(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】カード入れ
(51)【国際特許分類】
A45C 11/18 20060101AFI20220328BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A45C11/18 Z
A45C11/00 T
A45C11/00 V
(21)【出願番号】P 2019196916
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2018208250
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518392587
【氏名又は名称】▲高▼橋 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 俊介
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-511049(JP,A)
【文献】特開平08-126513(JP,A)
【文献】実開平03-044423(JP,U)
【文献】特開2009-227284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/18
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折れ目を介して二つに折れるタイプのカード入れであって、
複数枚のカードを重ねて収納するカード差しを前記折れ目の少なくとも一方側に備え、
前記カード差しは、前記折れ目に向けて開口するカード出し入れ口と、前記カード出し入れ口から挿入される前記複数枚のカードの各一端と当接する底面を具備し、
前記カード差しの前記底面は、前記カードの出し入れ方向で且つ前記複数枚のカードの重なり方向に対して傾斜する斜面として形成され、
前記カード差しの前記カード出し入れ口側には、前記底面と当接することで前記カードの出し入れ方向に階段状にずれた状態の前記複数枚のカードの各他端と当接するカード押えが設けられ
、
前記カード差し及び前記カード押えはいずれも皮革又は合成皮革から成り、前記カード押えは、帯状に切断した皮革又は合成皮革をループさせた形状を成しているカード入れ。
【請求項2】
前記カード押えは、前記カード差しの前記カード出し入れ口の両端部にそれぞれ配置されている請求項1に記載のカード入れ。
【請求項3】
前記カード押えは、前記カード差しの前記カード出し入れ口のいずれか一方の端部又は中央部に配置されている請求項1に記載のカード入れ。
【請求項4】
前記カード差しの傾斜する斜面として形成された前記底面は、前記複数枚のカードの重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成している請求項1~
3のいずれかに記載のカード入れ。
【請求項5】
前記カード差しの傾斜する斜面として形成された前記底面は、前記複数枚のカードの重なり方向における手前側から奥側にかけて下り勾配を成している請求項1~
3のいずれかに記載のカード入れ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の名刺や、各種カードを重ねて収納する財布型のカード入れに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような財布型のカード入れとしては、例えば、二つ折りの名刺入れがある。
この二つ折りの名刺入れとしては、表側に位置する皮革又は合成皮革である表皮に同じく皮革又は合成皮革である裏皮を縫い合わせて成っている物が一般的であり、複数枚の名刺を重ねて収納する名刺差しは、二つ折りの中央に名刺出し入れ口を向けた状態で折れ目の少なくとも一方側に配置されている。
【0003】
この名刺入れの場合、名刺出し入れ口に覗いている複数枚の名刺の各端が平らな面を成すようして揃うことが多いので、名刺を取り出す際に複数枚の名刺を一緒に摘まんでしまうことが頻繁にあり、名刺を1枚ずつ摘まみ出すのが容易ではないという不便さがあった。
【0004】
従来において、このような不便さを解消するために成された名刺入れが特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載された名刺入れは、複数枚の名刺を重ねて収納する名刺差しの底面に、名刺出し入れ方向で且つ複数枚の名刺の重なり方向に対して傾斜する斜面を有する整形部材を組み込んで成っており、この名刺入れにおいて、整形部材の上記斜面は、複数枚の名刺の重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成すように形成されている。
【0005】
