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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】基板固定構造を有するヘッドボックス
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20220328BHJP
   E06B 9/36 20060101ALI20220328BHJP
   E06B 9/38 20060101ALI20220328BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20220328BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
E06B9/323
E06B9/36 C
E06B9/38
E06B9/68 Z
H05K7/14 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018068339
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178543
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】安達 大規
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-114796(JP,U)
【文献】特開2005-230289(JP,A)
【文献】特開平09-023257(JP,A)
【文献】特開2005-146842(JP,A)
【文献】特開平5-179877(JP,A)
【文献】米国特許第06646890(US,B1)
【文献】中国実用新案第200982151(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06-9/50
E06B 9/56-9/92
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面U字状の凹空間を形成するため、互いに対向配置された2つの側壁部と当該2つの側壁部の間に配置された1つの壁部とを有する本体と、
前記2つの側壁部において前記側壁部の長手方向に沿って互いに平行かつ対向配置されてそれぞれ延びる係合部と、
前記係合部に嵌め込まれて取り付けられ、基板の端部を挟持する凹溝が形成された基板固定部材と
を備え
前記基板固定部材には、2種類の幅の前記基板を挟持することが可能な2種類の幅の前記凹溝が形成されているヘッドボックス。
【請求項2】
前記基板固定部材は、2種類の幅の前記凹溝が上下に配置された状態で形成されている
請求項に記載のヘッドボックス。
【請求項3】
前記基板固定部材は、2種類の幅の前記凹溝が当該基板固定部材の一方の端部および他方の端部にそれぞれ形成されている
請求項に記載のヘッドボックス。
【請求項4】
前記基板固定部材は、一方の端部または他方の端部に所定範囲の幅を有する前記基板を挟持可能な前記凹溝が形成されている
請求項1に記載のヘッドボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板固定構造を有するヘッドボックスに関し、特に、カーテンの昇降を電動で制御する電動部品(基板等)を固定する基板固定構造を有するへッドボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動によって昇降動作が行われる電動ブラインド、ローマンシェード、プリーツスクリーン等のカーテン類に用いられるヘッドボックスの内部には、電源、モータ、巻取ドラム、シャフト等の様々な部品が収容されている。
【0003】
このヘッドボックスから垂下される昇降コードに対してカーテンやルーバー等が連結され、モータの駆動によりカーテンやルーバーが昇降コードとともに上昇や回転することによりカーテンの上げ下げやルーバーの回転が行われている。
【0004】
また、ヘッドボックスにおいては、下方が開口したタイプ(以下、これを「下開口タイプ」という。)のヘッドボックス(例えば、特許文献1を参照。)と、上方が開口したタイプ(以下、これを「上開口タイプ」という。)のヘッドボックス(例えば、特許文献2を参照。)が存在する。
【0005】
下開口タイプのヘッドボックスでは、そのヘッドボックスの内部の天井面に電源基板や制御基板が取り付けられて収容され、かつ、ヘッドボックスの内部であって電源基板や制御基板の下方に、モータと連結されて回転可能に軸支されたシャフトが設けられている。
【0006】
