縁端部の間に対応する前記パターン層に接合され得る。
【0018】
前記第1パターン端部および前記第1絶縁端部の間の面積は、前記パターン層に接合する前記リードフレームの面積より大きくてもよい。
【0019】
前記リードフレームは、前記パターン層と超音波溶接によって接合され得る。
【0020】
前記リードフレームが前記パターン層の一側面に接合するとき、前記パターン層が曲がることを防止するように、前記パターン層の他側面に配置され得る支持部材をさらに含むことができる。
【0021】
前記絶縁層は、アルミナセラミック材質を含むことができる。
【0022】
前記リードフレームと前記パターン層の接合を補強するように、前記基板を取り囲むモールディング部材をさらに含むことができる。
【0023】
前記パターン層の厚さは、0.15mm以上であり得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明はリードフレームを基板に超音波溶接時、セラミックからなる絶縁層の破損を防止することによって、製品の不良率発生を最小化することができ、商品性を向上させることができる。
【0025】
本発明は絶縁層を構成する高価のセラミックの適用を減らすことによって、製品の原価を低減させることができる。
【0026】
本発明はパターン層を薄型で適用することによって、パターン層と絶縁層の間の剥離現象を防止することができ、電力モジュールの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る車両用電力モジュールを含む車両の外観を図示した図面。
【
図2】本発明に係る車両用電力モジュールを含む車両の内部構成を図式化した図面。
【
図3】本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、基板の斜視図。
【
図4】
図3に図示された本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、基板の断面図。
【
図5】本発明に係る車両用電力モジュールの斜視図。
【
図6】
図5に図示された本発明に係る車両用電力モジュールの断面図。
【
図7】
図6のA-A’から見た本発明に係る車両用電力モジュールの側断面図。
【
図8】本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、モールディング部材を図示した図面。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は、開示された発明の好ましい一実施例に過ぎず、本出願の出願時点において本明細書の実施例と図面を代替できる多様な変形実施例があり得る。
【0029】
また、本明細書の各図面で提示された同じ参照番号または符号は、実質的に同じ機能を発揮する部品または構成要素を示す。また、本明細書で使った用語は実施例を説明するために使われたものであり、開示された発明を制限および/または限定しようとする意図ではない。
【0030】
単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものである。
【0031】
したがって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0032】
また、本明細書で使った「第1」、「第2」等のように、序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されず、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0033】
例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0034】
「および/または」という用語は、複数の関連した項目の組み合わせまたは複数の関連した項目中のいずれかの項目を含む。
【0035】
一方、下記の説明で使われた、「前方」、「後方」、「上部」および「下部」等の用語は図面を基準として定義したものであって、この用語によって各構成要素の形状および位置が制限されるものではない。
【0036】
以下では本発明に係る好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明に係る車両用電力モジュールを含む車両の外観を図示した図面である。
図1に図示された通り、車両1は外観を形成する車体10および車両1を移動させる車輪12を含むことができる。
【0038】
車両1は、人間、物または動物などのような被運送体を出発地から目的地に移動させる多様な装置を意味し得る。車両1は道路または線路を走行する自動車、海や川の上で移動する船舶および空気の作用を利用して上空を飛ぶ飛行機などを含むことができる。
【0039】
道路または線路を走行する車両1は、少なくとも一つの車輪12の回転により所定の方向に移動することができ、例えば、三輪または四輪自動車、建設機械、二輪自動車、原動機装置、自転車および線路を走行する列車を含むことができる。
【0040】
車体10は、エンジンなどのように車両1の駆動に必要な各種装置を保護するフード11a、室内空間を形成するルーフパネル11b、収納空間が設けられるトランクリッド11c、車両1の側面に設けられるフロントフェンダー11dおよびクォーターパネル11eを含むことができる。
【0041】
また、車体10の側面には、車体10とヒンジ結合した複数のドア90が設けられ得る。ドア90はドア90を構成する金属やプラスチックで加工した板であるドアパネル91を含むことができる。ドアパネル91は車両1の外観を形成するドアアウターパネル93を含むことができる。
