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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】改良SMA樹脂配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220328BHJP
   C08L 35/06 20060101ALI20220328BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20220328BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220328BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20220328BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20220328BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20220328BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220328BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20220328BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20220328BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L35/06
C08K3/34
C08K3/36
C08G59/20
C08J5/24 CFC
B32B27/38
B32B27/30 B
B32B27/26
B32B27/20 Z
H05K1/03 610H
H05K1/03 610R
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019503737
(86)(22)【出願日】2017-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 US2017043633
(87)【国際公開番号】W WO2018022563
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-21
(31)【優先権主張番号】62/366,115
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517006566
【氏名又は名称】イソラ・ユーエスエイ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Isola USA Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】テック・カイ・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】レベカー・エフ・テイセン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジー・クラーク・ジュニア
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-043846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0161080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0289113(US,A1)
【文献】特表2018-503704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08G 59/00- 59/72
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン無水マレイン酸共重合体;
少なくとも1つのエポキシ樹脂;
少なくとも1つの架橋剤;
タルク;および
シリカ
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
タルクが、乾燥ベースで2.5~15重量%の範囲の量で樹脂組成物中に存在する請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
シリカが、乾燥ベースで2.5~25重量%の範囲の量で樹脂組成物中に存在する請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
シリカが溶融シリカである請求項1~3のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
シリカがシリル化シリカである請求項1~4のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
タルクがシリル化タルクである請求項1~5のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
