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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】フリーアクセスフロア
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/024 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
E04F15/024 601B
E04F15/024 603B
E04F15/024 601Z
E04F15/024 601H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018103465
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019206874
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005256
【氏名又は名称】株式会社アーレスティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】安田 尚利
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-306353(JP,A)
【文献】特開2007-113335(JP,A)
【文献】特開平3-36361(JP,A)
【文献】実開平3-15938(JP,U)
【文献】実開平2-144934(JP,U)
【文献】米国特許第8776452(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床に配置される複数の支持部材と、
複数の前記支持部材にそれぞれ載せられる複数の第1パネル及び第2パネルとを備え、
前記第1パネルは、平坦な上面を構成する板部と、
前記板部の下面から突出して互いに交差する複数のリブとを備え、
前記第2パネルは、前記板部および複数の前記リブを有するベースパネルと、
前記ベースパネルの全面の上に重ねられて床面を構成する厚さ5mm以上の補強板と、
前記ベースパネルに前記補強板を固定する固定部とを備え、
前記第1パネルの前記上面による床面までの前記基礎床からの高さと、前記第2パネルの前記補強板による床面までの前記基礎床からの高さとが同一であることを特徴とするフリーアクセスフロア。
【請求項2】
前記支持部材は、隣り合う前記第1パネル及び前記第2パネルが載せられる載置部を備え、
前記載置部は、前記第1パネルが載せられる部分の前記基礎床からの高さと、前記第2パネルが載せられる部分の前記基礎床からの高さとが同一であり、
前記ベースパネルのうち前記載置部に載せられる部分の厚さは、前記第1パネルのうち前記載置部に載せられる部分の厚さよりも前記補強板の厚さだけ小さいことを特徴とする請求項1記載のフリーアクセスフロア。
【請求項3】
前記ベースパネルは、前記第1パネルのうち前記載置部に載せられる部分を下方から前記補強板の厚さだけ除去したものであることを特徴とする請求項2記載のフリーアクセスフロア。
【請求項4】
前記載置部には、前記リブの一部が載せられ、
前記載置部に載せられる部分の前記第1パネルの前記リブの高さは、前記補強板の厚さ以上であることを特徴とする請求項3記載のフリーアクセスフロア。
【請求項5】
前記支持部材は、前記載置部から上方に突出して前記リブの間に配置される突出部を備え、
前記載置部に載せられる部分の前記第1パネルの前記リブの高さは、前記補強板の厚さと前記突出部の高さとの合計値以上であることを特徴とする請求項4記載のフリーアクセスフロア。
【請求項6】
前記固定部は、前記ベースパネル及び前記補強板を板厚方向に貫通する貫通孔に挿入されて、前記ベースパネル及び前記補強板を前記支持部材に固定する軸状の締結部材であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフリーアクセスフロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床の上に空間を設けて床面を形成するフリーアクセスフロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎床に配置した複数の支持部材の上に複数の床パネルを載せ、その床パネルで床面を形成することで、各種機器の電源コードや通信ケーブル等を収容する空間を床面と基礎床との間に設けるフリーアクセスフロアが知られている(特許文献1)。電算機などの機器を搭載したラックや製造装置などの重量物が床パネル上に置かれるので、床パネルの強度や剛性を高くする必要がある。特許文献1に開示されるフリーアクセスフロアの床パネルは、床面を構成する表板部の下面から複数のリブが突出したパネル本体部と、そのパネル本体部のリブの下端に接合される補強板とを備えている。