(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】制御容積点滴器
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20220328BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20220328BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61M35/00
A61M39/10 100
A61J1/05 313A
(21)【出願番号】P 2018568892
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2017053906
(87)【国際公開番号】W WO2018002866
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】102016000031850
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516388388
【氏名又は名称】ドンペ ファーマスーチシ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド リッチ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-265607(JP,A)
【文献】国際公開第01/064266(WO,A1)
【文献】特表2013-530014(JP,A)
【文献】特表2010-535536(JP,A)
【文献】特開昭60-053678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61M 39/10
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用製品の滴下および引き抜きのための医療用デバイス(100)であって、
- 中空円筒形の本体(10)と、
- 前記中空円筒形の本体(10)の内側で摺動自在に移動でき、かつ、ゴムワッシャ(40)が固定される頭部(21)を備える、ロッド(30)であって、前記ワッシャは、前記ロッド(30)の摺動中、前記中空円筒形の本体(10)の内表面に接触しており、異なる直径の2つの部分(22、24)として形成されるロッド(30)と
から成り、
- 前記デバイス(100)が、中空円筒形の本体(10)とロッド(20)との間に、前記中空円筒形の本体(10)に前記医療用製品の最大の吸引に限界を設け
るために前記ロッド(20)のより大きい円形断面を持つ前記部分(22)の通過を妨げるように前記2つの部分(22、24)の間の移行帯に形成された肩に当接する止め具(32)が設けられる密閉ブッシュ(30)を備え、前記密閉ブッシュ(30)は、前記中空円筒形の本体(10)内に形成された相補的なかみ合い結合する手段(17)と協働するように構成されたかみ合い結合する手段(34)を備えることを特徴とするデバイス(100)。
【請求項2】
前記中空円筒形の本体(10)は、前記中空円筒形の本体(10)の内径よりも小さい内径を持つ前端部分(12)を有し、機械的な止め具(19)が、前記前端部分(12)上に画定されている請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記ロッド(20)のより大きい円形断面を持つ前記部分(22)は、前記止め具(32)と前記機械的な止め具(19)との間に限定されたストロークを有する請求項2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記前端部分(12)は、使用者による前記デバイス(100)の把持を改善するように設計された多角形の形状の外表面(15)を有する請求項2または3に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記中空円筒形の本体(10)は、前記密閉ブッシュ(30)を収容するための座(13)を画定する後端部分(14)を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記密閉ブッシュ(30)の前記かみ合い結合する手段(34)は、前記密閉ブッシュの外表面(33)上に形成された1対の溝(34)から成り、前記中空円筒形の本体(10)の前記相補的なかみ合い結合する手段(17)は、前記中空円筒形の本体(10)の前記後端部分(14)の内表面(18)上に形成されたリブ(17)から成り、またはその逆である請求項
