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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】易引裂性包装材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220328BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B3/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018013273
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019131211
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳浩
(72)【発明者】
【氏名】宮本 憲一
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-287360(JP,A)
【文献】実開平04-079636(JP,U)
【文献】特開昭64-077519(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038355(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、前記アンカーコート層上に少なくとも1層の熱可塑性樹脂層を押出しすることにより積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる1種以上からなるシーラント層であることを特徴とする請求項1に記載の易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項3】
複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、前記アンカーコート層上に少なくとも1層の熱可塑性樹脂層を押出し、前記熱可塑性樹脂層上にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を押出ラミネート又はドライラミネートにより積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項4】
複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、前記アンカーコート層上に少なくとも1層の熱可塑性樹脂層を押出し、前記熱可塑性樹脂層上にバリア層を押出ラミネート又はドライラミネートにより積層し、前記バリア層上に、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を押出ラミネート又はドライラミネートにより積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項5】
複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布して接着層を設け、前記接着層上に他の層を積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項6】
前記他の層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を有することを特徴とする請求項に記載の易引裂性包装材料の製造方法。
【請求項7】
前記他の層は、バリア層と、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層とを有し、前記接着層上に前記バリア層が配置されることを特徴とする請求項に記載の易引裂性包装材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性の包装袋等に用いられる易引裂性包装材料の製造方法、詳しくは複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムをラミネート加工により得た場合においてもブロッキングの発生を抑制することができる易引裂性包装材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋において開封を容易にするための種々の工夫がなされている。その一つとして、易開封性の包装袋を形成する積層フィルムにおいて、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムを利用することで包装袋のシール部分の任意の端縁から容易に開封できるようにした積層フィルムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯状傷痕群を有する熱可塑性延伸フィルム層と、全面に微細な傷痕を有する熱可塑性フィルム層(本発明でいう基材フィルム)と、ヒートシール層とを有する積層フィルムからなるピロー形状の易開封性包装袋が記載され、該帯状傷痕群が折り曲げ線に沿って位置するとともに、切れ込みをその長さ方向が折り曲げ線を横断するように並べた複数の列よりなることにより、包装袋を引裂き開封するときの傷痕への応力集中が大きく手指の弱い力で容易に開封可能であることが記載されている。
【0004】
