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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】建物開口部の構造体取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20220328BHJP
   E04F 10/00 20060101ALI20220328BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20220328BHJP
   E06B 9/11 20060101ALI20220328BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
E04F10/00
E06B1/56 A
E06B9/11 A
E06B9/17 W
E06B9/58 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018158532
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020033703
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正博
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-241736(JP,A)
【文献】特開2014-231679(JP,A)
【文献】特開2000-154686(JP,A)
【文献】特開平10-37632(JP,A)
【文献】特開平9-151680(JP,A)
【文献】特開2014-136903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/00-10/10
E04F 13/00-13/30
E06B 1/00- 1/70
E06B 9/00- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体から突出して開口部を囲む四角形の枠材と、
前記枠材の突出先端よりも低くなるように所定の厚みを有して前記躯体に施工され且つ前記枠材の外周を囲む間隙を介し前記枠材の4辺から離間する外壁仕上げ材と、
前記枠材の各辺に沿う4つの前記間隙の底で表出する前記躯体のそれぞれに固定され、前記外壁仕上げ材の施工厚よりも僅かに小さい高さを有して起立する係止片及びねじ固定片が形成された複数の基板と、
前記係止片及び前記ねじ固定片に固定されることにより表面が前記外壁仕上げ材と略面一となって前記間隙を塞いでそれぞれの前記基板に応じ着脱自在に固定され、前記表面には構造体の構成部材が螺着される複数の化粧下地板と、
を具備することを特徴とする建物開口部の構造体取付構造。
【請求項2】
前記構造体が、シャッター装置であり、
前記構成部材が、上側の前記化粧下地板に螺着されるシャッター収納部と、左右の前記化粧下地板に螺着される一対のガイドレール枠と、下側の前記化粧下地板に螺着される下枠と、の4部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の建物開口部の構造体取付構造。
【請求項3】
前記化粧下地板の表面が、前記外壁仕上げ材の仕上げ面に合わせた意匠面で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建物開口部の構造体取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部の構造体取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部である例えば窓の周囲には、シャッター装置などの構造体が取り付けられることがある(特許文献1、2等参照)。例えばシャッター装置は、建物躯体の構造部分である柱や梁などに対して、ビスなどを用いて固定される。特許文献1のシャッター装置では、同文献の図6図11図12に示すように、車両出入口(建物開口部)の周囲の躯体に、車庫用シャッター装置の各構成部材が固定され、その周りにサイディングなどの外壁が施工される。特許文献2のシャッターケースの取付構造では、同文献の図3に示すように、躯体に施工された建物外壁の表面に、シャッター装置の構成部材であるシャッターケースが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-136903号公報
