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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】有価媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/245 20190101AFI20220328BHJP
【FI】
G07D11/245
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018096128
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2019200694
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 忍
(72)【発明者】
【氏名】升木 裕文
(72)【発明者】
【氏名】服部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 幹久
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-006018(JP,A)
【文献】特開平09-237364(JP,A)
【文献】特開2012-064016(JP,A)
【文献】特開2013-114561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07F 19/00
G06Q 40/00-40/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装填処理と第2装填処理とが行われる有価媒体処理装置であって、
それぞれが開閉可能に構成されて有価媒体の収納と繰出を行う複数の収納部と、
前記有価媒体を搬送する搬送部と、
前記有価媒体の識別および計数を行う識別部と、
前記有価媒体処理装置の動作を制御する制御部とを備え、
前記第1装填処理では、前記複数の収納部のうち開状態の収納部に前記有価媒体が装填されて該有価媒体の計数が行われ、
前記第2装填処理では、前記複数の収納部のうち開状態の収納部に前記有価媒体が装填されるが該有価媒体の計数が行われず、
前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から該有価媒体が繰り出されて前記識別部に搬送されるように前記有価媒体処理装置の動作を制御する
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の収納部は、開状態とすることを許可するアクセス許可状態と開状態とすることを禁止するアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となっている
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から全ての有価媒体が前記識別部に搬送されて該有価媒体の計数が完了すると該有価媒体が該収納部に戻るように前記有価媒体処理装置の動作を制御する
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記有価媒体を一時的に保留する一時保留部を備え、
前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から該有価媒体が繰り出されて前記識別部に搬送され該識別部における識別結果に応じて前記一時保留部に搬送され、該収納部に装填された全ての有価媒体が前記識別部に搬送されて該有価媒体の計数が完了すると該一時保留部に一時的に保留された有価媒体が該収納部に戻るように前記有価媒体処理装置の動作を制御する
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体を装填しようとする収納部に有価媒体が既に収納されている場合、該収納部に既に収納されている有価媒体が該収納部から繰り出されて該収納部が空になるように前記有価媒体処理装置の動作を制御する退避動作を行う
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記有価媒体を一時的に保留する一時保留部を備え、
前記制御部は、前記退避動作において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体を装填しようとする収納部に既に収納されている有価媒体が該収納部から繰り出されて前記一時保留部に搬送されるように前記有価媒体処理装置の動作を制御する
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項において、
前記第1装填処理および前記第2装填処理は、前記有価媒体処理装置の操作者による前記有価媒体の装填が認証された場合に行われ、
前記第2装填処理における操作者の認証レベルは、前記第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くなっている
ことを特徴とする有価媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、有価媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣や有価証券などの有価媒体を処理する有価媒体処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、装置本体と、装置本体内に設けられ、有価媒体を収納する収納部と、収納部とは別に設けられ、装置本体に装着された装着位置と装置本体から引き出された引出位置との間において移動可能であり、引出位置において有価媒体が装填される装填部と、装着位置の装填部から有価媒体を繰り出す繰出部と、繰出部によって繰り出された有価媒体を装置本体内において搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される有価媒体を少なくとも計数する識別部と、装着位置の前記装填部における有価媒体を、繰出部によって繰り出して識別部によって1つずつ計数した後に、搬送部によって収納部まで搬送する制御部とを備えた有価媒体処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-22241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の有価媒体処理装置では、収納部とは別に有価媒体を装填するための装填部が設けられているので、その分、有価媒体処理装置の内部空間を有効に利用することができない。
【0005】
そこで、ここに開示する技術は、内部空間を有効に利用することが可能な有価媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示する技術は、第1装填処理と第2装填処理とが行われる有価媒体処理装置に関し、この有価媒体処理装置は、それぞれが開閉可能に構成されて有価媒体の収納と繰出を行う複数の収納部と、前記有価媒体を搬送する搬送部と、前記有価媒体の識別および計数を行う識別部と、前記有価媒体処理装置の動作を制御する制御部とを備えている。前記第1装填処理では、前記複数の収納部のうち開状態の収納部に前記有価媒体が装填されて該有価媒体の計数が行われる。前記第2装填処理では、前記複数の収納部のうち開状態の収納部に前記有価媒体が装填されるが該有価媒体の計数が行われない。そして、前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から該有価媒体が繰り出されて前記識別部に搬送されるように前記有価媒体処理装置の動作を制御する。
【0007】
前記の構成では、収納部とは別に装填部(有価媒体を装填するための構成)を設ける必要がないので、有価媒体処理装置に装填部が設けられている場合よりも、有価媒体処理装置の内部空間を有効に利用することができる。
【0008】
なお、前記複数の収納部は、開状態とすることを許可するアクセス許可状態と開状態とすることを禁止するアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となっていてもよい。
