(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】剥離検知ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/03 20060101AFI20220328BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20220328BHJP
B65D 33/34 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G09F3/03 D
G09F3/02 M
B65D33/34
G09F3/03 F
(21)【出願番号】P 2017242628
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】西野 舞奈
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039146(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022541(WO,A1)
【文献】特開2017-181998(JP,A)
【文献】登録実用新案第3207900(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00 - 3/20
B65D 25/20
33/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼着された後に剥離された場合に潜像パターンを発現させることで当該剥離を検知する剥離検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に前記潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記ベース基材の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された有色貼着層とを有し、
前記ベース基材、前記剥離層及び前記有色貼着層は、当該ベース基材、剥離層及び有色貼着層を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる第1及び第2の切り込みが、前記突出側が互いに反対の方向を向いて形成され
、
前記第1及び第2の切り込みは、前記凸形状の頂点にタイ部を有する、剥離検知ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記第1及び第2の切り込みは、前記ベース基材の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線を介して分離される2つの領域のそれぞれに、前記第1及び第2の切り込みのいずれか一方の前記突出側が前記分岐線に対向するように形成されている、剥離検知ラベル。
【請求項3】
請求項2に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記第1及び第2の切り込みは、前記2つの領域のそれぞれにおいて、前記2つの領域を結ぶ方向に並んで形成されている、剥離検知ラベル。
【請求項4】
請求項2に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記第1及び第2の切り込みは、前記2つの領域のそれぞれにおいて、前記2つの領域を結ぶ方向とは直交する方向に並んで形成されている、剥離検知ラベル。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記分岐線は、前記ベース基材を二等分する直線である、剥離検知ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に貼着された後に被着体からの剥離を検知可能な剥離検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に貼着されるラベルにおいては、貼着後に不正に剥離されたことを検知するための様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、基材の一方の面に所定のパターンの形状に剥離層を積層し、その剥離層を覆うように貼着層を積層し、それにより、被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層と貼着層との間にて層間剥離を生じさせ、その層間剥離が生じた部分の視認色を他の領域の視認色とは異ならせることで所定のパターンを発現させ、ラベルを被着体に再度貼着した場合でも剥離の痕跡を残す構造が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような構造を有するラベルを、例えば、オリコン等の被着体の開封部分に跨ってラベルを貼着しておくことで、被着体の不正開封を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、基材の一方の面に所定のパターンの形状に剥離層を積層し、その剥離層を覆うように貼着層を積層し、それにより、被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層と貼着層との間にて層間剥離を生じさせる構造においては、特に貼着層が伸縮性を有するものである場合、基材面と並行する方向に引っ張りながら剥離すると、剥離層と貼着層との間にて層間剥離が生じにくくなり、剥離の痕跡を残すことができなくなってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる剥離検知ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
被着体に貼着された後に剥離された場合に潜像パターンを発現させることで当該剥離を検知する剥離検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に前記潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記ベース基材の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された有色貼着層とを有し、
前記ベース基材、前記剥離層及び前記有色貼着層は、当該ベース基材、剥離層及び有色貼着層を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる第1及び第2の切り込みが、前記突出側が互いに反対の方向を向いて形成され、