【文献】特開2000-96951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャッター装置は、例えば寿命、或いは、故障などにより交換する場合がある。シャッター装置の各構成部材が躯体に固定された特許文献1のような構造では、その周りにサイディングなどの外壁が施工される。既設のシャッター装置を躯体から取り外し、新たなものを取り付けると、当初仕上げられていたサイディングなどの一部が欠損する虞がある。そのため、サイディングなどを修復する必要が生じ、費用が嵩む問題があった。また、各構成部材が躯体に固定された構造では、シャッター装置を撤去すると、外壁が当初から無いため、躯体が表出する。このため、新たに外壁を施工する必要があり、この場合にも費用が嵩む問題があった。
一方、シャッター装置の各構成部材が仕上げられた外壁の表面に固定される特許文献2のような例もあるが、その場合は、取外し後の外壁にビス穴が残る。そのため、同様に外壁の修復が必要であり、修復の程度によって外壁の交換となることもあって、この場合にも費用が嵩む問題があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、シャッター装置などの構造体を取り外した際に、その取付面である外壁面の修復を容易にすることができ、新たな構造体を取り付けることのできる建物開口部の構造体取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の建物開口部の構造体取付構造は、建物の躯体15から突出して開口部17を囲む四角形の枠材13と、
前記枠材13の突出先端よりも低くなるように所定の厚みを有して前記躯体15に施工され且つ前記枠材13の外周を囲む間隙23,25,27,29を介し前記枠材13の4辺から離間する外壁仕上げ材21と、
前記枠材13の各辺に沿う4つの前記間隙23,25,27,29の底で表出する前記躯体15のそれぞれに固定され、前記外壁仕上げ材21の施工厚よりも僅かに小さい高さを有して起立する係止片39及びねじ固定片41が形成された複数の基板31,33,35,37と、
前記係止片39及び前記ねじ固定片41に固定されることにより表面Sが前記外壁仕上げ材21と略面一となって前記間隙23,25,27,29を塞いでそれぞれの前記基板31,33,35,37に応じ着脱自在に固定され、前記表面Sには構造体11の構成部材が螺着される複数の化粧下地板43,45,61,63と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
この建物開口部の構造体取付構造では、枠材13の各辺に沿う4つの間隙23,25,27,29の底で表出する躯体15に、4つの基板31,33,35,37が固定される。それぞれの基板31,33,35,37には、係止片39及びねじ固定片41が設けられる。これらの基板31,33,35,37の係止片39及びねじ固定片41には、化粧下地板43,45,61,63が固定される。基板31,33,35,37に固定された化粧下地板43,45,61,63は、外壁仕上げ材21と枠材13との間隙23,25,27,29を塞ぐ。4つの間隙23,25,27,29を塞いだそれぞれの化粧下地板43,45,61,63の表面Sは、外壁仕上げ材21の表面と略面一となる。化粧下地板43,45,61,63は、外壁仕上げ材21と略面一となることにより、外壁仕上げ材21から連続して延出して枠材13の外周に突き当てられる。このため、化粧下地板43,45,61,63は、取り付けられたままの状態でも違和感が生じない。この化粧下地板43,45,61,63には、構造体11の各構成部材が、ねじ固定(螺着)可能となる。構造体11は、交換が生じると、化粧下地板43,45,61,63から取り外される。この際、構造体11は、化粧下地板43,45,61,63に対してのみの取り合いとなり、外壁仕上げ材21とは縁が切れているので、当初仕上げられていた外壁仕上げ材21を欠損等させずに済む。このため、外壁仕上げ材21を修復する必要がなく、構造体11の交換に伴う付帯工事を簡略化できる。また、構造体11を撤去したままの状態とする場合においても、ねじ孔の空いた化粧下地板43,45,61,63のみを新規のものに交換すればよい。このため、新たに外壁を施工しなくても、躯体15が表出せず、構造体11の撤去に伴う付帯工事を簡略化できる。
【0008】
本発明の請求項2記載の建物開口部の構造体取付構造は、前記構造体が、シャッター装置11であり、
前記構成部材が、上側の前記化粧下地板43に螺着されるシャッター収納部71と、左右の前記化粧下地板61,63に螺着される一対のガイドレール枠89,91と、下側の前記化粧下地板45に螺着される下枠83と、の4部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の建物開口部の構造体取付構造。
【0009】
