IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通エレクトロニクス株式会社の特許一覧

特許7046723無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置
<>
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図1
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図2
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図3
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図4
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図5
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図6
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図7
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図8
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図9
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図10
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図11
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図12
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図13
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図14
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図15
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図16
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図17
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図18
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図19
  • 特許-無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20220328BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20220328BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220328BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20220328BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220328BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20220328BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q1/40
H01Q1/38
H01P11/00
H01L23/28 F
H01L23/00 C
H05K9/00 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018105114
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019212979
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000237606
【氏名又は名称】加賀FEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】三ケ田 仁
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-174532(JP,A)
【文献】特開2013-179152(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015863(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0152509(US,A1)
【文献】特開2017-227959(JP,A)
【文献】特開昭63-046803(JP,A)
【文献】特開2012-156657(JP,A)
【文献】特開2015-156632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
H01P 11/00
H01L 23/00-23/10
H01L 23/16-23/31
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、
前記第1面に設けられたアンテナと、
前記第2面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、
前記アンテナを封止するように前記第1面に設けられた発泡樹脂と、
前記電子回路を封止するように前記第2面に設けられ、前記基板の厚さ方向において前記アンテナに重なる領域に設けられておらず、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、
を備える無線モジュール。
【請求項2】
第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、
前記第1面に設けられたアンテナと、
前記第1面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、
前記アンテナを封止するように前記第1面に設けられた発泡樹脂と、
前記第1面に前記電子回路を封止しかつ前記発泡樹脂を覆うように設けられ前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、
を備え、
前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さは前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、
前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面は、前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置する無線モジュール
【請求項3】
第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、
前記第1面に設けられたアンテナと、
前記第1面および/または前記第2面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、