微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムは、通常、基材フィルムに印刷等を施し、印刷層を設けた後に基材フィルムと印刷層とを貫通する微細貫通孔を形成し、次いで、基材フィルムとバリアフィルムやシーラントフィルム等の他のフィルムとをラミネート加工することにより得られる。ラミネート加工としては、基材フィルムと他のフィルムとを接着剤を介して積層するドライラミネートや、基材フィルム上にアンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、アンカーコート層上にポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融してフィルム状に押出したものをラミネートする押出ラミネートが挙げられる。
【0005】
しかしながら、このような複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムにおいては、基材フィルムに微細貫通孔が形成されているため、接着剤やアンカーコート剤(以下、合わせて接着剤等と称する)がフィルムに成形された微細貫通孔を通過して接着面と反対側の面(以下、裏面と称する)に染み出る、いわゆる裏抜けという現象が生じることがある。この裏抜け現象は、染み出した接着剤等が微細貫通孔を埋めて引裂性が悪くなる、ロール状に巻き取った積層フィルムの表裏がブロッキングするなどの不都合を引き起こすことがある。
【0006】
そこで、この裏抜けを防ぐために、特許文献2には、貫通する微細孔を設けた基材フィルムとオレフィンフィルムとを無溶剤ラミネート接着剤を用いて接合した積層フィルムが記載されている。該積層フィルムでは、基材フィルムとオレフィンフィルムとを接合する接着剤として無溶剤ラミネート接着剤を用いることにより、ラミネート加工時における接着剤の裏面への染み出しを防ぐことができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-18991
【文献】実開平4-79636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ラミネート加工により得られた積層フィルムは、通常、接着剤等の硬化を促進し、高い接着強度を得るため、積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールを35~60℃の環境下で1日から4日程度保管してエージング処理を施すことが行われる。これは微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムにおいても例外でなく、接着剤等の硬化を促進し、接着強度を高めるため、積層フィルムのフィルムロールにエージング処理を施す必要がある。しかしながら、微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムのフィルムロールにおいては、エージング処理を施した後に積層フィルムの表裏(例えば、基材フィルムと隣接するシーラントフィルム)が接着し、ブロッキングが発生するという問題がある。
【0009】
この対策として、例えば、ラミネート加工直後に積層フィルムのフィルムロールを巻直ししてからエージング処理を施すことなどが考えられるが、巻直しを施しても積層フィルムのフィルムロールの巻芯部分においてはこのブロッキングの問題を解消することができなかった。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、微細貫通孔が形成された基材フィルムと他のフィルムとをドライラミネート、押出ラミネート等によって積層した積層フィルムのフィルムロールをエージング処理した際にブロッキングが発生することを抑制することができる易引裂性包装材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先ず、本発明者らは、微細貫通孔が形成された基材フィルムを有する積層フィルムのフィルムロールにエージング処理を施すことでブロッキングが発生する原因について検討したところ、この接着剤等の裏抜けはエージング処理で発生していることを見出した。つまり、ラミネート加工段階では接着剤等の裏抜けはほとんど発生していないものの、エージング処理における35~60℃の環境下においては、積層フィルムが熱収縮を起こすことにより積層フィルムのフィルムロールが巻締り、その圧力によって接着剤等が微細貫通孔を通過して裏面に染み出るものであることを突き止めた。
【0012】
そこで、本発明者らは、エージング処理における積層フィルムのフィルムロールの巻締りを抑制することがブロッキングを抑制することに有効であるとの考察のもとに鋭意検討した結果、エージング処理を15℃以上35℃未満の環境下[好ましくは常温環境下(20~30℃)]で施すことにより、積層フィルムの熱収縮を抑え、接着剤等が微細貫通孔を通して裏面に染み出ることを抑制することができ、延いては積層フィルムのフィルムロールにブロッキングが発生することを抑制できることを見出した。またドライラミネートや押出ラミネートに用いる接着剤等として、ポリエステルポリオールを主成分として含む主剤と、芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む硬化剤とからなる速硬性に優れる2液硬化型のポリウレタン系接着剤或いはアンカーコート剤を使用することにより、常温環境下における短期間のエージング処理においても実用的な接着強度が得られることを見出した。
【0013】
本発明によれば、
