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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】重量測定システム、重量選別システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20220328BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20220328BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20220328BHJP
【FI】
G01G11/00 N
G01G11/00 H
G01G19/52 E
G01N23/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018220944
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2019132826
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2018011559
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中迫 文彦
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-203067(JP,A)
【文献】特開2010-145135(JP,A)
【文献】特開2002-296022(JP,A)
【文献】特開2016-150320(JP,A)
【文献】特表2017-512297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の内容物が平面的に分散配置可能に構成されたトレイと、
搬送面上に載置された前記トレイを上流側から下流側に導く搬送装置と、
前記搬送面上を撮像するX線検出部と、
前記搬送面上に載置された前記トレイと当該トレイ内に配置された前記内容物との合計重量を計測可能に構成された重量計測部と、
前記X線検出部により撮像し検出された画像情報、及び前記合計重量に対応する合計重量情報が入力される演算処理装置とを備え、
前記演算処理装置は、
前記画像情報上において前記トレイ内に分散配置された複数個の前記内容物を個々の内容物に切り分けるとともに、
前記画像情報に基づいて算定された前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量の比率と、前記合計重量とに基づいて、前記内容物それぞれの重量を推定することを特徴とする重量測定システム。
【請求項2】
複数個の内容物が平面的に分散配置可能に構成されたトレイと、
搬送面上に載置された前記トレイを上流側から下流側に導く搬送装置と、
前記搬送面上を撮像するX線検出部と、
前記搬送面上に載置された前記トレイと当該トレイ内に配置された前記内容物との合計重量を計測可能に構成された重量計測部と、
前記X線検出部により撮像し検出された画像情報、及び前記合計重量に対応する合計重量情報が入力される演算処理装置とを備え、
前記演算処理装置は、
前記内容物が配置されていない初期状態に係る前記トレイの重量を記憶する記憶部と、
前記画像情報の2値情報に基づいて、前記トレイ内に分散配置された複数個の前記内容物それぞれの外縁を識別して、前記画像情報上において個々の前記内容物に切り分ける画像処理部と、
前記画像情報上において切り分けられた、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量の比率を、前記画像情報の2値情報に基づいて算定すると共に、入力された前記合計重量情報に基づいて確定される前記合計重量から、前記トレイの重量を差し引いた後、個々の前記内容物それぞれの重量の比率で按分することで、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量を推定する重量推定部と、を備えることを特徴とする重量測定システム。
【請求項3】
前記演算処理装置は、
前記内容物が配置されていない初期状態に係る前記トレイの重量を記憶する記憶部と、
前記画像情報の2値情報に基づいて、前記トレイ内に分散配置された複数個の前記内容物それぞれの外縁を識別して、前記画像情報上において個々の前記内容物に切り分ける画像処理部と、
前記画像情報上において切り分けられた、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量の比率を、前記画像情報の2値情報に基づいて算定すると共に、入力された前記合計重量情報に基づいて確定される前記合計重量から、前記トレイの重量を差し引いた後、個々の前記内容物それぞれの重量の比率で按分することで、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量を推定する重量推定部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の重量測定システム。
【請求項4】
前記トレイ毎に付された個別の識別情報を読み取り、前記演算処理装置に出力可能に構成された、識別情報読取装置を備え、
前記演算処理装置は、前記重量推定部で推定された個々の前記内容物それぞれの重量に関する情報を、当該内容物が配置されている前記トレイの識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2又は3に記載の重量測定システム。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の重量測定システムを備えてなる重量選別システムであって、
前記演算処理装置は、推定された個々の前記内容物それぞれの重量が属する範囲に基づいて、個々の前記内容物それぞれを前記範囲に対応した階級に選別する階級選別部を備え、
前記階級選別部での選別結果に対応した情報を、前記搬送装置の近傍において視認可能に出力する選別結果出力部を備えることを特徴とする重量選別システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、前記上流側から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための作業領域を含み、
前記選別結果出力部は、前記作業領域内に位置する前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物に対し、当該内容物が対応する前記階級に対応した情報を含む光信号を照射可能に構成された情報出力用光源を含むことを特徴とする請求項に記載の重量選別システム。
【請求項7】
選択が希望される前記階級に関する信号である、希望階級信号の入力を受け付ける、希望階級入力部を備え、
前記選別結果出力部は、前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物のうち、前記希望階級入力部から入力された前記希望階級信号に対応した前記階級に属する前記内容物に対してのみ、前記光信号を照射することを特徴とする請求項に記載の重量選別システム。
【請求項8】
前記重量計測部は、前記X線検出部と、前記作業領域との間に配置されていることを特徴とする請求項又はに記載の重量選別システム。
【請求項9】
請求項2又は3に記載の重量測定システムを備えてなる重量選別システムであって、
前記演算処理装置は、
推定された個々の前記内容物それぞれの重量が属する範囲に基づいて、個々の前記内容物それぞれを前記範囲に対応した階級に選別すると共に、当該選別結果に対応した情報を前記記憶部に送信する階級選別部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて、所定の期間内に前記X線検出部を通過した複数の前記トレイに載置された前記内容物の前記階級別の個数を算定する階級別個数算定部とを備えることを特徴とする、重量選別システム。
【請求項10】
前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、出荷先別の出荷個数を算定する、出荷計画策定部を備えることを特徴とする、請求項に記載の重量選別システム。
【請求項11】
前記トレイ毎に付された個別の識別情報を読み取り、前記演算処理装置に出力可能に構成された、識別情報読取装置を備え、
前記演算処理装置は、
