(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】FET-バイポーラトランジスタの組み合わせ、およびこのようなFET-バイポーラトランジスタの組み合わせを備えたスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20220328BHJP
H01L 21/8248 20060101ALI20220328BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20220328BHJP
H01L 21/331 20060101ALI20220328BHJP
H01L 29/732 20060101ALI20220328BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H01L29/78 654Z
H01L27/06 101U
H01L29/72 P
H01L29/78 652H
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 655A
H01L29/78 656Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019163731
(22)【出願日】2019-09-09
(62)【分割の表示】P 2016217956の分割
【原出願日】2016-11-08
【審査請求日】2019-10-08
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515280067
【氏名又は名称】アナログ・デヴァイシズ・グローバル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジョン コイン
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-060152(JP,A)
【文献】特表2012-533881(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031212(WO,A1)
【文献】特開昭55-038080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/331、21/336、
27/04、29/732、
29/739、29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合型電界効果トランジスタと
、前記接合型電界効果トランジスタに直列
に接続されたバイポーラトランジスタ
と、駆動電界効果トランジスタとを備える電流フロー制御デバイスであって、
前記接合型電界効果トランジスタは、ドレイン領域、ゲート領域、およびソース領域を有し、前記バイポーラトランジスタは、コレクタ領域、ベース領域、およびNドープされたエミッタ領域を有し、前記駆動電界効果トランジスタは、ドレイン領域、ゲート領域、およびソース領域を有し、
前記接合型電界効果トランジスタのソース領域、前記バイポーラトランジスタのコレクタ領域、および前記駆動電界効果トランジスタのドレイン領域が、共有の第1の領域
を形成し、
前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域は、前記バイポーラトランジスタから絶縁するために絶縁トレンチ内に形成された導体を介して、前記バイポーラトランジスタのエミッタ領域と接続され、
前記バイポーラトランジスタのベース領域が、前記駆動電界効果トランジスタのソース領域と接続され、
前記
接合型電界効果トランジスタが、ピンチオフ電圧を有し、前記バイポーラトランジスタの両端の電圧を前記ピンチオフ電圧に制限するように構成されており、
Pドープされたコレクタ端子接点領域が、
前記接合型電界効果トランジスタのドレイン領域に接合されており、
前記バイポーラトランジスタおよび前記
接合型電界効果トランジスタは、
接合型電界効果トランジスタがピンチオフされた状態にあるとき、バイポーラトランジスタが前記ピンチオフされた領域内にキャリアを注入して電流フローを開始させるように相互に連結されている、
電流フロー制御デバイス。
【請求項2】
前記
第1の領域が、前記
接合型電界効果トランジスタの延伸されたチャネルを形成するより低濃度にドープされた領域と接続する、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項3】
前記バイポーラトランジスタの
コレクタ領域、エミッタ領域およびベース領域が、前記絶縁トレンチによって仕切られている、請求項2に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項4】
前記バイポーラトランジスタが、NPNデバイスである、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項5】
前記バイポーラトランジスタのコレクタ
領域の半導体型とは反対の半導体型の
前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域が、前記バイポーラトランジスタからのキャリアフロー経路を囲繞するように形成され、前記反対の半導体型の前記
接合型電界効果トランジスタのゲート領域が、前記
接合型電界効果トランジスタのチャネル幅を調整するように構成されている、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項6】
前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域への接続が、前記バイポーラトランジスタのコレクタ領域、ベース領域、およびエミッタ領域から誘電材料によって離間されている
前記導体を介している、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項7】
前記駆動電界効果トランジスタは、前記バイポーラトランジスタのベース電流を提供するために、前記バイポーラトランジスタと統合される、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項8】
前記駆動電界効果トランジスタのソースのためのドープされた領域が、前記バイポーラトランジスタのベースを形成するドープされた領域に当接するか、または導体によって電気的に接続されている、請求項7に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項9】
前記電流フロー制御デバイスが、縦に形成されている、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項10】
前記電流フロー制御デバイスが、集積化ゲートバイポーラトランジスタであり、前記バイポーラトランジスタのベースが、前記
接合型電界効果トランジスタのゲートとは異なるノードに接続されている、請求項1に記載の電流フロー制御デバイス。
【請求項11】
第1の電流フローノードおよび第2の電流フローノードを備えた電流フロー制御デバイスであって、
前記電流フロー制御デバイスは、接合型電界効果トランジスタと、バイポーラトランジスタと、駆動電界効果トランジスタとをさらに備え、