(1)複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上にアンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、前記アンカーコート層上に少なくとも1層の熱可塑性樹脂層を押出し、前記熱可塑性樹脂層上に必要に応じて他の層を押出ラミネート又はドライラミネートにより積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(2)前記アンカーコート剤は、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤であることを特徴とする(1)に記載の易開封性包装材料の製造方法が提供され、
(3)前記他の層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(4)前記他の層は、バリア層と、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層とを有し、前記熱可塑性樹脂上に前記バリア層が配置されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(5)前記熱可塑性樹脂層は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる1種以上からなるシーラント層であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(6)複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に接着剤を塗布して接着層を設け、前記接着層上に他の層を積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(7)記接着剤は、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系接着剤であることを特徴とする(6)に記載の易開封性包装材料の製造方が提供され、
(8)前記他の層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を有することを特徴とする(6)又は(7)に記載の易引裂性包装材料の製造方法が提供され、
(9)前記他の層は、バリア層と、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層とを有し、前記接着層上に前記バリア層が配置されることを特徴とする(6)又は(7)に記載の易引裂性包装材料の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の易引裂性包装材料の製造方法は、接着剤等が微細貫通孔を通じて裏面に染み出ることを抑制することができる為、染み出した接着剤等が微細貫通孔を埋めて引裂性が悪くなることやロールに巻き取った積層フィルムの表裏がブロッキングするといったトラブルを抑制することができる。また、速硬性に優れる2液硬化型の接着剤等を用いることにより常温環境下におけるエージング処理であっても比較的短時間で実用的な接着強度が得られ、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る易引裂性包装材料の製造方法を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態2に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態3に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態3に係る易引裂性包装材料の製造方法を示す概略図である。
図6】本発明の実施形態4に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の易引裂性包装材料の製造方法について、図を用いて説明する。なお、本発明の易引裂性包装材料の製造方法は、以下の実施形態に制限されるものではない。
【0017】
[易引裂性包装材料(実施形態1)]
図1は本発明の実施形態1に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。図1に示す本発明の易引裂性包装材料は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム2と、アンカーコート層3と、熱可塑性樹脂層4と、シーラント層5とをこの順に有する積層フィルム1である。なお、本発明の目的を達成しうる範囲で、各層の間に他の層を設けても良い。
【0018】
(基材フィルム)
本発明に用いられる基材フィルムは、易引裂性を目的として複数の微細貫通孔が成形された熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられ、これらは積層されていても良い。また熱可塑性樹脂フィルムは、一軸又は二軸延伸フィルムであっても良い。基材フィルムの厚さは、包装用途に応じて適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば10~100μmである。基材フィルムの厚さは10~60μmが好ましく、10~40μmがより好ましい。基材フィルムの厚さが上記範囲よりも薄い場合は機械的強度が小さく、上記範囲よりも厚い場合は、易引裂性が悪くなる恐れがある。
【0019】
