(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】消臭材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20220328BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20220328BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20220328BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61L9/01 B
A61L9/014
B01J20/10 C
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2019161393
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2019-09-04
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】廖徳超
(72)【発明者】
【氏名】徐森煌
(72)【発明者】
【氏名】鄭維昇
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-223645(JP,A)
【文献】特開昭63-220874(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B01J 20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸亜鉛が含まれ
、ジルコニウム(Zr)の金属元素がドープされた複合金属ケイ酸亜鉛化合物を主成分とした、ことを特徴とする、アンモニアガスと酢酸を吸収できる消臭材料。
【請求項2】
分子式
M
X
N
Y
Zn
2-X-Y
SiO
4
で表される複合金属ケイ酸亜鉛化合物を主成分とした(ただし、MとNは異なる金属元素であり、M
はジルコニウム(Zr)金属元素であり、Nはジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、
アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)から選ばれる一種の金属元素であり、Siはケイ素であり、Oは酸素であり、X、Yは正数であると共に0<X≦1.0、0
<Y≦1.0、0≦Y/X≦1.0を満たす)、ことを特徴とする、アンモニアガスと酢酸を吸収できる消臭材料。
【請求項3】
(a)
塩化亜鉛、硝酸亜鉛および酢酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛の前駆体をエタノールに溶解してA溶液を調製する工程と、
(b)
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)をエタノールに、また
はジルコニウム金属元素を含む二酸化ケイ素に溶解して
Bとする工程と、
(c)消臭材料の組成により、C溶液を調製する必要がある場合、鉱化剤としてNaClが使用され
、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、
アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)から選ばれる1種以上の金属元素を含有する塩化物を適切な比率で水と混合してC溶液を調製する工程と、
(d)前記A溶液と前記
Bを室温で10分間均一に攪拌した後、消臭材料の組成に応じて、前記C溶液を添加するかまたは添加せずに、110℃のオイルバスに入れて12時間で還流・加熱して、複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得る工程と、
(e)乾燥後、前記複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を高温炉に入れて焼成し、高温炉内で1分あたり2~10℃の昇温速度で650~1000℃の温度で焼成熱処理を行い、複合金属ケイ酸亜鉛化合物粉末を製造する工程と、
(f)製造された前記複合金属ケイ酸亜鉛化合物粉末を、粒径3μm以下に粉砕されて、次いでバインダーと混合してスラリーを形成してから、噴霧造粒して80
μm未満の粒径を有するミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を消臭材料として形成する工程と、
を備える、ことを特徴とする、消臭材料の製造方法。
【請求項4】
工程(e)の前駆体は高温炉で800~1000℃の温度で焼成熱処理を行う、請求項3に記載の消臭材料の製造方法。
【請求項5】
工程(e)の
前駆体を高温炉に入れて焼成する過程では、1段目のプリベーク熱処理を300~450℃の高温炉で行い、その後、2段目の焼成熱処理として650~1000℃に昇温する、請求項3に記載の消臭材料の製造方法。
【請求項6】
工程(e)では、プリベーク熱処理及び焼成熱処理の際、水素ガス及びアルゴンガスを導入する条件下で熱処理を行う、請求項3、
4、または
5に記載の消臭材料の製造方法。
【請求項7】
工程(e)では、焼成熱処理の処理時間は、1~2時間である、請求項
6に記載の消臭材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭材料およびその製造方法に関し、特に、異なる族の元素を共ドープすることにより、アミンや酢酸などのガスの消臭性能を向上させる消臭材料に関する。処理工程を簡略化し、製造コストを削減するという利点を有する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術において、天然植物は消臭剤として広く使用されている。例えば、中国特許公開番号CN1121834は、天然植物を原料として、アルコール(濃度:90~95%):ミカンの皮:竹の葉を2.5~7.5:0.5~1.5:0.1~0.3の重量比で混合し、密封された瓶に浸して液体消臭剤を調製する。使用時には、瓶の中の消臭剤は、消臭が必要とされる公共の場所に噴霧するだけでよく、臭いはすぐに取り除かれる。優れた消臭効果に加えて、消臭剤は殺菌および消毒の機能も有する。消臭剤は、使用が簡単であるだけでなく、広範囲の用途があり、そしてそれは無毒で無害で人体に副作用を全く及ぼさない。しかしながら、原料としての天然植物の使用に基づくと、製造された消臭剤が耐久性を有しなく、複雑的な加工工程を必要となり、製造するのに費用もかかるという欠点がある。