前記第1及び第2の切り込みは、前記凸形状の頂点にタイ部を有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、被着体に貼着された後に剥離された場合に、ベース基材の一方の面に積層された剥離層が有色貼着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することにより剥離が検知されることになるが、ベース基材、剥離層及び有色貼着層には、ベース基材、剥離層及び有色貼着層を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる第1及び第2の切り込みが、突出側が互いに反対の方向を向いて形成されているので、被着体からの剥離の仕方によって剥離層が有色貼着層から剥離しにくい場合であっても、第1及び第2の切り込みのうち突出側が剥離開始端側を向いた切り込みから、ベース基材、剥離層及び有色貼着層が破断していき、それにより、剥離が検知されることになる。
【0010】
また、第1及び第2の切り込みが、ベース基材の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線を介して分離される2つの領域のそれぞれに、第1及び第2の切り込みのいずれか一方の突出側が分岐線に対向するように形成されていれば、開封部分を有する被着体に対して分岐線が開封部分に対向するように貼着された後に開封部分に対向する領域を剥離開始端として剥離された場合でも、第1及び第2の切り込みのうち突出側が分岐線側を向いた切り込みから、ベース基材、剥離層及び有色貼着層が破断していき、それにより、剥離が検知されることになる。
【0011】
またその場合、第1及び第2の切り込みは、被着体の貼着スペースに応じて、ベース基材の2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向に並んで形成されていることや、2つの領域を結ぶ方向とは直交する方向に並んで形成されていることが考えられる。
【0012】
また、分岐線が、ベース基材を二等分する直線であれば、剥離検知ラベルは、被着体に貼着された状態においては、被着体の開封部分を介した2つの領域にそれぞれ平等に貼着された状態となり、被着体の不用意な開封の可能性が低減する。
【0013】
また、第1及び第2の切り込みがその一部にタイ部を有することで、被着体への貼着前の状態にて第1及び第2の切り込みの凸形状に囲まれた領域が垂れ下がってしまって被着体に貼着しにくくなることが回避されるとともに、製造工程において、ロール状に巻き取られたり湾曲して搬送されたりする際に第1及び第2の切り込みから不用意に破断してしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベース基材の一方の面に積層された剥離層と、ベース基材の剥離層が積層された面の全面に剥離層を覆って積層された有色貼着層とを有するとともに、ベース基材、剥離層及び有色貼着層に、ベース基材、剥離層及び有色貼着層を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる第1及び第2の切り込みが、突出側が互いに反対の方向を向いて形成されているため、被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層が有色貼着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することにより剥離が検知され、また、被着体からの剥離の仕方によって剥離層が有色貼着層から剥離しにくい場合であっても、第1及び第2の切り込みのうち突出側が剥離開始端側を向いた切り込みから、ベース基材、剥離層及び有色貼着層が破断していき、それにより、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0015】
また、第1及び第2の切り込みが、ベース基材の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線を介して分離される2つの領域のそれぞれに、第1及び第2の切り込みのいずれか一方の突出側が分岐線に対向するように形成されているものにおいては、開封部分を有する被着体に対して分岐線が開封部分に対向するように貼着された後に開封部分に対向する領域を剥離開始端として剥離された場合でも、第1及び第2の切り込みのうち突出側が分岐線側を向いた切り込みから、ベース基材、剥離層及び有色貼着層が破断していき、それにより、剥離を検知することができる。
【0016】
またその場合、第1及び第2の切り込みが、ベース基材の2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向に並んで形成されているものにおいては、被着体における剥離検知ラベルの貼着領域が、被着体の開封部分に並行する方向の幅が狭いものであっても、そのような被着体に貼着することができる。
【0017】
また、第1及び第2の切り込みが、ベース基材の2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向とは直交する方向に並んで形成されているものにおいては、被着体における剥離検知ラベルの貼着領域が、被着体の開封部分に直交する方向の幅が狭いものであっても、そのような被着体に貼着することができる。
【0018】
また、分岐線が、ベース基材を二等分する直線であるものにおいては、剥離検知ラベルは、被着体に貼着された状態においては、被着体の開封部分を介した2つの領域にそれぞれ平等に貼着された状態となり、被着体の不用意な開封の可能性が低減する。
【0019】
また、第1及び第2の切り込みがその一部にタイ部を有することにより、被着体への貼着前の状態にて第1及び第2の切り込みの凸形状に囲まれた領域が垂れ下がってしまって被着体に貼着しにくくなることを回避できるとともに、製造工程において、ロール状に巻き取られたり湾曲して搬送されたりする際に第1及び第2の切り込みから不用意に破断してしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の剥離検知ラベルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c),(d)は(a)に示したスリットの詳細な構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した剥離検知ラベルの積層面の構成を示す図であり、(a)はベース基材の粘着層との積層面の構成を示す図、(b)は粘着層の剥離紙との積層面の構成を示す図である。
【
図3】
図1に示した剥離検知ラベルの使用形態の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示した剥離検知ラベルが
図3に示したように使用された場合にオリコンから剥離されていく際の剥離層の作用のみによる状態を説明するための断面図である。
【
図5】
図1に示した剥離検知ラベルがオリコンから剥離された状態を示す表面図である。
【
図6】
図1に示した剥離検知ラベルが
図3に示したように使用された場合にオリコンから剥離されていく際のスリットの作用のみによる状態を説明するための図である。
【
図7】
図1に示した剥離検知ラベルが
図3に示したように使用された場合にオリコンの開封部分に対向する領域が剥離開始端となってオリコンから剥離されていく際のスリットの作用のみによる状態を説明するための図である。