前記重量推定部で推定された個々の前記内容物それぞれの重量に関する情報を、当該内容物が配置されている前記トレイに付された前記識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる構成であり、
前記階級別個数算定部は、前記トレイに付された前記識別情報に基づいて、前記トレイ内の前記内容物を生産した生産者別に、前記内容物の前記階級別の個数を算定することを特徴とする請求項又は10に記載の重量選別システム。
【請求項12】
前記搬送装置は、前記上流側から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための、複数の作業領域を含み、
前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、前記複数の作業領域のそれぞれにおいて、仕分けを行う対象となる前記階級を指定する、仕分け対象特定部を備えることを特徴とする、請求項11のいずれか1項に記載の重量選別システム。
【請求項13】
前記X線検出部によって撮像された後の前記トレイが一時的に保管される保管領域を有し、
前記複数の作業領域は、前記保管領域から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための領域であり、
前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、前記保管領域内に保管されている複数の前記トレイに載置された前記内容物の前記階級別の個数を把握すると共に、前記複数の作業領域内で仕分けを行うのに必要な作業員の数を算定する、作業計画策定部を備えることを特徴とする、請求項12に記載の重量選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量測定システム、及び重量選別システムに関し、特にコンベアなどの搬送装置を流れる青果物などの内容物の重量を測定するシステム、及び当該測定結果に基づいて選別するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物を一定の速度で搬送する搬送装置上に、青果物を載置してX線を透過させ、青果物の状態を検出して等級ごとに選別する内容が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-242681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、大根などの青果物を個々に搬送装置上に搬送させてX線を照射することで、内部の空洞の有無などに基づいた等級の選別を行うものである。このため、被測定物を搬送装置上において、一列、且つ、所定の間隔をもって配置した状態で搬送しなければならず、効率的ではない。
【0005】
また、特許文献1においては、搬送装置上を搬送される青果物の重量計測については、高精度カメラや高精度重量測定器を用いて行われる旨が記載されている。つまり、特許文献1の方法によれば、重量による選別を行うに際しても、同様に、一列、且つ、所定の間隔をもって配置した状態で被測定物を搬送しなければならず、効率的ではない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、搬送装置上を複数個の被測定物(青果物など)が搬送されている態様において、効率的に各被測定物の重量を測定することを可能にする重量測定システムを実現することを目的とする。また、本発明は、上記の方法で測定された結果に基づいて、効率的に各被測定物を、所定の階級ごとに選別する重量選別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る重量測定システムは、
複数個の内容物が平面的に分散配置可能に構成されたトレイと、
搬送面上に載置された前記トレイを上流側から下流側に導く搬送装置と、
前記搬送面上を撮像するX線検出部と、
前記搬送面上に載置された前記トレイと当該トレイ内に配置された前記内容物との合計重量を計測可能に構成された重量計測部と、
前記X線検出部により撮像し検出された画像情報、及び前記合計重量に対応する合計重量情報が入力される演算処理装置とを備え、
前記演算処理装置は、前記画像情報に基づいて算定された前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量の比率と、前記合計重量とに基づいて、前記内容物それぞれの重量を推定することを特徴とする。
【0008】
上記の方法によれば、複数個の内容物を収容して、トレイ単位で搬送される状態の下で、トレイ内に配置された各内容物個々の重量を推定することができる。これにより、各内容物の重量を、効率的に検知することができる。
【0009】
上記トレイは、内容物を載置する側の面が、分散的に窪みを有する平面で構成されるのが好ましい。この場合、当該窪み部分に内容物を載置することで、内容物同士の重なりが抑制され、X線検出部で得られた画像情報に基づく、各内容物の切り分けの精度、及び各内容物の重量の推定精度が向上する。
【0010】
前記X線検出部は、前記搬送面を挟んで対向する位置に配置されてなる、X線発生部とX線ラインスキャナとを備えるものとすることができる。
【0011】
前記演算処理装置は、
前記内容物が配置されていない初期状態に係る前記トレイの重量を記憶する記憶部と、
前記画像情報の2値情報に基づいて、前記トレイ内に分散配置された複数個の前記内容物それぞれの外縁を識別して、前記画像情報上において個々の前記内容物に切り分ける画像処理部と、
前記画像情報上において切り分けられた、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量の比率を、前記画像情報の2値情報に基づいて算定すると共に、入力された前記合計重量情報に基づいて確定される前記合計重量から、前記トレイの重量を差し引いた後、個々の前記内容物それぞれの重量の比率で按分することで、前記トレイ内に分散配置された個々の前記内容物それぞれの重量を推定する重量推定部と、を備えるものとしても構わない。
【0012】
前記重量測定システムは、
前記トレイ毎に付された個別の識別情報を読み取り、前記演算処理装置に出力可能に構成された、識別情報読取装置を備え、
前記演算処理装置は、前記重量推定部で推定された個々の前記内容物それぞれの重量に関する情報を、当該内容物が配置されている前記トレイの識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させるものとしても構わない。
【0013】
上記の構成によれば、それぞれのトレイに配置された複数の内容物それぞれの重量を、トレイ単位で推定し、記憶させることができる。
【0014】
本発明に係る重量選別システムは、上記重量測定システムを備え、
前記演算処理装置は、更に、前記重量推定部で推定された個々の前記内容物それぞれの重量が属する範囲に基づいて、個々の前記内容物それぞれを前記範囲に対応した階級に選別する階級選別部を備え、
前記重量選別システムは、前記階級選別部での選別結果に対応した情報を、前記搬送装置の近傍において視認可能に出力する選別結果出力部を備えることを特徴とする、
【0015】
上記の構成によれば、仕分け作業を行う作業員は、選別結果出力部によって出力される選別結果に対応した情報に基づき、トレイ内に収容された複数個の内容物を、階級ごとに仕分けすることができる。
【0016】
前記重量選別システムにおいて、
前記搬送装置は、前記上流側から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための作業領域を含み、
前記選別結果出力部は、前記作業領域内に位置する前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物に対し、当該内容物が対応する前記階級に対応した情報を含む光信号を照射可能に構成された情報出力用光源を含むものとしても構わない。
【0017】
より具体的には、情報出力用光源は、LED(発光ダイオード)素子や、レーザ素子を含む光源装置によって実現することができる。例えば、前記階級として、重量に応じた、「L」、「M」、「S」の3種類が存在する場合、トレイ内に配置された各内容物の面上に、当該内容物の階級に対応した文字、すなわち、「L」、「M」、「S」の文字が発光するように情報出力用光源から光信号が出力されるものとすることができる。別の例としては、トレイ内に配置された各内容物の面上に、階級に応じた異なる色の光信号が情報出力用光源から光信号が出力されるものとすることができる