【0003】
例えば、中国特許公開第102475898号明細書は、純粋な天然植物からなる空気清浄剤を開示しており、その主な成分は、スイカズラ(Lonicera japonica)、菊、ヒバ実シェル(Arborvitae shell)、ミントの葉、安息香、ボルネオール、ムスク、蘇合香、ホソバオケラ(蒼朮)、艾葉、ダキンジの葉、バラの花、サンダルウッド、フジバカマ、セキショウが主な構成要素として所定の配合で構成される。そのような空気清浄剤を周囲環境にスプレーすると空気清浄の目的を達成することができる。
【0004】
関連技術では、消臭剤としての天然植物の使用に加えて、金属酸化物を天然植物と混合することによって製造された消臭剤も広く使用されている。例えば、中国特許公開第CN102888155A号明細書では、12~40%のエマルジョン、5~20%の二酸化チタン粉末、12~20%の珪藻土、2~6%のアタパルジャイト、4~8%の竹炭粉末、3~10%のナノTiO2/アニオン粉末添加剤、5~10%の軽質炭酸カルシウム、5~10%のカオリン、1~5%のプロパンジオール、2~5%の助剤、および10~30%の脱イオン水を含む無臭の環境に優しい加湿抗菌塗料を開示している。無臭で環境にやさしい加湿抗菌塗料は、教室、オフィス、病院などの内壁に塗布され、空気清浄、脱臭、殺菌、およびカビ防止の効果がある。
【0005】
例えば、中国特許公開第CN101378788号明細書には、無機粉末とアニノグアニジン塩を用いてアルデヒド系ガスの発生を抑制したアルデヒド系ガス消臭剤が開示されている。しかしながら、製造工程においては、無機粉末とアニノグアニジン塩とを調製して混合するために大型の混合装置を使用する必要があり、製造コストが高い。
【0006】
中国特許公開第CN1370806号明細書は、ナノ抗菌プラスチックを開示しており、プラスチック樹脂マトリックスにナノスケールの無機酸化物を加えるように構成され、ここで、ナノスケールの無機酸化物は、チタン、亜鉛、カルシウム、マグネシウムまたは銀からなる群から選択される少なくとも2つの酸化物から選択され、その合計量は、プラスチック樹脂マトリックスの0.5~5重量%である。調製されたナノ抗菌プラスチック自体が抗菌、抗菌、防腐、防カビの機能を持ち、食品の保存期間を延ばし、プラスチック製品の強度、硬度、および耐用年数を向上させることができる。しかしながら、製造工程においては、ナノスケールの無機酸化物を混合するために大型の混合装置を使用する必要があり、製造コストが高い。
【0007】
また、中国特許公開第CN106714850号明細書は、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとを含む結晶性酸化亜鉛を含む消臭剤が開示されている。また、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとのモル比(ZnO/Al2O3)は40~80であり、硫黄系ガスおよび酸性ガスに対する消臭効果が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国特許公開番号CN1121834号明細書
【文献】中国特許公開第102475898号明細書
【文献】中国特許公開第102888155号明細書
【文献】中国特許公開第CN101378788号明細書
【文献】中国特許公開第CN1370806号明細書
【文献】中国特許公開第CN106714850号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の技術的な不足に対して、消臭材料、特に複合金属ケイ酸亜鉛化合物を主成分とする消臭剤、およびアミンや酢酸などのガスに対して高い消臭効果を有し、さらに、処理工程が単純であり、処理温度を下げることができ、そしてコストが低い化合物を提供する。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、複合金属ケイ酸亜鉛化合物の製造方法を提供する。まず、複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を焼成熱処理するために高温炉に仕込み、高温炉を分毎に2~10℃を昇温するように昇温速度が制御される。高温炉を450~1200℃、好ましくは650~1000℃の温度に加熱すると、直ちに高温炉内の温度が一定に保たれるように制御され、かつ水素とアルゴンの雰囲気下で焼成熱処理が行われ、複合金属ケイ酸亜鉛化合物粉末を調製する目的を達成するために熱処理時間を制御する。この製造方法は、複合金属ケイ酸亜鉛化合物の化学組成の安定性を促進するだけでなく、変動性も減少させ、元素が不適切な比率で含まれる複合金属ケイ酸亜鉛化合物を製造しないため、ケイ酸亜鉛化合物粉末に、アンモニア系ガスまたは硫黄系ガスに対して優れた消臭性を持たせることができる。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、複合金属ケイ酸亜鉛化合物である、M
X
N
Y
Zn
2-X-Y
SiO
4
の分子式を有する消臭材料は共沈法によって合成される消臭材料を提供する。なかでも、MとNは異なる金属元素であり、Mはアルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)の金属元素であり、Nはジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)から選ばれる金属元素である。Siはケイ素で、Oは酸素であり、X、Yは正数であると共に、かつ、0<X≦1.0、0<Y≦1.0、0≦Y/X≦1.0を満たす。特に、NとZnが共存し、N:Alのモル比が1.0以下であると、消臭効果が発揮される。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、適切な割合のアルミニウム(Al)とジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)など他の異なる族の金属元素から選ばれる1つとを共ドープした複合金属ケイ酸亜鉛化合物である消臭材料を提供する。この化合物は、長期間持続する消臭効果があり、特にアミンや酢酸などの気体に対して消臭効果がある。
