(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】微生物を検出し同定するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6813 20180101AFI20220328BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220328BHJP
C12Q 1/10 20060101ALI20220328BHJP
C12Q 1/14 20060101ALI20220328BHJP
C12Q 1/689 20180101ALI20220328BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220328BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20220328BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
C12Q1/04 ZNA
C12Q1/10
C12Q1/14
C12Q1/689 Z
C12N15/09 Z
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2017515830
(86)(22)【出願日】2015-09-17
(86)【国際出願番号】 US2015050741
(87)【国際公開番号】W WO2016044621
(87)【国際公開日】2016-03-24
【審査請求日】2018-09-12
(32)【優先日】2014-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517091849
【氏名又は名称】ヒーリクスバインド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】シンガー アロン
(72)【発明者】
【氏名】プラカシュ ランジット
(72)【発明者】
【氏名】ラピレディー シュリーニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】ノーリング ヨーク
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/176992(WO,A2)
【文献】特表2013-512685(JP,A)
【文献】特表2012-526996(JP,A)
【文献】特表2008-539712(JP,A)
【文献】特表2008-531028(JP,A)
【文献】国際公開第2011/028494(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0003332(US,A1)
【文献】Proc of SPIE, Vol. 4982, 2003, p.170-177
【文献】Lab Chip, 2012, Vol.12, No.18, p.3341-3347
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から得られる試料中の1つまたは複数の特定の微生物種を同定するための方法であって、試料から真核生物DNAを真核細胞の選択的溶解を通じて枯渇させること;
試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解すること、ここで1つまたは複数の微生物細胞の溶解は、複数の微生物遺伝物質を放出させる;
複数の微生物遺伝物質を陰イオン交換樹脂を用いて単離すること;
複数の微生物遺伝物質を増幅すること;
増幅された微生物遺伝物質を複数のDNA侵入人工核酸(DIANA)と接触させること、ここで複数のDIANAは、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなるガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブを含む;および
微生物のそのそれぞれの単一種または群の微生物遺伝物質への1つまたは複数のガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブの結合を検出すること、ここで結合の検出は、試料中の、1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群の存在を示し、試料中の1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群は、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなる1つまたは複数のガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブとの結合を検出することによって同定される
を含む方法。
【請求項2】
試料から真核生物DNAを枯渇させることが、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することを含み、真核細胞溶解用溶液が、微生物細胞に対して真核細胞を選択的に標的としかつ優勢に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料と組み合わせられた真核細胞溶解用溶液が約0.25%~1%(v/v)のTween界面活性剤、約0.2%~0.65%(v/v)のTritonまたはIGEPALを含み、約6~9のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の微生物遺伝物質を単離することが、微生物遺伝物質を陰イオン性-交換微小粒子に結合させ、微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解することが、1つまたは複数の微生物細胞を、DNAインターカレーティング色素を含む溶解緩衝液と接触させることを含み、DNAインターカレーティング色素が、エチジウムモノアジド(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、またはその組合せから選択されてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することが、単離された複数の微生物遺伝物質を、約3~7.5のpH、少なくとも1つの一価の塩であって、一価の塩濃度が約0.75M~2.75Mである一価の塩、少なくとも1つの非イオン性洗浄剤であって、非イオン性洗浄剤濃度が約0.01%~1.0%(v/v)である非イオン性洗浄剤、および少なくとも1つの両性イオン性洗浄剤であって、両性イオン性洗浄剤濃度が約0.1×~400×CMCである両性イオン性洗浄剤を含む洗浄緩衝液と接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
複数の微生物遺伝物質を増幅することが約400~2000bpのアンプリコンを得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
DIANAが1つまたは複数のリンカーを含み、リンカーが、長さが約40~200原子であってもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
DIANAが1つまたは複数の結合部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数のDIANAを含む組成物であって、DIANAが、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなるガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブを含み、該組成物は、試料中の特定の微生物種または微生物の群を同定するため、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなるガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブを少なくとも1つ含む、組成物。
【請求項11】
対象から得られる試料中の1つまたは複数の特定の微生物種を同定するための方法であって、試料から真核生物DNAを真核細胞の選択的溶解によって枯渇させること;
試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解すること、ここで1つまたは複数の微生物細胞の溶解は、複数の長さが2kb~290kbである微生物遺伝物質を放出させる;
陰イオン交換樹脂を用いて複数の微生物遺伝物質を精製すること;
複数の微生物遺伝物質を増幅して長さが400~4000bpであるアンプリコンを生成すること;
増幅された微生物遺伝物質を少なくとも1つのDNA侵入人工核酸(DIANA)であって、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなるガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブを含むDNA侵入人工核酸(DIANA)と接触させること;および
微生物のそのそれぞれの単一種または群の微生物遺伝物質への少なくとも1つのガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブの結合を検出すること、ここで結合の検出は、試料中の、1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群の存在を示し、試料中の1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群は、配列番号1~2、4~7及び9~22からなる群から選択される配列
からなる1つまたは複数のガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブとの結合を検出することによって同定されること
を含む方法。
【請求項12】
増幅された微生物遺伝物質を少なくとも1つのDNA侵入人工核酸(DIANA)であって、配列番号25~37からなる群から選択される配列
からなるガンマ修飾ペプチド核酸(PNA)プローブを含むDNA侵入人工核酸(DIANA)と接触させることを更に含む、請求項1又は11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2014年9月17日に提出された米国仮出願第62/051,447号の利益およびこれへの優先権を主張し、その内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
政府支援
本発明は、国立保健研究所(NIH)によって与えられた契約番号第R43-OD016466号および第R43AI109913号の下、政府の支援により行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、読者の理解を助けるために提供される。提供された情報も引用された参考文献も本明細書で開示された組成物および方法への先行技術であると認められない。
血流感染(BSI)は、米国における死亡の6番目に多い原因および最も費用が掛かる病院治療状態になるまで高まった。BSIは、全てのICU利用の25%および米国における全ての病院死のおよそ50%を占める。BSIは、細菌または真菌によって典型的に引き起こされ、効果的な疾患管理には、それらの早期のかつ正確な同定が必要である。BSIは、典型的には、潜在的な病原体を同定するために最大数日かかる一連の血液培養を通して同定される。
分子診断法は、適切なタイミングで、非常に詳細な情報を介護者に提供する。感染症の場合、いくつかの病原体は、類似した病態生理学的症状をしばしば誘発するので、治療プロトコールを処方する際、感染病原体の同定が重要である。しかしながら、多くの病原体種は、決まって、治療の潜在的な諸ラインに対して大きく異なった応答を示す。
微生物病原体を同定するための分子診断法は、それらのそれぞれのゲノム物質中の保存された領域を探索することによって行われ得る。ゲノム同定のための方法は、病原性DNAの単離および検出を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本テクノロジーは、対象からの試料中の1つまたは複数の特定の微生物種を同定するための方法であって、試料から真核生物DNAを枯渇させること;試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解することであって、複数の微生物遺伝物質を放出させる、溶解すること;複数の微生物遺伝物質を単離すること;複数の微生物遺伝物質を増幅すること;増幅された微生物遺伝物質を複数のDNA侵入人工核酸(DNA Invading Artificial Nucleic Acid)(DIANA)と接触させることであって、複数のDIANAが、配列番号1~37からなる群から選択される配列を含む、接触させること;および微生物のそのそれぞれの単一種または群の微生物遺伝物質への1つまたは複数のDIANAの結合を検出することであって、結合の検出が試料中の1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群の存在を示す、検出することを含む方法を提供する。
【0004】
一部の実施形態では、単離された複数のゲノム物質は、精製される。
一部の実施形態では、試料から真核生物DNAを枯渇させることは、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することであって、真核細胞溶解用溶液が、微生物細胞に対して真核細胞を選択的に標的としかつ優勢に溶解する、添加することを含む。
一部の実施形態では、試料と組み合わせられた真核細胞溶解用溶液は、約0.25%~1%(v/v)のTween界面活性剤、約0.2%~0.65%(v/v)のTritonまたはIGEPALを含み、約6~9のpHを有する。
一部の実施形態では、遊離の真核生物DNAは、約0.1M~0.85Mの一価の塩濃度を有する約6~9のpHの条件下で陰イオン性-交換(anionic-exchange)微小粒子を使用して血液反応から除去される。
【0005】
一部の実施形態では、試料は、血液または痰である。
一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
一部の実施形態では、複数の微生物遺伝物質を単離することは、微生物遺伝物質を陰イオン性-交換微小粒子に結合させ、微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することを含む。
【0006】
一部の実施形態では、単離された微生物遺伝物質は、RNA、DNA、またはその組合せである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖または二本鎖である。
一部の実施形態では、試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解することは、1つまたは複数の微生物細胞を、DNAインターカレーティング色素(DNA intercalating dye)を含む溶解緩衝液と接触させることを含む。
一部の実施形態では、DNAインターカレーティング色素は、エチジウムモノアジド(ethidium monazide)(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、またはその組合せから選択される。
【0007】
一部の実施形態では、微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することは、単離された複数の微生物遺伝物質を、約3~7.5のpH、少なくとも1つの一価の塩であって、一価の塩濃度が約0.75M~2.75Mである一価の塩、少なくとも1つの非イオン性洗浄剤であって、非イオン性洗浄剤濃度が約0.01%~1.0%(v/v)である非イオン性洗浄剤、および少なくとも1つの両性イオン性洗浄剤であって、両性イオン性洗浄剤濃度が約0.1×~400×CMCである両性イオン性洗浄剤を含む洗浄緩衝液と接触させることを含む。
一部の実施形態では、複数の微生物遺伝物質を増幅することは、約400~2000bpのアンプリコンを生ずることを含む。
一部の実施形態では、DIANAは、1つまたは複数のリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、長さが約40~200原子である。
【0008】
一部の実施形態では、DIANAは、1つまたは複数の結合部分を含む。
別の態様では、本テクノロジーは、多方向の流れを可能にする複数の相互接続されたチャンバーを含むカートリッジであって、第1のチャンバーが反応チャンバーであり、第1のチャンバーが約10μl~10mlの試料を受け取るように構成されており;第2のチャンバーが溶解用溶液貯蔵チャンバーであり;第3のチャンバーが溶解終結溶液(lysis termination solution)貯蔵チャンバーであり;第4のチャンバーが陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーであり;第5のチャンバーがアウトプットチャンバーである、カートリッジ;および流体デバイス(fluidic device)であって、複数の流れチャネル(flow channel)を含む流体デバイスであって、第1の流れチャネルが第1のチャンバーを第2のチャンバーに連結し、第2の流れチャネルが第1のチャンバーを第3のチャンバーに連結し、第3の流れチャネルが第1のチャンバーを第4のチャンバーに連結し、かつ第4の流れチャネルが第1のチャンバーを第5のチャンバーに連結する、流体デバイスを含むデバイスを提供する。
一部の実施形態では、流体デバイスは、流れゲート(flow-gate)であって、2つ以上のチャンバーを連結する流れチャネル間に配置されている流れゲートをさらに含む。
一部の実施形態では、流体デバイスは、1つまたは複数のニューマチックインターフェース(pneumatic interface)であって、少なくとも1つのチャンバーに流体連結(fluid connection)されているニューマチックインターフェースをさらに含む。
【0009】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーは、陰イオン交換樹脂を含む。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーは、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂を含む。
一部の実施形態では、溶解用溶液貯蔵チャンバーは、真核生物溶解用溶液を含み、試料と組み合わせられた真核生物溶解用溶液は、約0.25%~1%(v/v)のTween界面活性剤および約0.2%~0.65%(v/v)のTritonまたはIGEPALを含む。
一部の実施形態では、Tween界面活性剤は、Tween-20、Tween-40、およびTween-80からなる群から選択される。一部の実施形態では、Tritonは、Triton X-100またはTriton X-114である。
【0010】
一部の実施形態では、IGEPALは、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-630、およびIGEPAL CO-720からなる群から選択される。
一部の実施形態では、流体撹拌は、チャンバーの1つまたは複数中への無菌気体(sterile gas)の流れによって作製される。
一部の実施形態では、デバイスは、独立型デバイスである。一部の実施形態では、デバイスは、第2のデバイス中のモジュールであり、ここで、第2のデバイスは、モジュールの上流および/または下流処理を行う。
別の態様では、本テクノロジーは、1つまたは複数のDIANAを含む組成物であって、DIANAが、配列番号1~37からなる群から選択される配列を有する組成物を提供する。
一部の実施形態では、1つまたは複数のDIANAは、固体支持体に結合している。
一部の実施形態では、1つまたは複数のDIANAは、検出可能なマーカーを含む。
【0011】
別の態様では、本テクノロジーは、試料から真核生物DNAを枯渇させるための方法であって、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することであって、真核細胞溶解用溶液が、デバイスを使用して、微生物細胞に対して真核細胞を選択的に標的としかつ優勢に溶解する、添加することを含む方法を提供し、このデバイスは、多方向の流れを可能にする複数の相互接続されたチャンバーを含むカートリッジであって、第1のチャンバーが反応チャンバーであり、第1のチャンバーが約10μl~10mlの試料を受け取るように構成されており;第2のチャンバーが溶解用溶液貯蔵チャンバーであり;第3のチャンバーが溶解終結溶液貯蔵チャンバーであり;第4のチャンバーが陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーであり;第5のチャンバーがアウトプットチャンバーである、カートリッジ;および複数の流れチャネルを含む流体デバイスであって、第1の流れチャネルが第1のチャンバーを第2のチャンバーに連結し、第2の流れチャネルが第1のチャンバーを第3のチャンバーに連結し、第3の流れチャネルが第1のチャンバーを第4のチャンバーに連結し、かつ第4の流れチャネルが第1のチャンバーを第5のチャンバーに連結する、流体デバイスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】溶液から真核生物DNAを除去するための典型的な、非限定的なプロセスを示す概略図である。
【
図2A】溶液から真核生物DNAを除去するためのデバイスの典型的な、非限定的な実施形態の俯瞰図である。
【
図2B】溶液から真核生物DNAを除去するためのデバイスの典型的な、非限定的な実施形態の開かれた俯瞰図である。
【
図2C】溶液から真核生物DNAを除去するためのデバイスの典型的な、非限定的な実施形態の下面図である。
【
図3】溶解緩衝液を使用した全血からのヒトDNA(hDNA)の抽出のための典型的な、非限定的な方法を示す概略図である。
【