前記接合型電界効果トランジスタは、ドレイン領域、更なるドープされたゲート領域、およびソース領域を有し、前記バイポーラトランジスタは、コレクタ領域、ベース領域、およびNドープされたエミッタ領域を有し、前記駆動電界効果トランジスタは、ドレイン領域、ゲート領域、およびソース領域を有し、
前記接合型電界効果トランジスタのソース領域、前記バイポーラトランジスタのコレクタ領域、および前記駆動電界効果トランジスタのドレイン領域が、共有の第1の領域を形成し、
前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域は、前記バイポーラトランジスタから絶縁するために絶縁トレンチ内に形成された導体を介して、前記バイポーラトランジスタのエミッタ領域と接続され、
前記バイポーラトランジスタのベース領域が、前記駆動電界効果トランジスタのソース領域と接続され、
前記
第1の領域が、空間的に延伸され、コレクタ電圧が第1の値を超えるときに前記空間的に延伸された
第1の領域の一部分をピンチオフさせ、
前記バイポーラトランジスタのベース領域およびエミッタ領域が、ベース電流に応答してキャリアを前記空間的に延伸された
第1の領域の前記ピンチオフされた部分内に注入して電流を流させるように動作可能であり、
前記
接合型電界効果トランジスタのゲート領域が、前記空間的に延伸された
第1の領域とは反対型にドープされ、
Pドープされたコレクタ端子接点領域が、
前記接合型電界効果トランジスタのドレイン領域に接合されて
いる、
電流フロー制御デバイス。
【請求項12】
電流フローを制御する方法であって、前記方法は、
接合型電界効果トランジスタと、バイポーラトランジスタと、駆動電界効果トランジスタとを提供することを含み、
前記接合型電界効果トランジスタは、ドレイン領域、ゲート領域、およびソース領域を有し、前記バイポーラトランジスタは、コレクタ領域、ベース領域、およびNドープされたエミッタ領域を有し、前記駆動電界効果トランジスタは、ドレイン領域、ゲート領域、およびソース領域を有し、
前記接合型電界効果トランジスタのソース領域、前記バイポーラトランジスタのコレクタ領域、および前記駆動電界効果トランジスタのドレイン領域が、共有の第1の領域を形成し、
前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域は、前記バイポーラトランジスタから絶縁するために絶縁トレンチ内に形成された導体を介して、前記バイポーラトランジスタのエミッタ領域と接続され、
前記バイポーラトランジスタのベース領域が、前記駆動電界効果トランジスタのソース領域と接続され、
前記バイポーラトランジスタおよび前記
接合型電界効果トランジスタは、
接合型電界効果トランジスタがピンチオフされた状態にあるとき、バイポーラトランジスタが前記ピンチオフされた領域内にキャリアを注入して電流フローを開始させるように相互に連結され
ていて、
Pドープされたコレクタ端子接点領域が、
前記接合型電界効果トランジスタのドレイン領域に接合されて
いる、
電流フローを制御する方法。
【請求項13】
前記バイポーラトランジスタの両端の電圧がしきい値を超えるとき前記
接合型電界効果トランジスタのチャネルがピンチオフするように前記
接合型電界効果トランジスタがバイアスされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記しきい値が、40ボルト未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
縦型チャネルの空間範囲が、ピンチオフ電圧を画定し、前記チャネルが、半導体の対向する領域によって仕切られ、前記対向する領域間の分かれ目が、前記チャネル内のドーピング濃度と併せて、前記ピンチオフ電圧を画定する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本開示は、電界効果トランジスタとバイポーラトランジスタとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
典型的に最大で1200ボルトの範囲の高い電圧をスイッチできる必要性が存在する。この範囲におけるスイッチの用途としては、なかでも、モータ制御およびインバータが挙げられる。このようなスイッチングは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の使用によって達成され得る。IGBTは、非常な成功を収めている。しかしながら、それ自体の問題がないわけではない。したがって、1000ボルトを超える電圧を含む範囲の電圧にわたって動作可能な改良された半導体スイッチに対するニーズが依然存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-060152号公報
【文献】特開2005-340626号公報
【文献】特開昭54-089581号公報
【文献】特開平6-90009号公報
【文献】特開2005-116822号公報
【文献】特開平3-16180号公報
【文献】特開平07-142621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、FET-バイポーラトランジスタの組み合わせ、およびこのようなFET-バイポーラトランジスタの組み合わせを備えたスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定の発明の態様の概要
本開示の第1の態様によれば、電界効果トランジスタと組み合わせられたバイポーラトランジスタを備えた電流フロー制御デバイスが提供される。バイポーラトランジスタは、電界効果トランジスタと直列に配置される。電界効果トランジスタは、ピンチオフ電圧を有し、バイポーラトランジスタの両端の電圧をピンチオフ電圧に制限し得る。半導体の第1の領域は、バイポーラトランジスタおよび電界効果トランジスタによって共有される。これは、結果として、より小さい駆動トランジスタを使用して、ベース電流を提供することができることを意味する。そのため、駆動トランジスタの寄生容量および入力ノードは、大いに低減され得、より小さい過渡電流につながる。
このような配置は、電界効果トランジスタに、オフ状態における電流フロー制御デバイスの両端の電圧降下のほとんどを負う責任を持たせ得る。これは、結果として、バイポーラトランジスタが、IGBTに見出されるよりも高い利得構成において形成されることを可能にする。そのため、バイポーラトランジスタの駆動電流のサイズは、低減され得る。
本開示の別の態様は、第1の電流フローノードに接続されたエミッタ領域と第2の電流フローノードに接続されたコレクタ領域とを備えた電流フロー制御デバイスである。コレクタ領域は空間的に延伸される。コレクタ電圧が第1の値を超えるときに空間的に延伸されたコレクタ領域の一部分をピンチオフさせるように、空間的に延伸されたコレクタ領域の一部分内に更なるドープされた領域が設けられる。ベース領域およびエミッタ領域は、ベース電流に応答してキャリアを空間的に延伸されたコレクタ領域のピンチオフされた部分内に注入して電流を流させるように動作可能である。
【0006】
本開示の別の態様は、電流フローを制御する方法である。本方法は、電界効果トランジスタがピンチオフされた状態にあるとき、バイポーラトランジスタがピンチオフされた領域内にキャリアを注入して電流フローを開始させるように相互に連結されたバイポーラトランジスタおよび電界効果トランジスタを提供することを含む。
例えば、本発明は以下を提供する。