【0014】
複合金属ケイ酸亜鉛化合物の製造方法は、複合ジルコニウムシリケートのジルコニアへの部分的に還元によるアンモニアガスが弱まれてしまうことを避けために、熱処理工程段階において所定割合の混合水素とアルゴンを通すことである。酢酸の吸収特性と同時に、水素とアルゴンは耐用年数を延ばすことができ、すなわち、耐候性は良好です。
【0015】
本発明では、ジルコニウム(Zr)とアルミニウム(Al)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)などの他の異なる群の元素とを共ドープした複合金属ケイ酸亜鉛化合物である消臭材料を提供する。ジルコニウム(Zr)の第3群の元素に対するドーピング比が0.01から1.0の間であると、適切な高温炉の熱処理条件下でのドーピング比がより高くそして抗菌効果がより高くなる。したがって、製造業者は、抗菌性および脱臭の要件に従って、さらにはコストの考慮に従って、適切的にアルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモンおよびビスマスの添加量を調整することができ、それによって調整可能な脱臭材料脱臭材料を製造する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の消臭材料およびその製造方法は以下の有益な効果を有する。
1、消臭材料の加工は簡単で、安価である。
2、消臭材はZn、Alと共存しており、アンモニアおよび酢酸に対して優れた消臭効果を発揮する。
3.消臭材はZn、Zr元素と共存し、優れた抗菌性を発揮する
4.消臭材料は安定した品質と長期にわたる消臭効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のアルミニウムドープ複合ケイ酸亜鉛を製造する工程を示すフローチャートである。
【
図2】本発明のアルミニウムドープ複合ケイ酸亜鉛微粒子のXRDスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の消臭材は、品質上安定であるだけでなく、特にアンモニアガスや酢酸を吸収することを目的とした長期消臭効果もある。本明細書では、以下の4種類の実施形態を開示している。
【0019】
第1の実施形態では、酸化亜鉛および酸化ケイ素を含有する複合金属ケイ酸亜鉛化合物である。
【0020】
第2の実施形態では、アルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)元素でドープされた複合金属ケイ酸亜鉛化合物である。
【0021】
第3の実施形態では、適切な割合のアルミニウム(Al)とジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)またはアンチモン(Bi)など他の異なる族の金属元素と共ドープされた複合金属ケイ酸亜鉛化合物である。
【0022】
第4の実施形態では、適切な割合のジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)またはアンチモン(Bi)など他の異なる族の金属元素のうちの1つとを共ドープした複合金属ケイ酸亜鉛化合物である。
【0023】
本開示によって提供される消臭材料が、アルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)などの元素がドープされた複合金属ケイ酸亜鉛化合物からなる場合、M
X
N
Y
Zn
2-X-Y
SiO
4
の分子式を有する消臭材料は共沈法によって合成される。なかでも、MとNは異なる金属元素であり、Mはアルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)の金属元素であり、Nはジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)の金属元素である。なかでも、Siはケイ素であり、Oは酸素であり、X、Yは正数であると共に、0<X≦1.0、0<Y≦1.0、0≦Y/X≦1.0を満たす。
【0024】
図1に示すように、本発明は、アルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)元素でドープされた複合金属ケイ酸亜鉛化合物を調製する処理工程は以下の通りである。
【0025】
S11:塩化亜鉛をエタノールに溶解してA溶液を調製し、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)をエタノールに溶解するか、またはアルミニウム金属およびジルコニウム金属元素を含有する二酸化ケイ素に溶解させてBを調製し、鉱化剤としてNaClを、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)の金属元素を1つ以上含む塩化物を適切な比率でそれぞれを水と混合してC溶液を得る。C溶液の調製は、消臭材料の成分に基づく選択的工程である。
【0026】
S12:マグネチックスターラーを用いてA溶液とBを室温で10分間均一に攪拌した後、C溶液が調製されたかを確認して、C溶液を添加するかまたは添加せずに110℃のオイルバスに、12時間加熱還流することにより、複合金属亜鉛シリケート前駆体を得た。当該前駆体を85℃のオーブン中で乾燥させて乾燥粉末を得た。
【0027】
S13:乾燥粉末を粉砕し、高温炉に入れて焼結する。350℃で溶媒が完全に蒸発する前に、300~450℃に昇温し高温炉で1段目の予備加熱処理を行い、昇温速度は毎分4℃とする。そして、1分あたり2から10℃の加熱速度で、高温炉を450~1200℃、好ましくは650~1000℃、特に好ましくは800~1000℃に加熱すると、1~2時間で2段目の焼成熱処理がされ、複合金属ケイ酸亜鉛粉末が得られる。焼成および焼成熱処理中に、還元性ガスH2および不活性ガスArが同時に導入される。
【0028】