前記アンテナを封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なるように前記基板の前記第1面および前記第2面に設けられた発泡樹脂と、
前記電子回路を封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重ならないように前記基板の前記第1面および前記第2面に設けられ、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、
を備える無線モジュール。
【請求項4】
第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有し、平面形状が矩形の基板と、
前記第1面における前記矩形の第1辺側に設けられたアンテナと、
前記第1面および/または前記第2面における前記第1辺に対向する第2辺側に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、
前記アンテナを封止し、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域まで設けられ、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記基板の厚さ方向において前記電子回路と重なる領域に設けられていない発泡樹脂と、
を備える無線モジュール。
【請求項5】
前記電子回路を封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域には設けられておらず、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂を備える請求項4に記載の無線モジュール。
【請求項6】
前記封止樹脂を覆い、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重ならないシールド層を備える請求項1から3および5のいずれか一項に記載の無線モジュール。
【請求項7】
上面に電子部品が搭載された実装基板と、
前記実装基板の上面に搭載され、基板と、前記基板の上面に設けられたアンテナと、前記基板の上面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止し、前記電子回路を覆わない発泡樹脂と、を備える無線モジュールと、
前記電子部品および前記電子回路を一体に封止する封止樹脂と、
を備え
前記封止樹脂と前記電子回路の間には他の樹脂は設けられておらず、
前記発泡樹脂は前記封止樹脂から露出する電子装置。
【請求項8】
アンテナと、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力するための電子回路と、が上面に設けられた基板の前記上面に、前記アンテナを封止し、前記電子回路を覆わない発泡樹脂を形成する工程と、
前記基板の上面に前記発泡樹脂と前記電子回路を封止するように封止樹脂を形成する工程と、
前記電子回路上の前記封止樹脂を除去せずに、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程と、
を含み
前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程は、前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さを前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面を前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置させる工程を含む無線モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記基板を切断する領域の前記封止樹脂に前記基板の上面まで達する第1溝と、
前記発泡樹脂と前記電子回路との間の前記封止樹脂に前記基板の上面まで到達しない第2溝を形成する工程と、
前記第1溝および前記第2溝の内面および前記封止樹脂の上面にシールド層を形成する工程と、
を含み、
前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程は、前記発泡樹脂上のシールド層と前記第1溝と前記第2溝との間の前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程を含む請求項に記載の無線モジュールの製造方法。
【請求項10】
基板の平面形状が矩形であり、アンテナが第1面における前記矩形の第1辺側に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力するための電子回路が前記第1面および/または前記第1面の反対の面である第2面における前記第1辺に対向する第2辺側に設けられた前記基板の前記第1面および/または前記第2面に、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域に形成されないように前記電子回路を封止する封止樹脂を形成する工程と、
前記アンテナを封止し、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記基板の厚さ方向において前記電子回路と重なる領域に発泡樹脂を形成せず、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域まで前記発泡樹脂を形成する工程と、
を含む無線モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記発泡樹脂を形成する工程は、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域までを、溶融した発泡樹脂に浸漬させる工程を含む請求項10に記載の無線モジュールの製造方法。
【請求項12】
平面形状が矩形の基板と、
前記基板の前記矩形の第1辺側に設けられた導電パターンを有するアンテナと、
前記基板の前記第1辺に対向する第2辺側に設けられた電子回路と、
前記アンテナを封止する発泡樹脂と、
前記電子回路の少なくとも一部を封止し前記発泡樹脂を覆うように設けられ、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、
前記発泡樹脂の設けられた領域から離れた位置においてグランド配線またはグランド電極と電気的に接続され、前記封止樹脂を覆うシールドと、
を備え
前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さは前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、
前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面は、前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置する無線モジュール。
【請求項13】
前記グランド配線または前記グランド電極は前記基板の内部および/または表面に設けられる請求項12に記載の無線モジュール。
【請求項14】