乾燥ベースで5~12.5重量%タルク、および5~25重量%のシリル化溶融シリカを含む請求項1~6のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
スチレン無水マレイン酸共重合体が、乾燥ベースで5~40重量%の範囲の量で樹脂組成物中に存在する請求項1~7のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、乾燥ベースで1~50重量%の範囲の量で樹脂組成物中に存在する請求項1~8のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、非臭素化ビスフェノールA、非臭素化ビスフェノールFおよびそれらの組合せから選択される請求項1~9のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの架橋剤が、乾燥ベースで0より大きく20重量%までの範囲の量で樹脂組成物中に存在する請求項1~10のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの架橋剤が、テトラブロモビスフェノールA、テトラ-DOPO-ビスフェノールAおよびそれらの混合物から選択される請求項1~11のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項13】
乾燥ベースで0.01~3.0重量%の少なくとも1つのアゾタイプの触媒を含む請求項1~12のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項14】
アゾビスイソブチロニトリル、2-プロピルイミジアゾール、テトラブチルホスホニウム酸アセテート、2-メチルイミダゾールおよびそれらの組合せから選択される触媒を含む請求項1~13のいずれか1記載の樹脂組成物。
【請求項15】
無溶媒の乾燥樹脂組成物ベースで5重量%~40重量%のスチレン無水マレイン酸共重合体;
無溶媒の乾燥樹脂組成物ベースで1~50重量%の少なくとも1つのエポキシ樹脂、ここに、前記少なくとも1つのエポキシ樹脂は、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、非臭素化ビスフェノールA、非臭素化ビスフェノールFおよびそれらの組合せから選択される;
無溶媒の乾燥樹脂組成物ベースで0より大きく20重量%までの少なくとも1つの架橋剤、ここに、前記少なくとも1つの架橋剤は、テトラブロモビスフェノールA、テトラ-DOPO-ビスフェノールAおよびそれらの混合物から選択される;
.5~15重量%のタルク;ならびに
.5~15重量%のヒュームドシリカを含む樹脂組成物。
【請求項16】
ヒュームドシリカ-対-タルクの重量比が、1:2.5~5:1の範囲である請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項17】
ヒュームドシリカ-対-タルクの重量比が、1:1~2.5:1の範囲である請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項18】
ヒュームドシリカが非晶質シリル化ヒュームドシリカである請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項19】
タルクがシリル化タルクである請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項20】
架橋剤が、テトラブロモビスフェノールAおよびテトラ-DOPO-ビスフェノールAの混合物である請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項21】
触媒としてテトラブチルホスホニウム酸アセテートを含む請求項15記載の樹脂組成物。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の樹脂組成物を含浸させた補強材を含むプリプレグ。
【請求項23】
プリプレグがプリント回路基板に組み込まれ、プリント回路基板がプリプレグ領域の層間剥離を受けない請求項22記載のプリプレグ。
【請求項24】
補強材、および請求項1~21のいずれかに記載の樹脂組成物を含む積層体であって、樹脂組成物がCステージ化されている積層体。
【請求項25】
第1の平面表面および第2の平面表面を有する銅箔シートを含む樹脂被覆銅箔であって、
請求項1~21のいずれかに記載の樹脂組成物の層が、少なくとも1つの平面表面に塗布され、樹脂組成物がBステージ化またはCステージ化された樹脂被覆銅箔
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1)発明の技術分野
本発明は、プリント回路基板の製造に用いるプリプレグおよび積層体を形成するために用いる樹脂組成物に関し、樹脂組成物は、織物に含浸させ、次いで、織物を部分的または完全に硬化させて用いる。本発明の樹脂組成物を用いて調製されるプリプレグおよび積層体は、電子工学における高頻度の適用に適した優れた電気的性能、ならびに優れた熱的および機械的性能を所有する。
【背景技術】
【0002】
(2)発明の背景技術
