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特許7046685熱可塑性フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】熱可塑性フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20220328BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20220328BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220328BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220328BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220328BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20220328BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220328BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220328BHJP
【FI】
B29C45/14
F21S43/20
F21V5/00 600
F21V5/04
F21V17/00 200
F21V17/10 400
G02B3/00 Z
F21W103:00
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018076220
(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2018183986
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】1753222
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン、レボル
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ペニシュ
(72)【発明者】
【氏名】アントニー、ロザノ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0117248(US,A1)
【文献】特開昭61-001067(JP,A)
【文献】実開昭60-156502(JP,U)
【文献】特開昭60-141518(JP,A)
【文献】特開2017-026817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
F21S 43/00
F21V 17/00-17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体(100)であって、
- フレーム(101,301,402,412,422)と、
- 前記フレーム上にオーバーモールドされた光学素子(102,303,401,411,421)と、
を備え、
前記フレームは、前記フレーム上への前記光学素子オーバーモールドによって前記フレームと前記光学素子との間機械的連結がもたらされるように形作られており、
前記フレームは、前記フレーム上にオーバーモールドされた前記光学素子を光が通過できるように構成された中央穴を備えている、光学組立体。
【請求項2】
前記フレーム(101,301,402,412,422)における前記光学素子(102,303,401,411,421)との少なくとも1つの接触面が、前記中央穴の周囲に配置された少なくとも1つの穴を備え、
前記少なくとも1つの穴が、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールドによって前記フレームと前記光学素子との間の機械的連結もたらされるように形作られている、請求項1記載の光学組立体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの穴は、貫通穴を含み、当該貫通穴のまわりで、前記フレーム上にオーバーモールドされた前記光学素子(102,303,401,411,421)が前記フレーム(101,301,402,412,422)を部分的に取り囲む、請求項2記載の光学組立体。
【請求項4】
前記中央穴の周囲に配置された少なくとも1つの穴の数は少なくとも8個であり、これらの少なくとも8個の穴は、前記中央穴の周囲に略均等に分布している、請求項2または3記載の光学組立体。
【請求項5】
前記中央穴の周囲に配置された少なくとも1つの穴の数は少なくとも16個であり、これらの少なくとも16個の穴は、前記中央穴の周囲に略均等に分布している、請求項記載の光学組立体。
【請求項6】
前記中央穴の周囲に配置された少なくとも1つの穴の数は少なくとも20個であり、これらの少なくとも20個の穴は、前記中央穴の周囲に略均等に分布している、請求項記載の光学組立体。
【請求項7】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体(100)であって、
- フレーム(101,301,402,412,422)と、