この補強板により床パネルの強度および剛性を高くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-043448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、パネル本体部のみに比べて高強度化・高剛性化された床パネルは重いため、全てを高強度・高剛性の床パネルにすると、フリーアクセスフロアの施工時に床パネルを敷く作業者の負担が大きくなり好ましくない。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、床面の一部に高強度・高剛性のパネルを用いることができるフリーアクセスフロアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のフリーアクセスフロアは、基礎床に配置される複数の支持部材と、複数の前記支持部材にそれぞれ載せられる複数の第1パネル及び第2パネルとを備え、前記第1パネルは、平坦な上面を構成する板部と、前記板部の下面から突出して互いに交差する複数のリブとを備え、前記第2パネルは、前記板部および複数の前記リブを有するベースパネルと、前記ベースパネルの全面の上に重ねられて床面を構成する厚さ5mm以上の補強板と、前記ベースパネルに前記補強板を固定する固定部とを備え、前記第1パネルの前記上面による床面までの前記基礎床からの高さと、前記第2パネルの前記補強板による床面までの前記基礎床からの高さとが同一である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のフリーアクセスフロアによれば、第2パネルは、板部および複数のリブを有するベースパネルの全面の上に厚さ5mm以上の補強板が重ねられ、固定部により補強板がベースパネルに固定される。これにより、第2パネルの強度や剛性を高くできる。さらに、第1パネルの板部の上面による床面までの基礎床からの高さと、第2パネルの補強板による床面までの基礎床からの高さとが同一である。これにより、第1パネルと同様な構成のベースパネルに補強板を重ねて第2パネルを形成しても、第1パネルと第2パネルとの境界に段差を生じ難くできる。よって、第1パネルと第2パネルとの境界に段差を生じ難くしつつ、床面の一部に高強度・高剛性の第2パネルを用いることができる。
【0008】
請求項2記載のフリーアクセスフロアによれば、隣り合う第1パネル及び第2パネルが支持部材の載置部に載せられる。載置部は、第1パネルが載せられる部分の基礎床からの高さと、第2パネルが載せられる部分の基礎床からの高さとが同一である。そして、ベースパネルのうち載置部に載せられる部分の厚さは、第1パネルのうち載置部に載せられる部分の厚さよりも補強板の厚さだけ小さい。これにより、ベースパネルの上に補強板を重ねた第2パネルを載置部に載せ、その第2パネルと隣り合う第1パネルを同じ載置部に載せたとき、第1パネルの床面の高さと第2パネルの床面の高さとを簡単な構成で同一にできる。その結果、請求項1の効果に加え、第1パネルとの境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネルを容易に形成できる。
【0009】
請求項3記載のフリーアクセスフロアによれば、第1パネルのうち載置部に載せられる部分を下方から補強板の厚さだけ除去したものがベースパネルである。このように第1パネルへの僅かな加工によりベースパネルを形成しつつ、第2パネルの床面の高さと第1パネルの床面の高さとを容易に合わせることができる。その結果、請求項2の効果に加え、第1パネルとの境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネルをより容易に形成できる。
【0010】
請求項4記載のフリーアクセスフロアによれば、載置部に載せられる部分の第1パネルのリブの高さが補強板の厚さ以上である。そのため、載置部に載せられる部分の第1パネルのリブを補強板の厚さだけ除去することで、板部が載置部に干渉しないベースパネルを容易に形成できる。その結果、請求項3の効果に加え、第1パネルとの境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネルを更に容易に形成できる。
【0011】
請求項5記載のフリーアクセスフロアによれば、支持部材は、載置部から上方に突出してリブの間に配置される突出部を備える。載置部に載せられる部分の第1パネルのリブの高さは、補強板の厚さと突出部の高さとの合計値以上である。そのため、載置部に載せられる部分の第1パネルのリブを補強板の厚さだけ除去して板部の一部を除去せずに、板部が突出部に干渉しないベースパネルを容易に形成できる。その結果、請求項4の効果に加え、第1パネルとの境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネルをより一層容易に形成できる。
【0012】
請求項6記載のフリーアクセスフロアによれば、固定部は、ベースパネル及び補強板を板厚方向に貫通する貫通孔に挿入されて、ベースパネル及び補強板を支持部材に固定する軸状の締結部材である。この締結部材を外した状態では、ベースパネルと補強板とが固定されていないので、フリーアクセスフロアの施工時や解体時などベースパネルと補強板とを別々に取り扱うことができる。その結果、請求項1から5のいずれかの効果に加え、フリーアクセスフロアの施工時や解体時など、ベースパネルや補強板を持つ作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態におけるフリーアクセスフロアの斜視図である。
