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特許7046711木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体及びその製造方法
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  • 特許-木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体及びその製造方法 図1
  • 特許-木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体及びその製造方法 図2
  • 特許-木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/02 20060101AFI20220328BHJP
   B32B 37/10 20060101ALI20220328BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20220328BHJP
   B27D 5/00 20060101ALI20220328BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B32B5/02 Z
B32B37/10
B27M3/00 N
B27D5/00
E04F13/08 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018097092
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019202427
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月6日から3月9日に東京ビッグサイトで開催された「店舗総合見本市 JAPAN SHOP 2018」において出品展示
(73)【特許権者】
【識別番号】516054689
【氏名又は名称】株式会社水田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】水田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】富山 馨
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-124167(JP,A)
【文献】特開平08-057970(JP,A)
【文献】特開平05-138750(JP,A)
【文献】特開平10-151708(JP,A)
【文献】特開平10-024545(JP,A)
【文献】特開昭63-171677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 39/00-43/58、70/00-70/88
B27D 5/00
E04F 13/00-13/30
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みを有する基材と、
前記基材よりも薄くかつ凹凸を有する立体的な木目柄が形成された所定の炭素繊維複合材薄体と、
で構成し、
前記基材の一方面側に前記炭素繊維複合材薄体を積層固着した木目柄成形建材。
【請求項2】
前記固着手段が、接着剤による接着である請求項1の木目柄成形建材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の木目柄成形建材を製造する方法であって、
基材の表面側に接着剤を塗布する工程と、
前記塗布面に炭素繊維複合材薄体を積層載置し0.5キログラム/平方センチメートルから1.0キログラム/平方センチメートルの圧力を加えて圧着する工程と、
によって木目柄成形建材を製造する方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の木目柄成形建材を構成する木目柄炭素繊維複合材薄体を製造する方法であって、
クッション性を有する弾性体と木型との間に炭素繊維複合材薄体を挟設する工程と、
その後の加熱及び押圧する工程と、
によって立体的な木目柄が形成された木目柄炭素繊維複合材薄体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、木目柄の成形建材、当該成形建材を構成する木目柄の炭素繊維複合材薄体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人工的な化粧材(建材)の分野では、伝統的な製造方法によって造られる天然素材からできた化粧材の質感に近づける努力がなされている。例えば、木の板に関して、印刷を施し木目の導管部の窪みを表現する試みは多く、木の内部構造に基づく表面の様々な光沢や凹凸を表現する努力がなされている(例えば、特許文献1の段落0002、0003)。
【0003】
一方で、建材表面への直接印刷あるいは印刷した化粧シートの貼り合わせにより木目を付した場合に、立体感に乏しく平面的であることが指摘されている(例えば、特許文献2の段落0005)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-6355号公報
【文献】特開平成11-333988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、人工的な化粧材(建材)の分野において、立体感のある木目柄が形成された建材は望まれている。
【0006】
そこで、凹凸を有する立体感のある木目柄を形成するとともに、従来の建材にはない優位な性能も併せ持つ成形建材、当該成形建材を構成する炭素繊維複合材薄体を提供することを課題とした。
【0007】
また、成形建材、当該成形建材を構成する炭素繊維複合材薄体に適した製造方法を提供することも課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上述の課題を解決するために、所定の厚みを有する基材と、前記基材よりも薄くかつ凹凸を有する立体的な木目柄が形成された所定の炭素繊維複合材薄体と、で構成し、前記基材の一方面側に前記炭素繊維複合材薄体を積層固着(例えば、接着剤による接着)した成形建材を提供する。