タルクのごとき充填剤は、プリプレグおよび積層体を製造するために用いられ、引き続いてプリント回路基板製造に用いられる樹脂中の重要な成分になることができる。タルクは熱安定性を提供し、ボイド(void)を満たし、PCB穿孔を改善する。スチレン無水マレイン酸(SMA)は、プリプレグおよび積層体を調製するために用いるある種の樹脂成分である。SMAを樹脂に含ませて、ガラス転移温度(Tg)を改善できる。タルクおよびSMAは、PCB適用のため樹脂系に一緒に用いた場合、プリプレグにリフロー下の熱的信頼性の改善を提供できる。しかしながら、積層体およびプリント回路基板について熱的および電気的仕様をこれまで変更させてきても、改善した熱的、電気的および機械的特性を持つプリプレグおよび積層体の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
発明の要約
プリント回路基板に用いられる積層体およびプリプレグは、積層材に形成され、最終的には、一緒に結合される複数の積層体層を含むプリント回路基板(PCB)に形成される。PCBで生起される1つの課題は、特に、積層材またはPCBが高温に付される場合に、隣接する積層体層が層間剥離(delaminate)しかねないことである。層間剥離は基板故障を生じかねない。加えて、PCB製造者らも、低いウィッキング(wicking)および白色ガラス特性を示すPCBを製造するために用いることができるプリプレグ材料を必要とし始めている。したがって、層間剥離し難く、ならびに/または改善したウィッキングおよび/もしくは白色ガラス特性を示すPCBを形成するのに有用であるプリプレグ、積層体、樹脂被覆銅、および同様の樹脂含有材料についての必要性が存在する。
【0004】
1つの態様において、発明者らは、充填剤の予期しない組合せ、シリカおよびタルクの使用が、シリカまたはタルク単独のいずれかを用いるものより、ある種の積層体ならびに/またはPCBの電気的および/もしくは熱特性を改善する相乗的な組合せを提供することを発見した。これは、特に、無水物硬化剤を用いる場合にである。
【0005】
もう一つの態様は、スチレン無水マレイン酸共重合体;少なくとも1つ(または少なくとも1種)のエポキシ樹脂;少なくとも1つ(または少なくとも1種)の架橋剤;タルク;およびシリカを含む樹脂組成物である。
【0006】
さらにもう一つの態様は、無溶媒の乾燥樹脂ベースで約5重量%~約40重量%のスチレン無水マレイン酸共重合体;無溶媒の乾燥樹脂ベースで約10~約50重量%の少なくとも1つ(または少なくとも1種)のエポキシ樹脂、ここに、前記少なくとも1つ(または少なくとも1種)のエポキシ樹脂は、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、非臭素化ビスフェノールA、非臭素化ビスフェノールFおよびそれらの組合せから選択される;無溶媒の乾燥樹脂ベースで約0より大きく約20重量%までの少なくとも1つの架橋剤、ここに、前記少なくとも1つ(または少なくとも1種)の架橋剤は、テトラブロモビスフェノールA、テトラ-DOPO-ビスフェノールAおよびそれらの混合物から選択される;乾燥樹脂ベースで約2.5~約15重量%のタルク;および乾燥樹脂ベースで約2.5~約15重量%のヒュームドシリカを含む樹脂組成物である。
【0007】
さらにもう一つの態様は、本明細書に記載された樹脂を含浸させた補強材を含むプリプレグおよび/または積層体、ならびに第1の平面表面および第2の平面表面を含む樹脂被覆箔であって、本明細書に記載されたBステージ化またはCステージ化した樹脂層が、少なくとも1つの平面表面に塗布される樹脂被覆箔である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体例の記載
本開示は、概して、複数の成分から作製された樹脂、ならびにその部分的または完全に硬化した樹脂を含むプリプレグおよび積層体に指向される。
【0009】
樹脂は、樹脂成分を組み合わせて、熱硬化性樹脂を形成する「配合」プロセスによって作製される。一例において、樹脂を用いて、樹脂をガラス織布のごとき補強材に「含浸させる」ことにより、積層体を製造する。もう一つの例において、樹脂を用い、銅箔シートを覆って、樹脂被覆銅積層体を形成する。もう一つの例において、樹脂を用いて、補強材を含む積層シートを形成する。樹脂を用いて作製された1つのタイプの製品は、「プリプレグ」-すなわち、部分的にだけ硬化したかまたは「Bステージ化」した樹脂または樹脂含浸補強材を含み得るシート材料である。樹脂から作製されるもう一つのタイプの製品は、樹脂を完全に硬化させたCステージ化した積層体である。樹脂を製剤化するのに用いた成分を以下に記載する。特記しない限りは、成分重量パーセント範囲は、無溶媒の「乾燥」ベースで報告している。
【0010】
本発明の樹脂は、(1)少なくとも1つのSMA共重合体;(2)少なくとも1つのエポキシ樹脂;(3)少なくとも1つの共架橋剤;(4)タルク;(5)溶融シリカ;および触媒を含む。樹脂は、UVブロッカー、難燃剤および溶媒を含めた種々の所望の成分を含むことができる。
【0011】
SMAの共重合体
本発明の樹脂の第1の成分は、1以上のSMA共重合体である。スチレンおよび無水マレイン酸の共重合体は、特に、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第9巻(1987)、第225頁に記載されている。本発明の枠組み内では、「共重合体」なる用語は同様にSMAまたはSMAの混合物をいう。