【0018】
前記重量選別システムは、選択が希望される前記階級に関する信号である、希望階級信号の入力を受け付ける、希望階級入力部を備え、
前記選別結果出力部は、前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物のうち、前記希望階級入力部から入力された前記希望階級信号に対応した前記階級に属する前記内容物に対してのみ、前記光信号を照射するものとしても構わない。
【0019】
かかる構成によれば、同一トレイ内に収容された複数個の内容物のうち、特定の階級に属する内容物のみを、選択的に目立たせることができる。これにより、作業員は、階級毎に仕分け作業を行う場合における作業効率が向上する。
【0020】
前記重量選別システムは、前記トレイ毎に付された個別の識別情報を読み取り、前記演算処理装置に出力可能に構成された、識別情報読取装置を備え、
前記演算処理装置は、
前記階級選別部での選別結果に対応した情報を、前記トレイの前記識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶し、
選別結果の出力対象となる前記トレイの前記識別情報に対応した信号である、特定識別情報の入力を受け付け可能に構成されており、
前記選別結果出力部は、前記特定識別情報に対応した前記トレイを特定すると共に、前記記憶部から、当該特定された前記トレイに収容された複数個の前記内容物に係る選別結果に対応した情報を読み出して、前記希望階級入力部から入力された前記希望階級信号に対応した前記階級に属する前記内容物に対してのみ、前記光信号を照射するものとしても構わない。
【0021】
上記構成によれば、同時に、搬送装置上を複数のトレイが搬送される場合においても、トレイ毎に、収容された複数個の内容物のうちの特定の階級に属する内容物のみを、選択的に目立たせることができる。このため、作業領域が複数箇所設けられており、複数名の作業員によって仕分け作業が同時並行的に行われる場合であっても、各作業員が、自らの位置に近い作業領域に存在するトレイ内に収容された複数個の内容物の中から、所望の階級に属する内容物のみを目立たせることができる。これにより、内容物の効率的な仕分け作業が可能となる。
【0022】
なお、この構成において、各作業領域は、並列的に設けられていても、直列的に設けられていても構わない。後者の場合、上流側の作業領域において、例えばLサイズの内容物のみが仕分けされ、その後再び搬送装置上を搬送されて下流側の作業領域に到着すると、次にMサイズの内容物のみが仕分けされる、という態様を採用することができる。
【0023】
前記重量計測部は、前記X線検出部と、前記作業領域との間に配置されているものとしても構わない。
【0024】
上記構成により、X線が照射される領域から、作業領域の近くで仕分け作業を行う作業員を遠ざけることができる。これにより、X線を用いることに対する作業員への精神的・心理的な負担が軽減される。
【0025】
前記内容物は青果物であるものとすることができる。一例として、いちご、アスパラ、トマト、柿などの青果物が挙げられる。
【0026】
また、本発明に係る重量選別システムは、上記重量測定システムを備え、
前記演算処理装置は、
推定された個々の前記内容物それぞれの重量が属する範囲に基づいて、個々の前記内容物それぞれを前記範囲に対応した階級に選別すると共に、前記選別結果に対応した情報を前記記憶部に送信する階級選別部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて、所定の期間内に前記X線検出部を通過した複数の前記トレイに載置された前記内容物の前記階級別の個数を算定する階級別個数算定部とを備えることを特徴とする。
【0027】
かかる構成によれば、X線検出部を通過した複数のトレイに載置されていた各内容物の、階級別の個数が算定される。このため、内容物の例としてイチゴを挙げれば、今日はLサイズのイチゴの個数が極めて多いとか、Mサイズのイチゴの個数が比較的少ないなどの情報を、仕分けの前段階で認識することができる。
【0028】
一般的に、イチゴなどの青果物については、1日のうちで選果場に持ち込まれる時間帯が決まっていることが多い。このため、一度に多くの生産者から青果物が持ち込まれるため、受入れから仕分けまでの一連の作業が完全に完了するまでにはある程度の時間がかかる。一方で、特に、X線検出部によって重量を測定する処理と、測定された重量に基づいて階級別に選別する処理は、極めて短時間で行うことができる。つまり、上記構成によれば、当日の一連の作業が完了する前に、その日の(又は特定の時間帯までの)青果物の階級別の個数が把握できるため、この情報に基づいて多様な処理を行うことができる。
【0029】
一例として、前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、出荷先別の出荷個数を算定する、出荷計画策定部を備えるものとしても構わない。かかる構成によれば、各地の直近の市場価格に関する情報と、階級別個数算定部で算定された、現時点で存在する階級別の青果物の個数に関する情報とに基づいて、出荷計画策定部が例えば利益が最も高くなるように出荷先を決定することができる。
【0030】
別の一例として、
前記重量選別システムは、前記トレイ毎に付された個別の識別情報を読み取り、前記演算処理装置に出力可能に構成された、識別情報読取装置を備え、
前記演算処理装置は、
前記重量推定部で推定された個々の前記内容物それぞれの重量に関する情報を、当該内容物が配置されている前記トレイの識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる構成であり、
前記階級別個数算定部は、前記トレイに付された前記識別情報に基づいて、前記トレイ内の前記内容物を生産した生産者別に、前記内容物の前記階級別の個数を算定するものとしても構わない。
【0031】
かかる構成によれば、仕分け作業が完了するよりも前段階で、生産者毎に持ち込まれた内容物全体に対する階級別の個数が算定される。これにより、例えば、算定された生産者別の階級別個数に、階級別の費用を乗じることで、取引費用に係る明細を直ちに作成することができる。
【0032】
別の一例として、
前記搬送装置は、前記上流側から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための、複数の作業領域を含み、
前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、前記複数の作業領域のそれぞれにおいて、仕分けを行う対象となる前記階級を指定する、仕分け対象特定部を備えるものとしても構わない。
【0033】
かかる構成によれば、その日に持ち込まれた青果物が、例えばLサイズの個数が極めて多く、Mサイズの個数が少ない場合には、仕分け対象特定部において、Lサイズの仕分けを行う領域の数を増やし、Mサイズの仕分けを行う領域の数を減らすという処理が行われる。これにより、効率的に仕分け作業が行える。
【0034】
別の一例として、
前記X線検出部によって撮像された後の前記トレイが一時的に保管される保管領域を有し、
前記複数の作業領域は、前記保管領域から搬送されてきた前記トレイ内に収容された複数個の前記内容物が仕分けられるための領域であり、
前記演算処理装置は、前記階級別個数算定部が算定した結果に基づいて、前記保管領域内に保管されている複数の前記トレイに載置された前記内容物の前記階級別の個数を把握すると共に、前記作業領域内で仕分けを行うのに必要な作業員の数を算定する、作業計画策定部を備えるものとしても構わない。
【0035】
かかる構成によれば、現時点で保管領域内に存在する内容物の、階級別の個数が把握できるため、作業計画策定部は、内容物の個数の多寡に応じて、その日の仕分け作業に必要な人員数や、仕分けに必要な作業時間を認識できる。これにより、作業員に対して柔軟な勤務指示が行える。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、搬送装置上を複数個の被測定物が搬送されている態様において、効率的に各被測定物の重量を測定することが可能になる。また、上記の方法で測定された結果に基づいて、効率的に各被測定物を、所定の階級ごとに選別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第一実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図2】第一実施形態に係る重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