【0009】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、基材の表面側に接着剤を塗布する工程と、前記塗布面に炭素繊維複合材薄体を積層載置し0.5キログラム/平方センチメートルから1.0キログラム/平方センチメートルの圧力を加えて圧着する工程と、によって前述した成形建材を製造する方法を提供する。
【0010】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、クッション性を有する弾性体と木型との間に炭素繊維複合材薄体を挟設する工程と、その後の加熱及び押圧する工程と、によって立体的な木目柄が形成された炭素繊維複合材薄体を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の木目柄成形建材は、炭素繊維複合材薄体の性質に由来する性能(傷に強い、腐食に強い、軽量、粘り、強度等)を発揮するとともに、凹凸を有する立体的な木目柄の意匠性も備えた優れた建材であるため、建築物の内装材をはじめ様々な箇所で利用可能である。
【0012】
本願発明の木目柄成形建材の製造方法は、所定の接着工程と所定の圧着工程と、により製造するため、基材から炭素繊維複合材薄体が分離され難い。
【0013】
本願発明の木目柄炭素繊維複合材薄体の製造方法は、所定の挟設工程とその後の加熱及び押圧工程と、により製造するため、木型の一方面にあらわれている凹凸と同じ凹凸を有する立体的な木目柄を当該炭素繊維複合材薄体上に形成させることができる。これにより、木目柄の視覚的な効果だけでなく、その触覚的な効果(手触り、質感など)も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は木目柄成形建材の構成を示す斜視図である。
図2図2は木目柄炭素繊維複合材薄体の製造方法を示す説明図である。
図3図3は木目柄成形建材の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
建築物の内装材として実施する。
【実施例1】
【0016】
まずは、木目柄成形建材の構成について、図1に従い説明する。
【0017】
木目柄成形建材(1)は、所定の厚みを有する基材(10)と、前記基材よりも薄くかつ僅かな凹凸を有する立体的な木目柄が形成された所定の炭素繊維複合材薄体(20)と、で構成する(図1)。
【0018】
前記基材(10)の表面側に前記炭素繊維複合材薄体(20)を積層して接着により固定している。
【0019】
前記基材(10)の材質について、本実施例では木材(合板)を使用しているが、建築物の内装材として利用される一般的なものを選択可能である。
【0020】
前記基材(10)の厚さについて、本実施例では9ミリメートルの木材(合板)を使用しているが、建築物の内装材として利用される一般的なものを選択可能である。
【0021】
前記炭素繊維複合材薄体(20)について、表面に熱プレスによって形成された僅かな凹凸を有する立体的な木目柄(21)を少なくとも備えている(図2)。
【0022】
次に、前記炭素繊維複合材薄体(20)又は木目柄成形建材(1)の製造方法について、図2及び図3に従い説明する。
【0023】
最下層のベース金型(31)の上にクッション性を有するフェルト(32)を敷き、その上に剥離フィルム(33)、炭素繊維複合材薄体(20)、剥離フィルムを積層載置し、さらにその上に木型(34)を積層載置する(図2)。
【0024】
前記木型(34)について、深い木目が入っているものが好ましい。例えば、桐などである。
【0025】
前記木型(34)の上にさらに剥離フィルム(33)、炭素繊維複合材薄体(20)、剥離フィルムを積層載置し、その上にクッション性を有するフェルト(32)を積層載置する(図2)。
【0026】
同様に積層していき、最上層のベース金型(31)で挟設する(図2の状態)。
【0027】
なお、図2は、最下層のベース金型(31)と最上層のベース金型(31)との間に、4体の炭素繊維複合材薄体(20)と、3体のクッション性を有するフェルト(32)と、2体の木型(34)等を挟設した一例である。
【0028】
前述のように積層挟設したものを真空熱プレス装置に投入し、真空状態で加熱温度170度、加圧設定3キログラム/平方センチメートルに設定し、当該真空熱プレス装置を作動する。
【0029】
前記真空プレス装置の作動時間は、3時間とした。
【0030】
前記真空プレス装置の内部に設けられた熱板が170度を超えてから10分後に、真空ポンプを止めて外気を入れる。
【0031】
前記熱板が170度を超えてから90分後に、加熱を停止する。
【0032】
前記熱板の温度が40度以下になるのを待って前記挟設したものを取り出す。
【0033】
硬化された炭素繊維複合材薄体のフェルト側面の剥離フィルム(33)を剥がす。
【0034】
また、基材(10)の表面側に合成ゴム系接着剤(11)を0.5ミリメートルから1.5ミリメートルの厚みに塗り、その上に前記炭素繊維複合材薄体(20)を積層載置し、0.5キログラム/平方センチメートルから1.0キログラム/平方センチメートルの圧力を加えながらローラーで圧着する(図3)。
【0035】
その後、乾燥させて前記接着剤(11)が硬化した後、外形形成し、表面(木型側面)の剥離フィルム(33)を剥がして木目柄成形建材が完成する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明の木目柄成形建材、木目柄炭素繊維複合材薄体は、炭素繊維複合材薄体の性質に由来する性能を発揮するとともに所定の木目柄による意匠性をも備えた優れた成形建材、炭素繊維複合材薄体であるので産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0037】
1 成形建材
10 基材
11 接着剤
20 炭素繊維複合材薄体
21 僅かな凹凸を有する立体的な木目柄
31 ベース金型
32 クッション性を有するフェルト(弾性体)
33 剥離フィルム
34 木型
図1
図2
図3