【0012】
有用なスチレンおよび無水マレイン酸(SMA)は、約1400~約50,000の範囲の分子量および15重量%を超える無水物含量を有するタイプ1のSMA共重合体である。優先的には、1400~10,000の範囲の分子量を有するSMA共重合体である。かかる共重合体として、商業的に入手可能なSMA1000、SMA2000、SMA3000およびSMA4000が挙げられる。これらの共重合体は、例えば、各々、1:1、2:1、3:1および4:1、5:1、6:1、7:1;8:1および9:1のスチレン:無水マレイン酸比、ならびに約1400~約4000の範囲の分子量を有する。また、これらのSMAの混合物を用いてもよい。
【0013】
樹脂に使用されるSMA共重合体の量は、乾燥固体ベースで約5~約40重量%、より適切には、約5~約30重量%の範囲であるであろう。
【0014】
エポキシ樹脂
「エポキシ樹脂」なる用語は、この文脈において、C. A. May, Epoxy Resins, 第2版, (New York & Basle: Marcel Dekker Inc.), 1988に記載されたオキシラン環含有化合物の硬化性組成物をいう。
【0015】
エポキシ樹脂のいくつかの例は:ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに基づくもの;フェノール-ホルムアルデヒドノボラックまたはクレゾール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテルに基づくもの;トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルまたはテトラフェニルエタンのテトラグリシジルエーテルに基づきもの;テトラグリシジル-メチレンジアニリンまたはp-アミノグリコールのトリグリシジルエーテルに基づくもののごときアミンタイプ;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシラートに基づくもののごとき脂環式タイプを含む。また、「エポキシ樹脂」なる用語は、過剰なエポキシ(例えば、前記タイプ)を含有する化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物の反応生成物を表わす。これらの化合物は、ハロゲン置換し得る。
【0016】
優先的にはエポキシ樹脂であり、それはビスフェノールAの誘導体、特に、それらが安価なために、特に、FR4である。FR4は、過剰なビスフェノールAジグリシジルエーテルとテトラブロモビスフェノールAとの反応の進行によって作製される。また、エポキシ樹脂と、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂および/またはビスマレイミドトリアジン樹脂との混合物を適用することができる。
【0017】
エポキシ樹脂が単一の明確な構造式によって一般的に表わされることに注目すべきである。当業者ならば、エポキシ樹脂調製中に生じる副反応に起因する外れた生成物を含めるべきであることが分かっているであろう。これらの副産物が硬化したエポキシ樹脂の通常成分を構成するので、それらは本発明による樹脂の通常成分を同様に構成する。
【0018】
1以上のエポキシ樹脂は、乾燥ベースで約5重量%~約50重量%、より狭くは約10重量%~約40重量%の範囲の合計量で樹脂に含まれる。本発明の1つの態様において、樹脂は2種の異なるエポキシ樹脂を含む。
【0019】
架橋剤
樹脂は1以上の架橋剤を含むであろう。有用な架橋剤は、臭素化および非臭素化ビスフェノールA、臭素化および非臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAならびにテトラ-DOPO-ビスフェノールAを含む。前記のごとく、各架橋剤は、所望により臭素化、すなわち、1以上の臭素原子で置換し得る。臭素化共架橋剤は、難燃加工特性のために有用である。好ましくは、BPAおよびBPADGEの双方の芳香族基を2つの各臭素原子で置換して、各々、テトラブロモ-TBBPAおよびTBBPADGEを得る。また、所望により臭素化されたノボラックを架橋剤として用いることができる。
【0020】
樹脂に用いられる架橋剤の量は、無溶媒または固体ベースで約0より大きく約20重量%まで、より狭くは、約0.05~約10重量%の範囲であるであろう。
【0021】
充填剤
本発明の樹脂は2種以上の異なる充填剤を含む。一般的には、充填剤は、1以上の溶融シリカ、非晶質溶融シリカ、結晶性シリカ、ヒュームドシリカ(fumed silica)、タルク、コアシェル粒子、テフロン(商標登録)、石英、セラミックス、非晶性または結晶性形態の微粒子金属酸化物、例えば、シリカ、二酸化チタン、アルミナ、セリア、クレイ、焼成クレイ、窒化ホウ素、ウラストナイト、粒状ゴム、ポリフェニレンオキシドおよびそれらの混合物から選択することができる。有用な充填剤の他の例は、焼成クレイ、溶融シリカおよびそれらの組合せを含む。
【0022】