【0009】
前記の構成では、アクセス許可状態とアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となるように複数の収納部を構成することにより、複数の収納部のうち有価媒体を装填しようとする収納部を除く他の収納部をアクセス禁止状態のまま維持することができる。これにより、アクセス禁止状態が維持されている収納部において在高の信頼性を維持することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から全ての有価媒体が前記識別部に搬送されて該有価媒体の計数が完了すると該有価媒体が該収納部に戻るように前記有価媒体処理装置の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0011】
前記の構成では、第1装填処理において有価媒体の計数が完了した場合に有価媒体を元の収納部に戻すことにより、計数済みの有価媒体を元の収納部に収納することができる。
【0012】
また、前記有価媒体処理装置は、前記有価媒体を一時的に保留する一時保留部を備えていてもよい。そして、前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体が装填された収納部から該有価媒体が繰り出されて前記識別部に搬送され該識別部における識別結果に応じて前記一時保留部に搬送され、該収納部に装填された全ての有価媒体が前記識別部に搬送されて該有価媒体の計数が完了すると該一時保留部に一時的に保留された有価媒体が該収納部に戻るように前記有価媒体処理装置の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0013】
前記の構成では、第1装填処理において収納部から繰り出された有価媒体を識別部における識別結果に応じて一時保留部に搬送することにより、識別部において識別済みの有価媒体を一時保留部において管理することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記第1装填処理において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体を装填しようとする収納部に有価媒体が既に収納されている場合、該収納部に既に収納されている有価媒体が該収納部から繰り出されて該収納部が空になるように前記有価媒体処理装置の動作を制御する退避動作を行うように構成されていてもよい。
【0015】
前記の構成では、退避動作を行うことにより、有価媒体を装填しようとする収納部を空にすることができる。これにより、開状態の収納部に対する有価媒体の装填を容易にすることができる。
【0016】
また、前記有価媒体処理装置は、前記有価媒体を一時的に保留する一時保留部を備えていてもよい。そして、前記制御部は、前記退避動作において、前記複数の収納部のうち前記有価媒体を装填しようとする収納部に既に収納されている有価媒体が該収納部から繰り出されて前記一時保留部に搬送されるように前記有価媒体処理装置の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0017】
前記の構成では、退避動作において有価媒体を装填しようとする収納部に既に収納されている有価媒体を収納部から一時保留部に退避させることにより、収納部から退避させた有価媒体を一時保留部において管理することができる。
【0018】
なお、前記第1装填処理および前記第2装填処理は、前記有価媒体処理装置の操作者による前記有価媒体の装填が認証された場合に行われる処理であってもよい。そして、前記第2装填処理における操作者の認証レベルは、前記第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くなっていてもよい。
【0019】
前記の構成では、第2装填処理における操作者の認証レベルを第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くすることにより、第2装填処理において収納部に装填される有価媒体の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、ここに開示する技術によれば、収納部とは別に装填部(有価媒体を装填するための構成)を設ける必要がないので、有価媒体処理装置に装填部が設けられている場合よりも、有価媒体処理装置の内部空間を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態による有価媒体処理システムの構成を例示する概略図である。
図2図1に示した有価媒体処理システムの構成を例示するブロック図である。
図3図1に示した有価媒体処理部の構成を例示する概略図である。
図4図1に示した有価媒体処理部の構成を例示する斜視図である。
図5】第1装填処理における有価媒体の流れを例示する概略図である。
図6】第1装填処理における有価媒体の流れを例示する概略図である。
図7】退避動作における有価媒体の流れを例示する概略図である。
図8】一時保留部に収納される有価媒体を例示する概念図である。
図9】有価媒体処理装置の動作を例示するフローチャートである。
図10】操作表示部に表示されるメニュー画面を例示する図である。
図11】操作表示部に表示される装填対象選択画面を例示する図である。
図12】操作表示部に表示される装填モード選択画面を例示する図である。
図13】第1装填処理を例示するフローチャートである。
図14】操作表示部に表示される金種指定画面を例示する図である。
図15】操作表示部に表示される操作ガイド画面を例示する図である。
図16】操作表示部に表示される計数結果画面を例示する図である。
図17】第2装填処理を例示するフローチャートである。
図18】操作表示部に表示される装填情報入力画面を例示する図である。
図19】第2装填処理の変形例を例示するフローチャートである。
図20】払出処理における有価媒体の流れを例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0023】
(有価媒体処理装置)
図1および図2は、実施形態による有価媒体処理装置10の外観および構成を例示している。この例では、有価媒体処理装置10は、出納機を構成している。具体的には、有価媒体処理装置10は、有価媒体処理部11と、紙幣処理部12と、硬貨処理部13と、損貨記念貨処理部14と、操作表示部21と、カードリーダ22と、プリンタ23と、通信部24と、記憶部25と、制御部20とを備えている。有価媒体処理装置10(出納機)は、例えば、銀行などの金融機関に設置される。
【0024】
〔有価媒体処理部〕
有価媒体処理部11は、有価媒体を処理する。具体的には、有価媒体処理部11は、有価媒体を受け付ける受付処理や、有価媒体を払い出す払出処理や、有価媒体を装填する装填処理などの各種処理を行うように構成されている。有価媒体処理部11の構成については、後で詳しく説明する。
【0025】
なお、有価媒体処理部11において処理される有価媒体には、損券や旧券やリジェクト紙幣などの紙幣処理部12において処理することができない紙幣や、小切手や手形などの有価証券や、新券などが含まれている。損券は、損傷や汚れの度合いが激しい紙幣のことである。旧券は、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い紙幣のことである。リジェクト紙幣は、紙幣処理部においてリジェクトされた紙幣のことである。新券は、中央銀行から金融機関に配送されて未だ市場に流通していない紙幣(官封券)のことである。
【0026】
〔紙幣処理部〕
紙幣処理部12は、紙幣を処理する。具体的には、紙幣処理部12は、バラ紙幣(バラ状態の紙幣)を入金する紙幣入金処理や、バラ紙幣を出金する紙幣出金処理や、帯封紙幣を生成する帯封処理や、帯封紙幣を出金する帯封紙幣出金処理などの各種処理を行うように構成されている。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣が帯封されて構成されている。
【0027】
〔硬貨処理部〕