上開口タイプのヘッドボックスでは、そのヘッドボックスの内部の床面に電源基板や制御基板が取り付けられて収容され、かつ、ヘッドボックスの内部であって電源基板や制御基板の上方に、モータと連結されて回転可能に軸支されたシャフトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-142000号公報
【文献】特開2005-230289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような上述した下開放タイプおよび上開放タイプのヘッドボックスでは、配置の関係上、内部に設けられたシャフトを取り外さなければ電源基板や制御基板を交換することができず、メンテナンス性に劣っていた。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、メンテナンス性に優れた基板固定構造を有するヘッドボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の基板固定構造を有するヘッドボックスは、断面U字状の凹空間を形成するため、互いに対向配置された2つの側壁部と当該2つの側壁部の間に配置された1つの壁部とを有する本体と、前記2つの側壁部において前記側壁部の長手方向に沿って互いに平行かつ対向配置されてそれぞれ延びる係合部と、前記係合部に嵌め込まれて取り付けられ、基板の端部を挟持する凹溝が形成された基板固定部材とを備える。
【0011】
本発明において、前記基板固定部材には、2種類の幅の前記基板を挟持することが可能な2種類の幅の前記凹溝が形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記基板固定部材は、2種類の幅の前記凹溝が上下に配置された状態で形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記基板固定部材は、2種類の幅の前記凹溝が当該基板固定部材の一方の端部および他方の端部にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記基板固定部材は、一方の端部または他方の端部に所定範囲の幅を有する前記基板を挟持可能な前記凹溝が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板を交換する際のメンテナンス性を向上し得る基板固定構造を有するヘッドボックスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板固定構造を有するヘッドボックスの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る基板固定構造を有するヘッドボックスの内部に収容されている部品の配置関係を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るヘッドボックス本体の構成を示す断面図である。
図4】第1の実施の形態における基板保持装置の構成を示す断面図および平面図である。
図5】第1の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持されていない状態を示す平面図である。
図6】第1の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持された状態を示す断面図である。
図7】第1の実施の形態において基板保持装置がヘッドボックス本体に取り付けられた状態を示す断面図である。
図8】第2の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持された状態を示す平面図および断面図である。
図9】第3の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持された状態を示す平面図および断面図である。
図10】第4の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板固定構造を有するヘッドボックスの全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る基板固定構造を有するヘッドボックスの内部に収容されている部品の配置関係を示す斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係るヘッドボックス本体の構成を示す断面図である。図4は、第1の実施の形態における基板保持装置の構成を示す断面図および平面図である。図5は、第1の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持されていない状態を示す平面図である。図6は、第1の実施の形態において基板が基板保持装置によって保持された状態を示す断面図である。図7は、第1の実施の形態において基板保持装置がヘッドボックス本体に取り付けられた状態を示す断面図である。