図4】溶解緩衝液が真核細胞を標的とすることを示す典型的な、非限定的な方法を示す概略図である。
【
図5】試料から真核生物DNAを除去するための典型的な、非限定的な方法を示す概略図である。
【
図6】残存物ヒトDNA(hDNA)がオンベンチとオンチップアッセイの両方に関するPCRプロセスに著しく影響を及ぼさないことを示すゲルである。
【
図7】ヒト血液試料中の黄色ブドウ球菌の検出を示すチャートである。ここで、黄色ブドウ球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図8】ヒト血液試料中の表皮ブドウ球菌の検出を示すチャートである。ここで、表皮ブドウ球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図9】ヒト血液試料中のスタフィロコッカス・ルグドゥネンシスの検出を示すチャートである。ここで、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシスが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図10】ヒト血液試料中のストレプトコッカス・アガラクチアの検出を示すチャートである。ここで、ストレプトコッカス・アガラクチアが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図11】ヒト血液試料中の肺炎球菌の検出を示すチャートである。ここで、肺炎球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図12】ヒト血液試料中の化膿性連鎖球菌の検出を示すチャートである。ここで、化膿性連鎖球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図13】ヒト血液試料中のフェカリス菌の検出を示すチャートである。ここで、フェカリス菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図14】ヒト血液試料中のフェシウム菌の検出を示すチャートである。ここで、フェシウム菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図15】ヒト血液試料中の大腸菌の検出を示すチャートである。ここで、大腸菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図16】ヒト血液試料中のアシネトバクター・バウマンニの検出を示すチャートである。ここで、アシネトバクター・バウマンニが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図17】ヒト血液試料中のエンテロバクター・エロゲネスの検出を示すチャートである。ここで、エンテロバクター・エロゲネスが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図18】ヒト血液試料中のエンテロバクター・クロアカの検出を示すチャートである。ここで、エンテロバクター・クロアカが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図19】ヒト血液試料中の肺炎桿菌の検出を示すチャートである。ここで、肺炎桿菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図20】ヒト血液試料中のクレブシエラ・オキシトカの検出を示すチャートである。ここで、クレブシエラ・オキシトカが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図21】ヒト血液試料中の緑膿菌の検出を示すチャートである。ここで、緑膿菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図22】ヒト血液試料中の霊菌の検出を示すチャートである。ここで、霊菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図23】ヒト血液試料中のカンジダ・アルビカンスの検出を示すチャートである。ここで、カンジダ・アルビカンスが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図24】ヒト血液試料中のカンジダ・グラブラータの検出を示すチャートである。ここで、カンジダ・グラブラータが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図25】ヒト血液試料中のカンジダ・トロピカリスの検出を示すチャートである。ここで、カンジダ・トロピカリスが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図26】ヒト血液試料中のカンジダ・パラプシローシスの検出を示すチャートである。ここで、カンジダ・パラプシローシスが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図27】ヒト血液試料中のカンジダ・クルセイの検出を示すチャートである。ここで、カンジダ・クルセイが高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図28】ヒト血液試料中の大腸菌およびカンジダ・アルビカンスの検出を示すチャートである。ここで、黄色ブドウ球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図29】ヒト血液試料中の大腸菌および黄色ブドウ球菌の検出を示すチャートである。ここで、大腸菌および黄色ブドウ球菌が高負荷および低負荷で血液試料に播種された。
【
図30】単一発光色/波長を使用した23病原体群のそれぞれを分析し得る18ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図31】3色蛍光系を使用した21病原体群のそれぞれを分析し得る6ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図32】単一発光色/波長を使用した21病原体群のそれぞれを分析し得る11ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図33】単一発光色/波長を使用した21病原体群のそれぞれを分析し得る18ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図34】単一発光色/波長を使用した21病原体群のそれぞれを分析し得る12ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図35】単一発光色/波長を使用した5グラム陰性病原体群のそれぞれおよびそれらの耐性同定を分析し得る6ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図36】単一発光色/波長を使用した4グラム陰性病原体群のそれぞれおよびそれらの耐性同定を分析し得る6ウェル系の典型的な、非限定的なレイアウトである。
【
図37】試料中の微生物を単離する、検出する、かつ同定するための典型的な、非限定的なダイヤグラムである。ここで、hDNAは、ヒトDNAであり、gDNAは、微生物DNAである。
【
図38】全長(約1.5kbp)16S/18Sアンプリコン(リボソームDNA)の使用がランダムなDNA汚染によって産出されるバックグラウンドレベルを減少させるのに有利であることを示すグラフである。in silicoシミュレーション(各データポイントに関してn=10,000シミュレーション)は、より短い断片がより長い断片よりも増幅可能である傾向が著しく強いことを強調している。汚染は、典型的に低品質(低分子量)のものであるので、より長いアンプリコン(例えば、1.5kbpアンプリコン)を標的とすることにより、汚染DNAを増幅する可能性を減少させることができる。チャートにおけるgDNAは、ランダムに剪断された微生物DNAを表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上で導入され、以下でより詳細に考察される本テクノロジーの様々な態様および実施形態は、任意の数の方法で実行され得、本明細書に記載されたように、実行のいかなる特定の様式にも限定されない。特定の実行および適用の例は、主に例示的目的で提供される。
【0014】
本明細書では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないと明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「細胞」への言及は、2つ以上の細胞の組合せなどを含む。
【0015】
本明細書では、「約」は、当業者によって理解されることになり、それが使用される文脈に依存してある程度変動することになる。当業者に明白ではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、その特定の用語の最大プラスまたはマイナス10%を意味することになる。
【0016】
本明細書では、「原子」は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、または2つ以上の共有結合を作製する能力がある任意の原子を表す。代わりに、一部の実施形態では、「原子」は、2つの共有結合している原子間の距離を表す。例として、限定することなく、以下の構造:DIANA-(CH2)40-(結合部分)は、40原子の長さを有するリンカー(-(CH2)40-)を有する。例として、限定することなく、以下の構造:DIANA-(CH2)40-O-(CH2)40-(結合部分)は、81原子の長さを有するリンカー(-(CH2)40-O-(CH2)40-)を有する。例として、限定することなく、以下の構造:DIANA-(CH2)40-O-NH-(CH2)30-(結合部分)は、72原子の長さを有するリンカー(-(CH2)40-O-NH-(CH2)30-)を有する。例として、限定することなく、以下の構造:DIANA-(CH2)40-O-N(CH2)3CH3-(CH2)30-(結合部分)は、72原子の長さを有するリンカー(-(CH2)40-O-N(CH2)3CH3-(CH2)30-)を有する(-(CH2)3CH3構成成分は、窒素原子から枝分かれしており、リンカーの長さに寄与しない)。
【0017】
本明細書では、「侵入」という用語は、ワトソン・クリック塩基対形成を通した(局所的または普遍的)二本鎖または二重鎖ゲノム物質(例えば、RNAまたはDNA)へのDNA侵入人工核酸(DIANA)の結合を表す。
本明細書では、「多方向の流れ」という用語は、1つを超える方向での流体または試料の流れを可能にすることを表す。例として、限定することなく、一部の実施形態では、流体または試料がチャンバー1からチャンバー2およびチャンバー2からチャンバー1に流れ得る場合、デバイスの2つのチャンバー、例えば、チャンバー1およびチャンバー2間の多方向の流れがある。一部の実施形態では、多方向の流れは、2つのチャンバーを連結している単一チューブまたは流れチャネル内にある。一部の実施形態では、多方向の流れは、2つのチャンバーを連結している1つを超えるチューブまたは流れチャネルによって達成される。
当業者に理解されることになるように、任意のおよび全ての目的に関して、特に、文書の説明を提供する観点から、本明細書で開示された全ての範囲は、任意のおよび全ての可能なサブ範囲およびそのサブ範囲の組合せも包含する。任意の列挙された範囲は、同じものを十分に説明かつ可能にすると容易に認識され得る。
【0018】
一般
典型的に、感染症のための分子診断法は、病原体のゲノム物質、すなわち、そのDNAまたはRNAへのアクセスを必要とする。大部分の方法は、微生物生体を溶解し(例えば、機械的に、化学的に、または両方の組合せを通して)、それによって、それらのゲノム物質を抽出することを含む。方法または市販のキットが塩、緩衝液および追加の細胞残骸からゲノム物質を精製して、さらなる処理、例えば、増幅および検出の準備が整っている純粋なまたは不純物のないゲノム産物をもたらすために使用される。
【0019】
一部の分子診断法では、全血が出発物質または試料として使用される。全血は、白血球、赤血球、および血小板などの複数の細胞型、ならびに自然発生の有機および無機構成成分を含有する複合溶液である。血液構成成分があると、例えば、酵素的PCRまたは等温増幅などのDNAおよび/またはRNAの追加のまたは下流処理が困難になる(かつ完全に阻止までもし得る)。その上、体液試料採取中に通例使用される抗凝固薬および保存剤がさらに酵素的処理の障害となり得る。
全血中のヒトDNA(hDNA)が酵素的増幅(例えば、PCRまたは等温増幅)に供されることになる場合、一部の市販のキットでは、単純な熱ショックで白血球を溶解することによってゲノム物質を血液/緩衝溶液に曝露することが可能でことにより、hDNA精製ステップが低減されている。これらのキットは、感受性が徹底的に損なわれる前に、典型的な反応における5~20%の全血の処理のみを典型的に可能にし;したがって、キットは、単一反応において試験される血液の体積を約20μlに通常限定する。hDNAが検出前に増幅される場合、低試料体積は、十分なhDNAが酵素的増幅プロセスを成功的に行うために回復され得るので、限定事項ではない。
【0020】
しかしながら、血液が血液中に存在する病原体を同定するための分子診断法のための試料として使用される場合、試験試料体積を数十マイクロリットルに限定することは、特に、病原体が血液試料中に非常に低い濃度で存在する場合、不利である。例として、限定することなく、ヒト血液に感染する微生物病原体の負荷レベル(血液の単位体積中に存在する微生物病原体の数として定義される)は、全血中で10細胞/mlまでも低くてもよい一方、ヒト全血の典型的なミリリットルは、約4×106~11×106白血球または白血球細胞(WBC)を含有する。ヒトゲノムのサイズを考慮すると、1mlのヒト全血中のhDNA含有量は、典型的に20~60μgにわたる一方、1mlの血液中の微生物DNAの質量は、典型的に50fg~50pgにわたる。
【0021】
本テクノロジーは、一般に、試料中の微生物細胞を単離する、検出する、かつ/または同定するための方法およびデバイスに関する。一部の実施形態では、方法およびデバイスは、試料中の微生物細胞の1つまたは複数の種を同定し得る。一部の実施形態では、試料中の微生物細胞の検出および同定は、試料から真核生物DNAを除去することを含む。一部の実施形態では、本テクノロジーは、試料の流体体積、例えば、約1ml中の微生物の感受性の高い検出を提供する方法およびデバイスを提供する。一部の実施形態では、本テクノロジーは、微生物感染の感受性検出の前にヒト核酸を選択的に除去することによって体液に存在する微生物病原体の検出感受性を増加させるための方法およびデバイスを開示する。一部の実施形態では、本テクノロジーの方法は、完全に自動化されており、標準的な実験プロセス、例えば、DNAを抽出するための従来の遠心分離を必要としない。
別の態様では、本テクノロジーは、培養ステップを必要としない血流感染を診断するための方法およびデバイスを記載する。一部の実施形態では、方法およびデバイスは、血液試料から直接的にかつ血液試料を培養することなく、臨床的に関連する負荷レベルで微生物のパネルを検出し同定する。
【0022】
試料中の微生物を単離する、検出する、かつ同定するための方法
一部の実施形態では、本テクノロジーは、試料中の微生物細胞を単離する、検出する、かつ/または同定するための方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、以下のステップの1つまたは複数を含む:試料から真核生物DNAを枯渇させること、試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解することであって、複数の微生物遺伝物質を放出させる、溶解すること、複数の微生物遺伝物質を単離すること、複数の微生物遺伝物質を増幅すること、増幅された微生物遺伝物質を複数の二重鎖DNA侵入人工核酸(DIANA)と接触させることであって、各DIANAが特定の病原体または病原体の群の微生物遺伝物質を標的とする、接触させること、およびそれらの標的微生物遺伝物質への1つまたは複数のDIANAの結合を検出することであって、結合の検出が1つまたは複数の特定の微生物種の存在を示す、検出すること。
【0023】
一部の実施形態では、方法は、5つのステッププロセスを含む(
図37を参照されたい):(1)穏やかなまたは選択的真核細胞溶解;(2)病原体溶解;(3)微生物ゲノム物質の捕獲単離および精製;(4)酵素的増幅;および(5)DNA侵入人工核酸(DIANA)ベース検出および同定。一部の実施形態では、上記の方法は、血液培養プロセスを行う必要なく、処理されていない血液からの直接的な臨床的に関連する微生物負荷レベルでの微生物病原体の同定も可能にする。一部の実施形態では、全プロセス(すなわち、ステップ1~5)には、約8時間未満が必要である。一部の実施形態では、全プロセスには、約1~5時間が必要である。一部の実施形態では、全プロセスには、約2~4時間が必要である。
【0024】
例として、限定することなく、かつ理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、上で開示された典型的な5つのステップ方法、および本明細書で記載された各典型的なステップの実施形態は、以下の利点を提供する:
ステップ1)本明細書で記載された選択的真核(eurkaryotic)細胞溶解を通して真核生物DNAを除去するための方法は、汚染がなく、ヒトの介入のないプロセスを可能にし、相互汚染またはDNAemiaによる偽陽性を減少させる閉じられた流体のカートリッジ上において容易に自動化可能である。
ステップ2)本明細書で記載された微生物細胞溶解のための方法は、1つまたは複数の微生物(例えば、細菌および/または真菌細胞)から長い(例えば、2kbp~290kbp)微生物ゲノム物質(例えば、DNAまたはRNA)を迅速かつ高収率で作製する。一部の実施形態では、本明細書で記載された微生物細胞溶解方法は、強く相互作用し、かつ本明細書に記載の微生物ゲノム物質の下流単離および精製中に陰イオン交換樹脂から容易に放出される長い微生物ゲノム物質を作製する。
ステップ3)一部の実施形態では、本明細書で記載された長い微生物ゲノム物質の精製のための方法は、陰イオン交換樹脂を通した長い微生物ゲノム物質単離を好ましくは可能にし、同時に高度に純粋なゲノム物質をもたらす条件を提供する。高度に純粋かつ長い微生物ゲノム物質の精製は、本明細書で記載された下流増幅プロセスにおける長いアンプリコンの効率的な作製を可能にする。
ステップ4)一部の実施形態では、長いアンプリコンを増幅することにより、環境汚染物質を増幅する見込みが減少する(
図38を参照されたい)ので、長いアンプリコン(例えば、約400bp~4000bp)の作製により、DIANAへの感受性が増加する。長いアンプリコンの作製は、短いアンプリコンを増幅することと比較して効率性が低いので、ハイブリダイゼーションのための増幅ステップ中の長いアンプリコンの作製は、一般に当技術分野においてあまり教示されていない。
ステップ5)一部の実施形態では、DIANAの使用により、高レベルの詳細において微生物の広範なパネルに関してゲノム間変動も種間変動もない高度に保存されたゲノム領域を標的とすることが可能になる。さらに、長いアンプリコンに侵入しこれを探索するためのDIANAの使用する上で、DNAプローブのハイブリダイゼーションにおいて障害となるであろう、DNAの内部二次構造の形成が問題となることもない。
【0025】
一部の実施形態では、上記の方法は、固体基板への高い効率および選択性を有する長い二重鎖DNAの固定化の利点を提供する。
一部の実施形態では、試料中のまたは試料中にあることが疑われる微生物細胞は、細菌細胞、真菌細胞、ウイルス粒子、またはその組合せを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、試料は、体液、体分泌物、または体排出物である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、試料は、便、痰、尿、血液を含むが、これらに限定されない。
【0026】
一部の実施形態では、試料は、約1μl、10μl、20μl、30μl、40μl、50μl、60μl、70μl、80μl、90μl、100μl、または前に列挙された量の任意の2つ間の任意の量である。一部の実施形態では、試料は、約100μl~2.5ml、約200μl~2ml、約300μl~1.5ml、約400μl~1ml、または約500μl~750μlである。一部の実施形態では、試料は、約0.5ml~10ml、約1ml~9ml、約2ml~8ml、約3ml~7ml、または約4ml~6mlである。
一部の実施形態では、試料は、対象からである。対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、昆虫、両生類、および魚類を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。
【0027】
一部の実施形態では、本テクノロジーは、試料中の微生物の存在を検出するための方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、穏やかなまたは選択的な細胞溶解剤を試料に添加することであって、細胞溶解剤が微生物細胞と比較して真核細胞を優勢に溶解し、微生物細胞の大部分を無傷のままにしておく、添加すること、試料から真核細胞の溶解によって放出された真核生物DNAを除去することであって、単離された微生物細胞が試料中に残る、除去すること、および単離された微生物細胞を分子診断法に供することを含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、分子診断法は、単離された微生物細胞を溶解すること、微生物DNAまたはRNAを単離すること、および核酸プローブ、直接配列決定、またはゲノム物質を同定するための当技術分野で既知の任意の他の方法を使用してゲノム物質を同定することを含む。一部の実施形態では、単離された微生物DNAまたはRNAは、標的または非標的増幅に供される。一部の実施形態では、微生物の存在を検出するための方法は、溶解反応を終結させることも含む。
