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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220328BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220328BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220328BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G09F9/30 330
H01L27/32
H05B33/06
H05B33/14 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018019076
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019138938
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】軍司 雅和
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-031651(JP,A)
【文献】特開2013-038229(JP,A)
【文献】特開2005-340058(JP,A)
【文献】特開2005-038651(JP,A)
【文献】特開2005-202285(JP,A)
【文献】特開2007-157374(JP,A)
【文献】特開2011-232482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0001885(US,A1)
【文献】特開2017-211484(JP,A)
【文献】特開2016-127190(JP,A)
【文献】特開2003-303687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の第1配線と、
前記第1配線上の第1コンタクトホールを有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に、表示領域に配列された各々が発光素子を有する複数の画素と、
前記複数の発光素子に共通して設けられ、前記表示領域を囲む周辺領域において前記第1配線と前記第1コンタクトホールを介して電気的に接続される共通電極と、
複数の端子を有する端子部及びドライバICと、を有し、
平面的に見て、前記端子部は、前記基板の第1方向に沿う第1の辺と前記表示領域との間に設けられ、
前記ドライバICは、前記端子部と前記表示領域との間に設けられ、
前記第1配線は、前記ドライバICの少なくとも一部と重畳
前記共通電極は、前記ドライバICと前記表示領域との間において、前記第1コンタクトホールを介して前記第1配線と接続される、表示装置。
【請求項2】
前記基板の前記第1方向と交差する第2方向に沿う第2の辺と前記表示領域との間に設けられた駆動回路と、
前記駆動回路と前記ドライバICとを電気的に接続する第2配線と、前記画素と前記ドライバICとを電気的に接続する第3配線と、をさらに有し、
前記第1配線は、前記第2配線及び前記第3配線と重畳する、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1絶縁層は、前記基板の前記第1の辺と前記表示領域を挟んで対向する第3の辺と、前記表示領域との間において、第2コンタクトホールをさらに有し、
前記共通電極は、前記第2コンタクトホールを介して前記第1配線と電気的に接続される、請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1配線は、前記複数の端子の少なくとも一つと電気的に接続される、請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板と前記第1配線との間に第2絶縁層をさらに有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1配線は、前記表示領域の少なくとも一部と重畳する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1配線は、前記表示領域の全域と重なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1配線は、前記表示領域と重なり、前記第1方向に沿って伸びる複数の第4配線を有する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1配線は、前記表示領域と重なり、前記第1方向に沿って伸びる複数の第4配線と、前記第2方向に沿って伸びる複数の第5配線と、を有する、請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1配線は、前記表示領域及び前記駆動回路の少なくとも一部と重畳する、請求項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、有機EL(Electroluminescence)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として、有機EL材料を表示部の発光素子に用いた有機EL表示装置が実用化されてきている。このような有機EL表示装置では、基板上にトランジスタと、トランジスタ上に発光素子とが形成されている。発光素子は、トランジスタと電気的に接続された画素電極と、発光層を有する有機層と、共通電極とがこの順で形成されている。発光素子は、画素電極と共通電極との一方をアノード(陽極)、他方をカソード(陰極)とし、アノードとカソードとの間に電流を流すことにより発光する。トップエミッション型の有機EL表示装置においては、共通電極は、表示領域の全域にわたる一枚の透明導電層で形成されており、発光層において発光した光は、共通電極を透過して外部に射出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-222146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL表示装置は、視認性やコントラスト向上を目的とした高輝度化への要求が強まっており、そのために有機EL素子にはより大きな電流を供給することが求められる。従って、有機EL素子への電流供給経路はできるだけ低抵抗化することが望ましい。
【0005】