【0018】
ここでは、説明の便宜上、図1乃至図3において、基板固定構造を有するヘッドボックス1の長手方向を矢印ab方向とし、蓋部14に向かう図中左側を矢印a方向とし、蓋部15に向かう図中右側を矢印b方向とする。
【0019】
また、ヘッドボックス1の奥行方向を矢印cd方向とし、たとえば室内空間の窓側を矢印c方向とし、室内空間の部屋側を矢印d方向とする。さらに、ヘッドボックス1の床面に対する上下方向を矢印ef方向とし、上側すなわちカーテンが巻き上げられる方向を矢印e方向とし、下側すなわちカーテンが巻き下げられる方向を矢印f方向とする。
【0020】
<ヘッドボックスの全体構成>
図1乃至図3に示すように、基板固定構造を有するヘッドボックス(以下、これを単に「ヘッドボックス」ともいう。)1は、互いに対向配置された2つの側壁部11、12と、その2つの側壁部11、12の間に配置された1つの壁部13(図3)とにより断面逆U字状の凹空間SPを有する下開口タイプのヘッドボックス本体10と、ヘッドボックス本体10の長手方向における両端から凹空間SPを塞ぐように取り付けられた矩形板状の蓋部14、15とを備えている。ただし、ヘッドボックス本体10は、下開口タイプに限らず、上開口タイプとして用いることもできる。
【0021】
図3に示すように、ヘッドボックス本体10の側壁部11、12は、互いに同一構成であり、かつ、鏡面対象となるように互いに平行に配置され、ヘッドボックス本体10の側壁を形成している。
【0022】
ヘッドボックス本体10の壁部13は、側壁部11、12の上側(矢印e方向)の端部において側壁部11および12と一体に結合されており、ヘッドボックス本体10の天井壁を形成している。
【0023】
ここで、側壁部11、12の互いに対向した内周面11a、12aには、下側(矢印f方向)の端部に後述する基板固定部材30を係合して取り付けるための係合部11m、12mが蓋部14、15の間を長手方向に沿って形成されている。
【0024】
係合部11mおよび係合部12mは、同一構造であり、互いに対向するように突出した上側挟持片111uおよび112uを有している。また、係合部11mおよび係合部12mは、上側挟持片111uおよび112uよりも下側(矢印f方向)であって、上側挟持片111uおよび112uから所定距離だけ離れた位置に形成されて互いに対向するように突出した下側挟持片111dおよび112dを備えている。
【0025】
特に、下側挟持片111dおよび112dにおいては、その先端が上側(矢印e方向)に向かって折り曲げられた係合片111dtおよび112dtが形成されている。これら係合片111dtおよび112dtは、基板固定部材30と係合される。
【0026】
図1および図2に示すように、ヘッドボックス本体10の凹空間SPには、左側(矢印a方向)から順番に、巻取ドラム21、電源基板22、制御基板23、センサ部品24、巻取ドラム25、モータ26、および、巻取ドラム27が収容されている。
【0027】
巻取ドラム21、25、27は、図示しないカーテン等を巻き上げたり、巻き下げたりするドラムであり、ヘッドボックス本体10の左右両端部および中央部に配置されている。センサ部品24は、カーテンの巻き取り位置等を検出するための種々のセンサが収容されている。モータ26は、巻取ドラム21、25、27を回転駆動させる駆動源である。
【0028】
なお、モータ26にはシャフト28が貫通して取り付けられており、巻取ドラム21、25、27と連結されている。因みに、ヘッドボックス本体10の凹空間SPに収容される部品としてはこれらに限るものではなく、その他種々の部品がさらに収容されていてもよい。
【0029】
電源基板22および制御基板23は、薄板状の矩形状を有するプリント基板であり、その上側(矢印e方向)の面22u、23uには各種の電子部品(図示せず)が半田付け等により取り付けられている。
【0030】
電源基板22および制御基板23は、基板としての形状や厚さは互いに同一であるため、ここでは、電源基板22を対象として以下説明する。電源基板22は、平面視矩形状、この場合は長方形状の薄板状のプリント基板であり、2つの基板固定部材30の間に配置された状態において、長手方向の一端部および他端部が2つの基板固定部材30によってそれぞれ保持されている。
【0031】
基板固定部材30は、ヘッドボックス本体10の側壁部11の係合部11m、および、側壁部12の係合部12mに係合されて取り付けられる(図7参照。)。すなわち、電源基板22は、基板固定部材30を介してヘッドボックス本体10の側壁部11、12の下側(矢印f方向)の端部に取り付けられる。
【0032】
<基板固定部材>
