(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】電気スイッチング装置用の取外し可能なスイッチング要素、およびかかる取外し可能な要素を備える、電流をスイッチングするためのスイッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/06 20060101AFI20220328BHJP
H01H 50/00 20060101ALN20220328BHJP
H01H 73/06 20060101ALN20220328BHJP
H01H 73/12 20060101ALN20220328BHJP
【FI】
H01H50/06 A
H01H50/00 E
H01H73/06 B
H01H73/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017235240
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-11-05
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、コントワ
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-085617(JP,U)
【文献】特表2016-502249(JP,A)
【文献】特表2007-504603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00ー50/92
H01H 45/00-45/14
H01H 69/00-69/01
H01H 71/00-83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチング装置(2)用の電流をスイッチングするための取外し可能なスイッチング要素(6)であって、
- ハウジング(20)と、
- 互いに隔離された第1および第2の固定電気導体(22、24)と、
- 可動電気導体(30)であって、
・ 前記可動電気導体(30)が、第1および第2の接点領域で、前記第1および第2の固定電気導体(22、24)とそれぞれ電気接触する第1の位置と、
・ 前記可動電気導体(30)が、前記第1および第2の固定電気導体(22、24)から、ある距離を置いて電気的に隔離される第2の位置との間で移動されることができる、可動電気導体(30)と
を備える、取外し可能なスイッチング要素において、
前記ハウジング(20)が、そこを貫通する2つの窓(50、52)を備え、一方が、前記可動導体(30)と前記第1の固定電気導体(22)との間の前記第1の接点領域に対向して位置し、他方が、前記可動導体(30)と前記第2の固定電気導体(24)との間の前記第2の接点領域に対向して位置
し、
各窓(50、52)が、対応する前記接点領域、および前記可動電気導体(30)の少なくとも一部分を露出させるように配置され、対応する前記固定電気導体(22、24)が、側面(48)によって覆われ、
各窓(50、52)について、前記窓の第1の縁部が、前記固定電気導体(22、24)の接点パッド(34)に位置合せされ、前記接点パッド(34)が、前記固定電気導体の、前記可動電気導体(30)の方に向いた面の端部に配置され、前記窓が、前記第1の縁部から、反対側の第2の縁部の方へと、前記可動電気導体(30)の方向に、かつ前記可動電気導体(30)の移動方向(X32)に延在することを特徴とする、取外し可能なスイッチング要素。
【請求項2】
前記ハウジング(20)が、両側にある2つの側面(48)を含み、前記窓の一方(50)が、前記側面(48)の一方に位置決めされ、前記窓の他方(52)が、前記側面(48)の他方に位置決めされることを特徴とする、請求項
1に記載の
スイッチング要素。
【請求項3】
前記ハウジング(20)が、一体に組み立てられる2つの半シェル(44、46)を含み、各半シェル(44、46)が、前記貫通窓(50、52)の一方が設けられた前記側面(48)の一方を含み、前記半シェルが、互いに同様であり、前記半シェルが、前記
スイッチング要素(6)の中心点に位置する対称点に対して互いに対称に配置されることを特徴とする、請求項
2に記載の
スイッチング要素。
【請求項4】
前記窓(50、52)が、オブロング形、例えば長方形または楕円形の形状であることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の
スイッチング要素。
【請求項5】
前記窓(50、52)がそれぞれ、前記可動導体(30)によって支持された対応する接点パッド(36)の外形に適合された寸法を有することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の
スイッチング要素。
【請求項6】
電流をスイッチングするための電気スイッチング装置(2)であって、
- 分離壁(10)によって区切られた区画(8、8’、8”)を含む基部(4)と、
- 取外し可能な要素(6)の接続端子(26、28)が前記装置の電気接続ランドに電気的に接続されるように、前記基部の前記区画の1つに収容されることが意図された、電流をスイッチングするための前記取外し可能
