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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 620
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017246248
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111058
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213304(JP,A)
【文献】特許第6227180(JP,B1)
【文献】特許第6149986(JP,B1)
【文献】特開2017-196471(JP,A)
【文献】特開2015-198876(JP,A)
【文献】特開2018-15165(JP,A)
【文献】特開2017-176262(JP,A)
【文献】特開2017-184905(JP,A)
【文献】特開2018-68509(JP,A)
【文献】特開2019-42302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する付与手段と、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な通常区間と、前記操作情報を報知可能な有利区間とを含む複数種類の区間に制御する区間制御手段とを備え、
前記区間制御手段は、
前記有利区間において数値を更新可能な更新手段と、
前記更新手段が更新する数値が特定値となると前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する終了処理手段と、
を含み
記有利区間は、前記付与手段により付与された遊技用価値の大きさを遊技で用いられた遊技用価値の大きさで割った付与率が1以下になる減少区間と、前記付与率が1より大きくなる増加区間とを含み、
前記増加区間と前記減少区間との往復が所定回数行われたことに基づき、前記有利区間の終了を示唆する有利区間終了示唆演出を実行し、前記更新手段が更新する数値が前記特定値となるまで前記有利区間を継続させ、
前記減少区間において、前記増加区間における有利度を高くするための抽選を行う抽選手段をさらに備え
前記区間制御手段は、前記減少区間中に前記増加区間への移行が決定されることなく当該減少区間が終了する場合に、前記通常区間に制御する、スロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるスロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれたリールを有する可変表示部を備えており、規定の賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることによりリールが回転開始し、ストップスイッチが操作されてリールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた図柄組合せ(たとえば、7-7-7、以下、図柄組合せを表示結果の組合せ、もしくは役とも称する)が導出されることにより入賞が発生する。
【0003】
役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、小役の種類ごとに定められた数のメダルが払い出される。特別役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、レギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な特別遊技状態に遊技状態が移行可能となる。再遊技役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。
【0004】
また、スロットマシンの中には、遊技区間に有利な操作態様を表示する指示機能に係る性能を有する「有利区間」を含むものがある(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6112524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、遊技区間に有利区間を含むスロットマシンにおいては、有利区間中に指示機能が長く作動してしまうなど、有利になってしまう虞があった。
【0007】
この発明はかかる事情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、有利区間中に有利になり過ぎてしまう状況が発生し難いスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41が実行する特典を付与する処理)と、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な通常区間と、前記操作情報を報知可能な有利区間とを含む複数種類の区間に制御する区間制御手段(たとえば、遊技区間に制御するメイン制御部41)とを備え、
前記区間制御手段は、
前記有利区間において数値を更新可能な更新手段と、
前記更新手段が更新する数値が特定値となると前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する終了処理手段と、
を含み
記有利区間は、前記付与手段により付与された遊技用価値の大きさを遊技で用いられた遊技用価値の大きさで割った付与率が1以下になる減少区間(たとえば、引き戻し区間)と、前記付与率が1より大きくなる増加区間(たとえば、AT区間)とを含み、
前記増加区間と前記減少区間との往復が所定回数行われたことに基づき、前記有利区間の終了を示唆する有利区間終了示唆演出を実行し、前記更新手段が更新する数値が前記特定値となるまで前記有利区間を継続させ、
前記減少区間において、前記増加区間における有利度を高くするための抽選(たとえば、モードアップ抽選)を行う抽選手段をさらに備え
前記区間制御手段は、前記減少区間中に前記増加区間への移行が決定されることなく当該減少区間が終了する場合に、前記通常区間に制御する。
【0009】
(2) 上記(1)に記載のスロットマシンにおいて、
前記付与率は、前記減少区間中と前記通常区間とで同じであり、
前記増加区間における有利度は、前記減少区間から移行したときの方が前記通常区間から移行したときよりも高い(たとえば、引き戻し区間においては、通常区間からAT区間に移行したときのモードを基準に、そのモードよりも継続率が高いモードにするか否かを決定するモードアップ抽選を行う)。
【0010】
(3) 上記(1)または(2)に記載のスロットマシンにおいて、
前記区間制御手段は、前記減少区間中に前記増加区間への移行が決定されることなく当該減少区間への制御を終了する場合に、前記通常区間に制御する(たとえば、図8に示すように、65ゲームにわたってAT抽選に当選しなかった場合は、通常区間に制御される)。
【0011】
(4) 上記(1)~(3)のうちのいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
前記有利区間の終了を示唆する示唆制御手段(たとえば、終了区間に制御するメイン制御部41、またはエンディング演出を実行するサブ制御部91)をさらに備え、
前記増加区間は、第1区間(たとえば、モード演出区間)と当該第1区間とは異なる第2区間(たとえば、バトル演出区間)とを含み、
前記区間制御手段は、前記増加区間中に前記第1区間と前記第2区間との往復を所定回数(たとえば、2回)行われたことに応じで前記減少区間に制御し、
前記区間制御手段が前記減少区間から再び前記増加区間に制御した場合に、前記第1区間と前記第2区間との往復が再度行われ(たとえば、引き戻し区間からART区間に移行した場合に、モード演出区間とバトル演出区間との往復が再度行われる)、
前記示唆制御手段は、前記増加区間と前記減少区間との往復が所定回数行われたことに応じて、前記有利区間の終了を示唆し、
前記区間制御手段は、前記示唆の終了とともに前記通常区間に制御する。
【0012】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、内部抽選を行うメイン制御部41)と、
遊技者にとっての有利度が異なる複数種類の設定値のうちから選択された設定値を設定する設定手段(設定値の変更を受け付けて反映するメイン制御部41)と、
前記付与手段により付与された遊技用価値の大きさを遊技で用いられた遊技用価値の大きさから引いた特定値(たとえば、減少数)を算出して、遊技用価値の減少合計数を計数する計数手段(たとえば、付与されたメダル枚数から遊技に用いたメダル枚数を引いた特定値を算出することで、減少合計数を求めるメイン制御部41)とをさらに備え、
前記事前決定手段が決定する決定結果は、前記設定手段が設定した前記設定値に関わらず決定される確率が同じである第1決定結果(たとえば、設定差のない押し順ベル)と、前記設定手段が設定した前記設定値に応じて決定される確率が異なる第2決定結果(たとえば、設定差のあるベル)とを含み、
前記計数手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果である場合の前記特定値を前記減少合計数に含めないように計数し(たとえば、設定差のある抽選対象役に当選したゲームの減少数は、減少合計数に含めないように計算される)、
前記減少区間中は、当該減少区間における前記減少合計数が所定値を超えるまでは前記操作情報が報知されず、当該減少合計数が当該所定値を超えた場合に前記操作情報が報知
される(たとえば、図15のステップS16に示すように、減少合計数が50枚以上となった場合に、次ゲームからナビが実行される)。
【0013】
(6) 上記(5)に記載のスロットマシンにおいて、
前記区間制御手段が制御する区間を決定する区間決定手段(たとえば、AT区間への移行を決定するメイン制御部41)をさらに備え、
前記区間決定手段は、前記減少区間中に当該減少区間における前記減少合計数が前記所定値を超えた場合に前記増加区間に制御することを決定する(たとえば、図15のステップS14に示すように、減少合計数が50枚以上であるときに、メイン制御部41はAT区間への移行を確定する)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
図2】リールの図柄配列を示す図である。
図3】小役および再遊技役を説明するための図である。
図4】抽選対象役を説明するための図である。
図5】押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
図6】移行出目の図柄組み合わせを示す図である。