図4(A)および(B)に示すように、基板固定部材30は、ヘッドボックス1に電源基板22および制御基板23を固定する基板固定構造体であり、2個で1セットの部品であり、互いに同一構造を有している。
【0033】
基板固定部材30は、平面視において奥行方向(矢印cd方向)が長手方向となる略直方体形状を有する基体部31と、その基体部31の長手方向であり奥行方向となる矢印cd方向(ヘッドボックス本体10では短手方向)の両側端部には、側壁部11、12の係合部11m、12mに係合される被係合部33、35とを備えている。
【0034】
被係合部33、35は、基体部31の奥側(矢印c方向)および手前側(矢印d方向)の端縁を基体部31の左側(矢印a方向)の端部から右側(矢印b方向)の端部にかけて延びる部分であり、基体部31と一体に設けられている。
【0035】
この被係合部33、35は、下側(矢印f方向)の面である下面33b、35bを有し、その下面33b、35bから更に下側(矢印f方向)へ向かって突出するように形成された被係合突起33p、35pが設けられている。
【0036】
また、基体部31は、その長手方向であり奥行方向となる矢印cd方向(ヘッドボックス本体10では短手方向)の両側端部であって、被係合部33、35よりも内側の領域に挿通孔31h、31hがそれぞれ形成された取付部37、39を有している。なお、取付部37、39は、あくまで基体部31の一部分である。
【0037】
取付部37、39では、貫通孔からなる挿通孔31h、31hを有し、その挿通孔31h、31h介して挿通される雄ネジB1(図7参照)と螺合する板状の四角ナット32をその内部に有している。
【0038】
したがって、基板固定部材30は、側壁部11、12の係合部11m、12mに係合された状態において、雄ネジB1と四角ナット32とにより、係合部11m、12mの下側挟持片111dおよび112dが挟み付けられることにより側壁部11、12に取り付けられる。
【0039】
また、図4(A)および(B)に示すように、基体部31において、取付部37、39が形成された左側(矢印a方向)の端部とは反対側の右側(矢印b方向)の端部に、右側(矢印b方向)へ突出した矩形状の部分である突出部41、43を備えている。
【0040】
突出部41、43には、互いの開口が対向した凹溝をそれぞれ有する切欠部分41c、43cが形成されており、その切欠部分41c、43cの凹溝に電源基板22の一端側または他端側の端部(角部)がそれぞれ係合されて挟持される。
【0041】
すなわち、切欠部分41c、43cの凹溝における奥行方向(矢印cd方向)の幅w1は、電源基板22の短手方向における幅w2よりも僅かに大きく、かつ、切欠部分41c、43cの凹溝における上下方向(矢印ef方向)の高さh1は、電源基板22の高さ(厚み)h2よりも僅かに大きい。
【0042】
<動作および効果>
以上の構成において、図5に示すように、電源基板22は、ヘッドボックス本体10における側壁部11、12の係合部11m、12mに係合された2つの基板固定部材30が互いに向かい合った状態の中央に配置される。
【0043】
図6に示すように、その2つの基板固定部材30の突出部41、43に形成された切欠部分41c、43cの凹溝に電源基板22の一端側の端部および他端側の端部が係合される。
【0044】
すなわち、2つの基板固定部材30により電源基板22の一端側および他端側の端部が突出部41、43の切欠部分41c、43cの凹溝に差し込まれた状態で保持される(図6)。
【0045】
図3および図7に示すように、電源基板22が2つの基板固定部材30により保持された状態においては、基板固定部材30における被係合部33、35が、ヘッドボックス本体10の側壁部12の係合部12m、および、側壁部11の係合部11mと係合される。
【0046】
具体的には、被係合部33、35が、係合部12mおよび係合部11mの上側挟持片112uおよび111uと当接するとともに、被係合部33、35の被係合突起33p、35pが下側挟持片112dおよび111dの係合片112dtおよび111dtと係合される。
【0047】
その後、基板固定部材30は、ヘッドボックス本体10の側壁部11、12の長手方向における任意の位置に位置決めされた状態で、取付部37、39の四角ナット32、および、雄ネジB1により取り付け固定される。
【0048】
すなわち、ヘッドボックス本体10の側壁部11、12において、基板固定部材30は取付部37、39の四角ナット32、および、雄ネジB1により側壁部11、12の長手方向(矢印ab方向)の任意の位置で取り付けられることが可能となる。すなわち、基板固定部材30および側壁部11、12の係合部11m、12mにより、電源基板22をヘッドボックス本体10に固定する基板固定構造を形成している。