硬貨処理部13は、硬貨を処理する。具体的には、硬貨処理部13は、バラ硬貨(バラ状態の硬貨)を入金する硬貨入金処理や、バラ硬貨を出金する硬貨出金処理や、包装硬貨を生成する包装処理や、包装硬貨を出金する包装硬貨出金処理などの各種処理を行うように構成されている。包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨が包装されて構成されている。
【0028】
〔損貨記念貨処理部〕
損貨記念貨処理部14は、損貨や記念貨などの硬貨(硬貨処理部13において処理することができない硬貨)を処理する。具体的には、損貨記念貨処理部14は、損貨や記念貨などを受け付ける損貨記念貨受付処理などの各種処理を行うように構成されている。
【0029】
〔操作表示部〕
操作表示部21は、操作部211と表示部212とを有している。例えば、操作表示部21は、タッチパネルによって構成されている。操作部211は、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力する。これにより、操作者は、操作部211を操作して有価媒体処理装置10に各種処理を行わせることができる。すなわち、有価媒体処理装置10は、操作者による操作に応答して動作する。表示部212は、情報を表示する。
【0030】
〔カードリーダとプリンタと通信部〕
カードリーダ22は、操作者のIDカードから情報(例えば操作者を特定するための操作者情報である操作者ID)を読み取る。プリンタ23は、情報を印刷媒体(例えばジャーナル)に印刷する。通信部24は、制御部20が外部機器(図示を省略、例えば管理コンピュータやタブレット端末やスマートフォンなど)との間で有線通信または無線通信を行うために設けられている。
【0031】
〔記憶部〕
記憶部25は、情報を記憶する。記憶部25には、有価媒体処理装置10における有価媒体や貨幣の処理状況に関する情報や、有価媒体処理装置10における有価媒体や貨幣の在高に関する情報や、操作表示部21に表示される操作画面などの画像情報(画像データ)や、有価媒体処理装置10の動作を制御するための制御情報などが記憶されている。例えば、記憶部25は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの汎用ストレージデバイスによって構成されている。
【0032】
〔各種センサ〕
また、有価媒体処理装置10の各部には、有価媒体や紙幣や硬貨の通過を検知する通過センサなどの各種センサが設けられている。これらの各種センサによる検知結果(検知信号)は、制御部20に送信される。
【0033】
〔制御部〕
制御部20は、有価媒体処理装置10の各部(具体的には有価媒体処理部11と紙幣処理部12と硬貨処理部13と損貨記念貨処理部14と操作表示部21とカードリーダ22とプリンタ23と通信部24と記憶部25)と電気的に接続されて有価媒体処理装置10の各部との間において信号や情報を伝送可能となっている。また、制御部20は、通信部24を経由して外部機器(図示を省略、例えば管理コンピュータやスマートフォンやタブレット端末など)と通信可能となっている。そして、制御部20は、操作部211に与えられた操作や有価媒体処理装置10の各部(各部に設けられた各種センサを含む)や外部機器から送られてきた信号や情報などに基づいて、有価媒体処理装置10の各部を制御して有価媒体処理装置10の動作を制御する。例えば、制御部20は、プロセッサや、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報などを記憶するメモリなどによって構成されている。制御部20の動作については、後で詳しく説明する。
【0034】
〔有価媒体処理部の詳細〕
図3および図4は、有価媒体処理部11の構成を例示している。図3および図4に示すように、有価媒体処理部11は、筐体30と、投入部31と、払出部32と、複数(この例では4つ)の収納部33と、一時保留部34と、複数(この例では3つ)の小切手収納部35と、複数(この例では2つ)の損券収納部36と、搬送部37と、撮像部38と、識別部39とを有している。
【0035】
〈筐体〉
筐体30には、有価媒体処理部11の構成部品(具体的には投入部31と払出部32と収納部33と一時保留部34と小切手収納部35と損券収納部36と搬送部37と撮像部38と識別部39)が収納されている。この例では、筐体30は、前方に開口する直方体型の箱状に形成され、筐体30の内部には、内部ユニット300が収納されている。内部ユニット300は、筐体30から前方に引き出し可能となっている。内部ユニット300には、有価媒体処理部11の構成部品が設けられている。
【0036】
〈投入部〉
投入部31には、有価媒体が投入される。この例では、投入部31は、筐体30の前面(具体的には内部ユニット300の前面)に設けられ、複数枚の有価媒体を投入することができるように構成されている。また、投入部31には、投入部31に投入された有価媒体を搬送部37に一枚ずつ繰り出す繰出機構310が設けられている。
【0037】
〈払出部〉
払出部32は、有価媒体を機外に払い出す。この例では、払出部32は、筐体30の前面(具体的には内部ユニット300の前面)に設けられ、複数枚の有価媒体を集積することができるように構成されている。また、払出部32には、搬送部37から払出部32に搬送されてきた有価媒体を払出部32に一枚ずつ繰り入れる羽根車320が設けられている。また、払出部32には、開閉可能なシャッタが設けられており、このシャッタが開状態となっている場合に、払出部32に集積された有価媒体を操作者が取り出すことができるようになっている。
【0038】
〈収納部〉
複数の収納部33は、それぞれが有価媒体の収納と繰出を行う。この例では、複数の収納部33は、筐体30の前部(具体的には内部ユニット300の前部)に設けられて上下方向に並んで配置され、それぞれが複数枚の有価媒体を集積することができるように構成されている。また、収納部33には、収納部33に収納された有価媒体を搬送部37に一枚ずつ繰り出す繰出機構330が設けられている。
【0039】
この例では、収納部33は、収納部33に収納されている複数枚の有価媒体のうち収納部33に先に収納された有価媒体が収納部33に後に収納された有価媒体よりも先に繰り出されるように、収納部33に収納されている複数枚の有価媒体を1枚ずつ繰り出す。具体的には、収納部33の収納動作では、収納部33に搬送されてきた有価媒体が収納部33に既に収納されている有価媒体(すなわち収納部33に先に収納された有価媒体)の上に集積される。そして、収納部33の繰出動作では、収納部33に収納されている複数枚の有価媒体が上から順番に1枚ずつ繰り出される。
【0040】
また、複数の収納部33は、それぞれが開閉可能に構成されている。この例では、複数の収納部33の各々には、内部ユニット300の側方に開口する開口部331と、開口部331を開閉する開閉扉332とが設けられている。収納部33の開閉扉332を開状態(開口部331が開放された状態)にすることにより、収納部33が開状態となり、収納部33の開口部331を閉状態(開口部331が閉鎖された状態)にすることにより、収納部33が閉状態となる。
【0041】
また、この例では、複数の収納部33は、開状態とすることを許可するアクセス許可状態と開状態とすることを禁止するアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となっている。具体的には、複数の収納部33の各々には、閉状態の開閉扉332を施錠する施錠状態と開閉扉332の施錠を解除する解錠状態とに切り換え可能なロック機構333が設けられている。ロック機構333を解錠状態にすることにより、収納部33がアクセス許可状態となり、ロック機構333を施錠状態にすることにより、収納部33がアクセス禁止状態となる。
【0042】
また、この例では、複数の収納部33の各々には、その収納部33における有価媒体の有無を検知する有無検知センサ41が設けられている。有無検知センサ41により検知結果(検知信号)は、制御部20に送信される。これにより、制御部20は、収納部33に有価媒体が収納されているか否かを判定することができる。
【0043】