前記シールドと前記グランド配線または前記グランド電極は、前記基板の前記第2辺側の側面において接続する請求項12または13に記載の無線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置に関し、例えばアンテナを有する無線モジュールおよびその製造方法並びに電子装置である。
【背景技術】
【0002】
基板の表面にアンテナを有し、基板に送信および受信用の電子回路が搭載された無線モジュールが知られている。アンテナと電子回路とを樹脂を用い封止することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-179821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンテナを覆うように樹脂が設けられると、アンテナのインピーダンスが変化し、アンテナの特性が変化してしまう。アンテナを覆う樹脂を設けないことも考えられる。しかし、樹脂を設けないと、アンテナを保護することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、アンテナ特性の変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、前記第1面に設けられたアンテナと、前記第2面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止するように前記第1面に設けられた発泡樹脂と、前記電子回路を封止するように前記第2面に設けられ、前記基板の厚さ方向において前記アンテナに重なる領域に設けられておらず、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、を備える無線モジュールである。
【0007】
本発明は、第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、前記第1面に設けられたアンテナと、前記第1面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止するように前記第1面に設けられた発泡樹脂と、前記第1面に前記電子回路を封止しかつ前記発泡樹脂を覆うように設けられ前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さは前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面は、前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置する無線モジュールである
【0008】
本発明は、第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有する基板と、前記第1面に設けられたアンテナと、前記第1面および/または前記第2面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なるように前記基板の前記第1面および前記第2面に設けられた発泡樹脂と、前記電子回路を封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重ならないように前記基板の前記第1面および前記第2面に設けられ、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、を備える無線モジュールである
【0009】
本発明は、第1面および前記第1面の反対の面である第2面を有し、平面形状が矩形の基板と、前記第1面における前記矩形の第1辺側に設けられたアンテナと、前記第1面および/または前記第2面における前記第1辺に対向する第2辺側に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止し、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域まで設けられ、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記基板の厚さ方向において前記電子回路と重なる領域に設けられていない発泡樹脂と、を備える無線モジュールである
【0010】
上記構成において、記電子回路を封止し、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域には設けられておらず、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂を備える構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記封止樹脂を覆い、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重ならないシールド層を備える構成とすることができる。
【0012】
本発明は、上面に電子部品が搭載された実装基板と、前記実装基板の上面に搭載され、基板と、前記基板の上面に設けられたアンテナと、前記基板の上面に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力する電子回路と、前記アンテナを封止し、前記電子回路を覆わない発泡樹脂と、を備える無線モジュールと、前記電子部品および前記電子回路を一体に封止する封止樹脂と、備え、前記封止樹脂と前記電子回路の間には他の樹脂は設けられておらず、前記発泡樹脂は前記封止樹脂から露出する電子装置である
【0013】
本発明は、アンテナと、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力するための電子回路と、が上面に設けられた基板の前記上面に、前記アンテナを封止し、前記電子回路を覆わない発泡樹脂を形成する工程と、前記基板の上面に前記発泡樹脂と前記電子回路を封止するように封止樹脂を形成する工程と、前記電子回路上の前記封止樹脂を除去せずに、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程と、を含み、前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程は、前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さを前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面を前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置させる工程を含む無線モジュールの製造方法である
【0014】
上記構成において、前記基板を切断する領域の前記封止樹脂に前記基板の上面まで達する第1溝と、前記発泡樹脂と前記電子回路との間の前記封止樹脂に前記基板の上面まで到達しない第2溝を形成する工程と、前記第1溝および前記第2溝の内面および前記封止樹脂の上面にシールド層を形成する工程と、を含み、前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程は、前記発泡樹脂上のシールド層と前記第1溝と前記第2溝との間の前記封止樹脂の少なくとも上部を除去する工程を含む構成とすることができる。
【0015】