図3A】トレイ5の構造例を模式的に示す斜視図である。
図3B図3Aに示すトレイ5に複数個の内容物6が配置された状態を示す模式的な斜視図である。
図4】階級がLサイズに属すると判定された内容物6に対して、当該内容物6の面上に「L」の文字を映し出した様子を模式的に示す図面である。
図5】第二実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図6】第二実施形態に係る重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
図7】第三実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図8】第三実施形態に係る重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
図9】第三実施形態に係る重量選別システムの模式的な別の上面図である。
図10A】第四実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図10B】第四実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図11】第四実施形態に係る重量選別システムが有する演算処理装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
図12】第四実施形態に係る重量選別システムが有する演算処理装置の別の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
図13】第四実施形態に係る重量選別システムが有する演算処理装置の更に別の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
図14】別実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。
図15】別実施形態に係る重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る重量測定システム、及び重量選別システムの実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の図面はいずれも模式的に図示されたものであり、各図面上の寸法比は、必ずしも実際の寸法比とは一致していない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
【0039】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。また、図2は、図1の重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。なお、図2において、情報信号の流れを破線で示し、光信号の流れを一点鎖線で示している。
【0040】
本実施形態に係る重量選別システム1は、搬送装置3、トレイ5、X線検出部7、重量計測部9、演算処理装置10、及び選別結果出力部21を備える。
【0041】
(搬送装置3)
搬送装置3は、搬送面3a上に載置されたトレイ5を、上流側から下流側に導く。以下では、搬送面3a上において、上流側から下流側に向かう方向を「A1方向」、A1方向に直交する方向を「A2方向」、搬送面3aに直交する方向を「A3方向」とそれぞれ記載する。
【0042】
(トレイ5)
トレイ5は、複数個の内容物6が平面的に分散配置可能に構成されている。図3Aは、トレイ5の構造例を模式的に示す斜視図である。トレイ5は、箱体61と、箱体61内に収容され、複数の窪み63が平面的に分散して設けられた板状部材62とを含む。図3Bは、トレイ5に複数個の内容物6が配置された状態を示す模式的な斜視図である。図3Bは、内容物6の一例として、イチゴの場合が図示されている。
【0043】
板状部材62は、X線の吸収量の割合を低くできるよう、一定の強度を保ちながらも、均一にかつ薄く成型ができるものが適しており、成型された状態で内容物6(例えばイチゴなどの果実)のX線の吸収量と同等程度以下の材料で構成されるのが好ましい。このような材料の例としては、例えば、セルロイド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。
【0044】
また、箱体61は、上面のみが開口され、底面及び側面を有する構造であり、その底面の上面に板状部材62が載置されていても構わない。この場合、箱体61の少なくとも底面においては、板状部材62と同様に、内容物6(例えばイチゴなどの果実)と比較してX線の吸収量の割合を低くできるよう、一定の強度を保ちながらも、均一にかつ薄く成型ができるものが適しており、X線がムラなく透過できるよう、補強用リブなどの凹凸がないものが好ましい。
【0045】
なお、トレイ5は、複数個の内容物6を平面的に分散配置可能に構成されていれば、図3A図3Bに図示された形状に限定されず、形状は任意である。なお、本明細書において、「平面的に分散配置可能」とは、厳密な意味における同一平面上に分散配置可能である場合はもちろんのこと、板状部材62の一部分が湾曲されることで高さ位置が微小に(例えば、内容物6の高さに対して5%未満の範囲内で)異なるものの実質的に平面上に分散配置されていると認められる場合を含む。
【0046】
(X線検出部7)
X線検出部7は、搬送装置3の搬送面3aを挟んでA3方向に対向する位置に配置された、X線発生部7aとX線ラインスキャナ7bとを含む。
【0047】
X線発生部7aは、搬送装置3の搬送面3aよりも上方(+A3方向側)に配置されており、搬送面3aの下方(-A3方向側)に配置されたX線ラインスキャナ7bに向かってX線7Lを照射する。X線発生部7aは、公知のX線発生装置が利用され得る。
【0048】
X線ラインスキャナ7bは、搬送装置3の下方(-A3方向側)に配置され、トレイ5を透過して進行してきたX線7Lを検出する。X線ラインスキャナ7bは、例えば、搬送装置3の搬送面3a上において、A2方向、すなわち搬送面3aの幅方向に配置された複数個の光電変換素子(例えばフォトダイオード)と、同光電変換素子上に設けられたシンチレータとを含んで構成される。シンチレータは、X線7Lを受光すると、光電変換素子において受光可能な範囲内の波長の光に変換して、この変換光を光電変換素子に入射させる。光電変換素子は、受光光量に応じた強度の電気信号(2値の信号)に変換し、演算処理装置10に出力する。この電気信号が、図2に示す画像情報d7に対応する。
【0049】
(重量計測部9)
重量計測部9は、搬送装置3上を流れるトレイ5と内容物6との合計重量を測定する。重量計測部9は、例えばロードセル、フォースセンサーなどで構成される。重量計測部9で計測された合計重量に関する情報(合成重量情報)d9は、演算処理装置10に入力される。
【0050】
なお、X線検出部7と演算処理装置10との間、及び、重量計測部9と演算処理装置10との間は、有線により接続されていても、無線により接続されていても構わない。無線の場合は、Bluetooth(登録商標)、Wi-fi(登録商標)、その他の公知の規格に基づいて通信接続可能に構成されることができる。
【0051】
(演算処理装置10)
本実施形態において、演算処理装置10は、記憶部13、画像処理部14、重量推定部15、及び階級選別部16を有する。演算処理装置10は、例えばコンピュータによって実現され、記憶部13は、メモリ又はハードディスクで構成される。画像処理部14、重量推定部15、及び階級選別部16は、いずれも入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。
【0052】
記憶部13は、内容物6が配置されていない初期状態に係るトレイ5の重量が記憶されている。なお、トレイ5は、繰り返し利用されることが想定されており、搬送装置3上を搬送される際や、その他の運搬の際などに摩耗などが生じて経時的に重量が変化する可能性がある。このため、内容物6を配置する前にトレイ5の重量を事前に測定し、この測定結果が記憶部13に格納されるものとしても構わない。
【0053】
画像処理部14は、X線検出部7から入力された画像情報d7に基づいて、所定の画像処理を行い、トレイ5内に配置された個々の内容物6の分散状態を特定する。
【0054】