【
図8】
図1に示した剥離検知ラベルがオリコンから剥離された状態を示す表面図である。
【
図9】本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【
図10】本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【
図11】本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の剥離検知ラベルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したスリット11aの詳細な構成を示す図、(d)は(a)に示したスリット11bの詳細な構成を示す図である。
図2は、
図1に示した剥離検知ラベル1の積層面の構成を示す図であり、(a)はベース基材10の粘着層30との積層面の構成を示す図、(b)は粘着層30の剥離紙40との積層面の構成を示す図である。
【0023】
本形態は
図1に示すように、ベース基材10の一方の面に粘着層30が積層されてなる剥離検知ラベル1である。
【0024】
ベース基材10は、透明または半透明のフィルムからなり、一方の面から他方の面の色が視認可能となるものである。
【0025】
ベース基材10の一方の面には、
図1及び
図2に示すように、その全面において、剥離検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されることで剥離層20が部分的に積層されている。そして、ベース基材10の剥離層20が積層された面の全面に剥離層20を覆って粘着剤が塗布されることで粘着層30が積層されている。
【0026】
粘着層30は、本願発明における有色貼着層となるものであって、青、赤、黒等の任意の色からなり、伸縮性を有している。そして、ベース基材10が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、粘着層30の色がベース基材10の表面から視認可能となっている。粘着層30の剥離層20とは反対側の面には、剥離紙40が剥離可能に貼着されている。
【0027】
このように積層されたベース基材10、剥離層20及び粘着層30には、ベース基材10、剥離層20及び粘着層30を貫通したスリット11a,11bが形成されている。
【0028】
スリット11aは、本願発明における第1の切り込みとなるものであって、
図1(c)に示すように、突出側とは反対側が開口した開口部13aを有するV字状となっており、V字状の頂点及び2つの辺部のそれぞれにタイ部12aを有している。スリット11bは、本願発明における第2の切り込みとなるものであって、
図1(d)に示すように、突出側とは反対側が開口した開口部13bを有するV字状となっており、V字状の頂点及び2つの辺部のそれぞれにタイ部12bを有している。
【0029】
これらスリット11a,11bは、ベース基材10の互いに対向する2つの縁部間を結んだ直線からなる分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて、突出側が互いに反対の方向を向いて形成されている。それにより、
図1(a)中分岐線5の左側の領域においてはスリット11aの突出側が分岐線5に対向し、
図1(a)中分岐線5の右側の領域においてはスリット11bの突出側が分岐線5に対向している。そして、スリット11a,11bは、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて、この2つの領域を結ぶ方向とは直交する方向に並んで形成されている。なお、分岐線5は、ベース基材10の互いに対向する2つの縁部間を、ベース基材10を二等分して結んだ直線である。
【0030】
以下に、上記のように構成された剥離検知ラベル1の使用方法について説明する。
【0031】
まず、剥離層20を設けたことによる作用について説明する。
【0032】
図3は、
図1に示した剥離検知ラベル1の使用形態の一例を示す図である。
図4は、
図1に示した剥離検知ラベル1が
図3に示したように使用された場合にオリコン2から剥離されていく際の剥離層20の作用のみによる状態を説明するための断面図である。
【0033】
図1に示した剥離検知ラベル1は、例えば
図3に示すように、被着体となるオリコン2に貼着され、オリコン2の開封検知手段として使用される。オリコン2は、上面に2枚の天面蓋4a,4bを有し、この天面蓋4a,4bが観音開き式に開かれることで、開封されることになる。そのため、天面蓋4a,4bが閉じられた際に対向する辺部間が、オリコン2の開封部分2aとなる。
【0034】
このようなオリコン2に剥離検知ラベル1を貼着する場合は、剥離紙40を剥離して粘着層30を表出させ、
図4(a)に示すように、分岐線5がオリコン2の開封部分2aに対向するように剥離検知ラベル1を粘着層30によってオリコン2に貼着する。このように剥離検知ラベル1がオリコン2に貼着されることにより、オリコン2は、剥離検知ラベル1を剥離しなければ開封することができない状態となる。
【0035】
その状態から剥離検知ラベル1を剥離していくと、
図4(b)に示すように、剥離層20が積層されていない領域においては、粘着層30がベース基材10とともにオリコン2から剥離し、また、剥離層20が積層された領域においては、粘着層30が剥離層20との貼着力よりも強い貼着力でオリコン2と貼着されていることで粘着層30が剥離層20から剥離する。そして、剥離層20から剥離した部分は、その後、粘着層30が伸縮性を有するものであることで、ベース基材10とともにオリコン2から剥離し、剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断し、ベース基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20に対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0036】
剥離検知ラベル1がオリコン2から完全に剥離されると、
図4(c)に示すように、粘着層30は剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0037】
図5は、
図1に示した剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離された状態を示す表面図であり、剥離層20の作用のみによる状態を示し、スリット11a,11bの作用による状態は示していない。
【0038】
上記のようにして
図1に示した剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離されると、ベース基材10のオリコン2との貼着面とは反対側から剥離検知ラベル1を見た場合、剥離層20に対向しない領域においては粘着層30が存在することで粘着層30の色がベース基材10を介して視認される一方、剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなったことで粘着層30の色が視認されなくなる。それにより、