【0028】
一部の実施形態では、試料は、対象からである。対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、昆虫、両生類、および魚類を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
一部の実施形態では、試料中のまたは試料中にあることが疑われる微生物細胞は、細菌細胞、真菌細胞、ウイルス粒子、またはその組合せを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、試料は、体液、体分泌物、または体排出物である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、試料は、便、痰、尿、および血液を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、試料は、約1μl~50μl、約10μl~3.0ml、約20μl~2.5ml、約30μl~2.0ml、約40μl~1.5ml、約50μl~1.0ml、約60μl~90μl、約70μl~80μl、または約0.5ml~10mlである。
【0029】
試料から真核細胞を枯渇させること
一部の実施形態では、試料から真核生物DNAを枯渇させることは、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することであって、真核細胞溶解用溶液が、微生物細胞に対して真核細胞を優勢に溶解する、添加すること、および試料から真核細胞の溶解によって放出された真核生物DNAを除去することであって、1つまたは複数の無傷の微生物細胞が試料中に残る、除去することを含む。一部の実施形態では、方法は、真核細胞溶解反応を終結させることを含む。
【0030】
真核細胞の溶解
一部の実施形態では、真核細胞溶解剤は、溶液(以下、「真核細胞溶解用溶液」)である。代わりに、一部の実施形態では、真核細胞溶解剤は、ペレット化され、使用前に水または水性緩衝液に再懸濁される。
一部の実施形態では、真核細胞溶解用溶液は、1つまたは複数の洗浄剤または界面活性剤を含む。一部の実施形態では、洗浄剤または界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性、または非洗浄剤スルホベタインである。洗浄剤および界面活性剤は、BigCHAP、Deoxy BigCHAP、Brij 35、Brij 58P、Cymal-1、Cymal-2、Cymal-5、Cymal-6、Decyl-β-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、n-ヘキサデシル-β-D-マルトシド、ウンデシル-β-D-マルトシド、デシル-β-D-1-チオマルトピラノシド、オクチル-β-D-グルコピラノシド、デシル-β-D-1-チオグルコピラノシド、オクチル-β-Dチオグルコピラノシド、ジギトニン、ジメチルデシルホスフィンオキシド(APO-10)、ドデシルジメチルホスフィンオキシド(APO-12)、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-630、およびIGEPAL CO-720、N-オクタノイル-N-メチルグルカミン(MEGA-8)、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン(MEGA-9)、N-デカノイル-N-メチルグルカミン(MEGA-10)、ノニデット P40-代用品、プルロニック F-68、サポニン、thesit、Triton X-100、Triton X-114、TWEEN 20、TWEEN 40、TWEEN 80、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、N-l-ラウロイルザルコシン、ドデシル硫酸リチウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)、臭化トリメチル(テトラデシル)アンモニウム(TTAB)、ASB-14(アミドスルホベタイン-14)、ASB-16(アミドスルホベタイン-16)、C7BzO、CHAPS、CHAPSO、EMPIGEN BB、3-(N,N-ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩(SB3-8)、3-(デシルジメチルアンモニオ)-プロパンスルホネート分子内塩(SB3-10)、3-(ドデシルジメチルアンモニオ)-プロパンスルホネート分子内塩(SB3-12)、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)-プロパンスルホネート(SB3-14)、3-(N,N-ジメチルパルミチルアンモニオ)-プロパンスルホネート(SB3-16)、3-(N,N-ジメチルオクタデシルアンモニオ)-プロパンスルホネート(SB3-18)、3-(1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホネート(NDSB 201)、および3-(ベンジルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート(NDSB 256)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
例として、限定することなく、一部の実施形態では、真核細胞溶解用溶液は、約0.27%~15%v/v、約0.39%~13%v/v、約0.45%~12%(v/v)、もしくは約0.60%~10%(v/v)のTween界面活性剤および/または約0.22%~10%(v/v)、約0.16%~8.25%(v/v)、もしくは約0.44%~6.75%(v/v)のTritonまたはIGEPALの界面活性剤の濃度を有する。一部の実施形態では、Tween界面活性剤は、Tween-20、Tween-40、およびTween-80からなる群から選択される。一部の実施形態では、Tritonは、Triton X-100またはTriton X-114である。一部の実施形態では、IGEPALは、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-630、およびIGEPAL CO-720からなる群から選択される。
【0032】
一部の実施形態では、界面活性剤は、乾燥形で個々に保管され、使用前に再懸濁される。
例として、限定することなく、一部の実施形態では、真核細胞溶解反応(例えば、試料と組み合わせられた真核細胞溶解用溶液(以下、「混合物」))は、約0.25%~1%(v/v)、約0.35%~0.85%(v/v)、約0.45%~0.75%(v/v)、もしくは約0.55%~0.65%(v/v)のTween界面活性剤および/または約0.15%~0.65%(v/v)、約0.25%~0.55%(v/v)、もしくは約0.35%~0.45%(v/v)のTritonまたはIGEPALの界面活性剤の最終濃度を含む。一部の実施形態では、Tween界面活性剤は、Tween-20、Tween-40、およびTween-80からなる群から選択される。一部の実施形態では、Tritonは、Triton X-100またはTriton X-114である。一部の実施形態では、IGEPALは、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-630、およびIGEPAL CO-720からなる群から選択される。
【0033】
一部の実施形態では、洗浄剤は、真核細胞の構造的完全性を減少させる。
一部の実施形態では、少なくとも1つの泡止め剤が真核細胞溶解用溶液と組み合わせられる。泡止め剤は、Antifoam A、Antifoam 204、Antifoam B、Antifoam C、Antifoam Y-30、Antifoam SE-15、およびシメチコンベース消泡剤を含むが、これらに限定されない。
【0034】
一部の実施形態では、混合物は、約0.15M未満の一価の塩を含有する。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、混合物が約0.15M未満の一価の塩を含有する場合、浸透圧ストレスの誘発がある。一部の実施形態では、混合物は、約0.15M~0.75M、約0.2M~0.7M、約0.25M~0.65M、約0.3M~0.6M、約0.35M~0.55M、または約0.4M~0.5Mの一価の塩を含む。
一部の実施形態では、真核細胞溶解用溶液対試料の体積比は、約0.25:1、0.5:1、0.75:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、またはこれらの比の任意の2つ間の任意の比である。
一部の実施形態では、真核細胞溶解反応は、約室温で行われる。一部の実施形態では、真核細胞溶解反応は、約5℃~20℃、約9℃~16℃、または約12℃~13℃で行われる。一部の実施形態では、真核細胞溶解反応は、約25℃~75℃、約30℃~70℃、約35℃~65℃、約40℃~60℃、または約45℃~55℃の温度で行われる。
【0035】
一部の実施形態では、真核細胞溶解反応は、約0.01~20分、約0.1~9.0分、約1.0~8.0分、約2.0~7.0分、約3.0~6.0分、約4.0~5.0分間行われる。一部の実施形態では、真核細胞溶解プロセスは、約5分後に停止される。
一部の実施形態では、真核細胞溶解用溶液は、緩衝剤を含有しない。他の実施形態では、真核細胞溶解用溶液は、緩衝剤を含有する。緩衝剤の例は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(ビス-トリス)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)(トリス)、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム/重炭酸(Bicaronate)緩衝液、酢酸ナトリウム、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(4-ブタンスルホン酸)(HEPBS)、N-メチルピペラジン、ピペラジン、ジエタノールアミン、およびプロパン1,3-ジアミノを含むが、これらに限定されない。
【0036】
一部の実施形態では、真核細胞溶解反応のpHは、約6~9のpHである。一部の実施形態では、pHは、中性または中性付近である。約6~9または中性付近のpHでの真核細胞の選択的溶解は、真核細胞溶解反応に関してアルカリ条件(例えば、pH9.5~14での)を強調する現法と対照的である。一部の実施形態では、約6~9または中性付近のpHで真核細胞溶解反応を行うことは、いくつかの界面活性剤の存在下での微生物細胞の生存能力および/または構造的完全性の増加により、当技術分野で既知の現法よりも有利である。
一部の実施形態では、本明細書で記載された真核細胞溶解反応のための方法は、当技術分野で既知の現法よりも有利であるが、なぜなら本明細書で記載された真核細胞溶解反応方法は、統合デバイスにおける自動化に適しているからである。
【0037】
真核細胞の溶解の終結
一部の実施形態では、真核細胞溶解反応は、少なくとも1つの電解質を含む溶解終結溶液を混合物(すなわち、真核細胞溶解用溶液/試料組合せ)に添加することによって終結される。一部の実施形態では、反応における電解質の最終濃度は、約25mM~850mM、約100mM~750mM、約150mM~650mM、約200mM~550mM、約250mM~450mM、または約300mM~400mMである。溶解終結緩衝液に添加され得る電解質は、一価の塩および二価の塩を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、少なくとも1つの電解質を使用した真核細胞溶解反応の終結により、陰イオン-交換樹脂を使用する下流プロセス(例えば、真核生物DNAの除去、微生物細胞の単離、微生物細胞の溶解、または微生物ゲノム物質の単離)が改善される。
【0038】
一部の実施形態では、溶解終結緩衝液に添加される電解質は、少なくとも1つの一価の塩を含む。一価の塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、フッ化ナトリウム、およびフッ化カリウムを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、一価の塩単独が溶解反応を終結させるために混合物に添加される。一部の実施形態では、溶解プロセスの終結は、必要ではない。
一部の実施形態では、溶解終結緩衝液は、約9未満のpHを有する。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液のpHは、約6~9である。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液は、4.0未満のまたは11.0を超えるpHを有さない。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液は、約中性のpHを有する。
【0039】
一部の実施形態では、溶解終結緩衝液および混合物組合せは、約9未満のpHを有する。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液および混合物組合せは、約6~9のpHを有する。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液および混合物組合せは、約中性のpHを有する。一部の実施形態では、溶解終結緩衝液および混合物の組合せを約6~9または約中性のpHで維持することにより、無傷の微生物細胞の下流処理(例えば、真核生物DNAの除去、微生物細胞の単離、微生物細胞の溶解、または微生物DNAの増幅)が改善される。
【0040】
真核生物DNA/RNAを除去する
一部の実施形態では、混合物または溶解終結緩衝液および混合物組合せ中の無傷の微生物細胞からの真核生物ゲノム物質の分離は、無傷の微生物細胞、真核細胞残骸、または他の非核酸物質の捕獲も固定化もなしに、真核生物ゲノム物質の「選択的捕獲」または真核生物DNAの固定化を通して行われる。一部の実施形態では、捕獲される真核生物ゲノム物質は、真核生物DNAおよび/またはRNAである。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、真核生物ゲノム物質を捕獲する/固定化するために使用される。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、1つまたは複数の弱陰イオン-交換樹脂(WAX)である。WAXの例は、カルボキシメチル(CM)、ジエチルアミノプロピル(ANX)、ジエチルエタノールアミン(DEAE)、Amberlite Ira67、Purolite A847、Amberlite Ira96、Amberlite IRA96SB、Dowex Marathon WBA、Dowex Upcore Mono WB-500、Purolite A835、Dowex Monosphere 77、およびDowex Monosphere 66を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、WAX樹脂は、少なくとも1つの三級アミン官能基を含有する。
【0041】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、1つまたは複数の強陰イオン-交換樹脂(SAX)である。SAXの例は、-O-CH2-CHOH-CH2-O-CH2-CHOH-CH2-N+(CH3)3、Amberjet Up4000、Amberjet 9000 OH、Amberlite FPA40 Cl、およびDowex Upcore Mono MA-600を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、SAXベース樹脂は、少なくとも1つの四級アミン官能基を含有する。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、少なくとも1つのWAXおよび少なくとも1つのSAXの組合せである。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂の形は、ファイバー、膜、吸着剤、ゲル、およびろ紙から選択される。一部の実施形態では、溶解された真核細胞を有する試料は、陰イオン交換樹脂を通過させられるまたはこれと接触させられる。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、溶液の形である。
【0042】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板にコンジュゲートしている。支持基板の例は、粒子、ビーズ、表面、または球を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、支持基板は、磁性、例えば、磁性粒子またはビーズである。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板にコンジュゲートしており、溶液の形である。
一部の実施形態では、支持基板は、シリカ、ガラス、金属、ポリスチレンベース物質、セルロースベース物質、アガロースベース物質、デキストランベース物質、メタクリル酸ベース物質、セファロースベース物質、またはその組合せを含む。一部の実施形態では、支持基板は、多孔質である。
一部の実施形態では、支持基板は、ビーズまたは球であり、約10~100μm、約20~90μm、約30~80μm、約40~70μm、または約50~60μmの直径を有する。
別の実施形態では、支持基板は、ビーズまたは球であり、約0.01~10μm、約0.1~9.0μm、約1.0~8.0μm、約2.0~7.0μm、約3.0~6.0μm、または約4.0~5.0μmの直径を有する。
【0043】
一部の実施形態では、混合物は、約0.1~10分、約2~9分、約3~8分、約4~7分、または約5~6分、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。一部の実施形態では、混合物は、約10~30分、約12~28分、約15~25分、約18~23分、または約19~22分、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。一部の実施形態では、混合物は、1分未満の間、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板上で持続的に固定化されている。一部の実施形態では、固定化された陰イオン交換樹脂は、混合物と接触させられかつ/またはこれとインキュベートされ、次いで、混合物が除去される。
一部の実施形態では、支持基板、例えば、ビーズまたは粒子にコンジュゲートしている少なくとも1つの陰イオン交換樹脂は、混合物と接触させられるかつ/またはこれとインキュベートされる。一部の実施形態では、混合物との接触および/またはこれとのインキュベーション後、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、混合物から除去される。別の実施形態では、混合物との接触および/またはこれとのインキュベーション後、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、固定化され、混合物は、除去される。例として、限定することなく、一部の実施形態では、支持基板が磁化または金属ビーズであり、磁化または金属ビーズが磁石または磁界に曝露される場合、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、選択的に固定化される。
【0044】
一部の実施形態では、混合物を陰イオン交換樹脂と接触させるかつ/またはこれとインキュベートすることにより、混合物から真核生物DNA、例えば、ヒトDNA(hDNA)、および/またはRNAが抽出される。一部の実施形態では、真核生物DNA(および/またはRNA)は、陰イオン交換樹脂に結合する。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、混合物から約5%~100%、約10%~99%、約15%~85%、約20%~80%、約25%~75%、約30%~70%、約35%~65%、約40%~60%、または約45%~55%の真核生物DNA(および/またはRNA)、例えば、hDNAを抽出する。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、混合物から95%を超える真核生物DNAを抽出する。
【0045】
微生物細胞の溶解
一部の実施形態では、真核生物DNAが除去された混合物(または溶解終結溶液および混合物組合せ)(以下、「単離された微生物細胞試料」)は、1つまたは複数の微生物細胞を含有する。一部の実施形態では、単離された微生物細胞試料は、さらなる処理に供される。一部の実施形態では、単離された微生物細胞試料は、微生物細胞溶解用溶液と接触させられる。
【0046】
一部の実施形態では、微生物細胞は、1つまたは複数の化学的溶解剤を含む溶解用溶液を使用して溶解される。一部の実施形態では、化学的溶解剤は、陽イオン性洗浄剤、非イオン性洗浄剤、両性イオン性洗浄剤、および酵素を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、微生物溶解反応は、約6~9のpHまたは中性pHで行われる。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、以下のものの1つまたは複数も含む:酵素、洗浄剤、ならびに塩、緩衝剤、および金属キレート剤などの他の構成成分。
一部の実施形態では、複数の溶解用溶液が使用される。一部の実施形態では、複数の溶解緩衝液が段階的に添加される。一部の実施形態では、単一微生物溶解用溶液のみが使用される。
【0047】