【0007】
(項目1)
電界効果トランジスタと直列のバイポーラトランジスタを備える電流フロー制御デバイスであって、半導体の第1の領域が、前記バイポーラトランジスタおよび前記電界効果トランジスタによって共有され、前記電界効果トランジスタが、ピンチオフ電圧を有し、前記バイポーラトランジスタの両端の電圧を前記ピンチオフ電圧に制限するように構成されている、電流フロー制御デバイス。
【0008】
(項目2)
前記第1の領域が、前記バイポーラトランジスタのコレクタおよび前記電界効果トランジスタのドレインを形成する、上記項目に記載の電流フロー制御デバイス。
【0009】
(項目3)
前記バイポーラトランジスタの前記コレクタが、絶縁トレンチによって仕切られ、前記電界効果トランジスタの延伸されたチャネルを形成する半導体のより低濃度にドープされた領域と接続する、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0010】
(項目4)
前記バイポーラトランジスタのエミッタ領域およびベース領域が、前記絶縁トレンチによって仕切られている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0011】
(項目5)
前記バイポーラトランジスタが、NPNデバイスである、上記項目のいずれか一項に記載の電流フローデバイス。
【0012】
(項目6)
前記バイポーラトランジスタのコレクタの半導体型とは反対の半導体型の領域が、前記バイポーラトランジスタからのキャリアフロー経路を囲繞するように形成され、前記反対の半導体型の前記領域が、前記電界効果トランジスタのチャネル幅を調整するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フローデバイス。
【0013】
(項目7)
前記電界効果トランジスタが、接合型電界効果トランジスタであり、前記接合型電界効果トランジスタのゲート領域への接続が、前記バイポーラトランジスタのコレクタ領域、ベース領域、およびエミッタ領域から誘電材料によって離間されている導体を介している、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0014】
(項目8)
前記チャネル内にキャリアを分散させるように前記電界効果トランジスタのチャネル内に形成された不連続性を更に備える、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0015】
(項目9)
前記デバイスが、前記バイポーラトランジスタのベース電流を提供する前記バイポーラトランジスタと統合された駆動電界効果トランジスタを更に備える、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0016】
(項目10)
前記駆動電界効果トランジスタのソースのためのドープされた領域が、前記バイポーラトランジスタのベースを形成するドープされた領域に当接するか、または導体によって電気的に接続されている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0017】
(項目11)
コレクタ端子接点領域が、Nドープされ、前記バイポーラトランジスタのエミッタ領域が、Nドープされている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0018】
(項目12)
コレクタ端子接点領域が、Pドープされ、エミッタ接点領域が、Nドープされている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0019】
(項目13)
前記電流フローデバイスが、縦に形成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0020】
(項目14)
前記電流フローデバイスが、集積化ゲートバイポーラトランジスタであり、前記バイポーラトランジスタのベースが、前記電界効果トランジスタのゲートとは異なるノードに接続されている、上記項目のいずれか一項に記載の電流フロー制御デバイス。
【0021】
(項目15)
第1の電流フローノードに接続されたエミッタ領域および第2の電流フローノードに接続されたコレクタ領域を備えた電流フロー制御デバイスであって、前記コレクタ領域が、空間的に延伸され、コレクタ電圧が第1の値を超えるときに前記空間的に延伸されたコレクタ領域の一部分をピンチオフさせるように前記空間的に延伸されたコレクタ領域の一部分内に更なるドープされた領域が設けられ、ベース領域および前記エミッタ領域が、ベース電流に応答してキャリアを前記空間的に延伸されたコレクタ領域の前記ピンチオフされた部分内に注入して電流を流させるように動作可能である、電流フロー制御デバイス。
(項目16)
前記更なるドープされた領域が、前記空間的に延伸されたコレクタ領域の隣接する領域とは反対型にドープされ、使用において、接合型電界効果トランジスタを形成する、上記項目のいずれか一項に記載の電流フローデバイス。
(項目17)
電界効果トランジスタがピンチオフされた状態にあるとき、バイポーラトランジスタが前記ピンチオフされた領域内にキャリアを注入して電流フローを開始させるように相互に連結された前記バイポーラトランジスタおよび前記電界効果トランジスタを提供することを含む、電流フローを制御する方法。
(項目18)
前記バイポーラトランジスタの両端の電圧がしきい値を超えるとき前記電界効果トランジスタのチャネルがピンチオフするように前記電界効果トランジスタがバイアスされる、
上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記しきい値が、40ボルト未満である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
縦型チャネルの空間範囲が、ピンチオフ電圧を画定し、前記チャネルが、半導体の対向する領域によって仕切られ、前記対向する領域間の分かれ目が、前記チャネル内のドーピング濃度と併せて、前記ピンチオフ電圧を画定する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
デバイスをオンオフするための比較的良好な電圧能力および比較的容易な駆動要件を呈するトランジスタスイッチデバイスが設けられる。これは、他のコンポーネントを乱し得る過渡駆動電流フローを低減し得る。
【0022】
本開示の教示を、非限定的な実施例としてこれらの教示のいくつかの実施形態を添付図面と併せて参照しながら、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本教示を文脈内に据える目的のための、先行技術の縦型IGBTの断面図である。
【
図2】バイポーラトランジスタのBV
CEOおよびBV
CBOを特徴付けるために使用される回路構成を示す。
【
図3】
図1に示されるトランジスタ内の寄生コンポーネントの位置を示す。
【
図5】寄生コンポーネントがトランジスタをラッチアップさせるリスクを低減するための、
図1の配置に対する既知の変更例を示す。
【
図6】本開示の第1の実施形態を構成するトランジスタの断面図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態のバイポーラトランジスタ部分の断面図である。
【