図5に示すように、剥離層20による潜像パターン3が発現することになる。なお、ベース基材10の全面または一部に印刷が施された場合であっても、剥離層20に対向する領域においてはその印刷による色が視認される一方、剥離層20に対向しない領域においては、ベース基材10の印刷色と粘着層30の色とに応じた色が視認されることになり、剥離層20による潜像パターン3が発現することになる。例えば、ベース基材10に赤色で印刷が施され、粘着層30の色が緑色である場合、赤色と緑色と混合されたことによる黒色の背景内に赤色の潜像パターン3が発現することになる。
【0039】
その後、このように潜像パターン3が発現した剥離検知ラベル1をオリコン2に再度貼着したとしても、剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなっているため、潜像パターン3が発現したままとなり、剥離検知ラベル1がオリコン2から不正に剥離され、オリコン2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0040】
また、剥離検知ラベル1がオリコン2に貼着された後に剥離された場合に、粘着層30のうち剥離層20に対向する領域が、剥離層20から剥離して剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断することにより、剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離された場合に、粘着層30が全てベース基材10とともにオリコン2から剥離されることとなり、それにより、剥離検知ラベル1をオリコン2から剥離した後に、オリコン2に剥離検知ラベル1の一部が残存することがない。
【0041】
次に、スリット11a,11bを設けたことによる作用について説明する。
【0042】
ベース基材10の一方の面に潜像パターン3の形状に剥離層20を積層し、その剥離層20を覆うように粘着層30を積層し、それにより、オリコン2等の被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層20と粘着層との間にて層間剥離を生じさせる構造においては、上述したように、例えば、ベース基材10の表面と並行する方向に引っ張りながら被着体から剥離した場合、剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、剥離の痕跡を残すことができなくなってしまう虞がある。
【0043】
そこで、本形態の剥離検知ラベル1においては、ベース基材10、剥離層20及び粘着層30に、ベース基材10、剥離層20及び粘着層30を貫通したスリット11a,11bが形成されている。
【0044】
図6は、
図1に示した剥離検知ラベル1が
図3に示したように使用された場合にオリコン2から剥離されていく際のスリット11a,11bの作用のみによる状態を説明するための図であり、剥離検知ラベル1が図中左側の端辺から剥離されていく際の状態を示す。
【0045】
図1に示した剥離検知ラベル1をオリコン2に貼着する場合は、上述したように剥離紙40を剥離して粘着層30を表出させ、表出した粘着層30によって剥離検知ラベル1をオリコン2に貼着することになる。その際、スリット11a,11bのそれぞれが、V字状の頂点及び2つの辺部のそれぞれにタイ部12a,12bを有しているため、剥離紙40を剥離した際に、スリット11a,11bのV字状で囲まれた領域が垂れ下がってしまってオリコン2に貼着しにくくなることを回避できる。また、製造工程においても、剥離検知ラベル1がロール状に巻き取られたり、湾曲して搬送されたりする際にスリット11a,11bから不用意に破断してしまうことを回避できる。なお、タイ部12a,12bの位置は、上述したようにV字状の頂点及び2つの辺部のそれぞれに限らないが、剥離紙40を剥離した際にスリット11a,11bのV字状で囲まれた領域が垂れ下がってしまったり、製造工程においてスリット11a,11bから不用意に破断してしまったりすることを回避するためには、少なくともV字状の頂点に設けておくことが好ましい。
【0046】
剥離検知ラベル1が
図3に示したようにオリコン2に貼着された後に、剥離検知ラベル1を
図1(a)中左側の端辺から剥離していくと、
図6(a)に示すように、分岐線5(
図1(a)参照)を介して図中左側に形成されたスリット11a,11bのうち、突出側が剥離開始端側となる図中左側を向いたスリット11bのタイ部12b(
図1(d)参照)が破断し、そのスリット11bのV字状で囲まれた領域がオリコン2に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル1のその他の領域がオリコン2から剥離していく。
【0047】
そして、剥離検知ラベル1のオリコン2からの剥離領域が、そのスリット11bの開口部13b(
図1(d)参照)側の端部に達すると、
図6(b)に示すように、剥離検知ラベル1、すなわち、ベース基材10、剥離層20及び粘着層30がスリット11bの開口部13b側の端部から剥離検知ラベル1の剥離方向の延長線上に破断していく。
【0048】
その後、剥離検知ラベル1をオリコン2からさらに剥離していくと、剥離検知ラベル1の破断部分が剥離検知ラベル1の端辺まで達し、
図6(c)に示すように、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル1の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル1から分離することになる。
【0049】
また、剥離検知ラベル1がオリコン2に貼着された後に、剥離検知ラベル1を
図1(a)中右側の端辺から剥離した場合は、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側に形成されたスリット11a,11bのうち、突出側が剥離開始端側となる
図1(a)中右側を向いたスリット11aのタイ部12a(
図1(c)参照)が破断し、そのスリット11aのV字状で囲まれた領域がオリコン2に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル1のその他の領域がオリコン2から剥離していき、その後、剥離検知ラベル1の破断部分が剥離検知ラベル1の端辺まで達し、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル1の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル1から分離することになる。
【0050】