この建物開口部の構造体取付構造では、構造体が、シャッター装置11となる。シャッター装置11は、構成部材として、シャッター収納部71と、一対のガイドレール枠89,91と、下枠83と、を具備する。シャッター収納部71は、枠材13の上側に取り付けられる。一対のガイドレール枠89,91は、枠材13の左右に取り付けられる。下枠83は、枠材13の下側に取り付けられる。このため、シャッター収納部71は、枠材13の上側の間隙23に固定された化粧下地板(上側化粧下地板43)に固定される。一対のガイドレール枠89,91は、枠材13の左右の間隙25,27に取り付けられた一対の化粧下地板(左側化粧下地板61、右側化粧下地板63)のそれぞれに固定される。下枠83は、枠材13の下側の間隙29に固定された化粧下地板(下側化粧下地板45)に固定される。これら、上側化粧下地板43と、左側化粧下地板61及び右側化粧下地板63と、下側化粧下地板45とは、構成部材すなわちシャッター収納部71,ガイドレール枠89,94,下枠83のそれぞれに応じ、延在方向に直交する幅寸法を変えて形成できる。これにより、建物の開口部17の周囲に、外壁仕上げ材21との縁を切りながら、シャッター装置11の設置スペースを予め確保しておいたり、シャッター装置11を設置や交換したりすることが可能となる。
【0010】
本発明の請求項3記載の建物開口部の構造体取付構造は、前記化粧下地板43,45,61,63の表面Sが、前記外壁仕上げ材21の仕上げ面に合わせた意匠面で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建物開口部の構造体取付構造。
【0011】
この建物開口部の構造体取付構造では、外壁仕上げ材21と略面一で連続する化粧下地板43,45,61,63の表面Sが、外壁仕上げ材21の仕上げ面に合わせた意匠面で形成される。仕上げ面に合わせた意匠面は、例えば仕上げ面と同色とすることができる。また、意匠面は、例えば仕上げ面と同等の質感とすることができる。同等の質感の意匠面は、例えば仕上げ面と同一の素材を用いることができる。また、同等の質感の意匠面は、例えば仕上げ面と同色且つ同一の表面粗さとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の建物開口部の構造体取付構造によれば、建物の外壁面としての外壁仕上げ材と構造体が取り付けられている面とは縁が切れて構成され、構造体を取り外す際には、構造体の取り付けられる化粧下地板とともに建物側から取り外すこととなり、その取り外しの際に外壁仕上げ材の欠損等を起こすことがなくなる。取り外された構造体に替わり新たな構造体を取り付ける際には、化粧下地板が新たに用意され躯体側に既に固定されている基板へ取り付けられることから、構造体の取り付け時に既設のねじ孔などが無く、取り付け施工の支障が起きない。このため、外壁仕上げ材を修復する必要がなく、構造体の交換に伴う付帯工事を簡略化できることとなる。また、構造体を撤去したままの状態とする場合においても、ねじ孔の空いた化粧下地板のみを新規のものに交換すればよい。このため、新たに外壁を施工しなくても、躯体が表出せず、構造体の撤去に伴う付帯工事を簡略化できる。
【0013】
本発明に係る請求項2記載の建物開口部の構造体取付構造によれば、シャッター装置の構成部材であるシャッター収納部、一対のガイドレール枠、及び下枠を撤去した際の外壁面の修復等を容易にすることができる。
【0014】
本発明に係る請求項3記載の建物開口部の構造体取付構造によれば、外壁仕上げ材と化粧下地板とに違和感が生じにくくなり、見栄えの低下が抑制でき、化粧下地板を取り付けたままとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造を備えるシャッター装置の外観を表す斜視図である。
図2図1に示したシャッター装置と躯体の側断面図である。
図3】上側化粧下地板及び下側化粧下地板の取り付け前の側断面図である。
図4】上側化粧下地板及び下側化粧下地板の取り付け後の側断面図である。
図5】シャッター収納部の取り付け説明図である。
図6】左側化粧下地板及び左側ガイドレール枠と、右側化粧下地板及び右側ガイドレール枠の取り付け前の平断面図である。
図7】左側化粧下地板及び左側ガイドレール枠と、右側化粧下地板及び右側ガイドレール枠の取り付け後の平断面図である。
図8】構造体がオーニング装置である場合の建物開口部の構造体取付構造を表す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造を備えるシャッター装置11の外観を表す斜視図である。
本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造は、構造体が、シャッター装置11となる。なお、構造体は、シャッター装置11に限定されない。