一部の実施形態では、微生物溶解反応は、約15℃~50℃、約20℃~45℃、約25℃~40℃、または約30℃~35℃まで加熱される。一部の実施形態では、微生物溶解反応は、室温で行われる。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、以下の酵素の1つまたは複数を含む:リゾチーム、リティカーゼ(lyticase)、ザイモリアーゼ、ムタノリシン、およびリゾスタフィン。一部の実施形態では、1つまたは複数の酵素が乾燥またはペレット化形で保管され、ここで、それぞれの酵素の再懸濁時に、酵素は、以下で同定された濃度に達する。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のリゾチーム濃度は、約5~200mg/ml、約1~150mg/ml、5~175mg/ml、約15~140mg/ml、約20~100mg/ml、約30~95mg/ml、約45~75mg/ml、約50~62mg/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0048】
一部の実施形態では、微生物溶解反応(例えば、微生物溶解用溶液および単離された微生物細胞試料を含む溶液)におけるリゾチーム濃度は、約0.01~1mg/ml、約0.1~10mg/ml、0.5~15mg/ml、約1~20mg/ml、約0.3~8mg/ml、約0.7~7mg/ml、約0.2~0.9mg/ml、約0.05~0.35mg/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のリティカーゼ濃度は、約500~50,000U/ml、約250~10,000U/ml、425~8,000U/ml、約300~6,000U/ml、約400~5,000U/ml、約1,000~4,750U/ml、約1,500~4,500U/ml、約2,000~6,500U/ml、約2,500~5,500U/ml、約3,000~15,000U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0049】
一部の実施形態では、微生物溶解反応におけるリティカーゼ濃度は、約1~1000U/ml、約5~200U/ml、20U~800U/ml、約30~700U/ml、約40~600U/ml、約50~500U/ml、約60~400U/ml、約70~300U/ml、約80~200U/ml、約90~100U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のザイモリアーゼ濃度は、約500~50,000U/ml、約250~10,000U/ml、425U~8,000U/ml、約300~6,000U/ml、約400~5,000U/ml、約1,000~4,750U/ml、約1,500~4,500U/ml、約2,000~6,500U/ml、約2,500~5,500U/ml、約3,000~15,000U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解反応におけるザイモリアーゼ濃度は、約1~1000U/ml、約5~200U/ml、20U~800U/ml、約30~700U/ml、約40~600U/ml、約50~500U/ml、約60~400U/ml、約70~300U/ml、約80~200U/ml、約90~100U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0050】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のムタノリシン濃度は、約500~50,000U/ml、約250~10,000U/ml、425~8,000U/ml、約300~6,000U/ml、約400~5,000U/ml、約1,000~4,750U/ml、約1,500~4,500U/ml、約2,000~6,500U/ml、約2,500~5,500U/ml、約3,000~15,000U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解反応におけるムタノリシン濃度は、約1~1000U/ml、約5~200U/ml、20~800U/ml、約30~700U/ml、約40~600U/ml、約50~500U/ml、約60~400U/ml、約70~300U/ml、約80~200U/ml、約90~100U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0051】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のリゾスタフィン濃度は、約500~50,000U/ml、約250~10,000U/ml、425U~8,000U/ml、約300~6,000U/ml、約400~5,000U/ml、約1,000~4,750U/ml、約1,500~4,500U/ml、約2,000~6,500U/ml、約2,500~5,500U/ml、約3,000~15,000U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解反応におけるリゾスタフィン濃度は、約1~1000U/ml、約5~200U/ml、20~800U/ml、約30~700U/ml、約40~600U/ml、約50~500U/ml、約60~400U/ml、約70~300U/ml、約80~200U/ml、約90~100U/ml、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0052】
一部の実施形態では、1つまたは複数の塩が微生物溶解用溶液に添加される。一部の実施形態では、一価の塩の濃度は、約50mM~6M、約150mM~5M、約350mM~4.5M、約550mM~4M、約900mM~3.75M、約1M~3.5M、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。一部の実施形態では、塩は、1つまたは複数の一価の塩を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、一価の塩は、NaCl、KCl、および/またはLiClの1つまたは複数である。
一部の実施形態では、微生物溶解反応における塩濃度は、約50mM~800mM、約100mM~700mM、約200mM~600mM、約300mM~500mM、および約350mM~450mM、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
【0053】
一部の実施形態では、1つまたは複数の一価の塩が乾燥またはペレット化形で保管され、ここで、それぞれの塩の再懸濁時に、塩は、上で同定された濃度に達する。
一部の実施形態では、酵素反応時間は、約1~60分、約5~55分、約10~45分、約15~40分、約20~35分、または約25~30分である。
一部の実施形態では、酵素反応におけるDNA汚染物質は、除去される。一部の実施形態では、DNAの除去は、イオン交換樹脂を使用して達成される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのDNAインターカレーティング色素が微生物溶解用溶液に添加される。一部の実施形態では、DNAインターカレーティング色素は、適切な波長および適用量の光源での活性化後に両方のDNA鎖への共有結合を生ずる色素である。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、共有結合は、試料中に存在するDNAの少なくとも一部を増幅不可能にする。例として、限定することなく、一部の実施形態では、DNAインターカレーティング色素は、エチジウムモノアジド(EMA)およびプロピジウムモノアジド(PMA)を含むが、これらに限定されない。
【0054】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中のDNAインターカレーティング色素の濃度は、約0.01μM~1.0μM、約0.1μM~0.9μM、0.2μM~0.8μM、約0.3μM~0.7μM、もしくは約0.4μM~0.6μM、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、1つまたは複数のヌクレアーゼも含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、微生物溶解用溶液の利用前に中和される。使用される正確なヌクレアーゼは、目的の下流配列に依存する。例として、限定することなく、一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、EcoRI、HindIII、SalI、HhaI、DdeI、RsaI、Sau3AIおよびMspIから選択されるが、これらに限定されない。
【0055】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、1つまたは複数の洗浄剤を含む。一部の実施形態では、洗浄剤は、両性イオン性洗浄剤である。一部の実施形態では、両性イオン性洗浄剤は、スルホベタインファミリーからである。例として、限定することなく、一部の実施形態では、スルホベタイン洗浄剤は、N-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、および3-[N,N-ジメチル(3-ミリストイルアミノプロピル)アンモニオ]プロパンスルホネートを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、洗浄剤は、グルコピラノシドファミリーからの非イオン性洗浄剤である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、非イオン性グルコピラノシド洗浄剤は、3-アセチルウンベリフェリルb-D-グルコピラノシド、N-アミルb-D-グルコピラノシドデシルb-D-チオグルコピラノシド、n-ドデシルb-D-グルコピラノシド、ヘキサデシルb-D-グルコピラノシド、ヘキシルb-D-グルコピラノシド、メチルa-D-グルコピラノシド、オクチルb-D-グルコピラノシド、およびフェニル-a-D-グルコピラノシドを含むが、これらに限定されない。
【0056】
一部の実施形態では、洗浄剤は、陽イオン性洗浄剤である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、陽イオン性洗浄剤は、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルピリジニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、ヘキサデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、または臭化テトラキス(デシル)アンモニウムを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、陽イオン性洗浄剤の濃度は、約1~100×臨界ミセル濃度(CMC)である。
【0057】
一部の実施形態では、スルホベタインおよびグルコピラノシドファミリーからの単一洗浄剤が微生物溶解用溶液に添加される。一部の実施形態では、スルホベタインファミリーおよびグルコピラノシドファミリーからの1つまたは複数の洗浄剤が微生物溶解用溶液に添加される。その上、または代わりに、一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、1つまたは複数の陽イオン性洗浄剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、陽イオン性洗浄剤は、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アンプロリウム塩酸塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、臭化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ドデシルエチルジメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化オキシフェノニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、および塩化トリカプリルイルメチルアンモニウムを含む。
【0058】
一部の実施形態では、個々の洗浄剤の濃度は、微生物溶解反応における特定の洗浄剤の臨界ミセル濃度(CMC)に依存する。一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中の各洗浄剤濃度は、CMCの約10~11,000、約25~12,500、約50~8,000、約75~7,000、約95~8,500、または約98~6,750倍である。一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中の洗浄剤濃度は、CMCの約100~5,000、約125~9,000、約200~8,000、約400~7,000、または約500~6,000倍である。
【0059】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中の洗浄剤濃度は、CMCの約100~1000、約200~900、約300~800、約400~700、または約500~600倍である。一部の実施形態では、微生物溶解反応における各洗浄剤濃度は、CMCの約0.1~100、約1.0~90、約10~80、約20~70、約30~60、または約40~50倍である。
一部の実施形態では、洗浄剤(群もしくは個々で、またはその任意の組合せとして)は、乾燥またはペレット化形で保管され、ここで、それぞれの洗浄剤の再懸濁時に、洗浄剤は、上で同定された濃度に達する。
【0060】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、1つまたは複数の金属キレート剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、金属キレート剤は、エチレングリコール四酢酸(EGTA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中の金属キレート剤の濃度は、約50mM~1.0M、約100mM~0.75M、約110mM~500mM、約125mM~500mM、約125mM~450mM、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。一部の実施形態では、微生物溶解反応における金属キレート剤の濃度は、約5mM~250mM、約10mM~100mM、約15mM~90mM、約20mM~80mM、約125mM~450mM、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、金属キレート剤は、乾燥またはペレット化形で保管され、ここで、金属キレート剤の再懸濁時に、金属キレート剤は、上で同定された濃度に達する。
【0061】
一部の実施形態では、微生物溶解用溶液は、1つまたは複数の還元剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、還元剤は、2-メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールである。一部の実施形態では、微生物溶解用溶液中の還元剤の濃度は、約10mM~20M、約15mM~15M、約50mM~14M、約100mM~14M、もしくは約110mM~15M、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、微生物溶解反応における還元剤の濃度は、約1mM~100mM、約10mM~90mM、約20mM~80mM、約30mM~70mM、約40mM~60mM、もしくは約45mM~55mM、または前に開示された濃度の任意の2つ間である。
一部の実施形態では、還元剤は、乾燥またはペレット化形で保管され、ここで、それぞれの還元剤の再懸濁時に、還元剤は、上で同定された濃度に達する。
一部の実施形態では、微生物細胞溶解反応は、約9未満のpHで行われる。一部の実施形態では、微生物細胞溶解反応は、約6~9のpHで行われる。一部の実施形態では、微生物細胞溶解反応は、約中性のpHで行われる。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書で開示された微生物細胞溶解方法は、高分子量の微生物DNAの放出につながる。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、本明細書で開示された微生物細胞溶解方法は、微生物細胞溶解中の微生物遺伝物質の剪断の減少につながり、溶解用溶液中の高分子量の微生物DNAの存在を促進する。一部の実施形態では、高分子量の微生物DNAは、約2kbp~200kbp、約10kbp~190kbp、約20kbp~180kbp、約30kbp~170kbp、約40kbp~160kbp、約50kbp~150kbp、約60kbp~140kbp、約70kbp~130kbp、約80kbp~120kbp、または約90kbp~110kbpである。
【0063】
微生物遺伝物質の単離
一部の実施形態では、微生物細胞溶解後、微生物遺伝物質は、単離されるかつ/または精製される。一部の実施形態では、単離されたかつ/または精製された遺伝物質は、RNAまたはDNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNA(ssDNA)または二本鎖DNA(dDNA)である。
一部の実施形態では、微生物遺伝物質は、微生物溶解反応溶液をカラム中に充填された陰イオン交換物質と接触させることによって単離され、ここで、陰イオン交換物質は、微生物遺伝物質の吸着およびその後の溶出に使用される。一部の実施形態では、既知のイオン強度およびpHの溶液は、陰イオン交換カラムへの核酸の結合を可能にし、結合がより低い汚染物質が洗い流されるのを可能にする。例として、限定することなく、一部の実施形態では、陰イオン交換物質で微生物遺伝物質を選択的に結合するための条件は、以下の条件の1つまたは複数で微生物溶解反応溶液を陰イオン交換と接触させることを含む:接触反応が約6~9、約4.5~7、または約8~9.5のpHで行われる、および接触反応が約100mM~750mM、約450mM~1.75M、または約50mM~350mMの一価の塩濃度を有する。汚染物質が除去された後、次いで、結合した遺伝物質が溶出され得る。
【0064】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、微生物ゲノム物質を捕獲する/固定化するために使用される。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、1つまたは複数の弱陰イオン-交換樹脂(WAX)である。WAXの例は、カルボキシメチル(CM)、ジエチルアミノプロピル(ANX)、ジエチルエタノールアミン(DEAE)、Amberlite Ira67、Purolite A847、Amberlite Ira96、Amberlite IRA96SB、Dowex Marathon WBA、Dowex Upcore Mono WB-500、Purolite A835、Dowex Monosphere 77、およびDowex Monosphere 66を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、WAX樹脂は、三級アミン官能基を含有する。
【0065】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、1つまたは複数の強陰イオン-交換樹脂(SAX)である。SAXの例は、-O-CH2-CHOH-CH2-O-CH2-CHOH-CH2-N+(CH3)3、Amberjet Up4000、Amberjet 9000 OH、Amberlite FPA40 Cl、およびDowex Upcore Mono MA-600を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、SAXベース樹脂は、四級アミン官能基を含有する。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、WAXおよびSAXの組合せである。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂の形は、ファイバー、膜、吸着剤、ゲル、およびろ紙から選択される。一部の実施形態では、溶解された真核細胞を有する試料は、陰イオン交換樹脂を通過させられるまたはこれと接触させられる。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、溶液の形である。
【0066】
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板にコンジュゲートしている。支持基板の例は、粒子、ビーズ、表面、または球を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、支持基板は、磁性、例えば、磁性粒子またはビーズである。一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板にコンジュゲートしており、溶液の形である。
一部の実施形態では、支持基板は、シリカ、ガラス、金属、ポリスチレンベース物質、セルロースベース物質、アガロースベース物質、デキストランベース物質、メタクリル酸ベース物質、セファロースベース物質、またはその組合せを含む。一部の実施形態では、支持基板は、多孔質である。
【0067】
一部の実施形態では、支持基板は、ビーズまたは球であり、約10~100μm、約20~90μm、約30~80μm、約40~70μm、または約50~60μmの直径を有する。
別の実施形態では、支持基板は、ビーズまたは球であり、約0.1~10μm、約1.0~9.0μm、約2.0~8.0μm、約3.0~7.0μm、または約4.0~6.0μmの直径を有する。
