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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】ブラインドの操作装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/325 20060101AFI20220328BHJP
   E06B 9/60 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
E06B9/325
E06B9/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018106465
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019210665
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英希
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-213582(JP,A)
【文献】特開2017-057650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0175449(US,A1)
【文献】米国特許第06142211(US,A)
【文献】特開2010-022400(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107269207(CN,A)
【文献】特開2006-009999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56 - 9/92
9/26 - 9/327
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を昇降操作するための操作コードが巻き取り及び巻き解き可能に巻回されたコードリールと、該コードリールに一端が固定され、他端が係止部に係止されて前記コードリールを前記操作コードの巻取方向へ付勢するバネと、を備えたブラインドの操作装置であって、
前記係止部に係止された前記バネの他端の移動を規制する規制部を備え
前記規制部は、前記バネの他端と離間しており、前記操作コードが牽引され前記コードリールを前記操作コードの巻解方向へ付勢する付勢力が前記バネに加わり、前記操作コードの牽引が解除され該バネが前記付勢力から解放される場合、該付勢力からの解放に伴い前記バネが移動することにより前記バネの他端に当接し、該当接により前記バネの他端の移動を規制する
ことを特徴とするブラインドの操作装置。
【請求項2】
前記バネは、前記他端部を内側にして渦巻状に巻回しており、
前記バネの径外方向における前記規制部の先端は、前記係止部より前記径外方向において外側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載のブラインドの操作装置。
【請求項3】
前記規制部の先端は、前記バネの周方向において前記係止部側に突出している
ことを特徴とする請求項2記載のブラインドの操作装置。
【請求項4】
前記コードリールの中心軸から、該コードリールの径より小さい第1の仮想円の中心と、前記第1の仮想円の径より小さい第2の仮想円の中心とが同一方向において変位しており、
前記コードリールの中心軸からの前記第1の仮想円の変位量は、前記第2の仮想円より大きく、
前記第1の仮想円と前記第2の仮想円とは、その周縁の一部が重なるまたは近接し、
前記係止部は、前記第2の仮想円の周縁に沿って延在し、
前記規制部の先端は、前記第1の仮想円の周縁に接し、
前記バネは、前記コードリールが所定の方向に回転した際、前記他端部から前記係止部、前記第2の仮想円、前記第1の仮想円、前記規制部の順に接するように巻かれることにより楕円状に巻回される
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載のブラインドの操作装置。
【請求項5】
前記係止部と前記規制部とは前記コードリールを相対回転可能に軸支する固定軸に連結されており、
前記規制部は、前記係止部との間に前記バネが挿通可能な間隙が形成されるように隣接して設けられる
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のブラインドの操作装置。
【請求項6】
前記バネは、前記操作装置の外殻を形成するケースにおける所定の内壁面に隣接するように略平行に巻回されており、
前記内壁面における前記バネの他端部に接地または近接する第1の面は、前記内壁面における該第1の面以外の第2の面よりも面外方向に突出する
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のブラインドの操作装置。
【請求項7】
遮蔽材を昇降操作するための操作コードが巻き取り及び巻き解き可能に巻回されたコードリールと、該コードリールに一端が固定され、他端が係止部に係止されて前記コードリールを前記操作コードの巻取方向へ付勢するバネと、を備えたブラインドの操作装置であって、
前記係止部に係止された前記バネの他端の移動を規制する規制部を備え、