【0017】
建物開口部の構造体取付構造は、枠材と、外壁仕上げ材と、基板と、化粧下地板と、を主要な構成として有する。このうち、基板と化粧下地板とは、構造体を取り付けるための外壁仕上げ材と面一の取付枠を構成する。
【0018】
本実施形態において、枠材は、住宅用のサッシ枠13である。なお、枠材は、サッシ枠13に限定されない。サッシ枠13は、四角形に形成され、建物の躯体15から突出して開口部17を囲む。サッシ枠13には、引き違いのサッシ窓19が取り付けられる。
【0019】
図2図1に示したシャッター装置11と躯体15の側断面図である。
外壁仕上げ材は、例えばサイディング材21となる。この他、外壁仕上げ材は、モルタル仕上げや、湿式工法或いは乾式工法により取り付けられるタイル等であってもよい。サイディング材21は、サッシ枠13の突出先端よりも低くなるように所定の厚み(施工厚)で躯体15に施工される(図3参照)。このサイディング材21は、サッシ枠13の外周を囲む間隙を介し、サッシ枠13の4辺から離間して施工される。この間隙は、サッシ枠上方の上側間隙23(図3参照)、サッシ枠左右の左側間隙25及び右側間隙27(図6参照)、サッシ枠下方の下側間隙29(図3参照)となる。なお、本明細書中、左右は、開口部17より外を向き、左手側を左(図1において右側,図6において左側)、右手側を右(図1において左側,図6において右側)とする。
【0020】
基板は、サッシ枠13の各辺に沿う4つの間隙の底で表出する躯体15のそれぞれに固定される。基板は、上側間隙23の躯体15に固定される上側基板31(図3参照)、左側間隙25及び右側間隙27の躯体15に固定される左側基板33及び右側基板35(図6参照)、下側間隙29に固定される下側基板37(図3参照)となる。これら上側基板31、左側基板33、右側基板35、下側基板37には、サイディング材21の施工厚よりも僅かに小さい高さで起立する係止片39及びねじ固定片41が形成される。
【0021】
上側基板31,左側基板33,右側基板35,下側基板37は、サッシ枠13の各辺に沿う長さの長尺板状に形成される。上側基板31,左側基板33,右側基板35,下側基板37は、長手方向に直交し且つ躯体15と平行な幅方向が、それぞれ異なる幅寸法で形成される。この幅寸法は、上側基板31が大きく、左側基板33、右側基板35、下側基板37が、上側基板31よりも小さい。一方、上側基板31、左側基板33、右側基板35、下側基板37の長手方向に直交する断面形状は、係止片39とねじ固定片41の位置が逆となる他はほぼ同一とすることができる。
【0022】
図3は上側化粧下地板43及び下側化粧下地板45の取り付け前の側断面図である。
上側基板31は、固定ビス47により躯体15に固定される基板部49を有する。上側基板31は、基板部49の幅方向(図3の上下方向)の下端に、サッシ枠13に接する係止片39が起立する。係止片39は、起立先端に、上向きの爪部51を有する。また、上側基板31は、基板部49の幅方向の上側に、サイディング材21に近接してねじ固定片41が起立する。ねじ固定片41は、起立先端に、基板部49と平行なねじ固定座部53が形成される。上側基板31は、ねじ固定片41とサイディング材21との隙間がストッパ材55の上に充填されるコーキング剤57により塞がれる。
【0023】
下側基板37は、固定ビス47により躯体15に固定される基板部59を有する。下側基板37は、基板部59の幅方向(図3の上下方向)の上端に、サッシ枠13に接するねじ固定片41が起立する。ねじ固定片41は、起立先端に、基板部59と平行なねじ固定座部53が形成される。また、下側基板37は、基板部59の幅方向の下側に、サイディング材21に近接して係止片39が起立する。係止片39は、起立先端に、上向きの爪部51を有する。下側基板37は、係止片39とサイディング材21との隙間がストッパ材55の上に充填されるコーキング剤57により塞がれる。
【0024】
化粧下地板は、ほぼ帯板状に形成される。化粧下地板は、係止片39及びねじ固定片41に固定されることにより、表面Sがサイディング材21と略面一となる。それぞれの化粧下地板は、間隙を塞いで、それぞれの基板に応じ着脱自在に固定される。化粧下地板は、上側基板31に固定される上側化粧下地板43、左側基板33に固定される左側化粧下地板61(図6参照)、右側基板35に固定される右側化粧下地板63(図6参照)、下側基板37に固定される下側化粧下地板45となる。
【0025】
上側化粧下地板43は、幅方向の上端に、ビス65の挿通されるビス孔(図示略)が穿設される。上側化粧下地板43は、幅方向の下端に、上側基板31の爪部51に係止する爪67を有する。
【0026】