図7】遊技状態の遷移を説明するための図である。
図8】遊技区間の遷移を説明するための図である。
図9】AT抽選において参照されるテーブルである。
図10】モード抽選において参照されるテーブルである。
図11】モードアップ抽選において参照されるテーブルである。
図12】ART区間中の演出を説明するための図である。
図13】引き戻し区間中の演出を説明するための図である。
図14】モードアップ示唆演出の内容を決定するときに参照されるテーブルである。
図15】補填処理のフローチャートである。
図16】終了区間中の演出を説明するための図である。
図17】増加区間における有利度を高くするための抽選の変形例1を示す図である。
図18】増加区間における有利度を高くするための抽選の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0016】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図であり、図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。図2は、リールの図柄配列を示す図である。
【0017】
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられている。前面扉1bにおける液晶表示器51の下方に位置する化粧パネル1cには、透視窓3が形成されている。遊技者は、この透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能である。図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。
【0018】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、遊技媒体(メダル)が投入されるメダル投入部4と、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXB
ETスイッチ6と、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7と、リールの回転をそれぞれ停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8Rなどが設けられている。
【0019】
MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。
【0020】
前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、メダルの払出枚数やストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報などが表示される遊技補助表示器12、およびランプを点灯することで有利区間と呼ばれる有利な状態中である旨を示唆する有利区間ランプ19などが設けられている。遊技補助表示器12は、小役が入賞したときに払出されるメダルの枚数を表示するペイアウト表示器としても機能する。
【0021】
遊技補助表示器12は、押し順に対応する数字を7セグメント表示することで、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報を表示する。有利区間ランプ19は、有利区間中であるときには点灯し、有利区間中でないときには消灯する。これにより、有利区間ランプ19は、有利区間中であるか否かを遊技者に示唆することができる。
【0022】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御する(遊技を制御するともいえる)とともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力するメイン制御部41が設けられている。メイン制御部41は、各種処理を実行するメインCPU41aと、各種データを記憶するRAM41cなどを備える。
【0023】
メイン制御部41は、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、またはストップスイッチ8L,8C,8Rなどに対する操作を検出する。メイン制御部41は、遊技用表示部13に含まれる遊技補助表示器12の7セグメント表示、および有利区間ランプ19の点灯または消灯を制御する。
【0024】
スロットマシン1の内部には、メイン制御部41からのコマンドに応じて演出を制御するサブ制御部91が設けられている。サブ制御部91は、各種処理を実行するメインCPU91aと、各種データを記憶するRAM91cなどを備える。サブ制御部91は、演出用スイッチ56に対する操作を検出する。サブ制御部91は、液晶表示器51の画像表示、スピーカ53,54の音出力を制御する。
【0025】
なお、図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0026】
[スロットマシンにおけるゲームの概要]
次に、スロットマシン1におけるゲームの概要を説明する。ここで、本実施形態ではリール2L,2C,2Rを回転させるためにスタートスイッチ7を操作することをレバーオンともいう。また、スタートスイッチ7の操作によってリール2L,2C,2Rが回転している場合において、ストップスイッチ8L,8C,8Rのうち、第1の操作(最初の操作)によって第1のリールを停止させることを第1停止操作、第2の操作(2番目の操作)によって第2のリールを停止させることを第2停止操作、第3の操作(最後の操作)によって第3のリールを停止させることを第3停止操作あるいは最終停止操作ともいう。
【0027】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投
入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(本実施の形態においては、最大3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1~LM4(図1参照)が設けられている。無効ラインLM1~LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1~LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(たとえば、ベル-ベル-ベル)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
【0028】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、導出を許容する表示結果を決定する。また、スタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示させる。ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、メイン制御部41は、対応するリールの回転を停止する。リールの回転が停止することで、透視窓3の上中下段に3つの図柄が表示結果として導出表示される。メイン制御部41は、導出を許容した表示結果、ならびに、遊技者の導出操作である、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作したタイミングと、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作した順序とに基づいてリール2L,2C,2Rの回転を停止するためのリール制御を行う。ここで、遊技者の導出操作とは、リール2L,2C,2Rを停止させて表示結果を導出させるために、遊技者がストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することである。
【0029】
入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、メイン制御部41は、入賞に応じた処理を実行する。入賞に応じた処理には、たとえば、特典を付与する処理が含まれる。ここで、遊技機であるスロットマシン1においては、1ゲームを実行するために規定数の賭数を設定する必要があるため、1ゲーム行う度に遊技用価値であるメダルが消費される。特典には、遊技用価値の付与、遊技用価値を消費することなくゲームを実行するための権利、後述する有利区間などの有利な状態に制御するための権利などが含まれる。
【0030】
ここで、スロットマシン1における“ゲーム(単位遊技ともいう。)”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてから全てのリールが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、全てのリールの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0031】
[入賞役]
入賞役には、小役、および再遊技役が含まれる。小役は、メダルを付与する役である。再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなくリールが変動可能となることであることをいう。本実施の形態では、再遊技役が当選すると、ストップスイッチの操作タイミングに関わらず入賞する。なお変形例として、再遊技役は、当選したとしても、ストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であってもよい。
【0032】
図3を参照して、入賞役を説明する。図3は、小役および再遊技役を説明するための図である。図3の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄組合せが示されている。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインLM1~LM4のうちのい
ずれかのラインに停止する図柄組合せであって遊技者が認識しやすい図柄組合せが示されており、図中の「/」は、「または」を意味する。付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与など)が示されている。
【0033】
図3に示すように、入賞役のうちの小役には、中段チェリー、右上がりチェリー、下段チェリー、中段スイカ、上段スイカ、中段ベル、右上がりベル、および上段ベル1~8(以下、総じて「上段ベル」とも称す。)が含まれる。各小役は、それぞれ図柄組合せが設定されている。
【0034】