図8】統合された駆動FETを有する本開示の実施形態の平面図である。
【
図10】
図10aおよび10bは、様々なコレクタ電圧についての、
図9のデバイスの頂部からの距離の関数としてのデバイス内の電位のグラフである。
【
図13】全ての実施形態に適用され得る更なる変形例を示す断面図である。
【
図14】本開示の教示による更なるデバイスの平面図である。
【
図16】本開示の実施形態のデバイスの物理的性質を討議する目的のための断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特定の実施形態の詳細な説明
以下の特定の実施形態の詳細な説明は、具体的な実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、本明細書に記載の新機軸は、例えば請求項によって定義され、包含されるような多数の異なる方法で具現化され得る。本明細書では、似た参照番号が同一または機能的に類似した要素を指し示し得る図面への参照がなされる。図面に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるであろう。その上、特定の実施形態は図面に示されるよりも多くの要素および/または図面に示される要素のサブセットを含み得ることが理解されるであろう。更に、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特長の任意の好適な組み合わせを組み込み得る。
【0025】
いくつかのトランジスタ構造が図に示されている。異なるドーピング濃度およびドーパント型の様々な領域が、図に示されており、図示の便宜上、境界線によって外延を示されている。使用されるドーピング技法によって境界は拡散領域であり得ることが理解されるべきである。更に、「縦」等の用語は、適切な図(複数可)において配向されているようなデバイスを指す。
【0026】
図1は、先行技術の縦型IGBT2の構成を概略的に示している。IGBTは、水平または縦に形成され得る。トランジスタを縦に形成することは、そのウェハ上の設置面積、よってトランジスタのコストを低減するが、これは、ウェハの裏に接点を作製しなければならないという不便を伴わない。水平方向のトランジスタは、その全ての接続をウェハの表面上に有し得るが、結果としてウェハの表面でより大きな面積を占有し、よってより高コストである。
図1に示されるトランジスタは、そこに金属接点13が作製されるP型ドープされたハンドルウェハ12を備える。半導体のN型領域14が、P型ハンドルウェハ12の上方に設けられる。領域14は、しばしばエピタキシャル堆積によって成長させられ、比較的厚くてもよく、高電圧デバイスではしばしば100マイクロメートル超の厚さである。領域14は、しばしば比較的低濃度にドープされ、
図1ではN
-で表されている一方、領域12は、非常に高濃度にドープされ、P
+で表される。しばしば、領域16がP
+ハンドルウェハ12とN
-エピタキシャル層14の間に形成され、領域14よりも高濃度にN型ドープされる。この層16は、パンチスルーを防止するのを支援する。P型領域20は、N
-エピタキシャル層14の上に形成される。それゆえ、その構造は、縦型PNPトランジスタ10のそれである。金属導体とP領域20との間の接触を容易にするために、高濃度にドープされたP
+領域21が設けられてもよい。
【0027】
トランジスタのベースを形成する領域14の大深度は、エミッタを形成する層12とコレクタを形成する層20との間の高い電位差に耐える能力をトランジスタに与える。デバイスが耐え得る最大電圧は、ベース層の深さに比例して実質的に線形に変化する。しかしながら、厚いベース領域は、低い電流利得を生み出す傾向もあり、電流利得βは、しばしばユニティゲインに近い。それゆえ、
図1に示される高電圧PNPトランジスタは、スイッチとして機能し、高電圧に耐え得るという利点を有するが、それが招く不利益は、大きなコレクタ電流を流すことが望まれる場合の大きなベース電流である。
【0028】
ベースがオープンであるときのコレクタ-エミッタ間の降伏電圧であるトランジスタ降伏電圧BV
CE0は、エミッタがフローティングである一般的なエミッタトランジスタのコレクタ-ベース間の降伏電圧であるBV
CB0と関係があることは、バイポーラトランジスタに関する文献から既知である。相対的な回路構成および降伏電圧が
図2に示されている。BV
CE0とBV
CBOの関係は、以下によって与えられる。
【数1】
式中、β=電流利得であり、
NPNシリコントランジスタについてはm=4であり、PNPシリコントランジスタについてはm=2である。
【0029】
それゆえ、良好な降伏性能のためには低い利得が極めて望ましい。
【0030】
この低い電流利得の問題に対処するために、ベース電流を駆動する電界効果トランジスタ(FET)が提供される。駆動FETは、別個のデバイスとして提供され得る。しかしながら、よりコンパクトな実装は、PNPトランジスタのコレクタ領域内に駆動FETを設けることである。ユーザは、低利得バイポーラトランジスタによって提供される電流を供給する代わりに、駆動FETのゲートによって提供される負荷を駆動するだけであってもよい。駆動FETは、FETのN型ドレイン領域がバイポーラトランジスタのN型領域14によって形成されるように、設けられ得る。N型ドーピング24は、P型層20の部分内に設けられてFETのソース端子を形成する。ゲートを形成するために、デバイスの表面からN-層14に延在するトレンチ30が形成される。トレンチは、酸化物、窒化物、またはポリアミド等の誘電体32によって内面をライニングされ、次いで、トレンチは、導電材料34によって充填されてゲート電極を形成する。導電材料は、例えば、金属またはドープされたポリシリコンであってもよい。
【0031】
領域24は、PNPトランジスタのコレクタを形成する材料20と接しており、層20の表面から電流を取得し得、絶縁体32に隣接するP型材料を空乏化させ、それによって絶縁体32に隣接するN型チャネルを形成するゲートの電圧のおかげで、電流がベース領域に供給され得、バイポーラトランジスタをオンにする。
【0032】
図3は、駆動FET40の回路シンボルを
図1に示される構造の上に重ね合わせて、集積化ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)におけるFET40の有効位置を示している。PNPトランジスタの位置も示され、10で表される。しかしながら、
図3は、N型領域24、P型領域20、およびN型領域14も縦型NPNトランジスタ42を形成することも示している。縦型NPNトランジスタは、
図1の構造の等価回路図に含められると、
図4に示されるように、PNPトランジスタ10が寄生NPNトランジスタ42と相互作用して寄生サイリスタ50を形成する潜在能力を示す、寄生コンポーネントである。寄生サイリスタ50が導通状態にスイッチすると、IGBTの制御は失われ、デバイスは、デバイスのゲート端子に印加される制御電圧にかかわらず導通状態にとどまるであろう。
【0033】
IGBTに関する先行技術の取り組みは、寄生サイリスタ50がオンになるのを防止することに注力してきた。努力は、主として、寄生トランジスタ42のベースとデバイスのコレクタノード54との間で寄生抵抗52を形成するシリコンの抵抗52を最小限に抑えることに注力してきた。これは、
図5に示されるように、金属層(図示せず)に対するコレクタ接点を形成する高濃度にドープされたP