図2図1のII-II線におけるフリーアクセスフロアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2を参照して一実施の形態におけるフリーアクセスフロア1について説明する。図1はフリーアクセスフロア1の斜視図である。図2図1のII-II線におけるフリーアクセスフロア1の断面図である。理解を容易にするため図1では、複数の支持部材10のうち1つと、その1つの支持部材10に支持される計4枚の第1パネル20及び第2パネル25のうち1枚ずつとが図示されている。また図2では、支持部材10の断面図が省略されて支持部材10の正面図が図示されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、フリーアクセスフロア1は、基礎床(図示せず)に配置される複数の支持部材10と、複数の支持部材10により下方から支持されて床面4を構成する複数の第1パネル20及び第2パネル25とを備える。フリーアクセスフロア1は、床面4を構成する第1パネル20及び第2パネル25と基礎床との間に空間を形成するためのものである。この空間には、床面4に置いた各種機器の電源コードや通信ケーブル、空調配管などが収容される。
【0016】
支持部材10は、基礎床に固定される支持脚11と、支持脚11のおねじ12に螺合されるナット13と、ナット13上に載せられる筒体14と、筒体14の上端に連結される載置部15と、載置部15から上方に突出する突出部16とを備える。このような支持部材10は、計4枚の第1パネル20や第2パネル25の角が突き合わされる位置、即ち第1パネル20や第2パネル25の四隅に配置される。
【0017】
筒体14は、支持脚11の一部が挿入される部位であり、径方向の一部を止めねじ14aが貫通している。載置部15は、上面視が方形状の部位である。載置部15の上面による載置面15aには、計4枚の第1パネル20や第2パネル25の角が載せられる。載置面15aは、第1パネル20や第2パネル25それぞれが載せられる部分の基礎床からの高さH3が同一である。
【0018】
突出部16は、載置面15aの略四隅からそれぞれ上方に突出する上面視が略方形状の部位である。突出部16は、後述する第1パネル20及び第2パネル25のリブ22,28の間に配置されて、支持部材10に対して第1パネル20及び第2パネル25(リブ22,28)を位置決めする。
【0019】
載置部15及び突出部16には、上下に貫通する挿入孔17が形成されている。この挿入孔17には、第1パネル20及び第2パネル25を貫通したボルト18が挿入される。載置部15には、挿入孔17に挿入されたボルト18が螺合されるナット19が内部に配置されている。第1パネル20及び第2パネル25を貫通したボルト18がナット19に螺合されることによって、第1パネル20及び第2パネル25が載置部15に固定される。
【0020】
おねじ12に対してナット13を回すことで、ナット13の上下位置が調整される。これに伴い、ナット13上に載せられる筒体14の上下位置が調整され、筒体14に連結される載置部15の載置面15aの高さH3が調整される。これにより、載置面15aに載せられた第1パネル20及び第2パネル25の上下位置(基礎床から床面4までの高さH1,H2)が調整される。なお、ナット13の一部を径方向に貫通する止めねじ13aを支持脚11に突き当てることでナット13の回り止めがされ、筒体14の止めねじ14aを支持脚11に突き当てることで筒体14の回り止めがされる。
【0021】
第1パネル20は、方形状の平板からなる板部21と、板部21の下面から突出して互いに交差する複数のリブ22とを備える。この板部21及びリブ22は、ダイカストにより一体成形されるアルミニウム合金製の鋳造品である。このように、板部21にリブ22を設けることで、第1パネル20を軽量化しつつ第1パネル20の強度や剛性を確保できる。
【0022】
第1パネル20の板部21の上面は、平坦であり、第1パネル20の床面4を構成する。本実施の形態では、第1パネル20のリブ22の高さL1は全て同一である。リブ22の太さや間隔(数)は適宜設定され、リブ22が太く、リブ22の間隔が狭い(数が多い)程、第1パネル20の強度や剛性は高くなるが重くなる。また、板部21の板厚が大きい程、第1パネル20の強度や剛性は高くなるが重くなる。
【0023】
第1パネル20を載置面15aに載せるときには、第1パネル20の角のリブ22が載置面15aに載せられる。そして載置面15aに載せられた複数のリブ22の間に突出部16が配置されて、突出部16によってリブ22(第1パネル20)が位置決めされる。さらに、載置面15aに載せられたリブ22で囲まれた部分の板部21には、ボルト18の頭部が嵌まると共にボルト18の軸部が貫通する第1孔23が板厚方向に貫通形成されている。
【0024】