カソード配線を低抵抗化するためには、厚み又は幅を増加させることが有効である。しかしながら、表示領域の周辺領域に、厚み又は幅が大きいカソード配線を設けると、表示装置の狭額縁化の妨げとなる。また、表示領域の拡大に伴いカソード配線長も長くなるため、周辺領域におけるカソード配線の占める割合がさらに高くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、狭額縁化が図られた表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、基板上の第1配線と、第1配線上の第1コンタクトホールを有する第1絶縁層と、第1絶縁層上に、表示領域に配列された各々が発光素子を有する複数の画素と、複数の発光素子に共通して設けられ、表示領域を囲む周辺領域において第1配線と第1コンタクトホールを介して電気的に接続される共通電極と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0010】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0011】
なお、本明細書中において、図面を説明する際の「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書中では、側面視において、後述する第1基板から画素電極に向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態に係る表示装置について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の構成を示した平面概略図である。図1に示すように、表示装置100は、表示領域103及び表示領域103を囲む周辺領域110と、を有する。
【0014】
表示領域103には、マトリクス状に配列された複数の画素109を有する。複数の画素の各々は、発光素子を有する。
【0015】
周辺領域110には、複数の端子107を有する端子部108と、ドライバIC105と、駆動回路104a、104bが設けられている。なお、周辺領域110とは、基板101において、表示領域103から基板101の端部までの領域をいう。また、基板101は、第1方向(図1ではx方向)に沿う第1の辺101aと、第1方向と交差する第2方向(図1ではy方向)に沿う第2の辺101bと、第1の辺101aと表示領域103を挟んで対向する第3の辺101cと、第2の辺と表示領域103を挟んで対向する第4の辺101dを有する。
【0016】
端子部108は、基板101の第1方向に沿う第1の辺101aと表示領域103との間に設けられており、ドライバIC105は、端子部108と表示領域103との間に設けられている。また、駆動回路104aは、基板101の第1方向と交差する第2の方向に沿う第2の辺101bと表示領域103との間に設けられている。また、駆動回路104bは、基板101の第2の辺101bと表示領域103を挟んで対向する第4の辺101dと表示領域103との間に設けられている。
【0017】
駆動回路104a、104bは、画素109と接続される走査線に接続され、走査線駆動回路として機能する。また、ドライバIC105には、画素109と接続される信号線に接続され、信号線駆動回路が組み込まれている。なお、図1においては、ドライバIC105に、信号線駆動回路が組み込まれている例を示すが、ドライバIC105とは別に、基板101上に信号線駆動回路が設けられていてもよい。
【0018】
ドライバIC105は、ICチップのような形態で基板101上に配置してもよい。また、ドライバIC105は、図示しないが、フレキシブルプリント回路基板上に設けてもよい。フレキシブルプリント回路基板は、基板101に設けられた端子部108と接続される。
【0019】
各画素109には、ドライバIC105から信号線を介して、画像データに応じた映像信号が与えられる。また、各画素109には、ドライバIC105から駆動回路104a、104bと、走査線とを介して各画素109を選択する信号が与えられる。これらの信号により、画素109が有するトランジスタを駆動させて、画像データに応じた画面表示を行うことができる。
【0020】
図2に、画素109の画素回路を示す。画素109は、少なくともトランジスタ210、トランジスタ220、発光素子230、及び保持容量240を有する。
【0021】
トランジスタ210は、駆動トランジスタとして機能する。すなわち、トランジスタ210は、発光素子230に接続され、発光素子230の発光輝度を制御するトランジスタである。トランジスタ210は、ゲートと、ソースと、ドレインと、を有する。また、トランジスタ210のゲートは、トランジスタ220に接続され、ソース、ドレインの一方が駆動電源線143に接続され、ソース、ドレインの他方が発光素子230の画素電極に接続されている。トランジスタ210は、ゲート-ソース間電圧によってドレイン電流が制御される。
【0022】
トランジスタ220は、選択トランジスタとして機能する。すなわち、トランジスタ220は、信号線142とトランジスタ210のゲートとの導通状態を制御する。トランジスタ220は、ゲートと、ソースと、ドレインと、を有する。トランジスタ220のゲートが走査線141に接続され、ソース、ドレインの一方が信号線142に接続されて、ソース、ドレインの他方がトランジスタ210のゲートに接続されている。
【0023】
保持容量240の一方の電極が、トランジスタ210のゲートに接続され、他方が駆動電源線143に接続される。駆動電源線143は一定電位が与えられているので、保持容量240によって駆動トランジスタ210のゲート電位は一定期間保持される。保持容量240が駆動トランジスタ210のゲートとソースとの間に設けられる場合は、保持容量240によって駆動トランジスタ210のゲート-ソース間電圧は一定期間保持される。
【0024】
発光素子230は、トランジスタ210と電気的に接続された画素電極と、画素電極上の有機層と、有機層上の共通電極とを有している。具体的には、発光素子230の画素電極がトランジスタ210のソース、ドレインの他方に接続され、共通電極がカソード配線201に接続されている。
【0025】
発光素子230の画素電極は、画素109のそれぞれに設けられている。また、共通電極は、透明導電層が表示領域103の全域に亘って連続的に設けられている。透明導電層として、例えば、酸化インジウムスズなどの材料が用いられるが、透明導電層は、アルミニウムなどの金属と比較して抵抗が高い。そのため、表示領域の全域にわたる一枚の透明導電層に一様に電流を流すためには、面内で電圧降下が生じにくいようにすることが望ましい。また、共通電極に電流を供給するためのカソード配線にも大電流が流れる。したがって、カソード配線の抵抗値が十分に低くなるように形成する必要がある。