特に有用な充填剤は、タルクおよびシリカであり、溶融シリカおよびタルクは特に有用な組合せである。第1の充填剤および第2の充填剤は、乾燥樹脂ベースで約5重量%~約50重量%、より狭くは乾燥樹脂ベースで約5重量%~約37.5重量%、最終的により狭くは、乾燥樹脂ベースで約5重量%から約25重量%の範囲の量で樹脂中に存在する。
【0023】
タルクおよびシリカの組合せが樹脂に用いられる場合、タルクは、約2.5重量%~約25重量%の範囲の量で存在し、シリカは、約2.5重量%~約25重量%の範囲の量で存在するであろう。より狭くは、タルクは乾燥樹脂ベースで約2.5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、シリカは、乾燥樹脂ベースで約2.5重量%~約15重量%の範囲の量で存在するであろう。別法の具体例において、樹脂中のシリカまたはヒュームドシリカ-対-タルクの重量比は、約1:2.5~約5:1、より狭くは約1:1~約2.5:1の範囲であるであろう。
【0024】
有用なタルクの一例は、Barretts Minerals, Incによって製造されるMicrotuff AGDである。タルクはシラン処理されたかまたはシラン未処理であることができる。加えて、平均タルク粒子サイズは、約1.2ミクロン未満、好ましくは約0.9ミクロン未満であろう。より小さなタルク粒子は、より少量で樹脂ボイドを充填することができ、その結果、樹脂は加熱に際して膨張しにくい。
【0025】
有用なシリカ充填剤の一例は、非晶質溶融シリカ、特に、約6.0ミクロン未満、より狭くは4.0未満のD50粒子サイズを有する非晶質溶融シリカである。もう一つの例において、シリカは、2~4ミクロンのパーコレーション閾値を有する。2~4ミクロンのパーコレーション量を有するシリカは、電気的特性のごときプリプレグまたはPCBの特性を高めることが判明し、一方、この範囲外のパーコレーション閾値を有するシリカを用いる場合、かかる特性ならびに機械的特性は低下し始める。シリカはシリル化(silated、シラン処理)、または非シリル化(シラン処理しない)し得る。シラン処理はシラン(silence)およびシラザンを用いて、シリカ(またはタルク)表面を化学的に修飾して表面を疎水性にさせる。
【0026】
難燃剤
本発明の配合樹脂は1以上の難燃剤を含み得る。プリント回路基板の製造に用いる複合物および積層体を製造するために用いる樹脂組成物に有用であることが知られているいずれの難燃剤も用い得る。難燃剤はハロゲンを含有してもよく、またはそれらはハロゲンを含まなくてもよい。有用な難燃剤として、限定されるものではないが、グリシジルエーテル化の二官能性アルコールのハロゲン化物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ポリビニルフェノールまたはフェノール、クレオソール、アルキルフェノール、カテコールおよびノボラック樹脂のごときノボラック樹脂のハロゲン化物、三酸化アンチモン、赤リン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムのごとき無機系難燃剤、ならびにテトラフェニルホスフィン、リン酸トリクレジルジフェニル、リン酸トリエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸キシレニルジフェニル、酸性リン酸エステル、リン酸アンモニア、ポリリン酸アンモニア、シアヌル酸アンモニア、窒素含有リン酸化合物、およびハライド含有リン酸エステルのごときリン系難燃剤が挙げられる。
【0027】
リン系難燃剤は、例えば、米国特許第6,645,631号、第7,687,556号および第8,129,456号に開示されたものを含むこともでき、その各明細書をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0028】
難燃剤は、樹脂組成物から作製された積層体がUL-94可燃性試験に合格することを可能にするのに十分な量で本発明の樹脂組成物に存在するであろう。より狭くは、難燃剤またはその組合せは、乾燥重量ベースで約5重量%~約50重量%または約10重量%~約30重量%の範囲の量で樹脂中に存在し得る。
【0029】
1つの好ましい具体例において、難燃剤は固体難燃剤デカブロモジフェニルエタンであり、それは以下の構造を有する:
【0030】
【化1】
【0031】
デカブロモジフェニルエタンは、例えば、Albemarle Corporation (451 Florida St., Baton Rouge, LA 70801)から商業的に入手可能である。Albemarle製品は、Saytex(商標)8010として販売されている。また、デカブロモジフェニルエタンは、予期せぬことに、硬化した樹脂組成物の誘電特性を改善する。その結果、デカブロモジフェニルエタンは、硬化した樹脂の誘電特性も高めるために難燃剤に必要であるよりはるかに多量で樹脂組成物に含むことができる。もう一つの有用な高臭素含量の不溶性難燃剤は、Albemarle CorporationによってSaytex BT93Wとして販売されているエチレンビステトラブロモフタルイミドである。他の同様の有用な難燃剤は、デカブロモジフェニルオキサイドおよび臭素化ポリスチレンを含む。
【0032】
開始剤/触媒