第2パネル25は、板部21及び複数のリブ22を有するベースパネル26と、ベースパネル26の全面の上に重ねられて床面4を構成する補強板27とを備える。ベースパネル26は、第1パネル20のうち載置面15aに載せられる部分(リブ22の下部)を下方から補強板27の厚さL2だけ切削加工や研削加工などにより除去したものである。以下の説明では、この一部が除去されたリブをリブ28として説明する。また図2には、この除去した部分の外形が二点鎖線で図示されている。
【0025】
補強板27は、厚さL2が5mm以上15mm以下の鋼板である。上面視において、ベースパネル26(板部21)の形状および寸法と、補強板27の形状および寸法とが同一である。補強板27の縁と板部21の縁とが平行になるように、補強板27がベースパネル26に重ねられる。即ち、ベースパネル26の縁から補強板27が張り出すことなく、ベースパネル26の全面に補強板27が重ねられる。
【0026】
板部21に重ねた補強板27には、板部21の第1孔23(貫通孔の一部)の直上に第2孔29(貫通孔の一部)が板厚方向に貫通形成されている。第2孔29は、ボルト18の頭部が嵌まると共にボルト18の軸部が貫通する孔である。この補強板27の第2孔29に挿入したボルト18を、ベースパネル26の第1孔23に挿入しつつ載置部15内のナット19に螺合させることで、補強板27及びベースパネル26が載置部15に固定される。この載置部15への固定に伴い、ボルト18(固定部)により補強板27がベースパネル26に固定される。
【0027】
以上のようなフリーアクセスフロア1によれば、第1パネル20と同様な構成のベースパネル26の板部21の全面の上に、厚さL2が5mm以上の鋼板である補強板27が重ねられ、ボルト18により補強板27がベースパネル26に固定されて第2パネル25が形成される。これにより、簡単な構成で第2パネル25の強度や剛性を高くできる。特に、第1パネル20の強度や剛性よりも、第2パネル25の強度や剛性が高く設定される。
【0028】
そのため、例えば四隅が支持部材10に支持された第2パネル25の中央を支持部材10で支持しなくても、補強板27によって第2パネル25を高強度・高剛性にできる。その結果、第2パネル25の中央に設けた支持部材10によって第2パネル25と基礎床との間の空間が狭くなることを防止できる。
【0029】
第1パネル20の配置箇所と、第1パネル20を流用して高強度化・高剛性化された第2パネル25の配置箇所とが、床面4に置かれる機器の重さや機器の有無に応じて分けられる。そして、隣り合う第1パネル20及び第2パネル25が1つの載置面15aに載せられると共に、第1パネル20及び第2パネル25それぞれが載せられる部分の載置面15aの高さH3が同じに設定されることで、支持部材10の構成が簡素化される。
【0030】
さらに、第2パネル25のベースパネル26のうち載置面15aに載せられる部分(板部21及びリブ28)の厚さL4は、第1パネル20のうち載置面15aに載せられる部分の厚さL5よりも補強板27の厚さL2だけ小さい。そのため、簡素化された1つの支持部材10の載置面15aに第1パネル20及び第2パネル25を載せることにより、第1パネル20の板部21の上面による床面4までの基礎床からの高さH1と、第2パネル25の補強板27による床面4までの基礎床からの高さH2とを同一にできる。これらの結果、第1パネル20との境界に段差を生じ難くしつつ、床面4の一部に高強度・高剛性の第2パネル25を用いることができる。
【0031】
なお、ベースパネル26に補強板27を重ねず、板部21の厚さやリブ22の太さを大きくしたり、リブ22の数を多くしたりすることで高強度化・高剛性化したベースパネル26を、第2パネル25の代わりに高強度パネルとして用いることが可能である。しかし、このような高強度パネルをダイカストにより一体成形するには、型締力が大きいダイカストマシンが必要になることがあり好ましくない。また、板部21の厚さやリブ22の太さを大きくしたり、リブ22の数を多くしたりすることで、高強度パネルが重くなるので、ダイカストによる成形後の後加工時やフリーアクセスフロア1の施工時や解体時に、高強度パネルを持つ作業者の負担が大きくなる。
【0032】
これに対して本実施の形態では、ダイカストにより一体成形されたベースパネル26の上に補強板27を重ねることで、高強度・高剛性の第2パネル25が形成されている。これにより、第2パネル25を高強度化・高剛性化するために、リブ22を増やす等してベースパネル26自体を高強度化・高剛性化する必要がないので、ベースパネル26を一体成形するダイカストマシンの型締力を比較的小さくできる。
【0033】
また、ベースパネル26及び補強板27がボルト18で載置部15に固定されるが、ボルト18を外した状態では、ベースパネル26と補強板27とが互いに固定されていない。そのため、フリーアクセスフロア1の施工時や解体時、ベースパネル26や補強板27への後加工時など、ベースパネル26と補強板27とを別々に取り扱うことができる。その結果、補強板27がベースパネル26に固定された第2パネル25を作業者が持つ場合に比べて、補強板27やベースパネル26を別々に持つ作業者への負担を軽減できる。