前記バネは、前記他端部を内側にして渦巻状に巻回しており、
前記バネの径外方向における前記規制部の先端は、前記係止部より前記径外方向において外側に位置する
ことを特徴とするブラインドの操作装置。
【請求項8】
遮蔽材を昇降操作するための操作コードが巻き取り及び巻き解き可能に巻回されたコードリールと、該コードリールに一端が固定され、他端が係止部に係止されて前記コードリールを前記操作コードの巻取方向へ付勢するバネと、を備えたブラインドの操作装置であって、
前記係止部に係止された前記バネの他端の移動を規制する規制部を備え、
前記バネは、前記操作装置の外殻を形成するケースにおける所定の内壁面に隣接するように略平行に巻回されており、
前記内壁面における前記バネの他端部に接地または近接する第1の面は、前記内壁面における該第1の面以外の第2の面よりも面外方向に突出する
ことを特徴とするブラインドの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、遮蔽材を昇降操作するための操作コードが巻き取り及び巻き解き可能に巻回されたコードリールと、当該コードリールに一端が固定され、他端が係止部に係止されてコードリールを操作コードの巻取方向へ付勢するバネと、を備えたブラインドの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置としては、下記特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1に示される操作ユニットは、回転自在なプーリ(コードリール)を収容する操作ケースと、プーリに一端が巻取り及び巻解き可能に連結される巻取部材と、巻取部材を常時プーリに巻き取られる方向またはプーリから巻き解かれる方向へ付勢するバネと、巻取部材のプーリへの所定量以上の巻取りを規制するストッパーと、ストッパーによって巻取部材と連結され操作ケースから垂下する把持部材とを有し、クラッチ機構を介して巻取パイプに連結されている。この操作ユニットの把持部材を操作して巻取部材を巻取り及び巻解きさせることによりプーリが回転し、当該回転に応じて巻取パイプが回転することで遮蔽材を昇降操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-133293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1記載の操作ユニットは、バネの付勢力に抗して把持部材を引き下げると、バネは巻取部材の巻解方向に旋回することとなる。この状態において手を離すと、解放されたバネの反発力に応じて勢いよくプーリが巻取部材を巻き取る、即ち勢いよくバネが巻取方向に旋回することとなる。当該操作ユニットのバネの一端は、操作ケース内に設けられた固定軸の固定部分にU字状に掛けられているため、勢いよくバネが旋回することにより、当該固定部分に掛けられたバネの一端が巻取方向に移動し、延いては当該固定部分から外れる可能性があり、利便性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、利便性がよい操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、遮蔽材を昇降操作するための操作コードが巻き取り及び巻き解き可能に巻回されたコードリールと、該コードリールに一端が固定され、他端が係止部に係止されて前記コードリールを前記操作コードの巻取方向へ付勢するバネと、を備えたブラインドの操作装置であって、前記係止部に係止された前記バネの他端の前記係止部からの外れを規制する規制部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利便性がよいブラインドの操作装置を提供することができる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る操作ユニットを備えるブラインドの正面図である。
図2】実施形態に係る操作ユニット周辺の斜視図であり、(a)は操作ユニットが備える操作コードの非操作時の状態を示し、(b)は操作コードを手前に引いた状態を示す。
図3】実施形態に係る操作ユニットの分解斜視図である。
図4】実施形態に係る操作ユニットの部分断面図であり、(a)は操作コードの非操作時の状態を示し、(b)は操作コードを引いた状態を示す。
図5図4(a)に示されるA-A線断面図である。
図6図4(a)に示されるB-B線断面図である。
図7】操作コードを引いた状態における操作ユニットのA-A線断面相当図である。
図8】操作コードを引いた状態における操作ユニットのB-B線断面相当図である。
図9図4(a)に示されるC-C線断面図である。
図10】操作コードを引いた状態における操作ユニットのC-C線断面相当図である。
図11】実施形態に係る操作ユニットが備える第2のケースの内部構成を示す側面図である。
図12】実施形態に係る第2のケースの内部構成を示す斜視図である。
図13】実施形態に係る操作ユニットが備えるコードリールと固定軸と係止機構との位置関係を説明するための図である。
図14】実施形態に係る操作ユニットの操作コードを離した際における、ぜんまいバネ他端の移動後の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】