また基材フィルムには全面又は一部に複数の微細貫通孔が形成されている。微細貫通孔の開口径と密度は、フィルムの種類や厚さなどによって適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、各貫通孔の平均開口径は0.1~100μmであり、平均分布密度は1×10~3×10個/cmである。平均開口径は0.5~50μmであることが好ましく、0.5~20μmであることがより好ましい。平均分布密度は、5×10~1×10個/cmであることが好ましく、1×10~5×10個/cmであることがより好ましい。微細貫通孔の平均分布密度は、基材フィルムの任意の位置における50μm×50μmの5か所の領域内の微細貫通孔の個数を顕微鏡を用いて数え、得られた値を平均し、1cmあたりの個数に換算することにより求める。微細貫通孔を形成する方法は、従来公知の方法を採用することができ、特に制限するものではないが、例えば、粒度を調整した砥粒をバインダーで金属ロールの円周面上に固着させてフィルムをこのロールと金属の受けロール間を走行させながら押圧することによって付与する方法、微細な針を多数埋め込んだロールでフィルムを押圧する方法、微細な刃を多数形成したロールをフィルムに押圧する方法等が挙げられる。基材フィルムに印刷を施す場合は、基材フィルム上に印刷層を設けた後に基材フィルムと印刷層とを貫通する微細貫通孔を形成すれば良い。なお、基材フィルムは、貫通孔のみならず、微細な未貫通孔(例えば、平均開口径0.1~100μm)が混在することを許容する。
【0020】
(アンカーコート層)
アンカーコート層は、基材フィルムとアンカーコート層上に押出される熱可塑性樹脂層との接着性を高める層であり、基材フィルム上にアンカーコート層が設けられる。アンカーコート剤は従来公知の反応硬化型接着剤を用いることができ、溶剤タイプの1液硬化型、2液硬化型アンカーコート剤などが挙げられる。これらの中でも溶剤タイプの2液硬化型アンカーコート剤は1液硬化型に比べて反応機構が安定することから好ましい。アンカーコート剤の種類としては、ポリウレタン系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤等が挙げられる。アンカーコート層の厚さは、特に制限するものではないが、例えば、0.01~3μmであることが好ましく、0.05~1μmであることがより好ましい。厚さが上記範囲よりも薄いと、接着強度が小さくその効果を発揮できない恐れがある。厚さが上記範囲よりも厚いと、コストアップに繋がるとともに厚みを厚くしただけの接着性向上の効果が見られない。
【0021】
本発明に用いられるアンカーコート剤は、接着性や弾性率の制御が容易であることから、主剤であるポリオール成分と硬化剤であるイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤であることが好ましい。ポリオール成分としては、例えば、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。イソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤であることが好ましい。ポリエステルポリオールを主成分として含む主剤と、芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む硬化剤からなる2液硬化型ポリウレタン系アンカーコート剤は、速硬性に優れ、常温環境下におけるエージング処理においても短時間で実用的な接着強度を得ることができる為、微細貫通孔が形成された基材フィルムとシーラント層などの他の層とを押出ラミネートした際のアンカーコート剤の裏抜けを抑制し、フィルムロールのブロッキングを抑制することができる。
【0022】
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、基材フィルムとシーラント層などの他の層とを押出ラミネートする層であり、アンカーコート層上に押出されて形成される。熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート加工適性に優れることからポリオレフィン系樹脂からなることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体等のプロピレン系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂層の厚さは、用途に応じて適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、5~60μであることが好ましく、10~40μmであることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂層は多層構成となっていても良い。
【0023】
(シーラント層)
シーラント層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂から形成される。ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。シーラントフィルムの厚さは、包装用途に合わせて適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、5~200μmであることが好ましく、10~100μmでることがより好ましく、10~50μmであることが特に好ましい。シーラントフィルムの厚さが上記範囲より薄い場合はシーラントフィルムとしてのヒートシール強度が不足し、上記範囲より厚い場合は易引裂性が悪くなる恐れがある。また、シーラント層は多層構成となっていても良い。