つまり、この名刺入れでは、名刺出し入れ口から挿入される複数枚の名刺の各一端を整形部材の斜面に当接させることで、複数枚の名刺を名刺出し入れ方向に階段状にずらし、最も奥側に位置している最上位の名刺から1枚ずつ摘まみ出すことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1に記載された名刺入れにおいて、名刺差し内の複数枚の名刺が整形部材の斜面に当接して名刺出し入れ方向に階段状にずれている場合には、名刺を1枚ずつ摘まみ出すことが簡単にできる。
【0008】
ところが、二つ折りに畳んだ名刺入れを鞄等に入れて持ち運ぶ際に、名刺差し内の複数枚の名刺が整形部材の斜面から離れてしまうことがあり、この場合には、複数枚の名刺の各他端が平らな面を成すようになって、名刺を1枚ずつ摘まみ出し難くなってしまうという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0009】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、カード差し内の複数枚のカードを容易に1枚ずつ摘まみ出すことができるのは勿論のこと、カードを1枚ずつ摘まみ出し得る状態を維持することが可能であるカード入れを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、折れ目を介して二つに折れるタイプのカード入れであって、複数枚のカードを重ねて収納するカード差しを前記折れ目の少なくとも一方側に備え、前記カード差しは、前記折れ目に向けて開口するカード出し入れ口と、前記カード出し入れ口から挿入される前記複数枚のカードの各一端と当接する底面を具備し、前記カード差しの前記底面は、前記カードの出し入れ方向で且つ前記複数枚のカードの重なり方向に対して傾斜する斜面として形成され、前記カード差しの前記カード出し入れ口側には、前記底面と当接することで前記カードの出し入れ方向に階段状にずれた状態の前記複数枚のカードの各他端と当接するカード押えが設けられ、前記カード差し及び前記カード押えはいずれも皮革又は合成皮革から成り、前記カード押えは、帯状に切断した皮革又は合成皮革をループさせた形状を成している構成としている。
【0011】
また、本発明の第2の態様において、前記カード押えは、前記カード差しの前記カード出し入れ口の両端部にそれぞれ配置されている構成としている。
【0012】
さらに、本発明の第3の態様において、前記カード押えは、前記カード差しの前記カード出し入れ口のいずれか一方の端部又は中央部に配置されている構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第4の態様において、前記カード差しの傾斜する斜面として形成された前記底面は、前記複数枚のカードの重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成している構成としている。
【0015】
さらにまた、本発明の第5の態様において、前記カード差しの傾斜する斜面として形成された前記底面は、前記複数枚のカードの重なり方向における手前側から奥側にかけて下り勾配を成している構成としている。
【0016】
本発明のカード入れでは、カード差し内における複数枚のカードが、カード差しの傾斜する斜面として形成された底面に当接してカード出し入れ方向に階段状にずれるので、カードの1枚ずつの摘まみ出しが容易に成されることとなる。
【0017】
そして、二つ折りに畳んだカード入れを鞄等に入れて持ち運ぶ際も、カード差しの底面と当接することでカードの出し入れ方向に階段状にずれた複数枚のカードの各他端にカード押えが当接するので、複数枚のカードがカード差しの底面から離れてしまうことが阻止されて、カードを1枚ずつ摘まみ出し得る状態が維持されることとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカード入れにおいて、カード差し内における複数枚のカードの1枚ずつの摘まみ出しを容易に行うことができ、加えて、カードを1枚ずつ摘まみ出し得る状態を維持することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るカード入れの一実施形態を示す二つ折りの名刺入れを開いた状態の斜視説明図(a)及び部分断面説明図(b)である。
【
図2】本発明に係るカード入れの他の実施形態を示す二つ折りの名刺入れを開いた状態の部分斜視説明図である。
【
図3】本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示す二つ折りの名刺入れを開いた状態の部分断面説明図である。
【
図4】本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示す二つ折りの長財布を開いた状態の斜視説明図である。
【
図5】本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示す二つ折りの名刺入れを開いた状態の斜視説明図(a)及び部分断面説明図(b)である。