ここで、右上がりベルは、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。一方、上段ベル1~8のそれぞれを構成する中リール2Cの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。また、上段ベル1~8のそれぞれを構成する右リール2Rの「白BAR]や「黒BAR」は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていない。このため、上段ベル1~8が後述する内部抽選で当選しても、中リール2Cや右リール2Rの停止操作を適正なタイミングで行わなければ、当選している上段ベル1~8を入賞させることができず、上段ベル1~8の入賞を取りこぼすことになる。なお、このときに導出される取りこぼし目は、遊技状態を移行させる図柄組合せであって、移行出目(図6参照)ともいう。各小役に対応する図柄組合せが導出されると、小役の入賞が発生し、予め決められた枚数分のメダルが払い出される。
【0035】
入賞役のうちの再遊技役には、通常リプレイ、転落リプレイ、昇格リプレイ、特殊リプレイ、制御用リプレイ1,2、チェリーリプレイ、および、スイカリプレイが含まれる。図3に示す再遊技役は、すべて、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。
【0036】
[抽選対象役]
次に、図4を参照して、抽選対象役について説明する。図4は、抽選対象役を説明するための図である。抽選対象役は、スロットマシン1が実行する内部抽選の対象となる役である。内部抽選は、メイン制御部41によって実行され、導出を許容する図柄組合せ(入賞役)を決定するための抽選である。なお、内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されたことを当選ともいう。
【0037】
図4の抽選対象役欄には抽選対象役の名称を、組合わせ欄には抽選対象役に当選したときに導出が許容される入賞役の組合わせを示し、遊技状態欄にはRTの種類ごとに丸印で抽選対象となる抽選対象役が示され、設定差欄には丸印で設定差の有無が示され、有利区間移行欄には丸印で有利区間当選の有無が示されている。
【0038】
入賞役の組合わせ欄中の「+」は、同時当選することを意味する。たとえば、右ベル1に当選した場合は、右上がりベル、上段ベル5および上段ベル8の入賞が許容される。換言すると、内部抽選で右ベル1に当選したときには、右上がりベル、上段ベル5および上段ベル8に同時当選したことになる。
【0039】
メイン制御部41は、RT0~4のうちのいずれかの遊技状態に制御し、制御しているRTに応じて内部抽選を行う。たとえば、RT3中、RT3の欄に丸印が付されている抽選対象役が内部抽選の抽選対象であって、それ以外の抽選対象役には当選しないように、メイン制御部41は内部抽選を行う。
【0040】
設定差の有無とは、設定値と呼ばれる遊技者にとっての有利度を示す値に応じて当選確率の変化があるか否かを意味する。設定差「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役は、設定値に応じて当選確率が変化する抽選対象役である。一方、設定差「なし」の欄に丸印が付されている抽選対象役は、設定値に関わらず当選確率が変化しない抽選対象役で
ある。たとえば、ベルは設定差のある抽選対象役である。一方、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のような押し順ベルは、設定差のない抽選対象役である。
【0041】
有利区間当選の有無とは、通常区間から通常区間よりも有利な有利区間に移行を決定する移行抽選に当選するか否かを意味する。なお、移行抽選に当選したことを有利区間当選ともいう。有利区間当選「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役に当選すると、移行抽選が行われ、当該移行抽選に当選した場合は、次ゲームから有利区間に制御(移行)される。なお、移行抽選の実行契機となる抽選対象役を移行対象役ともいう。
【0042】
図4に示すように、設定差なしのカテゴリの役は移行対象役になり得るが、設定差ありのカテゴリの役は移行対象役にならない。たとえば、強チェリーおよび弱チェリーは、設定差なしのカテゴリの役であり、移行対象役に定められている。一方、通常ベルは、設定差ありのカテゴリの役であり、移行対象役に定められていない。
【0043】
また、移行抽選の当選確率は、設定値に応じて変化しない。移行対象役に設定差がなく、移行抽選の当選確率も設定値に応じて変化しないため、設定値に関わらず、有利区間に移行する確率は等しい。
【0044】
また、RT0~RT3において、移行抽選の当選確率は変わらない。具体的には、RT0~RT3において、移行対象役に当選する確率は同一であって、かつ、各移行対象役に当選したときの移行抽選の当選確率もRT0~RT3において等しい。たとえば、強チェリーに当選する確率がRT0~3においては1%と等しく、かつ、強チェリーに当選したときに移行抽選に当選する確率もRT0~RT3においては60%と等しい。
【0045】
[設定値]
設定値とは、遊技者にとっての有利度を示す値である。具体的に、本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率(賭数設定に用いられたメダルの総数と、入賞によって払い出されたメダルの総数との比率)が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1~6の6段階からなり、たとえば、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。設定値に応じて当選確率が変化することを設定差あり、設定値に応じて当選確率が変化しないことを設定差なしともいう。
【0046】
設定値を変更するためには、スロットマシン1の内部に設けられた図示しない操作部を管理者が特定操作し、設定値を変更可能な設定変更状態に移行させればよい。また、設定値を確認するためには、操作部を管理者が所定操作し、設定値を確認可能な設定確認状態に移行させればよい。メイン制御部41は、設定変更状態において、設定値の変更を受け付け、管理者が行なった所定の操作を受け付けることにより、受け付けた変更を反映する。
【0047】
[複数の入賞役が同時当選したときのリール制御]
図5および図6を参照して、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明する。図5は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。図6は、移行出目の図柄組合せを説明するための図である。
【0048】
図5に示すように、当選役欄には、当選した抽選対象役を示す。押し順欄には、ストップスイッチを操作する順番を示す。たとえば、「左第1停止」とは、左ストップスイッチ8Lを最初に操作し、それ以降の操作手順は問わないことを意味する。停止する図柄組合
せ欄には、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに発生する入賞役を示す。
【0049】
図5に示すように、押し順に応じて導出される表示結果が異なる役(押し順役)には、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4、昇格リプ1~3、維持転リプ1~3、および特殊リプ1~3が含まれる。
【0050】
たとえば、左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが入賞するように右下がりベルを構成する図柄組合せが導出される。左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルが入賞するように上段ベルを構成する図柄組合せが導出されるか、あるいは図5に示す移行出目が導出される。移行出目は、上段ベルの入賞を取りこぼした場合に導出される取りこぼし目(表示結果の組合わせ)であって、いずれの入賞も発生しない図柄組合せである。移行出目は、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合にのみ導出が許容される出目(表示結果の組合わせ)である。
【0051】
そのため、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のような押し順ベルに当選した場合に、右上がりベルを導出するための操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合は、操作タイミングに関わらずメダルの払出しが発生する右上がりベルを入賞させることができる。一方、右上がりベルを導出するための操作手順とは異なる操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合には、操作タイミングによってはメダルの払出しが発生しない移行出目が導出される。
【0052】
なお、スロットマシン1が内部抽選においていずれの抽選対象役にも当選しなかった場合には、いずれの入賞も発生しない図柄組合せであって、移行出目とは異なる出目が導出される。ここで、スロットマシン1が内部抽選において抽選対象役にも当選しなかったことを、内部抽選にハズレたともいう。
【0053】
また、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、昇格リプレイが導出される。一方、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止以外であるときには、通常リプレイが導出される。
【0054】
なお、押し順としては、「左第1停止」、「中第1停止」、「右第1停止」に限るものではなく、「右ストップスイッチ8R、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C」の順で操作することなどを含んでもよい。
【0055】
図5に示す押し順役は、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役である。たとえば、押し順ベルに当選した場合に、右下がりベルを導出することが可能な押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、右下がりベルは操作タイミングに関わらず入賞可能な役であるため、右下がりベルが導出される。一方、右下がりベルを導出することが可能な押し順とは異なる押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、上段ベルまたは移行出目が導出される。移行出目が導出された場合、メダルの払出しが無く、かつ、遊技状態の移行が生じる(図7参照)。