また、この例では、複数の収納部33には、有価媒体の一例である新券が収納される。具体的には、複数の収納部33の各々には、その収納部33に収納されるべき新券の金種が割り当てられており、複数の収納部33の各々は、その収納部33に割り当てられた金種の新券を収納する。
【0044】
〈一時保留部〉
一時保留部34は、有価媒体を一時的に保留する。この例では、一時保留部34は、テープ巻き取り式の収納部によって構成されている。具体的には、一時保留部34は、正回転方向および逆回転方向の両方に回転可能なドラム340を有しており、このドラム340に一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部37から一時保留部34に送られた有価媒体は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順番にドラム340(正回転方向に回転するドラム340)により巻き取られて収納される。また、ドラム340を逆回転方向に回転させると、巻き取られた有価媒体が搬送部37に1枚ずつ繰り出される。
【0045】
この例では、一時保留部34は、一時保留部34に収納されている複数枚の有価媒体のうち一時保留部34に先に収納された有価媒体が一時保留部34に後に収納された有価媒体よりも先に繰り出されるように、一時保留部34に収納されている複数枚の有価媒体を1枚ずつ繰り出す。具体的には、一時保留部34では、一時保留部34から繰り出される有価媒体の順番は、一時保留部34に繰り入れられた有価媒体の順番の逆となっている。
【0046】
〈小切手収納部〉
複数の小切手収納部35は、それぞれが有価媒体の一例である小切手や手形などを収納する。この例では、小切手収納部35は、スタッカ式の収納部によって構成されている。具体的には、小切手収納部35は、複数枚の小切手や手形などを集積することができるように構成されている。
【0047】
〈損券収納部〉
複数の損券収納部36は、それぞれが有価媒体の一例である損券を収納する。この例では、2つの損券収納部36のうち一方の損券収納部36の構成は、小切手収納部35の構成(スタッカ式の収納部)と同様となっており、他方の損券収納部36の構成は、一時保留部34の構成(テープ巻き取り式)と同様となっている。
【0048】
〈搬送部〉
搬送部37は、有価媒体を搬送する。この例では、搬送部37は、投入部31と払出部32と複数の収納部33と一時保留部34と複数の小切手収納部35と複数の損券収納部36との間において有価媒体を搬送するように構成されている。例えば、搬送部37は、有価媒体を搬送するための搬送ベルトおよび搬送ローラにより構成された搬送路や、搬送ベルトおよび搬送ローラを駆動するための駆動機構や、有価媒体の搬送を案内するためのガイド機構や、有価媒体の搬送方向を切り換えるための分岐爪などによって構成されている。
【0049】
〈撮像部〉
撮像部38は、搬送部37に設けられ、搬送部37により搬送される有価媒体を撮像して有価媒体の画像(具体的には有価媒体の表裏両面の画像)を取得する。撮像部38により取得された有価媒体の画像は、制御部20に送信される。この例では、撮像部38は、投入部31の下流側に配置されている。
【0050】
〈識別部〉
識別部39は、搬送部37に設けられ、搬送部37により搬送される有価媒体の識別および計数を行う。具体的には、識別部39は、有価媒体に対して識別動作を計数動作を行う。識別動作では、識別部39は、有価媒体の券種(例えば金種)、真偽、正損、新旧、搬送状態などを識別する。計数動作では、識別部39は、有価媒体の枚数を券種別に計数する。また、識別部39は、有価媒体に付された識別番号(例えば記番号)を読み取る。識別部39による識別結果および計数結果は、制御部20に送信される。例えば、識別部39は、ラインセンサや磁気センサや画像センサなどの各種センサや、プロセッサや、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどによって構成されている。
【0051】
〔装填処理〕
有価媒体処理装置10では、2種類の装填処理(第1装填処理と第2装填処理)が行われる。第1装填処理では、有価媒体処理部11に設けられた複数の収納部33のうち開状態の収納部33に有価媒体が装填されて有価媒体の計数が行われる。第2装填処理では、有価媒体処理部11に設けられた複数の収納部33のうち開状態の収納部33に有価媒体が装填されるが有価媒体の計数が行われない。
【0052】
なお、ここで説明する「装填」とは、搬送部37を経由せずに、開状態の収納部33に有価媒体を投入することであり、具体的には、収納部33の開閉扉332を開状態にして収納部33の開口部331を通じて有価媒体を収納部33に投入することである。
【0053】
また、第1装填処理および第2装填処理は、有価媒体処理装置10の操作者による有価媒体の装填が認証された場合に行われる。また、第2装填処理における操作者の認証レベルは、第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くなっている。
【0054】
〔制御部の動作〕
制御部20は、第1装填処理において、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から有価媒体が繰り出されて識別部39に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。そして、制御部20は、第1装填処理において、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から全ての有価媒体が識別部39に搬送されて有価媒体の計数が完了すると、有価媒体が収納部33に戻るように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0055】
この例では、制御部20は、第1装填処理において、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から有価媒体が繰り出されて識別部39に搬送され識別部39における識別結果に応じて一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0056】
具体的には、複数の収納部33のうち開状態の収納部33に有価媒体が装填され、その収納部33の開閉扉332が閉じられて収納部33が開状態から閉状態となり、筐体30から引き出されている内部ユニット300が筐体30内に収納されると、図5の実線の矢印で示すように、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から有価媒体が搬送部37に繰り出され、識別部39に搬送されて識別部39において識別される。識別部39において正常券に該当すると識別された有価媒体は、図5の実線の矢印で示すように、一時保留部34に搬送されて一時保留部34に一時的に保留される。一方、識別部39においてリジェクト券(例えば二枚送りや金種間違いなど)に該当すると識別された有価媒体は、図5の破線の矢印で示すように、払出部32に搬送されて払出部32に集積される。
【0057】
そして、制御部20は、収納部33に装填された全ての有価媒体が識別部39に搬送されて有価媒体の計数が完了すると、その後(例えば収納部33に対する有価媒体の装填が承認された後)に、一時保留部34に一時的に保留された有価媒体が収納部33に戻るように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0058】
具体的には、図6の実線の矢印で示すように、一時保留部34に一時的に保留された有価媒体は、一時保留部34から搬送部37に繰り出されて収納部33(元の収納部33)に搬送され、収納部33に収納される。
【0059】