下側化粧下地板45は、幅方向の上端に、ビス65の挿通されるビス孔(図示略)が穿設される。下側化粧下地板45は、幅方向の下端に、下側基板37の爪部51に係止する爪67を有する。
【0027】
図4は上側化粧下地板43及び下側化粧下地板45の取り付け後の側断面図である。
上側化粧下地板43は、爪67を、上側基板31の爪部51に係止するとともに、ビス孔に挿通したビス65を上側基板31のねじ固定片41に固定することにより、上側基板31を介して躯体15に固定される。同様に、下側化粧下地板45は、爪67を、下側基板37の爪部51に係止するとともに、ビス孔に挿通したビス65を下側基板37のねじ固定片41に固定することにより、下側基板37を介して躯体15に固定される。
【0028】
このようにして躯体側に固定された化粧下地板の表面Sには、構造体の構成部材がねじ69により固定(螺着)される。本実施形態において、構造体は、上記したシャッター装置11となる。
【0029】
図1に示すように、シャッター装置11は、開口部17の上方に取り付けられるシャッター収納部71を有する。シャッター収納部71には、複数のスラット73を連結して構成したシャッターカーテン75が収容可能となる。シャッターカーテン75は、繰り出し方向の先端に、座板77を有する。シャッター収納部71には、シャッターカーテン75を巻き取り・繰り出す開閉機79(図2参照)が設けられる。シャッターカーテン75は、開閉機79により巻き取り・繰り出されることにより、開口部17を昇降する。開口部17を昇降するシャッターカーテン75は、ガイドレール81により昇降がガイドされる。本実施形態において、ガイドレール81は、ガイドレール枠を介して躯体側に固定される。ガイドレール枠に支持されたガイドレール81は、サッシ枠13の左右で、サッシ枠13より躯体15から突出して配置される。
【0030】
サッシ枠13を挟んで左右両側に設けられる一対のガイドレール枠は、下端が下枠83により連結される。下枠83は、サッシ枠13の下側で、サッシ枠13より躯体15から突出して配置される。ガイドレール81に両側がガイドされて下降したシャッターカーテン75は、座板77が下枠83に着座することにより、サッシ枠13の外側で開口部17を閉鎖する。
【0031】
シャッター収納部71,一対のガイドレール枠89,91,下枠83は、構造体であるシャッター装置11の構成部材となる。すなわち、本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造は、構造体が、シャッター装置11であり、構成部材が、上側の化粧下地板43に螺着されるシャッター収納部71と、左右の化粧下地板61,63に螺着される一対のガイドレール枠89,91と、下側の化粧下地板45に螺着される下枠83と、の4部材からなる。
【0032】
図5はシャッター収納部71の取り付け説明図である。
シャッター装置11は、図2に示すように、シャッター収納部71が上側化粧下地板43にビス69により固定され、下枠83が下側化粧下地板45にビス69により固定される。この際、シャッター収納部71は、ブラケット85を介して上側化粧下地板43に固定される。ブラケット85には、シャッター収納部71を係止し支持する複数の掛け爪87が設けられる。シャッター収納部71は、ブラケット85を上側化粧下地板43にビス69により固定した後、掛け爪87に掛止し、さらに上縁部分をビス69により上側化粧下地板43に螺着される。
【0033】
図6は左側化粧下地板61及び左側ガイドレール枠89と、右側化粧下地板63及び右側ガイドレール枠91の取り付け前の平断面図である。
左側基板33は、固定ビス47により躯体15に固定される基板部93を有する。左側基板33は、基板部93の幅方向(図6の左右方向)の右端に、サッシ枠13に接するねじ固定片41が起立する。ねじ固定片41は、起立先端に、基板部93と平行なねじ固定座部53が形成される。また、左側基板33は、基板部93の幅方向の左側に、サイディング材21に近接して係止片39が起立する。係止片39は、起立先端に、右向きの爪部51を有する。左側基板33は、係止片39とサイディング材21との隙間がストッパ材55の上に充填されるコーキング剤57により塞がれる。この左側基板33には、左側化粧下地板61が上記と同様に固定される。左側化粧下地板61の表面Sには、左側ガイドレール枠89が固定される。
【0034】
右側基板35は、左側基板33を左右反転した構造となる。右側基板35の基板部95には、右側化粧下地板63が上記と同様に固定される。右側化粧下地板63の表面Sには、右側ガイドレール枠91が固定される。
【0035】
図7は左側化粧下地板61及び左側ガイドレール枠89と、右側化粧下地板63及び右側ガイドレール枠91の取り付け後の平断面図である。