- 前記フレーム上にオーバーモールドされた光学素子(102,303,401,411,421)と、
を備え、
前記フレームは、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールドによって前記フレームと前記光学素子との間の機械的連結がもたらされるように形作られており、
前記フレームにおける前記光学素子(102,303,401,411,421)との少なくとも1つの接触面が、少なくとも1つの凹凸部を備え、その凹凸部が、前記フレーム(101,301,402,412,422)上への前記光学素子のオーバーモールドによって前記フレームと前記光学素子との間の機械的連結がもたらされるように形作られている、光学組立体。
【請求項8】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体(100)であって、
- フレーム(101,301,402,412,422)と、
- 前記フレーム上にオーバーモールドされた光学素子(102,303,401,411,421)と、
を備え、
前記フレームは、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールドによって前記フレームと前記光学素子との間の機械的連結がもたらされるように形作られており、
前記フレーム(101,301,402,412,422)は熱可塑性材料で作られており、前記光学素子はシリコーンで作られている、光学組立体。
【請求項9】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体を製造するためのプロセスであって、
- フレームを製作する段階(601)と、
- 前記フレーム上に光学素子をオーバーモールド成型する段階(602)と、
を備え、
前記フレームは、当該フレーム上に前記光学素子をオーバーモールド成型する段階の間に当該フレームと前記光学素子との間の機械的連結をもたらすように製作され、
前記フレームを製作する段階(601)は、前記フレーム上にオーバーモールド成型された前記光学素子を光が通過することを可能とする中心穴を、前記フレームの中心部に形成することを含んでいる、プロセス。
【請求項10】
前記フレーム製作(601)する段階(601)は、前記中心穴とは別の少なくとも1つの穴を穴開けすることを含み、前記少なくとも1つの穴が、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールド成型後における前記フレームと前記光学素子との間の機械的連結をもたらす、請求項記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの穴は貫通穴を含み、この貫通穴のまわりで、前記オーバーモールド成型後に前記光学素子が前記フレームを部分的に取り囲む、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体を製造するためのプロセスであって、
- フレームを製作する段階(601)と、
- 前記フレーム上に光学素子をオーバーモールド成型する段階(602)と、
を備え、
前記フレームは、当該フレーム上に前記光学素子をオーバーモールド成型する段階の間に当該フレームと前記光学素子との間の機械的連結をもたらすように製作され、
前記フレームを製作する段階(601)が、オーバーモールド成型された前記光学素子に接触することになる前記フレームの少なくとも1つの面に少なくとも1つの凹凸部を形成する段階を含み、前記少なくとも1つの凹凸部が、前記フレームと、前記フレーム上にオーバーモールド成型された前記光学素子との間の機械的連結をもたらす、プロセス。
【請求項13】
特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体を製造するためのプロセスであって、
- フレームを製作する段階(601)と、
- 前記フレーム上に光学素子をオーバーモールド成型する段階(602)と、
を備え、
前記フレームは、当該フレーム上に前記光学素子をオーバーモールド成型する段階の間に当該フレームと前記光学素子との間の機械的連結をもたらすように製作され、
前記フレームの製作(601)は熱可塑性材料を用いて行われ、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールド成型(602)はシリコーンを用いて行われる、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある要素のための支持体の役目をし得るフレーム上への当該要素の組付けの分野に関し、より特定的には、オーバーモールド成型によるフレーム上への要素の組付けに関する。フレーム上に組み付けられるべき要素は、例えばレンズなどの光学素子であってよい。
【0002】
本発明は、自動車両の分野、特に照明および/または合図の用途における自動車両の投射装置の分野に適用を見出すものである。
【背景技術】
【0003】
フレーム上に要素をオーバーモールド成型するための既知の方法は、ある要素と、その要素ための支持体の役目をするフレームとの単一部品としての組み立てに備えるものである。そのような方法の目的は、別々の2つの部品から単一部品を得ることである。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、オーバーモールド成型された要素のための支持体の役目をするフレームに対しての、その要素の移動を防止することに備えたものではない。