これにより、例えば、ベース基材10の表面と並行する方向に引っ張りながら剥離したことにより、剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11a,11bと破断部分と剥離検知ラベル1の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル1から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。その際、ベース基材10、剥離層20及び粘着層30を貫通し、突出側とは反対側が開口したV字状からなるスリット11aとスリット11bとが、突出側が互いに反対の方向を向いて形成されていることにより、剥離検知ラベル1がオリコン2に貼着された後に、剥離検知ラベル1を
図1(a)中左側の端辺からと
図1(a)中右側の端辺からのいずれの方向から剥離した場合であっても、剥離検知ラベル1を破断させることができる。また、剥離検知ラベル1がオリコン2に貼着された後に、剥離検知ラベル1を1つの角部から
図1(a)中斜めの方向に剥離した場合でも、スリット11a,11bのタイ部12a,12bが破断すれば、それだけでも剥離を検知することができ、また、タイ部12a,12bが破断すると、剥離検知ラベル1のうち被着体から剥離した部分が撚れたような状態となって皺が生じ、それによっても、剥離検知ラベル1の被着体からの剥離を検知することができる。
【0051】
ここで、剥離検知ラベル1が
図3に示したように、開封部分2aを有するオリコン2に対して、分岐線5が開封部分2aに対向するように貼着された場合、天面蓋4a,4bのいずれか一方がゆっくりと持ち上げられる等することで開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって剥離される場合もある。
【0052】
図7は、
図1に示した剥離検知ラベル1が
図3に示したように使用された場合にオリコン2の開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となってオリコン2から剥離されていく際のスリット11a,11bの作用のみによる状態を説明するための図である。なお、
図7においては、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域が、
図3に示したオリコン2の天面蓋4aに貼着され、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域が、
図3に示したオリコン2の天面蓋4bに貼着された状態から、天面蓋4bがゆっくりと持ち上げられることで開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離されていく様子を示している。
【0053】
剥離検知ラベル1が
図3に示したようにオリコン2に貼着された後に、天面蓋4bがゆっくりと持ち上げられていくと、剥離検知ラベル1は、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域においては、天面蓋4bに貼着されたままとなる一方、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域においては、オリコン2の開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって天面蓋4aから剥離されていく。
【0054】
すると、
図7(a)に示すように、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域に形成されたスリット11a,11bのうち、突出側が分岐線5(
図1(a)参照)側を向いたスリット11aのタイ部12a(
図1(c)参照)が破断し、そのスリット11aのV字状で囲まれた領域がオリコン2の天面蓋4aに貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル1のその他の領域がオリコン2の天面蓋4aから剥離していく。
【0055】
一方、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域においては、天面蓋4bに貼着されたままとなるため、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域に形成されたスリット11a,11bのタイ部12a,12b(
図1(c),(d)参照)は破断しない。
【0056】
そして、剥離検知ラベル1のオリコン2の天面蓋4aからの剥離領域が、そのスリット11aの開口部13a(
図1(c)参照)側の端部に達すると、
図7(b)に示すように、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域がスリット11aの開口部13a側の端部から剥離検知ラベル1の剥離方向、すなわち端辺に向かって破断していく。
【0057】
その後、剥離検知ラベル1がオリコン2の天面蓋4aからさらに剥離していくと、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域の破断部分が剥離検知ラベル1の端辺まで達し、
図7(c)に示すように、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル1の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル1から分離することになる。
【0058】
また、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域が、
図3に示したオリコン2の天面蓋4aに貼着され、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域が、
図3に示したオリコン2の天面蓋4bに貼着された状態から、天面蓋4aがゆっくりと持ち上げられることで開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離されていく場合は、剥離検知ラベル1は、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域が、天面蓋4aに貼着されたままとなる一方、分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域が、オリコン2の開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって天面蓋4bから剥離されていくことになる。そのため、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域に、突出側が分岐線5(
図1(a)参照)側を向いて形成されたスリット11bのタイ部12b(
図1(d)参照)が破断し、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中右側の領域が、上記同様にスリット11bから剥離検知ラベル1の端辺まで破断していくことになる。
【0059】