【0042】
ドア90の上側には、側面の視野を提供するサイドウインドウ16cが設けられ得る。フード11aとルーフパネル11bの間には車両1の前方の視野を提供するフロントウインドウ16aが設けられ得、ルーフパネル11bとトランクリッド11cの間には後方の視野を提供するリアウィンドー16bが設けられ得る。
【0043】
ドア90は、後方を監視するためのサイドミラー19を含むことができる。
【0044】
車両1の前方には、車両1の進行方向に照明を照射するヘッドランプ(Head lamp、13)が設けられ得る。車両1の前方または後方には、車両1の進行方向を指示するための方向指示ランプ(Turn Signal Lamp、14)が設けられ得る。
【0045】
車両1の後方には、車両1のギアの変速状態、ブレーキの動作状態などを表示できるテールランプ15が設けられ得る。
【0046】
車体10は、フロントバンパー(front bumper、17)およびラジエーターグリル(radiator grille、18)等を含むことができる。
【0047】
車両1の内部には、車両1の動作に関連した電子的な制御を遂行できる少なくとも一つの車両制御部20が設けられ得る。
【0048】
図2は、本発明に係る車両用電力モジュールを含む車両の内部構成を図式化した図面である。
図2に図示された通り、車両1は、前後左右に各配置された車輪12に駆動力を印加するための動力装置(図示せず)、操向装置(図示せず)、車輪12に制動(ブレーキ)力を印加するための制動(ブレーキ)装置(図示せず)および懸架装置(図示せず)を含むことができる。
【0049】
動力装置(図示せず)は、車両1の走行に必要な駆動力を発生させ、発生した駆動力を調節する装置であって、動力発生装置(図示せず)と動力伝達装置(図示せず)を含むことができる。
【0050】
動力発生装置(図示せず)は、エンジン41、燃料装置(図示せず)、冷却装置(図示せず)、給油装置(図示せず)、バッテリー42、モーター43、ジェネレーター44および電力変換器45を含むことができる。
【0051】
動力伝達装置(図示せず)は、クラッチ51、変速機52、終減速装置(図示せず)、差動装置53等を含むことができる。
【0052】
エンジン41は、ガソリン、軽油のような石油燃料を燃焼させて機械的な動力を発生させることができる。バッテリー42は、高圧の電流を通じて電力を生成し、生成された電力をモーター43に供給することができる。バッテリー42はジェネレーター44から供給された電力の供給を受けて充電を遂行できる。
【0053】
モーター43は、バッテリー42の電気エネルギーを車両1に設けられた各種装置を動作させるための力学的エネルギーに変換させることができる。
【0054】
ジェネレーター44は、始動発電機であって、エンジン41のクランク軸41aとベルト41bに連結され得、エンジン41のクランク軸41aと連動してエンジン41を始動するときにはモーター43として動作することができ、エンジン41が車輪12の駆動に使われていないときはバッテリー42を充電することができる。
【0055】
すなわち、ジェネレーター44はエンジン41の自らの動力によって発電機として動作するか、制動(ブレーキ)、スローダウンまたは低速走行によるエネルギー回生条件でエンジン41を通じて伝えられる動力によって発電機として動作してバッテリー42が充電するようにすることができる。
【0056】
車両1は、駐車場または充電所に配置された充電器から電力の供給を受け、供給された電力を利用してバッテリー42を充電することができる。
【0057】
電力変換器45は、バッテリー42の電力をモーター43の駆動電力に変換するか、ジェネレーター44で発生した電力をバッテリー42に充電可能な電力に変換することができる。電力変換器45は、バッテリー42の電力をジェネレーター44の駆動電力に変換することができる。
【0058】
電力変換器45は、インバータとコンバータを含むことができ、少なくとも一つの車両用電力モジュール100を含むことができる。車両用電力モジュール100に対する詳しい説明は後述する。電力変換器45はモーター43とバッテリー42の間で電流の方向と出力を変換することができる。
【0059】
クラッチ51は、エンジン41のみを利用して駆動力を発生させるときに閉鎖され得、バッテリー42の電力を利用して駆動力を発生させるときに開放され得る。
【0060】
例えば、クラッチ51は、モーター43を利用してスローダウン走行や低速走行をするときに開放(Open)され得、制動(ブレーキ)を遂行するときにも開放され得、加速走行および一定速度以上の定速走行を遂行するときに閉鎖(Close)され得る。
【0061】
変速機52は、エンジン41とモーター43の回転運動を車輪12に伝達することができる。
【0062】
差動装置53は、変速機52と車輪12の間に設けられ得、変速機52の変速比を調節して駆動力をそれぞれ発生させ、発生した駆動力を左右の車輪12にそれぞれ伝達することができる。
【0063】
車両1は、低圧の電流を生成し、オーディオ機器、室内ランプ、その他の電子装置に電気的に連結されて、生成された低圧の電流を駆動電力として供給する補助バッテリー(図示せず)を含むことができる。補助バッテリー(図示せず)はバッテリー42によって充電され得る。
【0064】
図3は、本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、基板の斜視図である。