【0024】
なお、熱可塑性樹脂層は、基材フィルムとシーラント層などの他の層とを押出ラミネートする層として説明したが、ヒートシール性を有する樹脂から熱可塑性樹脂層を形成し、熱可塑性樹脂層をシーラント層としても良い。ヒートシール性を有する樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
[易引裂性包装材料(実施形態1)の製造方法]
本発明の実施形態1に係る易引裂性包装材料の製造方法は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上にアンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設け、アンカーコート層上に少なくとも1層の熱可塑性樹脂層を押出し、必要に応じて他の層を押出ラミネート又はドライラミネートにより積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする。本発明の製造方法によれば、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に設けられたアンカーコート層上に熱可塑性樹脂層を押出して積層フィルムとした後、比較的常温に近い温度下でエージング処理を施すことにより、フィルムロールが熱収縮を起こしてロールが巻締り、その圧力によってアンカーコート剤が微細貫通孔を通じて裏面に染み出ることを抑制することができる。なお、本発明でいう押出ラミネートは、熱可塑性樹脂を溶融してフィルム状に押出したものを基材にラミネートすること意味し、シングルラミネート、サンドイッチラミネート、タンデムラミネート、共押出ラミネート等のいずれの方法も採用し得る。また、本発明でいうドライラミネートは、基材と他の層とを接着層を介して積層することを意味する。
【0026】
エージング処理は、基材フィルムが熱収縮しない温度でアンカーコート剤の硬化を促進させる必要がある為、エージング処理の温度は15℃以上35℃未満である。エージング処理の温度は、17℃以上32℃未満であることが好ましく、20℃以上30℃未満であることがより好ましい。15℃未満の場合、アンカーコート剤の硬化促進効果が充分でなく、基材フィルムと熱可塑性樹脂層との接着強度が不足する恐れがある。35℃以上の場合、フィルムロールが熱収縮により巻締り、アンカーコート剤の硬化前に微細貫通孔を通過してアンカーコート剤が裏面に染み出してブロッキングを起こす恐れがある。エージング処理の時間は12時間以上であり、好ましくは18時間以上であり、より好ましくは1日(24時間)以上である。なお、エージング処理は、12時間未満の時点で上限温度以上の環境下に曝された場合、フィルムロールにブロッキングが発生する恐れがあるが、12時間未満の時点で下限温度未満の環境下に曝された場合は、接着強度が不足する恐れがあるものの、フィルムロールにブロッキングが発生する恐れは少ない。従って、エージング処理が12時間未満の時点で下限温度未満の環境下に曝された場合は、上記温度におけるエージング処理が累積的に12時間以上であれば良い。
【0027】
次に、本発明の実施形態1に係る易開封性包装材料の製造方法について図2を用いて説明する。図2において、符号MR1は複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムが巻き取られた原反ロールであり、符号MR2はシーラントフィルム(シーラント層)が巻き取られた原反ロールである。また符号SRは製造された積層フィルムが巻き取られたフィルムロール(エージング処理前)である。
【0028】
先ず、シーラントフィルムは原反ロールMR2から繰り出され、ラミネート装置RPに供給される。一方、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムは、原反ロールMR1から繰り出されると必要に応じて表面処理装置CPによって表面処理が行われる。この表面処理は、例えば、コロナ放電処理やプラズマ処理などを挙げることができ、基材フィルムやアンカーコート剤にあわせて適切な処理を行えば良い。
【0029】
必要に応じて表面処理装置CPによって表面処理された基材フィルムは、アンカーコート剤の塗布装置GRに供給され、溶媒で希釈されたアンカーコート剤が塗布される。アンカーコート剤の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
溶剤で希釈されたアンカーコート剤が塗布された基材フィルムは、乾燥装置DPに供給される。この乾燥装置DPでは、基材フィルムが加熱されることにより溶媒が除去され、基材フィルム上にアンカーコート層が形成される。乾燥装置DPにおいて乾燥する温度は基材フィルムが熱収縮せず、溶媒が揮発する温度に調整される。
【0031】
乾燥装置DPを通過した基材フィルムは、ラミネート装置RPに供給され、シーラントフィルムと積層され接着される。具体的にはラミネート装置RPでは、基材フィルム上のアンカーコート層が形成された面とシーラントフィルムとの間に単層又は多層のTダイから溶融状態の樹脂をフィルム状に押出し、該樹脂を冷却固化させて熱可塑性樹脂層を形成してラミネートすることにより、熱可塑性樹脂層により基材フィルムとシーラントフィルムとが接着された積層フィルムとなる。この積層フィルムは、ハンドリング性などを考慮し、ロール状に巻き取られ、フィルムロールSRとなる。
【0032】