+型領域60にN型領域24を当接させることによってなされてきた。領域24および26の両方が、金属層と接していてもよい。
【0034】
それゆえ、埋め込まれた駆動FETは、PNPトランジスタのベース電流を供給し得る。IGBTは、大成功のデバイスであり、PNPバイポーラトランジスタによって必要とされるであろうような大きな値の電流からの駆動信号をゲート電圧に変換する能力は、回路設計者らに著しい恩恵を与えてきた。
【0035】
しかしながら、電流利得がユニティゲインに近いため、駆動FET40は、大きなベース電流を供給するためには比較的大きくなければならない。結果として、IGBTの駆動FETは、比較的大きなゲートを有し、ゲートは、結果として、比較的大きなゲート容量を有する。このことの帰結は、(大きな電圧降下にさらされながらIGBTが大きな電流を流している高電力散逸レジームにおいて時間を費やすIGBTを守るためには、極めて望ましくあり得るように)IGBTを迅速にスイッチオンオフするには、ゲート突入電流は、たとえ短い持続時間だけでも、依然として数アンペアに到達する必要があり得ることである。より低い電流は、より緩徐なスイッチング時間を引き起こす。
【0036】
ゲート駆動電流を低減するためには、ゲート容量を低減することが望ましいであろう。これは、駆動FETをより小さくすることによってなされ得るが、これは、結果として、バイポーラトランジスタのベースに供給され得る電流を低減することができる。バイポーラトランジスタのベース電流要件は、その電流利得を増大することによって低減し得るが、これは、降伏電圧を急落させ得る。それゆえ、IGBT設計者は、ゲート電流と降伏電圧とのトレードオフに直面している。IGBTの需要は高電圧制御であるため、IGBTが存在してきたここ30年辺りの間、駆動FETサイズを低減することにおいて進歩はほとんどなく、よってIGBTをスイッチするためのゲート電流も、大きいままである。
【0037】
本明細書では、高電圧スイッチングデバイスの性能を改善するための新規アーキテクチャが提供される。
【0038】
本発明者は、半導体の完全空乏領域にキャリアを注入することが可能であることに気づいた。この反直観的な観察は、バイポーラトランジスタ構造がオフ(非導通)状態にある場合にその内部に完全空乏領域を有するように変更されたデバイスを開発するように本発明者を導いた。例えば、デバイスをオフにし、そのドレイン領域とソース領域の間の電流フローを阻止するためにFETのチャネルの空乏化が使用されるため、電界効果トランジスタ等のトランジスタ構造を取り扱う際、完全空乏領域を導通をサポートしないものとしてみなすことは、一般的である。しかしながら、本発明者は、FETの両端の電圧を大きく降下させるものの、依然としてキャリアを空乏領域に注入でき、電流がデバイスを貫流し得、開始され得るように、FETをバイアスしてピンチオフさせることが可能であろうと気づいた。更に、キャリアの結果としての電流フローが、以前空乏化されていた半導体の領域の両端で電圧が大きく降下しないようにFETをスイッチオンさせ、よってデバイスの実効オン抵抗RONが比較的小さくなるため、デバイスは比較的大量のワット損にさらされない。
【0039】
本開示の実施形態では、FETは、バイポーラトランジスタのコレクタがFETのチャネル領域内に開くように、バイポーラトランジスタと直列で形成される。このFETは、バイポーラトランジスタによって見られる電圧を供給電圧から電圧降下FETのピンチオフ電圧まで低減し得るため、電圧降下FETとみなされ得る。バイポーラトランジスタは、デバイスが全体としてバイポーラトランジスタであったかのように駆動され得るか、あるいはバイポーラトランジスタは、バイポーラトランジスタのベース電流を提供するように配置された入力/駆動FETに依然として関連付けられ得るかのいずれかである。
【0040】
図6は、本開示に従って製造されたデバイスの能動部分の断面図である。全体として100で表される本デバイスは、入力/駆動FET40が設けられる場合、半導体スイッチを形成し、ユーザに対してあたかもIGBTであったかのように振る舞い得、他の場合には、それは比較的高利得(例えば、少なくとも50の利得)を有する比較的高電圧バイポーラトランジスタのように機能し得る。この例では、デバイス100は、縦型デバイスとして形成されており、これは、ウェハの深さを使用してデバイス100の降伏電圧を設定し得るため、高電圧スイッチを形成するための効率的な方法であるからである。それゆえ、第1の層112は、合理的に高濃度に、例えば1立法センチメートル当たり10
18不純物の範囲内でドープされて、IGBTまたはバイポーラトランジスタ状デバイス100のコレクタを形成するかのように映り得る接点領域を形成し得る。層114は、第1の層112の上に成長される。これは、エピタキシャル層として成長され得、この例では、
図1を参照して説明されたN
-領域14によく似ていてもよいN型領域である。1200ボルトでスイッチとして安全に動作し得るデバイスを提供するために、領域114は、かなりのマイクロメートルの厚さであってもよく、この例では、約112マイクロメートルの厚さである。これまでに説明した構成を有するウェハは、市販されている。デバイスの最上部領域118が、拡大された形態で
図6に示されており、半導体領域への接点は示されていないが、接点がそれを通じて延伸する絶縁層内の空隙は図示されている。層114は、第1の層112よりも低濃度に、例えば、1立法センチメートル当たり約10
13ドナーのドーピング濃度で、ドープされる。層114は、FETの延伸されたチャネルの電圧降下領域を形成するとみなされ得る。層114の厚さを増大させることは、デバイスが耐え得る最大電圧を増大させ得る一方、層114をより薄くすることは、最大電圧を低減し得る。
【0041】
デバイスの頂部にある領域118は、いくつかの点で
図5に示される構造とは異なる。
図6に示されるように、領域118は、デバイス100の頂面の下方へ約10マイクロメートル延在し得、デバイス100および層112は、デバイス100の頂面の100マイクロメートル超下方にあってもよい。
【0042】
N型層120は、誘電材料132によって内面をライニングされ、
図1および5を参照して説明された構造30、32、および34に類似した方法で導体134を障囲するトレンチ130によって画定された(例えば、障囲または囲繞された)領域内に形成される。しかしながら、
図6を
図5と比較すると、N型エピタキシャル層114の上方のドープされた領域120は
図5に含まれていないことが理解され得る。
【0043】
図6に示されるデバイス100の別の特長は、この例では、絶縁トレンチ130の開放端部分の下にあり、それに接しているP型埋設領域122の形成である。P型層122は、N
+領域120をエピタキシャルN型領域114に接続する比較的狭小なチャネル124を事実上形成し得る。絶縁トレンチ130内の導電材料134は、そのチャネル124が領域120と領域114との間に延在するFETの、ゲート端子への導体として事実上機能し得る。領域122のサイズ、並びに領域122を形成するために使用される埋設層内に堆積されるアクセプタ濃度、および/またはチャネル124内のドナー濃度を変更して、ゲート材料134のゲート電圧と比較して領域112、よって領域114がとるべき電圧を制御し、P型領域122間のN型チャネル領域124を空乏化させ、よってN
+領域120における電位を制限することができる。P型領域150は、N