【0005】
実際に、要素がフレーム上にオーバーモールド成型されたならば、オーバーモールド成型された要素と関連したフレームとの間の隙間や、これら要素のうち一方の変形が存在したり、生じたりし得るのである。それは、温度差や、機械的摩耗のせいである。
【0006】
従って、オーバーモールド成型された要素と、その要素のための支持体の役目をするフレームとの間の連結には自由度が残ってしまい得る。
【0007】
さらに、例えばプラスチックなどの熱で変形する一定の材料は、オーバーモールド成型された要素の、フレームに対する余分な移動を生じさせ、或いは組立体の破壊へ繋がりさえし得る。実際に、温度変化は、オーバーモールド成型された要素と、支持体の役目をするフレームとの両者を変形させ得るのである。
【0008】
従って、オーバーモールド成型された要素のための支持体の役目をするフレームに対しての、その要素の移動を制限し、或いは防止しさえすること、かくしてオーバーモールド成型された要素と関連したフレームとの組立体における保持を保証することの必要性が存在するのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、当該事態を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様は、特に自動車両用の、発光モジュール、とりわけ照明および/または合図モジュールの光学組立体(100)であって、
- 光学素子(102)と、
- フレーム(101)と、
を備え、
前記光学素子は、フレーム上にオーバーモールド成型されており、
前記フレームは、当該フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型後における当該フレームと光学素子との間の機械的連結をもたらすように形作られている、組立体に関するものである。
【0011】
「光学素子」は、光線の経路や光の特性を変えることを可能とする要素(素子)を意味するものと理解されたい。例えば光学素子は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などの熱可塑性材料やシリコーンで作られた、鏡やレンズに相当し得る。
【0012】
「フレーム」は、光学素子のための支持体の役目をする要素を意味するものと理解されたい。
【0013】
「オーバーモールド成型」は、光学素子の成型をフレーム上へ直接的に行うことに本質のある行為を意味するものと理解されたい。幾つかのオーバーモールド成型技術が存在する。例えばプラスチック製法においては、オーバーモールド成型は、支持体の役目をする要素上にプラスチックを射出することに本質がある。支持要素は、種々の材料:例えば金属、プラスチック、またはセラミックで形成され得る。
【0014】
かくして、光学素子とフレームとが単一部品を形成し、光学素子がフレームの幾何学的形状を借用するのである。これにより、インターフェイス部品の使用が取り除かれ、複数の組立段階を回避することが可能となる。最終製品の部品数が減少し、光学素子とフレームとの間には、見た目に明らかな接合が存在しない。これにより、光学素子について、様々なより大きな形状を得ることが可能となる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、フレームにおける光学素子との少なくとも1つの接触面が、少なくとも1つの穴を備え、その穴が、フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型後におけるフレームと光学素子との間の機械的連結をもたらしていてよい。
【0016】
かくして、フレームと、オーバーモールド成型された光学素子との間の物理的付着が強化される。光学素子とフレームとの間の独立した各相対運動に対応する自由度は、制限される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、オーバーモールド成型後に光学素子がフレームを部分的に取り囲むように、貫通穴を含んで成る。
【0018】
かくして、貫通穴の使用によって、フレームに対する光学素子の移動を制限することが可能となる。実際に、シリコーン製の光学素子の場合には、光学素子は移動してしまう傾向を有しているのである。この現象は、シリコーンが、柔軟なままであって、その幾何学的形状を維持しようとあがく材料である、という事実によるものである。これらの移動は、熱に曝されている間、異なる膨張係数によっても引き起こされ得る。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの穴は、一定の断面を有していてよい。
【0020】
かくして、穴を作ることに本質のある作業が困難性を持ち込むことはない。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、一定でない増大する断面を有していてもよい。
【0022】
かくして、光学素子とフレームとの間の機械的連結が強化される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、T字形の一定でない断面を有していてもよい。