図4は、
図3に図示された本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、基板の断面図である。
図3および
図4に図示された通り、車両用電力モジュール100は基板200を含むことができる。
【0065】
本発明に係る一実施例は、車両1に設けられた車両用電力モジュール100を例にして説明しているが、車両用電力モジュール100は車両1だけでなく各種電子装置に設けられ得る。
【0066】
ここで、電子装置は、入力される電力と駆動に利用される電力とが異なる構成部を有する装置であり得る。電子装置はモーター(43、
図2参照)を含む装置であり得、充電可能なバッテリー(42、
図2参照)を含む装置であり得、モーター43とバッテリー42をすべて含む装置であり得る。
【0067】
例えば、モーター43を含む電子装置は、冷蔵庫、空気調和機、洗濯機、掃除機およびパーソナルモビリティーなどを含むことができ、バッテリー42を含む電子装置はモバイル機器などを含むことができる。
【0068】
バッテリー42とモーター43をすべて含む電子装置は、ロボット、パーソナルモビリティーおよびトロンのような遠隔操縦機などを含むことができる。
【0069】
電子装置は、低電圧が印加されて小電流を制御する低電力素子と高電圧が印加されて大電流を制御する電力素子を含むことができる。本発明に係る車両用電力モジュール100は、高電圧が印加されるか大電流が流れることができる電力素子を含むことができる。
【0070】
基板200は、印刷回路基板(Printed Circuit Board、PCB)を含むことができる。
【0071】
基板200は、パターン層210、パターン層210と離隔して配置され電気的に接地するように構成される電導層230、およびパターン層210を電導層230から絶縁させるように電導層230とパターン層210の間に配置される絶縁層220を含むことができる。
【0072】
基板200は、絶縁層220を含む絶縁回路基板を含むことができる。
【0073】
パターン層210、絶縁層220、および電導層230は、四角の形状を含むことができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0074】
パターン層210は、電気伝導率が高く、熱を放出するために熱伝導率が高い物質で構成され得る。例えば、パターン層210は、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等の金属で構成され得る。
【0075】
パターン層210は、選択的エッチング(Etching)工程を通じて複数のパターン層を構成することができる。
【0076】
絶縁層220は、パターン層210を電導層230および外部から絶縁させることができる。絶縁層220は、電気伝導率が低く、熱伝導率が高い物質で構成され得る。例えば、絶縁層220はアルミナ(Al2O3)等のセラミック材料で構成され得る。
【0077】
電導層230は電気的に接地できる。電導層230は、電気伝導率が高く、熱伝導率が高い物質で構成され得る。例えば、電導層230は、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等の金属で構成され得る。
【0078】
パターン層210は、素子部214および電導部215を含むことができる。素子部214および電導部215は複数設けられ得る。複数の素子部214および複数の電導部215は、パターン層210のエッチング工程によってそれぞれ離隔して配置され得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0079】
パターン層210は、フレーム端子(図示せず)を含むことができ、フレーム端子(図示せず)を通じて外部制御器(図示せず)に連結され得、外部制御器(図示せず)の制御信号を素子部214に伝達することができる。
【0080】
電導部215は電力が入力され、電力が出力されるときに発生した熱を外部に放出し、素子部214の駆動によって発生した熱を外部に放出することができる。
【0081】
電導部215は、熱と電気が移動する通路であって、電力を素子部214のような他の電導性物体に伝達することができる。電導部215は電導性物体を含むことができる。
【0082】
パターン層210は、一端部を構成する第1パターン端部216、および第1パターン端部216と対向する他端部を構成する第2パターン端部217を含むことができる。
【0083】
絶縁層220は、第1パターン端部216と隣接するように一端部を構成する第1絶縁端部221、および第2パターン端部217と隣接するように第1絶縁端部221と対向する他端部を構成する第2絶縁端部222を含むことができる。
【0084】
図5は、本発明に係る車両用電力モジュールの斜視図である。
図6は、
図5に図示された本発明に係る車両用電力モジュールの断面図である。
図5および
図6に図示された通り、車両用電力モジュール100はリードフレーム110を含むことができる。
【0085】
リードフレーム110は複数で設けられ得る。
図5および
図6ではリードフレーム110が4個配置されたものを図示しているが、これに限定されない。
【0086】
リードフレーム110は外部から電力の入力を受けるか外部に電力を出力するように構成され得る。リードフレーム110は外部装置(図示せず)と連結され得る。
【0087】