S14:調製した複合金属ケイ酸亜鉛化合物粉末を3μm未満の粒径に粉砕し、次いで結合剤(アクリル樹脂)と混合してスラリーを形成し、噴霧によって造粒してサイズが80μm未満の粒子を有するミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。
【0029】
複合金属ケイ酸亜鉛化合物粉末の粉砕工程では、調製された複合金属ケイ酸亜鉛化学物の前駆体粒子の均一な分散を促進するために、特定の配合物である助剤を添加してもよい。助剤としては、カップリング剤、界面活性剤、分散剤、高分子改質剤、紫外線吸収剤のうちの少なくとも1種以上である。
【0030】
X線回折同定:
X線回折装置(ベデ社製、型名「D1」)のCuKa線を用いて、測定条件が管電圧40kV、電流40mAで、ミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末についてX線回折測定を行って得られたX線回折像を
図2に示す。
図2には、消臭剤(dl)のX線回折像が示されており、10~70度の間の回折ピークはアンチモン酸亜鉛に起因する。
【0031】
以下の実施例及び比較例は本発明の効果を説明するためのものであり、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0032】
各実施例および比較例で調製した複合金属ケイ酸亜鉛化合物は、アンモニアガスおよび酢酸の吸収特性について、以下の方法により行っている。
【0033】
アンモニアと酢酸の吸収特性試験
AgilentTechnologies製のモデル7697オーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計(HeadspaceGC-Mass)を使用してアンモニアおよび酢酸の吸収特性を試験する。吸収特性が高いほど、値が高いほど消臭効果が高いことを示す。
[実施例1]
【0034】
酸化亜鉛粒子に対して固形分50%のナノサイズの酸化ケイ素にナノサイズの酸化亜鉛溶液を添加し、攪拌して均一に混合した後、回転濃縮機で水分を除去して乾燥粉末を得る。
【0035】
乾燥粉末を高温炉に入れ、所定量のアルゴンと水素を導入し、水素を主に還元ガスとして使用する。プロセス条件は以下の通りである:1分当たり2℃の加熱速度での高温炉において、高温炉は室温から985から1015℃(平均1000℃まで)によって上昇され、1時間熱処理する。
【0036】
上記の熱処理を経てpH約7の酸化亜鉛と酸化ケイ素を含む複合珪化物粉を得て、トルエン溶媒と高分子分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズで粉砕分散して、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得た。
【0037】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、液相反応物をノズルのような噴霧装置を介して小さい液滴に変換する。小滴は高温炉管を通過しそして急速に反応して2μm未満の粒度を有するミクロ粒子を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例2]
【0038】
共沈法(Coprecipitationmethod)の原理に基づいて、水溶性塩を沈殿剤と共に使用して難溶性物質を形成し、洗浄および濾過によって反応前駆体を得て、その後、加熱分解して高純度の超微細粉末を形成する。pH値を調整することにより、溶解度の変化により溶液中のカチオンまたは金属イオンが同時に沈殿して化学組成の均一性を維持する。この方法は特別な装置および高価な原材料なしで実施することができる。さらに、この方法は、簡単な制御、容易な材料取得、および高いプロセス再現性という利点を有し、そして大量生産の可能性を有する。
【0039】
塩化亜鉛をエタノールに溶解してA溶液を調製し、TEOSをエタノールに溶解してB溶液を調製する。
【0040】
A溶液とB溶液をマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌した後、120℃のオイルバスに入れ6時間加熱還流して複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得た。そして、前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0041】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、そして次に1分当たり2~10℃の加熱速度で、450~1200℃の温度で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0042】
上記加熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含む複合珪化物粉末に、トルエン溶媒とポリマー型分散剤とを添加して、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散することにより、粒径80nm未満の微粒子を含む研磨用分散液を得た。
【0043】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満の微粒子を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例3]
【0044】
塩化亜鉛をエタノールに溶解して溶液Aを調製し、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)をエタノールに溶解してBを調製し、そして鉱化剤としてNaClと、アルミニウム(Al)金属元素を含有する塩化物と、をそれぞれ水と適切な比率で混合してC溶液を得る。
【0045】
A溶液とBをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌した後、C液を加え、120℃のオイルバスに入れて6時間加熱還流して複合金属亜鉛シリケート化合物前駆体を得た。その前駆体をサイクロン濃縮器中で溶媒から除去して乾燥粉末を得た。