以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、プリーツスクリーンにおける操作ユニットに本発明に係るブラインドの操作装置を適用した場合を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、ブラインドが設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、ブラインドの長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
(全体構成)
先ず、本実施形態に係る操作ユニットを備えるブラインドの全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る操作ユニットを備えるブラインドの正面図である。この図においては、ヘッドボックスのみが縦断面で示されている。図1に示されるように、本実施形態に係るブラインド1は、横型のプリーツスクリーンであり、窓枠等の設定面に固定されるヘッドボックス10と、上端がヘッドボックス10の下面に連結したプリーツ状のスクリーン20と、スクリーン20を昇降操作するための操作ユニット30と、スクリーン20の下端に取り付けられたボトムレール40と、一端がヘッドボックス10内で支持され、他端がスクリーン20を挿通するように垂下してボトムレール40に連結された2つの昇降コード50と、を備える。
【0011】
ヘッドボックス10内には、その左右方向に延在する角柱状の回転軸102と、回転軸102が一体回転するように貫通し、それぞれが昇降コード50を巻取り可能に昇降コード50の一端が連結された2つの巻取ドラム104と、回転軸102の回転を拘束するストッパ装置106と、回転軸102の回転を減速するブレーキ装置108とが設けられている。回転軸102は、ヘッドボックス10に隣接して設けられた操作ユニット30内にまで達しており、操作ユニット30による回転軸102の回転操作が可能となっている。
【0012】
(操作ユニット30)
本実施形態に係る操作ユニット30について、図2図8を用いて詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る操作ユニット周辺の斜視図であり、(a)は操作ユニットが備える操作コードの非操作時の状態を示し、(b)は操作コードを手前に引いた状態を示す。図3は、第1の実施形態に係る操作ユニットの分解斜視図である。図4は、第1の実施形態に係る操作ユニットの部分断面図であり、(a)は操作コードの非操作時の状態を示し、(b)は操作コードを引いた状態を示す。図5図4(a)に示されるA-A線断面図であり、図6図4(a)に示されるB-B線断面図である。図7は操作コードを引いた状態における操作ユニットのA-A線断面相当図であり、図8は操作コードを引いた状態における操作ユニットのB-B線断面相当図である。
【0013】
図2(a)に示されるように、操作ユニット30は、ヘッドボックス10の左右方向一端部(ここでは図中右側端部)に固定され、下部に収容空間320が形成された本体ケース300と、収容空間320を通じて一部が本体ケース300に内蔵されたコードリール301(図3参照)に巻き取り/巻き解き可能に連結された操作コード340とを備える。操作ユニット30は、図2(b)に示されるように、操作コード340を引き下げ操作することによりスクリーン20を昇降動作させるものである。例えば、スクリーン20を降下させる際には、操作コード340を軽く引き下げることで、ストッパ装置106を解除して一定速度を維持しながらスクリーン20を最下降位置まで降下させることができる。また、当該状態において操作コード340を離すと操作コード340のみが巻き取られ、その巻き取り後にもう一度引き下がることによりスクリーン20を上昇させることができる。
【0014】
(操作コード340)
操作コード340は、図2(b)に示されるように、コードリール301に巻き取り/巻き解き可能に巻回され、後述するぜんまいバネ302(図5図7参照)により常に巻き取られる付勢力が加わっている巻取コード341と、操作者が操作可能に開口321から垂下する把持コード342と、把持コード342のコードリール301への巻き取りを規制するストッパ343とを備える。本実施形態においては、巻取コード341及び把持コード342は紐状をなしており、ストッパ343を介して連結されている。把持コード342の下端には、ブラインド1の操作者が把持する棒状の把持部344(図1参照)が設けられており、その操作性を良好なものとしている。ストッパ343は、中空樽状に形成されており、その中空部にそれぞれ巻取コード341と把持コード342とが挿通されて内部でこれらと連結するジョイント部材としても機能する。なお、ストッパ343内において巻取コード341と把持コード342とが互いに連結されるようにしてもよく、巻取コード341と把持コード342とが一体的に構成されていてもよい。また、ストッパ343は、把持コード342が引かれていない状態においては、常時収容空間320内に収容される。
【0015】
(収容空間320)