このように、スリット11a,11bが、ベース基材10の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれに形成され、この2つの領域のいずれにおいても、スリット11a,11bのうち一方が、突出側が分岐線5に対向するように形成されていることにより、開封部分を有する被着体に対して分岐線5が開封部分に対向するように貼着された後に開封部分に対向する領域が剥離開始端となって剥離された場合でも、突出側が分岐線5側を向いたスリットから剥離検知ラベル1が破断していき、剥離を検知することができる。
【0060】
図8は、
図1に示した剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離された状態を示す表面図である。
【0061】
図1に示した剥離検知ラベル1が、
図3に示したようにオリコン2に貼着された後に
図1(a)中左側の端辺から剥離され、
図5に示したように剥離層20による作用が生じるとともに、
図6に示したようにスリット11bによる作用が生じた場合は、
図8(a)に示すように、剥離層20が粘着層30から剥離することで潜像パターン3が発現するとともに、スリット11bから剥離検知ラベル1がその端辺まで破断していき、剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離されたことが検知されることになる。
【0062】
また、
図1に示した剥離検知ラベル1が、
図3に示したようにオリコン2に貼着された後に天面蓋4bがゆっくりと持ち上げられていくことでオリコン2の開封部分に対向する領域が剥離開始端となって剥離され、
図5に示したように剥離層20による作用が生じるとともに、
図7に示したようにスリット11a,11bによる作用が生じた場合は、
図8(b)に示すように、剥離層20が粘着層30から剥離することで潜像パターン3が発現するとともに、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介して
図1(a)中左側の領域に、突出側がベース基材10の分岐線5側を向いて形成されたスリット11aから剥離検知ラベル1がその端辺まで破断していき、剥離検知ラベル1がオリコン2から剥離されたことが検知されることになる。
【0063】
(他の実施の形態)
図9は、本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0064】
本形態は
図9に示すように、
図1に示したものに対してスリット11a,11bの配置が異なる剥離検知ラベル101である。
【0065】
本形態の剥離検知ラベル101は、スリット11a,11bが、
図1に示したものと同様に、ベース基材110の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれに、突出側が互いに反対の方向を向いて形成されているが、スリット11a,11bは、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向に並んで形成されている。そして、
図1に示したものと同様に、
図9(a)中分岐線5の左側の領域においてはスリット11aの突出側が分岐線5に対向し、
図9(a)中分岐線5の右側の領域においてはスリット11bの突出側が分岐線5に対向している。スリット11a,11bの形状や剥離層20、粘着層30及び剥離紙40の積層構成は、
図1に示したものと同様である。
【0066】
上記のように構成された剥離検知ラベル101についても、剥離紙40が剥離されて表出した粘着層30によってオリコン等の被着体に貼着された後に剥離されると、剥離層20と粘着層30とが剥離することで、
図5に示したように、剥離層20による潜像パターン3が発現して剥離が検知されることになる。
【0067】
また、剥離検知ラベル101が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル101を
図9中左側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図9中左側の領域に形成されたスリット11a,11bのうち、突出側が剥離開始端側となる
図9中左側を向いたスリット11bのタイ部12b(
図1(d)参照)が破断し、そのスリット11bのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル101のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル101の破断部分が剥離検知ラベル101の
図9中右側端辺まで達し、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル101の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル101から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル101を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル101の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル101から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0068】
また、剥離検知ラベル101が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル101を
図9中右側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図9中右側の領域に形成されたスリット11a,11bのうち、突出側が剥離開始端となる
図9中右側を向いたスリット11aのタイ部12a(
図1(c)参照)が破断し、そのスリット11aのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル101のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル101の破断部分が剥離検知ラベル101の
図9中左側端辺まで達し、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル101の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル101から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル101を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル101の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル101から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0069】
さらに、剥離検知ラベル101が