【0056】
つまり、右下がりベルを構成する表示結果と移行出目とを比較すると、右下がりベルを構成する表示結果の方が遊技者にとって有利な表示結果であって、右下がりベルを導出することが可能な押し順が遊技者にとって有利な操作手順である。以下、遊技者にとって有利な操作手順を正解手順ともいう。また、有利区間中に、押し順役のうち、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役に当選した場合、正解手順が報知され、このような押し順役をナビ対象役ともいう。
【0057】
[遊技状態]
図7は、遊技状態の遷移を説明するための図である。図7に示すように、スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、およびRT3が設けられている。RT2およびRT3は、RT0およびRT1よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。RT3は、RT2よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。なお、小役の当選確率は、RT0~3で変わらないものとする。
【0058】
設定変更された後には、まずRT0に制御される。RT0においては、押し順ベルが当選したときに右下がりベルまたは上段ベルの入賞を取りこぼすと移行出目が導出され、当該移行出目の導出を条件に、RT1に遊技状態が移行する。
【0059】
RT1においては、昇格リプレイが入賞すると、RT2に遊技状態が移行する。一方、RT2においては、特殊リプレイが入賞すると、RT3に遊技状態が移行する。RT2においては、転落リプレイの入賞または移行出目の導出を条件にRT1に移行する。RT3においては、移行出目の導出を条件にRT1に移行する。
【0060】
遊技者は、RT0~3のうち、RT0およびRT1よりも有利なRT2またはRT3に出来る限り滞在したいと考える。そのため、遊技者は、出来る限り移行出目、転落リプレイを導出させることなく、昇格リプレイまたは特殊リプレイを導出させたいと考える。しかし、移行出目、転落リプレイは、押し順や操作タイミングによって導出される虞があり、昇格リプレイまたは特殊リプレイも、これらの役に対応する押し順で操作しなければ導出されない(図5参照)。つまり、現状の有利な遊技状態に留まることができるか、より有利な状態へ移行できるか、あるいは不利な遊技状態へ転落するかが、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順によって決まる。
【0061】
[遊技区間]
メイン制御部41は、遊技状態(RT状態)とは異なる状態の概念として、複数種類の遊技区間に制御する。遊技区間には、通常区間および有利区間が含まれる。なお、有利区間に移行する権利を備えているものの、有利区間への移行を待機している待機区間を備えてもよい。以下、有利区間を含む遊技区間について、図8を参照して詳細に説明する。図8は、遊技区間の遷移を説明するための図である。
【0062】
(通常区間および有利区間)
通常区間は、ナビ情報(正解手順)を報知不可能な区間である。有利区間は、ナビ情報を報知可能な区間であり、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。以下では、ナビ情報を報知することをナビ報知ともいう。有利区間においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される。具体的には、図5に示す押し順ベルに当選したときに、正解手順(有利操作態様)を報知するナビ報知が実行される。有利区間は、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される点で、通常区間よりも遊技者にとって有利な区間(状態)である。
【0063】
ナビ報知は、メイン制御部41が実行するナビ報知と、サブ制御部91が実行するナビ報知とを含む。メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いてナビ報知を行う。具体的には、遊技補助表示器12に正解手順となる押し順に対応する数字などの記号を表示することで、メイン制御部41はナビ報知を行う。また、メイン制御部41が正解手順を特定可能な押し順コマンドをサブ制御部91に送信することで、サブ制御部91は液晶表示器51を用いてナビ報知を行う。たとえば、サブ制御部91は、ナビ報知の一例として、液晶表示器51に、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C、右ストップスイ
ッチ8Rの順で操作することを示す「123」の数字を表示する。
【0064】
メイン制御部41は、設定変更後に、まずは通常区間に制御し、有利区間への移行が決定されたことに基づいて有利区間に制御する。メイン制御部41は、所定の条件が成立したときに有利区間への移行を決定する。本実施の形態においては、メイン制御部41は、通常区間中に移行対象役に当選したときに、通常区間から有利区間へ移行するか否かを決定する移行抽選を実行する。
【0065】
メイン制御部41は、移行抽選で有利区間への移行を決定したときに、次の遊技から有利区間に制御する。また、メイン制御部41は、移行抽選に当選したゲームを開始してから、次ゲームが開始されるまでに有利区間ランプ19を点灯させることで、有利区間への移行が確定したことを報知し、有利区間への制御を終了するまで有利区間ランプ19を点灯し続ける。
【0066】
メイン制御部41は、有利区間への制御を終了する終了条件が成立したときにリミット処理をして、通常区間への制御を開始する。リミット処理が実行されると、有利区間に関するデータが全て初期化され、実行中の有利区間が終了して通常区間に戻る。たとえば、実行中の有利区間がCZである場合、CZゲーム数が未だ残っていてもCZが終了する。また、たとえば、実行中の有利区間がATである場合、ATゲーム数が未だ残っていてもATが終了する。
【0067】
たとえば、メイン制御部41は、有利区間中における消化ゲーム数をカウントする。そして、メイン制御部41は、カウントしたゲーム数(カウントゲーム数とも称する)が所定ゲーム数(本実施の形態においては、1500ゲーム)に達すると、リミット処理を実行し、カウントゲーム数をリセットするとともにする。さらに、リミット処理においては、初期RTであるRT0に移行させるための初期RT移行制御が行われる。
【0068】
本実施の形態において、有利区間は、AT区間と、CZ区間と、引き戻し区間と、終了区間とを含む。移行抽選では、有利区間に移行するか否か、および、CZ区間およびAT区間のうち、いずれの区間に制御するかが決定される。本実施の形態において、メイン制御部41は、通常区間中に内部抽選で移行対象役に当選した場合、CZ区間、AT区間、および通常区間のうちのいずれの区間に制御するかを抽選により決定する。CZ区間への移行を決定したことをCZ当選ともいい、AT区間への移行を決定したことをAT当選ともいう。なお、メイン制御部41は、有利区間に移行するか否かを決定し、有利区間への移行を決定した場合には、CZ区間およびAT区間のうち、いずれの区間に移行するかを抽選により決定してもよい。
【0069】
(CZ区間)
CZ区間は、通常区間よりもAT区間への制御に関する有利度合いが高い区間である。AT区間への制御に関する有利度合いが高いとは、通常区間よりもAT区間への移行が決定されやすいこと、およびAT区間に制御するための権利であるATゲームが通常区間よりも多く付与されることなどが挙げられる。
【0070】
メイン制御部41は、CZ区間中にAT当選するとAT区間に制御する。一方、メイン制御部41は、CZ区間中にAT当選することなく、CZ区間の終了条件が成立した場合、通常区間に制御する。本実施の形態において、CZ区間の終了条件は、CZゲームが0ゲームに達し、かつ、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行されたことにより成立する。本実施の形態において、CZ当選によりCZゲームとして30ゲーム付与され、メイン制御部41は、CZ区間に1ゲーム制御するごとに、CZゲームを1ずつ減算する。なお、CZ区間の終了条件はこれに限るものではない。
【0071】
(AT区間)
AT区間は、CZ区間よりも有利度合いが高い状態である。たとえば、AT区間は、CZ区間よりもナビ報知が実行され得る期間が長く保障されている。あるいは、AT区間は、CZ区間よりもナビ報知が実行され得る回数が多く保障されている。このように、AT区間は、CZ区間よりもナビ報知の実行期間が長く保障されているため、たとえば、押し順ベル当選時に主役(純増枚数を増加させる役)を入賞させるゲームを増やすことができ、CZよりも有利度合いが高くなる。
【0072】
また、AT区間中は、遊技用価値の付与率が1より大きくなる。遊技用価値の付与率は、付与された(払い出された)遊技用価値(メダル)を、遊技に用いた遊技用価値(賭数の設定に用いたメダル)で割ることで算出される値である。具体的に、AT区間中における付与率とは、AT区間への制御が開始されてからAT区間への制御が終了するまでの間に付与された遊技用価値を、AT区間への制御が開始されてからAT区間への制御が終了するまでの間に遊技に用いた遊技用価値で割ることで算出される値である。すなわち、AT区間中は、遊技に用いる遊技用価値よりも、付与される遊技用価値の方が多くなり、遊技用価値が増加する区間である。
【0073】
たとえば、AT区間中は、図5に示すナビ対象役に当選した場合に、ナビ報知を必ず実行することで、付与率が1より大きくなる。AT区間中に、ナビ対象役に当選した場合にナビ報知が必ずされると、昇格リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、昇格リプレイの導出に対応する操作態様が報知され、維持転リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、通常リプレイの導出に対応する操作態様が報知され、特殊リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、特殊リプレイの導出に対応する操作態様が報知される。そのため、AT区間中は、ナビ報知の示す操作態様に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作している限り、他の遊技状態よりもリプレイ確率が高いRT3に制御され続けることになる。なお、AT区間中、ナビ対象役に当選した場合に、ナビ報知を必ず実行しなくともよく、AT区間中の付与率が1より大きくなるようにナビ報知が行われればよい。
【0074】