搬送面3a上に載置されて搬送されるトレイ5は、A1方向(搬送方向)に係る長さが有限である。搬送時において各トレイ5の間にある程度の間隔が存在している場合、X線ラインスキャナ7bは、トレイ5の箱体61を透過して受光したX線7Lの光量と、トレイ5が存在せず搬送装置3を透過して受光したX線7Lの光量との間には、有意の差が生じる。画像処理部14は、画像情報d7を分析することで、この光量の差に起因した電気信号の差が顕在化している領域を検知して、各トレイ5の外縁部を特定する(第一特定処理)。
【0055】
更に、トレイ5の板状部材62上において、A2方向について内容物6が存在していない領域を透過して受光したX線7Lの光量と、内容物6が存在する領域を透過して受光したX線7Lの光量との間には、有意の差が生じる。画像処理部14は、画像情報d7を分析することで、この光量の差に起因した電気信号の差が顕在化している領域を検知することで、トレイ5内に配置されている個々の内容物6の外縁部を特定する(第二特定処理)。
【0056】
この第二特定処理により、トレイ5を上面から見たときに、個々の内容物6がトレイ5内にどのように分散配置されているかが特定される。すなわち、第一特定処理によって画像情報上において特定された各トレイ5上に配置された複数個の内容物6を、この第二特定処理によって個々の内容物6ごとに切り分けることができる。
【0057】
ところで、トレイ5内に配置された内容物6の厚み(A3方向に係る長さ)が厚いほど、同内容物6におけるX線7Lの吸収量が多い。反対に、トレイ5内に配置された内容物6の厚み(A3方向に係る長さ)が薄いほど、同内容物6におけるX線7Lの吸収量が少ない。
【0058】
重量推定部15は、画像情報d7を分析することで、第二特定処理によって特定された個々の内容物6の存在領域を介して受光した光量に基づく電気信号の大小により、個々の内容物6の厚み(A3方向に係る長さ)の大小、すなわち相対的な厚みを検知する。更に、重量推定部15は、第二特定処理によって特定された個々の内容物6の存在領域内において、検知された相対的な厚みの値を例えば積分処理することによって個々の内容物6の相対的な大きさを推定し、この相対的な大きさに応じて、重量の比率(推定重量比)を算定する。トレイ5内には、同一品種の内容物6(例えばイチゴ)が配置されているため、相対的な大きさが大きいほど、重量が重いことが認定される。なお、重量比を推定する際に、所定の補正係数を用いて各内容物6の推定重量が補正されるものとしても構わない。
【0059】
重量推定部15は、記憶部13から初期状態に係るトレイ5の重量を読み出すと共に、重量計測部9から入力された合成重量情報d9から、この初期状態に係るトレイ5の重量を差し引く。これにより、トレイ5に配置されている複数個の内容物6の総重量が算定される。
【0060】
更に、重量推定部15は、この算定された複数個の内容物6の総重量を、前記算定された各内容物6の推定重量比で按分処理を行う。これにより、個々の内容物6の重量が推定される。
【0061】
階級選別部16は、重量推定部15で推定された個々の内容物6それぞれの重量が属する範囲に基づいて、個々の内容物6それぞれを、前記範囲に対応した階級に選別する処理を行う。例えば、記憶部13には、複数の階級に関する情報と、各階級に対応した重量の範囲とが関連付けて記憶されている。階級選別部16は、重量推定部15で推定された個々の内容物6それぞれの重量(推定重量)が、どの範囲内に属するかを確認し、記憶部13に記憶された情報に基づいて、個々の内容物6が属する階級を決定する。ここでいう階級としては、例えばL/M/Sなどが挙げられる。
【0062】
演算処理装置10は、階級選別部16によって選別された、個々の内容物6が属する階級に関する情報を、選別結果出力部21に送信する。
【0063】
(選別結果出力部21)
選別結果出力部21は、階級選別部16での選別結果に対応した情報を、搬送装置3の近傍、より詳細には作業領域20において視認可能に出力する。作業領域20は、作業員30が、トレイ5内に収容された複数個の内容物6を、階級ごとに仕分けするための領域である。
【0064】
本実施形態では、選別結果出力部21は、LED(発光ダイオード)素子や、レーザ素子などを含む光源装置(情報出力用光源)で構成されており、選別結果に対応した光信号21Lをトレイ5に対して照射する。
【0065】
具体的には、個々の内容物6に対して階級に応じた異なる色の光21Lを照射する方法や、光21Lを照射することで階級に応じた文字や図形を個々の内容物6の面上や近傍に映し出す方法が採用され得る。また、別の方法としては、特定の階級に属する内容物6に対して、当該階級に応じた異なる色の光21Lを照射したり、階級に応じた文字や図形を映し出したりする方法が採用され得る。図4は、一例として、階級がLサイズに属すると判定された内容物6に対して、当該内容物6の面上に「L」の文字を映し出した様子を模式的に示す図面である。
【0066】
かかる構成によれば、作業員30は、トレイ5内に収容された複数個の内容物6のそれぞれがどの階級に属するかを、視覚的に容易に認識することができる。これにより、階級毎に仕分け作業を行う場合における作業効率が向上する。
【0067】
[第二実施形態]
重量選別システムの第二実施形態につき、第一実施形態と異なる箇所のみを説明する。図5は、第二実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。また、図6は、図5の重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
【0068】
本実施形態の重量選別システム1は、第一実施形態と比較して、更に希望階級入力部31を備える点が異なる。希望階級入力部31は、作業員30によって操作可能に構成された操作端末で構成され、トレイ5内に収容された複数個の内容物6のうち、作業員30が希望する特定の階級に関する情報(希望階級信号d31)を入力することができる。希望階級入力部31から入力された情報d31は、演算処理装置10に入力される。すなわち、希望階級入力部31は、演算処理装置10との間で情報の授受が可能に構成されている。希望階級入力部31は、例えば、タブレットPCや、ノートPC、スマートフォン、専用のタッチパネル装置などで構成され、演算処理装置10との間で無線通信接続が可能に構成されている。
【0069】
例えば、作業員30は、作業領域20内に存在するトレイ5内に収容された複数個の内容物6のうち、Lサイズに属する内容物6のみを、Lサイズ用の包装箱に移し替えることを希望しているとする。この場合、作業員30は、希望階級入力部31を介して希望階級信号d31としてLサイズに対応した信号を入力する。一例として、希望階級入力部31がスマートフォンで構成されている場合、作業員30は、画面上に表示されている複数の階級候補の中から、希望する階級(この例ではLサイズ)を選択する。
【0070】
演算処理装置10は、Lサイズに対応した希望階級信号d31の入力を受け付けると、トレイ5に配置されている複数個の内容物6のうち、Lサイズに該当する内容物6に対してのみ、光信号21Lを照射するように、選別結果出力部21に対して指示を行う。第一実施形態で上述したように、演算処理装置10は、トレイ5に配置されている複数個の内容物6のそれぞれが属する階級を認識しているため、Lサイズの階級に属する内容物6が配置されている位置に対して光信号21Lが照射されるよう、選別結果出力部21に対して指示を与えることができる。
【0071】
本実施形態の構成によれば、トレイ5内に収容された複数個の内容物6のうち、階級選別部16においてLサイズであると選別された内容物6のみを、選択的に目立たせることができる。例えば、図4に図示したように、Lサイズの内容物6の表面にのみ、「L」の文字が映し出される。作業員30は、この光表示に基づき、「L」の文字が現に映し出されている内容物6のみを包装箱に仕分けすればよい。他の階級についても同様の処理が可能であるため、説明は割愛される。
【0072】
[第三実施形態]
重量選別システムの第三実施形態につき、第一実施形態と異なる箇所のみを説明する。図7は、第三実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。また、図8は、図7の重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
【0073】
本実施形態の重量選別システム1では、複数の作業領域20が直列に配置されている。各作業領域20(20a,20b,‥‥)において、それぞれの作業員30(30a,30b,‥‥)が仕分け作業を行う態様が想定されている。なお、図7では、一つの作業領域20において一人の作業員30が仕分け作業を行う例が図示されているが、複数名の作業員30が仕分け作業を行ってもよい。