【0026】
カソード配線を低抵抗化するためには、厚み又は幅を増加させることが有効である。しかしながら、表示領域の周辺領域に、厚み又は幅が大きいカソード配線を設けると、表示装置の狭額縁化の妨げとなる。また、表示領域の拡大に伴いカソード配線長も長くなるため、表示装置を大きくしていく際に、周辺領域におけるカソード配線の占める面積の割合がさらに高くなってしまう。
【0027】
また、カソード配線は、通常、数μmから数十μmの幅で設けられる。カソード配線の幅が小さいと配線抵抗が大きくなる。そのため、カソード配線に大電流が流れると、発熱量が増大する。
【0028】
また、カソード配線は、通常、ドライバICと表示領域とを接続する配線、又はドライバICと駆動回路とを接続する配線と同じ層上に設けられる。そのため、ドライバICと表示領域との間の領域において、配線構造が複雑化し、面積が大きくなってしまう。特に、高精細化に配線数が増大する場合には、より顕著となる。
【0029】
そこで、本発明の一実施形態では、共通電極と電気的に接続されるカソード配線を、トランジスタが形成される層よりも下層に設ける。そして、共通電極を、アンダーコート層202のコンタクトホールを介して、カソード配線201と電気的に接続する。
【0030】
図3に、図1に示す表示装置100を、A1-A2線に沿って切断した断面概略図を示す。
【0031】
図3に示すように、基板101上にはカソード配線201が設けられている。基板101は、ガラス基板、石英基板、フレキシブル基板(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、環状オレフィン・コポリマー、シクロオレフィンポリマー、その他の可撓性を有する樹脂基板)を用いることができる。また、基板102も、基板101と同様の材料を用いることができる。本実施形態では、基板101及び基板102として、可撓性を有する基板を用いて、表示装置100を構成する例について説明する。基板101及び基板102として、可撓性を有する基板を用いることにより、表示装置100を折り曲げることが可能となる。
【0032】
カソード配線201は、例えば、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、アルミニウム、チタンなどの金属材料を用いて、単層又は積層して形成することができる。カソード配線201は、チタン、アルミニウム、及びチタンを積層して形成することで、低抵抗化と、他層の配線との接続性の向上を実現することができる。また、カソード配線201は、図1に示すように表示領域103と重畳するように設けられている。
【0033】
カソード配線201上にはアンダーコート層202が設けられている。アンダーコート層202は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料で形成される絶縁層である。アンダーコート層は、単層に限定されるわけではなく、例えば、酸化シリコン層と窒化シリコン層とを組み合わせた積層構造を有していてもよい。アンダーコート層202は、基板101から不純物が素子形成層120に侵入することを防止するために設ける。
【0034】
アンダーコート層202上には、素子形成層120が設けられている。素子形成層120には、画素109や駆動回路104a、104bを構成するトランジスタが複数形成されている。トランジスタは、典型的には、薄膜トランジスタを用いることができる。また、Nch型トランジスタ及びPch型トランジスタのいずれも用いることができる。
【0035】
また、素子形成層120上には、発光素子層130が設けられている。発光素子層130には、画素109を構成する発光素子が複数形成されている。なお、基板101において、発光素子層130が設けられた領域が、表示領域103に相当する。また、発光素子層130の最上層には、共通電極225が設けられている。共通電極225は、複数の画素に共通して設けられている。つまり、共通電極225表示領域103の全域に亘って連続した透明導電層で形成されている。
【0036】
そして、共通電極225は、周辺領域110において、素子形成層120よりも下層に設けられたカソード配線201と電気的に接続されている。図1に示すように、共通電極225は、ドライバIC105と表示領域103との間において、アンダーコート層202に設けられたコンタクトホールを介してカソード配線201と電気的に接続される。また、共通電極225は、基板101の第1の辺と表示領域103を挟んで対向する第3の辺と、表示領域103との間において、アンダーコート層202に設けられたコンタクトホールを介してカソード配線201と電気的に接続される。本明細書等において、共通電極225とカソード配線201とが電気的に接続された領域を、カソードコンタクトと呼ぶ。
【0037】
図1及び図3において、ドライバIC105と表示領域103との間において、共通電極225がカソード配線201と電気的に接続された領域を、カソードコンタクト150として示している。また、第3の辺と表示領域103との間において、共通電極225がカソード配線201と電気的に接続された領域を、カソードコンタクト140として示している。
【0038】
また、カソード配線201は、端子部108が有する複数の端子107の少なくとも一つと電気的に接続されている。カソード配線201が端子107と電気的に接続された領域を、コンタクト170として示している。
【0039】
素子形成層120の下にカソード配線201を設けることで、カソード配線201の幅を、周辺領域110の面積の制約を受けることなく大きくすることができる。これにより、カソード配線201の低抵抗化を図ることができる。また、周辺領域110に幅及び厚みが大きいカソード配線を設ける必要がなくなるため、周辺領域110の面積を削減することができる。つまり、表示装置100の狭額縁化を図ることができる。
【0040】
また、素子形成層120よりも下層にカソード配線201を設けることで、カソード配線201の幅及び厚みを大きくすることができる。これにより、カソード配線201の抵抗値を小さくすることができる。よって、カソード配線201に大電流が流れることによる発熱量を低減することができる。
【0041】