なお、この例では、制御部20は、第1装填処理において、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合に退避動作を行う。退避動作では、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に既に収納されている有価媒体が収納部33から繰り出されて収納部33が空になるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。この例では、制御部20は、退避動作において、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に既に収納されている有価媒体が収納部33から繰り出されて一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0060】
具体的には、図7の実線の矢印で示すように、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に既に収納されている有価媒体は、その収納部33から搬送部37に繰り出されて一時保留部34に搬送され、一時保留部34に一時的に保留(退避)される。その後、その収納部33(有価媒体を装填しようとする収納部33)が閉状態から開状態にされて新たな有価媒体が装填される。そして、上記の第1装填処理における動作が行われる。
【0061】
また、この例では、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に既に収納されている有価媒体が一時保留部34に搬送されて収納部33が空になると、一時保留部34において退避動作により搬送されてきた有価媒体(すなわち退避動作により収納部33から一時保留部34に搬送されて一時保留部34に収納された有価媒体)と退避動作の後に装填されて搬送されてきた有価媒体(すなわち収納部33に装填された後に収納部33から一時保留部34に搬送されて一時保留部34に収納された有価媒体)との間に空乏エリアが形成されるように、一時保留部34をドラム340を正回転方向に回転させる。
【0062】
具体的には、図8に示すように、退避動作により搬送されてきた有価媒体の間隔D1(または退避動作の後に装填されて搬送されてきた有価媒体の間隔D1)よりも、退避動作により搬送されてきた有価媒体と退避動作の後に装填されて搬送されてきた有価媒体との間隔D2が大きくなるように、一時保留部34のドラム340が正回転方向に回転(すなわち空回り)する。
【0063】
〔有価媒体処理装置の動作〕
次に、図9を参照して、有価媒体処理装置10の動作について説明する。
【0064】
〈ステップS101〉
まず、有価媒体処理装置10の操作者に対して認証処理が行われる。具体的には、制御部20は、操作表示部21が操作されて入力された操作者ID(またはカードリーダ22により取得された操作者ID)に基づいて、その操作者IDにより特定される操作者を認証する。そして、認証処理により操作者が承認されると、ステップS102へ進む。
【0065】
〈ステップS102〉
次に、制御部20は、操作者による操作に応答して、有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第1装填処理(計数装填)と第2装填処理(手動装填)のうち一方の装填処理を選択する。
【0066】
この例では、ステップS101における認証が完了すると、制御部20は、図10に示すメニュー画面の画像を操作表示部21に表示させる。このメニュー画面には、装填処理の実施を指示するための装填アイコン(図10において「07 装填」と記載されたアイコン)が含まれている。そして、図10に示されたメニュー画面において装填アイコンを選択するための操作が操作表示部21に与えられると、制御部20は、図11に示す装填対象選択画面の画像を操作表示部21に表示される。この装填対象選択画面には、装填処理の対象として有価媒体処理装置10の収納部33を選択するための新券部アイコン(図11において「新券部」と記載されたアイコン)が含まれている。そして、図11に示された装填対象選択画面において新券部アイコンを選択するための操作が操作表示部21に与えられると、制御部20は、図12に示す装填モード選択画面の画像を操作表示部21に表示させる。この装填モード選択画面には、装填モードとして「計数装填(第1装填処理)」を選択するための計数装填アイコン(図12において「計数装填」と記載されたアイコン)と、装填モードとして「手動装填(第2装填処理)を選択するための手動装填アイコン(図12において「手動装填」と記載された手動装填アイコン(図12において7「手動装填」と記載されたアイコン)とが含まれている。図12に示された装填モード選択画面において計数装填アイコンを選択するための操作が操作表示部21に与えられると、計数装填(第1装填処理)が選択され、手動装填アイコンを選択するための操作が与えられると、手動装填(第2装填処理)が選択される。
【0067】
〈ステップS103〉
次に、制御部20は、有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第1装填処理(計数装填)が選択されているか否かを判定する。有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第1装填処理(計数装填)が選択されている場合には、ステップS104へ進み、そうでない場合(すなわち有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第2装填処理(手動装填)が選択されている場合)には、ステップS105へ進む。
【0068】
〈ステップS104〉
有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第1装填処理(計数装填)が選択されている場合、制御部20は、第1装填処理が行われるように有価媒体処理装置10(具体的には有価媒体処理部11)の動作を制御する。次に、ステップS106へ進む。なお、ステップS104において行われる第1計数処理については、後で詳しく説明する。
【0069】
〈ステップS105〉
一方、有価媒体処理装置10において行われるべき装填処理として第2装填処理(手動装填)が選択されている場合、制御部20は、第2装填処理が行われるように有価媒体処理装置10(具体的には有価媒体処理部11)の動作を制御する。次に、ステップS106へ進む。なお、ステップS105において行われる第2計数処理については、後で詳しく説明する。
【0070】
〈ステップS106〉
次に、有価媒体処理装置10における装填処理(第1装填処理または第2装填処理)が完了すると、制御部20は、有価媒体処理装置10における装填処理の結果に関する情報が印刷されたジャーナル(印刷媒体の一例)をプリンタ23に発行させる。このジャーナルには、有価媒体処理装置10の操作者を特定するための操作者情報(例えば操作者の名前)や、有価媒体処理装置10において第1装填処理および第2装填処理のどちらが行われたのかを示すモード判別情報(例えば「計数装填」という文字または「手動装填」という文字)や、有価媒体処理装置10において装填処理が行われた日時に関する実施日情報(例えば実施日の年月日)や、有価媒体処理装置10の装填処理において収納部33に装填された紙幣の金種および枚数に関する装填情報(例えば金種別の枚数)などが印刷されている。
【0071】
〔第1装填処理(計数装填)〕
次に、図13を参照して、有価媒体処理装置10において行われる第1装填処理について説明する。
【0072】
〈ステップS201〉
まず、有価媒体処理部11に装填しようとする有価媒体の金種が指定される。
【0073】
この例では、制御部20は、図14に示す金種指定画面の画像を操作表示部21に表示させる。この金種指定画面には、有価媒体処理部11に装填しようとする有価媒体の金種を選択するためのチェックボックス(図14において「万」「5千」「2千」「千」と記載という4つの金種の横にそれぞれ設けられた4つのチェックボックス)が設けられている。そして、4つのチェックボックスのうちいずれか1つのチェックボックスを選択するための操作が操作表示部21に与えられると、そのチェックボックスに対応する金種が指定される。
【0074】
〈ステップS202〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうちステップS201において指定された金種に対応する収納部33(すなわち有価媒体を装填しようとする収納部33)に有価媒体が既に収納されているか否かを判定する。有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合には、ステップS203へ進み、そうでない場合には、ステップS204へ進む。