【0074】
本実施形態において、各トレイ5には、それぞれのトレイ5を個別に識別するための情報(識別情報)が付されている。この識別情報は、各トレイ5の面上に、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)などの形式に変換された形で貼り付けられているものとすることができる。以下では、各トレイ5の面上に、当該トレイ5の識別情報に対応したバーコードが付されているものとして説明する。
【0075】
本実施形態の重量選別システム1は、搬送装置3の上流側、及び作業領域20の近傍にそれぞれ、バーコードリーダ(41,43)が備えられている。バーコードリーダ(41,43)は、識別情報読取装置の一態様である。バーコードリーダ(41,43)は、搬送装置3の搬送面3a上に載置されて搬送されるトレイ5の面上に貼り付けられたバーコードを自動的に読み出すことができる。搬送装置3の上流側に設置されたバーコードリーダ41は、少なくともX線検出部7よりも上流側に配置される。作業領域20の近傍に配置されたバーコードリーダ43(43a,43b,‥‥)は、作業領域用識別情報読取装置に対応する。
【0076】
バーコードリーダ(41,43)は、演算処理装置10との間で情報の授受が可能に構成されている。すなわち、バーコードリーダ(41,43)と、演算処理装置10とは、有線又は無線により、通信接続が可能に構成されている。
【0077】
バーコードリーダ41は、搬送装置3の搬送面3a上に載置されて流れてくるトレイ5に付されたバーコードを読み込むと、このバーコードに係る情報(識別情報i5)を演算処理装置10に送信する。演算処理装置10は、このバーコードに係る情報に対応したトレイ5の識別情報i5を認識する。
【0078】
演算処理装置10は、X線検出部7から送信される画像情報d7、及び重量計測部9から送信される合成重量情報d9を、識別情報i5と関連付けて記憶部13に記憶させる。また、演算処理装置10は、この画像情報d7及び合成重量情報d9に基づいて、重量推定部15及び階級選別部16において演算された結果についても、識別情報i5と関連付けて記憶部13に記憶させる。
【0079】
バーコードリーダ43は、作業領域20の近傍に到着したトレイ5に付されたバーコードを読み込むと、このバーコードに係る情報(識別情報i5)を演算処理装置10に送信する。図8の例に示されるように、作業領域20aの近傍に到着したトレイ5aに付されたバーコード(識別情報i5a)が、バーコードリーダ43aに読み込まれて演算処理装置10に送信される。同様に、作業領域20bの近傍に到着したトレイ5bに付されたバーコード(識別情報i5b)が、バーコードリーダ43bに読み込まれて演算処理装置10に送信される。
【0080】
例えば、作業領域20aに配置された作業員30aが、作業領域20a内に存在するトレイ5a内に収容された複数個の内容物6のうち、Lサイズに属する内容物6のみを、Lサイズ用の包装箱に移し替えることを希望しているとする。この場合、第二実施形態と同様に、作業員30aは、希望階級入力部31を介して希望階級信号d31としてLサイズに対応した信号を入力する。このとき、希望階級入力部31から演算処理装置10に対して、希望階級入力部31に固有の情報、又は希望階級入力部31が設置されている作業領域20(ここでは作業領域20a)を識別するための情報が併せて送信される。
【0081】
演算処理装置10は、Lサイズに対応した希望階級信号d31の入力を受け付けると、この希望階級信号d31の発信元である作業領域20(ここでは作業領域20a)からの信号であることを認識すると共に、現時点で同作業領域20aに存在するトレイ5の識別情報(この例では識別情報i5a)を特定する。そして、この特定されたトレイ5の識別情報i5aに関連付けられた階級選別部16での選別結果に対応した情報d10を記憶部13から読み出し、作業領域20aに存在するトレイ5に配置されている複数個の内容物6のうち、Lサイズに該当する内容物6に対してのみ、光信号21Lを照射するように、選別結果出力部21に対して指示を行う。
【0082】
なお、本実施形態において、希望階級入力部31が専用の操作端末で構成されており、バーコード検出機能と、希望階級信号d31の入力とを兼用できる装置とすることも可能である。この場合、希望階級入力部31とバーコードリーダ43とを同一の装置(操作端末)で構成することができる。この場合、作業員30は、希望階級信号d31を入力する前後に、作業領域20に存在するトレイ5に付されたバーコードを読み出す作業を行えばよい。
【0083】
本実施形態のように、複数の作業領域20が直列に配置されている場合、例えば、作業領域20aではLサイズのみが仕分けされ、作業領域20aにおける仕分けが完了された後のトレイ5が下流に搬送され、次の作業領域20bではMサイズのみが仕分けられる、という態様の実施が可能である。この場合において、作業員30が仕分け作業中にトレイ5が移動することを防止する目的で、図8に示されるように、重量選別システム1が、搬送装置3の搬送速度を制御するための搬送制御部50を備えるものとしても構わない。例えば、搬送装置3として、複数組のコンベア群を直列に接続し、搬送制御部50からの制御信号に基づいて各コンベアが個別に稼働/停止/速度調整などの制御が実行される態様とすることができる。
【0084】
搬送制御部50は、演算処理装置10との間で情報の授受が可能に構成されていても構わない。かかる構成により、搬送制御部50は、各コンベアの稼働/停止/速度調整のタイミングを、自動的に検出することができる。
【0085】
なお、図9に示すように、搬送装置3が、引き出し用の搬送ライン(搬送コンベア)を有しており、引き出された各搬送ラインにおいて作業領域20が確定されているものとしても構わない。この場合、上流側に位置する作業領域20内での仕分け作業の完了を待たずに、下流側に位置する作業領域20内での仕分け作業が開始できる。すなわち、各作業員30は、対象となる作業領域20内に存在するトレイ5内に配置された複数個の内容物6につき、複数の階級について仕分け作業を行うものとすることができる。
【0086】
[第四実施形態]
重量選別システムの第四実施形態につき、上記各実施形態と異なる箇所のみを説明する。図10A及び図10Bは、本実施形態に係る重量選別システムの模式的な上面図である。また、図11は、本実施形態の重量選別システム1が備える演算処理装置10の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【0087】
本実施形態の重量選別システム1は、第一~第三実施形態とは異なり、保管領域70を有している。X線検出部7及び重量計測部9を通過したトレイ5に収容されている個々の内容物6は、上述した各実施形態と同様の方法に基づき、演算処理装置10によって階級毎に選別される。
【0088】
本実施形態では、第三実施形態と同様に、トレイ5にはそれぞれのトレイ5を個別に識別するための情報(識別情報i5)が付されている。一例として、識別情報i5を含む情報が、バーコード形式に変換された状態で、トレイ5の所定の面上に貼り付けられる。かかる構成により、識別情報読取装置の一態様であるバーコードリーダ41によって、X線検出部7及び重量計測部9を通過したトレイ5を、他のトレイ5と識別することが可能である。
【0089】
演算処理装置10の階級選別部16は、上記実施形態と同様の方法で、トレイ5内の内容物6を階級毎に選別する。階級選別部16は、この結果を、トレイ5を識別するための情報(識別情報i5)に関連付けた状態で、記憶部13に記憶させる。
【0090】
本実施形態の重量選別システム1において、選別処理が完了したトレイ5は、作業員35によって、搬送台71を用いて保管領域70内に搬送される。なお、図10Aにおいて、選別作業を担当している作業員を符号34で表し、選別処理が完了したトレイ5を保管領域70に運搬する作業を担当している作業員を符号35で表している。保管領域70は、一時的に内容物6を保管しても品質に影響が生じないように、例えば冷蔵機能が搭載されている。なお、トレイ5を保管領域70内に搬送する方法は、人力に限らず、ロボットやベルトコンベアなどの装置を用いても構わない。
【0091】