5に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記ロッド(20)の自由端部(26)において前記ロッド(20)と結合され得るスライダ(50)も備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記スライダ(50)は、前記ロッド(20)の前記自由端部(26)を収容するための座(51)を画定する中空の本体(52)を備える請求項7に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
前記スライダ(50)は、前記ロッド(20)に形成された相補的なかみ合い結合する手段(27)と協働するように構成された少なくとも1つのかみ合い結合する手段(53)を有する請求項8に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記スライダ(50)の前記かみ合い結合する手段(53)は、前記座(51)の内表面上に形成された1対の溝(53)から成り、前記ロッド(20)の前記相補的なかみ合い結合する手段(27)は、前記ロッド(20)の前記自由端部(26)に形成された1対のリブ(27)から成り、またはその逆である請求項9に記載のデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療製品を少用量で滴下するための、また、ルアーロック継手のためのアダプタが取り付けられ得る瓶から医療用液体を引き抜くための、点滴器またはシリンジデバイスに関する。より詳細には、本発明は、制御された容積点滴器(controlled volume dropper)(以下、制御容積点滴器)に関する。
【0002】
本発明の応用分野は、薬物、具体的には眼液剤(eye solution)の滴下による適用のための医療機器に関するものである。詳細には、本発明による制御容積点滴器は、その内側で密閉されたプランジャが摺動し、また、人体内に流体を注入するかまたは人体内の流体を引き抜く、中空円筒形の本体によって形成される点滴器の範疇に入るものである。
【0003】
制御容積点滴器は、比較的少なくかつ予め定められた体積の医療製品を吸引および投与するが注射はしないデバイスである。本発明は、取り扱うにはあまりにも小さいシリンダ/リザーバの断面を必要とするであろう少用量の流体の投与を、一般的な寸法のシリンジを使用して可能にする。
【0004】
当技術分野で知られているように、シリンジ注射器(syringe injector)の動作原理は十分に文書化されているが、本明細書では、関連する現行技術は、投与される流体の体積を機械的に制御するためのシステムが応用されるシリンジに関するものである。
【背景技術】
【0005】
現行技術は、流体の制御された体積の分注を達成することを目的とした多数の発明および解決策によって表される。
【0006】
第2のチャンバがより細くかつ目盛りの付いた部分を有する、二重の容積測定のチャンバが提案されている(例えば、特許文献1参照)。同様の解決策であるが、2つのリザーバが同一のシリンダ内に収容される解決策が提案されている(例えば、特許文献2参照)。プランジャのストロークを前もって制限して、注射される液体の体積を決定する、機械的な止め具が導入されている(例えば、特許文献3参照)。二重チャンバとプランジャの機械的な止め具とを有する、2つのシステムの「融合」から成るものもある(例えば、特許文献4参照)。同様に、流体の圧力が2つのチャンバ間で一定であり続けるように、一方を他方の内側に挿入して2つのリザーバを連絡させる、類似の容積測定の制御システムも示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
現在市場に出ているシステムのほとんどが、2つの主な欠点を有する:
- それらは、少量の制御された体積を滴下しなければならないという事実にもかかわらず、かさばっていて、操作するのに複雑であり、かつ、取扱いが容易ではない。要するに、それらは、片手だけでの使用を可能にしない。
- 第2の欠点は、それらが組み立てるのに複雑なデバイスであることである。部品の組立ては、結果的に高い製造費用をもたらし、また、それらの複雑さを考えると、部品は、位置のずれにさらされて、操作に対する能力を損ない、かつ、使用を難しくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国実用新案第202113430号明細書
【文献】中国実用新案第202982801号明細書
【文献】台湾特許出願公開第201402165号公報
【文献】国際公開第2014/164419号