【0075】
〈ステップS203〉
有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合、制御部20は、退避動作を行う。これにより、収納部33に既に収納されている有価媒体が収納部33から繰り出されて一時保留部34に搬送される。退避処理が行われて収納部33(複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33)が空になると、ステップS204へ進む。
【0076】
〈ステップS204〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33(ステップS201において指定された金種に対応する収納部33)がアクセス禁止状態からアクセス許可状態に切り換わるように、有価媒体処理装置10(具体的には有価媒体処理部11)の動作を制御する。なお、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33を除く収納部33は、アクセス禁止状態のまま維持される。そして、アクセス許可状態となっている収納部33が閉状態から開状態に切り換えられる。
【0077】
この例では、制御部20は、図15に示す操作ガイド画面の画像を操作表示部21に表示させる。この操作ガイド画面には、筐体30から内部ユニット300を引き出すことを指示するために画像が含まれている。操作者により筐体30から内部ユニット300が引き出されると、内部ユニット300に設けられた複数の収納部33のうちアクセス許可状態の収納部33が操作者により(または自動的に)閉状態から開状態に切り換えられる。そして、操作者は、開状態の収納部33に有価媒体を装填する。開状態の収納部33に対する有価媒体の装填が完了すると、操作者は、収納部33を開状態から閉状態に切り換える。開状態から閉状態に切り換えられた収納部33は、アクセス許可状態からアクセス禁止状態に切り換えられる。そして、筐体30から引き出されている内部ユニット300が筐体30内に戻される。
【0078】
〈ステップS205〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうちステップS204において開状態にされた収納部33(有価媒体を装填しようとする収納部33)を監視し、その収納部33が開状態から閉状態に切り換えられたか否かを判定する。有価媒体を装填しようとする収納部が開状態から閉状態に切り換えられると、ステップS206へ進む。
【0079】
〈ステップS206〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうちステップS205において開状態から閉状態に切り換えられた収納部33(有価媒体を装填しようとする収納部33)に有価媒体が装填されているか否かを判定する。有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が装填されている場合には、ステップS207へ進み、そうでない場合には、ステップS204へ進む。
【0080】
〈ステップS207〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から有価媒体が繰り出されて識別部39に搬送され識別部39における識別結果に応じて一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0081】
〈ステップS208〉
次に、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33から全ての有価媒体が識別部39に搬送されて有価媒体の計数が完了すると、その収納部33に対する有価媒体の装填が承認されたか否かを判定する。収納部33に対する有価媒体の装填が承認されると、ステップS209へ進む。
【0082】
この例では、制御部20は、有価媒体の計数が完了すると、図16に示す計数結果画面の画像を操作表示部21に表示させる。この計数結果画面には、識別部39により計数された有価媒体の金種と枚数を示す画像と、有価媒体の装填を承認するための完了アイコン(図16において「完了」と記載されたアイコン)とが含まれている。図16の例は、100枚の1万円の新券が装填されて計数されたことを示している。そして、図16に示された計数結果画面において完了アイコンを選択するための操作が操作表示部21に与えられると、制御部20は、収納部33に対する有価媒体の装填が承認されたと判定する。
【0083】
〈ステップS209〉
次に、制御部20は、一時保留部34に一時的に保留された有価媒体が一時保留部34から繰り出されて元の収納部33に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。これにより、収納部33に装填された有価媒体が元の収納部33に戻される。また、退避動作が行われている場合、収納部33に装填された有価媒体の他に、収納部33から退避された有価媒体が元の収納部33に戻される。
【0084】
〈ステップS210〉
次に、制御部20は、装填処理を継続するか否かを判定する。装填処理を継続する場合には、ステップS201へ進み、そうでない場合には、処理を終了する。
【0085】
〔第2装填処理(手動装填)〕
次に、図17を参照して、第2装填処理について説明する。
【0086】
〈ステップS301〉
まず、制御部20は、二者承認が行われているか否かを判定する。なお、「二者承認」とは、有価媒体処理装置10の操作者と、その操作者とは別の操作者(例えば所定の権限を有する管理者)との両者に対して認証処理が行われ、その認証処理により両者が承認されている状態のことである。二者承認が行われていない場合には、ステップS302へ進み、二者承認が行われている場合には、ステップS303へ進む。このように、第2装填処理では二者承認が要求されており、第2装填処理における操作者の認証レベルは、第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くなっている。
【0087】
〈ステップS302〉
二者承認が行われていない場合、制御部20は、二者承認が行われていないことを通知するための情報(警告通知情報)を出力する。例えば、制御部20は、警告通知情報を操作表示部21に出力して、二者承認が行われていないことを通知するための画像を操作表示部21に表示させる。次に、ステップS301へ進む。
【0088】
〈ステップS303〉
二者承認が行われている場合、有価媒体処理部11に装填しようとする有価媒体の金種が指定される。例えば、制御部20は、有価媒体処理部11に装填しようとする有価媒体の金種を選択するためのチェックボックスを含む金種指定画面の画像を操作表示部21に表示させる。
【0089】
〈ステップS304〉
次に、ステップS204と同様に、制御部20は、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33(ステップS303において指定された金種に対応する収納部33)がアクセス禁止状態からアクセス許可状態に切り換わるように、有価媒体処理装置10(具体的には有価媒体処理部11)の動作を制御する。なお、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33を除く収納部33は、アクセス禁止状態のまま維持される。そして、アクセス許可状態となっている収納部33が閉状態から開状態に切り換えられる。
【0090】
〈ステップS305〉
次に、ステップS205と同様に、制御部20は、複数の収納部33のうちステップS304において開状態にされた収納部33(有価媒体を装填しようとする収納部33)を監視し、その収納部33が開状態から閉状態に切り換えられたか否かを判定する。有価媒体を装填しようとする収納部33が開状態から閉状態に切り換えられると、ステップS306へ進む。
【0091】
〈ステップS306〉
次に、収納部33に装填された有価媒体に関する情報(装填情報)が入力される。