本発明は、基板の平面形状が矩形であり、アンテナが第1面における前記矩形の第1辺側に設けられ、前記アンテナに高周波信号を出力および/または前記アンテナから高周波信号が入力するための電子回路が前記第1面および/または前記第1面の反対の面である第2面における前記第1辺に対向する第2辺側に設けられた前記基板の前記第1面および/または前記第2面に、前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域に形成されないように前記電子回路を封止する封止樹脂を形成する工程と、前記アンテナを封止し、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記基板の厚さ方向において前記電子回路と重なる領域に発泡樹脂を形成せず、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域まで前記発泡樹脂を形成する工程と、を含む無線モジュールの製造方法である。
【0017】
上記構成において、前記発泡樹脂を形成する工程は、前記基板の前記第1面および前記第2面における前記第1辺から前記基板の厚さ方向において前記アンテナと重なる領域までを、溶融した発泡樹脂に浸漬させる工程を含む構成とすることができる。
【0019】
本発明は、平面形状が矩形の基板と、前記基板の前記矩形の第1辺側に設けられた導電パターンを有するアンテナと、前記基板の前記第1辺に対向する第2辺側に設けられた電子回路と、前記アンテナを封止する発泡樹脂と、前記電子回路の少なくとも一部を封止し前記発泡樹脂を覆うように設けられ、前記発泡樹脂より密度の高い封止樹脂と、前記発泡樹脂の設けられた領域から離れた位置においてグランド配線またはグランド電極と電気的に接続され、前記封止樹脂を覆うシールドと、を備え、前記封止樹脂の前記発泡樹脂上の厚さは前記封止樹脂の前記電子回路上の厚さより小さく、前記発泡樹脂上の前記封止樹脂の上面は、前記電子部品上の前記封止樹脂の上面より前記基板側に位置する無線モジュールである。
【0020】
上記構成において、前記グランド配線または前記グランド電極は前記基板の内部およびまたは表面に設けられる構成とすることができる。
【0021】
上記構成において、前記シールドと前記グランド配線または前記グランド電極は、前記基板の前記第2辺側の側面において接続する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アンテナ特性の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1(a)は、実施例1に係る無線モジュールの平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。
図2図2(a)から図2(c)は、実施例1の変形例1から3に係る無線モジュールの断面図である。
図3図3(a)から図3(d)は、実施例1の変形例4から7に係る無線モジュールの断面図である。
図4図4(a)は、実施例2に係る電子装置の製造方法を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図である。
図5図5(a)は、実施例2に係る電子装置の平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A断面図である。
図6図6(a)は、実施例2の変形例1に係る電子装置の平面図、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。
図7図7(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のA-A断面図である。
図8図8(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図である。
図9図9(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のA-A断面図である。
図10図10(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図10(b)は、図10(a)のA-A断面図である。
図11図11(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図11(b)は、図11(a)のA-A断面図である。
図12図12(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図12(b)は、図12(a)のA-A断面図である。
図13図13(a)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図13(b)は、図13(a)のA-A断面図である。
図14図14(a)は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図14(b)は、図14(a)のA-A断面図である。
図15図15(a)は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図15(b)は、図15(a)のA-A断面図である。
図16図16(a)は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図16(b)は、図16(a)のA-A断面図である。
図17図17(a)は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図17(b)は、図17(a)のA-A断面図である。
図18図18(a)は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す平面図、図18(b)は、図18(a)のA-A断面図である。
図19図19は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す断面図である。
図20図20(a)および図20(b)は、実施例5およびその変形例1に係る無線モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1(a)は、実施例1に係る無線モジュールの平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。図1(a)では発泡樹脂の図示を省略している。図1(a)および図1(b)に示すように、基板10の上面にアンテナ12が形成されている。基板10の上面に電子回路14が搭載されている。基板10の上面にアンテナ12および電子回路14を覆うように発泡樹脂16が設けられている。
【0026】
基板10は、例えば絶縁層が積層された多層基板である。絶縁層としては、例えばエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂層または焼結セラミック等のセラミック層である。樹脂層には強化用の繊維またはフィラーが含まれていてもよい。基板10の厚さT1は例えば0.1mmから1mmである。アンテナ12は、例えば銅、金、銀またはアルミニウム等の導電層により形成されたアンテナパターンである。アンテナ12の平面形状はミアンダ状である。アンテナ12は例えばパッチアンテナでもよい。配線13は、アンテナ12と同じ導電膜から形成され、アンテナ12の本体部分と電子回路14とを電気的に接続する。
【0027】