図3に示したように、開封部分2aを有するオリコン2に対して、分岐線5が開封部分2aに対向するように貼着された後、天面蓋4a,4bのいずれか一方がゆっくりと持ち上げられる等することで開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって剥離された場合は、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介した2つの領域のうち天面蓋4a,4bから剥離される領域に、突出側が分岐線5側を向いて形成されたスリットのタイ部が破断し、そのスリットのV字状で囲まれた領域がオリコン2に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル101のその他の領域がオリコン2から剥離していき、その後、剥離検知ラベル101の破断部分が剥離検知ラベル101の端辺まで達し、スリットと破断部分と剥離検知ラベル101の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル101から分離することになる。これにより、開封部分を有する被着体に対して分岐線5が開封部分に対向するように貼着された後に開封部分に対向する領域が剥離開始端となって剥離された場合でも、天面蓋4a,4bから剥離される領域にて突出側が分岐線5側を向いて形成されたスリットから剥離検知ラベル101が破断していき、剥離を検知することができる。
【0070】
なお、
図1に示した剥離検知ラベル1においては、スリット11a,11bが、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向に直交する方向に並んで形成されており、また、
図9に示した剥離検知ラベル101においては、スリット11a,11bが、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて、2つの領域を結ぶ方向に並んで形成されているが、これは剥離検知ラベルが被着体に貼着される貼着スペースに応じて設定することができる。すなわち、
図3に示したように、開封部分2aを有するオリコン2に対して、分岐線5が開封部分2aに対向するように貼着される剥離検知ラベルにおいて、オリコン2における剥離検知ラベルの貼着領域が、オリコン2の開封部分2aに並行する方向の幅が狭いものである場合は、
図9に示したように、スリット11a,11bが、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて2つの領域を結ぶ方向に並んで形成された構成とし、また、オリコン2における剥離検知ラベルの貼着領域が、オリコン2の開封部分2aに直交する方向の幅が狭いものである場合は、
図1に示したように、スリット11a,11bが、分岐線5を介して分離される2つの領域のそれぞれにおいて2つの領域を結ぶ方向とは直交する方向に並んで形成された構成とすることにより、剥離検知ラベルが被着体に貼着される貼着スペースによらずに、上述した効果を得ることができる。
【0071】
図10は、本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0072】
本形態は
図10に示すように、
図1に示したものに対して、分岐線5を介して分離された2つの領域のそれぞれにおいて、スリット11a,11bのいずれか一方しか形成されていない点が異なる剥離検知ラベル201である。
【0073】
本形態の剥離検知ラベル201は、分岐線5を介して
図10(a)中左側の領域にスリット11aが形成され、分岐線5を介して
図10(a)中右側の領域にスリット11bが形成され、これらスリット11a,11bが、突出側が分岐線5に対向するように配置されている。スリット11a,11bの形状や剥離層20、粘着層30及び剥離紙40の積層構成は、
図1に示したものと同様である。
【0074】
上記のように構成された剥離検知ラベル201についても、剥離紙40が剥離されて表出した粘着層30によってオリコン等の被着体に貼着された後に剥離されると、剥離層20と粘着層30とが剥離することで、
図5に示したように、剥離層20による潜像パターン3が発現して剥離が検知されることになる。
【0075】
また、剥離検知ラベル201が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル201を
図10中左側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図10中右側の領域に形成されたスリット11bのタイ部12b(
図1(d)参照)が破断し、そのスリット11bのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル201のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル201の破断部分が剥離検知ラベル201の
図10中右側端辺まで達し、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル201の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル201から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル201を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル201の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル201から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0076】
また、剥離検知ラベル201が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル201を
図10中右側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図10中左側の領域に形成されたスリット11aのタイ部12a(
図1(c)参照)が破断し、そのスリット11aのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル201のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル201の破断部分が剥離検知ラベル201の
図10中左側端辺まで達し、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル201の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル201から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル201を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル201の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル201から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0077】