+領域120上に形成され、比較的高濃度にドープされたN+領域152が、領域150内に形成される。領域120、150、および152が協力して縦型NPNトランジスタ160を形成する。
【0044】
これは、低利得PNPトランジスタ10がデバイスの本体の全体にわたって形成される、
図5に関して説明された構造との別の相違点である。
図6のNPNトランジスタのベースは、
図1のPNPトランジスタのベースよりも著しく薄く、これは、より高い利得、より高い周波数応答、およびより低い降伏電圧を生み出し得る。
図6に示されるように、ベース領域150は、2マイクロメートル未満の厚さを有する。他の実装では、ベースは、5マイクロメートル未満または10マイクロメートル未満の厚さを有し得る。
【0045】
図6に示されるデバイスが高電圧NPNトランジスタとして使用される場合、
図7に示されるように、金属接点152aがエミッタ領域152に作製されてもよく、金属接点158aが、比較的高濃度にドープされた領域158を介してベース領域150に作製されてもよい。このような配置では、領域122の電圧を制御し得る導電材料134に更なる金属接点134aが作製されてもよい。
図7に示されるように、金属接点134a、152a、および158aは、酸化物層等の誘電体層162内に形成された開口部を通じて延在する。このような構造の形成は、当業者に既知であり、多くのトランジスタ製造施設の標準シリコンまたは相捕型金属酸化物半導体(CMOS)プロセス内で提供されている。便宜上、領域134および接点134aは、例えば
図15bに示されるように、エミッタ接点152aに接続され得る。
【0046】
図7のデバイスは、IGBTの機能をエミュレートするためにダイ上の別の場所に位置付けられた駆動トランジスタと共にダイ上に形成されてもよい。
【0047】
しかしながら、
図6に示される構造は、IGBTの等価デバイスが形成され得るように、統合された、縦に形成された駆動FETがその内に形成されてもよいが、バイポーラトランジスタ部がより高利得を有する。これは、
図8に示されるように、駆動FET(
図3または5に示されるもののような)を含むようにデバイスの一部を変更することによって達成され得る。
【0048】
駆動FETは、デバイスのいくつかの部分におけるP
+領域158を、1つまたは2つ以上のトレンチの壁に当接または隣接するN
+材料によって置き換えることによって形成され得、よってエミッタを形成するのと同時になされ得、そのためこれは、いかなる更なる処理ステップも伴わないことがあり得る。
図8に示されるデバイスでは、N
+領域170は、駆動FETのソースを形成する。駆動FETのソース(
図9では215で表される)は、
図9に示される等価回路ではバイポーラトランジスタのベースに接続され、よって領域170をベース150/158から分離するためにいかなる措置も講じなくてもよい。
【0049】
図7および8に戻ると、バイポーラトランジスタのN型領域120は、これらのデバイス内の駆動FET215のドレインも形成する。使用において、駆動FETは、電流がコレクタ領域120から駆動FETのチャネルを通じて領域170に流れるための経路を開き、次いで電流が領域158に、よってNPNトランジスタのベースに流れる。領域158および170は、金属層を介して相互に接続され得る。
【0050】
このデバイス構造では、
図6に示されるように、領域122は、使用において電圧が約30ボルトのピンチオフ電圧を超え(ただし、他の実装では、ピンチオフ電圧はこれより大きくてもよく、またはこれより小さくてもよい)、バイポーラトランジスタが非導通であるとき、チャネル124を完全にピンチオフするように配置される。結果として、1000ボルト超になり得るデバイス全体の両端の電位差にかかわらず、領域120、150、および152によって形成されるNPNトランジスタ200の両端の電圧は、30ボルト辺りに制限される。
【0051】
本デバイスは、コレクタC、エミッタE、およびゲートGを有するIGBTのようにユーザに映り得る。
【0052】
直列FET210をより堅牢にするためには、直列FETを接合型FETとして提供することが有利であり得る。これは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)に見出されるような、高電圧において損傷され得るゲート絶縁層の形成を回避し得る。結果として、
図6のトレンチ132は、トレンチの絶縁壁によって仕切られた導体134がP
+領域122に接触するように、その底部(図に示されるように配向されている)で開口している。導体134は、金属として提供されてもよく、またはポリシリコン等、より高濃度にP
+ドープされたシリコンであってもよい。
【0053】
図9に戻ると、直列FET210のゲートは、バイポーラトランジスタ200のエミッタと接触し得ることが理解され得る。したがって、
図8を参照すると、金属接点が導電材料134によって作製され、エミッタ接点に接続されてもよい。このような状況において、トレンチ型領域は、
図8に更に示されるように、更なる壁218によって2つの領域220および222に分割されてもよい。更なる壁218は、任意の好適な誘電材料で形成された絶縁壁であり得る。領域220は、直列JFETのP
+領域122に到達するためのビアホールを形成する。N
+ドーピング170に隣接する領域222は、制御FET215のゲートとして機能する。領域222は、制御/駆動FETのゲートが絶縁ウェル内に形成されるように、デバイスの図示されている表面の下方においてトレンチの絶縁材料によって仕切られており、直列FETによって見られる高電圧にさらされるべきではない。これは、駆動FETのゲートに供給される駆動電圧とトランジスタによってスイッチされる電圧との間に良好な絶縁を提供し得る。しかしながら、特定の実装では、MOSFET方式の駆動FETは、接合型FETによって置き換えられ得る。
【0054】
絶縁ウェル内にそのより小さいゲートを有する比較的小さい駆動FETを形成することは、駆動FET215に関連付けられた寄生ゲート容量が、従来のIGBTのそれよりもはるかに小さいべきであることを意味する。結果として、スイッチングにおける過渡電流フロー、すなわち突入電流は、はるかに低減され得、導通状態と非導通状態との間でデバイスを駆動することはより容易、かつ、より低電力消費になり得る。バイポーラの利得は、従来のIGBTにおけるよりもはるかに大きくてもよいため、駆動FETは、より小さくてもよい。
【0055】
図10aおよび10bは、様々なコレクタ電圧Vcについて、オフ状態におけるデバイスの距離の関数として
図7~9によるデバイス内の電位のグラフを示している。
図10aは、我々がデバイスのエミッタに近づくにつれて電圧が低下することを示しており、バイポーラトランジスタのコレクタとエミッタの間の電圧Vceがより迅速に降下する領域250を含む。領域250は、
図10bにより詳細に示されており、特定の実施形態では、エミッタから約6μm(P
+領域122の中心)と、エミッタから約2μmのバイポーラトランジスタのベースの縁部との間の距離において、電圧が直列FET210のピンチオフ電圧に制限されることを示している。それゆえ、NPNバイポーラトランジスタは、危険な電圧にさらされるべきではない。
【0056】
図6に戻ると、領域112は比較的高濃度にドープされていることが指摘された。しかしながら、ドーピング型は指定されていなかった。領域112がN