【0046】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入し、水素ガスを主に還元ガスとして使用する。プロセス条件は次の通りです:高温炉で1分あたり2℃の昇温速度で、高温炉を450℃に昇温し、そしてその後、1分あたり2~10℃の温度で昇温し、450~1200℃で1~2時間加熱し、昇温および熱処理と同時に還元性ガスH2および不活性ガスArを導入する。
【0047】
上記熱処理により得られた亜鉛とケイ素を含む複合珪化物粉を得て、トルエン溶媒とポリマー型分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズで粉砕分散して、粒径80nm未満の微粒子を含む研磨用分散液を得た。
【0048】
次に、該分散液を噴霧乾燥して溶質を除去し、粒径が2μm未満の微粒子を得た。0.1gの該微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れ、初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例4]
【0049】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分100%の酸化ケイ素(粒子径3~4μm)を添加した。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌し、次いで共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加え、次に120℃のオイルバスで6時間加熱して複合金属亜鉛シリケート化合物前駆体を得る。その前駆体を85℃のオーブン中で乾燥させて乾燥粉末を得た。
【0050】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入し、水素ガスを主に還元ガスとして使用する。処理条件は次の通りです:1分あたり2℃の昇温速度で高温炉を450℃まで昇温し、そして、1分あたり2~10℃の昇温速度で、450~1200℃の温度で熱処理を1~2時間行い、昇温および熱処理と同時に還元性ガスH2および不活性ガスArを導入する。
【0051】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0052】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例5]
【0053】
まず、塩化亜鉛とエタノールとを混合して透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分50%の酸化ケイ素(粒径3~4μm)を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌し、次いで共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加え、次に120℃のオイルバスで6時間加熱して複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得る。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0054】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、そして次に1分当たり2~10℃の加熱速度で、640~660℃(650℃)で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0055】
上記加熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合ケイ化物粉末に、トルエン溶媒と高分子系分散剤とを添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散することにより、80nm未満の粒径を有する微粒子を含有する粉砕分散液を得る。
【0056】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例6]
【0057】
まず、塩化亜鉛とエタノールとを混合して透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分50%の酸化ケイ素(粒径3~4μm)を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌し、次いで共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加え、次に120℃のオイルバスで6時間加熱して複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得る。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0058】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、そして次に1分あたり2~10℃の加熱速度で、790~810℃(800℃)の温度で1~2時間熱処理する。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0059】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加して、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0060】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例7]
【0061】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分20%の酸化ケイ素(粒径3~4μm)を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌してから、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加える。その後、120℃のオイルバスで6時間加熱して複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得た。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0062】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、次に1分あたり2~10℃の加熱速度で、790~810℃(800℃)の温度で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0063】