【0024】
或いは、一定でない増大する断面が直線的なプロファイルを有していてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、フレームは、光学素子を光が通過できるように構成された中央穴を備えていてよい。
【0026】
かくして、フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型の間に、光学素子が中央穴内へ収容されるようになる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、フレームは中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも8個の穴を備えていてよい。
【0028】
かくして、フレーム上への光学素子の連結が強化される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、フレームは中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも16個の穴を備えていてもよい。
【0030】
かくして、フレーム上への光学素子の連結が強化される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、フレームは中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも20個の穴を備えていてもよい。
【0032】
かくして、フレーム上への光学素子の連結が強化される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、フレームにおける光学素子との少なくとも1つの接触面が、少なくとも1つの凹凸部を備え、その凹凸部が、フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型後におけるフレームと光学素子との間の機械的連結をもたらしていてよい。
【0034】
かくして、光学素子とフレームとの間の機械的付着が強化される。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記フレームは熱可塑性材料で作られていてよく、光学素子はシリコーンで作られていてもよい。
【0036】
かくして、光学素子とフレームとの間の機械的連結が強化される。実際に、熱可塑性材料で作られたフレームと、シリコーンまたは別の熱可塑性材で作られた光学素子との場合には、弱い化学的付着が存在する。さらに、シリコーンは高い熱膨張係数を有し、熱可塑性材料もまた温度の関数として変形する。このことは、2つの要素同士の:フレームと光学との間の、ある程度の機械的な隙間へと繋がり得る。従って、フレームが機械的連結を作り出すように形作られている場合における、熱可塑性材料製のフレーム上へのシリコーン製の光学素子のオーバーモールド成型という事実によって、組立体内における移動を制限することが可能となるのである。
【0037】
一実施形態によれば、光学素子に対して第2の光学素子を配置することによって光学的機能を実行するように、前記フレームが更に第2の光学素子に連結されていてよい。
【0038】
本発明の第2態様は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、またはシリコーンなどの材料から作られた光学素子の組立体を製造するためのプロセスであって、
- フレームを製作する段階と、
- 前記成型されたフレーム上に光学素子をオーバーモールド成型する段階と、
を備え、
フレームは、当該フレーム上に光学素子をオーバーモールド成型する段階の間に当該フレームと光学素子との間の機械的連結をもたらすように製造される、プロセスに関するものである。
【0039】
一実施形態によれば、フレームの製作は、少なくとも1つの穴を穴開けすることを含み、その穴が、フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型後におけるフレームと光学素子との間の機械的連結をもたらす。
【0040】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、オーバーモールド成型後に光学素子がフレームを部分的に取り囲むように、貫通穴を含んで成る。
【0041】
一実施形態によれば、前記貫通穴は、一定の断面を有している。
【0042】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、一定でない増大する断面を有している。
【0043】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの穴は、T字形の一定でない断面を有している。
【0044】
一実施形態によれば、一定でない増大する断面が直線的なプロファイルを有している。
【0045】
一実施形態によれば、フレームの製作は、光学素子を光が通過できるように構成された中央穴を穴開けすることを更に含む。
【0046】
一実施形態によれば、フレームの製作は、中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも8個の穴を穴開けすることを更に含む。