電子回路14は、例えば、電子回路が半導体基板に形成され樹脂封止された集積回路等の電子部品である。電子回路14は、例えば送信回路、受信回路、電源回路およびインターフェース回路を含む。送信回路は、アンテナ12が出力する高周波信号をアンテナ12に出力する。受信回路は、アンテナ12に入力した高周波信号をアンテナ12から受ける。電源回路は、送信回路、受信回路およびインターフェース回路に電源電圧を供給する。インターフェース回路は、送信回路に入力する信号および受信回路から出力する信号を外部に入出力する回路である。アンテナ12が送受信する電波の周波数は、例えば0.8GHzから5GHzである。例えば無線モジュールは、周波数が2.4GHzのBluetooth(登録商標)モジュールである。
【0028】
発泡樹脂16で覆われた電子回路14は、基板10に搭載された電子回路14を構成する部品と、これら部品を覆うように設けられた金属シールドケースとを有してもよい。また、電子回路14は、電子回路14を構成する部品と、部品を封止する樹脂とを有するモジュールでもよい。さらに、電子回路14は、MCP(Multi Chips Package)等のパッケージとして樹脂に封止されていてもよい。封止する樹脂の表面に、スパッタリング法またはメッキ法等を用い、金属被膜が形成されていてもよい。発泡樹脂16は、泡状の空隙が存在するため、耐環境の意味では、トランスファーモールドのパッケージ、真空印刷のパッケージよりもやや劣る。そのため、電子回路14は、金属ケースまたは金属被膜で覆われ、その周りを発泡樹脂で覆うことで、耐環境性を向上させることができる。
【0029】
発泡樹脂16は、合成樹脂中に気体が分散された樹脂である。発泡樹脂全体の体積に占める気体の体積は例えば90%以上である。合成樹脂としては例えばポリウレタン、ポリスチレンまたはポリオレフィン等である。発泡樹脂16の厚さT2は例えば0.1mmから1mmである。厚さT2は、例えば基板10の厚さT1より大きい。また、発泡樹脂には、気泡の構造により、連続気泡構造(または連泡構造という)と独立気泡構造(または単泡構造という)の二つの構造がある。発泡樹脂16にはいずれの構造を用いてもよいが、耐環境性の観点から単泡構造が好ましい。また連泡構造と単包構造との混在であれば、単泡が連泡よりも多く存在していることが好ましい。以下の実施例でも同様である。
【0030】
[実施例1の変形例1]
図2(a)から図2(c)は、実施例1の変形例1から3に係る無線モジュールの断面図である。図2(a)に示すように、実施例1の変形例1の無線モジュールでは、発泡樹脂16はアンテナ12上に設けられ電子回路14上には設けられていない。このように、発泡樹脂16は電子回路14を覆わなくてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0031】
実施例1のように、発泡樹脂16はアンテナ12および電子回路14を封止してもよい。また、実施例1の変形例1のように、発泡樹脂16は、アンテナ12を封止し電子回路14を封止しなくてもよい。
【0032】
[実施例1の変形例2]
図2(b)に示すように、実施例1の変形例2の無線モジュールでは、基板10の上面に電子回路14が設けられ、基板10の上面に電子回路14を封止する封止樹脂18が設けられている。封止樹脂18は、発泡樹脂ではなく、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。封止樹脂18の密度は、発泡樹脂16より高い。封止樹脂18の厚さT3は例えば発泡樹脂16の厚さT2とほぼ同じである。その他の構成は実施例1の変形例1と同じであり説明を省略する。
【0033】
[実施例1の変形例3]
図2(c)に示すように、実施例1の変形例3の無線モジュールでは、基板10の下面に基板10の厚さ方向においてアンテナ12に重なるように発泡樹脂16が設けられている。基板10の下面に基板10の厚さ方向において電子回路14に重なるように封止樹脂18が設けられている。その他の構成は実施例1の変形例2と同じであり説明を省略する。図2(a)から図2(c)において、電子回路14は、金属シールドケースで密封されていてもよい。電子回路14は、樹脂パッケージ(例えばMCP)で封止され、樹脂表面に金属被覆が設けられた構造でもよい。このように、電子回路14は、シールド構造が設けられてもよい。
【0034】
[実施例1の変形例4]
図3(a)から図3(d)は、実施例1の変形例4から7に係る無線モジュールの断面図である。図3(a)に示すように、実施例1の変形例4の無線モジュールでは、アンテナ12および電子回路14は基板10の上面に設けられている。アンテナ12を封止するように発泡樹脂16が設けられ、電子回路14を封止するように封止樹脂18が設けられている。発泡樹脂16の厚さT2は封止樹脂18の厚さT3より小さい。封止樹脂18の表面にシールド層20が設けられている。シールド層20は、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはニッケル等を主材料とする導電層である。または、シールド層20は、これら金属の中から選択された複数の積層膜で構成してもよい。さらに、シールド層20は、Cu膜およびステンレス鋼膜の積層膜でもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0035】
実施例1の変形例4のように、封止樹脂18は電子回路14を封止し、封止樹脂18はシールド層20で覆われていてもよい。これにより、電子回路14から発生するEMI(Electric Magnetic Interference)を抑制できる。発泡樹脂16は封止樹脂18から露出し、発泡樹脂16上にシールド層20は設けられていない。これにより、アンテナ12が送受信する電波が封止樹脂18およびシールド層20により減衰することを抑制できる。アンテナ12周辺の発泡樹脂16の厚さT2は電子回路14周辺の封止樹脂18の厚さT3より小さい。
【0036】
[実施例1の変形例5]
図3(b)に示すように、実施例1の変形例5の無線モジュールでは、アンテナ12上の発泡樹脂16上に封止樹脂18が設けられている。その他の構成は実施例1の変形例4と同じであり説明を省略する。
【0037】
発泡樹脂16上に封止樹脂18が設けられていることで、実施例1の変形例4に比べアンテナ12を水分および機械的衝撃からより保護することができる。発泡樹脂16上の封止樹脂18の厚さT4は電子回路14上の封止樹脂18の厚さT5より小さい。
【0038】
[実施例1の変形例6]
図3(c)に示すように、実施例1の変形例6の無線モジュールでは、アンテナ12は基板10の下面に設けられている。基板10の下面にアンテナ12を封止するように発泡樹脂16が設けられている。電子回路14は基板10の上面に設けられている。基板10の上面に電子回路14を封止するように封止樹脂18が設けられている。封止樹脂18は、アンテナ12と重なるように設けられていない。発泡樹脂16の厚さT2は、封止樹脂18の厚さT3より小さい。封止樹脂18の表面にシールド層20が設けられている。その他の構成は実施例1の変形例2と同じであり説明を省略する。
【0039】
[実施例1の変形例7]
図3(d)に示すように、実施例1の変形例7の無線モジュールでは、発泡樹脂16は、平面視においてアンテナ12と重なるように、基板10の上面および下面に設けられている。その他の構成は実施例1の変形例6と同じであり説明を省略する。この場合、図19で後述するように、アンテナ12が設けられた基板10を溶融した発泡樹脂の中に浸漬することで発泡樹脂16を容易に形成が可能である。
【0040】