また、素子形成層120よりも下層にカソード配線201を設けることで、ドライバIC105、ドライバIC105と表示領域103とを接続する配線、及びドライバIC105と駆動回路104a、104bとを接続する配線よりもさらに下の層に設けることができる。つまり、ドライバIC105、カソード配線201は、ドライバIC105と表示領域103とを接続する配線、及びドライバIC105と駆動回路104a、104bとを接続する配線と重畳させることができる。これにより、ドライバIC105と表示領域103との間の領域にも、幅及び厚みが大きいカソード配線201を設けることができる。これにより、ドライバIC105と表示領域103との間の領域の配線構造の簡略化及び狭額縁化を図ることができる。特に、高精細化に伴い配線数が増大する場合に有効である。また、駆動回路104bは、基板101の第2の辺と表示領域103を挟んで対向する第4の辺と、表示領域103との間に設けられている。
【0042】
図3に示すように、共通電極225上には、封止層160が設けられている。封止層160は、発光素子層130に水分が侵入することを防止するために設けられる。封止層160は、無機絶縁層及び有機絶縁層を用いて形成することができる。封止層160上に、粘着材235を介して基板102が設けられている。
【0043】
次に、素子形成層120、発光素子層130、及びカソードコンタクト150の構成について、図4を参照してより詳細に説明する。図4は、図1に示すB1-B2線に沿って切断した断面図である。
【0044】
まず、複数のトランジスタが設けられる素子形成層120、及び複数の発光素子230が設けられる発光素子層130の構造について説明する。
【0045】
図4に示すように、基板101上には、カソード配線201が設けられている。また、カソード配線201上には、アンダーコート層202が設けられている。
【0046】
アンダーコート層202上には、トランジスタ210が設けられる。トランジスタ210の構造は、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよい。図4では、トランジスタ210は、トップゲート型である。トランジスタ210は、アンダーコート層202上に設けられた半導体層211、半導体層211を覆うゲート絶縁層212、ゲート絶縁層212上に設けられたゲート電極213を含む。また、トランジスタ210上には、ゲート電極213を覆う層間絶縁層214、層間絶縁層214上に設けられ、それぞれ半導体層211に接続されたソース電極又はドレイン電極215、ソース電極又はドレイン電極216が設けられている。なお、本実施形態では、層間絶縁層214が単層構造を有している例を説明しているが、層間絶縁層214は積層構造を有していてもよい。
【0047】
なお、トランジスタ210を構成する各層の材料は、公知の材料を用いればよく、特に限定はない。例えば、半導体層211としては、一般的にはポリシリコン、アモルファスシリコン、又は酸化物半導体を用いることができる。ゲート絶縁層212としては、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いることができる。ゲート電極213は、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。層間絶縁層214としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることができる。ソース電極又はドレイン電極215、ソース電極又はドレイン電極216は、それぞれ銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。
【0048】
なお、図4には図示しないが、ゲート電極213と同じ層には、ゲート電極213と同じ膜から形成された走査線141を設けることができる。また、図4には図示しないが、ソース電極又はドレイン電極215、ソース電極又はドレイン電極216と同じ層には、走査線141と交差する方向に延在する信号線142を設けることができる。
【0049】
トランジスタ210上には、平坦化層217が設けられる。平坦化層217は、有機樹脂材料を含んで構成される。有機樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、エポキシ等の公知の有機樹脂材料を用いることができる。これらの材料は、溶液塗布法により膜形成が可能であり、平坦化効果が高いという特長がある。特に図示しないが、平坦化層217は、単層構造に限定されず、有機樹脂材料を含む層と無機絶縁層との積層構造を有してもよい。
【0050】
平坦化層217は、ソース電極又はドレイン電極215の一部を露出させるコンタクトホールを有する。コンタクトホールは、後述する画素電極222とソース電極又はドレイン電極215とを電気的に接続するための開口部である。したがって、コンタクトホールは、ソース電極又はドレイン電極215の一部に重畳して設けられる。コンタクトホールの底面では、ソース電極又はドレイン電極215が露出される。
【0051】
平坦化層217に設けられたコンタクトホールには、透明導電層218が設けられる。透明導電層218は、平坦化層217が有するコンタクトホールに重畳し、コンタクトホールの底面で露出されたソース電極又はドレイン電極215と電気的に接続する。透明導電層218として、酸化インジウム系透明導電層(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電層(例えば、IZO、ZnO)を使用することができる。
【0052】
また、平坦化層217上には、導電層219が設けられる。導電層219は、ソース電極又はドレイン電極215及びソース電極又はドレイン電極216と同様の材料を用いて形成することができる。また、導電層219は、周辺領域110における引き回し配線や、画素109内で、付加的に設けられる容量素子の形成に用いられる。なお、ソース電極又はドレイン電極215上に透明導電層218を設けることにより、導電層219を形成する際のパターニングから保護することができる。一方、導電層219は、透明導電層218と同じ導電材料を用いて、同時に形成されても良い。
【0053】
また、透明導電層218上には、無機絶縁層221が設けられる。無機絶縁層221として、窒化シリコン膜などを使用することが好ましい。無機絶縁層221には、ソース電極又はドレイン電極215と、透明導電層218とが重畳する領域において、コンタクトホールが形成されている。
【0054】
本明細書等において、半導体層211から無機絶縁層221までが形成された層を、素子形成層120と呼ぶ。なお、素子形成層120は少なくともトランジスタが形成されていればよいため、それ以外の層は適宜省略されていてもよい。
【0055】