(準備ART区間)
AT区間は、準備ART区間と、ART区間とを含む。準備ART区間は、AT当選し、AT区間への制御が開始されたときにRT0~RT2のうちのいずれかの遊技状態に制御されている場合に、AT区間に移行してからRT3に移行するまで制御される区間である。前述のように、RT3とは、他の遊技状態に比べてリプレイ確率が高く、遊技者にとって有利な状態である。すなわち、準備ART区間とは、RT3という有利な状態に制御されるまでの準備期間であるともいえる。
【0075】
(ART区間)
ART区間は、AT区間への制御が開始されたときにRT3に制御されている場合、あるいは、準備ART区間中に特殊リプレイに入賞し、RT3に移行した場合に制御される区間である。すなわち、ART区間とは、AT区間であって、RT3に制御されている区間をいう。本実施の形態においては、ART区間中にナビ報知された操作態様とは異なる操作態様でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作してしまい、移行出目が導出されてRT1に移行した場合であっても、ART区間への制御は継続されるものとする。
【0076】
メイン制御部41は、ART区間の終了条件が成立した場合、引き戻し区間、終了区間、通常区間のうちのいずれかの区間に制御される。本実施の形態において、ART区間の終了条件は、(1)ATゲームが0ゲームに達し、ARTへの継続を決定するための継続抽選にも当選しなかった場合、あるいは、(2)ARTへの継続を決定するための継続抽選に当選した場合であっても、連続して3回当選した場合に成立する。本実施の形態にお
いて、AT当選によりATゲームとして100ゲーム付与され、メイン制御部41は、ART区間に1ゲーム制御するごとに、ATゲームを1ずつ減算する。
【0077】
ART区間への継続を決定するための継続抽選に当選した場合、メイン制御部41は、ATゲームとして100ゲーム付与し、ART区間への制御を継続する。ただし、連続して3回、継続抽選に当選した場合には、継続抽選に当選しているか否かに関わらずART区間への制御を終了する。つまり、ATゲームを100ゲーム消化するまでを1セットとした場合、メイン制御部41は、ART区間に連続3セットまで制御可能であって、本実施の形態におけるスロットマシン1は、最大でも約300ゲームまでしかART区間に連続して制御されないような構成になっている。
【0078】
ART区間は継続抽選に当選する確率(継続率ともいう)が互いに異なる複数の区間を含む。具体的に、ART区間は、継続率が25%の第1モード区間と、継続率が66%の第2モード区間と、継続率が99%の第3モード区間とを含む。なお、継続率はこれに限るものではない。
【0079】
第1モード区間~第3モード区間のうちのいずれの区間に制御するかは、AT当選時にメイン制御部41は抽選により決定し、ART区間への制御を開始したときに、決定した区間に制御する。
【0080】
ARTに連続3セット制御されることなく、すなわち、1セット目、あるいは2セット目で継続抽選にはずれた場合、メイン制御部41は、ART区間への制御を終了するとともに、有利区間への制御も終了して、通常区間に制御する。また、メイン制御部41は、ART区間に連続3セット制御した場合は、引き戻し区間、あるいは、終了区間に制御する。
【0081】
(引き戻し区間)
メイン制御部41は、ART区間に連続3セット制御した場合に、引き戻し区間または終了区間に制御する。メイン制御部41は、AT区間から引き戻し区間に移行した後、再度AT区間に移行するという繰り返しを3回行った場合は、メイン制御部41は終了区間に制御し、それ以外の場合は、引き戻し区間に制御する。
【0082】
引き戻し区間は、遊技用価値の付与率が1以下となる区間である。具体的に、引き戻し区間中における付与率とは、引き戻し区間への制御が開始されてから引き戻し区間への制御が終了するまでの間に付与された遊技用価値を、引き戻し区間への制御が開始されてから引き戻し区間への制御が終了するまでの間に遊技に用いた遊技用価値で割ることで算出される値である。
【0083】
たとえば、引き戻し区間中は、ナビ報知が行われない、あるいは、ナビ報知が行われる頻度が低いことにより、遊技用価値の付与率が1以下となる。本実施の形態においては、引き戻し区間中は、ナビ報知が行われない。これにより、ナビ報知を行うことができない通常区間中と、引き戻し区間中とで、付与率が等しくなるように構成されている。なお、引き戻し区間中の方が、通常区間中よりも付与率が高くなる構成であってもよい。
【0084】
引き戻し区間においては、AT区間における有利度を高くするための抽選を行う。本実施の形態においては、AT区間における有利度を高くするための抽選の一例として、モードアップ抽選を行う。モードアップ抽選は、引き戻し区間からAT区間に移行し、ART区間に制御される際のモードを継続率の高いモードに上げるための抽選である。
【0085】
引き戻し区間においては、モードアップ抽選とは別に、AT抽選が行われ、引き戻し区
間の終了条件が成立するまでにAT当選した場合にAT区間への移行が決定される。メイン制御部41は、AT区間への移行が決定された状態であって、引き戻し区間からAT区間に制御を切り替える切替条件が成立したことを条件にAT区間に制御を切り替える。切替条件の一例として、本実施の形態においては、引き戻し区間に30ゲーム以上制御したことを条件に、AT区間に制御を切り替える。なお、切替条件を設けなくともよく、また、他の条件を切替条件としてもよく、好ましくは、遊技用価値を消化することで成立する条件である。
【0086】
メイン制御部41は、引き戻し区間の終了条件が成立するまでにAT抽選に当選しなかった場合は、通常区間に制御を切り替える。引き戻し区間の終了条件の一例として、本実施の形態においては、メイン制御部41は、引き戻し区間に65ゲームに亘って制御されたことを条件に引き戻し区間を終了する。なお、引き戻し区間の終了条件は、ゲーム数の消化に限らず、特定の抽選対象役に当選したこと、若しくは特定の抽選対象役に入賞したこと、または、付与率が所定値を下回ったことなど、他の条件であってもよい。
【0087】
(終了区間)
メイン制御部41は、ART区間に連続3セット制御した場合であって、AT区間から引き戻し区間に移行した後、再度AT区間に移行するという往復を3回行った場合は、終了区間に制御する。すなわち、終了区間へは、次のような制御を経て制御される。
・AT初当たり→(ART区間に連続3セット制御)→(引き戻し区間)→(ART区間に連続3セット制御)→(引き戻し区間)→(ART区間に連続3セット制御)→(引き戻し区間)→(ART区間に連続3セット制御)→(終了区間)
【0088】
メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに到達(リミッタ到達)するまで終了区間に制御し、リミッタに到達すると、リミッタ処理を行って通常区間に制御を切替える。すなわち、終了区間とは、有利区間への制御が終了することを示唆する区間である。
【0089】
AT区間から引き戻し区間に移行した後、再度AT区間に移行するという往復を3回行った後にART区間に連続3セット制御した場合、本実施の形態においては、有利区間に少なくとも約1300G(=(100G×3セット+30G)×3+100G×3セット)の間制御されることとなる。すなわち、終了区間に移行する場合、有利区間に少なくとも1300G制御されていることになり、リミッタ到達まで、残り200Gをきった状態で、終了区間に移行することとなる。
【0090】
このような場合に、引き戻し区間に制御された後にAT区間に制御されたとしても、ATゲーム数が残った状態でリミッタに到達し、通常区間に移行する虞がある。ATゲーム数が残っているにも関わらず有利区間への制御が終了し通常区間に移行してしまうと、遊技者に不満を与えてしまう虞がある。本実施の形態のように、終了区間に制御し、有利区間への制御が終了することが示唆された上で、通常区間に制御が切替わるようにすることで、ATゲーム数が残っているにも関わらず通常区間に制御が切替わることによる不満を遊技者に与えることを防止することができる。
【0091】
また、終了区間に移行するような状況においては、ATに関する抽選を実行しないようにしてもよい。具体的には、AT抽選およびモードアップ抽選を行わないようにしてもよい。終了区間に移行するような状況においては、リミット到達までのゲーム数が限られている。そのため、AT当選しなくとも、引き戻し区間中にリミット到達することもあり得る。そのような場合に、AT抽選やモードアップ抽選を行ったとしても、AT区間に移行する前にリミッタ到達して、有利区間から通常区間に制御が切替わる虞がある。つまり、ATに関する抽選をしたとしても、AT区間に移行することがない場合、ATに関する抽
選が意味をなさない虞がある。そのため、終了区間中は、有利区間に関する一切の抽選を行わないようにすることで、終了区間中の処理を簡略化することができる。
【0092】
なお、終了区間を設けずに、リミッタ到達までの残りゲーム数が所定ゲーム数を下回ったタイミング、あるいは、本実施の形態の終了区間への移行タイミングで、サブ制御部91が、液晶表示器51を用いて、液晶表示器51にリミッタ到達までの残りゲーム数を表示するような構成であってもよい。
【0093】
[AT抽選]
図9を参照してAT抽選について説明する。図9は、AT抽選において参照されるテーブルである。本実施の形態において、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、および弱スイカのうちの少なくともいずれかの抽選対象役に当選したときに、AT抽選をメイン制御部41は行う。
【0094】
メイン制御部41は、通常区間中においては、中段チェリーに当選したときは、99%の確率でAT抽選に当選する。同様に、通常区間中に強チェリーまたは強スイカに当選した場合は60%の確率でAT抽選に当選し、弱チェリーまたは弱スイカに当選した場合は40%の確率でAT抽選に当選する。
【0095】
メイン制御部41は、CZ区間中においては、中段チェリーに当選したときは、99%の確率でAT抽選に当選する。同様に、CZ区間中に強チェリーまたは強スイカに当選した場合は70%の確率でAT抽選に当選し、弱チェリーまたは弱スイカに当選した場合は50%の確率でAT抽選に当選する。すなわち、CZ区間中は、通常区間中に比べてAT抽選に当選しやすい区間である。
【0096】
メイン制御部41は、引き戻し区間中においては、中段チェリーに当選したときは、99%の確率でAT抽選に当選する。同様に、引き戻し区間中に強チェリーまたは強スイカに当選した場合は60%の確率でAT抽選に当選し、弱チェリーまたは弱スイカに当選した場合は40%の確率でAT抽選に当選する。すなわち、引き戻し区間中は、通常区間中と同じ確率でAT抽選に当選し、CZ区間中に比べて低い確率でAT抽選に当選する。