【0047】
一実施形態によれば、フレームの製作は、中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも16個の穴を穴開けすることを含む。
【0048】
一実施形態によれば、フレームの製作は、中央穴の周囲に略均等に分布された少なくとも20個の穴を穴開けすることを含む。
【0049】
一実施形態によれば、フレームの製作は熱可塑性材料を用いて行われ、前記フレーム上への前記光学素子のオーバーモールド成型はシリコーン材料を用いて行われる。
【0050】
一実施形態によれば、当該プロセスは、光学素子に対して第2の光学素子を配置することによって光学的機能を実行するように、前記フレームに第2の光学素子を連結する段階を更に備えていてよい。
【0051】
本発明の第3態様は、特に自動車両用の、光学組立体(100)を備えた発光モジュールであって、その光学組立体(100)が、
- 光学素子(102)と、
- フレーム(101)と、
を備え、
前記光学素子は、フレーム上にオーバーモールド成型されており、
前記フレームは、当該フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型後における当該フレームと光学素子との間の機械的連結をもたらすように形作られている、発光モジュールに関するものである。
【0052】
本発明の第4態様は、上述したような発光モジュールおよび/または組立体を備えた発光装置に関するものである。
【0053】
本発明の第5態様は、前述したような光制限モジュールおよび/または発光装置および/または組立体を備えた車両に関するものである。
【0054】
発光装置は、ヘッドランプやリアランプ、さもなければ自動車両の内部照明に適した照明装置であってよい。
【0055】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を考察することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の一実施形態による組立体を示す図。
図2】本発明の一実施形態による組立体の断面図。
図3】本発明の一実施形態による組立体の断面図。
図4A】本発明の種々の実施形態による断面図。
図4B】本発明の種々の実施形態による断面図。
図4C】本発明の種々の実施形態による断面図。
図5A】本発明の異なる実施形態を示す図。
図5B】本発明の異なる実施形態を示す図。
図5C】本発明の異なる実施形態を示す図。
図6】本発明の一実施形態によるプロセスの各段階を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、光学素子102と、その光学素子102のための支持体の役目をするフレーム101とを備えた組立体100を表している。光学素子102は、シリコーンで作られているのが好ましく、例えばレンズであってよい。光学素子102によって果たされる光学的機能に制限は付されない。光学素子102は、単一部品:組立体100を形成するように、フレーム101上にオーバーモールド成型される。
【0058】
フレーム101には有利には、周囲に光学素子102がオーバーモールド成型される中央穴が設けられていてよい。それは、入射光が光学素子102を通り抜けるのを可能とするためである。フレームは、発光モジュール(例えば、自動車両用の照明および/または合図モジュール)へと組立体100を統合することを可能とする固定用支持部103を有していてよい。図1における各固定用支持部103の形状や位置取りは、組立体100の固定の一例に過ぎない。
【0059】
本発明によるフレーム101の形状が、光学素子102との組み立てを可能とする。実際に、フレーム101上への光学素子102のオーバーモールド成型後における光学素子102の固定に、フレーム101の設計が影響を持っていることが、下記で理解されることとなる。
【0060】
光学素子102のための支持体の役目をするフレーム101は、例えば当該フレーム101が熱可塑性材料で作られる場合には、成型されてよい。但し、フレームの製作されるやり方に制限は付されない。
【0061】
後述する幾何学的形状および構造を有してオーバーモールド成型の段階後における光学素子102の固定を可能とするフレーム101のための金型の設計は、事前に作り出されてよい。フレーム101は、例えば機械加工によって製作される、金属部品であってもよい。
【0062】
図1は、より特定的には、フレーム101と光学素子102とを備えた組立体100の、光学素子102に到達する光線に垂直な平面内での図を表している。
【0063】
図2は、本発明の一実施形態による、フレーム101と光学素子102とを備えた組立体100の断面図を表している。より特定的には、図2は、図1の平面に垂直な平面に沿った、組立体100の三次元表現から結果として得られる断面図を表している。図2においては、光学素子102が各位置103においてフレームを完全に取り囲んでいることが分かる。各位置103は、フレーム101の各貫通穴に対応している。実際には、フレーム101上への光学素子102のオーバーモールド成型の間に、オーバーモールド成型された光学素子102が各位置103においてフレーム101を完全に取り囲むに至るのである。この目的は、フレーム101と光学素子102との間の機械的付着を強化すること、および光学素子102がフレーム101から分離してしまうのを防止することである。光学素子102が2つの位置103においてフレーム101を取り囲むに至るやり方は同一である。但し、フレームの設計が2つの同一の貫通穴を有することを何ら定めるものではない。図2による各要素103は、本発明の趣旨の範囲内での機械的連結と見做すことができる。