【
図6】本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示す二つ折りの名刺入れを開いた状態の部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るカード入れを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るカード入れの一実施形態を示しており、この実施形態では、本発明に係るカード入れが名刺入れである場合を示している。
【0021】
図1に示すように、この名刺入れ1は、折れ目2を介して二つに折れるタイプの名刺入れであって、表側に位置する皮革又は合成皮革である表皮3に同じく皮革又は合成皮革である裏皮4を縫い合わせて成っている。
【0022】
この名刺入れ1は、複数枚の名刺Cを重ねて収納する名刺差し10を折れ目2の一方側(
図1(a)左下側)に備えており、折れ目2の他方側(
図1(a)右上側)には、定期券やクレジットカード等の硬質のカードCHの収納ポケット5が備えられている。
【0023】
名刺差し10は、折れ目2に向けて開口する名刺出し入れ口11と、この名刺出し入れ口11から挿入される複数枚の名刺Cの各一端Caと当接する底面12を具備しており、この底面12は、名刺出し入れ方向(
図1(b)上下方向)で且つ複数枚の名刺Cの重なり方向(
図1(b)左右方向)に対して傾斜する斜面として形成されている。
【0024】
この場合、名刺差し10の傾斜する斜面として形成された底面12は、複数枚の名刺Cの重なり方向における奥側(
図1(b)右側)から手前側(
図1(b)左側)にかけて下り勾配を成しており、複数枚の名刺Cは、各々の一端Caが傾斜する底面12と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれるようになっている。
【0025】
また、この名刺入れ1は、名刺差し10の名刺出し入れ口11の両端部にそれぞれ位置する名刺押え(カード押え)15,15を備えている。
これらの名刺押え15,15は、名刺差し10の傾斜する底面12と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbと当接するものとなっている。
【0026】
この実施形態において、名刺押え15,15は、この名刺差し10を構成する部材、すなわち、裏皮4と同じ皮革又は合成皮革から成っており、帯状に切断した皮革又は合成皮革をループさせた形状を成している。詳述すれば、名刺押え15は、中間部をループさせた帯状皮革の両端部を互いに重ね合わせて形成され、名刺差し10の裏皮4に貼り付けて成っている。
【0027】
つまり、この実施形態において、ループ状の名刺押え15を複数枚の名刺Cの各他端Cbに当接させることで、名刺押え15が有する皮革又は合成皮革の弾性力で複数枚の名刺Cの積層状態を維持するようになっている。
【0028】
なお、このループ状の名刺押え15は、ループ部が大き過ぎると、名刺入れ1そのものの形状が崩れる可能性があり、一方、ループ部が小さ過ぎると、名刺Cを1枚ずつ摘まみ出し得る積層状態を維持することができなくなってしまう。
【0029】
そこで、この実施形態では、ループ部の大きさが丁度良い名刺押え15を製作するために、皮革又は合成皮革から切り出す帯状皮革の長さを検討して決める型紙製作工程と、実際に切り出した帯状皮革をループ状に形成した場合の出来具合を見極める工程と、名刺差し10の襠の寸法及び帯状皮革の長さの関係を検討する工程とを経て、名刺押え15を製作するようにしている。
【0030】
この実施形態による名刺入れ1では、名刺差し10の傾斜する斜面として形成された底面12が、複数枚の名刺Cの重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成しているので、この底面12に当接する名刺差し10内における複数枚の名刺Cは、名刺出し入れ方向に階段状にずれることとなり、最も奥側に位置している最上位の名刺Cから1枚ずつ摘まみ出し得ることとなる、すなわち、名刺Cの1枚ずつの摘まみ出しが容易に成されることとなる。
【0031】
そして、二つ折りに畳んだ名刺入れ1を鞄等に入れて持ち運ぶ際には、名刺差し10の底面12と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbに名刺押え15,15が当接するので、複数枚の名刺Cが名刺差し10の底面12から離れてしまうことが阻止され、したがって、名刺Cを1枚ずつ摘まみ出し得る状態が維持されることとなる。
【0032】
この実施形態では、名刺入れ1が、折れ目2の他方側(