【0097】
また、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカを比較すると、中段チェリーに当選したときに最もAT当選する確率が高く、次いで強チェリーおよび強スイカ、弱チェリーおよび弱スイカの順でAT当選する確率が下がる。すなわち、当選した抽選対象役に応じてAT抽選に当選する期待度が異なる。
【0098】
なお、AT抽選の確率は一例であって、他の抽選対象役に当選したときにAT抽選を実行する構成であってもよく、また、他の確率でAT抽選するような構成であってもよい。
【0099】
[モード抽選]
通常区間中またはCZ区間中にAT抽選に当選した場合に、メイン制御部41は、ART区間に移行した際に制御するモード区間を決定するモード抽選を行う。図10は、モード抽選において参照されるテーブルである。
【0100】
中段チェリーに当選し、かつ、AT抽選に当選した場合、メイン制御部41は、ART区間に移行した際に制御するモード区間として、80%の確率で第1モード区間に決定し、15%の確率で第2モード区間に決定し、5%の確率で第3モード区間に決定する。
【0101】
強チェリーまたは強スイカに当選し、かつ、AT抽選に当選した場合、メイン制御部41は、ART区間に移行した際に制御するモード区間として、90%の確率で第1モード
区間に決定し、10%の確率で第2モード区間に決定し、第3モード区間に決定することはない。
【0102】
弱チェリーまたは弱スイカに当選し、かつ、AT抽選に当選した場合、メイン制御部41は、ART区間に移行した際に制御するモード区間として、95%の確率で第1モード区間に決定し、5%の確率で第2モード区間に決定し、第3モード区間に決定することはない。
【0103】
すなわち、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカを比較すると、中段チェリーに当選したときに継続率が高いモード区間に決定される確率が最も高く、次いで強チェリーおよび強スイカ、弱チェリーおよび弱スイカの順で継続率が高いモード区間に決定される確率が下がる。すなわち、当選した抽選対象役に応じてART区間に移行した際の有利度が異なる。
【0104】
[モードアップ抽選]
メイン制御部41は、引き戻し区間中に、AT区間における有利度を高くするための抽選の一例として、モードアップ抽選を行う。図11を参照して、モードアップ抽選について説明する。図11は、モードアップ抽選において参照されるテーブルである。
【0105】
メイン制御部41は、チェリーリプまたはスイカリプに当選したときに、モードアップ抽選を行う。表中の「移行先として決定しているモード」とは、ART区間に移行した場合に制御されるモード区間として決定しているモードを示す。本実施の形態において、ART区間から引き戻し区間に制御が切替わった場合、ART区間移行時のモード区間としては、それまで制御していた区間に決定される。たとえば、第1モード区間から引き戻し区間に移行し、モードアップ抽選に当選することなくAT抽選に当選した場合は、ART区間として第1モード区間に制御される。なお、モードアップ抽選で、選択されるモードが下がるような抽選は行われないものとする。ここで、モードが上がるとは、継続率の高く、有利度の高いモードに決定されることをいい、モードが下がるとはその逆を意味する。
【0106】
チェリーリプに当選した場合、ART区間に移行した場合に制御されるモード区間が第1モード区間であるときは、70%の確率で第2モード区間に決定され、5%の確率で第3モード区間に決定される。すなわち、チェリーリプに当選した場合75%の確率でモードアップし、そのうち、70%の確率で第2モードにモードアップし、5%の確率で第3モードにモードアップする。チェリーリプに当選した場合であって、ART区間に移行した場合に制御されるモード区間が第2モード区間であるときは、30%の確率で第3モード区間に決定される。
【0107】
スイカリプに当選した場合、ART区間に移行した場合に制御されるモード区間が第1モード区間であるときは、70%の確率で第2モード区間に決定され、5%の確率で第3モード区間に決定される。スイカリプに当選した場合であって、ART区間に移行した場合に制御されるモード区間が第2モード区間であるときは、10%の確率で第2モード区間に決定される。
【0108】
すなわち、チェリーリプとスイカリプとを比較すると、チェリーリプに当選した時の方がモードアップする確率が高く、チェリーリプの方が有利度合いの高い抽選対象役である。図10および図11を比較して分かるように、引き戻し区間を介してART区間に移行する場合と、通常区間またはCZ区間を介してART区間に移行する場合とでは、引き戻し区間を介してART区間に移行した場合の方が、継続率の高いモード区間に制御されやすく、ユーザは、引き戻し区間中の方が、通常区間中またはCZ区間中よりもART区間
への期待が大きくなりやすい。
【0109】
[コマンド]
サブ制御部91は、メイン制御部41から送信される各種コマンドに基づいて遊技状態、遊技区間、および抽選結果に応じた演出を実行する。メイン制御部41は、遊技状態コマンド、遊技区間コマンド、カウントゲームコマンド、内部当選コマンド、押し順コマンド、AT当選コマンド、モード抽選コマンド、および操作コマンドなどを含む複数種類のコマンドをサブ制御部91に送信する。
【0110】
遊技状態コマンドは、図7に示す遊技状態RT0~RT3のうちの、いずれの遊技状態に制御されているかを特定可能なコマンドである。遊技区間コマンドは、図8に示す複数種類の遊技区間のうちのいずれの遊技区間に制御されているかを特定可能なコマンドである。たとえば、メイン制御部41は、第1モード区間に制御しているときは、第1モード区間に制御していることを示すコマンドをサブ制御部91に送信する。
【0111】
カウントゲームコマンドは、有利区間中に消化されたカウントゲーム数を特定可能なコマンドである。内部当選コマンドは、内部抽選の結果に応じて当選した抽選対象役が属するグループを特定可能なコマンドである。たとえば、押し順ベル(左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4)に当選した場合は、当選した押し順ベルの種類をサブ制御部91が特定できない内容の内部当選コマンドが送信される。
【0112】
押し順コマンドは、ナビ情報(正解手順ともいう)を特定可能なコマンドである。メイン制御部41は、ナビ情報の報知を行う場合、ナビ情報を特定可能な押し順コマンドが送信するのに対して、ナビ情報の報知を行わない場合、ナビ情報を特定可能な押し順コマンドを送信しない。メイン制御部41は、ナビ情報を特定可能な押し順コマンドを送信しないときは、正解手順を特定不可能な押し順コマンド(たとえば、当選役に関わらず共通手順を特定可能な押し順コマンド)を送信するか、あるいは何らの押し順コマンドも送信しない。このため、メイン制御部41がナビ情報の報知を行うと決定したときには、サブ制御部91は正解手順を特定可能であって、特定した正解手順を報知することができる。一方、メイン制御部41がナビ情報の報知を行わないと決定したときには、サブ制御部91は正解手順を特定可能できず、正解手順を報知することができない。
【0113】
AT当選コマンドは、AT抽選に当選したか否かを特定可能なコマンドであって、AT抽選を行ったときに、メイン制御部41は、サブ制御部91に送信する。モード抽選コマンドは、モード抽選あるいはモードアップ抽選の結果を特定可能なコマンドである。
【0114】
操作コマンドは、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、MAXBETスイッチ6などの操作手段への操作をメイン制御部41が検出したときに生成されるコマンドであって、操作された操作手段を特定可能なコマンドである。
【0115】
[ART区間中の演出]
図12を参照して、サブ制御部91が実行するART区間中の演出について説明する。図12は、ART区間中の演出を説明するための図である。
【0116】
ART区間中の演出は、大別して2つの演出区間に分けられる。具体的に、ART区間は、図12(a)に示すモード演出区間と、図12(b)~(d)に示すバトル演出区間とを含む。
【0117】
モード演出区間は、モード演出を実行する区間である。サブ制御部91は、ART区間に移行してから残りATゲーム数が11ゲームとなるまでモード演出を実行する。モード
演出は、第1モード区間~第3モード区間のうち、いずれのモード区間に制御されているかを示唆する演出である。
【0118】
バトル演出区間は、バトル演出を実行する区間である。サブ制御部91は、残りATゲーム数が10ゲーム以下となってからART区間が終了するまで、バトル演出を実行する。バトル演出は、ART区間を継続するか否かを報知するための演出である。たとえば、バトル演出は、味方キャラクタと敵キャラクタとが対戦し、味方キャラクタの勝利によって、ART区間への継続が報知され、味方キャラクタの敗北によってART区間への継続が終了することが報知される。
【0119】
図12(a)に示すように、たとえば、モード演出において、サブ制御部91は、液晶表示器51に、背景画像と、残りATゲーム数と、ナビ情報を特定可能なナビ画像とを表示する。一例として、背景画像は、制御されているモード区間によって異なる態様である。
【0120】
図12(b)に示すように、残りATゲーム数が10ゲームとなったタイミングで、サブ制御部91は、演出区間が変わったことを示す「継続バトル!」という文字画像を液晶表示器51に表示するとともに、味方キャラクタと敵キャラクタとが対峙している画像を液晶表示器51に表示する。なお、バトル演出区間中も、残りATゲーム数と、ナビ画像(図示省略)とは表示されるものとする。
【0121】
図12(c)に示すように、ART区間が終了するまでの間は、サブ制御部91は、味方キャラクタと敵キャラクタとが対戦している様子を液晶表示器51に表示する。
【0122】
図12(d-1)に示すように、制御中のART区間が1セット目、あるいは2セット目であって、継続抽選に当選しなかった場合は、サブ制御部91は、味方キャラクタが敗北した様子を液晶表示器51に表示したのち、次遊技の開始タイミングで通常区間中の演出に切り替える。
【0123】
図12(d-2)に示すように、制御中のART区間が3セット目である場合は、サブ制御部91は、味方キャラクタが敗北した様子を液晶表示器51に表示したのち、別キャラクタが登場してバトルが継続することを液晶表示器51に表示し、次遊技の開始タイミングで引き戻し区間中の演出に切り替える。ここで、引き戻し区間中は、登場した別キャラクタと敵キャラクタとが対戦する演出が行われるものとする。