一部の実施形態では、微生物溶解反応は、約0.1~10分、約2~9分、約3~8分、約4~7分、または約5~6分、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。一部の実施形態では、微生物溶解反応は、約10~30分、約12~28分、約15~25分、約18~23分、または約19~22分、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。一部の実施形態では、微生物溶解反応は、1分未満の間、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。
【0068】
一部の実施形態では、微生物溶解反応は、微生物細胞を溶解するのに必要とされるよりも約0.01~10分、約0.1~9分、1~8分、約2~7分、3~6分、または約4~5分長く、陰イオン交換樹脂とインキュベートされる。
一部の実施形態では、陰イオン交換樹脂は、支持基板上で持続的に固定化されている。一部の実施形態では、固定化された陰イオン交換樹脂は、混合物と接触させられかつ/またはこれとインキュベートされ、次いで、混合物が除去される。
一部の実施形態では、支持基板、例えば、ビーズまたは粒子(例えば、微小粒子)にコンジュゲートしている少なくとも1つの陰イオン交換樹脂は、混合物と接触させられるかつ/またはこれとインキュベートされる。一部の実施形態では、微生物溶解反応との接触および/またはこれとのインキュベーション後、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、微生物溶解反応から除去される。別の実施形態では、微生物溶解反応との接触および/またはこれとのインキュベーション後、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、固定化され、微生物溶解反応は、除去される。例として、限定することなく、一部の実施形態では、支持基板が磁化または金属ビーズであり、磁化または金属ビーズが磁石または磁界に曝露される場合、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換樹脂は、選択的に固定化される。
【0069】
一部の実施形態では、ビーズまたは粒子は、カラム中に充填される。一部の実施形態では、ビーズまたは粒子は、浮遊形である。
一部の実施形態では、陰イオン-交換-微小粒子は、磁化可能なミクロスフェアに結合している弱陰イオン交換物質である。一部の実施形態では、陰イオン-交換-微小粒子は、磁化可能なミクロスフェアに結合している強陰イオン交換物質である。
一部の実施形態では、陰イオン-交換-微小粒子は、多孔質アガロースベース-ミクロスフェアに結合している弱陰イオン交換物質である。一部の実施形態では、陰イオン-交換-微小粒子は、多孔質アガロースベース-ミクロスフェアに結合している強陰イオン交換物質である。
【0070】
一部の実施形態では、微生物遺伝物質を陰イオン-交換-微小粒子に結合させた後、陰イオン-交換-微小粒子は、洗浄緩衝液を使用して洗浄される。
一部の実施形態では、洗浄緩衝液の塩濃度は、微生物遺伝物質の結合中の塩濃度と比較して上昇される。一部の実施形態では、洗浄条件のpHは、よりストリンジェントな洗浄条件を達成するために改変される。一部の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、約3.0~7.5、約3.5~7.0、約4.0~6.5、約4.5~6.0、または約5.0~5.5である。
一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、約0.5M~3.0M、約0.75M~2.75M、約1.0M~2.5M、約1.25M~2.25M、または約1.5M~2.0Mの塩濃度を有する。
【0071】
一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、1つまたは複数の界面活性剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、界面活性剤は、TweenおよびTriton-Xを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Tweenおよび/またはTriton-X濃度は、約0.01%~1.0%(v/v)、約0.1%~0.9%(v/v)、約0.2%~0.8%(v/v)、約0.3%~0.7%(v/v)、または約0.4%~0.6%(v/v)である。
一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、1つまたは複数の洗浄剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、洗浄剤は、両性イオン性洗浄剤を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、両性イオン性洗浄剤濃度は、約0.1×~350×CMC、約1.0×~300×CMC、約10×~250×CMC、約50×~200×CMC、または約100×~150×CMCである。
【0072】
一部の実施形態では、微生物DNAを単離するための方法は、溶出ステップを含む。一部の実施形態では、単離プロセスの競争は、陰イオン-交換-微小粒子のDNAを溶出するまたは除去することによって促進される。
一部の実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約12~13.5である。約12を超えるpHを有する溶出緩衝液の使用は、当技術分野で通例使用されない。
一部の実施形態では、溶出緩衝液は、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムなどの緩衝剤を含む。一部の実施形態では、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムの濃度は、約0.01M~1M、約0.1M~1.8M、約0.4M~1.6M、約0.8M~1.4M、または約1.0M~1.2Mである。一部の実施形態では、緩衝剤は、必要ではない。
【0073】
その上、または代わりに、一部の実施形態では、溶出緩衝液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む。一部の実施形態では、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの濃度は、約10~500mM、約30~450mM、約50~400mM、約70~350mM、約90~300mM、約110~250mM、または約130~200mMである。
一部の実施形態では、溶出緩衝液は、1つまたは複数の一価の塩も含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、一価の塩は、NaCl、KClおよびLiClを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、溶出緩衝液中の1つまたは複数の一価の塩の濃度は、約0mM~200mM、約25mM~175mM、約50mM~150mM、約75mM~125mM、または約90mM~110mMである。約200mM未満の一価の塩濃度を有する溶出緩衝液の使用は、当技術分野で通例使用されない。一部の実施形態では、溶出緩衝液は、いかなる一価の塩も含有しない。
一部の実施形態では、微生物遺伝物質の単離は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)精製ステップも含む。一部の実施形態では、精製ステップは、カオトロピック塩を使用することを含む。
【0074】
一部の実施形態では、核酸精製ステップは、約6M~9Mの塩化グアニジウムまたはチオシアン酸グアニジウムの添加を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、精製は、フィルター/膜、重力もしくはスピンカラムに包埋されたフィルター/膜、またはビーズ/微粒子/磁性粒子などのシリカベース固相物質への核酸の効率的な結合を可能にする。一部の実施形態では、固相物質のその後の洗浄は、残りの塩および他の残存構成成分の大部分をさらに除去する。一部の実施形態では、洗浄は、塩に富んだアルコールベース緩衝液を使用して完了される。一部の実施形態では、2M未満の塩化グアニジウムまたはチオシアン酸グアニジウムが添加される。
【0075】
一部の実施形態では、上記の単離された微生物遺伝物質は、約5.0を超えるpHを有する水-ベース溶液の添加を通して溶出される。一部の実施形態では、単離された微生物遺伝物質は、約6~9のpHを有する水-ベース溶液の添加を通して溶出される。一部の実施形態では、単離された微生物遺伝物質は、約10を超えるpHを有する水-ベース溶液の添加を通して溶出される。
一部の実施形態では、サイズ排除膜が残留非核酸汚染物質を除去するために使用される。サイズ排除ろ過のための膜は、それらの親水性の性質を考慮すると、再生セルロース(RC)、およびポリエーテルスルホン(PES)を含む。膜のこれらの型を使用するための方法および技法は、当業者に既知であり、重力カラム、スピンカラム、真空カラム、および圧力駆動カラムを含むが、これらに限定されない。その上、これらの膜は、上で示されたものと同一または類似した物理的原理下で作動するプロセス特異的デバイス中に組み込まれ得る。
一部の実施形態では、この核酸精製プロセスは、単離された微生物ゲノム物質を脱塩するために使用される。一部の実施形態では、溶出緩衝液は、酸性溶液(HClなど)でまたは中性緩衝液で中和される。一部の実施形態では、中和ステップは、必要ではない。
一部の実施形態では、陰イオン-交換樹脂からゲノム物質を溶出した後、追加の精製または脱塩は、必要ではない。
【0076】
微生物遺伝物質の増幅
一部の実施形態では、単離された微生物遺伝物質は、増幅に供される。一部の実施形態では、増幅された遺伝物質は、RNAまたはDNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNA(ssDNA)または二本鎖DNA(dDNA)である。一部の実施形態では、DNAは、リボソームDNA(rDNA)である。
一部の実施形態では、酵素的増幅は、等温増幅または熱サイクル増幅プロセスを通して達成され得る。
一部の実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応、またはPCRは、熱サイクルベース酵素的増幅の既知の方法である酵素的増幅の好ましい方法である。
【0077】
一部の実施形態では、アンプリコンは、約400bpを超える。一部の実施形態では、アンプリコンは、約400~4000bp、約700~3700bp、約1000~3400bp、約1300~3100bp、約1600~2700bp、約1900~2400bp、または約2100~2200bpである。一部の実施形態では、上で開示された長さのアンプリコンの使用は、本明細書で開示された方法における下流処理(例えば、微生物遺伝物質の検出および同定)に有利である。
一部の実施形態では、細菌ゲノム物質のみが増幅される。一部の実施形態では、真菌ゲノム物質のみが増幅される。一部の実施形態では、真菌と細菌標的の両方が増幅される。一部の実施形態では、合成標的が増幅される。一部の実施形態では、合成標的は、プラスミドおよび合成遺伝子を含むが、これらに限定されない。例として、限定することなく、一部の実施形態では、プラスミドは、例えば、M13mp18、pBR322、pCLIPf、pCLus、pCMV-Cluc、pKLAC2、PMAL-p5x、pNEB206A、pSNAPf、pSV40-CLuc、pTK-GLuc、pTXB1、pTYB21、pUC19、およびθX174などのDNA断片を含む。
【0078】
微生物遺伝物質の検出および微生物の同定
一部の実施形態では、微生物DNAが検出されかつ同定される。
一部の実施形態では、DNA侵入人工核酸(DIANA)が微生物遺伝物質を検出し同定するために使用される。一部の実施形態では、侵入のプロセスは、ハイブリダイゼーションとは対照的に、二本鎖DNAを完全に変性させる必要性を否定する二本鎖DNAを特異的に標的とする(例えば、Egholm et al., Nucleic Acids Res. 23(2): 217-222 (Jan. 25, 1995)を参照されたい。
一部の実施形態では、DIANAは、Peptide Nucleic Acid(PNA)の特定化された型またはクラスの形をとる。一部の実施形態では、DIANAは、PNAの特定のクラスに限定されない。一部の実施形態では、DIANAは、LockedまたはBridged Nucleic Acid(LNAおよび/またはBNA)の特定化された型またはクラスの形をとる。一部の実施形態では、二重鎖DNAに局所的に侵入するDIANAは、本明細書で開示された方法において使用される必要な親和性および配列特異性を有する。
【0079】
一部の実施形態では、PNAオリゴマーベースDIANAは、主鎖のガンマ-ポジションでのキラル立体-中心を有する(γPNAとしても既知である)。右巻きらせん中に構造的に前もって向けられたPNAオリゴマーは、二重鎖DNA侵入を行うようにエネルギー的に恵まれている。一部の実施形態では、微生物DNAは、その内容が、その全体が参照によって組み込まれているWO2013/176992において教示されているようにγPNAを使用して検出される。一部の実施形態では、DIANAの使用は、長いアンプリコン(例えば、約400~4000bpのアンプリコン)に有利である。
【0080】
一部の実施形態では、増幅された遺伝物質中の目的の標的ゲノム領域は、細菌16S、ITS、23S、RPL遺伝子、またはTUF遺伝子を含むが、これらに限定されない。その上、または代わりに、一部の実施形態では、増幅された遺伝物質中の目的の標的ゲノム領域は、真菌18S、ITS、5.8S、および25/28Sを含むが、これらに限定されない。その上、または代わりに、一部の実施形態では、増幅された遺伝物質中の目的の標的ゲノム領域は、抗生物質耐性マーカーおよび/または遺伝子を含む。
一部の実施形態では、各DIANAは、単一微生物種からの特定の微生物遺伝物質(例えば、DNAまたはRNA)を標的とする。一部の実施形態では、各DIANAは、微生物の群の特定の微生物遺伝物質(例えば、DNAまたはRNA)を標的とする。一部の実施形態では、特定の微生物遺伝物質(例えば、DNAまたはRNA)は、増幅された微生物遺伝物質である。
【0081】
一部の実施形態では、微生物同定において有用なDIANAのためのオリゴマー配列は、以下の通りである(表1):
【表1】
【0082】
一部の実施形態では、DIANAプローブは、微生物遺伝物質中の抗生物質耐性を与える遺伝子または抗生物質耐性を与えるマーカーを検出する。抗生物質耐性を与える遺伝子または抗生物質耐性を与えるマーカーは、特定の抗菌剤または抗菌剤のクラスへの感受性の減少を与えるゲノム物質を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、抗生物質耐性を与える遺伝子または抗生物質耐性を与えるマーカーは、MecA(いくつかのB-ラクタム-ベース抗生物質への感受性の減少を与える)、VanA/VanB(バンコマイシンなどのいくつかのグリコペプチド-ベース抗生物質への感受性の減少を与える)、OXA-48、New Delhi Metallo-ベータ-ラクタマーゼ-1(NDM-1)、およびblakpc(一般的なカルバペネムへの感受性の減少を与える)を含むが、これらに限定されない。
【0083】
一部の実施形態では、DIANAプローブは、抗生物質耐性微生物細胞を検出し同定するために使用される。これらの核酸バイオマーカーの同定のための配列は、表2に見出され得る:
【表2】
【0084】
一部の実施形態では、抗生物質耐性を与える遺伝子またはマーカーは、検出前に増幅される。一部の実施形態では、抗生物質耐性を与える遺伝子またはマーカーの増幅は、rDNA増幅での単一反応で行われる。一部の実施形態では、抗生物質耐性を与える遺伝子またはマーカーの増幅は、添加または外的反応として行われる。
一部の実施形態では、DIANAプローブは、配列番号1~37の任意の1つの逆相補的配列を含む。一部の実施形態では、DIANAプローブは、配列番号1~37の任意の1つまたはそれらの逆相補的対応物との85%を超える同一性を有する配列を含む。
【0085】
一部の実施形態では、増幅産物は、精製される。例として、限定することなく、一部の実施形態では、増幅産物を精製するための方法は、カオトロピック塩と組み合わせたガラスもしくはシリカファイバーまたは粒子上へのアンプリコンの可逆的結合または吸収、それに続くそれらの洗浄および溶出を含む。一部の実施形態では、精製方法は、アルコールベース溶液(例えば、エタノールまたはイソプロパノールなど)中での沈殿、陰イオン交換樹脂、またはサイズ排除フィルターと接触させることを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、増幅産物のクリーニングアップは、下流プロセスの障害となり得る過剰なプライマー、dNTP、塩および他の構成成分を除去する。
【0086】
一部の実施形態では、精製プロセスは、必要ではなく、増幅産物/溶液は、そのままで使用され得る。
一部の実施形態では、DIANAは、結合部分を含有するように修飾される。一部の実施形態では、結合部分は、DIANAを固体基板に結合する。一部の実施形態では、DIANAを固体基板に結合することは、下流の分離または洗浄ステップに有用である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、結合部分は、非共有結合部分(例えば、ビオチン、ジゴキシン、ジギトキシンなど)または共有結合部分(例えば、COOH基、NHS-エステル基、マレイミド(malemide)化学、およびクリックケミストリー)を含むが、これらに限定されない。
【0087】
一部の実施形態では、結合部分は、1つまたは複数のリンカーによってDIANAプローブから間隔があけられている。一部の実施形態では、リンカーは、単一分子である。一部の実施形態では、リンカーは、単一リンカー分子となるように組み合わせられた直鎖状または分岐した複数の個々の分子の鎖からなる。
一部の実施形態では、リンカーは、(エチレン)グリコール、ジ(エチレン)グリコール、トリ(エチレン)グリコール、ポリ(エチレン)グリコール、炭素リンカー、アミノ酸、シランベースリンカー、またはその任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、リンカーは、DIANAタグをつけられたDNA断片をDIANAが結合している固相基板の表面から遠ざけるのに役立つ。
一部の実施形態では、リンカー長は、約20~200、約40~180、約60~160、約80~140、または約100~120原子である。一部の実施形態では、リンカー長は、少なくとも40原子である。開示されたリンカー長は、当技術分野で通例使用されない。
【0088】
一部の実施形態では、1つまたは複数の結合部分は、単一リンカーに沿って使用される。一部の実施形態では、単一リンカーに沿った2つ以上の結合部分であって、ここで、各リンカーが1つまたは複数の結合部分を有し、各結合部分がオリゴマーに沿った異なる位置に付着している。一部の実施形態では、複数の結合部分は、表面結合動態および/もしくは収率および/もしくは効率、ならびに/または強度を増加させる。
一部の実施形態では、DNAアンプリコンは、1つまたは複数のDIANAで最初にタグをつけられ、次いで、ハイブリッド複合体を固相表面上へ捕獲する。
一部の実施形態では、DIANAは、微生物遺伝物質DNAを捕獲する前に固体表面とインキュベートされる。
一部の実施形態では、固相表面は、ビーズ、ナノ粒子、微小粒子または平らな基板である。一部の実施形態では、固相表面は、それへのDIANAの結合を促進するためにさらに化学的に修飾される。
【0089】
一部の実施形態では、標的アンプリコンを捕獲し、それを固相表面上へ固定化することは、系(例えば、プレートまたはチップ)上の個々のウェルにおいて起こる。系上のウェルの典型的な、非限定的なレイアウトは、
図30~36に示されている。
一部の実施形態では、ウェルは、単一DIANAオリゴマーで活性化される。
一部の実施形態では、ウェルは、単一病原体に関する1つを超えるDIANAプローブで活性化される;例えば緑膿菌に関するウェル(表1を参照されたい)。
一部の実施形態では、1つまたは複数のプローブが複数の病原体に使用され得る;例えば、エンテロバクター・エロゲネス、エンテロバクター・クロアカ、クレブシエラ・オキシトカ、および肺炎桿菌に関する単一ウェル。
一部の実施形態では、位置(ウェルナンバー/ポジション)は、どの標的が捕獲されたかに関する情報をもたらすことになる(例えば、DIANAプローブの存在により)。一部の実施形態では、検出された色(例えば、蛍光が光学的検出モダリティーとして使用される場合)および位置の組合せは、どの標的が捕獲されたかを解読するために使用され得る。
【0090】
一部の実施形態では、dsDNAよりもssDNAが利用される。一部の実施形態では、ssDNAは、DNA分子のDIANAタギング前に変性プロトコールを通してまたは不斉増幅プロセスを通してdsDNAから生じる。
一部の実施形態では、DNAは、完全に二重鎖形である。一部の実施形態では、DNAは、局所的に二重鎖形である。
一部の実施形態では、侵入溶液は、緩衝剤を含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、緩衝剤は、トリス、リン酸ナトリウム、およびリン酸カリウムを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、緩衝剤の濃度は、約1mM~500mM、約50mM~450mM、約100mM~400mM、約150mM~350mM、または約200mM~300mMである。
【0091】
一部の実施形態では、侵入溶液は、1つまたは複数の一価の塩を含む。一部の実施形態では、一価の塩は、NaClまたはKClである。一部の実施形態では、一価の塩の濃度は、約1mM~150mM、約5mM~145mM、約15mM~130mM、約25mM~115mM、約35mM~100mM、約45mM~85mM、または約55mM~70mMである。一部の実施形態では、侵入溶液は、一価の塩を含有しない。侵入アッセイの開示された塩濃度は、標準的なハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用される塩濃度未満である。
【0092】