保管領域70に保管されていたトレイ5は、所定のタイミングで搬送台71を用いて保管領域70から取り出され、搬送装置3に載置される。この搬送装置3を通じて搬送されたトレイ5内に収容された複数の内容物6が、作業領域20内において作業員30によって階級ごとに仕分けられる。
【0092】
なお、図10Aでは、トレイ5内に収容されている内容物6を階級別に選別すべく、X線検出部7及び重量計測部9を通過させる目的の搬送装置3を、「搬送装置3e」と記載している。一方で、図10Bでは、保管領域70から取り出されたトレイ5内に収容された内容物6を、作業員30によって仕分けさせる目的で作業領域20に向かって搬送させる目的の搬送装置3を、「搬送装置3f」と記載している。
【0093】
本実施形態においても、第三実施形態と同様に、各作業領域20には、トレイ5に付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ43が設けられている(図10B参照)。搬送装置3(3f)を通じて搬送されたトレイ5は、バーコードリーダ43によって、トレイ5に付されたバーコードが読み取られる。このバーコードに係る情報(識別情報i5)は、バーコードリーダ43から演算処理装置10に送信される。これにより、演算処理装置10は、このバーコードに係る情報に対応した、トレイ5の識別情報i5を認識する。
【0094】
演算処理装置10は、記憶部13から、この識別情報i5に関連付けられたトレイ5の選別結果に係る情報を読み出す。そして、第三実施形態と同様に、演算処理装置10は、このトレイ5が配置されている複数個の内容物6のうち、指定されたサイズ(例えばLサイズ)に該当する内容物6に対してのみ、光信号21Lを照射するように、選別結果出力部21に対して指示を行う。
【0095】
すなわち、本実施形態の重量選別システム1によれば、トレイ5に収容された状態のままで内容物6を階級別に選別するタイミングと、実際にトレイ5に収容された内容物6を階級別に仕分けするタイミングとを、意図的に異ならせることができる。搬送装置3eを通じて行われる、トレイ5に存在する内容物6の階級毎の選別処理は、実際に内容物6を詰め替えるいう作業を必要としないため、短時間で完了する。一方で、搬送装置3fを通じて行われる、階級別の仕分け作業は、実際に内容物6を詰め替えるいう作業が必要となるため、作業工数が多くなる。
【0096】
例えば内容物6が青果物である場合、大量の内容物6(すなわち、大量のトレイ5)が同じ時間帯(例えば朝方)に搬入されることが多い。本実施形態によれば、まず全てのトレイ5に収容されている内容物6に対して選別処理を完了させた後に、仕分け作業を行うことができる。このため、本実施形態の重量選別システム1によれば、作業員(30,34,35)の配置を柔軟に対応することができる。一例として、選別処理のために配置する人員を少なくし、仕分け作業のために配置する人員を多くすることができる。
【0097】
図11に示すように、本実施形態の重量選別システム1において、演算処理装置10は、階級別個数算定部18を備える。階級別個数算定部18は、入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。
【0098】
上述したように、記憶部13には、トレイ5の識別情報i5に関連付けられた状態で、選別結果が記憶される。階級別個数算定部18は、記憶部13に記憶されている選別結果を読み出して、仕分け作業が未完了の複数のトレイ5に収容されている複数の内容物6について、階級別の個数を算定する。これにより、その日の仕分け作業が必要な内容物6の階級別の個数が、仕分け作業の開始前の段階で認識できる。この情報は、従来のシステムでは得られなかったものである。
【0099】
一例として、図11に示すように、演算処理装置10は、仕分け作業特定部81を備える。仕分け作業特定部81は、入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。
【0100】
従来は、仕分け作業の開始前の時点で、階級別の内容物6の個数が認識できていないため、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズのそれぞれの仕分け担当者の配置に関しては、経験則を加味しつつも、ある程度多くの人員を配置していた。この結果、例えば、Lサイズの個数がMサイズの個数よりも十分に多く、Sサイズの個数がMサイズの個数よりも少ない場合、Sサイズの仕分け担当者は、仕分け対象となる内容物6が少なく、結果的に待ち時間が長くなってしまうという状況が生じ得た。
【0101】
これに対し、本実施形態の重量選別システム1によれば、その日の仕分け作業が必要な内容物6の階級別の個数が、仕分け作業の開始前の段階で認識できている。従って、上記の例のように、Lサイズの個数がMサイズの個数よりも十分に多く、Sサイズの個数がMサイズの個数よりも少ない場合には、Lサイズの仕分けを行う作業領域20の数を最も多くし、Sサイズの仕分けを行う作業領域20の数を最も少なくするといった対応が可能である。すなわち、仕分け作業特定部81は、階級別個数算定部18が算定した結果に基づいて、複数の作業領域20のそれぞれに対して、仕分けを行う対象となる階級を指定する。例えば、Lサイズの個数が多い場合には、Lサイズの仕分けを行う作業領域20の数を多くし、Sサイズの個数が多い場合には、Sサイズの仕分けを行う作業領域20の数を少なくする、などの柔軟な対応が可能となる。
【0102】
なお、本実施形態では人力による仕分けを想定しているが、ロボットによる機械的な仕分けにおいても同様である。ロボットによる仕分け作業においても、仕分け作業中に、仕分け対象となる階級を変更することは作業効率性が低下するため好ましくない。上記の例のように、Lサイズの個数がMサイズの個数よりも十分に多く、Sサイズの個数がMサイズの個数よりも少ない場合には、Lサイズを仕分けるロボットの台数を多くし、Sサイズを仕分けるロボットの台数を少なくするなどの柔軟な対応が可能である。
【0103】
また、図12に示すように、演算処理装置10は、作業計画策定部82を備えるものとしても構わない。作業計画策定部82は、入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。
【0104】
作業計画策定部82は、階級別個数算定部18によって算定された、その日の仕分け作業が必要な内容物6の階級別の個数の情報に基づいて、各作業員30の作業計画を策定する。一例として、作業計画策定部82は、仕分け対象となる内容物6の個数が少ない場合には、当日に作業させる作業員30の数を減らしたり、作業時間を短くするなどの設定を行う。
【0105】
上述したように、従来は、選別から箱詰めまでの一連の作業が直列で連続的に行われていたため、仕分け作業の開始時点において階級毎の個数は把握できていなかった。一方で、内容物6が青果物などの場合には、鮮度が低下することは好ましくないことから、安全を見て、多めの人員を配置しておく必要があった。本実施形態の重量選別システム1によれば、上述したように、選別処理と仕分け処理を時間的に分断させることができるため、選別処理に必要な人員を最小限に留めることができる。また、仕分け作業の開始前の時点で階級別の個数が把握できているため、作業計画策定部82は、この個数に応じて適切な仕分け担当の作業員30の数や作業時間を設定することができる。
【0106】
なお、図10Bには図示を省略しているが、階級別に仕分け作業が完了した内容物6は、後段に搬送されて階級別に箱詰めされる。本実施形態の重量選別システム1によれば、その日の仕分け対象の内容物6の個数が、階級別に認識できるため、箱詰めに必要な人員の数及び時間を把握することができる。よって、作業計画策定部82は、箱詰め作業に必要な人員の数や作業時間を設定するものとしても構わない。
【0107】
また、図13に示すように、演算処理装置10は出荷計画策定部83を備えても構わない。出荷計画策定部83は、入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。
【0108】
出荷計画策定部83は、階級別個数算定部18によって算定された、その日の仕分け作業が必要な内容物6の階級別の個数の情報に基づいて、出荷先別の出荷個数を算定する。上述したように、本実施形態の重量選別システム1によれば、事前に階級別の個数が把握できているため、例えば各地の直近の階級別の市場価格を分析し、販売価格が高くなるように、階級毎に出荷先を指定することができる。従来は、受入れから仕分けまでの一連の作業が完全に完了するまで出来高が把握できないため、市場価格を分析した後に出荷先を指定する場合には、出荷が例えば翌日になり、鮮度が低下してしまうという課題があった。本実施形態の重量選別システム1によれば、受入れから仕分けまでの一連の作業が完了する前段階で、階級別の個数が把握できている。すなわち、出荷計画策定部83において、仕分け作業が完了した時点において記憶部13に記憶されている階級別の個数に関する情報を読み出して、市場価格に基づいて出荷先を決定することができる。