実施例1の変形例6および7のように、アンテナ12は電子回路14とは反対の面に設けられていてもよい。封止樹脂18は、平面視においてアンテナ12と重ならないことが好ましい。
【0041】
実施例1およびその変形例によれば、アンテナ12は、基板10の第1面に設けられている。アンテナ12が設けられる第1面は、実施例1およびその変形例1から5では基板10の上面であり、実施例1の変形例6および7では基板10の下面である。電子回路14は、基板10のアンテナ12が設けられた第1面または第1面の反対の面である第2面に設けられている。電子回路14は、実施例1およびその変形例1から5ではアンテナ12が設けられた第1面に搭載され、実施例1の変形例6および7ではアンテナ12が設けられた第1面と反対の第2面に搭載される。電子回路14は、第1面および第2面の両方に設けられていてもよい。
【0042】
電子回路14は、基板10の厚さ方向においてアンテナ12と重ならないように設けられ、アンテナ12に高周波信号を出力および/またはアンテナ12から高周波信号が入力する。発泡樹脂16は、アンテナ12を封止するように基板10の少なくとも第1面に設けられている。
【0043】
発泡樹脂16はほとんどが気体であるため、アンテナ12が送受信する電波が減衰しない。また、発泡樹脂16の比誘電率は、封止樹脂18の比誘電率よりも空気の比誘電率に近い。このため、発泡樹脂16を形成する前後におけるアンテナ12のインピーダンス等の特性の変化はほとんどない。これにより、封止樹脂18等によるアンテナ特性の変化を抑制できる。
【0044】
実施例1の変形例1から7のように、発泡樹脂16は電子回路14を覆わなくてもよい。これにより、実施例1の変形例2から7のように、封止樹脂18を、基板10の上面(第1面および第2面のうち電子回路14設けられた面)に電子回路14を覆うように設けることができる。封止樹脂18は発泡樹脂でなく、その密度は発泡樹脂16より高いため、封止樹脂18は、電子回路14をより保護することができる。封止樹脂18の密度は例えば発泡樹脂16の5倍以上であり、好ましくは10倍以上である。
【0045】
実施例1の変形例2-4、6および7のように、封止樹脂18は、基板10の厚さ方向においてアンテナ12と重ならない。これにより、アンテナ12が送受信する電波の減衰を抑制できる。また、アンテナ特性の変化をより抑制できる。
【0046】
実施例1の変形例5のように、封止樹脂18は発泡樹脂16を覆うように設けられていてもよい。アンテナ12は発泡樹脂16により覆われているため、発泡樹脂16の上に封止樹脂18が設けられてもアンテナ特性の変化は小さい。封止樹脂18が発泡樹脂16を封止するため、発泡樹脂16を機械的に保護できる。また、アンテナ12を水分等から保護できる。
【0047】
また、封止樹脂18の発泡樹脂16上の厚さT4を封止樹脂18の電子回路上の厚さT5より小さくする。これにより、封止樹脂18によるアンテナ特性の変化をより小さくできる。
【0048】
実施例1の変形例4から7のように、シールド層20は、封止樹脂18を覆うように設けられ、基板10の厚さ方向においてアンテナ12と重ならない。これにより、電子回路14からのEMIを抑制することができる。
【0049】
実施例1のように、発泡樹脂16は電子回路14を封止する。これにより、電子回路14を保護することができる。
【0050】
実施例1の変形例3および7のように、発泡樹脂16は、基板10の厚さ方向においてアンテナ12と重なるように基板10のアンテナ12が設けられた面と反対の面(第2面)に設けられている。
【0051】
封止樹脂等がアンテナ12と重なるようにアンテナ12が設けられた面と反対の面に設けられると、アンテナ12のインピーダンス等が変化する。実施例1の変形例3および7によれば、発泡樹脂16は、基板10の厚さ方向においてアンテナ12と重なるように基板10の上面および下面(第1面および第2面)に設けられている。これにより、アンテナ特性の変化を抑制できる。実施例1の変形例4から7において、電子回路14を発泡樹脂16で覆い、さらにその周りを封止樹脂18で覆ってもよい。
【実施例2】
【0052】
実施例2は、無線モジュールを実装した電子装置の例である。図4(a)は、実施例2に係る電子装置の製造方法を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図である。以降の図ではアンテナ12に平面形状を矩形に簡略化して図示する。図4(a)および図4(b)に示すように、実施例2の電子装置では、実施例1の変形例1の無線モジュールをマザーボード等の実装基板50の上面に実装する。実装基板50は、例えば樹脂層またはセラミック層等の絶縁層が積層された積層基板である。実装基板50の上面には、電子部品54等が実装されている。アンテナ12以外の電子部品54および電子回路14は封止樹脂18で封止されていない。電子部品54および電子回路14は、トランスファーモールドで封止された一般のパッケージ品でもよい。電子部品54および電子回路14は、実装基板50および/または基板10上に実装されたベアチップおよび/またはCSP(Chip Size Package)であり、ベアチップおよび/またはCSPを封止するように実装基板50および/または基板10上にポッティング法で樹脂封止されていてもよい。
【0053】
図5(a)は、実施例2に係る電子装置の平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A断面図である。実装基板50の上面にポッティング法またはトランスファーモールド法等を用い封止樹脂52を形成する。これにより、電子部品54および電子回路14は封止樹脂52により封止される。封止樹脂52は、発泡樹脂ではなく、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。封止樹脂52の密度は発泡樹脂16より高い。
【0054】
封止樹脂52を形成するときに、アンテナ12は発泡樹脂16に覆われているため、アンテナ12が直接封止樹脂52で覆われることがない。これにより、無線モジュールを実装後にアンテナ12のアンテナ特性が変化することを抑制できる。実施例1のように、電子回路14が発泡樹脂16により封止されていると、電子回路14の機械的衝撃および/または水分等からの保護が十分ではない。実施例2では、電子部品54および電子回路14は封止樹脂52に封止されるため、電子部品54および電子回路14を機械的衝撃および/または水分等から保護することができる。
【0055】
実施例1の変形例1のように、発泡樹脂16は電子回路14を覆わない。このモールド構造により、実施例2のように、電子装置に無線モジュールを実装したときに電子回路14および/または電子部品54を封止樹脂52により封止することができる。
【0056】
また、実施例2の電子部品では、実施例1の変形例1の無線モジュールの基板10の下面は実装基板50の上面に対向するように、実装基板50の上面に無線モジュールが搭載されている。封止樹脂52は、実装基板50の上面に搭載された電子部品54と電子回路14とを一体に封止する。つまり、電子部品54と電子回路14とは同じ封止樹脂52に封止されている。これにより、アンテナ12のアンテナ特性が変化することを抑制し、かつ電子部品54および電子回路14を保護することができる。
[実施例2の変形例1]
【0057】