一部の実施形態では、侵入溶液は、1つまたは複数の界面活性剤を含んだ。一部の実施形態では、界面活性剤は、非特異的結合を減少させる。例として、限定することなく、界面活性剤は、Tween-20、またはTritonX-100を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、侵入溶液中の界面活性剤の濃度は、約0.01%~1.0%(v/v)、約0.1%~0.9%(v/v)、約0.2%~0.8%(v/v)、約0.3%~0.7%(v/v)、または約0.4%~0.6%(v/v)である。
【0093】
一部の実施形態では、侵入溶液は、排除体積を変動させる構成成分(例えば、クラウディング剤(crowding agent))を含む。例として、限定することなく、クラウディング剤は、ポリ-エチレングリコール(EG)、EG-200、EG-250、EG-300、EG-400、EG-500、EG-750、EG-1,000、EG-9,500、EG-2,000、EG-4,000、EG-5,000、EG-6,000、EG-8,000、EG-10,000、EG-12,000、EG-13,000、EG-20,000、デキストラン(DX)、ポリビニル-アルコール(PVA)、Ficolls(FC)、DX-1,000、DX-5,000、DX-12,000、DX-50,000、DX-80,000、PVA 89k-98k、PVA 85k-124k、PVA 130k、PVA 31k-50k、PVA 50k-80k、PVA 70k-100k、PVA 90k-120k、PVA 170k-250k、PVA 61k、PVA 31k、PVA 130k、PVA 67k、PVA 27k、PVA 25k、FC-400、FC-70、FC-40、グリセロール、グルコース、およびスクロースを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、侵入溶液中のクラウディング剤の濃度範囲は、侵入溶液の総体積の約1%~20%(v/v)、約3%~17%(v/v)、約6%~14%(v/v)、または約9%~11%(v/v)である。
【0094】
一部の実施形態では、侵入溶液は、1つまたは複数のDNA変性剤を含んだ。例として、限定することなく、DNA変性剤は、DMSO、ホルムアミド、およびベタインを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、侵入溶液は、DMSO、ホルムアミド、ベタイン、またはその組合せも含む。一部の実施形態では、DMSOおよび/またはホルムアミドは、侵入溶液の総体積の約1%~30%(v/v)、約5%~25%(v/v)、約10%~20%(v/v)、または約14%~16%(v/v)である。一部の実施形態では、侵入緩衝液中のベタインの濃度は、約0.1M~2.5M、約0.5M~2.0M、または約1.0M~1.5Mである。
一部の実施形態では、侵入溶液は、約10以上のpHを有する。一部の実施形態では、約10を超えるpHを有する侵入溶液は、DNA変性または不安定化に貢献する。
【0095】
一部の実施形態では、侵入反応は、約0.1~5分、約1~10分、約5~30分、または約10~60分、持続する。
一部の実施形態では、DIANAおよび微生物遺伝物質(例えば、増幅された微生物DNA)のインキュベーションは、約65℃~99℃、約70℃~95℃、約75℃~90℃、または約80℃~85℃の温度である。
例として、限定することなく、一部の実施形態では、DIANA侵入プロセスは、約14~18塩基を有するDIANAオリゴマーを含み、ここで、より低い侵入温度は、約:TM(DNA)+15℃と定義され、より高い侵入温度は、99℃である。TM(DNA)は、ほぼ同一の溶液条件(電解質強度、緩衝液、pH、他の添加剤など)に置かれた場合の、DIANAオリゴマーと同一の組成および配列を有するDNAオリゴマーの融解温度と定義される。
例として、限定することなく、一部の実施形態では、DIANA侵入プロセスは、18塩基よりも大きいDIANAオリゴマーを使用することを含み、ここで、より低い侵入温度は、約:TM(DNA)+0.7℃×(塩基の数)と定義され、より高い侵入温度は、99℃である。
【0096】
例として、限定することなく、一部の実施形態では、DIANA侵入プロセスは、14塩基よりも小さい/短いDIANAオリゴマーを使用することを含み、ここで、より低い侵入温度は、約:TM(DNA)+1.1℃×(塩基の数)と定義され、より高い侵入温度は、99℃である。
一部の実施形態では、洗浄ステップは、DIANA侵入後に行われる。一部の実施形態では、洗浄ステップは、非特異的結合を減少させる。一部の実施形態では、洗浄は、高温度洗浄溶液を使用する。一部の実施形態では、洗浄溶液の温度は、約60℃~99℃、約65℃~95℃、約70℃~90℃、または約75℃~85℃である。
一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、以下のものの1つまたは複数を含む:1)例えば、約50~650mM、約100~600mM、約150~550mM、約200~500mM、約250~450mM、または約300~400mMでのNaClまたはKClなどの一価の塩;2)例えば約6~9の中性付近pHに緩衝された;および3)界面活性剤、例えば、約0.1%~1.0%(v/v)、約0.2%~0.9%(v/v)、約0.3%~0.8%(v/v)、約0.4%~0.7%(v/v)、または約0.5%~0.6%(v/v)でのTween-20またはTriton X-100。一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、加熱される。
【0097】
一部の実施形態では、洗浄緩衝液は、1つまたは複数のDNA不安定化または変性剤、例えば、DMSO、ベタイン、およびホルムアミドを含む。一部の実施形態では、DMSOおよび/またはホルムアミドは、侵入溶液の総体積の約10%~30%(v/v)、約15%~25%(v/v)、約10%~20%(v/v)、または約14%~16%(v/v)である。一部の実施形態では、侵入緩衝液中のベタインの濃度は、約0.1M~2.5M、約0.5M~2.0M、または約1.0M~1.5Mである。
一部の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、9.0を超え、約0mM~300mM、約50mM~250mM、約100mM~200mM、または約125mM~175mMの一価の塩および/または界面活性剤を含む。一部の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、6.0未満であり、約0mM~800mM、約50mM~750mM、約100mM~700mM、約150mM~650mM、または約200mM~600mM、約250mM~550mM、約300mM~500mM、または約350mM~450mMの一価の塩および/または界面活性剤を含む。
【0098】
例として、限定することなく、一部の実施形態では、洗浄ステップは、約14~18塩基のサイズであるDIANAオリゴマーを洗浄することを含み、ここで、より低い洗浄温度は、約:TM(DNA)+20℃と定義され、より高い洗浄温度は、99℃である。
例として、限定することなく、一部の実施形態では、洗浄ステップは、18塩基よりも大きいDIANAオリゴマーを洗浄することを含み、ここで、より低い洗浄温度は、約:TM(DNA)+0.9℃×(塩基の数)と定義され、より高い洗浄温度は、99℃である。
例として、限定することなく、一部の実施形態では、洗浄ステップは、14塩基よりも小さい/短いDIANAオリゴマーを洗浄することを含み、ここで、より低い洗浄温度は、約:TM(DNA)+1.25℃×(塩基の数)と定義され、より高い洗浄温度は、99℃である。
【0099】
一部の実施形態では、それらのそれぞれの標的へのDIANAの結合の検出は、光学的、化学的、電気的、または機械的検出方法を通してである。
一部の実施形態では、光学的検出は、蛍光またはルミネセンスの使用を通してである。
一部の実施形態では、1つまたは複数の検出可能なマーカーは、侵入DIANA上に配置されている。一部の実施形態では、1つまたは複数の検出可能なマーカーは、固定化されたオリゴマーを通して捕獲されたDNAアンプリコン上に配置されている。一部の実施形態では、1つまたは複数の検出可能なマーカーは、一部のまたは全ての潜在的な標的に普遍的である第2のオリゴマー上に配置されている。
【0100】
例として、限定することなく、一部の実施形態では、検出可能なマーカーは、蛍光色素、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ、メトキシクマリン、ダンシル、ピレン、Alexa Fluor 350、AMCA、Marina Blue色素、ダポキシル色素、ジアルキルアミノクマリン、ビマン、ヒドロキシクマリン、cascade blue色素、Pacific Orange色素、Alexa Fluor 405、Cascade Yellow色素、Pacific Blue色素、PyMPO、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Alexa Fluor 488、Oregon Green 488、BODIPY 493/503、Oregon Green 514、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、BODIPY TMR、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 546、BODIPY 558/568、Rhodamine Red色素、Alexa Fluor 568、BODIPY 581/591、Alexa Fluor 594、Texas Red色素、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、およびAlexa Fluor 790を含むが、これらに限定されない。
【0101】
例として、限定することなく、間接的検出を可能にする検出可能なマーカーは、ジゴキシゲニン(DIG)、ビオチン、またはジニトロフェニルを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、微生物種の同定は、DNAアンプリコン標識を通してである。
一部の実施形態では、増幅において使用されるプライマーは、増幅プロセスを開始する前に検出可能なマーカーで標識される。
【0102】
一部の実施形態では、タグを含有するまたはタグの下流コンジュゲーションを可能にするように修飾されている修飾ヌクレオチドが増幅プロセスにおいて使用される。例として、限定することなく、タグ-修飾ヌクレオチドは、ジエチルアミノクマリン(DEAC)、シアニン3(Cy3)、シアニン5(Cy5)、フルオレセイン(FITC)、リサミン、R110、R6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、またはTexas Red色素で修飾されたヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。その後のタギングを可能にする修飾ヌクレオチドに関する例は、アミノ-ジゴキシゲニン(DIG)、ビオチン、またはジニトロフェニル(DNP)で修飾されたヌクレオチドであるが、これらに限定されない。
【0103】
一部の実施形態では、DNAアンプリコンの標識は、続いてインターカレーティング色素とインキュベーションすることによって達成される。例として、限定することなく、インターカレーティング色素は、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR Safe、TOTO-1、YOYO-1、YOYO-3、POPO-1、BOBO-1、JOJO-1、POPO-3、LOLO-1、BOBO-3、YOYO-3、TOTO-3、SYTOX-Blue、SYTOX-Green、SYTOX-Orange、SYTOX-Red、およびEtBrを含むが、これらに限定されない。
試料からの真核生物ゲノム物質の自動除去のためのデバイス
一部の態様では、本テクノロジーは、試料からの真核生物ゲノム物質の自動除去のためのデバイスに関する。一部の実施形態では、デバイスは、試料から1つまたは複数の無傷の微生物細胞を単離する。一部の実施形態では、デバイスは、上記の真核生物DNAを除去するかつ/または1つまたは複数の微生物細胞を単離するための方法を自動化する。
【0104】
一部の実施形態では、デバイスは、完全に自動化されており、ここで、さらなるヒトの介入は、必要ではない。一部の実施形態では、デバイスは、半自動化されており、ここで、ヒトの介入が、望ましいプロセスを完了するために必要である。
一部の実施形態では、デバイスは、独立型であり、専用の計測手段を必要としない。一部の実施形態では、デバイスは、1つまたは複数の機器によって作動されるまたは動力を供給される。
【0105】
図1は、上で記載された真核細胞の選択的溶解および真核生物ゲノム物質の除去の典型的な実施形態を行うデバイスにおける典型的なプロセス100を示す。
図1を参照して、一部の実施形態では、最初の試料101、例えば、対象からの試料が細胞溶解用溶液102、例えば、真核生物溶解用溶液と組み合わせられて、混合物を形成する。一部の実施形態では、第1の反応103、例えば、真核細胞の溶解がある。一部の実施形態では、溶解終結溶液104が混合物に添加されて、第2の反応105、例えば、細胞溶解を終結させることが開始される。一部の実施形態では、混合物が樹脂または樹脂溶液106、例えば、陰イオン交換樹脂と接触させられて、第3の反応107、例えば、DNAを捕獲することが開始される。一部の実施形態では、捕獲されたDNAは、真核生物DNA、例えば、hDNAである。一部の実施形態では、第3の反応後のアウトプット108は、例えば、真核生物DNAが枯渇したDNA枯渇溶液である。一部の実施形態では、アウトプットは、1つまたは複数の微生物細胞を含有する溶液を含む。
【0106】
一部の実施形態では、デバイスは、1回だけ使用のデバイス、すなわち、使い捨てのデバイスである。一部の実施形態では、デバイスは、統合または機能的バイオチップの形である。
一部の実施形態では、デバイスは、流体デバイスに連結された、流体体積、例えば約0.5ml~5mlを処理するために必要な能力を有するカートリッジを含む。一部の実施形態では、カートリッジは、流体のカートリッジである。
一部の実施形態では、カートリッジは、複数のチャンバーを含む。例として、限定することなく、一部の実施形態では、チャンバーは、液体、例えば、溶解緩衝液または溶液、溶解終結試薬または溶液、樹脂溶液を保管するために使用され、反応、例えば、溶解反応を処理するために使用され、溶液、例えば、試料をデバイス、またはその組合せに添加するために使用される。一部の実施形態では、デバイスのチャンバーは、試料の処理におけるヒトの介入を最小化するのにも役立つ。
【0107】
例として、限定することなく、デバイスの典型的な実施形態は、以下のチャンバーを含む:(1)反応プロセスを可能にするのに十分な体積の試料を受け取るチャンバー;(2)溶解用溶液を含有するチャンバー;(3)溶解プロセスを終結させる溶液を含有するチャンバー;(4)粒子に結合した樹脂を含有するチャンバー;および(5)最終溶液、例えば、単離された微生物細胞試料が移され得るチャンバー。
一部の実施形態では、1つまたは複数のチャンバーが相互に連結されている。代わりに、またはその上、一部の実施形態では、1つまたは複数のチャンバーが直列で連結されている。例として、限定することなく、一部の実施形態では、チャンバー間の連結部は、流れ-チャネル、チューブ、パイプ、またはその組合せを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、チャンバーを連結している流れ-チャネル、チューブ、およびパイプは、流体デバイス上に配置されている。一部の実施形態では、チャンバーを連結している流れ-チャネル、チューブ、およびパイプは、連結されたチャンバー間の多方向の流れを提供する。
【0108】
一部の実施形態では、1つまたは複数のチャンバーが、あるチャンバーから別のチャンバーへの流体の通過または移動を制御するための1つまたは複数の流れゲートと連結されている。一部の実施形態では、流れゲートは、空気または流体の流れ、それとの連結のための1つまたは複数のインプット流れ-チャネル、および空気の流れまたはそれとの流体連結のための1つまたは複数のアウトプット流れ-チャネルを有する。一部の実施形態では、流れゲート、インプット流れ-チャネル、およびアウトプット流れ-チャネルは、流体デバイス上に配置されている。
一部の実施形態では、流体デバイスは、チップ、バイオチップ、または統合チップである。一部の実施形態では、流体デバイスは、複数のインプットおよびアウトプットを含む。一部の実施形態では、流体デバイスは、複数のベンティングポートを含む。一部の実施形態では、流体デバイスは、1つまたは複数のニューマチックインターフェースを含む。一部の実施形態では、各ベントポートは、流体デバイス上に配置されているチューブ、パイプ、または流れチャネルによってカートリッジ中のその関連するチャンバーと連結されている。
【0109】
図2A~Cは、デバイス200の典型的な、非限定的な実施形態を示す。
図2Aを参照して、一部の実施形態では、デバイスは、流体のカートリッジ201および流体のチップ202を含み、ここで、流体のカートリッジ201は、流体のチップ202に付着している。一部の実施形態では、試料挿入チャンバー203がある。一部の実施形態では、流体のチップ202および流体のカートリッジ201は、同じ材料から製造される。一部の実施形態では、流体のチップ202および流体のカートリッジ201は、異なる材料から製造される。一部の実施形態では、流体カートリッジ201は、結合を通して流体のチップ202に付着していてもよい。一部の実施形態では、結合は、熱的、化学的、または超音波的である。一部の実施形態では、チップ/カートリッジ組合せは、単一構成成分として製造され得る。
一部の実施形態では、デバイス200は、独立型デバイスである。別の実施形態では、デバイス200は、第2のデバイスまたは機械への付属物、モジュール、または消耗品である。一部の実施形態では、第2のデバイスまたは機械は、上流および/または下流処理ステップを提供する。
【0110】
一部の実施形態では、流体のカートリッジ201は、1つまたは複数のチャンバー301~305を収容しており、
図2Bを参照されたい。例として、限定することなく、一部の実施形態では、流体のカートリッジ中のチャンバーは、反応チャンバー301、溶解用溶液貯蔵チャンバー302、樹脂貯蔵チャンバー303、溶解終結溶液貯蔵チャンバー304、およびDNA枯渇溶液を採取するためのアウトプットチャンバー305を含むが、これらに限定されない。
図2Cを参照して、例として、限定することなく、一部の実施形態では、流体のチップ202は、流れチャネル401、流れゲート402、ニューマチックインターフェース403、およびベント404を含むが、これらに限定されない。
図2Cは、流体のカートリッジ201(
図2A~Bを参照されたい)のチャンバー301~305を流体のチップに接触させるための典型的な、非限定的な実施形態も描写する。
【0111】
一部の実施形態では、流体圧力は、あるチャンバーから別のチャンバーへの流体の流れを駆動する。一部の実施形態では、流体圧力は、無菌液体および/または無菌気体によって誘発される。一部の実施形態では、流体圧力は、チャンバー間の流体の移動を駆動する。代わりに、またはその上、一部の実施形態では、流体圧力は、チャンバー間の流体の移動を妨げる。
一部の実施形態では、チャンバー中の1つまたは複数の溶液は、滅菌気体をチャンバー中に流すことによって混合されるまたは撹拌される。一部の実施形態では、1つまたは複数の溶液を含有するチャンバーは、1つまたは複数の溶液の混合または均質化を引き起こすために無菌空気または気体のストリームまたは複数のパルスに供される。代わりに、またはその上、一部の実施形態では、チャンバー中の1つまたは複数の溶液は、滅菌流体をチャンバー中に流すことによって混合されるまたは撹拌される。
【0112】
一部の実施形態では、デバイスは、試料を添加する、例えば、試料をチャンバー中に注入するための開口部を含む。一部の実施形態では、開口部は、封のし直しができるカバーを有する。一部の実施形態では、カバーを開けるには、機械的な力が必要であり、ここで、機械的な力がなければ、カバーは閉じたままである。一部の実施形態では、開口部は、そこを通して試料が注入される膜で覆われている。
一部の実施形態では、チャンバー中への試料注入は、約1μl~50μl、約10μl~3.0ml、約20μl~2.5ml、約30μl~2.0ml、約40μl~1.5ml、約50μl~1.0ml、約60μl~90μl、約70μl~80μl、または約0.5ml~10mlである。
【0113】
一部の実施形態では、試料は、体液、体分泌物、または体排出物である。例として、限定することなく、一部の実施形態では、試料は、便、痰、尿、および血液を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、デバイスは、1つまたは複数のニューマチックインターフェースを含有し、ここで、無菌空気または任意の無菌気体物質があるチャンバーから別のチャンバーへ流体を押すかつ駆動するために使用される。一部の実施形態では、チャンバー間の連結部、例えば、流れ-チャネルは、手動、半自動、または自動流体-流体制御系に結合されている。
一部の実施形態では、デバイスに入る気体または液体は、デバイス中に配置されている少なくとも1つの多孔質膜によって滅菌される。一部の実施形態では、多孔質膜は、天然に親水性または天然に疎水性である。一部の実施形態では、多孔質膜は、油分をはじく。
【0114】
一部の実施形態では、滅菌用多孔質膜は、約0.02μm~10μm、約0.05μm~4μm、約0.1μm~3μm、または約1.0μm~2μmのポアを有する。
一部の実施形態では、気体は、UVベース汚染除去プロセスに供される。
一部の実施形態では、アウトプット溶液、すなわち、単離された微生物細胞試料は、試料中の微生物種を同定するために処理される。
【実施例】
【0115】