次いで、得られたフィルムロールSRを、従来公知の乾燥機或いはエージング室(図示しない)に搬送し、上述した条件でエージング処理を施すことにより、ブロッキングの発生のないフィルムロールが得られる。
【0033】
なお、ここでは本発明の実施形態1に係る易引裂性包装材料の製造方法の一例としてサンドイッチラミネートによるものを説明したが、例えば、基材フィルムのアンカーコート層が形成された面に熱可塑性樹脂層を形成する溶融状態の樹脂をフィルム状に押出し、該樹脂を冷却固化させて基材フィルムのアンカーコート層上に熱可塑性樹脂層を形成した後、熱可塑性樹脂層上にシーラント層を形成する溶融状態の樹脂をフィルム状に押出し、該樹脂を冷却固化させて熱可塑性樹脂層上にシーラント層を形成するタンデムラミネート、基材フィルムのアンカーコート層が形成された面に熱可塑性樹脂層を形成する樹脂とシーラント層を形成する樹脂とを別々の押出機に供給して同時にフィルム上に押出し、基材フィルム上に2種類の樹脂層を同時に積層する共押出ラミネートによるものであっても良い。
【0034】
また、熱可塑性樹脂層をヒートシール性を有する樹脂から形成し、熱可塑性樹脂層をシーラント層として、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムと、アンカーコート層と、シーラント層とをこの順に有する積層フィルム(図示しない)とする場合、基材フィルムのアンカーコート層が形成された面にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂をフィルム状に押出して積層するシングルラミネートとすれば良い。
【0035】
[易引裂性包装材料(実施形態2)]
図3は本発明の実施形態2に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。図3に示す本発明の易引裂性包装材料は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム12と、第1アンカーコート層13Aと、熱可塑性樹脂層14と、バリア層16と、第2アンカーコート層13B、シーラント層15とをこの順に有する積層フィルム11である。
【0036】
(バリア層)
バリア層は、水蒸気、酸素などのガス透過を防ぐ層であり、通常、基材フィルムとシーラント層との間に位置するよう形成される。バリア層としては、特に制限するものではないが、例えば、アルミニウム箔等の金属箔、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物蒸着層を熱可塑性樹脂フィルム上に設けた金属酸化物蒸着フィルム、アルミニウム等の金属蒸着層を熱可塑性樹脂フィルム上に設けた金属蒸着フィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のガスバリア樹脂からなるガスバリアフィルム、ポリ塩化ビニリデン等を熱可塑性樹脂フィルム上に塗工したガスバリアフィルム等が挙げられ、これらは積層されていても良い。バリア層の厚さは、包装用途に応じ適宜選択すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、5~100μmである。バリア層の厚さは5~60μmが好ましく、5~30μmがより好ましい。
【0037】
本発明の実施形態2に係る易引裂性包装材料は、例えば、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上にアンカーコート剤を塗布して第1アンカーコート層を設け、基材フィルムの第1アンカーコート層とバリア層との間に溶融状態の樹脂をフィルム状に押出して熱可塑性樹脂層を形成して押出ラミネートし、次いで、バリア層上にアンカーコート剤を塗布して第2アンカーコート層を設け、バリア層の第2アンカーコート層上にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を押出してシーラント層を積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施せば良い。なお、ここでは本発明の実施形態2に係る易開封性包装材料の製造方法として、シーラント層を押出して積層するシングルラミネートを例示したが、バリア層とシーラント層との間に溶融状態の樹脂をフィルム状に押出してサンドイッチラミネートしても良く、バリア層上に接着剤を塗布して接着層を設け、接着層とシーラント層とをドライラミネートしても良い。
【0038】
[易引裂性包装材料(実施形態3)]
図4は本発明の実施形態3に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。図4に示す本発明の易引裂性包装材料は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム22と、接着層23と、シーラント層25とをこの順に有する積層フィルムである。なお、本発明の目的を達成しうる範囲で、各層の間に他の層を設けることも可能である。
【0039】
(接着層)
接着層は、基材フィルムとシーラント層などの他の層とをドライラミネートする層であり、基材フィルム上に設けられる。接着層は、従来公知の反応硬化型接着剤を用いることができ、溶剤タイプの1液硬化型又は2液硬化型接着剤などが挙げられる。これらの中でも、溶剤タイプの2液硬化型接着剤は1液硬化型に比べて反応機構が安定することから好ましい。接着剤の種類としては、ポリウレタン系接着剤、ポリイソシアネート系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィン系接着剤、塩素化ポリオレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリブタジエン系接着剤等が挙げられる。接着層の厚みは、特に制限するものではないが、例えば、0.01~10μmであることが好ましく、0.1~5μmであることがより好ましく、0.5~3μmであることがさらに好ましい。