【0034】
さらに、ベースパネル26の縁から補強板27が張り出すことなく、ベースパネル26に補強板27が重ねられているので、1枚の補強板27が複数のベースパネル26を跨いで重なることを防止できる。これにより、1枚の第2パネル25のみを取り外し易くできるので、床下のコードやケーブル等の保守時や点検時に取り外す第2パネル25の数を少なくできる。
【0035】
ベースパネル26は、第1パネル20のうち載置面15aに載せられる部分を下方から補強板27の厚さL2だけ除去したものである。そのため、第1パネル20への僅かな加工によりベースパネル26を形成しつつ、第1パネル20の床面4の高さH1と第2パネル25の床面4の高さH2とを容易に合わせることができる。その結果、第1パネル20との境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネル25をより容易に形成できる。また、第1パネル20を流用してベースパネル26が形成されるので、ベースパネル26用の金型を不要にできる。
【0036】
なお、ベースパネル26に流用される第1パネル20は、第2パネル25に隣り合う第1パネル20と完全に同一である必要はない。ベースパネル26に加工する前の第1パネル20と、第2パネル25に隣り合う第1パネル20とは、上面視における外形形状や寸法が同一であり、載置面15aに載せられる部分の厚さL5が同一であれば良い。両者の素材やリブ22の位置、数、太さ等を適宜変更しても良い。
【0037】
載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22の高さL1は、補強板27の厚さL2以上である。ここで、厚さL2よりも高さL1が小さい場合には、載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22を全て除去すると共に、載置面15aに干渉する板部21の一部を除去する必要がある。これにより、第1パネル20の床面4の高さH1と第2パネル25の床面4の高さH2とを同一にするためのベースパネル26が第1パネル20から形成される。
【0038】
本実施の形態では、高さL1が厚さL2以上なので、載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22を補強板27の厚さL2だけ除去してリブ28を形成することで、板部21が載置面15aに干渉しないベースパネル26を容易に形成できる。その結果、第1パネル20との境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネル25を更に容易に形成できる。
【0039】
さらに、載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22の高さL1は、補強板27の厚さL2と突出部16の高さL3との合計値以上である。これにより、載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22を補強板27の厚さL2だけ除去してリブ28を形成し、板部21の一部を除去せずに、板部21が突出部16に干渉しないベースパネル26を容易に形成できる。その結果、第1パネル20との境界に段差を生じ難い高強度・高剛性の第2パネル25をより一層容易に形成できる。
【0040】
第1パネル20やベースパネル26がアルミニウム合金製であるのに対し、アルミニウム合金よりも硬い鋼から補強板27が構成されるので、補強板27によって第2パネル25の強度や剛性をより高くできる。また、補強板27の厚さL2が5mm以上なので、補強板27によって第2パネル25の強度や剛性を十分に高くできる。なお、補強板27の厚さL2は15mm以下であることが好ましい。これにより、補強板27が重くなり過ぎることを防止できるので、フリーアクセスフロア1の施工や解体などで補強板27を持つ作業者の負担を軽減できる。また、補強板27の厚さL2は10mm~15mmの間に設定されることがより好ましい。この場合には、フリーアクセスフロア1の施工や解体などで補強板27を持つ作業者の負担を軽減しつつ、補強板27によって第2パネル25の強度や剛性をより高くできる。
【0041】
第2パネル25の補強板27の床面4と、第1パネル20の板部21の床面4とに同様の表面加工(塗装や樹脂タイルの貼付など)をすることで、第2パネル25の床面4と第1パネル20の床面4との見栄えを同じにできる。また、第2パネル25の床面4と第1パネル20の床面4とで見た目などを変えることで、高強度・高剛性が要求される機器を置くことができる箇所を容易に判別できる。
【0042】
以上、上記一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、支持部材10や第1パネル20、第2パネル25の各部の形状や寸法を適宜変更しても良い。また、載置面15aに載せられる部分の第1パネル20のリブ22の高さL1と、載置面15aに載らない部分のリブ22の高さとを異ならせても良い。また、第1パネル20や第2パネル25(ベースパネル26及び補強板27)を板厚方向に貫通して、通気用や機器固定用の穴を設けても良い。