【0049】
このとき、電源基板22は基板固定部材30を介して電子部品の面(搭載面)22uがヘッドボックス本体10の凹空間SPを向いた状態で取り付けられる。これにより、ヘッドボックス1は、電源基板22の電子部品をヘッドボックス本体10から露出することを防止し、電源基板22の電子部品が搭載されていない面22d(図1参照。)だけを露出し、凹空間SPに対する蓋の役割を電源基板22に持たせることができる。
【0050】
さらに、ヘッドボックス1は、基板固定部材30を介して電源基板22をヘッドボックス本体10の凹空間SPに対する蓋の代わりとして用いている。このため、ヘッドボックス1では、電源基板22を交換または修理等する際に、凹空間SPの内部に収容されたモータ26のシャフト28を取り外す必要がなく容易に取り外すことができ、従来に比してメンテナンス性を格段に向上させることができる。
【0051】
<第2の実施の形態>
図4(A)および(B)との対応部分に同一符号を付した図8(A)および(B)に示すように、第2の実施の形態における基板固定部材50は、基板固定部材30の基体部31とほぼ同様の全体構成を有する基体部51と、基体部51の長手方向である奥行方向(矢印cd方向)の両側端部に設けられ、側壁部11、12の係合部11m、12mに係合される被係合部33および35を備えている。この被係合部33および35は、第1の実施の形態における基板固定部材30と同一の構造を有しているので、ここでは説明を省略する。
【0052】
また、基体部51は、長手方向である奥行方向(矢印cd方向)の両側端部であって、被係合部33、35よりも内側の領域に挿通孔31h、31hがそれぞれ形成された取付部37、39を有している。これら取付部37、39においても、第1の実施の形態における基板固定部材30と同一の構造を有しているので、ここでは説明を省略する。
【0053】
また、基体部51において、取付部37、39が形成された左側(矢印a方向)の端部とは反対側の右側(矢印b方向)の端部には、更に右側(矢印b方向)へ突出した矩形状の突出部63、65を備えている。
【0054】
突出部63、65には、互いの開口が対向した第1の凹溝をそれぞれ有する切欠部分63c、65cが形成されるとともに、その切欠部分63c、65cよりも所定の距離だけ上側(矢印e方向)へ離間した位置に、互いの開口が対向した第2の凹溝(第2の凹溝の幅>第1の凹溝の幅)をそれぞれ有する切欠部分63k、65kが形成されている。
【0055】
切欠部分63c、65cによる第1の凹溝に対する奥行方向(矢印cd方向)の幅は、第1の大きさに対応した電源基板22aの短手方向における幅よりも僅かに大きく、かつ、切欠部分63c、65cによる第1の凹溝に対する上下方向(矢印ef方向)の高さは、電源基板22aの高さよりも僅かに大きい。
【0056】
また、切欠部分63k、65kによる第2の凹溝に対する奥行方向(矢印cd方向)の幅は、第2の大きさに対応した他の電源基板22bの短手方向における幅よりも僅かに大きく、かつ、切欠部分63k、65kによる第2の凹溝に対する上下方向(矢印ef方向)の高さは、電源基板22bの高さよりも僅かに大きい。
【0057】
この基体部51においては、第1の大きさに対応した電源基板22aを挟持可能な第1の凹溝の上側(矢印e方向)に、第2の大きさに対応した電源基板22bを挟持可能な第2の凹溝が配置されており、上下方向において異なる2種類の幅の基板を同時に保持可能である。
【0058】
この場合、ヘッドボックス本体10においては、基板固定部材50により電源基板22aの電子部品搭載面と電源基板22bの電子部品搭載面とを互いに対向させた状態で取り付けることにより、凹空間SPに対する蓋の役割を電源基板22a、22bに持たせることができるとともに、電子部品をダスト等に曝し難くすることができる。
【0059】
さらに、基板固定部材50を介して電源基板22a、22bをヘッドボックス本体10の凹空間SPに対する蓋の代わりとして用いているため、電源基板22a、22bを交換または修理等する際に、凹空間SPの収容されたモータ26のシャフト28を取り外す必要がなく、従来に比してメンテナンス性を格段に向上させることができる。
【0060】
<第3の実施の形態>
図4(A)および(B)との対応部分に同一符号を付した図9に示すように、第3の実施の形態における基板固定部材70は、平面視略I字形状を有する基体部71と、基体部71の長手方向である奥行方向(矢印cd方向)の両側端部には、側壁部11、12の係合部11m、12mに係合される被係合部33および35を備えている。この被係合部33および35は、第1の実施の形態における基板固定部材30と同一の構造を有しているので、ここでは説明を省略する。
【0061】