上記の熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合珪化物粉末をトルエン溶媒と高分子系分散剤で添加し、1mmセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕・分散して、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0064】
次いで分散液を噴霧して溶媒を除去し、粒径が2μm未満の微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例8]
【0065】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分20%の酸化ケイ素(粒径3~4μm)を添加してA溶液とする。鉱化剤としてのNaClとジルコニウム(Zr)金属元素を含む塩化物とを水と適当な割合で混合してBを得る。A溶液とBをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌した後、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加えます。その後、120℃のオイルバスで6時間加熱して複合金属ケイ酸亜鉛化合物の前駆体を得た。前駆体を85℃のオーブン中で乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0066】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結してから、不活性アルゴンガスと水素ガスを所定の流量で導入する。なお、水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、次に1分あたり2~10℃の加熱速度で、790~810℃(800℃)の温度で1~2時間熱処理する。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0067】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0068】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例9]
【0069】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分20%のAl2O3-SiO2(粒径3~4μm)に対して固形分を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌してから、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加える。その後、120℃のオイルバス中で6時間加熱して複合金属ケイ酸ジルコニウム前駆体を得た。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0070】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結して、アルゴンガスと水素ガスを所定の流量で導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は次の通りである:高温炉を1分あたり2℃の加熱速度で室温から450℃まで昇温し、そして1分あたり2~10℃の昇温速度で、640~660℃(650℃)の温度で1~2時間でにつ処理が行われる。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0071】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0072】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例10]
【0073】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分50%のAl2O3-SiO2(粒径3~4μm)に対して固形分を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌してから、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加えます。その後、120℃のオイルバス中で6時間加熱して複合金属ケイ酸ジルコニウム前駆体を得た。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0074】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、次に、1分あたり2~10℃の加熱速度で、790~810℃(800℃)の温度で1~2時間熱処理する。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0075】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0076】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例11]