収容空間320は、図2図4図8に示されるように、本体ケース300の左右方向略中央における正面側下端部に位置付けられており、巻取コード341がコードリール301に巻き取られている状態(以後、この状態を非操作状態と称する)において、ストッパ343を収容する。また、収容空間320に収容されたストッパ343を導出するために、外部と収容空間320とを連通する開口321が本体ケース300に形成されている。開口321は、収容空間320の正面及び下面が開放するように正面及び下面の2面に連続して形成されており、したがってストッパ343はその正面及び下面が露出した状態で収容される。
【0016】
また、収容空間320は、図8に示されるように、その天井壁部322に巻取コード341が挿通可能な挿通孔323が設けられており、この挿通孔323を通って巻取コード341を本体ケース300内外へ出し入れ可能にしている。挿通孔323は、巻取コード341を挿通可能且つストッパ343が挿通不能な径を有しており、したがって非操作状態として巻取コード341がコードリール301に完全に巻き取られている状態においても、その天井壁部322にストッパ343が当接することでストッパ343が本体ケース300内へ侵入することを防止している。これにより、操作コード340のコードリール301への所定量以上の巻き取りを規制し、延いては把持コード342の本体ケース300内への導入を規制している。
【0017】
(本体ケース300)
本体ケース300は、図3に示されるように第1のケース300-1と第2のケース300-2とに分割可能にされており、その内部にコードリール301を含むクラッチ機構が内蔵されている。また、本体ケース300-2内壁面には、コードリール301を相対回転可能に軸支する固定軸309が設けられており、その固定軸309下方に本実施形態に係るぜんまいバネ302を係止する係止機構360が設けられている。
【0018】
本実施形態に係る係止機構を説明する前に、本発明の理解を容易にするために前述したクラッチ機構の構成及びその動作について図4図10を用いて簡単に説明する。図9図4(a)に示されるC-C線断面図であり、図10は操作コードを引いた状態における操作ユニットのC-C線断面相当図である。
(クラッチ機構)
本体ケース300内にはクラッチ機構として、図4図5図9図10に示されるように、コードリール301と、ぜんまいバネ302と、中継軸303と、クラッチドラム304と、クラッチピン305と、ガイドワッシャ306と、カムドライブ307と、連動部材308とを備える。
【0019】
図5及び図6に示されるように、コードリール301は、第2のケース300-2の固定軸309により相対回転可能に軸支されており、巻取コード341が巻回可能にその一端部が連結されている。ぜんまいバネ302は、一端がコードリール301に固定され、他端が後述する係止機構360に係止されており、コードリール301に巻取コード341が巻き取られる巻取方向の付勢力を常時付与する。図4に示されるように、中継軸303は一端が固定軸309に嵌入し、他端がクラッチドラム304の中空部に嵌入してこれを相対回転不能に支持している。図9に示されるように、クラッチドラム304は、中空円筒状をなしており、その周壁にクラッチバネが嵌合している。クラッチピン305は、円柱状をなしており、コードリール301の径方向に沿って進退することにより連動部材308に対しコードリール301の回転の伝達/非伝達を行う。なお、以降の説明で径方向、径内方向、径外方向と単独で記載したものは、コードリール301における各方向を示すものとする。
【0020】
ガイドワッシャ306は、中空円盤状をなしてその中空部にクラッチドラム304が嵌合し(図4参照)、相対回転可能に支持されている。また、ガイドワッシャ306は、図9に示されるように、一方の面にクラッチピン305の進退動作を案内する突起306aが3組、カムドライブ307と一体回転するための突起306bが2組設けられている。カムドライブ307は、中空円盤状をなしてその中空部にクラッチドラム304が嵌合し、相対回転可能に支持されている。カムドライブ307は、コードリール301の突起301aが挿通されてコードリール301と一体回転可能に係合する開口307aが設けられると共に、一方の面にクラッチピン305を進退移動させるカム面を有する突起307bと、突起306bに当接可能な突起307cとが設けられている。カムドライブ307はガイドワッシャ306と互いに相対回転可能であるが、突起306bと突起307cとが当接した際には相対回転が規制される。連動部材308は、第1のケース300-1内において回転軸102が相対回転不能に嵌合しており、クラッチピン305と係合可能に径内方向に突出する係合部308aが設けられている。
【0021】
次に、操作コード340が引かれた際のクラッチ機構の動作を簡単に説明する。
【0022】
既にスクリーン20が最下降位置まで降下された状態においては、図9に示されるようにクラッチピン305が連動部材308の係合部308aと係合していない状態となっている。ここで操作者が把持コード342を引き下げ始めると、巻取コード341が巻き解かれてコードリール301が巻解方向へ回転し、ぜんまいバネ302が当該回転に応じて旋回することにより縮径することとなる(図7参照)。続いて、コードリール301はカムドライブ307と一体回転し始め、突起307bのカム面とクラッチピン305とが当接してクラッチピン305が径外方向に移動し、連動部材308の係合部308aに係合する。当該係合時には、突起306bと突起307cとが当接し、図10に示される状態となる。これにより、コードリール301の回転が連動部材308を介して回転軸102に伝達され、これらが一体的に回転するようになる。この回転軸102の回転に応じて回転ドラム104が昇降コード50を巻き取ることにより、スクリーン20を上昇させることができる。