【0043】
上記形態では、第1パネル20及びベースパネル26がアルミニウム合金製であり、補強板27が鋼板である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1パネル20やベースパネル26をアルミニウム合金以外の金属製としたり、補強板27を鋼以外の金属製としたりしても良い。さらに、第1パネル20やベースパネル26、補強板27を合成樹脂や、金属と合成樹脂との複合材料から構成しても良い。また、補強板27を1枚の板材から構成する場合に限らず、複数枚の板材から補強板27を構成しても良い。この複数枚の板材の厚さの合計値が5mm以上であれば良い。複数枚の板材から補強板27を構成するので、施工時など補強板27を構成する各板材を別々に作業者に持たせて作業者の負担を軽減できる。
【0044】
また、第1パネル20及びベースパネル26がダイカストによる一体成形品である場合に限らず、第1パネル20及びベースパネル26の素材に応じて、その他の鋳造法や射出成形法、インサート成形法などを用いて、第1パネル20及びベースパネル26の一体成形品を製造しても良い。また、それぞれ成形された板部21とリブ22,28とを溶接やボルト等で接合しても良い。
【0045】
上記形態では、支持脚11に対するナット13の上下位置を調整することで、載置面15aの基礎床からの高さH3が調整される支持部材10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。支持部材10は、基礎床の上方で第1パネル20及び第2パネル25を支持できれば、その構成を適宜変更しても良い。例えば、支持脚11に載置部15を直接固定したり、筒体14や載置部15を基礎床に直接固定したりして、載置面15aの高さH3を調整不能な支持部材としても良い。また、基礎床の上に複数の梁を設け、その梁の上に支持脚11や筒体14、載置部15を固定しても良い。この場合には、その梁も支持部材の一部とする。
【0046】
上記形態では、計4枚の第1パネル20や第2パネル25の角が1つの載置面15aに載せられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。載置面15aの配置を適宜設定して、1つの載置面15aに計2枚の第1パネル20や第2パネル25を置いたり、1つの載置面15aに1枚の第1パネル20や第2パネル25のみを置いたりしても良い。
【0047】
上記形態では、ベースパネル26のうち載置面15aに載せられる部分の厚さL4を、第1パネル20のうち載置面15aに載せられる部分の厚さL5よりも補強板27の厚さL2だけ小さくする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1パネル20の床面4の高さH1と、第2パネル25の床面4の高さH2とが同一になれば、ベースパネル26の厚さL4と第1パネル20の厚さL5とを同一にしたり、厚さL4と厚さL5との差を厚さL2以外に設定しても良い。例えば、第1パネル20が載せられる部分の高さと、ベースパネル26が載せられる部分の高さとが異なるように1つの載置面に段差を設けて、第1パネル20の厚さL5と第2パネル25の厚さL4とを同じにしても良い。
【0048】
また、第1パネル20の厚さL5と第2パネル25の厚さL4とが同じになるように、第1パネル20と載置面15aとの間にスペーサを挟んでも良い。隣り合う第1パネル20と第2パネル25とをそれぞれ異なる支持部材10(載置面15a)で支持し、第1パネル20の床面4の高さH1と、第2パネル25の床面4の高さH2とが同じになるよう、支持部材10の載置面15aの高さをそれぞれ調整しても良い。
【0049】
上記形態では、補強板27の第2孔29とベースパネル26の第1孔23とに挿入したボルト18を載置部15内のナット19に螺合させることで、補強板27及びベースパネル26が互いに固定されると共に載置部15に固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。リベットや圧入ピンなど、ボルト18以外の軸状の締結部材を第1孔23及び第2孔29に挿入して、補強板27及びベースパネル26を載置部15に固定しても良い。また、補強板27及びベースパネル26を載置部15に固定する部材とは別に、補強板27をベースパネル26に固定する固定部を設けても良い。固定部としては、ボルト等の締結部材や接着剤、溶接や摩擦撹拌接合などによる接合部分が例示される。但し、施工時にベースパネル26及び補強板27を別々に作業者に持たせて作業者の負担を軽減するため、施工現場での固定が容易な締結部材や接着剤を固定部とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1 フリーアクセスフロア
10 支持部材
15 載置部
16 突出部
18 ボルト(固定部、締結部材)
20 第1パネル
21 板部
22,28 リブ
23 第1孔(貫通孔の一部)
25 第2パネル
26 ベースパネル
27 補強板
29 第2孔(貫通孔の一部)
図1
図2