【文献】国際公開第2014/164685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、知られたタイプのデバイスに関連して上記で述べられた欠点を克服するかまたは少なくとも低減するように構成された点滴器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より具体的には、本発明は、
- それが、製品の液滴を滴下しかつ3本の指で操作され得る通常のシリンジのように機能し、
- それが、使用とともに悪変し得る遊びまたは継手を伴わずに、完全に整合する機械的な要素-シリンダ、ロッド、および支持表面または止め具-で構成され、
- それが、薬物がその容器から容易に引き抜かれることを可能にする
という点で、これらの欠点を克服する。
【0011】
したがって、本発明によれば、液滴形態での医療製品、具体的には眼科用製品の滴下のために、
- 中空円筒形の本体と、
- 中空円筒形の本体の内側で摺動自在に移動でき、かつ、ゴムワッシャが固定される頭部を備える、ロッドであって、ワッシャが、ロッドの摺動中、中空円筒形の本体の内表面と接触しているロッドと
を備える医療用デバイスが提供される。
【0012】
デバイスは、ロッドが、異なる直径の2つの部分で形成されること、および、それが、中空円筒形の本体とロッドとの間に、ロッドのより大きい円形断面を持つ部分の通過を妨げる止め具が設けられる密閉ブッシュを備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、デバイスは、側部表面が丸くなるのではなく多角形になるように、円筒形の表面ではなく傾斜した平坦な面をルアーロック帯に有する。この形状は、薬物の移動とその後の眼へのその滴下とを行うために点滴器をアダプタに「ねじ込む」必要がある患者のために、グリップを大幅に強める。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として添付の図面に示された本発明による点滴器またはシリンジの好ましいが、排他的ではない実施形態に関する説明から、より明らかになるであろう。
【
図1】完全に開口する位置、すなわち、中空円筒形の本体からロッドが完全に後退された位置における、本発明によるデバイスの側面図である。
【
図2】完全に閉塞された位置、すなわちロッドが中空円筒形の本体の内側に完全に挿入された位置における、
図1のデバイスの背面図である。
【
図3】
図2の線III-IIIに沿った断面図である。
【
図5】ルアーロック継手帯における多角形の把持表面を詳細に示す、本発明によるデバイスの中空円筒形の本体の斜視図である。
【
図6】
図5の中空円筒形の本体の長手方向に切断された図である。
【
図6a】
図6において囲まれて示された細部の詳細な図である。
【
図7】本発明によるデバイスの密閉ブッシュの斜視図である。
【
図10】本発明によるデバイスのロッドの側面図である。
【
図11】本発明によるデバイスのスライダの斜視図である。
【
図13】
図12の線XIII-XIIIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、いくつかの例示的な実施形態を特に参照しながら、例示的であるが非限定的な例として、本発明を説明する。
【0016】
本発明は、以下点滴器と呼ばれるデバイスより成り、このデバイスは、知られておりかつ予め定められた少量の医療製品を抜き取って供給または滴下するために使用され得る。
【0017】
図1から
図4を参照すると、参照番号100により全体が表される点滴器は、中空円筒形の本体10と、中空円筒形の本体10の内側で摺動自在に移動できるロッド20とを備える。
【0018】
中空円筒形の本体10は、前端部分12および後端部分14を有し、そのそれぞれが、中空円筒形の本体10の外径よりも大きい外径を有する。
【0019】
前端部分12は、ルアーロック継手11を備え、かつ、中空円筒形の本体10の内径よりも小さい内径を有する。前端部分12の内径は、漏斗状に先細りになり、それにより、滴下すべき医療用液体の1つまたは複数の滴の退出のための通路16を画定することが、好ましい。したがって、前端部分12において、中空円筒形の本体10の内表面に、支持表面または機械的な止め具19が形成され、これは
図6に見ることができる。
【0020】
好ましくは、また、
図5に詳細に示されるように、中空円筒形の本体10の前端部分12は、好ましくは八角形の断面とともに、切子面状の(faceted)外表面15を有する。外表面15のこの特定の形態は、引き抜かれてその後眼に滴下されるべき医療用液体、例えば眼液剤を収容している瓶またはバイアルの開口部上に設けられた対応するルアーロックアダプタへの点滴器100の係合またはルアーロックアダプタからの点滴器100の係脱中に、使用者によるルアーロック継手の把持を有利に改善する。