【0077】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分50%のAl2O3-SiO2(粒径3~4μm)に対して固形分を添加する。それらをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に攪拌してから、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を加える。その後、120℃のオイルバス中で6時間加熱して複合金属ケイ酸ジルコニウム前駆体を得た。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0078】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、アルゴンガスと水素ガスを所定の流量で導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は次の通りである:高温炉を1分あたり2℃の加熱速度で室温から450℃まで昇温し、そして加熱速度は1分あたり2~10℃で、990~1010℃(1000℃)の温度で1~2時間の熱処理が行われる。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0079】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0080】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[実施例12]
【0081】
まず、塩化亜鉛とエタノールを混合して焼結して酸化亜鉛を含む透明な溶液とし、酸化亜鉛粒子に対して固形分50%のAl2O3SiO2(粒径3~4μm)に対して固形分を添加してA溶液とする。鉱化剤としてのNaClとジルコニウム(Zr)金属元素を含む塩化物とを水と適当な割合で混合してBを得る。A溶液とBをマグネチックスターラーに入れ、室温で10分間均一に撹拌する。次いで、共沈剤(水またはアルカリ化合物)を添加し、次いで120℃のオイルバスで6時間加熱して、複合金属ケイ酸ジルコニウム前駆体を得る。前駆体を85℃のオーブンで乾燥させて乾燥粉末を得る。
【0082】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結する。アルゴンガスと水素ガスを所定の流量で導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は次の通りである:高温炉を1分あたり2℃の加熱速度で室温から450℃まで上げる。そして加熱速度は1分あたり2~10℃で、640~660℃(650℃)の熱処理で1~2時間が行われる。還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスは、温度の上昇および熱処理と同時に導入される。
【0083】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕・分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0084】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。分析のために、0.1gの微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析計に入れる。初期、2時間および8時間の粉末の吸収量を、それぞれ30、000ppmのアンモニアガスおよび30、000ppmの酢酸を注入することによって測定し、そして結果を表1に示す。
[比較例1]
【0085】
固相反応法は、固相反応物の直接反応である。しかしながら、混合ムラの現象が起こりやすい。したがって、反応物の粒径を小さくし、反応接触面積および均一性を増大させ、そして高温で長時間反応させるためには、事前に粉砕することが必要である。合成物は粒径が不均一で分布範囲が広いため、反応終了後は再度粉砕する必要がある。
【0086】
固体の酸化亜鉛粒子と酸化ケイ素を乳鉢で粉砕する。次に、固体酸化亜鉛粒子を、酸化亜鉛粒子に対して50%の固形分含有量を有する酸化ケイ素に添加する。室温で30分間攪拌した後、均一に混合して複合酸化亜鉛と酸化ケイ素の前駆体を得た。次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量の不活性アルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、そして、1分あたり2~10℃の加熱速度で、640~660℃(650℃)の温度で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0087】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0088】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成し、この微粒子をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析法によりアンモニアガスの取り込みについて分析した結果を表1に示す。
[比較例2]
【0089】
固体酸化亜鉛粒子および酸化ケイ素を乳鉢で粉砕し、次いで固体酸化亜鉛粒子を、酸化亜鉛粒子に対して50%の固形分含有量を有する酸化ケイ素に添加する。室温で30分間攪拌した後、均一に混合して酸化亜鉛と酸化ケイ素の複合体の前駆体を得た。
【0090】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結し、所定量のアルゴンガスと水素ガスを導入する。水素ガスは主に還元性ガスとして用いられる。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、次に、1分あたり2~10℃の加熱速度で、790~810℃(800℃)の温度で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性ガスとして水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0091】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。そして、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得た。
【0092】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成する。微粒子を分析のためにオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析にかけ、結果を表1に示す。