なスイッチング要素(6)と
を備え、
前記取外し可能なスイッチング要素(6)が、請求項1~
5のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする、電気スイッチング装置。
【請求項7】
前記分離壁(10)が、電気絶縁材料で作製されることを特徴とする、請求項
6に記載の電気
スイッチング装置。
【請求項8】
前記分離壁が、
溝(12)を含むこと、および前記取外し可能なスイッチング要素の側面に突出部(56)が設けられ、前記突出部の形状が、前記取外し可能なスイッチング要素(6)が前記区画(8、8’、8”)に挿入されるときに、前記取外し可能なスイッチング要素(6)を案内するように、前記溝(12)の形状と相補的であることを特徴とする、請求項
6または
7に記載の電気
スイッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチング装置用の取外し可能なスイッチング要素に関する。本発明はまた、取外し可能なスイッチング要素を備える、電流をスイッチングするための電気スイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FR2999790A1は、その対応する区画に挿入されることになる、取外し可能なスイッチング要素を備える電気スイッチング装置について記載している。
【0003】
各取外し可能な要素は、電気装置の対応する接続ランド間に接続され、これらのランド間を流れる電流を遮断するのに適している。この遮断は、可動電気導体を、接続ランドに接続された固定電気導体に対して移動させることによって実現され、この移動は、可動導体にしっかりと連結された可動ブリッジに、例えば電気機械アクチュエータによって機械的圧力を加えることによって行われる。
【0004】
かかる取外し可能な要素の利点の1つは、これらの要素が互換性があり、したがって保守作業中、または電気装置に機能不良が生じた場合に交換しやすいという点である。
【0005】
しかし、こうした既知の取外し可能な要素は、ある用途、特に、可動導体が固定導体に誤って溶着される危険が生じ得る用途、また、電気装置ができる限り少ない時間で遮断動作すべき用途には完全に満足のいくものではない。かかる溶着は、取外し可能な要素に生じる短絡の結果として起こることがある。
【0006】
こうした既知の取外し可能な要素では、操作者が可動電気導体を固定電気導体から容易に切り離すことができない。その場合、電気装置が動作し続けるには、取外し可能な要素を交換する必要があり、これには時間および材料の面で費用がかかるので、満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、操作者が電気導体の状態を視覚的に確認することを可能とし、ならびに、これらの導体が誤って溶着された場合には、より簡単に、これらの導体を互いから切り離すために操作者が介入することができる、取外し可能なスイッチング要素を提案することによって、上記欠点を特に克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的で、本発明は、電気スイッチング装置用の電流をスイッチングするための取外し可能なスイッチング要素であって、
- ハウジングと、
- 互いに隔離された第1および第2の固定電気導体と、
- 可動電気導体であって、
・ 可動電気導体が、第1および第2の接点領域で、第1および第2の固定電気導体とそれぞれ電気接触する第1の位置と、
・ 可動電気導体が、第1および第2の固定電気導体から、ある距離を置いて電気的に隔離される第2の位置と
の間で移動されることができる、可動電気導体と
を備える、取外し可能なスイッチング要素に関する。
【0009】
ハウジングは、そこを貫通する2つの窓を備え、一方は、可動導体と第1の固定電気導体との間の第1の接点領域に対向して位置し、他方は、可動導体と第2の固定電気導体との間の第2の接点領域に対向して位置する。
【0010】
本発明によれば、貫通窓は、操作者が、取外し可能な要素のハウジングを開く必要なく、接点領域の状態を直接見ることを可能とする。加えて、貫通窓は、固定導体と可動導体とが誤って互いに溶着された場合に、固定導体と可動導体とを互いに機械的に切り離す目的で、例えばねじ回しまたはたがねの先端部などの工具が挿入されることを可能とする。このように、保守作業が、ハウジングを物理的に開く必要なく、操作者によって直接容易に実施されることができ、それによって取外し可能な要素が再利用され、また稼働停止がより短期間ですむことが可能となる。
【0011】
有利であるが、必須ではない本発明の態様によれば、かかる取外し可能な要素は、以下の特徴の1つまたは複数を単独で、または技術的に許容されるいかなる組合せでも、組み込むことができる。
【0012】
- 各窓は、対応する接点領域、および可動電気導体の少なくとも一部分を露出させるように配置され、対応する固定電気導体は、側面によって覆われる。
【0013】