【0021】
好ましい実施形態では、切子面状の外表面15の1つまたは複数の面が、隆起部15aを備え、好ましくは4つの隆起部15aが、切子面状の外表面15の1つおきの面上に形成される。
【0022】
図6を参照すると、後端部分14は、以下で詳細に説明される密閉ブッシュ30-
図7から9に詳細に示される-のハウジングのための座13を画定するように、中空円筒形の本体10の内径よりも大きい内径を有する。
【0023】
図10により詳細に示されるように、点滴器100のロッド20は、2つの部分を備える。より具体的には、ロッド20は、より大きい円形断面を持つ第1の部分22と、より小さい円形断面を持つ第2の部分24とを有する。ロッド20の第1および第2の部分22、24は、ロッド20のストローク中に第1の部分22は中空円筒形の本体10から出てくることができないが第2の部分24は中空円筒形の本体10の内外で摺動することができるようになっている。したがって、ロッド20の第1の部分22と第2の部分24との間の移行帯には、肩25が存在し、その機能は、この説明の以下の部分でより明らかになる。
【0024】
ロッド20はまた、より大きい円形断面を持つ部分22から延在する頭部21を有し、この頭部21には、ゴムワッシャ40が、例えばかみ合わせられるかまたは接着されるかして、固定される(
図3および4)。中空円筒形の本体10の内側でのロッド20のストローク中、ゴムワッシャ40は、中空円筒形の本体10の内表面と接触し続け、また、点滴器100の全閉塞の位置-
図3に示される-では、ゴムワッシャ40は、中空円筒形の本体10の支持表面19に当接する。
【0025】
図7から9により詳細に示されるように、密閉ブッシュ30は、中空円筒形の本体10の後端部分14の内径と実質的に同じ外径を有する。密閉ブッシュ30はまた、支持表面または機械的な止め具32を備えた内表面31を有し、以下でより明らかになるように、点滴器100の使用中、この支持表面または機械的な止め具32には、ロッド20の肩25が当接し得る。
【0026】
さらに、密閉ブッシュ30は、その外表面33に、中空円筒形の本体10の後端部分14の座13の内表面18上に形成された対応するリブまたは隆起部17とかみ合って結合する(couple interlockingly)ように構成された少なくとも1つの溝34、好ましくは環状溝を有する。図面に示された実施形態では、1対の環状溝34、およびリブ17が設けられている。あるいは、密閉ブッシュ30上に少なくとも1つのリブまたは隆起部を設け、中空円筒形の本体10内に対応する溝を設けることも可能である。
【0027】
密閉ブッシュ30と中空円筒形の本体10との間のこのかみ合い結合(interlocking coupling)は、これら2つの構成要素の、したがって本発明による点滴器100の組立ての方式を、有利に促進する。
【0028】
ロッド20は、そのストローク中、断面の突然の変化、すなわち顕著でありまた接続する半径を持たない第1の部分22と第2の部分24との間の支持表面25と、密閉ブッシュ30とによって停止される。
【0029】
それのこの独特の形状、および密閉ブッシュ30の存在のために、
図4に示された点滴器100の完全な開口中、ロッド20のより大きい円形断面を持つ第1の部分22が、密閉ブッシュ30に、具体的にはロッド20のより小さい円形断面を持つ第2の部分24が通過することを可能にするがより大きい円形断面22が通過することを可能にしないようなものであるその支持表面または機械的な止め具32にぶつかるので、ロッド20は、デバイス100の中空円筒形の本体10から完全に抜け出ることができない。
【0030】
ロッド20のより大きい円形断面を持つ第1の部分22は、予め定められた長さを有する。このようにして、中空円筒形の本体10の内部容積Vが定められる。典型的には、中空円筒形の本体10の予め定められた内部容積Vは、医療用液体のおおよそ2~3滴分、すなわち約135mm3に等しい。
【0031】
したがって、ロッド20の断面の突然の変化、および、密閉ブッシュ30の支持表面または機械的な止め具32は、医療製品の最大の吸引に限界を設けかつロッド20と密閉ブッシュ30との間の機械的な支持表面の作成を可能にする、機械的な止め具を決定する。
【0032】
さらに、ロッド20の断面の狭まりは、密閉ブッシュ30と一緒に、確実かつ再現可能な支持表面を得ることを可能にし、これはまた、実現するのが簡単である。
【0033】
さらに、中空円筒形の本体10の内側でのロッド20の摺動運動中、ゴムワッシャ40と中空円筒形の本体10の内表面との間に、制御された摩擦が存在する。この摩擦は、滴下されなければならない単一の滴の流れを調整することにとって大変重要なものである。中空円筒形の本体10と接触して配置されかつロッド20とかみ合ったゴムワッシャ40は、この機能を果たす。