【0092】
この例では、制御部20は、図18に示す装填情報入力画面の画像を操作表示部21に表示させる。この装填情報入力画面には、収納部33に装填される有価媒体の金種と枚数と金額を入力するためのテンキーの画像が含まれている。そして、図18に示された装填情報入力画面のテンキーが操作されて装填情報が入力される。
【0093】
なお、第2装填処理において新たな有価媒体を装填しようとする収納部33に既に有価媒体が収納されている場合、その収納部33に既に収納されている有価媒体の上に、その収納部33に装填された新たな有価媒体が収納される(載置される)ことになる。また、収納部33の在高情報についても、その収納部33における有価媒体の在高に対して、その収納部33に新たに装填された分(すなわち収納部33に装填された新たな有価媒体)が追加されることになる。
【0094】
〈ステップS307〉
次に、制御部20は、装填処理を継続するか否かを判定する。装填処理を継続する場合には、ステップS301へ進み、そうでない場合には、処理を終了する。
【0095】
〔実施形態による効果〕
以上のように、この実施形態による有価媒体処理装置10では、収納部33とは別に装填部(有価媒体を装填するための構成)を設ける必要がないので、有価媒体処理装置10に装填部が設けられている場合よりも、有価媒体処理装置10の内部空間を有効に利用することができる。これにより、有価媒体処理装置10の収納量の増加や有価媒体処理装置10の小型化が可能となる。
【0096】
また、この実施形態による有価媒体処理装置10では、2種類の装填処理(第1装填処理と第2装填処理)を行うことができる。なお、第1装填処理では、有価媒体の計数が自動的に行われるので、第2装填処理が行われる場合よりも、収納部33に有価媒体を装填する操作者の負担を軽減することができる。一方、第2装填処理では、有価媒体の計数が行われないので、第1装填処理が行われる場合よりも、操作者が収納部33に有価媒体を装填する作業に要する時間を短縮することができる。これにより、第1装填処理と第2装填処理のうち操作者の要望に応じた装填処理を行うことができる。例えば、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33の数が比較的に少ない場合に第1装填処理を実施し、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33の数が比較的に多い場合(例えば金融機関の始業時において複数の収納部33の全部に有価媒体を装填しようとする場合)に第2装填処理を実施することにより、操作者の負担の軽減と作業時間の短縮とをバランス良く両立させることができる。
【0097】
また、この例では、制御部20は、第1装填処理において、複数の収納部33の有価媒体が装填された収納部33から有価媒体が繰り出されて識別部39に搬送され識別部39における識別結果に応じて一時保留部34に搬送され、収納部33に装填された全ての有価媒体が識別部39に搬送されて有価媒体の計数が完了すると、一時保留部34に一時的に保留された有価媒体が収納部33に戻るように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。このように、第1装填処理において収納部33から繰り出された有価媒体を識別部39における識別結果に応じて一時保留部34に搬送することにより、識別部39において識別済みの有価媒体を一時保留部34において管理することができる。また、第1装填処理において有価媒体の計数が完了した場合に有価媒体を元の収納部33に戻すことにより、計数済みの有価媒体を元の収納部33に収納することができる。
【0098】
また、第1装填処理において退避処理を行うことにより、有価媒体を装填しようとする収納部33を空にすることができる。これにより、開状態の収納部33に対する有価媒体の装填を容易にすることができる。
【0099】
また、第1装填処理において退避動作を行うことにより、装填処理により有価媒体が装填される前に収納部33に既に収納されていた有価媒体(すなわち比較的に古い有価媒体)が、装填処理により収納部33に装填された有価媒体(すなわち比較的に新しい有価媒体)よりも先に繰り出されるように、収納部33に有価媒体を収納することができる。これにより、特定の有価媒体が収納部33内に残存し続けることを防止することができる。
【0100】
また、退避動作において有価媒体を装填しようとする収納部33に既に収納されている有価媒体を収納部33から一時保留部34に退避させることにより、収納部33から退避させた有価媒体を一時保留部34において管理することができる。
【0101】
また、第2装填処理における操作者の認証レベルを第1装填処理における操作者の認証レベルよりも高くすることにより、第2装填処理において収納部33に装填される有価媒体の信頼性を向上させることができる。
【0102】
なお、アクセス可能状態とアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となるように複数の収納部33が構成されていない場合(例えば複数の収納部33の全部が同時にアクセス許可状態またはアクセス禁止状態に切り換えられる場合)、複数の収納部33のうち有価媒体が装填された収納部33を除く他の収納部33において有価媒体の出し入れが行われる可能性があるので、その収納部33における在高の信頼性を維持することができない。そのため、その収納部33に対して在高を確定させるための処理(例えば精査処理)を行うことになるので、装填処理(第1装填処理または第2装填処理)が完了してから次の処理を開始することができるようになるまでの時間(準備時間)を短縮することが困難である。
【0103】
一方、この実施形態による有価媒体処理装置10では、アクセス許可状態とアクセス禁止状態とに個別に切り換え可能となるように複数の収納部33が構成されている。そのため、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33を除く他の収納部33をアクセス禁止状態のまま維持することができる。これにより、アクセス禁止状態が維持されている収納部33において在高の信頼性を維持することができる。
【0104】
〔第2装填処理(手動装填)の変形例〕
なお、制御部20は、第2装填処理において、複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合に、退避動作を行うように構成されていてもよい。
【0105】
次に、図19を参照して、第2装填処理の変形例について説明する。第2装填処理の変形例では、図17に示したステップS301~S307に加えて、以下のステップS401~S404が行われる。
【0106】
〈ステップS401〉
ステップS303が完了すると、制御部20は、複数の収納部33のうちステップS303において指定された金種に対応する収納部33(すなわち有価媒体を装填しようとする収納部33)に有価媒体が既に収納されているか否かを判定する。有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合には、ステップS402へ進み、そうでない場合には、ステップS304へ進む。
【0107】
〈ステップS402〉
有価媒体を装填しようとする収納部33に有価媒体が既に収納されている場合、ステップS203と同様に、制御部20は、退避動作を行う。これにより、収納部33に既に収納されている有価媒体が収納部33から繰り出されて一時保留部34に搬送される。退避処理が行われて収納部33(複数の収納部33のうち有価媒体を装填しようとする収納部33)が空になると、ステップS304へ進む。
【0108】
〈ステップS403〉
ステップS306が完了すると、制御部20は、退避動作(ステップS402)が行われたか否かを判定する。退避動作が行われている場合には、ステップS404へ進み、そうでない場合には、ステップS307へ進む。
【0109】
〈ステップS404〉