【0040】
本発明に用いられる接着剤は、接着性や弾性率の制御が容易であることから、主剤であるポリオール成分と硬化剤であるイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤であることが好ましい。ポリオール成分としては、例えば、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。イソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、主剤がポリエステルポリオールを主成分として含み、硬化剤が芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む2液硬化型ポリウレタン系接着剤であることが好ましい。ポリエステルポリオールを主成分として含む主剤と、芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む硬化剤からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤は、速硬性に優れ、常温環境下におけるエージング処理においても短時間で実用的な接着強度を得ることができる為、微細貫通孔を有する基材フィルムとシーラントフィルムとをドライラミネート加工した際においても接着剤の裏抜けを抑制し、フィルムロールのブロッキングを抑制することができる。
【0041】
[易引裂性包装材料(実施形態3)の製造方法]
本発明の実施形態3に係る易引裂性包装材料の製造方法は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に接着剤を塗布して接着層を設け、接着層上にシーラント層などの他の層を積層して積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施すことを特徴とする。なお、エージング処理における温度・時間などの好ましい条件については上述した通りである。
【0042】
次に、本発明の実施形態3に係る易引裂性包装材料の製造方法について図5を用いて説明する。図5において符号MR1は複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムが巻き取られた原反ロールであり、符号MR2はシーラントフィルム(シーラント層)が巻き取られた原反ロールである。また符号SRは製造された積層フィルムが巻き取られたフィルムロール(エージング処理前)である。
【0043】
先ず、シーラントフィルムは原反ロールMR2から繰り出され、ラミネート装置RPに供給される。一方、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルムは、原反ロールMR1から繰り出されると必要に応じて表面処理装置CPによって表面処理が行われる。表面処理の詳細については、上述した通りである。
【0044】
必要に応じて表面処理装置CPによって表面処理された基材フィルムは、接着剤塗布装置GRに供給され、溶媒で希釈された接着剤が塗布される。接着剤の希釈に用いられる溶剤についての詳細は上述した通りである。
【0045】
溶剤で希釈された接着剤が塗布された基材フィルムは、乾燥装置DPに供給される。この乾燥装置DPでは、基材フィルムが加熱されることにより溶媒が除去され、基材フィルム上に接着層が形成される。乾燥装置DPにおいて乾燥する温度は基材フィルムが収縮せず、溶媒が揮発する温度に調整される。
【0046】
乾燥装置DPを通過した基材フィルムは、ラミネート装置RPに供給され、シーラントフィルムと積層され接着される。具体的にはラミネート装置RPでは、基材フィルム上の接着層が形成された面と、シーラントフィルムとを合わせた状態で加圧することにより、接着層によって基材フィルムとシーラントフィルムとが接着された積層フィルムが形成される。この積層フィルムは、ハンドリング性などを考慮し、ロール状に巻き取られ、フィルムロールSRとなる。
【0047】
次いで、得られた積層フィルムのフィルムロールSRを、従来公知の乾燥機或いはエージング室(図示しない)に搬送し、上述した条件でエージング処理を施すことにより、ブロッキングの発生のないフィルムロールが得られる。
【0048】
[易引裂性包装材料(実施形態4)]
図6は本発明の実施形態4に係る易引裂性包装材料の拡大断面図である。図6に示す本発明の易引裂性包装材料は、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム32と、第1接着層33Aと、バリア層36と、第2接着層33Bと、シーラント層35とをこの順に有する積層フィルムである。
【0049】