【0034】
点滴器100は、
図11から13に詳細に示されたスライダ50をさらに備え、このスライダ50は、ロッド20のより小さい円形断面を持つ第2の部分24の自由端部26上にかみ合って結合される(
図3)。
【0035】
スライダ50は、使用中、中空円筒形の本体10の内側でロッド20を操作して眼液剤の量を抜き取りその後に眼内に滴下するために、点滴器100の使用者により3本の指でつままれるように構成される。
【0036】
スライダ50は、具体的には、そこからフランジ54が延在する中空の-好ましくは円筒形の-本体52を備える。中空の本体52は、ロッド20のより小さい円形断面を持つ第2の部分24の自由端部26を収容するための座51を画定する。
【0037】
座51の内表面は、ロッド20の自由端部26上に形成されたそれぞれのリブ27とかみ合って結合するように構成された少なくとも1つの溝、好ましくは環状溝、この実施形態では1対の環状溝53を備える。ロッド20とスライダ50との間のこのかみ合い結合は、有利には、これら2つの構成要素の、したがって本発明による点滴器100の組立ての方式を促進する。あるいは、ロッド20のより小さい円形断面を持つ第2の部分24の自由端部26上に少なくとも1つのリブを設け、スライダ50の座51の内表面上に対応する溝を設けることも可能である。
【0038】
次に、
図3および4を参照しながら、本発明による点滴器100の操作を開示する。
【0039】
以下、眼科用液体に言及するが、滴下すべき任意の他の医療用液体の場合にも同一の考慮が全面的に適用可能であることが、理解される。
【0040】
典型的には2~3滴である予め定められた量の眼液剤を使用者が彼の/彼女の眼に滴下しなければならないと仮定する。初期状態では、点滴器100は、
図3に示されたその完全に閉塞された位置にあり、ゴムワッシャ40は、中空円筒形の本体10の支持表面または機械的な止め具19に当接している。使用者は、まず、点滴器100のルアーロック継手11と、滴下すべき眼液剤を収容しているバイアル(図示せず)の口に設けられたルアーロックアダプタ(図示せず)とを結合する。この結合操作は、中空円筒形の本体10の前端部分14の外表面15の切子面状の形態によって促進される。
【0041】
続いて、使用者は、点滴器100のスライダ50に作用することにより、ロッド20の肩25が密閉ブッシュ30の支持表面または機械的な止め具32に当接するまで、中空円筒形の本体10の内側でロッド20を後退させる。この状況は、
図4に示されている。この後退する運動に引き続いて、中空円筒形の本体10の容積Vは、予め定められた量の眼液剤で満たされる。必要な量の眼液剤がバイアルから引き抜かれると、使用者は、点滴器をバイアルから係脱させ、次いで、眼への眼液剤の滴下を進める。この目的のために、彼または彼女は、再びスライダ50に作用して、ゴムワッシャ40が中空円筒形の本体10の支持表面または機械的な止め具19に当接するまでロッド20を中空円筒形の本体10の内側で前方に移動させるように、それに押す力を加え、結果的に眼液剤の滴下が完了する(
図3)。すると、滴下の操作は、終了したと見なされ得る。
【0042】
本発明の利点
試作品を使用して行われた試験では、制御容積点滴器は、考慮に値する使い易さと、機能的および機械的な特徴の長期間にわたる優れた持続性とを示した。
【0043】
製造および組立ての費用は、極めて低い。
【0044】
これらの2つの要素の組合せ、つまり、使い易さおよび低費用は、制御容積点滴器の普及およびマーケティングを比較的容易にする。
【0045】
デバイスは、3本の指だけで保持される。デバイスの寸法は、この目的のために特に設計されてきた。さらに、眼に滴を滴下するために患者が行わなければならない動作は、滴の滴下の方向におけるものであり、すなわち、患者は、スライダを圧迫しなければならない。デバイスには横方向の力が付与されないので、それは、横に移動せず、揺動することまたは位置を変えることがなく、患者が滴下を容易にかつ安全にまた眼に非常に近い距離で行うことを可能にする。
【0046】
提供された説明から、本発明の主題を形成する点滴器の特徴は、関連する利点と同様に明らかである。
【0047】
本発明の教示から逸脱することなく、上述の実施形態のさらなる変形形態が可能である。
【0048】
最後に、このようにして設計された点滴器は多くの変更および変形を受け得ることが明白である。さらに、全ての細部は、技術的に同等の要素に置き換えられ得る。実際には、技術上の要求に応じて、任意の材料および寸法が使用され得る。