図1(a)右上側)に収納ポケット5を備えている場合を例示したが、折れ目2の他方側にも、上記で説明した名刺差し10と同じ構成の名刺差し10を配置してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、名刺押え15,15を名刺差し10の名刺出し入れ口11の両端部にそれぞれ配置した場合を例示したが、これに限定されるものではなく、他の実施形態として、例えば、
図2に示すように、名刺押え15を名刺差し10における名刺出し入れ口11の一方の端部のみに設けたり、図示はしないが、名刺押え15を名刺差し10における名刺出し入れ口11の中央部に設けたりしてもよい。
【0034】
さらに、上記実施形態では、名刺押え15が、裏皮4と同じ皮革又は合成皮革から成っている場合を例示したが、これに限定されるものではなく、さらに他の実施形態として、例えば、
図3に示すように、複数枚の名刺Cの積層状態を維持するのに適度な弾性を有する合成ゴムで名刺押え25を形成してもよい。
【0035】
さらにまた、上記実施形態では、名刺出し入れ口11が、名刺差し10に収納する名刺Cの横辺とほぼ平行を成す場合を例示したが、これに限定されるものではなく、
図2に示すように、名刺差し10に収納する名刺Cの横辺に対して傾斜させたり、
図1(a)に仮想線で示すように、中央部で大きく凹ませたりしてもよく、いずれの場合においても、最も手前側に位置している名刺Cの摘まみ出しが容易なものとなる。
【0036】
図4は、本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示しており、この実施形態では、本発明に係るカード入れが長財布である場合を示している。
【0037】
図4に示すように、この長財布31が、先の実施形態による名刺入れ1と相違するところは、複数枚の名刺Cを重ねて収納する名刺差し10を折れ目32の一方側(
図4左下側)において横並び状態で2つ備えている点、及び、折れ目32の他方側(
図4右上側)に札Bを重ねて収納する札入れ35を備えている点にあり、他の構成は、名刺差し10の構成を含めて先の実施形態による名刺入れ1と同じである。
【0038】
この実施形態による長財布31でも、名刺差し10の傾斜する斜面として形成された底面12が、複数枚の名刺Cの重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成しているので、この底面12に当接する名刺差し10内における複数枚の名刺Cは、名刺出し入れ方向に階段状にずれることとなり、最も奥側に位置している最上位の名刺Cから1枚ずつ摘まみ出し得ることとなる、すなわち、名刺Cの1枚ずつの摘まみ出しが容易に成されることとなる。
【0039】
そして、二つ折りに畳んだ長財布31を鞄等に入れて持ち運ぶ際には、名刺差し10の底面12と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbに名刺押え15,15が当接するので、複数枚の名刺Cが名刺差し10の底面12から離れてしまうことが阻止され、したがって、名刺Cを1枚ずつ摘まみ出し得る状態が維持されることとなる。
【0040】
図5は、本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示しており、この実施形態では、本発明に係るカード入れが名刺入れである場合を示している。
【0041】
図5に示すように、この名刺入れ51が、先の実施形態による名刺入れ1と相違するところは、名刺差し60の傾斜する斜面として形成された底面62が、複数枚の名刺Cの重なり方向における手前側(
図5(b)左側)から奥側(
図5(b)右側)にかけて下り勾配を成している点、及び、名刺押え65を折れ目52の近傍における表皮3上に1つ配置した点にあり、他の構成は、先の実施形態による名刺入れ1と同じである。
【0042】
この実施形態による名刺入れ51では、名刺差し60の傾斜する斜面として形成された底面62が、複数枚の名刺Cの重なり方向における手前側から奥側にかけて下り勾配を成しているので、この底面62に当接する名刺差し60内における複数枚の名刺Cは、名刺出し入れ方向に階段状にずれることとなり、最も手前側に位置している最上位の名刺Cから1枚ずつ摘まみ出し得ることとなる、すなわち、名刺Cの1枚ずつの摘まみ出しが容易に成されることとなる。
【0043】
そして、二つ折りに畳んだ名刺入れ51を鞄等に入れて持ち運ぶ際には、名刺差し60の底面62と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbに名刺押え65が当接するので、複数枚の名刺Cが名刺差し60の底面62から離れてしまうことが阻止され、したがって、名刺Cを1枚ずつ摘まみ出し得る状態が維持されることとなる。
【0044】
図6は、本発明に係るカード入れのさらに他の実施形態を示しており、この実施形態でも、本発明に係るカード入れが名刺入れである場合を示している。
【0045】
図6に示すように、この名刺入れ71は、折れ目72を介して二つに折れるタイプの名刺入れであって、表側に位置する皮革又は合成皮革である表皮73と、裏側に位置する革又は合成皮革である裏皮74とから成っている。