図6(a)は、実施例2の変形例1に係る電子装置の平面図、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、実施例2の変形例1の電子装置では、発泡樹脂56は、実装基板50の上面および下面のアンテナ12に重なる領域に設けられている。封止樹脂52は、実装基板50の上面および下面の発泡樹脂56以外の領域に設けられている。発泡樹脂56の材料等は発泡樹脂16と同じである。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0058】
アンテナ12に重なる実装基板50の上面および下面に封止樹脂52が形成されると、アンテナ12のアンテナ特性が変化してしまう。そこで、実施例2の変形例1のように、実装基板50の上面および下面に発泡樹脂56を設ける。これにより、アンテナ12のアンテナ特性の変化をより抑制できる。
【実施例3】
【0059】
実施例3は、実施例1の変形例4の製造方法の例である。図7(a)から図13(b)は、実施例3に係る無線モジュールの製造方法を示す図である。図7(a)から図13(a)は平面図であり、図7(b)から図13(b)は、対応する平面図におけるA-A断面図である。
【0060】
図7(a)および図7(b)に示すように、1つの製品となる1つのユニット60が、切断線30で囲まれた矩形で示されている。ユニット60がマトリックス状(図7(a)では2×2)に並べられた集合基板を用意する。この集合基板は、図において、基板10に相当する。それぞれのユニット60には、銅等の金属膜からなる導電パターンが形成されている。この導電パターンは、配線、電極および/またはランドなどを形成する。ここでは、導電パターンをまとめて、配線と仮称して説明する。この基板10の上面には、複数のアンテナ12が形成されている。アンテナ12は、基板10に形成する配線と同一工程で形成され、配線と同一材料で形成されている。また、配線とは別にスクリーン印刷法またはめっき法を用い形成してもよい。
【0061】
基板10の表面および内部において、アンテナ12の配置領域と隣接し電子回路用の配線または電極(不図示)が設けられている。配線または電極のうちグランド配線11(またはグランド電極)はグランド電位が供給される配線または電極である。基板10の上面に複数の電子回路14を搭載する。電子回路14は、例えばバッケージングされた電子部品であり半田等を用い基板10の上面に搭載され、基板10の表面および内部に設けられた配線または電極と電気的に接続される。切断線30は、その後に基板10等が切断される仮想の線である。図7(a)および図7(b)では、1つの基板10に2×2の4個の無線モジュールを作製する例を説明するが、1つの基板10に任意の個数の無線モジュールを作製することができる。
【0062】
図8(a)および図8(b)に示すように、基板10の上面に複数のアンテナ12を覆うように発泡樹脂16を形成する。発泡樹脂16の形成は例えばポッティング法またはスクリーン印刷法を用いる。発泡樹脂16は、可能な限りアンテナ12を完全に覆うことが好ましい。図1(a)のように、アンテナ12の配置領域から電子回路14の配置領域に渡る境界領域において、アンテナ12と一体に形成された配線13が電子回路14側へ延在される。配線13は、アンテナ12の一部でもある。配線13は電子回路14と接続されており、配線13の少なくとも電子回路14側は発泡樹脂16で覆うことができない。よって、発泡樹脂16は、アンテナ12とする全てのパターンを覆うことはできない場合もある。
【0063】
図9(a)および図9(b)に示すように、基板10の上面に、複数の発泡樹脂16および複数の電子回路14を覆うように封止樹脂18を形成する。封止樹脂18は、例えばトランスファーモールド法または真空印刷法を用いる。トランスファーモールド法を用いる場合、封止樹脂18が潰れないような圧力を用いる。
【0064】
図10(a)および図10(b)に示すように、切断線30に沿って封止樹脂18を貫通する溝32を形成する。基板10に内部のグランド配線11を露出させる場合には、溝32はグランド配線11に達するように形成する。発泡樹脂16と電子回路14との間において封止樹脂18の少なくとも上部に溝34を形成する。溝34により基板10の表面および内部の配線が切断しないように、溝34は基板10に達しないように形成する。溝32および34の形成には、例えばダイシングブレードまたはレーザ光を用いる。
【0065】
図10(b)では、グランド配線11(またはグランド電極)は、基板10の周囲の内層に位置しているが、基板10の周囲の上面に位置していてもよい。溝32は、グランド配線11(またはグランド電極)が切削される深さで形成される。グランド配線11の下に基板10の少なくとも一部を残存させる。
【0066】
図11(a)および図11(b)に示すように、溝32および34を埋め込むように封止樹脂18の表面にシールド層20を形成する。シールド層20の形成には、例えば真空印刷法、めっき法またはスパッタリング法を用いる。真空印刷法を用いる場合、銀ペースト等の金属ペーストを印刷する。めっき法またはスパッタリング法を用いる場合、金膜、ニッケル膜または銅膜等の金属膜を主材料としたシールド層20として形成する。シード層を形成し、その後めっき膜をめっき法により形成してもよい。シールド層20をスパッタリング法を用いて形成する場合、例えば、シールド層20としてCu膜およびステンレス鋼膜を順に積層してもよい。
【0067】
図12(a)および図12(b)に示すように、溝32と34との間のシールド層20および封止樹脂18を除去する。これにより、溝32と34との間に凹部36が形成される。シールド層20および封止樹脂18の除去には、切削法またはレーザ光を照射する方法により行う。これにより、封止樹脂18が露出する。実施例1の変形例5の無線モジュールを製造する場合には、発泡樹脂16上の封止樹脂18の上部を除去し、封止樹脂18の下部を残存させればよい。
【0068】
図13(a)および図13(b)に示すように、切断線30において、シールド層20および基板10に切断溝38を形成する。これにより、シールド層20および基板10が切断される。切断には、ダイシングブレードを用いたダイシング法またはレーザ光を照射するレーザダイシング法を用いる。これにより、基板10が個片化され、実施例1の変形例4に係る無線モジュールが製造される。
【0069】
実施例3によれば、図8(a)および図8(b)のように、基板10の上面に、アンテナ12を封止し、電子回路14を覆わない発泡樹脂16を形成する。図9(a)および図9(b)のように、基板10の上面に、発泡樹脂16と電子回路14を封止するように封止樹脂18を形成する。図12(a)および図12(b)のように、電子回路14上の封止樹脂18を除去せずに、発泡樹脂16上の封止樹脂18の少なくとも上部を除去する。
【0070】
これにより、発泡樹脂16がアンテナ12を封止し、封止樹脂18が電子回路14を封止し、かつ発泡樹脂16上の封止樹脂18が薄いまたは設けられていない無線モジュールを簡単な方法で製造できる。
【0071】
図10(a)および図10(b)のように、切断線30(基板10を切断する領域)の封止樹脂18に基板10の上面まで達する溝32(第1溝)を形成し、発泡樹脂16と電子回路14との間の封止樹脂18に基板10の上面まで到達しない溝34(第2溝)を形成する。図11(a)および図11(b)のように、溝32および34の内面および封止樹脂18の上面にシールド層20を形成する。図12(a)および図12(b)のように、発泡樹脂16上のシールド層20および溝32と溝34との間の封止樹脂18の少なくとも上部を除去する。