さらに、剥離検知ラベル201が
図3に示したように、開封部分2aを有するオリコン2に対して、分岐線5が開封部分2aに対向するように貼着された後、天面蓋4a,4bのいずれか一方がゆっくりと持ち上げられる等することで開封部分2aに対向する領域が剥離開始端となって剥離された場合は、剥離検知ラベル1の分岐線5(
図1(a)参照)を介した2つの領域のうち天面蓋4a,4bから剥離される領域に形成されたスリットのタイ部が破断し、そのスリットのV字状で囲まれた領域がオリコン2に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル201のその他の領域がオリコン2から剥離していき、その後、剥離検知ラベル201の破断部分が剥離検知ラベル201の端辺まで達し、スリットと破断部分と剥離検知ラベル201の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル201から分離することになる。これにより、開封部分を有する被着体に対して分岐線5が開封部分に対向するように貼着された後に開封部分に対向する領域が剥離開始端となって剥離された場合でも、天面蓋4a,4bから剥離される領域に形成されたスリットから剥離検知ラベル201が破断していき、剥離を検知することができる。
【0078】
図11は、本発明の剥離検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0079】
本形態は
図11に示すように、
図10に示したものに対して、分岐線5を介して分離された2つの領域のそれぞれに形成されたスリット11a,11bの位置が入れ替わった剥離検知ラベル301である。
【0080】
本形態の剥離検知ラベル301は、分岐線5を介して
図11(a)中左側の領域にスリット11bが形成され、分岐線5を介して
図11(a)中右側の領域にスリット11aが形成され、これらスリット11a,11bが、開口部13a,13b(
図1(c),(d)参照)側が分岐線5に対向するように配置されている。スリット11a,11bの形状や剥離層20、粘着層30及び剥離紙40の積層構成は、
図1に示したものと同様である。
【0081】
上記のように構成された剥離検知ラベル301についても、剥離紙40が剥離されて表出した粘着層30によってオリコン等の被着体に貼着された後に剥離されると、剥離層20と粘着層30とが剥離することで、
図5に示したように、剥離層20による潜像パターン3が発現して剥離が検知されることになる。
【0082】
また、剥離検知ラベル301が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル301を
図11中左側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図11中左側の領域に形成されたスリット11bのタイ部12b(
図1(d)参照)が破断し、そのスリット11bのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル301のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル301の破断部分が剥離検知ラベル301の
図11中右側端辺まで達し、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル301の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル301から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル301を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11bと破断部分と剥離検知ラベル301の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル301から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0083】
また、剥離検知ラベル301が被着体に貼着された後に、剥離検知ラベル301を
図11中右側の端辺から剥離した場合は、分岐線5を介して
図11中右側の領域に形成されたスリット11aのタイ部12a(
図1(c)参照)が破断し、そのスリット11aのV字状で囲まれた領域が被着体に貼着されたままの状態となる一方、剥離検知ラベル301のその他の領域が被着体から剥離していき、その後、剥離検知ラベル301の破断部分が剥離検知ラベル301の
図11中左側端辺まで達し、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル301の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル301から分離することになる。それにより、剥離検知ラベル301を剥離する方向によって剥離層20と粘着層30との間にて層間剥離が生じにくくなり、潜像パターン3が発現しないことで剥離の痕跡を残すことができない場合であっても、スリット11aと破断部分と剥離検知ラベル301の端辺とで囲まれた領域が、剥離検知ラベル301から分離することにより、剥離されたことが認識されるため、被着体に貼着された後に剥離された場合にその剥離を確実に検知することができる。
【0084】
なお、上述した実施の形態においては、ベース基材10の互いに対向する2つの縁部間を結んだ分岐線5が、ベース基材10を二等分する直線であるものを例に挙げて説明したが、分岐線5はベース基材10を二等分する直線でなくてもよい。ただし、分岐線5がベース基材10を二等分する直線であれば、剥離検知ラベルが
図3に示したように、開封部分2aを有するオリコン2に対して、分岐線5が開封部分2aに対向するように貼着された場合は、オリコン2に貼着された状態においては、オリコン2の開封部分2aを介した2つの領域にそれぞれ平等に貼着された状態となり、オリコン2の不用意な開封の可能性が低減する。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、第1及び第2の切り込みとして、突出側とは反対側が開口した開口部を有するV字状のものを例に挙げて説明したが、その他に、突出側とは反対側が開口した開口部を有するU字状のもの等、凸形状を有するものであれば、第1及び第2の切り込みは、V字状のものに限らない。ただし、V字状のように頂角を有するものであれば、剥離検知ラベルを剥離した際に剥離検知ラベルが切り込みから破断しやすくなる。
【符号の説明】
【0086】
1,101,201,301 剥離検知ラベル
2 オリコン
2a 開封部分
3 潜像パターン
4a,4b 天面蓋
5 分岐線
10,110,210 ベース基材
11a,11b スリット
12a,12b タイ部
13a,13b 開口部
20 剥離層
30 粘着層
40 剥離紙