本発明の実施形態4に係る易引裂性包装材料は、例えば、複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム上に接着剤を塗布して第1接着層を設け、第1接着層上にバリア層を積層してドライラミネートし、次いで、バリア層の基材フィルム側とは反対面に接着剤を塗布して第2接着層を設け、第2接着層上にシーラント層を積層してドライラミネートして積層フィルムとし、該積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに15℃以上35℃未満の温度で12時間以上のエージング処理を施せば良い。なお、ここでは本発明の実施形態4に係る易開封性包装材料の製造方法として、シーラント層をドライラミネートする方法を例示したが、バリア層とシーラント層との間に溶融状態の樹脂をフィルム状に押出してサンドイッチラミネートしても良く、バリア層上にシーラント層を押出して積層するシングルラミネートでも良い。
【実施例
【0050】
以下、本発明の製造方法について、実施例によりさらに詳しく説明する。
原料としては、下記のものを用いた。
<複数の微細貫通孔が形成された基材フィルム>
・PETフィルム[厚さ:12μm、品名:E5100(東洋紡製)、微細貫通孔の平均開口径:13μm、平均分布密度は13800個/cm
<アンカーコート層>
・アンカーコート剤A[主剤:EL-541(ポリエステルポリオール)、硬化剤:CAT-70H(芳香族ポリイソシアネート)、東洋モートン社製]
・アンカーコート剤B[主剤:EL-541(ポリエステルポリオール)、硬化剤:CAT-RT90(脂肪族ポリイソシアネート)、東洋モートン社製]
<熱可塑性樹脂層>
・低密度ポリエチレンA[密度:920g/cm、MFR:7g/10分、融点:108℃]
<バリア層>
・アルミニウム箔[厚さ:9μm]
<シーラント層>
・低密度ポリエチレンB[密度:920g/cm、MFR:7g/10分、融点:105℃]
【0051】
[実施例1]
PETフィルムの表面へアンカーコート剤Aを塗布・乾燥し、PETフィルムの表面に第1アンカーコート層(厚さ:0.5μm)を設け、PETフィルムの第1アンカーコート層とアルミニウム箔との間にTダイより押出された低密度ポリエチレンAからなる溶融樹脂をフィルム状に押出し、熱可塑性樹脂層(厚さ:20μm)を形成して押出ラミネートした。次いで、アルミニウム箔上にアンカーコート剤Aを塗布・乾燥し、第2アンカーコート層(厚さ:0.5μm)を設け、第2アンカーコート層上に低密度ポリエチレンBからなる溶融樹脂をフィルム状に押出し、シーラント層(厚さ:25μm)を積層して積層フィルムを得た。そして、得られた積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロール(長さ:1000m)を25℃の環境下で1日間エージング処理を施した。エージング処理後のフィルムロールにおけるブロッキング評価の結果を表1に示す。
【0052】
[比較例1]
PETフィルムの表面へアンカーコート剤Bを塗布・乾燥し、PETフィルムの表面に第1アンカーコート層(厚さ:0.5μm)を設け、PETフィルムの第1アンカーコート層とアルミニウム箔との間にダイより押出された低密度ポリエチレンAからなる溶融樹脂をフィルム状に押出し、熱可塑性樹脂層(厚さ:20μm)を形成して押出ラミネートした。次いで、アルミニウム箔上にアンカーコート剤Bを塗布・乾燥し、第2アンカーコート層(厚さ:0.5μm)を設け、第2アンカーコート層上に低密度ポリエチレンBからなる溶融樹脂をフィルム状に押出し、シーラント層(厚さ:25μm)を積層して積層フィルムを得た。そして、得られた積層フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロール(長さ:1000m)を35℃の環境下で1日間エージング処理を施した。エージング処理後のフィルムロールにおけるブロッキング評価の結果を表1に示す。
【0053】
[比較例2]
比較例1と同様の条件でフィルムロール(長さ:1000m)を得た後、フィルムロールに巻直しを行い、次いで35℃の環境下で1日間エージング処理を施した。エージング処理後のフィルムロールにおけるブロッキング評価の結果を表1に示す
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、ポリエステルポリオールを主成分として含む主剤と、芳香族ポリイソシアネートを主成分として含む硬化剤とからなる2液硬化型のポリウレタン系アンカーコート剤を用い、25℃の環境下にて24時間エージング処理を施した実施例1の易引裂性包装材料は、アンカーコート剤の硬化により実用的な接着強度が得られたと共に、フィルムロールの繰り出しにおいて巻外部分から巻芯部分に至るまでブロッキングの発生が見られない結果を示した。
【0056】
一方、表1に示すように、ポリエステルポリオールを主成分として含む主剤と、脂肪族ポリイソシアネートを主成分として含む硬化剤とからなる2液硬化型のポリウレタン系アンカーコート剤を用い、35℃の環境下にて24時間エージング処理を施した比較例1の易引裂性包装材料は、アンカーコート剤の硬化による実用的な接着強度が得られたものの、フィルムロールの繰り出しにおいて巻外部分から巻芯部分に至るまでブロッキングが発生する結果を示した。また、フィルムロールの製造直後に巻き直しを行った比較例2の易引裂性包装材料は、フィルムロールの繰り出しにおいて巻外部分にはブロッキングの発生が見られなかったものの、巻芯部分にブロッキングが発生する結果を示した。
【符号の説明】
【0057】
1、11、21、31:積層フィルム
2、12、22、32:基材フィルム
3、13A、13B:アンカーコート層
23、33A、33B:接着層
4、14:熱可塑性樹脂層
5、15、25、35:シーラント層
16、36:バリア層


図1
図2
図3
図4
図5
図6