本明細書で記載された本テクノロジーは、以下の例によってさらに例証される。例は、例示的であることのみが意図され、決して限定的と解釈されない。
(例1)全血中のヒト細胞を溶解する
本例は、高百分率の真核生物DNAの抽出につながる典型的な溶解緩衝液を示す。
方法
0.75mlのヒト全血を市販の抽出キットによって処理し、これは、シリカスピンフィルターを有するカオトロピック塩およびアルコールベース試薬を使用して、ヒトDNA(hDNA)を抽出した。
図3のシナリオ1を参照されたい。
0.75mlのヒト全血を、等体積の溶解緩衝液を全血と混合し、溶解緩衝液/全血混合物を15分間インキュベートすることによって処理した。溶解緩衝液は、それぞれに関して約0.5%(v/v)の濃度で組合せTween 20およびTriton X-100を含有した。インキュベーション後、溶液を遠心分離して、残存している無傷の細胞を捕獲した。遠心分離後、細胞残骸および遊離のhDNAを含有する上清を除去した。ペレットをH
2Oに懸濁した。H
2Oにおけるペレットの懸濁後、溶液を上で記載された市販の抽出キットによって処理した。
図3のシナリオ2を参照されたい。
全ての処理ステップを三連で行い、ここで、結果を平均±標準偏差として示す(
図3も参照されたい)。
【0116】
結果
市販のキットのみによるhDNAの抽出は、吸収ベースアッセイを通して測定されるように、25.531±0.417μgの質量でのhDNA収率を有した。
最初にhDNA枯渇、次いで、市販の抽出を経た全血は、吸収ベースアッセイを通して測定されるように、0.67±0.013μgの質量での低hDNA収率を有した。
結果は、約24.86μgまたは97.5%のhDNAがTween 20およびTriton X-100溶解緩衝液を使用して抽出されたことを示している。
これらの結果は、開示された溶解緩衝液が、真核細胞を標的とするのに非常に効率的であることを示している。したがって、本明細書で開示された溶解緩衝液は、試料中の微生物細胞を単離するかつ/または真核生物DNAを除去するための方法およびデバイスに有用である。
【0117】
(例2):全血中のヒト細胞の標的溶解
本例は、例1において使用された溶解緩衝液が細菌細胞を標的としないことを示す。
方法
2つの細菌種:1)黄色ブドウ球菌、および2)大腸菌、ここで、例1からの溶解緩衝液で処置し、水を対照として使用した。黄色ブドウ球菌は、追加の「防壁」を有するので、「頑丈な」細菌である(グラム陽性)。一方、大腸菌は、追加の「防壁」を有さないので、幾分「弱い」(または影響されやすい)細菌である(グラム陰性)。
微生物検体を標準的な培地および方法を使用して終夜培養した。培養後、かつなお対数期の間、細菌培養物をPBSに連続的に10
6×希釈した。全てのその後の処理ステップを三連で行い、ここで、
図4に示された結果を平均±標準偏差として示す。
アッセイ1、すなわち、
図4の左側では、等体積の無菌H
2Oを細菌希釈物に添加し、組み合わせられた試料を混合し、次いで、15分間インキュベートした。インキュベーション後、0.1mlの試料を寒天ベース培地上に蒔き、37℃で終夜インキュベートした。インキュベーション後、コロニーの数を各プレート上で計数した。
【0118】
アッセイ2、すなわち、
図4の右側では、例1の等体積溶解緩衝液を細菌希釈物に添加し、組み合わせられた試料を混合し、次いで、15分間インキュベートした。インキュベーション後、0.1mlの試料を寒天ベース培地上に蒔き、37℃で終夜インキュベートした。インキュベーション後、コロニーの数を各プレート上で計数した。
結果
H
2O溶解細菌細胞からのコロニーの数は、黄色ブドウ球菌:81±4および大腸菌:65±5であった。
溶解緩衝液溶解細菌細胞からのコロニーの数は、黄色ブドウ球菌:83±12および大腸菌:58±7であった。
結果は、本明細書で開示された溶解緩衝液が細菌細胞および細菌細胞生存に影響を及ぼさないことを示している。したがって、本明細書で開示された溶解緩衝液は、真核細胞を標的とするので、溶解緩衝液は、試料中の微生物細胞を単離するかつ/または真核生物DNAを除去するための方法およびデバイスに有用である。
【0119】
(例3):全血からhDNAを除去する
本例は、hDNAが例1からの溶解緩衝液および陰イオン交換樹脂を使用して全血から選択的に除去されたことを示す。
方法
処理されていないヒト-全血の0.1ml試料を第1のバイアル中の等体積の例1において記載された溶解緩衝液に添加した。組み合わせられた混合物を室温(約21℃)で2分間インキュベートした。反応を同様に室温で、7.0に等しいpHを有する、2M NaClを含有する溶解終結溶液の添加で終結させた。
【0120】
溶解プロセスを終結させた後、約1μmの直径の約50μgジエチルエタノールアミン結合磁性ビーズ、すなわち、WAX磁性ビーズを混合物に添加した。WAX磁性ビーズおよび溶液を室温で5分間、穏やかに撹拌しながらインキュベートした。
インキュベーション期間後、希土類磁石をバイアルの外に導入して、バイアルの壁にビーズを固定化した。上清を第1のバイアルから除去し、第2のバイアル中に置いた。
ビーズを有する第1のバイアルを水で洗浄し、捕獲されたhDNAを、電解質濃度を中性付近pHで緩衝された4M NaClまで増加させることによって溶出した。hDNAアウトプットを、吸収ベースアッセイを通して定量化した。
上清を有する第2のバイアルを市販のゲノムhDNA抽出プロセスに供した。hDNAアウトプットを、吸収ベースアッセイを通して定量化した。
【0121】
上で記載された全ての処理ステップを三連で行い、ここで、
図5に示された結果を平均±標準偏差として示す。
結果
第1のバイアルからのhDNAアウトプットは、2,930±73ngであった。第2のバイアルからのhDNAアウトプットは、146.5±18ngであった。結果は、約95%のhDNAがWAXビーズによって除去されたことを示している。
結果は、陰イオン交換樹脂が溶液からhDNAを効果的に除去することを示している。したがって、真核細胞を標的とするために開示された溶解緩衝液を使用すること、および真核生物DNAを除去するために陰イオン交換樹脂を使用することは、試料中の微生物細胞を単離するかつ/または真核生物DNAを除去するための方法およびデバイスに有用である。
【0122】
(例4):チップ上での自動プロセスによるhDNA抽出と手動でのhDNA抽出の比較
本例は、チップ上での自動プロセスを使用したhDNA抽出が、手動で、手作業で、すなわち、ベンチトップで処理されたhDNA抽出と同じくらい効果的であることを示す。
方法
「オンベンチ」アッセイ:1.5mlのヒト全血が例3に記載されたものと同じ手動プロセスを経た。増加した血液体積を埋め合わせるために、陰イオン交換樹脂の量を30×、総計1.5mgに増加させた。溶解インキュベーション時間を10分に増加させた。全ての他の反応ステップは、前に記載されたものと同一である(
図5を参照されたい)。全ての処理ステップを三連で行い、ここで、表1および2に示された結果を平均±標準偏差として示す。
【0123】
「オンチップ」アッセイ:1.5mlのヒト全血が例3に記載されたものと同じプロセスを経たが、しかしながら、処理を
図2に記載された自動デバイスで完了した。一般に、全ての試薬、体積、処理時間、および温度は、例3に記載されたものと同一であった。1.5mlのヒト全血を、手動プロセスを通して反応チャンバー(301、
図2C)中に注入した。それぞれ約0.5%(v/v)の濃度を有するTween-20とTriton X-100の両方を含有する1.5mlの溶解緩衝液を溶解用溶液貯蔵チャンバー302から反応チャンバー301に移し、室温で2分間インキュベートした。インキュベーション後、反応を、溶解終結溶液貯蔵チャンバー304に元々保管されていた、7.0のpHを有する2M NaClを含有する溶解終結溶液の添加で終結させた。溶解反応を終結させた後、樹脂貯蔵チャンバー303に保管された1.5mg DEAE被覆磁性ビーズを反応チャンバー301に移した。反応チャンバー301を無菌空気の導入を通して穏やかに撹拌した。混合をおよそ5分間行い、その後、希土類磁石を使用して、ビーズを反応チャンバー301の壁に固定化した。次いで、hDNA枯渇試料をアウトプットチャンバー305に移した。全ての処理ステップを三連で行い、ここで、表1および2に示された結果を平均±標準偏差として示す。
【0124】
溶出されたhDNAでのPCR反応:両方の場合、すなわち、オンチップおよびオンベンチアッセイにおいて、WAXから溶出されたhDNAを単一DNA鋳型の1,000コピーを含有するPCRマスターミックスに添加した。標準的な手順を使用して、かつKapa BiosystemsのHiFi DNAポリメラーゼを用いて、PCR反応を行った。
【0125】
結果
「オンベンチ」アッセイは、96.9±0.3%のhDNAを抽出した(表1を参照されたい)。使い捨てのデバイスは、97.2±0.4%のhDNAを抽出した(表2を参照されたい)。
【表3】
【表4】
【0126】
結果は、等しいレベルの有効性でオンベンチとオンチップの両方でのDNA抽出プロセスを完了する能力を示している。
図6を参照して、レーン1~3(S
1~S
3)は、ヒト全血から抽出されず、手動処理を経たhDNAを含んだPCR試料であり、レーン4~6(S
4~S
6)は、ヒト全血から抽出されず、自動処理を経たhDNAを含んだPCR試料である。NCは、ニセの実験を描写し、PCは、hDNAの存在がない10
3コピー鋳型からのPCR産物アウトプット(1.5kbp)を示す。
図6は、オンベンチとオンチップの両方でPCRプロセスに問題がなかったので、残り物または残存物hDNAが感受性観点から下流プロセスに著しく影響を及ぼさないことを示している。
【0127】
結果は、正の対照とも著しく異ならない、オンベンチとオンチップ処理の両方からの等しいレベルのDNA産物を示している。
(例5):黄色ブドウ球菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な黄色ブドウ球菌の検出を示す。負荷は、特に、41CFU/mlおよび4CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に黄色ブドウ球菌(ATCC#43300)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。1.5mlの人為的なヒト血液を抽出し、新鮮なバイアル中に置いた。1.5ml血液試料に、2%(v/v)のTween-20および1.3%(v/v)のTriton-X100からなる1.5mlの溶解用溶液を添加した。約5分後、NaClを150~300mMの最終濃度まで組み合わせられた混合物に添加し、WAXコンジュゲート磁性粒子を添加した。約2分後、希土類磁石を使用して、磁性粒子をバイアルの表面に固定化し、約3mlの溶液を除去し、新鮮なバイアル中に置いた。
【0128】
微生物溶解用溶液を新鮮なバイアルに添加した。微生物溶解用溶液は、以下のものを含有した:グルコピラノシド、陽イオン性洗浄剤、およびスルホベタイン(その全ては、それらの個々のCMCを超える濃度であった(>10×))を含有する洗浄剤ベース試薬に加えて、架橋および親和性精製リゾチーム(2~13mg)、ムタノリシン(10~350U)、ザイモリアーゼ(18~200U)、およびリゾスタフィン(65~250U)。微生物溶解反応は、EDTA(約10mMで)および2-メルカプトエタノール(約25mMで)も含んだ。組み合わせられた反応混合物を約10~15分間インキュベートし、その後、WAXコンジュゲート磁性粒子を溶液に添加した。約2分後、希土類磁石を使用して、磁性粒子をバイアルの表面に固定化し、微生物溶解用溶液を除去し、廃棄した。
【0129】
ビーズを1M NaClを含有する緩衝された洗浄液で繰り返し洗浄した。微生物DNAをpH12.5に緩衝された溶出試薬でビーズから溶出した。溶出溶液を限外ろ過した。限外ろ過後、微生物DNAを以下のプライマー配列(5’~3’)での全長rDNAのPCRに供した:
CCC CCC CCT CAG TTA TCG TTT ATT TGA TAG TAC C; CCC CCC CCT CAG TTA TCG TTT ATT TGA TAG TTC C; CCC TTC CCA GAG TTT GAT CAT GGC TCA G; CCC TTC CAG AGT TTG ATC CTG GCT CAG; CCC CCC GGT TAC CTT GTT ACG ACT T; CCC CCGG CTA CCT TGT TAC GACT T; CCC TTC CCT GAT GAC TCG TGC CTA CTA; CCC TCT CCC TGA TGA CTT GCG CTT ACT A
【0130】
各プライマーは、その後の標識化のためのハプテン部分を含有する。PCR後、試料を、それぞれ表1で同定された配列を有するビオチン化ガンマ修飾PNAプローブならびにTween-20、NaCl、およびポリ-EG-12,000を含有する侵入支持試薬を充填された17のチャンバー中に等しく分けた。各ウェルを、5mlのストックMyOne C1ストレプトアビジン被覆ビーズの添加で70~95℃まで1~5分間加熱した。ビーズ上へのγPNAプローブの固定化後、ビーズを150~550mM NaClを含有する溶液中で少なくとも75~95℃の温度で洗浄した。洗浄後、各チャンバーに、捕獲されたアンプリコン上の遊離のハプテン(存在する場合)に結合するプライマー-ハプテンを標的とするHRP-コンジュゲートを含有する溶液を添加した。中性の低塩洗浄でのいくつかの洗浄ステップ後、ルミノールを添加して、微生物DNAが捕獲された場所のみで明瞭な光学的シグネチャーを得た。光学的シグネチャーを2.5秒/ウェルの積分時間でPromega GloMaxプレートリーダーを使用して読んだ。各反応を三連で完了した。
【0131】
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーは、黄色ブドウ球菌チャネル(黄色ブドウ球菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図7を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0132】
(例6):表皮ブドウ球菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な表皮ブドウ球菌の検出を示す。負荷は、特に、47CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に表皮ブドウ球菌(ATCC#51625)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーがCoNSチャネル(CoNSに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図8を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0133】
(例7):スタフィロコッカス・ルグドゥネンシスの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なスタフィロコッカス・ルグドゥネンシスの検出を示す。負荷は、特に、51CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にスタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(ATCC#49576)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがCoNSチャネル(CoNSに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図9を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0134】
(例8):ストレプトコッカス・アガラクチアの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なストレプトコッカス・アガラクチアの検出を示す。負荷は、特に、20CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にストレプトコッカス・アガラクチア(ATCC#13813)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがストレプトコッカス・アガラクチアチャネル(ストレプトコッカス・アガラクチアに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図10を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0135】
(例9):肺炎球菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なS.pneumoniaの検出を示す。負荷は、特に、75CFU/mlおよび7CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に肺炎球菌(ATCC#6303)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
【0136】
結果:強い光学的シグネチャーがS.pneumoniaチャネル(肺炎球菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図11を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0137】
(例10):化膿性連鎖球菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な化膿性連鎖球菌の検出を示す。負荷は、特に、17CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に化膿性連鎖球菌(ATCC#12344)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーが化膿性連鎖球菌チャネル(化膿性連鎖球菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図12を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0138】
(例11):フェカリス菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なフェカリス菌の検出を示す。負荷は、特に、54CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にフェカリス菌(ATCC#29212)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがフェカリス菌チャネル(フェカリス菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図13を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0139】
(例12):フェシウム菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なフェシウム菌の検出を示す。負荷は、特に、22CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にフェシウム菌(ATCC#700221)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがフェシウム菌チャネル(フェシウム菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図14を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0140】
(例13):大腸菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な大腸菌の検出を示す。負荷は、特に、50CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に大腸菌(ATCC#BAA-2469)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーが大腸菌チャネル(大腸菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図15を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0141】
(例14):アシネトバクター・バウマンニの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なアシネトバクター・バウマンニの検出を示す。負荷は、特に、25CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にアシネトバクター・バウマンニ(ATCC#19606)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがアシネトバクター・バウマンニチャネル(アシネトバクター・バウマンニに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図16を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0142】
(例15):エンテロバクター・エロゲネスの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なエンテロバクター・エロゲネスの検出を示す。負荷は、特に、22CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にエンテロバクター・エロゲネス(ATCC#13048)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがエンテロバクター菌種/クレブシエラ菌種チャネル(エンテロバクター・エロゲネス/エンテロバクター・クロアカ/肺炎桿菌/クレブシエラ・オキシトカに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図17を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0143】