【0046】
この名刺入れ71は、折れ目72の一方側(
図6(a)左下側)が複数枚の名刺Cを重ねて収納する名刺差し80として形成され、折れ目72の他方側(
図6(a)右上側)が定期券やクレジットカード等の硬質のカードCHの収納ポケット75として形成されている。
【0047】
この実施形態において、名刺差し80は、折り目Rで裏側に折り返した表皮73の一方側に伸びる延長部73Aの両側縁を表皮73の両側縁に襠73Bを介してそれぞれ接合することで形成され、一方、収納ポケット75は、裏側に位置する裏皮74の両側縁を表皮73の両側縁にそれぞれ縫い合わせることで形成されている。
【0048】
この名刺差し80も、折れ目72に向けて開口する名刺出し入れ口81と、この名刺出し入れ口81から挿入される複数枚の名刺Cの各一端Caと当接する底面82を具備しており、この底面82は、名刺出し入れ方向(
図6(b)上下方向)で且つ複数枚の名刺Cの重なり方向(
図6(b)左右方向)に対して傾斜する斜面として形成されている。
【0049】
この実施形態において、名刺差し80の底面82は、表皮73の延長部73Aに対向するようにして表皮73の裏面に張り付けた補助皮83の
図6(b)下端部を表皮73の延長部73Aの折り目R付近に接合することで斜面として形成されている。つまり、名刺差し80の底面82は、表皮73,延長部73A及び襠73Bで被覆されて露出しないようになっており、これにより見栄えが向上したものとなっている。
【0050】
この際、名刺差し80の底面82は、複数枚の名刺Cの重なり方向における奥側(
図6(b)右側)から手前側(
図6(b)左側)にかけて下り勾配を成しており、複数枚の名刺Cは、各々の一端Caが傾斜する底面82と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれるようになっている。
【0051】
また、この名刺入れ71は、名刺差し80の名刺出し入れ口81の両端部にそれぞれ位置する名刺押え(カード押え)85,85を備えている。
これらの名刺押え85,85は、名刺差し80の傾斜する底面82と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbと当接するものとなっている。
【0052】
この実施形態において、名刺押え85,85は、この名刺差し80を構成する部材、すなわち、裏皮74と同じ皮革又は合成皮革から成っており、帯状に切断した皮革又は合成皮革をループさせた形状を成している。詳述すれば、名刺押え85は、中間部をループさせた帯状皮革の両端部を互いに重ね合わせて形成され、名刺差し80の延長部73Aに貼り付けて成っている。
【0053】
つまり、この実施形態において、ループ状の名刺押え85を複数枚の名刺Cの各他端Cbに当接させることで、名刺押え85が有する皮革又は合成皮革の弾性力で複数枚の名刺Cの積層状態を維持するようになっている。
【0054】
この実施形態による名刺入れ71では、名刺差し80の傾斜する斜面として形成された底面82が、複数枚の名刺Cの重なり方向における奥側から手前側にかけて下り勾配を成しているので、この底面82に当接する名刺差し80内における複数枚の名刺Cは、名刺出し入れ方向に階段状にずれることとなり、最も奥側に位置している最上位の名刺Cから1枚ずつ摘まみ出し得ることとなる、すなわち、名刺Cの1枚ずつの摘まみ出しが容易に成されることとなる。
【0055】
そして、二つ折りに畳んだ名刺入れ71を鞄等に入れて持ち運ぶ際には、名刺差し80の底面82と当接することで名刺出し入れ方向に階段状にずれた複数枚の名刺Cの各他端Cbに名刺押え85,85が当接するので、複数枚の名刺Cが名刺差し80の底面82から離れてしまうことが阻止され、したがって、名刺Cを1枚ずつ摘まみ出し得る状態が維持されることとなる。
【0056】
また、この実施形態では、表皮73,延長部73A及び襠73Bで名刺差し80の底面82を覆って外部からは見えないようにしているので、見栄えが向上したものとなる。
【0057】
上記した各実施形態において、本発明に係るカード入れがいずれも名刺入れである場合を示したが、これに限定されるものではなく、クレジットカードやポイントカード等の硬質のカード入れに適用することが勿論可能である。
【0058】
本発明に係るカード入れの構成は、上記した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1,51,71 名刺入れ(カード入れ)
2,52,72 折れ目
10,60,80 名刺差し(カード差し)
11,61,81 名刺出し入れ口(カード出し入れ口)
12,62,82 名刺差しの底面(カード差しの底面)
15,65,85 名刺押え(カード押え)
31 長財布(カード入れ)
C 名刺(カード)
Ca 名刺の一端(カードの一端)
Cb 名刺の他端(カードの他端)