退避動作が行われている場合、制御部20は、一時保留部34に一時的に保留された有価媒体が一時保留部34から繰り出されて元の収納部33に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。これにより、収納部33から退避された有価媒体が元の収納部33に戻される。次に、ステップS307へ進む。
【0110】
以上のように、第2装填処理において退避処理を行うことにより、開状態の収納部33に対する有価媒体の装填を容易にすることができる。また、第2装填処理において退避動作を行うことにより、特定の有価媒体が収納部33内に残存し続けることを防止することができる。
【0111】
〔払出処理〕
有価媒体処理装置10では、払出処理が行われる。払出処理は、有価媒体処理装置10の有価媒体処理部11から有価媒体を払い出す処理である。図20に示すように、払出処理では、制御部20は、収納部33から繰り出された有価媒体が識別部39に搬送されている識別部における識別結果に応じて払出部32または一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0112】
〔払出処理における動作例1〕
なお、制御部20は、払出処理において次に動作例1を行うように構成されていてもよい。以下、払出処理における制御部20の動作例1について説明する。
【0113】
動作例1では、制御部20は、識別部39において有価媒体が正常券に該当すると識別された場合に、その有価媒体が払出部32に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0114】
一方、制御部20は、識別部39において有価媒体がリジェクト券(例えば二枚送りや金種間違いなど)に該当する識別された場合に、その有価媒体が識別部39において正常券に該当すると識別されるまでリトライ動作を繰り返し行う。リトライ動作では、制御部20は、識別部39においてリジェクト券に該当すると識別された有価媒体が識別部39から収納部33に戻された後に再び収納部33から識別部39に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0115】
そして、制御部20は、予め定められた回数(例えば3回)のリトライ動作が行われても識別部39において有価媒体がリジェクト券に該当すると識別された場合に、その有価媒体が一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。リジェクト券に該当する有価媒体を一時保留部34に退避させた後に、収納部33から次の有価媒体が繰り出される。その後、払出処理が完了すると、制御部20は、一時保留部34に退避させていた有価媒体が元の収納部33に戻るように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0116】
なお、元の収納部33に戻された有価媒体は、次の払出処理において収納部33から第1番目に繰り出されることになる。そのため、有価媒体自体にリジェクトの要因がある場合は、次の払出処理において、収納部33から第1番目に繰り出される有価媒体に対してリトライ動作が繰り返し行われることになる。
【0117】
〔払出処理における動作例2〕
そこで、制御部20は、払出処理において次の動作例2を行うように構成されていてもよい。以下、払出処理における制御部20の動作例2について説明する。
【0118】
動作例2では、制御部20は、予め定められた回数(例えば3回)のリトライ動作が行われても識別部39において有価媒体がリジェクト券に該当すると識別される場合に、その有価媒体が一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御するとともに、識別部39において読み取られた有価媒体の識別番号(例えば記番号)を記憶部25に記憶する。例えば、記憶部25には、リジェクト確定リストが予め記憶されており、払出処理において予め定められた回数のリトライ動作が行われても識別部39においてリジェクト券に該当すると識別される有価媒体の識別番号がリジェクト確定リストに登録される。
【0119】
そして、次の払出処理において、制御部20は、識別部39において有価媒体がリジェクト券に該当すると識別された場合に、番号照合動作を行う。番号照合動作では、制御部20は、識別部39においてリジェクト券に該当すると識別された有価媒体の識別番号(例えば記番号)が記憶部25に記憶されている識別番号(例えばリジェクト確定リストに登録されている識別番号)に一致するか否かを判定する。
【0120】
有価媒体の識別番号が記憶部25に記憶されている識別番号に一致する場合、制御部20は、リトライ動作を行うことなく、識別部39においてリジェクト券に該当すると識別された有価媒体が一時保留部34に搬送されるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0121】
一方、有価媒体の識別番号が記憶部25に記憶されている識別番号に一致しない場合、制御部20は、動作例1と同様の動作を行う。すなわち、リトライ動作が繰り返し行われ、予め定められた回数のリトライ動作が行われても識別部39において有価媒体がリジェクト券に該当していると識別される場合に、その有価媒体が一時保留部34に搬送されるとともに、その有価媒体の識別番号がリジェクト確定リストに登録される。そして、払出処理の完了後に、一時保留部に一時的に保留されている有価媒体が一時保留部34から繰り出されて元の収納部33に戻される。
【0122】
以上のように、払出処理における動作例2では、識別部39においてリジェクト券に該当すると識別された有価媒体の識別番号が記憶部25に記憶されている識別番号に一致する場合に、リトライ動作が行われることなく、識別部39においてリジェクト券に該当すると識別された有価媒体が一時保留部34に搬送される。これにより、払出処理において収納部33から第1番目に繰り出される有価媒体に対してリトライ動作が繰り返し行われる場合(すなわち動作例1の場合)よりも、払出処理の時間を短縮することができる。
【0123】
〔精査処理〕
また、有価媒体処理装置10において精査処理が行われてもよい。精査処理は、有価媒体処理部11に設けられた収納部33に収納されている有価媒体の種類や枚数を確認するための処理である。精査処理では、制御部20は、収納部33から繰り出された有価媒体が識別部39に搬送されて識別部39における識別結果に応じて一時保留部34に搬送される一次搬送と、一次搬送の完了後に一時保留部34から繰り出された有価媒体が元の収納部33に搬送される二次搬送とが行われるように、有価媒体処理装置10の動作を制御する。
【0124】
なお、払出処理における制御部20の動作例2によって記憶部25に記憶されている識別番号(例えばリジェクト確定リストに登録されている識別番号は、精査処理において利用されてもよい。また、制御部20は、精査処理において上記の動作例2を行うように構成されていてもよい。
【0125】
(その他の実施形態)
以上の説明では、筐体30から引き出し可能な内部ユニット300に複数の収納部33が設けられている場合を例に挙げたが、これに限らず、例えば、複数の収納部33は、それぞれが筐体30から個別に引き出し可能となっていてもよい。
【0126】
また、以上の説明では、収納部33が新券を収納する場合を例に挙げたが、これに限らず、収納部33は、新券ではない他の有価媒体を収納するものであってもよい。
【0127】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、ここに開示する技術は、有価媒体処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0129】
10 有価媒体処理装置
11 有価媒体処理部
12 紙幣処理部
13 硬貨処理部
14 損貨記念貨処理部
21 操作表示部
211 操作部
212 表示部
22 カードリーダ
23 プリンタ
24 通信部
25 記憶部
20 制御部
30 筐体
300 内部ユニット
31 投入部
32 払出部
33 収納部
34 一時保留部
35 小切手収納部
36 損券収納部
37 搬送部
38 撮像部
39 識別部
図1
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