- 各窓について、窓の第1の縁部は、固定電気導体の隆起に位置合せされ、この隆起は、この固定電気導体の、この可動電気導体の方に向いた面の縁部に配置され、この窓は、第1の縁部から、反対側の第2の縁部の方へと、可動電気導体の方向に、かつ可動電気導体の移動方向に延在する。
【0014】
- ハウジングは、両側にある2つの側面を含み、窓の一方が、側面の一方に位置決めされ、窓の他方が、側面の他方に位置決めされる。
【0015】
- ハウジングは、一体に組み立てられる2つの半シェルを含み、各半シェルは、前記貫通窓の一方が設けられた側面を含み、これらの半シェルは、互いに同様であり、この電気ユニットの中心点に位置する対称点に対して互いに対称に配置される。
【0016】
- 窓は、オブロング形(oblong)、例えば長方形または楕円形の形状である。
【0017】
- 窓はそれぞれ、可動導体によって支持された対応する接点パッドの外形に適合された寸法を有する。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、電流をスイッチングするための電気スイッチング装置であって、
- 分離壁によって区切られた区画を含む基部と、
- 取外し可能な要素の接続端子が装置の電気接続ランドに電気的に接続されるように、基部の区画の1つに収容されることが意図された、電流をスイッチングするための少なくとも1つの取外し可能なスイッチング要素と
を備える、電気スイッチング装置に関する。
【0019】
少なくとも1つの取外し可能なスイッチング要素は、本発明による要素である。
【0020】
有利であるが、必須ではない本発明の態様によれば、かかる電気スイッチング装置は、以下の特徴の1つまたは複数を単独で、または技術的に許容されるいかなる組合せでも、組み込むことができる。
【0021】
- 分離壁は、電気絶縁材料で作製される。
【0022】
- 分離壁は溝を含み、取外し可能なスイッチング要素の側面に突出部が設けられ、突出部の形状は、取外し可能なスイッチング要素が区画に挿入されるときに、取外し可能なスイッチング要素を案内するように、溝の形状と相補的である。
【0023】
単なる例によって示される、取外し可能なスイッチング要素の一実施形態の以下の説明に照らし、かつ添付の図面を参照すれば、本発明がよりよく理解され、本発明の他の利点がより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による取外し可能なスイッチング要素を含む電気スイッチング装置の概略斜視図である。
【
図2】
図1の本発明による取外し可能なスイッチング要素の概略外形図である。
【
図3】
図2の取外し可能なスイッチング要素の概略分解図である。
【
図4】工具を用いて電気導体を切り離す作業中の、
図2の取外し可能なスイッチング要素の概略部分切欠図である。
【
図5】本発明による貫通窓を備える、
図2の取外し可能なスイッチング要素の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、ブレーカ・ユニットとも呼ばれる、電流をスイッチングするための電気スイッチング装置2を示す。電気装置2は、1つまたは複数の電流線を流れる電流、例えば多相交流を選択的に遮断することを可能とするためのものである。
【0026】
例示的な例として、電気装置2は、電気モータに電力を供給する電源線に接続される。
【0027】
この例では、電気装置2は、基部4、および1つまたは複数の電気スイッチング要素6を含む。各要素6は、装置2の他の要素6とは独立に、電流を遮断するのに適している。
【0028】
この例では、電気装置2は、3つの電気位相を含む三相交流を遮断するのに適しており、したがって3つの要素6を収容するのに適しており、各要素はこれらの電気位相の1つと関連付けられる。
【0029】
この例では、要素6は互いに同一である。
図1を簡単にするために、要素6の例が1つだけ示されている。
【0030】
基部4は、この例では総計3つの区画8、8’、および8”を含み、これらの区画は互いに同一であり、各区画は取外し可能な要素6を収容するのに適している。区画8、8’、および8”は、この例では、形状が要素6と相補的である。
【0031】
区画8、8’、および8”は、分離壁10によって、対をなす区画間が分離されている。壁10は、電気絶縁材料、例えばポリアミドPA66などのプラスチック材料で作製される。
【0032】
分離壁10の機能は、隣接する要素6が区画8、8’、および8”内に収容されたときに、隣接する2つの要素6間で動作中に電気アークが発生するのを防止するために、隣接する要素6の対同士の間を電気的に絶縁することである。
【0033】
有利には、分離壁10には、溝12が設けられ、その役割については、以下でより詳細に説明される。
【0034】
図2から5に示されるように、要素6は、ハウジング20を含み、その内部には、接続端子26および28によってそれぞれ延在された固定電気導体22および24が収納されている。例えば、ハウジング20は、ポリアミドPA66などのプラスチック材料で作製される。
【0035】
端子26および28は、要素6が対応する区8、8’、および8”に収容されたときに、装置2の対応する接続ランドに電気的に接続されることになる。