樹脂は、例えば、単独重合の促進および/または樹脂成分の架橋のごとき種々の機能を行うことにより樹脂成分の架橋を促進し、樹脂硬化率を高めるために樹脂硬化中に利用可能である開始剤/触媒をさらに含むであろう。選択された開始剤/触媒は、それがこれらの機能の1つを行うか行なわないかに拘わらず、樹脂合成または硬化に有用であることが知られているいずれの化合物であってもよい。
【0033】
有用な開始剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2-プロピルイミジアゾール(2-PI)、テトラブチルホスホニウム酸アセテート(TBPAAc)および2-メチルイミダゾール(2-MI)のごときアゾタイプの開始剤/触媒である。
【0034】
用いられる開始剤量はその適用に依存する。樹脂に用いられた場合、開始剤は、約0.01~約3.0重量%、より狭くは、約0.05~約1重量%の範囲の量で存在するであろう。
【0035】
ある態様において、樹脂は、一般的には、以下の表1に報告された量の成分を含み、その量は、無溶媒または固体のみのベースでの重量部で報告されるであろう。
【0036】
【表1】
【0037】
別法の樹脂組成物を以下の表2に要約し、成分量は、溶媒を含む重量部で報告される。
【0038】
【表2】
【0039】
1つの態様において、本発明は、以下の成分を有する樹脂を含み、その重量パーセント量は、総固形分(無溶媒)ベースで報告している:
1.10~40重量% スチレン無水マレイン酸共重合体(SMA);
2.5~40重量% エポキシ(臭素化もしくは非臭素化ビスフェノールAまたはビスフェノールFの組合せ);
3.0~20重量% テトラブロモビスフェノールAまたはテトラ-DOPO-ビスフェノールA;
4.5~20% ハロゲン含有またはハロゲン非含有難燃剤、例えば、臭素もしくはリンベースのモノマーまたは樹脂;
5.5~40重量% 充填剤組合せ(2以上の組合せ充填剤)、以下の可能性;溶融シリカ、結晶性シリカ、ヒュームドシリカ、タルク、クレイ、コアシェルゴム粒子または粒状難燃剤の組合せ。
【0040】
さらにもう一つの態様において、本発明は、以下の成分を有する樹脂を含み、その重量パーセント量は、溶媒を含む総重量ベースで報告している:
1.30%~40% 高低沸点溶媒:メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの溶媒パッケージ;
2.15%~30% スチレン無水マレイン酸共重合体(SMA)
3.10%~20% エポキシ-臭素化または非臭素化エポキシの組合せ;
4.0.5%~10% テトラブロモビスフェノールAまたはテトラ-DOPO-
ビスフェノールA;
5.5%~12.5% タルク
6.5%~25% 溶融シリカ
7.0.01%~0.03% Tinopal OB(UVブロッカー)(所望による)
8.0.01~0.13% テトラブチルホスホニウム酸アセテート(TBPAAc)、2-メチルイミダゾール(2-MI)または2-フェニルイミジアゾール(2-PI)。
【0041】
溶媒
1以上の溶媒が、適切な樹脂組成物成分を可溶化するために、および/または樹脂粘度を制御するために、および/または成分を懸濁分散に維持するために本発明の樹脂組成物に典型的に組み込まれる。熱硬化性樹脂系と共に有用であることが当業者により知られたいずれの溶媒も用いることができる。特に有用な溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、酢酸プロピル、シクロヘキサノンおよびそれらの組合せを含む。
【0042】
使用時、溶媒は、溶媒含有樹脂組成物の総重量の重量パーセントとして約20重量%~約50重量%の量で樹脂中に存在する。有用な溶媒は、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサンのごとき高低沸点溶媒の組合せである。
【0043】
任意成分
(a)強化剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、1以上の強化剤を含み得る。強化剤を樹脂組成物に加えて、得られる複合物および積層体の穿孔性能を改善する。有用な強化剤は、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリル酸ブタジエン・スチレンコアシェル粒子およびそれらの混合物を含む。好ましい強化剤は、メタクリル酸・ブタジエン・スチレンコアシェル粒子であり、これは商品名Paraloid(登録商標)下にRohm & Haas (100 Independence Mall West, Philadelphia, PA) から入手可能である。使用時、強化剤は、100重量%固体の組成物に対し、約1%~約5%、好ましくは約2~約4%の量で本発明の熱硬化性樹脂組成物中に存在する。
【0044】
(b)他の任意成分
また、所望により、配合樹脂は、消泡剤、均染剤(leveling agent)、染料および顔料のごとき他の添加剤を含み得る。例えば、蛍光染料は、光学的検査装置で光に曝露された場合に、それから調製された積層体に蛍光発光させるために微量で樹脂組成物に加えることができる。有用な蛍光染料は、高度にコンジュゲートしたジエン染料である。かかる染料の一例は、Ciba Specialty Chemicals, Tarrytown, New Yorkから入手可能なUVITEX(登録商標)OB(2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾールである。