【0023】
なお、ある程度把持コード342を引いた状態において手を離すと、ぜんまいバネ302により巻取コード341が巻き取られると共に、コードリール301が逆回転となるが、これに応じてクラッチピン305と連動部材308との係合が解除されるため、回転軸102にはその逆回転が伝達することはない。
【0024】
(係止機構360)
上述した係止機構360について図11及び図12を用いて詳細に説明する。図11は本実施形態に係る操作ユニットが備える第2のケースの内部構成を示す側面図であり、図12は本実施形態に係る第2のケースの内部構成を示す斜視図である。
【0025】
図11に示されるように、係止機構360は、第2のケース300-2における固定軸309の下方に配設されており、ぜんまいバネ302の他端を係止する係止部361と、ぜんまいバネ302の他端の移動を規制する規制部362とを備える。固定軸309周りにおける第2のケース300-2の内壁面のうち、コードリール301が備えられた際に当該コードリール301内に位置する内壁面は、図5に示されるようにぜんまいバネ302収容時に隣接する収容面300-2aとなっており、図12に示されるように係止機構360は収容面300-2aから面外方向に突出する形で設けられている。
【0026】
係止部361は、湾曲するように延在する平板部材であり、その一端が固定軸309から径外方向に突出した脚部309aに連結されている。係止部361は、図5に示されるようにぜんまいバネ302の他端が係止部361の径方向内側面略全面と、その縁部にそれぞれ当接するようにU字状に掛けられることにより、ぜんまいバネ302を係止している。ぜんまいバネ302は、この状態においてさらに渦巻状に巻回されると共に、一端部がコードリール301に巻き掛けられることでその反発力により巻回方向の逆方向(コード巻取方向)に付勢した状態で配設される。
【0027】
規制部362は、固定軸309から下方に延在すると共に係止部361との間に間隙を形成するように湾曲して延在する平板部材であり、ぜんまいバネ302は、この間隙を通過する形で係止部361に係止されている。規制部362の一端部は、固定軸309に連結されており、他端部、即ち規制部362の径方向先端は、係止部361より径方向において外側に位置するよう突出している。この突出量は適宜であるが、少なくともぜんまいバネ302の厚み(平板状時)以上突出されることが好ましい。
【0028】
以下、係止部361と規制部362との具体的な位置関係を図13を用いてより詳細に説明する。図13は、本実施形態に係る操作ユニットが備えるコードリールと固定軸と係止機構との位置関係を説明するための図である。ここでの符号D1は、コードリール301における、その周面に巻取コード341が巻回される円筒状のドラム部分の中心点(中心軸)を示している。また、符号D2は後述する仮想円Eの中心点を、符号D3は後述する仮想円Fの中心点をそれぞれ示している。
【0029】
図13に示されるように、中心点D2及びD3は、中心点D1と同一方向(ここでは下方)において変位している。この変位量は中心点D1からみて中心点D2よりも中心点D3の方が大きく、円の径は仮想円Eよりも仮想円Fの方が大きい。またさらに、仮想円E及び仮想円Fはその上端において一致または近接している。各円の変位量は、例えば固定軸309においてコードリール301に挿通される円筒部分がφ10mmであれば、仮想円Eのφ13mm、仮想円Fをφ14mmとし、仮想円Eの変位量は1mm、仮想円Fの変位量は1.5mmとすることが好ましい。なお、これらの数値は、操作するブラインドや操作装置のサイズ、種類等により適宜設定すればよい。
【0030】
係止部361は、その径方向外側曲面が仮想円Eにおける一部の周縁に沿うように湾曲して形成されている。一方、規制部362の径外方向先端は、仮想円Fにおける一部の周縁に接するように形成されており、さらに仮想円Fの周方向に沿って係止部361側に突出する形状をなしている。なお、当該先端は、強度の観点から周方向において係止部361を覆うまでは突出していないが、強度を考慮しない(高強度の材質を用いる等)のであれば係止部361を覆うまで突出させるようにしてもよい。また、固定軸309から放射状に延在する、ぜんまいバネ302を巻回するための脚部もこれらの円にまで達するよう形成されている。具体的には、脚部309aと3つの脚部309bとが仮想円Eの周縁に接するように形成されると共に、3つの脚部309cが仮想円Fの周縁にそれぞれ接するように形成されている。即ち係止部361及び脚部309bは仮想円E内に位置し、規制部362及び脚部309cは仮想円F内に位置している。
【0031】