【0036】
導体22および24は、この例では、ねじなどの締結要素25によって要素6の固定部分に自由度なくしっかりと締結されている。
【0037】
例えば、導体22および24は、銅などの金属材料で作製されたバーである。固定導体22および24は、この例では互いに同一である。
【0038】
固定導体22、24は、この例ではある距離を置いて互いに分離されており、したがって周囲空気によって互いに電気的に絶縁されている。
【0039】
要素6は、固定導体22および24に対して、第1および第2の異なる位置間で移動可能な可動電気導体30をさらに含む。
【0040】
例えば、導体30は、銅などの金属材料で作製されたバーである。
【0041】
導体30は、この例では、可動接点保持体32にしっかりと取り付けられている。X32は、可動接点保持体32の移動方向に対応する幾何学的な軸を表す。したがって、導体30は、軸X32に沿って並進移動が可能である。したがって、電気導体30の移動は、可動接点保持体32の移動と一致する。
【0042】
第1の位置では、導体30は、固定導体22および24と電気的に連結し、そうして電流が一方の固定導体から他方の固定導体へと流れることが可能となる。したがって、要素6は電流を流すことが可能となる。
【0043】
第2の位置では、導体30は、固定導体22および24からある距離を置いて離れており、したがって電流が要素6を流れることを防止する。
【0044】
第1の位置では、固定導体22と、可動導体30との間の電気接触は、第1の接点領域で行われる。同様に、固定導体24と、可動導体30との間の電気接触は、第2の接点領域で行われる。
【0045】
固定導体22および24はそれぞれ、対応する接点領域に位置決めされた電気接点パッド34を含む。同様に、可動導体30は、それぞれが対応する接触領域に位置決めされた2つの接点パッド36を含み、これらの接点パッド36は、対応する接点パッド34に対向している。
【0046】
例えば、接点パッド34および36は、銅または銀などの導電材料で作製される。
【0047】
可動導体30がその第1の位置にあるとき、固定導体22、24と、可動導体30との間の電気接触は、接点パッド34および36を介して行われる。
【0048】
可動接点保持体32は、可動接点保持体32および可動導体30を第1の位置と第2の位置との間で選択的に移動させるように、ハウジング20の外部からアクセス可能な作動器具38を含む。例えば、器具38はねじを含み、その頭部が要素6の前面よりも突出している。
【0049】
要素6は、例えば可動接点保持体32に機械的に接続され、復帰力を加えることによって、導体30をその第1の位置に動かすように配置された弾性復帰部材をさらに含む。したがって、第1の位置は可動導体30の静止位置に対応し、第2の位置は可動導体30の作用位置に対応する。
【0050】
例えば、可動接点保持体32は、弾性復帰部材を形成するために、可動導体30および要素6の固定部分に機械的に連結された弾性的に変形可能なブレードを含む。一変形形態として、弾性復帰部材は、異なる形で作製されてもよく、例えば圧縮ばねによって作製されてもよい。
【0051】
したがって、可動導体30は、可動接点保持体32を要素6の後方へと押すように、器具38に対して機械的圧力を加えることによって第1の位置から第2の位置へと移動される。
【0052】
例えば、この移動は、要素6が対応する区画の内部に収容されたときに、装置2の前面に取り付けられる制御可能な電気機械アクチュエータを用いて実現され、このアクチュエータは、作動器具38と相互作用するように配置される。
【0053】
一変形形態として、固定導体22および24の、可動導体30に対する相対的な配置に応じて、可動接点保持体32に付随する弾性復帰部材は、異なる形で構成されてもよく、例えば静止位置が第2の位置に対応し、作用位置が第1の位置に対応するように構成されてもよい。
【0054】
図3に示されるように、ハウジング20は、この例では、ハウジング20を形成するように一体に組み立てられる2つの半シェル44、46を含む。各半シェル44、46は、ハウジング20の一側面48を含む。
【0055】
一変形形態として、ハウジング20は異なる形で作製されてもよい。いずれの場合も、ハウジング20は両側にある2つの側面48を含む。
【0056】
ハウジング20は、2つの貫通窓50および52を含む。窓50は、固定導体22と可動導体30との間の接点領域に対向して位置する。窓52は、固定導体24と可動導体30との間の接点領域に対向して位置する。
【0057】
したがって、窓50および52は、固定導体22、24と可動導体30との間の接点領域の状態が、ハウジング20を物理的に開くまたは要素6を分解する必要なく、要素6の外側から見られることを可能とする。したがって、装置2の要素6の保守がよりしやすくなる。
【0058】
窓50、52は、側面48の1つまたは複数に作製される。
【0059】
この例では、窓50および52は、ハウジング20の両側のそれぞれの側面48に作製されている。したがって、窓50は半シェル46によって支持される側面48に作製され、窓52は半シェル44によって支持される側面48に作製される。