また、無機絶縁層221上には、画素電極222が設けられている。画素電極222は、無機絶縁層221に設けられたコンタクトホールを介して、透明導電層218と接続されている。これにより、画素電極222は、ソース電極又はドレイン電極215と電気的に接続される。本実施形態の表示装置100において、画素電極222は、発光素子230を構成する画素電極(陽極)として機能する。画素電極222は、トップエミッション型であるかボトムエミッション型であるかで異なる構成とする。例えば、トップエミッション型である場合、画素電極222として反射率の高い金属膜を用いるか、酸化インジウム系透明導電層(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電層(例えばIZO、ZnO)といった仕事関数の高い透明導電層と金属膜との積層構造を用いる。逆に、ボトムエミッション型である場合、画素電極222として上述した透明導電層を用いる。本実施形態では、トップエミッション型の有機EL表示装置を例に挙げて説明する。また、導電層219、無機絶縁層221、及び画素電極222により、付加容量を構成することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、透明導電層218を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。透明導電層218を設けず、平坦化層217に設けられたコンタクトホールにおいて、ソース電極又はドレイン電極215と、画素電極222とを直接接続する構成とすることもできる。また、導電層219及び無機絶縁層221は、省略してもよい。
【0057】
画素電極222上には、有機樹脂材料で構成される絶縁層223が設けられる。有機樹脂材料としては、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系もしくはシロキサン系といった公知の樹脂材料を用いることができる。絶縁層223は、画素電極222上の一部に開口部を有する。絶縁層223は、互いに隣接する画素電極222の間に、画素電極222の端部(エッジ部)を覆うように設けられ、隣接する画素電極222を離隔する部材として機能する。このため、絶縁層223は、一般的に「隔壁」、「バンク」とも呼ばれる。この絶縁層223から露出された画素電極222の一部が、発光素子230の発光領域となる。絶縁層223の開口部は、内壁がテーパー形状となるようにしておくことが好ましい。これにより後述する有機層224の形成時に、画素電極222の端部におけるカバレッジ不良を低減することができる。絶縁層223は、画素電極222の端部を覆うだけでなく、平坦化層217が有するコンタクトホールに起因する凹部を埋める充填材として機能させてもよい。
【0058】
画素電極222上には、有機層224が設けられる。有機層224は、少なくとも有機材料で構成される発光層を有し、発光素子230の発光部として機能する。有機層224には、発光層以外に、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、電子注入層及び/又は電子輸送層といった各種の電荷輸送層も含まれ得る。有機層224は、発光領域を覆うように、即ち、発光領域における絶縁層223の開口部を覆うように設けられる。
【0059】
なお、本実施形態では、所望の色の光を発する発光層を含む有機層224を設け、各画素電極222上に異なる発光層を含む有機層224を形成することで、RGBの各色を表示する構成とする。つまり、本実施形態において、有機層224の発光層は、隣接する画素電極222の間では不連続である。また、図示しないが、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、電子注入層及び/又は電子輸送層は、隣接する画素電極222の間では連続して設けることができる。有機層224として、公知の構造や公知の材料を用いることが可能であり、特に本実施形態の構成に限定されるものではない。また、有機層224は、白色光を発する発光層を有し、カラーフィルタを通してRGBの各色を表示してもよい。この場合、有機層224は、絶縁層223上にも設けられてもよい。
【0060】
有機層224上及び絶縁層223上には、共通電極225が設けられる。共通電極225は、発光素子230を構成する共通電極(陰極)として機能する。本実施形態の表示装置100は、トップエミッション型であるため、共通電極225としては透明電極を用いる。透明電極を構成する薄膜としては、MgAg薄膜もしくは透明導電層(ITOやIZO)を用いる。本実施形態では、絶縁層223から露出した画素電極222の一部(アノード)、有機層224(発光部)、及び共通電極225(カソード)によって発光素子230が構成される。
【0061】
本明細書等において、画素電極222から共通電極225までの層を、発光素子層130と呼ぶ。
【0062】
共通電極225は、複数の発光素子230に共通して設けられる。つまり、共通電極225は、表示領域103の全域に亘って連続した透明導電層で形成される。そして、共通電極225は、周辺領域110において、素子形成層120よりも下層に設けられたカソード配線201と電気的に接続される。
【0063】
次に、共通電極225とカソード配線201とが接続されたカソードコンタクト150の構造について説明する。
【0064】
カソードコンタクト150において、共通電極225は、アンダーコート層202が有するコンタクトホールを介してカソード配線201と電気的に接続されている。また、共通電極225は、複数の導電層を介して、カソード配線201と電気的に接続されている。共通電極225は、例えば、図4に示すように、導電層241、導電層242、及び透明導電層243を介して、カソード配線201と接続されている。導電層241は、ゲート電極213と同じ膜から形成されており、導電層242は、ソース電極又はドレイン電極215、215と同じ膜から形成されている。また、透明導電層243は、画素電極222と同じ膜から形成されている。
【0065】
図4では、共通電極225は、導電層241、導電層242、及び透明導電層243を介して、カソード配線201と接続されている例を示すが、本発明はこれに限定されない。共通電極225とカソード配線201との間にさらに導電層が設けられていてもよいし、又は導電層241、導電層242、及び透明導電層243のうちいずれかの導電層が省略されていてもよい。共通電極225とカソード配線201との間に複数の導電層を設けることで、共通電極225の凹凸が軽減されるため、共通電極225の段差被覆性を向上させることができる。
【0066】
なお、図4では、カソードコンタクト150の構造について説明したが、図1に示すカソードコンタクト140も、カソードコンタクト150と同様の構造を有している。
【0067】