【0124】
図12(d-3)に示すように、制御中のART区間が1セット目、あるいは2セット目であって、継続抽選に当選した場合は、サブ制御部91は、味方キャラクタが勝利した様子を液晶表示器51に表示したのち、次遊技の開始タイミングでモード演出に切り替える。
【0125】
すなわち、本実施の形態においては、ART区間は、モード演出区間とバトル演出区間とを含み、モード演出区間とバトル演出区間との往復を2回行った後(ART区間3ループ目)、引き戻し区間に制御される。その後、引き戻し区間からART区間に移行した場合は、再度モード演出区間とバトル演出区間との往復が行われる。
【0126】
なお、ART区間は、モード演出区間とバトル演出区間とを含むものとしたが、3以上の区間に分割されていてもよく、あるいは、区間が分割されていなくともよい。また、モード演出区間と、バトル演出区間とを、それぞれサブ制御部91が実行する演出内容によって切り分けたが、メイン制御部41が実行する制御内容によって切り分けてもよい。たとえば、ART区間の前半は継続抽選を実行せず、ART区間の後半は継続抽選を実行す
るという点で、ART区間を2つの区間に切り分けてもよい。
【0127】
[引き戻し区間中の演出]
図13を参照して、サブ制御部91が実行する引き戻し区間中の演出について説明する。図13は、引き戻し区間中の演出を説明するための図である。
【0128】
図13(a)は、引き戻し区間中の液晶表示器51の全体画面を示す図である。引き戻し区間中は、別キャラクタ(戦士キャラクタ)と敵キャラクタとが対戦している様子を示す画像と、モードアップ抽選の結果を示唆するモードアップ示唆画像500とが液晶表示器51に表示される。サブ制御部91は、戦士キャラクタの勝利によって、ART区間への移行を報知し、戦士キャラクタの敗北により通常区間への移行を報知する。なお、引き戻し区間中の演出は、これに限らない。
【0129】
図13(b)は、モードアップ示唆画像500を示す図である。モードアップ示唆画像500は、ART区間に移行したときのモード区間が継続率の高いモード区間であることを示唆する画像である。すなわち、モードアップ示唆画像500は、ART区間に移行した場合の有利度合いを示唆する画像である。また、言い換えると、モードアップ示唆画像500は、モードアップ抽選に当選していることを示唆する画像でもある。
【0130】
モードアップ示唆画像500は青色で表示される第1示唆画像510と、黄色で表示される第2示唆画像520と、赤色で表示される第3示唆画像530と、虹色で表示される第4示唆画像540とを含む。第1示唆画像510~第3示唆画像530は、モードアップ抽選に当選していることを示唆する画像であって、モードアップ抽選に当選していることの期待値は、第1示唆画像510、第2示唆画像520、第3示唆画像530の順で高くなるように、サブ制御部91はモードアップ示唆画像500の表示態様を制御する。第4示唆画像540は、ART区間への移行が確定していること、すなわちAT抽選に当選していることを示す画像である。
【0131】
図13(c)は、モードアップ示唆演出を説明するための図である。モードアップ示唆演出は、モードアップ抽選に当選したことを示唆する演出であって、モードアップ示唆画像500の態様を変えることで、サブ制御部91は、モードアップ抽選に当選したことを示唆する。図13(c)においては、第1示唆画像510が表示されており、第2示唆画像520~第4示唆画像540が表示されていないものとする。
【0132】
図13(c-1)に示すように、スタートスイッチ7が操作されたタイミングで、サブ制御部91は、表示していない第2示唆画像520が表示されることを示唆する、点灯示唆演出を実行する。たとえば、点灯示唆演出の一例として、第2示唆画像520を点滅表示される。点灯示唆演出は、たとえば、モードアップ抽選を実行したときに行ってもよい。また、他の条件を契機に実行してもよい。点灯示唆演出が行われることで、遊技者は、ART区間に移行したときに制御されるモードが継続率の高いモードに決定されたかもしれないという期待感を抱かせることができる。
【0133】
その後、ART区間に移行したときに制御されるモードが継続率の高いモードに決定されている可能性が高い場合は、図13(c-2)に示すように、第3停止操作がされたタイミングで、サブ制御部91は、点滅表示していた第2示唆画像520を点灯表示する。これにより、継続率の高いモードに決定されていることに対する期待感を図13(c-1)におけるときよりも上げることができる。
【0134】
また、ART区間に移行したときに制御されるモードが継続率の高いモードに決定されている可能性が低い場合は、図13(c-3)に示すように、第3停止操作がされたタイ
ミングで、サブ制御部91は、点滅表示していた第2示唆画像520を消去する。
【0135】
図14は、モードアップ示唆演出の内容を決定するときに参照されるテーブルである。サブ制御部91は、毎ゲーム、モードアップ示唆演出の内容を決定するための処理を実行する。具体的に、図14(a)~図14(d)を参照して説明する。
【0136】
図14(a)は、第1示唆画像510~第4示唆画像540のうち、いずれの画像も表示されていない(未点灯)ときに選択されるテーブルである。ART区間に移行した場合に、第1モードに決定している場合は、70%の確率でモードアップ示唆画像500を変化させず、30%の確率で第1示唆画像510を点灯表示させることを決定する。図14(a)に示すように、ART区間に移行した場合に制御されるモードが継続率の高いモードであるほど、第1示唆画像510を点灯表示させることを決定する確率が高い。
【0137】
図14(b)は、第1示唆画像510が点灯表示しており、第2示唆画像520~第4示唆画像540が点灯表示していない場合に選択されるテーブルである。図14(b)に示すように、ART区間に移行した場合に制御されるモードが継続率の高いモードであるほど、第2示唆画像520を点灯表示させることを決定する確率が高い。第2示唆画像540が点灯表示することにより、ART区間に移行した場合に継続率が高いモードに制御されるかもしれないという期待感を遊技者に与えることができる。これにより、先々制御されるかもしれないART区間に対する期待感を高めることができる。
【0138】
図14(c)は、第1示唆画像510および第2示唆画像520が点灯しており、第3示唆画像530および第4示唆画像540が点灯していない場合に選択されるテーブルである。図14(c)に示すように、ART区間に移行した場合に制御されるモードが第1モードである場合は、第3示唆画像530を点灯させない。また、ART区間に移行した場合に制御されるモードが継続率の高いモードであるほど、第3示唆画像530を点灯させることを決定する確率が高い。すなわち、第3示唆画像530が点灯表示されることで、遊技者はART区間に移行した場合に制御されるモードが第2モード区間以上であることを認識することができる。これにより、先々制御されるかもしれないART区間に対する期待感を高めることができる。
【0139】
図14(d)は、第1示唆画像510~第3示唆画像530が点灯しており、第4示唆画像が点灯していない場合に選択されるテーブルである。図14(d)に示すように、ATへの移行が確定していないときは、第4示唆画像540は点灯されない。すなわち、第4示唆画像540が点灯表示されることで、遊技者は、AT区間への移行が確定していることを認識することができる。これにより、今後の遊技の進行に期待感を抱かせることができる。
【0140】
[補填処理]
メイン制御部41は、原則、引き戻し区間中はナビ情報を報知しないものの、引き戻し区間中に減った遊技用価値の大きさが所定値を超えた場合に、補填処理を実行して、遊技用価値が減ってしまったことに対する補填を行う。
【0141】
図15は補填処理のフローチャートである。補填処理は、入賞に関する処理がされた以降に行われる。
【0142】
ステップS12において、メイン制御部41は、減少合計数が50枚以上であるか否かを判断する。減少合計数は、引き戻し区間中に減った遊技用価値の合計である。減少合計数は、メイン制御部41が、付与されたメダル枚数から遊技に用いたメダル枚数を引いた特定値を算出することで求められる。たとえば、付与されたメダルが0枚で、遊技に用い
たメダルが3枚である場合、減少数は3枚である。また、付与されたメダルが8枚で、遊技に用いたメダルが3枚である場合、減少数は-5枚である。引き戻し区間に制御されてからの1ゲームごとに算出される減少数の総和が減少合計数である。ただし、本実施の形態においては、設定差のある抽選対象役に当選したゲームの減少数は、減少合計数に含めないように計算される。たとえば、ベルに当選したゲームの減少数は、減少合計数に含めない(図4参照)。また、減少合計数は、引き戻し区間への制御が終了したときにリセットされる。
【0143】
メイン制御部41は、減少合計数が50枚よりも少ないと判断したときは(ステップS12においてNO)、補填処理を終了する。
【0144】
メイン制御部41は、減少合計数が50枚以上であると判断したときは(ステップS12においてYES)、ステップS14に制御を切替える。
【0145】
ステップS14において、メイン制御部41は、AT区間への移行を確定する。なお、メイン制御部41は、引き戻し区間に制御されている期間が30ゲームを越している場合は、次ゲームからAT区間に制御を切替え、30ゲームを越していない場合は30ゲームを越すまで引き戻し区間に制御する。
【0146】
ステップS16において、メイン制御部41、次ゲームからナビを実行することを決定する。すなわち、メイン制御部41は、次ゲームからナビ情報を特定可能な情報を報知するとともに、サブ制御部91に押し順コマンドを送信する。これにより、サブ制御部91は、ナビ情報を報知することができる。
【0147】
なお、補填処理においては、補填として、ナビを実行することと、AT区間への移行とが行われることとが決定されるものとしたが、少なくともいずれか一方を実行すればよい。また、補填を行わないような構成であってもよい。
【0148】
[終了区間中の演出]
図16を参照して、サブ制御部91が実行する終了区間中の演出について説明する。図16は、終了区間中の演出を説明するための図である。
【0149】
図16(a)は、終了区間開始直前の演出を示す画像の一例であって、ART区間中の最後の演出を示す画像の一例である。図16(a)に示すように、味方キャラクタが勝利し「おめでとう」という文字画像が表示される。ART区間終了時の演出は、終了区間に移行する場合と、図12(d-3)に示すART区間への制御が継続する場合とで、たとえば、いずれも、味方キャラクタが勝利する点では共通するものの、終了区間に移行する場合は「おめでとう」という文字画像が表示され、ART区間への制御が継続する場合は「WIN」という文字画像が表示される。「おめでとう」とは、有利区間にリミッタ到達(1500ゲーム消化する)まで制御されることが決定されたことを示す画像である。