また、基体部71は、その長手方向であり奥行方向となる矢印cd方向(ヘッドボックス本体10では短手方向)の両側端部であって、被係合部33、35よりも内側の領域に挿通孔31h、31hがそれぞれ形成された取付部37、39を有している。取付部37、39は、挿通孔31h、31hを介して挿通される雄ネジB1(図7参照)と螺合する四角ナット32をその内部に有している。
【0062】
基体部71の奥側(矢印c方向)および手前側(矢印d方向)の端部には、左側(矢印a方向)へ突出した矩形状の突出部72、73と、右側(矢印b方向)へ突出した矩形状の突出部76、77を備えている。
【0063】
突出部72、73には、互いの開口が対向した第1の凹溝をそれぞれ有する切欠部分72c、73cが形成されており、その切欠部分72c、73cによる第1の凹溝に電源基板22aの一端側または他端側の端部(角部)がそれぞれ係合されて挟持される。
【0064】
すなわち、切欠部分72c、73cによる第1の凹溝における奥行方向(矢印cd方向)の幅は、電源基板22aの短手方向における幅よりも僅かに大きく、かつ、切欠部分72c、73cによる第1の凹溝における上下方向(矢印ef方向)の高さは、電源基板22aの高さ(厚み)よりも僅かに大きい。
【0065】
突出部76、77には、互いの開口が対向した第2の凹溝をそれぞれ有する切欠部分76c、76cが形成されており、その切欠部分76c、77cによる第2の凹溝に電源基板22bの一端側または他端側の端部がそれぞれ係合されて挟持される。
【0066】
すなわち、切欠部分76c、76cによる第2の凹溝における奥行方向(矢印cd方向)の幅は、電源基板22bの短手方向における幅よりも僅かに大きく、かつ、切欠部分76c、77cによる第2の凹溝における上下方向(矢印ef方向)の高さは、電源基板22bの高さ(厚み)よりも僅かに大きい。ここで、電源基板22bは、その幅および厚みにおいて電源基板22aよりも大きい。
【0067】
すなわち、基板固定部材70は、基体部71の左側(矢印a方向)において突出部76、77により電源基板22bを保持することができるとともに、基体部71の右側(矢印b方向)において突出部72、73により電源基板22aを保持することができる。
【0068】
この場合、基板固定部材70では、基体部71の左右両側で互いに幅が異なる電源基板22aおよび電源基板22bを同時に保持する場合、1つの基板固定部材70を左右両側用に兼用させることができるので、ヘッドボックス本体10に取り付ける際に省スペース化を図ることができる。
【0069】
<第4の実施の形態>
図4(A)および(B)との対応部分に同一符号を付した図10に示すように、第4の実施の形態における基板固定部材90は、平面視長方形状を有する基体部91と、基体部91の長手方向である奥行方向(矢印cd方向)の両側端部には、側壁部11、12の係合部11m、12mに係合される被係合部33および35を備えている。この被係合部33および35は、第1の実施の形態における基板固定部材30と同一の構造を有している。
【0070】
また、基体部91は、その長手方向であり奥行方向となる矢印cd方向(ヘッドボックス本体10では短手方向)の両側であって、左側(矢印a方向)の端部には、被係合部33、35よりも内側の領域に挿通孔31h、31hがそれぞれ形成された取付部37、39を有している。
【0071】
基体部91の右側(矢印b方向)の端部中央部分には、基体部91の表面91aから多角形状(この場合、五角形状)に凹んだ開口凹部92が形成されており、その開口凹部92の周囲には同様の形状を有する凹溝93が形成されている。凹溝93は、基体部91が開口凹部92から切り欠かれて形成された凹状空間である。
【0072】
凹溝93は、奥行方向(矢印cd方向)に沿って平行な正面壁部93a、左右方向(矢印ab方向)に沿って互いに平行な側面壁部93b、93c、正面壁部93aと側面壁部93b、93cとを斜めに繋ぐ斜面壁部93d、93eによって画成されている。
【0073】
正面壁部93aは、奥行方向(矢印cd方向)の幅が最小(Min)となる電源基板22xminと同じ長さである。側面壁部93bと側面壁部93cとの間の距離は、奥行方向(矢印cd方向)の幅が最大(Max)となる電源基板22xmaxと同じ長さである。
【0074】
斜面壁部93d、93eは、基体部91および電源基板22xの左右方向(矢印ab方向)に沿った中心線Zを中心として対称となるように同一角度かつ同一長さに形成されている。
【0075】
したがって、基板固定部材90では、奥行方向(矢印cd方向)の幅が最小(Min)から最大(Max)となる範囲の電源基板22xmin~電源基板22xmaxであれば、基体部91の凹溝93に差し込み可能である。
【0076】