左側化粧下地板61及び右側化粧下地板63に固定された左右のガイドレール枠89,91は、躯体15からの突出方向先端側でガイドレール81を支持する。左右のガイドレール81に両側が案内されたシャッターカーテン75は、サッシ枠13から外側に離間した位置で昇降する。
【0036】
本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造は、化粧下地板の表面Sが、サイディング材21の仕上げ面に合わせた意匠面で形成される。
【0037】
上述した各基板31,33,35,37、化粧下地板43,45,61,63は、例えばアルミ押出成形品とすることができる。
【0038】
図8は構造体がオーニング装置97である場合の建物開口部の構造体取付構造を表す側断面図である。
なお、構造体は、シャッター装置11の他に、例えばオーニング装置97などであってもよい。オーニング装置97は、収納部99を有する。収納部99には、巻取軸101が設けられる。また、収納部99には、複数の展張アーム103の基端が支持される。展張アーム103は、収納部99に対して伸縮可能となる。展張アーム103には、巻取軸101に巻回された遮光シート107などが固定される。オーニング装置97は、伸縮機構(図示略)により展張アーム103が伸長されることにより、開口部17の上方に庇状に張り出す。また、オーニング装置97は、伸縮機により展張アーム103を短縮するとともに、巻取軸101により遮光シート107を巻き取ることにより、庇を畳む。建物開口部の構造体取付構造は、このようなオーニング装置97の収納部99が、取付ブラケット105などを介して上側化粧下地板43に固定されてもよい。
【0039】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造では、建物の開口部17が、躯体15から突出する四角形のサッシ枠13により囲まれる。躯体15には、サッシ枠13の外周を囲む間隙(上側間隙23、左側間隙25、右側間隙27、下側間隙29)を介してサイディング材21が施工される。サッシ枠13の突出先端は、サイディング材21の表面よりも躯体15から突出する。
【0040】
サッシ枠13の各辺に沿う4つの間隙23,25,27,29の底で表出する躯体15には、4つの基板(上側基板31、下側基板37、左側基板33、右側基板35)が固定される。それぞれの基板31,37,33,35には、係止片39及びねじ固定片41が設けられる。これらの基板31,37,33,35の係止片39及びねじ固定片41には、化粧下地板(上側化粧下地板43、左側化粧下地板61、右側化粧下地板63、下側化粧下地板45)が固定される。基板31,37,33,35に固定された化粧下地板43,61,63,45は、サイディング材21とサッシ枠13との間隙23,25,27,29を塞ぐ。
【0041】
4つの間隙23,25,27,29を塞いだそれぞれの化粧下地板43,61,63,45の表面Sは、サイディング材21の表面と略面一となる。サッシ枠13とサイディング材21との間隙で表出する躯体15を覆った化粧下地板43,61,63,45は、サイディング材21と略面一となることにより、サイディング材21から連続して延出してサッシ枠13の外周に突き当てられる。このため、化粧下地板43,61,63,45は、取り付けられたままの状態でも違和感が生じない。
【0042】
この化粧下地板43,61,63,45には、構造体11の各構成部材が、ねじ固定(螺着)可能となる。構造体11は、予め間隙23,25,27,29に施工した化粧下地板43,61,63,45に対して取り付けられる。
【0043】
構造体11は、交換が生じると、化粧下地板43,61,63,45から取り外される。この際、構造体11は、化粧下地板43,61,63,45に対してのみの取り合いとなり、サイディング材21とは縁が切れているので、当初仕上げられていたサイディング材21を欠損等させずに済む。基板31,37,33,35は、躯体15に残したままとする。このため、サイディング材21を修復する必要がなくなり、構造体11の交換に伴う付帯工事を簡略化できる。
【0044】
また、構造体11を撤去したままの状態とする場合においても、ねじ孔の空いた化粧下地板43,61,63,45のみを新規のものに交換すればよい。このため、新たに外壁を施工しなくても、躯体15が表出せず、構造体11の撤去に伴う付帯工事を簡略化できる。
【0045】
また、本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造では、構造体が、シャッター装置11となる。シャッター装置11は、構成部材として、シャッター収納部71と、一対のガイドレール枠と、下枠83と、を有する。
【0046】