【0072】
これにより、電子回路14を覆いアンテナ12上を覆わないシールド層20を簡単な工程で形成することができる。
【実施例4】
【0073】
実施例4は、実施例1の変形例7の製造方法の例である。図14(a)から図19は、実施例4に係る無線モジュールの製造方法を示す図である。図14(a)から図18(a)は平面図であり、図14(b)から図18(b)は、対応する平面図におけるA-A断面図である。図19は、断面図である。
【0074】
図14(a)および図14(b)に示すように、実施例3の図7(a)および図7(b)と同様の方法を用い、基板10の下面に複数のアンテナ12を形成する。基板10の上面に複数の電子回路14を搭載する。図9(a)および図9(b)と同様の方法を用い、基板10の上面に複数の電子回路14を覆うように封止樹脂18を形成する。
【0075】
図15(a)および図15(b)に示すように、図10(a)および図10(b)と同様の方法を用い、切断線30に沿って封止樹脂18を貫通する溝32を形成する。アンテナ12と電子回路14との間において封止樹脂18の少なくとも上部に溝34を形成する。溝32の深さは、グランド配線11(またはグランド電極)が表面または内層に設けられているかにより調整される。基板10が薄い場合には溝32による基板10の反りが問題となる。よって、グランド配線11(またはグランド電極)を基板10の上面または上面に近い内層に形成し、溝32の深さを浅くしてもよい。
【0076】
図16(a)および図16(b)に示すように、図11(a)および図11(b)と同様の方法を用い、溝32および34を埋め込むように封止樹脂18の表面にシールド層20を形成する。
【0077】
図17(a)および図17(b)に示すように、図12(a)および図12(b)と同様の方法を用い、アンテナ12と重なる領域における溝32と34との間のシールド層20および封止樹脂18を除去する。これにより、溝32と34との間の凹部36において基板10の上面が露出する。基板10の上面に封止樹脂18が薄く残存していてもよい。
【0078】
図18(a)および図18(b)に示すように、図13(a)および図13(b)と同様の方法を用い、切断線30において、シールド層20および基板10に切断溝38を形成する。これにより、無線モジュールが個片化される。
【0079】
図19に示すように、漕42内の溶融した発泡樹脂40に基板10のうちアンテナ12が設けられた領域を浸漬させる。その後、基板10を引きあげ、固化させると、基板10のアンテナ12が設けられた領域の上面および下面に発泡樹脂16が形成される。これにより、実施例1の変形例7に係る無線モジュールが製造される。
【0080】
実施例4によれば、図14(a)から図18(b)のように、アンテナ12が下面(第1面)設けられ、電子回路14が搭載された基板10の上面(第2面)に平面視においてアンテナ12と重なる領域に設けられず、電子回路14を封止する封止樹脂18を形成する。図19のように、基板10の上面のアンテナ12と重なる領域に、およびアンテナ12を封止するように基板10の下面に、発泡樹脂16を形成する。
【0081】
これにより、簡単な工程で、基板10の上面および下面にアンテナ12と重なるように発泡樹脂16を形成することができる。
【0082】
実施例4では、アンテナ12を基板10の下面に設けため、図15(a)および図15(b)において溝34を実施例3より深くできる。これにより、シールド層20を実施例3より基板10の近くまで形成できる。よって、実施例3に比べEMIをより抑制できる。
【0083】
電子回路14および封止樹脂18は、基板10のアンテナ12が設けられた面と同じ面に設けてもよい。
【実施例5】
【0084】
図20(a)および図20(b)は、実施例5およびその変形例1に係る無線モジュールの断面図である。図20(a)に示すように、実施例5では、基板10は積層された複数の絶縁層10aから10cを備えている。絶縁層10aと10bの間および絶縁層10bと10cとの間にそれぞれ配線44aおよび44bが設けられている。基板10の上面に配線44cが設けられている。配線44cにバンプ(不図示)を介し電子回路14が実装されている。グランド配線11aおよび11bはそれぞれ配線44bの一部である。グランド配線11aおよび11bは、基板10の端部の接続箇所46aおよび46bにおいてシールド層20と電気的に接続されている。その他の構成は実施例4と同じであり説明を省略する。
【0085】
図20(b)に示すように、実施例5の変形例1では、発泡樹脂16の厚さは封止樹脂18の厚さとほぼ同じである。その他の構成は実施例5と同じであり説明を省略する。
【0086】
実施例5およびその変形例1によれば、基板10の平面形状は矩形である(図13(a)参照)。アンテナ12は基板10の矩形の辺62(第1辺)側に設けられ、導電パターンを有する。電子回路14は、基板10の辺62に対向する辺64(第2辺)側に設けられている。発泡樹脂16は、アンテナ12を封止する。封止樹脂18は電子回路14の少なくとも一部を封止する。
【0087】
このような構造においては、発泡樹脂16は空隙を含むため、発泡樹脂16は耐環境に劣る。例えば発泡樹脂16は水分等が容易に通過する。発泡樹脂16上にはシールド層20を設けないため、発泡樹脂16の上面から水分が侵入する。水分等が接続箇所46aおよび46bに至ると接続箇所46aおよび46bが酸化または吸湿劣化する。これにより、シールド層20とグランド配線11aおよび11bとの接触抵抗が高くなる。よって、シールド層20のグランドが弱くなる。
【0088】
そこで、シールド層20(シールド)は、発泡樹脂16の設けられた領域から離れた位置においてグランド配線11aおよび11b(またはグランド電極)と電気的に接続される。これにより、発泡樹脂16から侵入する水分がシールド層20とグランド配線11aおよび11bとの接続箇所46aおよび46bに至ることを抑制できる。よって、接続箇所46aおよび46bの抵抗が高くなることを抑制できる。
【0089】
シールド層20とグランド配線11aおよび11b(グランド電極)は、基板10の辺62側の側面または上面において接続する。これにより、接続箇所46aおよび46bを発泡樹脂16から遠ざけることができ、接続箇所46aおよび46bの劣化をより抑制できる。特に、接続箇所46aおよび46bは、アンテナ12が設けられた基板10の一方の短辺と対向する基板10の他方の短辺に設けることが好ましい。
【0090】
実施例5およびその変形例1では、グランド配線11aは基板10の内部および上面に設けられているが、グランド配線11aは基板10の内部および上面のいずれか一方に設けられていてもよい。
【0091】
実施例1から4およびその変形例において、実施例5のように、グランド配線11aおよび/または11bを設けてもよい。
【0092】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
10 基板
11、11a、11b グランド配線
12 アンテナ
14 電子回路
16、40、56 発泡樹脂
18、52 封止樹脂
20 シールド層
30 切断線
32、34 溝
36 凹部
38 切断溝
50 実装基板
54 電子部品
62、64 辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20