【0064】
図2においては、光学素子102とフレーム101との間に見た目に明らかな固定は存在しないが、組立体100が実際には1つの単一部品を形成している、ということが分かる。
【0065】
図3は、本発明の一実施形態による組立体300の断面図を表している。組立体300は、光学素子303と、その素子303のための支持体の役目をするフレーム301とを備えている。図3による要素302および304は、異なる構成によって作り出される2つの型式の機械的連結を表している。実際には、図2におけるのと同様に、機械的連結302は、光学素子303でフレーム301を完全に取り囲んでいることに本質があり、これは貫通穴に相当するものである。
【0066】
機械的連結304は、機械的連結302とは異なっている。実際には、機械的連結304については、図3に示す幾何学的形状に従って光学素子303がフレーム301を貫通するように、当該フレーム301が形作られている。従って、フレーム301の形状は、そのような機械的連結を可能とし、かくしてフレーム301内へ挿入されるためにそのフレーム301の内部に必要な空間を光学素子303に与えることを可能とするよう、事前に製作されるのである。図3による例では、組立体内における機械的連結同士が異なっている。これらの機械的連結のそれぞれが、異なる機能を果たす。機械的連結302および304は、それぞれが、異なる移動を防止し、かくして接触を保って、単一部品:組立体300を形成するように光学素子303とフレーム301との間の機械的な隙間を制限し得るのである。
【0067】
各機械的連結の幾何学的形状および位置取りについて、幾つかのパラメータ(例えば、温度など)が考慮される。実際に、シリコーン製の光学素子については、熱膨張係数が高くなっている。熱可塑性材料製のフレームもまた、温度変化の影響を受ける。温度変化は、フレームと光学素子の両者を変形させるのである。従って、光学素子の、そしてまた、そのための支持体の役目をするフレームの熱変形を避けるためには、この因子を考慮することが好ましい。例えば、そのような組立体を自動車両の投射装置内へ統合する場合、温度は-40℃から+120℃までの変化を被り得る。
【0068】
さらに、熱可塑性材料製のフレームと、シリコーン製または別の熱可塑性材料製の光学素子の場合、2つの要素同士の間には弱い化学的付着が存在する。従って、本発明によって備えられるように、如何なる予期せぬ移動をも防止する機械的連結を作り出す目的で、光学素子のための支持体の役目をするフレームに一定の幾何学的形状を課すことが有利なのである。
【0069】
図4Aから図4Cは、本発明の諸実施形態による光学素子とフレームとの間の機械的連結を示している。その都度、機械的連結しか表されておらず、かくして本発明による組立体の一部のみが表されているということを理解されたい。
【0070】
図4Aは、本発明の一実施形態による機械的連結の断面図を表している。組立体400は、フレーム402と光学素子401とを備えている。光学素子401とフレーム402との間の接触を保つことを可能とする機械的連結403も見られる。この機械的連結403は、フレーム402内で一定の断面を有した貫通穴を用いて作り出されている。かくして、光学素子401がフレーム402を完全に貫通することが可能となっている。
【0071】
図4Aにおいては、機械的連結403が、先の各図に表された機械的連結とは異なっていることが認められる。フレーム402の幾何学的形状および構造を変えることによって、光学素子の設計、およびまた機械的連結の設計に関する複数の発展性が可能となる。実際には、オーバーモールド成型の間に、光学素子401がフレーム402の幾何学的形状を借用するのである。
【0072】
図4Bは、本発明の一実施形態による機械的連結413の断面図を表している。組立体410は、フレーム412と光学素子411とを備えている。機械的連結413は、光学素子411とフレーム412との間の接触を保つことを可能とする。機械的連結413は、一定でない断面を有した穴に対応している。図4Bに表す穴は盲穴であるが、本発明は、一定でない断面を有した貫通穴の使用への備えをもなすものである。フレーム412内での穴の断面は、T字形に増大している。光学素子とフレームとの間の各接触面が、先の各図とは異なっている。
【0073】
コンピュータ援用設計ソフトウエア上で、光学素子と、そのための支持体の役目をするフレームとの間の各接触面を、この組を組立体として特徴付ける目的で設計することが可能である。実際には、光学素子およびフレームの各接触面が、そしてまた、それらの輪郭が平面内に描かれたならば、押出成形によって、3次元で組立体を表現する原型を得ることが可能である。そして、この3次元の組立体の原型が製造のために用いられ得る。
【0074】