+になるようにN型ドーピングすると、これはその場合FETに対するN型延伸部を形成するため、自然なデバイス構造を作製することが理解され得る。N
+ドーピングは、cm
3当たり10
19以上の範囲の不純物であり得る。
【0057】
しかしながら、それほど直観的ではないが、領域112は、代わりにP
+になるようにドープされて、それによってFETと直列接続されたPNPトランジスタを事実上形成してもよく、領域122が、直列PNPトランジスタのコレクタを形成し、領域114が、ベースを形成し、領域112が、エミッタを形成する。PNPトランジスタのベースは、直列FETのドレインに電気的に接続される。このようなデバイスが
図11に示されている。更なる領域280が、P型領域112とN型エピタキシャル層114との間に設けられてもよい。更なる領域280は、領域112および114と比較してかなり薄くてもよい。更なる領域280を比較的高濃度にN型ドープして、パンチスルー防止層を形成してもよい。
【0058】
図11に示される構造の等価回路が、
図12に示されている。
図12を
図9と比較すると、両方の図は、入力絶縁ゲート駆動FET215を介してそのベース電流を受け取るNPNトランジスタ200を示している。更に、両者は、JFET210がNPNトランジスタ200のコレクタと直列であることを示している。しかしながら、更なるP型ドーピングを含めることによって、1つの端子310に接続されたそのエミッタと端子320に接続されたそのコレクタとを有する更なるPNPトランジスタ300が形成される。このデバイスでは、端子310は、ドレインまたはエミッタとみなされ得、端子320は、ソースまたはコレクタであり、端子330は、そこには名目上直流電流が存在しないため、ゲートである。
【0059】
このデバイスは、2つのバイポーラトランジスタが調和して動作する結果としてより高い利得を呈し得、デバイスを通る電流Idevは以下の式によって与えられる。
【数2】
式中、
【化1】
は、PNPトランジスタの利得(これは、非常に低くてもよい)であり、
【化2】
は、NPNトランジスタの利得であり、
Imosは、入力MOSFETを流れる電流である。
【0060】
N型エピタキシャル層114にわたってキャリアが正孔であるため、
図11に示される配置は、
図6または8に示されるデバイスよりも低いオン抵抗を有するが、これらは少数キャリアであるため多数キャリアよりも緩徐であり、よってエピタキシャル層114を横切るキャリアが電子であり、多数キャリアであるため層114をより迅速に移動する
図6に示されるデバイスよりも、本デバイスは、緩徐な応答時間を有するであろう。
【0061】
シミュレーションでは、かなり大きいバイポーラトランジスタ電流が、トレンチ間の中ほどの縦方向の間流れ、トレンチの終了後同様の経路を辿る。これは、問題であるとは見出されていないが、トランジスタの大部分を通じて電流フローをより均等に広げることが有益であり得る。これは、ピンチオフされた領域の少し下方で直列FET内に不連続性を形成することによって促進され得る。これは、異なるドーピング濃度の領域をFETの延伸されたチャネル部分内に置くことによって、達成され得る。
図6の配置を例にとると、より低濃度ドーピングの小さい領域(
図13では320で表される)が、電流フローを拡散するために提供される。反対のドーピングの比較的小さい領域は、代替的に、または追加的に、電流フローを拡散するために機能してもよい。
【0062】
図14は、本開示によるトランジスタの実装の上面の平面図である。複数の線形に形成されたエミッタおよびゲートを含むトレンチ領域が、全体として400で表される。フローティングドープされたトレンチ402、404、および406が、デバイスを囲繞し、デバイス周囲の電界の強度を減少させる。トレンチ領域400の部分410が、
図15aおよび15bにより詳細に示されている。フローティングドープされたトレンチ402、404、および406は、任意の好適な形状でトレンチ領域400を取り囲み得る。
【0063】
図15aおよび15bでは、拡張されたエリア410は、足部が塞がれたトレンチを有する駆動トランジスタ構造が直列FETへの接続に隣接して形成され得ることを示すために役立つ。金属トラック430は、駆動トランジスタがデバイスの比較的小さい領域のみ(例えば、約1%辺り)を占拠し得ることを除き、
図1を参照して説明された構造に似た構造を有し得る駆動トランジスタ215のゲートである制御ゲートへの接続を形成する。
図15bに示されるように、制御ゲート430は、基部が誘電材料432によって塞がれているトレンチに接続される。N+打ち込み434がトレンチの絶縁壁に隣接して形成され、
図15bのデバイス内のP+打ち込み436に電気的に接続される。制御電極430に正電圧を印加することは、塞がれたトレンチ内の絶縁ゲート材料438に、トレンチに隣接するP型材料を空乏化させ、それによってコレクタ材料120から空乏化されたチャネルを介してN+打ち込み434に電流を導通させ得る。ここから電流がピックオフされ、IGBTのベース領域(全体として450で表される)に供給され得、または電流は、領域436に移動されて、駆動FETに隣接して形成された、ゲート430によって仕切られたトランジスタのベース層150に注入され得、駆動FETと関連付けられたバイポーラトランジスタによってゲインアップされたこの更なる電流は、IGBTデバイスのベース領域に供給され得る。これは、
図15bに示された駆動FETとダーリントントランジスタの構成を与え得る。FETのゲートがIGBTエミッタと同じ電位に接続される領域450では、トレンチは、それらの底部において開口し、打ち込み122は、
図6を参照して討議されたようなエミッタ電圧に保持され得る。この構成は、トランジスタのトレンチ型エミッタ/ベース領域の大部分(例えば、約99%)を包含する。
【0064】
上述のように、直列接続されたFETは、バイポーラトランジスタを保護するために「ピンチオフ」されるように配置され得る。デバイスをピンチオフする能力は、各ゲート打ち込み122から延在する空乏領域がデバイスの関連付けられたチャネルの幅の約半分超延在できることに依存する。
【0065】
図16は、デバイス構造を示しており、ベースの深さがWbで表され、チャネル幅を画定する打ち込み領域122間の距離が2aで表されている。
図16では、コレクタのドーピング濃度は、Ncである。一般に、以下の式のため、良好な電流の取り扱いのためには、比較的高濃度にドープされたコレクタが所望される。
【数2-1】
式中、J
maxは、最大電流密度であり、eは、電子の電荷であり、V
satは、半導体材料の飽和電圧である。
【0066】
しかしながら、Ncは、直列接続されたFETのピンチオフ電圧においても、およびバイポーラトランジスタの降伏電圧においても、一役を果たし得る。ピンチオフ電圧V
pは、以下の式によって与えられる。
【数3】
式中、aは、トランジスタの幅の半分(打ち込み領域122間の距離の半分。各領域は印加されるチャネル-ゲート間電圧と共に成長し得、我々は、空乏領域の各々がチャネル幅の半分成長するための要件のみを考慮することができるため)であり、ε
siは、半導体(一般的にはシリコン)の誘電率である。シリコンの比誘電率は、約11.68である。式3においてNcは、国際単位であり、よって立法メートル当たりの不純物で表現される。結果として、例えば、よって10
17cm