発光素子230及びカソードコンタクト150上を覆うように、封止層160が設けられている。封止層160は、無機絶縁層と有機絶縁層とを組み合わせて形成される。図4では、封止層として、無機絶縁層231、有機絶縁層232、及び無機絶縁層233が順に積層された構成を示している。
【0068】
封止層160上には、樹脂層234が設けられている。エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の樹脂を含んでいる。また、樹脂層234は、原料となるオリゴマーを湿式成膜法、蒸着法、又はスプレー法などによって塗布し、その後重合することで形成される。樹脂層234は、無機絶縁層221、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233のパターニングのためのマスクとして機能する。樹脂層234をマスクとして、無機絶縁層221、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233を除去することにより、層間絶縁層214及び配線245が露出される。
【0069】
樹脂層234上には、粘着材235が設けられている。粘着材235は、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系の粘着材を用いることができる。また、粘着材235には、カルシウムやゼオライトなどの吸水物質が含まれていてもよい。粘着材235に吸水物質が含まれることにより、表示装置100の内部に水分が侵入した場合であっても、発光素子230に水分が到達することを遅らせることができる。また、粘着材235には、基板101と基板102との間の間隙を確保するためにスペーサを設けてもよい。このようなスペーサは、粘着材235に混ぜてもよいし、基板101上に樹脂等により形成してもよい。
【0070】
基板102には、例えば、平坦化を兼ねてオーバーコート層が設けられてもよい。有機層227が白色光を出射する場合、基板102には、主面(基板101に対向する面)にRGBの各色にそれぞれ対応するカラーフィルタ、及び、カラーフィルタ間に設けられたブラックマトリクスが設けられていてもよい。基板102側にカラーフィルタを形成しない場合は、例えば、封止層160上に直接カラーフィルタを形成し、その上から粘着材235を形成すればよい。
【0071】
基板102の裏面(表示面側)には、偏光板236が設けられている。偏光板236は、例えば円偏光板である。基板102を省略し、アレイ基板に接着材を介して円偏光板を貼り付けてもよい。換言すれば、基板102が円偏光板である構造にしてもよい。
【0072】
また、周辺領域110において、ゲート絶縁層212上には配線244が設けられ、層間絶縁層214上には配線245が設けられている。配線244及び245は、図1に示すドライバIC105と電気的に接続されている。図4に示す周辺領域110は、表示領域103とドライバIC105の近傍であるため、多数の配線が混在している。本実施形態では、カソード配線201を素子形成層120よりも下層に設けられているため、表示領域103とドライバIC105の近傍における配線構造を簡略化及び狭額縁化を図ることができる。
【0073】
次に、図1に示す端子107の構成について、図5及び図6を参照してより詳細に説明する。図5は、図1に示す端子107をC1-C2線に沿って切断した断面図である。
【0074】
図5に示すように、基板101上にカソード配線201が設けられている。カソード配線201上にアンダーコート層202及びゲート絶縁層212が設けられている。アンダーコート層202及びゲート絶縁層212には、開口部が設けられている。ゲート絶縁層212上には、導電層251が設けられている。導電層251は、図4に示すゲート電極213と同じ膜から形成されている。導電層251は、アンダーコート層202及びゲート絶縁層212に設けられた開口部を介して、カソード配線201と接続されている。
【0075】
導電層251上に層間絶縁層214が設けられており、層間絶縁層214には開口部が設けられている。層間絶縁層214上には導電層252が設けられている。導電層252は、ソース電極又はドレイン電極と同じ膜から形成されている。導電層252は、層間絶縁層214に設けられた開口部を介して、導電層252と接続されている。
【0076】
導電層252上に無機絶縁層221が設けられている。無機絶縁層221には開口部が設けられている。無機絶縁層221上には、透明導電層253が設けられている。透明導電層253は、共通電極225と同じ膜から形成されている。透明導電層253は、無機絶縁層221に設けられた開口部を介して、導電層252と接続されている。
【0077】
図示しないが、透明導電層253は、異方性導電膜を介して、フレキシブルプリント回路基板と電気的に接続される。つまり、フレキシブルプリント回路基板は、カソード配線201と電気的に接続される。
【0078】
カソード配線は、通常、走査線又は信号線と同じ層上に設けられる。したがって、ドライバICと端子部の間の領域には、走査線又は信号線とカソード配線とが設けられることになる。そのため、ドライバICと端子部との間の領域において、配線構造が複雑化し、面積が大きくなってしまう。特に、高精細化に配線数が増大する場合には、より顕著となる。
【0079】
図5に示す端子107の構成によれば、カソード配線201は、透明導電層253と重畳する領域で、透明導電層253と接続される。透明導電層253が設けられる領域において、フレキシブルプリント回路基板と電気的に接続する領域と、カソード配線201と電気的に接続する領域とが重畳する。
【0080】
素子形成層120の下にカソード配線201を設けることで、走査線及び信号線よりもさらに下の層に設けることができる。したがって、ドライバIC105と端子部108との間の領域にも、幅の大きいカソード配線201を設けることができる。これにより、ドライバIC105と端子部108との間の領域の配線構造の簡略化及び狭額縁化を図ることができる。特に、高精細化に伴い配線数が増大する場合に有効である。
【0081】
また、透明導電層253がフレキシブルプリント回路基板と電気的に接続される領域は、導電層251とカソード配線201とが接続される領域と、必ずしも重畳していなくてもよい。透明導電層253の近傍において、導電層251とカソード配線201とが接続されていればよい。
【0082】
(第2実施形態)
本実施形態では、図5に示す端子107とは一部異なる構造の端子107Aについて、図6を参照して説明する。図5に示す端子107と異なる点は、導電層251が設けられていない点である。
【0083】