【0109】
更に、トレイ5に付されたバーコード(識別情報i5)に対し、当該トレイ5に収容された内容物6を生産した生産者に係る情報を関連付けておくものとしても構わない。上述したように、選別結果に係る情報は、トレイ5の識別情報i5に関連付けられた状態で記憶部13に記憶される。前記のとおり、この識別情報i5には生産者に係る情報も関連付けられている。このため、階級別個数算定部18は、記憶部13に記憶されている選別結果を読み出して、選別処理が完了した複数のトレイ5に収容されている複数の内容物6について、生産者毎に、階級別の個数を算定することができる。
【0110】
かかる構成によれば、受入れから仕分けまでの一連の作業が完了する前に、生産者別に取引価格を算定することができ、取引作業の正確性と迅速性が向上する。
【0111】
なお、上述した本実施形態では、重量選別システム1が保管領域70を有するものとして説明したが、本実施形態において、保管領域70を備えないものとしても構わない。すなわち、X線検出部7及び重量計測部9を通過し、階級選別処理が完了したものの、仕分け作業が完了していないトレイ5が、作業領域20よりも上流側の搬送装置3上で一時的に貯留されているような場合においても、同様の処理を行うことができる。
【0112】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0113】
〈1〉重量選別システム1は、トレイ5内を可視光により撮像するための撮像装置を備えていても構わない。図14は、図7に示した第三実施形態の重量選別システム1において、更に撮像装置53を備える場合の構成を模式的に示す上面図である。図15は、図14の重量選別システムの模式的な正面図及びブロック図である。
【0114】
図14及び図15に示すように、この重量選別システム1は撮像装置53を備えており、搬送装置3の搬送面3aに載置されて搬送されるトレイ5及びその内容物6を可視光によって撮像する。撮像装置53によって撮像されたデータ(撮像情報d53)は、演算処理装置10に送信される。撮像装置53と演算処理装置10とは、有線又は無線によって通信接続が可能に構成されている。
【0115】
また、この別実施形態の例では、演算処理装置10が優劣判定部17を備えている。優劣判定部17は、入力された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理手段であり、ソフトウェア又はハードウェアで構成される。優劣判定部17は、撮像装置53から送信された撮像情報d53に基づき、トレイ5内に配置された複数個の内容物6の優劣を判定する。例えば、撮像情報d53の画像情報に基づき、色相、彩度、明度などの各種情報を検出し、所定の閾値と比較することで判定する。優劣判定部17は、例えば、この判定処理により、劣悪であると判定した内容物6の情報を、記憶部13に記憶させる。
【0116】
上記実施形態と同様、作業員30が、作業領域20内に存在するトレイ5内に収容された複数個の内容物6のうち、Lサイズに属する内容物6のみを、Lサイズ用の包装箱に移し替えることを希望しているとする。この場合、作業員30は、希望階級入力部31を介して希望階級信号d31としてLサイズに対応した信号を入力する。
【0117】
演算処理装置10は、Lサイズに対応した希望階級信号d31の入力を受け付けると、トレイ5に配置されている複数個の内容物6のうち、優劣判定部17によって劣悪であると判定された内容物6を除き、Lサイズに該当する内容物6に対してのみ、光信号21Lを照射するように、選別結果出力部21に対して指示を行う。これにより、優良な内容物6のみを、同一階級の重量ごとに仕分けすることができる。
【0118】
なお、上記では、第三実施形態の場合を例に挙げて説明したが、第一実施形態や第二実施形態の重量選別システム1に対しても同様に適用可能である。
【0119】
〈2〉上記の各実施形態では、演算処理装置10が階級選別部16を備える場合について説明した。しかし、演算処理装置10が階級選別部16を備えていなくても構わない。すなわち、この場合、演算処理装置10は、トレイ5に配置された複数個の内容物6の重量を推定する装置として機能し、この態様の演算処理装置10を含むシステムは、重量測定システムとして機能する。
【0120】
〈3〉上述した第三実施形態では、複数の作業領域20が存在する場合に、各トレイ5にバーコード(識別情報)が付されており、この識別情報を読み込むためのバーコードリーダ(識別情報読取装置)41,43が備えられているものとした。しかし、作業領域20が単独である場合においても、バーコードリーダ41,43が備えられていても構わない。また、作業領域20の数や同時に搬送されるトレイ5の数が少ないなどの事情がある場合には、作業領域20が複数存在する場合であっても、バーコードリーダ(識別情報読取装置)41,43が備えられていなくても構わない。
【0121】
〈4〉上記各実施形態では、選別結果出力部21が情報出力用光源で構成されており、選別結果に対応した光信号21Lがトレイ5に対して照射されるものとした。しかし、選別結果に対応した情報の送信方法は、この態様には限定されず、作業員30によって選別結果に係る情報が視認可能な態様であれば、任意の方法を採用することができる。
【0122】
例えば、作業領域20に不図示のモニタが設置されており、このモニタ上に、トレイ5に分散配置されてなる各内容物6の載置態様と、当該載置された内容物6が属する階級を示す情報とが、併せて表示されるものとしても構わない。
【0123】
〈5〉上記各実施形態では、重量計測部9が、X線検出部7と作業領域20との間の位置に配置されているものとした。つまり、X線検出部7は、重量計測部9よりも上流側に配置されているものとした。これにより、X線検出部7の配置位置を、作業員30から遠ざけることができ、作業員30に対する精神的・心理的な負担を軽減する効果が期待される。
【0124】
ただし、この態様はあくまで一例であり、重量計測部9がX線検出部7よりも上流側に配置される場合を本発明から排除する趣旨ではない。
【0125】
〈6〉第三実施形態において上述したように、複数の作業領域20が配置されている場合、選別結果出力部21からの光信号21Lの照射対象となる階級が、各トレイ5に収容されている内容物6の傾向に応じて自動的に選択されるものとしても構わない。内容物6が青果物である場合、時季や収穫場所に応じて、内容物6の大きさに所定の傾向が生じる。例えば、大きさの階級として、S/M/L/2Lの4種類存在が存在する場合、ある時季においてはMが最も多く、別のある時季においてはLが最も多いような分散傾向を示す。各作業領域20に配置された作業員30の作業負担を均一化する目的で、各作業領域20に配置されたトレイ5内に収容された内容物6のうちの、時季などに応じて発生傾向の高い階級に属する内容物6が、自動的に選択されて視認可能な状態になるものとしても構わない。第四実施形態においても同様である。
【符号の説明】
【0126】
1 : 重量選別システム
3 : 搬送装置
3a : 搬送面
3e,3f : 搬送装置
5 : トレイ
6 : 内容物
7 : X線検出部
7a : X線発生部
7b : X線ラインスキャナ
7L : X線
9 : 重量計測部
10 : 演算処理装置
13 : 記憶部
14 : 画像処理装置
15 : 重量推定部
16 : 階級選別部
17 : 優劣判定部
18 : 階級別個数算定部
20 : 作業領域
20a,20b,20c,20d : 作業領域
21 : 選別結果出力部
30 : 作業員
30a,30b,30c,30d : 作業員
31 : 希望階級入力部
34 : 作業員
35 : 作業員
41 : バーコードリーダ(識別情報読取装置)
43 : バーコードリーダ(作業領域用識別情報読取装置)
50 : 搬送制御部
53 : 撮像装置
61 : 箱体
62 : 板状部材
63 : 板状部材の窪み
70 : 保管領域
71 : 搬送台
81 : 仕分け作業特定部
82 : 作業計画策定部
83 : 出荷計画策定部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15