-3のドナー濃度は、10
23m
-3になるであろう。
【0067】
それゆえ、Ncを増大させることは、デバイスをより幅広にすることと同様に、ピンチオフ電圧を増大させる。
【0068】
バイポーラトランジスタの降伏電圧に目を転じると、BV
ceoは、以下の式で表現され得る。
【数4】
【0069】
式中、E
maxは、定数であり、デバイスの材料が降伏せずに耐え得る最大電界を表し、以下の式によって最大デバイス電圧V
maxに関連付けられ得る。
【数5】
【0070】
典型的に我々はバイポーラトランジスタが降伏する前にピンチオフが発生することを希望するため、我々は以下の式を書くことができる。
【数6】
【0071】
これは、領域122間に残される空隙によって画定されるチャネル幅、ピンチオフ電圧、降伏電圧、および最大電流密度の間の関係を与える。
【0072】
正常に機能するデバイスサイズの目安を与えると、
図16に示されるデバイスについて、以下の通りである。
2a=1μm(ただし、典型的に0.5μm~3μmの範囲に及んでもよい)。
D1=約0.5μm~0.6μm。
D2は、約0.7μm。
D3は、約0.3μm。
D4は、約0.7μm。
【0073】
これらのサイズは、例としてのみ与えられるものであり、他のデバイスサイズも本明細書で討議された原理および利点に従って実装され得るため、限定的ではない。チャネル領域内のドーピング濃度は、かなり変更されてもよく、FETピンチオフ電圧のかなりの制御を設計者に与える。
【0074】
要するに、バイポーラトランジスタを過度の電圧から保護するために直列接続されたFETが設けられるが、バイポーラトランジスタを使用してピンチオフされたFETのチャネルにキャリアを注入し、それをスイッチオンすることができる。これは、より高利得のバイポーラトランジスタが使用されることを可能にする。バイポーラトランジスタは、そのより高い利得のおかげで、所与のデバイス電流に対してより少ないゲート電流を消費し、よってバイポーラトランジスタを駆動するデバイスは、より少ない電流を供給してもよい。これは、より小さい駆動FETが使用されることを可能にし、低減されたゲート容量につながる。
【0075】
上で討議された実施形態では、半導体領域のドーピングをP型とN型との間で反転させて、JFETと併せて、より高利得のPNPトランジスタを形成してもよい。トランジスタデバイスは、平面図では2つの構成と共に描かれているが、本明細書で討議された原理および利点のうちのいずれかに従って他の形状(線形、競走場等)を実装することも可能である。
【0076】
本明細書で提示される請求項は、米国特許庁での使用に好適な単一従属形式であるが、しかしながら、各請求項は、同じ種類の任意の先行する請求項に従属することを意図することが推測されるべきである(それが明らかに不可能である場合を除き)。
【0077】
本開示の態様は、様々な電子デバイスに実装され得る。例えば、本明細書で討議されたデバイスのうちのいずれも、高電圧をスイッチする必要性を有する電子デバイスにおいて実装され得る。このような高電圧は、少なくとも約100ボルトまたは少なくとも約200ボルトであってもよい。特定の実施形態では、本明細書で討議されたデバイスは、少なくとも約1000ボルトまたは少なくとも約1200ボルトの高電圧をスイッチする電子デバイスにおいて特に有利であり得る。電子デバイスの例としては、消費者電子製品、パッケージ化されたスイッチコンポーネント等の電子製品の部品、電子試験機器、セルラー通信インフラストラクチャ等が挙げられ得るが、これらには限定されない。電子デバイスの例としては、モータコントローラ、インバータ、精密器械、医療デバイス、無線デバイス、器具、車両用電子機器システム等が挙げられ得るが、これらには限定されない。更に、電子デバイスは、未製品を含み得る。
【0078】
文脈上別段の解釈を明らかに必要としない限り、本明細書および本請求項を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」等の語句は、排他的または網羅的な意味に対立するものとしての包括的な意味で、つまり「含むが、それらには限定されない」の意味で、解釈されるべきである。一般に本明細書で使用するとき、「連結された」という語句は、直接接続され得るか、または1つまたは2つ以上の中間要素を介して接続され得るかのいずれかである2つ以上の要素を指す。同様に、一般に本明細書で使用するとき、「接続された」という語句は、直接接続され得るか、または1つまたは2つ以上の中間要素を介して接続され得るかのいずれかである2つ以上の要素を指す。なお、「本明細書で(herein)」、「上(above)」、「以下(below)」という語句、並びに類似する意味の語句は、本出願で使用するとき、本出願の任意の特定の部分ではなく、全体としての本出願を指すものとする。文脈が許容する場合、上の「特定の実施形態の詳細な説明」内の単数または複数を使用している語句は、それぞれ、複数または単数も含み得る。文脈が許容する場合、2つ以上の項目のリストに関する「または」という語句は、同語句に関する以下の解釈の全てを包含することを意図する:リストに記載の項目のうちのいずれか、リストに記載の項目の全て、およびリストに記載の項目の任意の組み合わせ。
【0079】
その上、本明細書で使用される条件付きの文言、なかでも、「できる(can)」、「できた(could)」、「し得た(might)」、「し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「等(such as)」等は、特に指示のない限り、または使用されている文脈内で別様に理解されない限り、特定の実施形態が特定の特長および/または要素を含む一方で、他の実施形態はそれらを含まないと伝えることを一般に意図する。それゆえ、このような条件付きの文言は、特長および/若しくは要素がいずれかの点で1つ若しくは2つ以上の実施形態のために必要とされること、または1つ若しくは2つ以上の実施形態がこれらの特長および/若しくは要素を必然的に含むと暗示することを一般に意図しない。
【0080】
特定の実施形態が説明されたものの、これらの実施形態は、例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際、本明細書に記載の新規の装置、方法、およびシステムは、様々な他の形態に具現化され得る。更に、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載の方法およびシステムの様々な省略、置換、および形態の変更がなされ得る。例えば、デバイスが所与の配置において提示されている一方で、代替的な実施形態は、異なる構造によって類似の機能を実行し得、所与のデバイスのいくつかの部分は、削除、移動、追加、分割、結合、および/または変更され得る。上述の様々な実施形態の要素および行為の任意の好適な組み合わせを組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実際、本明細書で開示された実施形態のうちのいずれかを参照して討議された原理および利点のいずれも、本明細書で討議された任意の他の好適な特長に関連して適用され得る。添付の請求項およびそれらの等価物は、本開示の範囲および趣旨に属するような形態または変更を包含することを意図する。
【符号の説明】
【0081】
10……縦型PNPトランジスタ
12……P型ハンドルウェハ
13……金属接点
14……N型領域