シャッター収納部71は、サッシ枠13の上側に取り付けられる。一対のガイドレール枠89,91は、サッシ枠13の左右に取り付けられる。下枠83は、サッシ枠13の下側に取り付けられる。このため、シャッター収納部71は、サッシ枠13の上側の間隙に固定された化粧下地板すなわち上側化粧下地板43に固定される。一対のガイドレール枠89,91は、サッシ枠13の左右の間隙に取り付けられた一対の化粧下地板すなわち左側化粧下地板61と右側化粧下地板63のそれぞれに固定される。下枠83は、サッシ枠13の下側の間隙に固定された化粧下地板すなわち下側化粧下地板45に固定される。
【0047】
これら、上側化粧下地板43と、左側化粧下地板61及び右側化粧下地板63と、下側化粧下地板45とは、構成部材であるシャッター収納部71,ガイドレール枠89,91,下枠83のそれぞれに応じ、延在方向に直交する幅寸法を変えて形成できる。これにより、建物の開口部17の周囲に、サイディング材21との縁を切りながら、シャッター装置11の設置スペースを予め確保しておいたり、シャッター装置11を設置や交換したりすることが可能となる。その結果、シャッター装置11の構成部材であるシャッター収納部71,一対のガイドレール枠89,91及び下枠83を撤去した際の外壁面であるサイディング材21の修復を容易にすることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造では、サイディング材21と略面一で連続する化粧下地板43,45,61,63の表面Sが、サイディング材21の仕上げ面に合わせた意匠面で形成される。仕上げ面に合わせた意匠面は、例えば仕上げ面と同色とすることができる。また、意匠面は、例えば仕上げ面と同等の質感とすることができる。同等の質感の意匠面は、例えば仕上げ面と同一の素材を用いることができる。また、同等の質感の意匠面は、例えば仕上げ面と同色且つ同一の表面粗さ等とすることができる。その結果、サイディング材21と化粧下地板43,45,61,63とに違和感が生じにくくなり、開口部17の周囲の見栄えの低下が抑制でき、化粧下地板43,45,61,63を取り付けたままとすることが可能となる。
【0049】
なお、意匠面は、仕上げ面と同色である必要はない。意匠面は、デザイン的、美観的に違和感の生じないものであれば、例えば仕上げ面と補色関係にある色としてもよい。また、意匠面は、金属の表面にヘアーライン、梨地、或いはシボ加工等を施した仕上げ面としてもよい。
【0050】
なお、各化粧下地板43,45,61,63は、幅長を同じにしてもよい。上述の実施形態では、シャッター収納部71を固定する上側化粧下地板43の幅を大きくしたが、化粧下地板は、全て(上下左右)が同じ幅で構成してもよい。これにより、見栄えよくすることが可能となる。
【0051】
従って、本実施形態に係る建物開口部の構造体取付構造によれば、建物の外壁面としての外壁仕上げ材21と構造体11が取り付けられている面Sとは縁が切れて構成され、構造体11を取り外す際には、構造体11の取り付けられる化粧下地板43,45,61,63とともに建物側から取り外すこととなり、その取り外しの際に外壁仕上げ材21の欠損等を起こすことがなくなる。取り外された構造体11に替わり新規の構造体11を取り付ける際には、化粧下地板43,45,61,63が新たに用意され躯体側に既に固定されている基板31,33,35,37へ取り付けられることから、構造体11の取り付け時に既設のねじ孔などが無く、取り付け施工の支障が起きない。このため、外壁仕上げ材21を修復する必要がなく、構造体11の交換に伴う付帯工事を簡略化できることとなる。また、構造体11を撤去したままの状態とする場合においても、ねじ孔の空いた化粧下地板43,45,61,63のみを新規のものに交換すればよい。このため、新たに外壁を施工しなくても、躯体15が表出せず、構造体11の撤去に伴う付帯工事を簡略化できる。
【符号の説明】
【0052】
11…構造体(シャッター装置)
13…枠材(サッシ枠)
15…躯体
17…開口部
21…外壁仕上げ材(サイディング材)
23…間隙(上側間隙)
25…間隙(左側間隙)
27…間隙(右側間隙)
29…間隙(下側間隙)
31…基板(上側基板)
33…基板(左側基板)
35…基板(右側基板)
37…基板(下側基板)
39…係止片
41…ねじ固定片
43…化粧下地板(上側化粧下地板)
45…化粧下地板(下側化粧下地板)
61…化粧下地板(左側化粧下地板)
63…化粧下地板(右側化粧下地板)
71…構成部材(シャッター収納部)
83…構成部材(下枠)
89…構成部材(左側ガイドレール枠)
91…構成部材(右側ガイドレール枠)
S…表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8