【0150】
図16(b)は、終了区間中に行われるエンディング演出の一例を示す図である。エンディング演出は、有利区間にリミッタ到達まで制御される場合にのみ行われる特別な演出であって、有利区間の終了を示唆する演出である。エンディング演出においては、たとえば、リミッタ到達までの残りゲーム数が「リミッタまで残り100G」という文字画像によって報知され、1ゲーム消化するごとに必ず1ゲームずつ減数表示される。なお、終了区間中においては、ナビ情報が報知される。
【0151】
図16(c)は、リミッタ到達時の演出の一例を示す図である。たとえば、有利区間中にART区間に制御されたゲーム数と、有利区間中に獲得したメダルの総数とが有利区間
に制御された結果として表示される。サブ制御部91は、次ゲーム開始時に通常区間中の演出に切り替える。
【0152】
[主な効果]
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
【0153】
(1) 本実施の形態においては、有利区間に付与率が1より大きいART区間と、付与率が1以下の引き戻し区間とを含む。これにより、有利区間中に有利になり過ぎてしまう状況が発生し難くすることができる。
【0154】
このように、有利区間中に引き戻し区間のような付与率が1以下となる期間を設けた場合に、遊技者は有利区間であるにも関わらず、遊技用価値が増えないことに不満を抱く虞がある。
【0155】
本実施の形態においては、引き戻し区間中に、引き戻し区間後のART区間に関する有利度を高くするためのモードアップ抽選を行が行われる。これにより、遊技者は、遊技用価値が増えない期間において、遊技用価値が増えないことに対する不満を抱きつつも、ART区間に関する有利度を高くする抽選が行われるため、遊技の興趣が向上する。
【0156】
(2) 本実施の形態において、ART区間から引き戻し区間に制御が切替わった場合、ART区間移行時のモード区間としては、それまで制御していた区間への移行が決定され、モードアップ抽選に当選した場合は、それまで制御していた区間よりも継続率が高い区間への移行が決定される。
【0157】
すなわち、引き戻し区間においては、通常区間からAT区間に移行したときのモードを基準に、そのモードよりも継続率が高いモードにするか否かを決定するモードアップ抽選を行う。そのため、AT区間における有利度は、引き戻し区間からAT区間に移行したときの方が通常区間からAT区間に移行したときよりも高くなる。
【0158】
引き戻し区間における付与率は、通常区間における付与率と等しい。そのため、ART区間が終了して引き戻し区間に移行した場合に、遊技者の遊技に対する期待感は下がり、遊技を途中で止めてしまう虞がある。しかし、本実施の形態においては、AT区間における有利度は、引き戻し区間からAT区間に移行したときの方が通常区間からAT区間に移行したときよりも高くなるため、将来の遊技に対する期待感を上げることができ、遊技を途中で止めてしまうことを防止することができる。
【0159】
なお、AT区間における有利度を、引き戻し区間からAT区間に移行したときの方が通常区間からAT区間に移行したときよりも高くなるようにする方法は、本実施の形態に開示した方法に限られない。たとえば、引き戻し区間において、AT当選時にモード抽選を実行し、当該モード抽選において継続率の高いモードが決定される期待値が通常区間における期待値よりも高くなるようにしてもよい。
【0160】
(3) 本実施の形態において、図8に示すように、AT抽選に当選することなく引き戻し区間の終了条件が成立した場合は、通常区間に制御される。そのため、有利区間への制御が、必要以上に伸びてしまうことを防止することができる。
【0161】
(4) 本実施の形態においては、ART区間は、モード演出区間とバトル演出区間とを含み、モード演出区間とバトル演出区間との往復を2回行った後(ART区間3ループ目)、引き戻し区間に制御される。その後、引き戻し区間からART区間に移行した場合は、再度モード演出区間とバトル演出区間との往復が行われる。また、ART区間に連続
3セット制御した場合であって、AT区間から引き戻し区間に移行した後、再度AT区間に移行するという往復を3回行った場合は、終了区間に制御する。終了区間に制御されると有利区間の終了を示唆するエンディング演出が行われる。このように、有利区間内で、区間移行が行われるため、遊技の興趣が向上する。
【0162】
(5) 本実施の形態において、引き戻し区間中の減少合計数が所定枚数を超えた場合に次ゲームからナビ報知が行われる。これにより、引き戻し区間中にナビ報知が行われないことにより減少するメダルの枚数を、所定の範囲に抑えることができる。
【0163】
さらに、減少合計数に設定差のある役に当選したときの減少数は含めないようにすることで、設定値の違いによって、引き戻し区間中にナビ報知が行われる機会が変わってしまうことを防止することができる。
【0164】
(6) 本実施の形態において、引き戻し区間中の減少合計数が所定枚数を超えた場合にAT区間への移行が確定する。これにより、引き戻し区間中にナビ報知が行われないことによる遊技者の不満を軽減させることができる。
【0165】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0166】
[有利区間]
本実施の形態において、有利区間は、CZ区間、AT区間、引き戻し区間、および終了区間を含むものとした。しかし、付与率が1より大きい区間と、付与率が1以下の区間とを含めばよく、他の区間を含まなくともよく、また、付与率が1より大きい区間を複数種類設けてもよく、また、付与率が1以下の区間を複数種類設けてもよい。
【0167】
[増加区間における有利度を高くするための抽選]
本実施の形態において、本発明の増加区間の一例であるAT区間における有利度を高くするための抽選として、モードアップ抽選を行うこととした。増加区間における有利度を高くするための抽選は、他の抽選であってもよい。
【0168】
(変形例1)
図17は、増加区間における有利度を高くするための抽選の変形例1を示す図である。本実施の形態においては、AT区間への制御は継続抽選の当選によりAT区間の制御を継続するものを例に挙げた。たとえば、AT区間に制御するための権利(たとえば、ATゲーム数、ナビストックなど)を付与する抽選を行ってもよい。
【0169】
具体的には、メイン制御部41は、チェリーリプまたはスイカリプに当選したときに、ナビストック抽選を行い、ナビストックに当選したときは、ナビストック数を加算してもよい。メイン制御部41は、AT抽選に当選したときに、引き戻し区間中に付与されたナビストックを用いてAT区間に制御する。つまり、引き戻し区間中に付与されたナビストックが多ければ多いほど、AT区間に制御される期間が長くなる。なお、図17に示す例では、ナビストックを例に挙げたが、ATゲーム数の付与であってもよい。
【0170】
(変形例2)
図18は、増加区間における有利度を高くするための抽選の変形例2を示す図である。本実施の形態および変形例1に示す抽選の例では、増加区間に制御されたときの期間を延長させる例を示した。しかし、増加区間における有利度を高くするための抽選としては、
図18に示すように、増加区間に移行しやすくする抽選を行ってもよい。
【0171】
具体的には、メイン制御部41は、ATに当選する確率が、通常区間中に比べて引き戻し区間中の方が高くなるようにAT抽選を行う。また、引き戻し区間に制御された回数が増えれば増えるほど、AT抽選の当選確率が上がるような構成であってもよい。すなわち、有利区間に制御される期間が長くなればなるほど、徐々に増加区間における有利度に対する期待度が高くなるような構成であってもよい。
【0172】
(変形例3)
また、第1モード区間、第2モード区間、および第3モード区間は、各々継続率が異なるとしたが、付与率が異なるようにしてもよい。すなわち、増加区間における有利度を高くするための抽選として、付与率の高い増加区間に移行するための抽選を行ってもよい。
【0173】
増加区間における有利度を高くするための抽選は、増加期間に対する期待値を上げる抽選であればよく、本実施の形態および上記変形例に示した抽選に限定されるものではない。増加期間に対する期待値とは、増加期間に早く制御されることに対する期待値と、増加期間に制御されてから得られる特典(増加期間に長く制御されること、遊技用価値を多く付与されることなど)に対する期待値とを含む。
【0174】
また、抽選を実行する条件は、特定の役に当選したことを条件としたが、特定の役に入賞したこと、減少合計数が所定枚数を超えたことなどであってもよい。また、抽選を実行する条件を設けず、引き戻し区間中は、毎ゲーム抽選を実行するような構成であってもよい。
【0175】
[減少区間]
本実施の形態においては、引き戻し区間において、ナビ報知を行わないことにより、付与率が1以下となるような構成を例に挙げた。しかし、付与率を1以下にする方法はこれに限られない。たとえば、付与率の低い遊技状態の滞在率が高くなるように制御することで、付与率が1以下となるように制御してもよい。付与率の低い遊技状態の滞在率が高くなるように制御する方法としては、たとえば、付与率の高いRT2やRT3に移行するための役に当選しても、当該役を入賞させるための操作手順を報知しない方法などが挙げられる。
【0176】
また、本実施の形態においては、増加区間であるAT区間に所定回数(3回)制御されたことに応じて、減少区間である引き戻し区間に制御されるものとしたが、増加区間からAT区間に制御が切替わる条件は本実施の形態において開示した条件に限られない。
【0177】
[減少合計数の算出]
本実施の形態において、内部抽選において、いずれの抽選対象役にも当選しなかった場合(いわゆる、ハズレ時)、ハズレとなる確率は設定差によって異なるものの、ハズレ時の減少数は、減少合計数に含めてもよく、また、含めなくともよい。
【0178】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0179】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41c RAM
、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a サブCPU、91c RAM。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18