図6に示すカソード配線201は、アンダーコート層202、ゲート絶縁層212、及び層間絶縁層214に設けられた開口部を介して、導電層252と接続されている。また、導電層252上には、無機絶縁層221が設けられており、無機絶縁層221に設けられた開口部を介して、導電層252と接続されている。導電層251のパターニング時に、カソード配線201の表面がエッチングで浸食されない材料が選択されている場合は、図6の構造を取ることができる。
【0084】
図6に示す端子107Aの構造によっても、フレキシブルプリント回路基板と、カソード配線201とを電気的に接続することができる。このように、素子形成層120の下にカソード配線201を設けることで、走査線及び信号線よりもさらに下の層に設けることができる。したがって、ドライバIC105と端子部108との間の領域にも、幅の大きいカソード配線201を設けることができる。これにより、ドライバIC105と端子部108との間の領域の配線構造の簡略化及び狭額縁化を図ることができる。特に、高精細化に伴い配線数が増大する場合に有効である。
【0085】
(第3実施形態)
本実施形態では、図3に示す表示装置とは一部異なる構成を有する表示装置について、図7を参照して説明する。
【0086】
図7に示す表示装置100Aでは、基板101とカソード配線201との間に、さらにアンダーコート層203が設けられている。アンダーコート層203として、酸化シリコン及び窒化シリコンを用いることができる。基板101とカソード配線201との間にアンダーコート層203を設けることにより、基板101から不純物が素子形成層120に侵入することを抑制することができる。
【0087】
なお、図示はしないが、カソード配線201とアンダーコート層202との間に、他の樹脂層をさらに設けてもよい。他の樹脂層として、例えば、基板101として例示した材料を使用することができる。
【0088】
(第4実施形態)
本実施形態では、カソード配線201の形状について、図8を参照して説明する。図8は、表示装置100Bの平面概略図である。
【0089】
図1に示す表示装置100では、カソード配線201は、表示領域103と重なる平板状に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。図8に示すように、カソード配線201Bは、表示領域103の少なくとも一部と重畳していればよい。
【0090】
図8に示すように、カソード配線201Bは、複数の配線201aが第2方向に沿って設けられる形状を有している。つまり、カソード配線201Bは、表示領域103と重なるようにストライプ状に設けられている。配線201aの幅L1は、例えば、駆動回路104aの幅L2よりも大きくしてもよいし、周辺領域110の幅L3よりも大きくしてもよい。カソード配線201は、素子形成層120よりも下層に設けられるため、配線201aの幅L1を大きくすることができる。なお、配線201aの幅L1は、少なくともトランジスタ220と接続される信号線142の幅よりも大きければよい。また、配線201aの本数は、特に限定されず、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。また、複数の配線201aの各々の幅L1は、駆動回路104aの幅L2よりも小さくてもよい。この場合は、複数の配線201aの幅L1の合計の幅が、駆動回路104aの幅L2よりも大きく、周辺領域110の幅L3のよりも大きくするとよい。
【0091】
図8に示した構成によると、第2方向に平行にスリットが設けられるため、第1方向が円弧となる方向に表示装置100Bを曲げる際に、カソード配線201Bにクラックが入ることを抑制することができる。
【0092】
また、カソード配線201の複数の配線201aが設けられる位置についても、表示領域103の両端及び中央に設ける例について示したが、これに限定されない。また、複数の配線201aの幅についても、全て同じ幅でなくてもよい。ただし、共通電極225に印加される電流量にばらつきが生じないように、複数の配線201aは、左右対称となるように設けることが好ましい。
【0093】
(第5実施形態)
本実施形態では、カソード配線201Cの形状について、図9を参照して説明する。図9は、表示装置100Cの平面概略図である。
【0094】
図9に示すように、カソード配線201Cは、複数の配線202bが第1方向に沿って設けられた形状を有している。つまり、カソード配線201Cは、表示領域103と重なるようにストライプ状に設けられている。配線201bの幅L4は、例えば、駆動回路104aの幅L2よりも大きくしてもよいし、周辺領域110の幅L3よりも大きくしてもよい。カソード配線201Cは、素子形成層120よりも下層に設けられるため、配線201aの幅L1及び配線201bの幅L4を大きくすることができる。なお、配線201bの幅L4は、少なくともトランジスタ220と接続される走査線141の幅よりも大きければよい。また、配線201aの本数は、特に限定されず、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。また、複数の配線201bの各々の幅L4は、駆動回路104aの幅L2よりも小さくてもよい。この場合は、複数の配線201bの幅L1の合計の幅が、駆動回路104aの幅L2よりも大きく、周辺領域103L3のよりも大きくするとよい。また、表示装置100Cを、第1方向に沿って折り曲げる場合は、配線201bが設けられていないD1-D2線に沿って折り曲げることが好ましい。
【0095】
図9に示した構成によると、第1方向に平行にスリットが設けられるため、第2方向が円弧となる方向に表示装置100Cを曲げる際に、カソード配線201Cにクラックが入ることを抑制することができる。
【0096】
また、カソード配線201Cの複数の配線201bが設けられる位置についても、表示領域103の上下に設ける例について示したが、これに限定されない。ただし、共通電極225に印加される電流量にばらつきが生じないように、複数の配線201bは、上下対称となるように設けることが好ましい。
【0097】
素子形成層120の下にカソード配線201Cを設けることで、カソード配線201Cの幅を、周辺領域110の面積の制約を受けることなく大きくすることができる。これにより、カソード配線201Cの低抵抗化を図ることができる。また、周辺領域110に幅及び厚みが大きいカソード配線を設ける必要がなくなるため、周辺領域110の面積を削減することができる。つまり、表示装置100Cの狭額縁化を図ることができる。
【0098】
(第6実施形態)