リードフレーム110は、外部装置(図示せず)から電力の供給を受け、基板200で変換して他の外部装置(図示せず)に電力を再び出力することができる。
【0088】
ここで、外部装置(図示せず)は、常用電源などの電力供給源であり得、バッテリー42やモーター43を含むことができる。リードフレーム110は直流電力が入力されるか出力される直流端子または交流電力が入力されるか出力される交流端子を含むことができる。
【0089】
リードフレーム110は、基板(200、
図3参照)と接合するように構成され得る。リードフレーム110はパターン層210と超音波溶接によって接合され得る。パターン層210はリードフレーム110と電気的に連結するように配置され得る。
【0090】
車両用電力モジュール100は、素子部214に配置され得る素子120を含むことができる。素子120は電力を変換するように素子部214に配置され得る。素子120は複数で設けられ得、半導体素子を含むことができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0091】
素子120は、パターン層210と電気的に連結され得、電導部215を通じてリードフレーム110と電気的に連結され得る。
【0092】
電導部215は、リードフレーム110を通じて入力された電力を素子部214に伝達することができ、変換された電力をリードフレーム110に伝達することができる。
【0093】
パターン層210は、素子120とリードフレーム110の間を電気的に連結し、素子120によって発生した熱を外部に放出することができる。パターン層210は、表面に素子120の接合のために銀(Ag)等のメッキを含むことができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0094】
絶縁層220は、素子120によって発生した熱を外部に放出することができる。電導層230は、素子120によって発生した熱を外部に放出することができる。
【0095】
リードフレーム110は段付きで折り曲げられて構成され得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0096】
リードフレーム110は、外部に向かう第1リード端部111、および第1リード端部111と対向する第2リード端部112を含むことができる。
【0097】
第1パターン端部216は、第1リード端部111および第2リード端部112の間に配置され得る。
【0098】
第2リード端部112は、第1パターン端部216および第1絶縁端部221の間に配置され得る。
【0099】
図7は、
図6のA-A’から見た本発明に係る車両用電力モジュールの側断面図である。
図7に図示された通り、パターン層210はリードフレーム110に向かって絶縁層220よりも突出するように構成され得る。
【0100】
パターン層210がリードフレーム110に向かって絶縁層220よりも突出する部分の大きさは、パターン層210に接合するリードフレーム110の接合部分の大きさによって多様に構成され得る。
【0101】
第1リード端部111および第2リード端部112の間の水平距離L1は、第1リード端部111および第1絶縁端部221の間の水平距離L2より短くてもよい。
【0102】
リードフレーム110は、第1パターン端部216および第1絶縁端部221の間のギャップD内に対応するパターン層210に接合され得る。第1パターン端部216および第1絶縁端部221の間のギャップDの面積は、パターン層210に接合するリードフレーム110の面積より大きくてもよい。
【0103】
リードフレーム110の大きさは多様に設けられ得るが、リードフレーム110がパターン層210に接合する部分の大きさが第1パターン端部216および第1絶縁端部221の間のギャップDの面積より大きいと、リードフレーム110をパターン層210に超音波溶接するとき、リードフレーム110が大きく振動し得る。
【0104】
リードフレーム110をパターン層210に超音波溶接するときに発生するリードフレーム110の振動は、リードフレーム110とパターン層210の溶接接合特性を低減させ得る。
【0105】
したがって、本発明に係る車両用電力モジュール100は、第1パターン端部216および第1絶縁端部221の間のギャップDの面積をパターン層210に接合するリードフレーム110の面積より大きく構成することができ、安定してリードフレーム110をパターン層210に溶接することができる。
【0106】
リードフレーム110がパターン層210に接合する部分の大きさは、リードフレーム110の許容電流量を考慮して多様に設けられ得るが、超音波の印加のためのホーン(horn)の大きさとリードフレーム110とパターン層210の接合部分の接合力を考慮して制限的に構成され得る。
【0107】
好ましくは、リードフレーム110がパターン層210に接合する部分の大きさは500mm*500mmであり得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0108】
パターン層210は、絶縁層220と接する第1パターン部211、およびリードフレーム110と接する第2パターン部212を含むことができる。パターン層210は、第1パターン部211と第2パターン部212が離隔するように第1パターン部211および第2パターン部212の間に設けられる第3パターン部213を含むことができる。
【0109】
すなわち、第1パターン部211は、リードフレーム110とのみ接することができ、第2パターン部212は、素子120および絶縁層220とのみ接することができ、第3パターン部213は、他の構成要素と接しないこともある。