[比較例3]
【0093】
固体酸化亜鉛粒子と酸化ケイ素を乳鉢で粉砕する。次に、固体酸化亜鉛粒子を、酸化亜鉛粒子に対して50%の固形分含有量を有する酸化ケイ素に添加する。室温で30分間攪拌した後、均一に混合して酸化亜鉛と酸化ケイ素の複合体の前駆体を得た。
【0094】
次に、高温の炉に乾燥粉末を入れて粉砕し、焼結した後、還元性ガスとして主に使用される不活性アルゴンガスと水素ガスを所定の量で導入する。処理条件は以下の通りである:1分あたり2℃の加熱速度で高温炉を室温から450℃まで上昇させ、そして次に1分あたり2~10℃の加熱速度で、990~1110℃(1000℃)の温度で1~2時間の熱処理を行い、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0095】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛含有複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加し、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得た。
【0096】
次に分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズの複合ケイ酸亜鉛微粒子粉末を形成し、微粒子を分析のためにオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析にかけ、結果を表1に示す。
[比較例4]
【0097】
固体酸化亜鉛粒子とAl2O3-SiO2複合体とを乳鉢で粉砕し、50%のAl2O3SiO2(粒径:3~4μm)に対して固体分を加え、室温で30分間攪拌した後、均一に混合して酸化亜鉛と酸化ケイ素の複合体前駆体を得た。
【0098】
次に、乾燥粉末を高温炉に入れ、乾燥粉末を粉砕して焼結する。そして、不活性アルゴンガスと水素ガスを導入する。処理ガスは以下の通りである:高温炉を1分あたり2℃の加熱速度で室温から450℃まで上昇させ、次いで加熱速度を2℃とし、1分当たり10℃まで。990~1110℃(1000℃)の温度で熱処理を1~2時間で行う。そして、昇温および熱処理と同時に還元性水素ガスおよび不活性アルゴンガスを導入する。
【0099】
上記熱処理により得られたケイ酸亜鉛を含有する複合珪化物粉末に、トルエン系溶媒および高分子系分散剤を添加する。そして、1mmのセリウムジルコニウムビーズを用いて粉砕分散し、粒径80nm未満の微粒子を含む粉砕分散液を得る。
【0100】
その後、分散液を噴霧乾燥して溶媒を除去し、粒径が2μm未満のミクロンサイズのケイ酸亜鉛微粒子粉末を得た。微粒子のアンモニア吸収量をオーバーヘッドガスクロマトグラフィー質量分析法により分析した結果を表1に示す。
【0101】
【0102】
[結果]
1、表1によれば、実施形態1~10において、アルミニウムまたは亜鉛をドープした複合金属ケイ酸亜鉛化合物が共沈法によって調製される。粉砕、分散、乾燥後に得られた微粒子を測定し、アンモニアガスに対する吸収特性が優れていることを確認した。本発明のアルミニウムドープ複合ケイ酸亜鉛微粒子は、プロセス中にゲル化剤を含まない。金属イオンAlをドープしたケイ酸亜鉛(Zn2SiO4)化合物を共沈法と焼結反応によって調製した。それは正確な化学量論比、高純度、良好な均一性、またはプロセス温度を下げる利点を持っている。したがって、本発明は、共沈法を使用して、アルミニウムドープ複合ケイ酸亜鉛微粒子を製造し、これは、単純な製造プロセスを有し、プロセス温度を下げることができ、そして低コストである。
【0103】
2、表1の実施例3、8、9、10、11の全アンモニア吸収指数の結果から、アルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)金属からなる消臭材は、比較例4で調製した消臭材料(酸化亜鉛と酸化アルミニウムのサンプル)よりも、より高いアンモニア吸収を有することが看取し、そして、亜鉛金属ケイ酸塩ドープアルミニウム(Al)またはジルコニウム(Zr)金属元素を含む材料が優れたアンモニア消臭効果を有することが看取する。
【0104】
3、実施形態4、6、および7のZn/Si金属ドーピング比は、それぞれZn:Si=1:1、2:1、および5:1であり、実施形態6および7によるアンモニアの吸収はそれよりも著しく良好である。これは、Zn/Si金属ドーピング比が2:1であることが好ましいことを示している。
【0105】
4、表1の実施例2および3のアンモニア吸収総合指数の結果から、ケイ酸亜鉛とアルミニウム(Al)が共ドープしてなる消臭材のアンモニアガス吸収性能総合指数はアルミニウムがドープされていない消臭素材よりも高いことが看取する。そのため、アルミニウム(Al)金属元素をドープしたケイ酸亜鉛からなる消臭材は、アンモニアガスの吸収量が良好である。
【0106】
5、実施形態11は、ケイ酸亜鉛とアルミニウム(Al)が共ドープされたものであり、実施形態12は、ケイ酸亜鉛とアルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)とが共ドープされたものである。実施例11および12におけるアンモニア吸収の全指数の結果から、ケイ酸亜鉛にアルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)がを共ドープしたものはより良好なアンモニア吸収を有することが看取できる。
【0107】
表1の実施例9、10、11のアンモニア吸収量の総合指数の結果から、焼結温度が高くなるにつれてアンモニアの吸収特性が良くなることはないが、焼結温度が高ければ高いほど焼結試料の硬度はより高くなるため、この現象は研削工程には役立たない。従って、反応温度は650℃以上が好ましい。
【0108】
要約すると、本発明は単純化された工程段階で複合金属アンチモン酸亜鉛微粒子を製造し、それはその正確な化学量論比のために工程温度を下げるという利点を有する。特に、高純度の消臭材とすることができ、アミン類や酢酸などのガスに対して優れた吸着効果および消臭効果を有する。