この場合、電源基板22xが差し込まれると、凹溝93を画成する斜面壁部93d、93eに電源基板22xの一方または他方の端部(角部)が衝突されるため、自動的に電源基板22xが中心線zを中心とした中央位置に位置決めされる。
【0077】
このように、第4の実施の形態における基板固定部材90では、奥行方向(矢印cd方向)の幅が最小(Min)から最大(Max)までの範囲内の電源基板22xmin~電源基板22xmaxを保持することができると共に、自動的に基体部91の中央に配置されるようにセンタリングされるので、利便性が高い。
【0078】
<他の実施の形態>
なお、上述した第1乃至第4の実施の形態においては、電源基板22の左右方向(矢印ab方向)における一方の端部および他方の端部を基板固定部材30、50、70、90において挟持することにより保持するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、電源基板22の奥行方向(矢印cd方向)における一方の端部および他方の端部を基板固定部材30、50、70、90において挟持することにより保持するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した第2の実施の形態においては、基体部51における右側(矢印b方向)の端部に、第1の凹溝を有する切欠部分63c、65cが形成されるとともに、第2の凹溝を有する切欠部分63k、65kが形成されることにより、2種類の幅の電源基板22を挟持可能とするようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、基体部51における左側(矢印a方向)の端部にも、第1の凹溝を有する切欠部分63c、65cおよび第2の凹溝を有する切欠部分63k、65kが形成されるようにしてもよい。
【0080】
さらに、上述した第2の実施の形態においては、基体部51における右側(矢印b方向)の端部に、第1の凹溝、および、第2の凹溝が上下に配置されるように形成した場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、基体部51における左側(矢印a方向)の端部、または左側(矢印a方向)の端部と右側(矢印b方向)の端部の双方に、3層以上の凹溝が上下に配置されるように形成してもよい。
【0081】
さらに、上述した第4の実施の形態においては、基体部91における右側(矢印b方向)の開口凹部92の周囲に凹溝93を形成するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、開口凹部92を設けることなく、凹溝93だけを形成するようにしてもよい。
【0082】
さらに、上述した第4の実施の形態においては、基体部91における右側(矢印b方向)の端部に開口凹部92および凹溝93を形成するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、基体部91における左側(矢印a方向)の端部、または左側(矢印a方向)の端部と右側(矢印b方向)の端部の双方に、開口凹部92および凹溝93を形成するようにしてもよい。
【0083】
さらに、上述した第4の実施の形態においては、基体部91における右側(矢印b方向)の開口凹部92の周囲に凹溝93を形成するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、開口凹部92を設けることなく、少なくとも2種類の幅に対応した2種類の凹溝を上下に配置するように形成してもよい。
【0084】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係るに限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0085】
1……ヘッドボックス、10……ヘッドボックス本体、11、12……側壁部、11m、12m……係合部、111u、112u……上側挟持片、111d、112d……下側挟持片、111dt、112dt……係合片、13……壁部、14、15……蓋部、30、50、70、90……基板固定部材、21、25、27……巻取ドラム、22、22a、22b、22x……電源基板、23……制御基板、24……センサ部品、26……モータ、28……シャフト、31、51、71、91……基体部、32……四角ナット、33、35……被係合部、33p、35p……被係合突起、37、39……取付部、41、43、63、65、72、73、76、77……突出部、41c、43c、63c、65c、63k、65k、72c、73c、76c、77c……切欠部分、92……開口凹部、93……凹溝、SP……凹空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10