本実施形態では、カソード配線201Dの形状について、図10を参照して説明する。図10は、表示装置100Dの平面概略図である。
【0099】
図10に示すように、カソード配線201は、カソード配線201は、複数の配線201aが第2方向に沿って設けられ、複数の配線202bが第1方向に沿って設けられた格子状の形状を有している。つまり、カソード配線201Dは、表示領域103と重なるように格子状に設けられている。配線201aの幅L1及び配線201bの幅L4は、図8及び図9において説明した通りである。
【0100】
図10に示した構成によると、第1方向が円弧となる方向、あるいは第2方向が円弧となる方向のいずれに表示装置100Dを曲げる場合においても、カソード配線201Dにクラックが入ることを抑制することができる。
【0101】
素子形成層120の下にカソード配線201Dを設けることで、カソード配線201Dの幅を、周辺領域110の面積の制約を受けることなく大きくすることができる。これにより、カソード配線201Dの低抵抗化を図ることができる。また、周辺領域110に幅及び厚みが大きいカソード配線を設ける必要がなくなるため、周辺領域110の面積を削減することができる。つまり、表示装置100Dの狭額縁化を図ることができる。
【0102】
(第7実施形態)
本実施形態では、カソード配線201Eの形状について、図11を参照して説明する。図11は、表示装置100Eの平面概略図である。
【0103】
また、図11に示すように、カソード配線201Eは、表示領域103だけでなく、駆動回路104a、104bの一部と重畳していてもよい。また、図11に示すように、共通電極225は、駆動回路104a、104bと重畳していてもよい。
【0104】
また、アンダーコート層202は、表示領域103と駆動回路104aとの間、及び表示領域103と駆動回路104bとの間にコンタクトホールを有している。そのため、図11に示すように、共通電極225は、表示領域103と駆動回路104aとの間で、コンタクトホールを介して、カソード配線201と電気的に接続されている。また、共通電極225は、表示領域103と駆動回路104bとの間で、コンタクトホールを介して、カソード配線201と電気的に接続されている。
【0105】
表示領域103と駆動回路104aとの間において、共通電極225がカソード配線201と電気的に接続された領域を、カソードコンタクト180aをとして示している。また、表示領域103と駆動回路104bとの間において、共通電極225がカソード配線201と電気的に接続された領域を、カソードコンタクト180bとして示している。なお、カソードコンタクト180a、180bの構造については、図4の記載を参酌することができる。
【0106】
図11に示したように、カソード配線201Eは、素子形成層120よりも下層に設けられるため、様々な形状で設けることができる。素子形成層120の下にカソード配線201Eを設けることで、カソード配線201Eの幅を、周辺領域110の面積の制約を受けることなく大きくすることができる。これにより、カソード配線201Eの低抵抗化を図ることができる。また、周辺領域110に幅及び厚みが大きいカソード配線を設ける必要がなくなるため、周辺領域110の面積を削減することができる。つまり、表示装置100Eの狭額縁化を図ることができる。
【0107】
(第8実施形態)
本実施形態では、カソード配線201Fの形状について、図12を参照して説明する。図12は、表示装置100Fの平面概略図である。
【0108】
図12に示すように、カソード配線201Fと共通電極225とを接続するカソードコンタクト190を、表示領域103内に複数形成しても良い。前述の通り、共通電極225を透明導電材料で形成する場合、高抵抗となるため、カソード配線201Fとの接続が周辺領域110のみで行われると、接続部から画面中央付近までは距離が大きく、電圧降下を生じる。そこで、表示領域103内にもカソードコンタクト190を設けることで、画面中央付近で直接共通電極225とカソード配線201Fとが接続されるため、より表示領域103内の電圧降下を抑制することができる。カソードコンタクト190は、例えば隣接した発光領域の間で、絶縁層223、無機絶縁層221、平坦化層217、層間絶縁層214、ゲート絶縁層212、アンダーコート層202を開口して設けられる。
【0109】
カソードコンタクト190を形成するための開口を設ける場合、有機層224がカソードコンタクト190を形成するための開口に重畳しないように、マスクを用いて形成されることが望ましい。
【0110】
また、特に図示はしないが、表示装置100、100A~100Eにおいても、表示領域103内において、カソード配線201と共通電極225とを接続するカソードコンタクトをそれぞれ設けてもよい。表示領域103内で直接共通電極225とカソード配線201とが接続されるため、より表示領域103内の電圧降下を抑制することができる。
【0111】
本発明の実施形態及び実施例として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、上述した各実施形態は、技術的矛盾の生じない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
【0112】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0113】
100:表示装置、100A~100F:表示装置、101:基板、102:基板、103:表示領域、104a:駆動回路、105:ドライバIC、107:端子、108:端子部、109:画素、110:周辺領域、120:素子形成層、130:発光素子層、141:走査線、142:信号線、143:駆動電源線、140:カソードコンタクト、150:カソードコンタクト、160:封止層、170:コンタクト、201:カソード配線、202:アンダーコート層、203:アンダーコート層、210:トランジスタ、211:半導体層、212:ゲート絶縁層、213:ゲート電極、214:層間絶縁層、215:ドレイン電極、216:ドレイン電極、217:平坦化層、218:透明導電層、219:導電層、220:トランジスタ、221:無機絶縁層、222:画素電極、223:絶縁層、224:有機層、225:共通電極、230:発光素子、231:無機絶縁層、232:有機絶縁層、233:無機絶縁層、234:樹脂層、235:粘着材、236:偏光板、240:保持容量、241:導電層、242:導電層、243:透明導電層、244:配線、245:配線、251:導電層、252:導電層、253:透明導電層
図1
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図12