図4Cは、本発明の一実施形態による機械的連結423および424の断面図を表している。組立体420は、フレーム422と光学素子421とを備えている。機械的連結423は、フレーム422内で一定でない断面を有した穴に対応している。機械的連結423に対応した穴は、図4Cでは盲穴であるが、本発明は、一定でない断面を有した貫通穴の使用への備えをもなすものである。具体的には、機械的連結423は、断面が直線的なプロファイルで増大する穴に対応している。
【0075】
機械的連結424は、フレーム422内で一定でない断面を有した穴に対応している。機械的連結424に対応した穴は、図4Cでは盲穴であるが、本発明は、一定でない断面を有した貫通穴の使用への備えをもなすものである。機械的連結424に対応した穴の断面は、厳密に直線的なプロファイルを有するものではない。その断面は、放物線状のプロファイルで始まって、直線的なプロファイルへと続いている。
【0076】
かくして本発明は、用途、使用される材料の類型、および負わされる応力に応じて、フレームの設計のための機械的連結の型式や数に関しての高度の精確性を可能とするのである。
【0077】
図5Aは、本発明による組立体のある実施形態を表している。具体的には図5Aは、光学素子(図示せず)のオーバーモールド成型用の支持体の役目をするフレーム500を表している。フレーム500は、光学素子がフレーム500上にオーバーモールド成型されたときに入射光が光学素子を通過できるようにする中央穴501を備えている。フレーム500は、中央穴501の周囲に均等に分布された、少なくとも8個の穴502、特に8個の穴を備えていてよい。それらの穴502は、光学素子がフレーム上にオーバーモールド成型されたならば、その光学素子が保持されることを可能とするものである。それらの穴502は、略同一の大きさであってよく、フレーム500に属した各タブ上に定置されていてよい。各穴502は、光学素子をフレーム500上にオーバーモールド成型する段階よりも前にフレーム500上に形成されている。
【0078】
図5Bは、本発明による組立体のある実施形態を表している。具体的には図5Bは、光学素子(図示せず)のオーバーモールド成型用の支持体の役目をするフレーム510を表している。フレーム510は、光学素子がフレーム500上にオーバーモールド成型されたときに入射光が光学素子を通過できるようにする中央穴511を備えている。フレーム501は、中央穴511の周囲に均等に分布された、少なくとも16個の穴、特に16個の穴を備えていてよい。それらの穴は、光学素子がフレーム上にオーバーモールド成型されたならば、その光学素子が保持されることを可能とするものである。それらの穴512は、略同一の大きさであってよく、フレーム510に属した各タブ上に定置されていてよい。フレーム内の穴の数を増やすことによって、光学素子がフレーム上にオーバーモールド成型されたなら、フレームと光学素子との間の機械的連結を強めることが可能となる。
【0079】
図5Cは、本発明による組立体のある実施形態を表している。具体的には図5Cは、光学素子(図示せず)のオーバーモールド成型用の支持体の役目をするフレーム520を表している。フレーム520は、光学素子がフレーム520上にオーバーモールド成型されたときに入射光が光学素子を通過できるようにする中央穴521を備えている。フレーム520は、中央穴521の周囲に均等に分布された、少なくとも20個の穴、特に20個の穴522を備えていてよい。それらの穴522は、光学素子がフレーム上にオーバーモールド成型されたならば、その光学素子が保持されることを可能とするものである。それらの穴522は、全てが略同一の大きさでなくてもよい。実際には、16個の穴522は図5Bと同様に略同じ大きさであってよいが、より小さな寸法の4つの付加的な穴522は、同じくより小さな寸法の各タブ上に挿入されている。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態によるプロセスの各段階を示す線図を表している。具体的には図6は、(シリコーン製であるのが好適な)光学素子の、その光学素子用の支持体の役目をするフレームとの組立体を製造するためのプロセスにおける、2つの段階601および602を含んでいる。第1段階601(FAB_SUP)は、フレームの製造に相当するものである。そのフレームは、支持体とも見做され得る。フレームは、熱可塑性材料製のフレームの場合には、成型によって製造されてよい。フレームは、金属要素であってもよく、従って機械加工によって製造されてもよい。段階602(MOL_ELT)は、フレーム上への光学素子のオーバーモールド成型の段階に相当するものである。この段階の目的は、光学素子とフレームであるところの2つの別々の部品から、単一部品:組立体を形成することである。段階601中にフレームを製造するためのプロセスに関係なく、フレームは、そのフレーム上への光学素子のオーバーモールド成型中にフレームと光学素子との間の機械的連結をもたらすように形作られる。従ってフレームは、当該組立体の用途における役割としての光学素子のための機械的連結をもたらすように、特定の幾何学的形状で設計されるのである。
【0081】
もちろん本発明は、上述の、専ら例として与えられた諸実施形態に限定されるものではない。それは、本発明の文脈の範囲内で当業者が予想できるであろう種々の修正や、代替形態や、その他の変形例、特に上述した種々の実施形態同士のあらゆる組合せを包含するものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6