また本実施形態においては、ぜんまいバネ302が係止部361に係止された状態において、その他端部が図11及び図12に示されるように、係止部361、脚部309a、及び固定軸309に略囲繞された第2のケース300-2の内壁面の一部である接地面300-2bに接地している。この接地面300-2bは、収容面300-2aよりも面外方向に突出しており、したがって、接地面300-2bと収容面300-2aとの間に段差部300-2cが形成されることとなる。この接地面300-2bの突出量は、本実施形態においては0.2mm程度あればよいが、操作するブラインドや操作装置のサイズ、種類等により適宜設定すればよい。
【0032】
以上に説明した本実施形態に係る操作ユニット30によれば、係止機構360が規制部362を有することにより、操作者が操作コード340を引いた状態において手を離すなどしてぜんまいバネ302の反発力が解放されることに起因するぜんまいバネ302の他端の移動が生じたとしても、図14に示されるように規制部362に接触することで当該移動を規制することができる。したがって、当該移動によるぜんまいバネ302の外れを防止することができ、延いては利便性の向上を実現できる。また、規制部362の先端を仮想円Fの周方向に沿って係止部361側に突出させることにより、ぜんまいバネ302の他端の移動をより効果的に規制することができる。
【0033】
また、固定軸309に設けられた係止部361に隣接するように規制部362を設けたことにより、新たな部品を追加することなく省スペース化を実現している。また、ぜんまいバネ302の他端を固定せずにその移動を規制することができるため、ぜんまいバネ302の他端を締結部材や接着剤等により固定場合と比較して、組み立て、交換等の効率化を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、係止機構360及び固定軸309が仮想円E、Fに基づいて形成されることにより、図7に示されるような、ぜんまいバネ302が旋回して縮径された状態において、楕円状に巻回されることとなる。より具体的には、当該状態においてぜんまいバネ302は、係止部361に掛けられたその他端部から係止部361の径方向外側面、脚部309b(図13参照)に接した後、脚部309c(図13参照)に接し、最後に規制部362に接することとなる。つまり、図13に示される係止部361(仮想円Eを含む)、仮想円E、仮想円F、規制部362(仮想円Fを含む)の順に接する。これにより、コードリール301の中心点D1から中心が変位した互いに異なる径の円を経由することとなり、ぜんまいバネ302が楕円状に巻回されることとなる。
【0035】
一般的にぜんまいバネは、コードリールの中心軸と同軸で真円状に巻回されるものであり、設計上、所定長の径を有する軸に巻回される。この所定長の径とはぜんまいバネの機能を損なうことなく巻回するに必要な径である。本実施形態においては、この所定長の径を仮想円Fに設定し、図13に示されるように前後方向一方側を仮想円Fに沿って、他方側を仮想円Eに沿ってぜんまいバネ302が巻回されることにより、その機能を損なうことなく真円と比較して他方側の半径が小さい楕円状に巻回することができる。したがって、操作コード340を引き下げる際のストロークを長くとることができ、少ない操作回数量でスクリーン20の操作(ここでは上昇)を行うことが可能となるため、利便性を向上することができる。さらに、真円と比較して巻き芯を小さくできることで、ぜんまいバネ302の軸への巻き締めが緩くなり、バネの耐久性を向上することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、収容面300-2aより接地面300-2bが突出して形成されている。したがって、ぜんまいバネ302は、係止部361に係止された状態において他端部のみが接地面300-2bに接地または近接される。これにより、ぜんまいバネ302の他端以外の部分が収容面300-2aと接触することなく離間した状態となる。このようにぜんまいバネ302の他端のみが接地し、それ以外の大部分が収容面300-2aに接地しないことにより、操作コード340の操作に応じたぜんまいバネ302の旋回を円滑に行わせることができ、またぜんまいバネの旋回時におけるケース内壁面との接触による当該内壁面の損傷や損傷時の粉体の発生等を抑制することができるため、利便性の向上が見込める。
【0037】
また、本実施形態においては、ブラインド1として横型のプリーツスクリーンに本発明に係るブラインドの操作装置が適用されると説明したが、これに限定されるものではない。当該操作装置は横型、縦型のスラットを有するブラインドや、ロールスクリーン、ローマンシェード等の任意のブラインドに適用可能である。同様に、操作コードにより回動可能なコードリールがバネ等の弾性部材により周方向に付勢された機構を有する操作装置であれば、本発明を適用することは可能である。
【0038】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0039】
1 ブラインド
20 スクリーン(遮蔽材)
30 操作ユニット(操作装置)
300 本体ケース
300-2 第2のケース(ケース)
300-2a 収容面(第2の面)
300-2b 接地面(第1の面)
301 コードリール
302 ぜんまいバネ
340 操作コード
361 係止部
362 規制部
E 仮想円(第2の仮想円)
F 仮想円(第1の仮想円)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14