【0060】
一変形形態として、窓50および52とも、ハウジング20の同一の一側部にある同一の一側面48に作製されてもよい。
【0061】
好ましくは、窓50および52は、形状が長円形、例えば長方形または楕円形である。有利には、窓50、52の寸法は、後で説明するように、可動導体によって支持される接点パッド36の外形に適合されている。
【0062】
この例では、窓50および52は同一であり、したがって窓50についてのみ、以下で詳細に説明される。
【0063】
有利には、半シェル46と48とは互いに同一であり、電気ユニット6の中心点に位置する対称点に対して互いに対称に配置される。このように、ハウジング20は、2つの同一の半シェル44および46を用いて組み立てられるので、要素6を作製するのに必要となる異種の機械部品の点数が減少する。
【0064】
しかし、一変形形態として、半シェル46と48とは、異なってもよい。
【0065】
任意選択で、ハウジング20は、ハウジング20の外部を、ハウジング20の内部と流体連通させるガス抜きチャネル54を含む。このチャネル54は、固定導体22、24を可動導体30から分離する間に電気アークが形成された場合に、消滅ガスが要素6から除去されることを可能とするものである。
【0066】
この例では、側面48は、装置2の分離壁10に形成された溝12と、形状および数が相補的な隆起部または突出部56を含む。
【0067】
突出部56および溝12によって、特に要素6を対応する区画8、8’、8”に挿入するために、要素6が装置2に対して移動されるときに、要素6が案内されることが可能となる。
【0068】
さらに、窓50は、第1の接点領域において誤って溶着が生じた場合に、工具60を用いて、固定電気導体22を可動接点30から切り離すことが可能となるように寸法設定される。そのような誤った溶着は、例えば、接点パッド34、36間で生じた短絡の結果として生じる部分的な溶融によって引き起こされる。
【0069】
好ましくは、窓50の形状は、工具60の先端部62を挿入することが可能となるように選択される。工具60は、例えばねじ回しまたはたがね、またはオブロング形の剛性刃を有する任意の他の類似の任意の工具である。
【0070】
図4に示されるように、こうした切離しは、有利には、可動導体30を移動方向X32に移動させることによって可動導体30を固定導体22から分離するように、先端部62を窓50から挿入し、可動導体30に対して機械的衝撃を加えることによって実現される。また、機械的なトルクが、可動導体30を矢印F2によって示される移動方向に移動させるように、先端部62を窓の縁部に当て、工具60を例えば矢印F1の方向に回動させることによって印加されてもよい。
【0071】
好ましくは、窓50は、第1の接点領域、ならびに可動電気導体30の一部分を露出させるように配置される。固定電気接点22は、ハウジング20の外側からのアクセス可能性を制限するように側面48によって覆われている。
【0072】
例えば、窓50の第1の縁部は、固定導体22の隆起に位置合せされ、この隆起は、固定導体22の、可動導体30の方に向いた面の端部に配置されている。窓50は、第1の縁部から、この窓50の反対側の第2の縁部まで、可動導体30の方向に、かつ移動方向X32に延在している。
【0073】
この例では、第1の縁部とは、窓50の上側縁部であり、第2の縁部とは、窓50の下側縁部である。固定導体22の、可動導体30の方に向いた面とは、この例では、固定導体22の下面である。窓の第1の縁部と、固定導体22の前記隆起とは、互いに向き合って配置される。
【0074】
各窓50、52の寸法は、可動導体によって支持された、対応する接点パッド36の外形に適合されている。例えば、定格100Aでは、接点パッド36は、幅10mm×高さ2mmの外形を有する。対応する窓の寸法は、これらの寸法以上であり、例えば端部の寸法が幅5mm×高さ1mmの先端部62を有する工具の使用が可能となる。例えば、用語「接点パッド36の外形」とは、接点パッド36の、対応する窓50、52側に面する側面の寸法を指す。
【0075】
例として、導体22の下面および前記隆起は、この例では、
図5に示されるように幾何学的な平面Pに属する。
【0076】
窓50の固定導体22に対するこのような配置の機能は、導体22と30とを切り離す作業中に、使用者が工具60を用いて導体22に対して力を加えることを防止するものである。窓50は、固定導体22の下側縁部から可動導体30の方向に延在しているので、使用者が工具60を固定導体22に当てるように工具60を配置することを防止し、それと同時に、使用者が工具60を可動導体30に当てるように配置することを可能とする。このことは、要素6の固定部分に対して移動されるものではない固定導体22が、誤って損傷されることを防止する。
【0077】
固定電気導体24、および第2の接点領域に対向した窓52についても、同じことが当てはまる。
【0078】
上記で企図される実施形態および変形形態は、新しい実施形態を作り出すように、互いに組み合わされてもよい。