(例16):エンテロバクター・クロアカの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なエンテロバクター・クロアカの検出を示す。負荷は、特に、38CFU/mlおよび4CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にエンテロバクター・クロアカ(ATCC#13047)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがエンテロバクター菌種/クレブシエラ菌種チャネル(エンテロバクター・エロゲネス/エンテロバクター・クロアカ/肺炎桿菌/クレブシエラ・オキシトカに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図18を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0144】
(例17):肺炎桿菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な肺炎桿菌の検出を示す。負荷は、特に、60CFU/mlおよび6CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に肺炎桿菌(ATCC#27736)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーがエンテロバクター菌種/クレブシエラ菌種チャネル(エンテロバクター・エロゲネス/エンテロバクター・クロアカ/肺炎桿菌/クレブシエラ・オキシトカに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図19を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0145】
(例18):クレブシエラ・オキシトカの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なクレブシエラ・オキシトカの検出を示す。負荷は、特に、24CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にクレブシエラ・オキシトカ(ATCC#49131)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーがエンテロバクター菌種/クレブシエラ菌種チャネル(エンテロバクター・エロゲネス/エンテロバクター・クロアカ/K.pneumonia/クレブシエラ・オキシトカに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図20を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0146】
(例19):緑膿菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な緑膿菌の検出を示す。負荷は、特に、60CFU/mlおよび6CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に緑膿菌(ATCC#10145)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーが緑膿菌チャネル(緑膿菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図21を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0147】
(例20):霊菌の検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な霊菌の検出を示す。負荷は、特に、59CFU/mlおよび6CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に霊菌(ATCC#13880)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーが霊菌チャネル(霊菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図22を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0148】
(例21):カンジダ・アルビカンスの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なカンジダ・アルビカンスの検出を示す。負荷は、特に、27CFU/mlおよび3CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にカンジダ・アルビカンス(ATCC#90028)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーがカンジダ・アルビカンスチャネル(カンジダ・アルビカンスに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図23を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0149】
(例22):カンジダ・グラブラータの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なカンジダ・グラブラータの検出を示す。負荷は、特に、17CFU/mlおよび2CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にカンジダ・グラブラータ(ATCC#MYA-2950)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがカンジダ・グラブラータチャネル(カンジダ・グラブラータに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図24を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0150】
(例23):カンジダ・トロピカリスの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なカンジダ・tropicalsの検出を示す。負荷は、特に、31CFU/mlおよび6CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にカンジダ・トロピカルス(ATCC#13803)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがカンジダ・トロピカルスチャネル(カンジダ・トロピカルスに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図25を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0151】
(例24):カンジダ・パラプシローシスの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なカンジダ・パラプシローシスの検出を示す。負荷は、特に、45CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にカンジダ・パラプシローシス(ATCC#14243)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーがカンジダ・パラプシローシスチャネル(カンジダ・パラプシローシスに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図26を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0152】
(例25):カンジダ・クルセイの検出
本例は、2つの臨床的に関連する負荷レベル:10~100CFU/ml(「高負荷」)および1~10CFU/ml(「低負荷」)で、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的なカンジダ・クルセイの検出を示す。負荷は、特に、45CFU/mlおよび5CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血にカンジダ・クルセイ(ATCC#13803)を「高負荷」または「低負荷」で播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーがカンジダ・クルセイチャネル(カンジダ・クルセイに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図27を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0153】
(例26):大腸菌およびカンジダ・アルビカンスでの同時感染の検出
本例は、臨床的に関連する負荷レベルで、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な大腸菌とカンジダ・アルビカンスの両方の同時検出を示す:負荷は、特に、それぞれ、大腸菌およびカンジダ・アルビカンスに関して17CFU/mlおよび3CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に大腸菌(ATCC#BAA-2469)とカンジダ・アルビカンス(ATCC#90028)の両方を播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:明確に同定可能な光学的シグネチャーが大腸菌およびカンジダ・アルビカンスチャネル(大腸菌またはカンジダ・アルビカンスに特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)においてのみ見られた。
図28を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0154】
(例27):大腸菌および黄色ブドウ球菌での同時感染の検出
本例は、臨床的に関連する負荷レベルで、本明細書で開示された方法を使用した、ヒト全血からの直接的な大腸菌と黄色ブドウ球菌の両方の同時検出を示す:負荷は、特に、それぞれ、大腸菌および黄色ブドウ球菌に関して17CFU/mlおよび8CFU/mlであった。
方法:EDTA vacuette中に引き出された新鮮なヒト全血に大腸菌(ATCC#BAA-2469)と黄色ブドウ球菌(ATCC#43300)の両方を播種した。微生物DNAを検出するための例5に開示された方法を使用した。
結果:強い光学的シグネチャーが大腸菌および黄色ブドウ球菌チャネル(大腸菌または黄色ブドウ球菌に特異的なガンマ修飾PNAプローブで活性化されたチャンバーに由来した)において見られた。
図29を参照されたい。
これらの結果は、本明細書で開示された組成物および方法が少なくとも1つの特異的な病原体を試料血液から同定し得ることを示している。したがって、本明細書で開示された組成物および方法は、試料中の微生物の検出および同定に有用である。
【0155】
均等物
いくつかの実施形態が例証され、記載されたが、以下の特許請求の範囲において定義されたそのより広範な態様におけるテクノロジーから逸脱することなく、当業者によって実施形態に対し変更および修正が行いわれ得ることが理解されよう。
本明細書で例証的に記載された実施形態は、本明細書で明確に開示されていない任意のエレメント、限定の非存在下で適切に実行され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する」などの用語は、拡張的にかつ限定なく解釈されるべきである。その上、本明細書で用いられた用語および表現は、説明の用語として使用され、限定するものではなく、示されかつ記載された特色のいかなる均等物もその部分もかかる用語および表現の使用において排除する意図はないが、様々な変更形態が特許請求されたテクノロジーの範囲内で可能であることが認識される。その上、「から本質的になる」というフレーズは、特に列挙されたエレメントおよび特許請求されたテクノロジーの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加のエレメントを含むと理解されることになる。「からなる」というフレーズは、特定されていないあらゆるエレメントを排除する。
【0156】
本開示は、本出願において記載された特定の実施形態の観点から限定されない。当業者には明らかとなるように、多くの変更形態および変形形態がその精神および範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書で列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および組成物は、前述の説明から当業者に明らかとなる。かかる変更形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。本開示は、かかる特許請求の範囲が与えられた均等物の完全な範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。本開示は、当然変動し得る特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物系に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用された専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することは意図されていないことも理解されるべきである。
【0157】
さらに、本開示の特色または態様がマーカッシュグループの観点から記載される場合、それによって、本開示がマーカッシュグループのメンバーの任意の個々のメンバーまたはサブグループの観点からも記載されることを当業者は認識することになる。
【0158】
本明細書において参照された全ての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、まるで各個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が、その全体が参照によって組み込まれていると明確にかつ個々に示されているように、参照によって本明細書に組み込まれている。参照によって組み込まれたテキストに含有されている定義は、それらが本開示における定義と矛盾する程度まで除外される。
【0159】
他の実施形態が以下の特許請求の範囲において記載される。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 対象からの試料中の1つまたは複数の特定の微生物種を同定するための方法であって、試料から真核生物DNAを枯渇させること;
試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解すること、ここで1つまたは複数の微生物細胞の溶解は、複数の微生物遺伝物質を放出させる;
複数の微生物遺伝物質を単離すること;
複数の微生物遺伝物質を増幅すること;
増幅された微生物遺伝物質を複数のDNA侵入人工核酸(DIANA)と接触させること、ここで複数のDIANAは、配列番号1~37からなる群から選択される配列を含む;および
微生物のそのそれぞれの単一種または群の微生物遺伝物質への1つまたは複数のDIANAの結合を検出すること、ここで結合の検出は、試料中の1つまたは複数の特定の微生物種または微生物の群の存在を示す
を含む方法。
2. 単離された複数のゲノム物質が精製される、上記1に記載の方法。
3. 試料から真核生物DNAを枯渇させることが、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することを含み、真核細胞溶解用溶液が、微生物細胞に対して真核細胞を選択的に標的としかつ優勢に溶解する、上記1から2の1項に記載の方法。
4. 試料と組み合わせられた真核細胞溶解用溶液が約0.25%~1%(v/v)のTween界面活性剤、約0.2%~0.65%(v/v)のTritonまたはIGEPALを含み、約6~9のpHを有する、上記3に記載の方法。
5. 遊離の真核生物DNAが、約0.1M~0.85Mの一価の塩濃度を有する約6~9のpHの条件下で陰イオン性-交換微小粒子を使用して血液反応から除去される、上記3に記載の方法。
6. 試料が血液または痰である、上記1に記載の方法。
7. 対象が哺乳動物である、上記1に記載の方法。
8. 哺乳動物がヒトである、上記7に記載の方法。
9. 複数の微生物遺伝物質を単離することが、微生物遺伝物質を陰イオン性-交換微小粒子に結合させ、微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することを含む、上記1に記載の方法。
10. 単離された微生物遺伝物質がRNA、DNA、またはその組合せである、上記1に記載の方法。
11. DNAが一本鎖または二本鎖である、上記10に記載の方法。
12. 試料中の1つまたは複数の微生物細胞を溶解することが、1つまたは複数の微生物細胞を、DNAインターカレーティング色素を含む溶解緩衝液と接触させることを含む、上記1に記載の方法。
13. DNAインターカレーティング色素が、エチジウムモノアジド(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、またはその組合せから選択される、上記12に記載の方法。
14. 微生物遺伝物質を結合させた後、陰イオン-交換微小粒子を洗浄することが、単離され
た複数の微生物遺伝物質を、約3~7.5のpH、少なくとも1つの一価の塩であって、
一価の塩濃度が約0.75M~2.75Mである一価の塩、少なくとも1つの非イオン性
洗浄剤であって、非イオン性洗浄剤濃度が約0.01%~1.0%(v/v)である非イ
オン性洗浄剤、および少なくとも1つの両性イオン性洗浄剤であって、両性イオン性洗浄
剤濃度が約0.1×~400×CMCである両性イオン性洗浄剤を含む洗浄緩衝液と接触
させることを含む、上記9に記載の方法。
15. 複数の微生物遺伝物質を増幅することが約400~2000bpのアンプリコンを得る
ことを含む、上記1に記載の方法。
16. DIANAが1つまたは複数のリンカーを含む、上記1に記載の方法。
17. リンカーが、長さが約40~200原子である、上記16に記載の方法。
18. DIANAが1つまたは複数の結合部分を含む、上記1に記載の方法。
19. 多方向の流れを可能にする複数の相互接続されたチャンバーを含むカートリッジであっ
て:
第1のチャンバーが反応チャンバーであり、第1のチャンバーが約10μl~10mlの
試料を受け取るように構成されており;
第2のチャンバーが溶解用溶液貯蔵チャンバーであり;
第3のチャンバーが溶解終結溶液貯蔵チャンバーであり;
第4のチャンバーが陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーであり;
第5のチャンバーがアウトプットチャンバーである、カートリッジ;および
複数の流れチャネルを含む流体デバイスであって、
第1の流れチャネルが第1のチャンバーを第2のチャンバーに連結し、
第2の流れチャネルが第1のチャンバーを第3のチャンバーに連結し、
第3の流れチャネルが第1のチャンバーを第4のチャンバーに連結し、
第4の流れチャネルが第1のチャンバーを第5のチャンバーに連結する、流体デバイス
を含むデバイス。
20. 流体デバイスが流れゲートをさらに含み、流れゲートが2つ以上のチャンバーを連結す
る流れチャネル間に配置されている、上記19に記載のデバイス。
21. 流体デバイスが1つまたは複数のニューマチックインターフェースをさらに含み、ニュ
ーマチックインターフェースが少なくとも1つのチャンバーに流体連結されている、請求
項19に記載のデバイス。
22. 陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーが陰イオン交換樹脂を含む、上記19に記載のデバ
イス。
23. 陰イオン交換樹脂貯蔵チャンバーが、支持基板にコンジュゲートしている陰イオン交換
樹脂を含む、上記19に記載のデバイス。
24. 溶解用溶液貯蔵チャンバーが真核生物溶解用溶液を含み、試料と組み合わせられた真核
生物溶解用溶液が約0.25%~1%(v/v)のTween界面活性剤および約0.2
%~0.65%(v/v)のTritonまたはIGEPALを含む、上記19に記載
のデバイス。
25. Tween界面活性剤が、Tween-20、Tween-40、およびTween-80からなる群から選択される、上記24に記載のデバイス。
26. TritonがTriton X-100またはTriton X-114である、上記24に記載のデバイス。
27. IGEPALが、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-630、およびIGEPAL CO-720からなる群から選択される、上記24に記載のデバイス。
28. 流体撹拌がチャンバーの1つまたは複数中への無菌気体の流れによって作製される、上記19に記載のデバイス。
29. 独立型デバイスである、上記19に記載のデバイス。
30. デバイスが第2のデバイス中のモジュールであり、第2のデバイスがモジュールの上流および/または下流処理を行う、上記19に記載のデバイス。
31. 1つまたは複数のDIANAを含む組成物であって、DIANAが、配列番号1~37からなる群から選択される配列を有する、組成物。
32. 1つまたは複数のDIANAが固体支持体に結合している、上記31に記載の組成物。
33. 1つまたは複数のDIANAが検出可能なマーカーを含む、上記31に記載の組成物。
34. 試料から真核生物DNAを枯渇させるための方法であって、真核細胞溶解用溶液を試料に添加することを含み、真核細胞溶解用溶液が、上記19に記載のデバイスを使用して、微生物細胞に対して真核細胞を選択的に標的としかつ優勢に溶解する、方法。
【配列表】