【0110】
車両用電力モジュール100は、リードフレーム110がパターン層210の一側面に接合するとき、パターン層210が曲がることを防止するようにパターン層210の他側面に配置され得る支持部材140を含むことができる。
【0111】
支持部材140は、リードフレーム110が基板200と効率的に溶接されるように構成されるジグを含むことができる。
【0112】
支持部材140は、リードフレーム110を基板200に超音波溶接時、一時的に使われ得、最終的に完成した車両用電力モジュール100には含まれなくてもよい。
【0113】
本発明に係る車両用電力モジュール100のパターン層210の厚さTは、0.15mm以上であり得る。リードフレーム110をパターン層210に超音波溶接するとき、絶縁層220に伝えられる衝撃を緩和するためにはパターン層210の厚さTが厚いほど有利であり得る。
【0114】
ただし、厚くなったパターン層210は、絶縁層220との熱膨張係数の差によって絶縁層220とパターン層210の剥離現象を誘発する可能性がある。したがって、パターン層210と絶縁層220の剥離現象を防止するためにはパターン層210の厚さTが薄いほど有利であり得る。
【0115】
本発明に係る車両用電力モジュール100は、リードフレーム110が超音波溶接されるパターン層210の下部に絶縁層220が配置されないこともあるので、リードフレーム110をパターン層210に溶接するときに絶縁層220に伝えられる衝撃を緩和するためにパターン層210の厚さTを厚く維持しないこともある。
【0116】
したがって、本発明に係る車両用電力モジュール100は、パターン層210の厚さTを最大限薄く維持することができる。
【0117】
ただし、リードフレーム110との超音波溶接によって印加される力によるパターン層210の変形を防止するように、パターン層210の厚さTは0.15mm以上が好ましい。ただし、これに限定されるものではない。
【0118】
一方、リードフレーム110をパターン層210に超音波溶接するとき、基板200に印加される力を減らすために、リードフレーム110の厚さを減らすこともあるが、リードフレーム110の厚さを減らすと外部装置(図示せず)とリードフレーム110を結合するとき、リードフレーム110が変形または切れる可能性がある。
【0119】
本発明に係る車両用電力モジュール100は、リードフレーム110が超音波溶接されるパターン層210の下部に絶縁層220が配置されないこともあるので、リードフレーム110をパターン層210に溶接するときに絶縁層220に伝えられる衝撃の緩和とは無関係にリードフレーム110の厚さTを厚く維持することができる。
【0120】
図8は本発明に係る車両用電力モジュールにおいて、モールディング部材を図示した図面である。
図8に図示された通り、車両用電力モジュール100は、リードフレーム110と基板200の接合を補強するようにリードフレーム110および基板200を取り囲むモールディング部材130を含むことができる。
【0121】
モールディング部材13は、リードフレーム110とパターン層210の接合を補強することができ、パターン層210と素子120の結合、パターン層210と絶縁層220の結合および絶縁層220と電導層230の結合を補強することができる。
【0122】
モールディング部材130は、リードフレーム110および基板200の外面にモールディングされることによって、リードフレーム110および基板200を外部と絶縁させ、車両用電力モジュール100の放熱能力を向上させることができる。
【0123】
モールディング部材130は、EMC(Epoxy Molding Compound)樹脂材料で構成され得る。モールディング部材130は、リードフレーム110が超音波溶接されるパターン層210の下部に絶縁層220および電導層230が配置されないことにより誘発される車両用電力モジュール100の剛性を補強することができる。
【0124】
リードフレーム110は、モールディング部材130によるモールディング後にトリミングされ得る。
【0125】
以上、特定の実施例によって前記のような本発明の技術的思想を説明したが、本発明の権利範囲はこのような実施例に限定されるものではない。
【0126】
特許請求の範囲に明示された本発明の技術的思想としての要旨を逸脱しない範囲の中で、本発明の技術分野で通常の知識を有する者によって修正または変形可能な多様な実施例も本発明の権利範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0127】
1:車両
10:車体
12:車輪
20:車両制御部
41:エンジン
42:バッテリー
43:モーター
44:ジェネレーター
45:電力変換器
51:クラッチ
52:変速機
53:差動装置
100:車両用電力モジュール
110:リードフレーム
111:第1リード端部
112:第2リブ端部
120:素子
130:モールディング部材
140:支持部材
200:基板
210:パターン層
211:第1パターン部
212:第2パターン部
213:第3パターン部
214:素子部
215:電導部
216:第1パターン端部
217:第2パターン端部
220:絶縁層
221:第1絶縁端部
222:第2絶縁端部
230:電導層
T:パターン層の厚さ
D:第1パターン端部および第1絶縁端部間のギャップ
L1:第1リード端部および第2リード端部の間の距離
L2:第1リード端部および第1絶縁端部の間の距離