【0045】
また、プリント回路基板積層体を製造するために用いる樹脂に有用であることが当業者に知られた他の任意成分を本発明の樹脂組成物に含み得る。
【0046】
ヒュームドシリカおよびタルクの組合せを含む樹脂系で作製された本発明のプリプレグおよび積層体は、特に、スチレン量がSMA中の無水物に対する比で増加する場合の熱応力およびリフロー下、より低い膨張を相乗的に示す。充填剤の組合せによって引き起こされるこの膨張の改善は、無水物に対するSMA立体の比の増加でさらに向上し、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8および1:9の無水物-対-スチレンの比が特に有用である。
【0047】
本発明のもう一つの態様において、樹脂は、種々の比のSMA群および種々の組合せのSMA群を含むことができる。例えば、タルクおよびヒュームドシリカを組み合わせた充填剤と一緒に、2以上の無水物-対-スチレン比、1:3、1:4、1:5、1:6を有することを含む組合せを用い得る。これらの充填剤の組合せの拡張は、球状または長方形(oblong)または多孔性の形状さえのシリカ充填剤と組み合わせて、小板(platelet)から構成されているタルクに類似するいずれの充填剤タイプも含む。これは、略球状のシェルゴム・コア粒子のごときいずれのこれらの形状の充填剤の組合せも含むであろう。かかる充填剤の組合せを含む樹脂はより均質であり、それにより、PCB産業において用いられる積層体およびプリプレグ材料に特有の熱特性を改善する。当該産業は、プリント回路基板内部の積層体のいずれかの層間剥離を防止するのを助ける長い沿革の熱的要件を有する。PCBに用いられる積層体に組み込まれた場合に前記に開示された充填剤の組合せを含む樹脂は、熱応力下の積層体膨張の低下に加えてPCB層間剥離を防止する。
【0048】
樹脂成分の組合せ-2つの異なる充填剤を含む-は、立体バルクの比がSMA系においてより大きくなると、膨張増大を示す生成物を生成する。このより大きな比は低誘電率特性には望ましいが、しかし、この有利さで、もっとも最近の沿革においてシリカ充填剤単独の使用によって解決された膨張および熱不安定の増加がもたらされる。本明細書に記載された樹脂における2つの充填剤の組合せは、特に、熱応力およびリフロー下の膨張および熱安定性を減少させ、層間剥離、白色ガラスのクレイジング(crazing)および/またはウィッキングを減少させるのを助ける。
【0049】
プリプレグおよび積層体
前記された樹脂は、プリント回路基板の製造に用いられるプリプレグおよび/または積層体の調製に有用である。プリント回路基板を製造するのに有用であるように、積層体を部分的に硬化するか、またはBステージ化させることができ(この例において、それらをプリプレグという)、その状態において、積層体は、さらなる材料シートと積層し、十分に硬化(「Cステージ化」)させて積層またはPCBを形成できる。別法として、樹脂は、Cステージ化積層シート、樹脂被覆銅シートまたは中間層シートに組み込むことができる。
【0050】
1つの有用な方法において、樹脂を用いて、バッチまたは連続プロセスにおいてプリプレグを製造する。プリプレグは、一般的には、一連の駆動ロール(drive roll)に巻かれない織られたガラスウェブ(織物)のような補強材を用いて製造される。次いで、ウェブは、熱硬化性樹脂を含有するタンク中にウェブが浸されるコーティング領域に運ばれ、その点にて、ガラスウェブは樹脂で飽和される。次いで、樹脂で飽和したガラスウェブを1対の計量用バーまたはロールを通過させて、飽和したガラスウェブから過剰な樹脂を除去し、その後、樹脂被覆ウェブは、溶媒がウェブから蒸発するまで、選択された期間乾燥塔長を進む。樹脂の所望による第2のコーティングおよび引き続いてのコーティングは、プリプレグの調製が完了し、そこで、プリプレグが巻かれるまで、これらの工程の繰り返しによりウェブに適用することができる。織られたガラスウェブは、織物材料、紙、プラスチックシート、フェルト、および/またはガラス繊維粒子または粒状材料ごとき粒子材料と置換できる。
【0051】
プリプレグまたは積層体材料を製造するためのもう一つのプロセスにおいて、本発明の熱硬化性樹脂は、雰囲気の温度および圧力下の混合容器中で予め混合される。プレミックスの粘度は約600~1000cpsであり、溶媒を添加または樹脂から溶媒を除去することによって調節することができる。織物基材(典型的には、Eガラスに限定されないが)は、予め混合された樹脂を含む浸漬タンクを介して、過剰な溶媒を追い出すオーブンタワーを通して運ばれ、プリプレグは寸法に巻かれるか、またはシートにされ、ガラス織りスタイル、樹脂含量および厚み要件に依存して種々の構造でCu箔間に積層される。
【0052】
また、熱硬化性樹脂(樹脂)ミックスは、スロットダイ(slot-die)または他の関連するコーティング技術を用いて、薄層でCu箔基材(RCC-樹脂被覆Cu)に適用することができる。
【0053】
本明細書に記載された樹脂を用いて作製されたすべてのプリプレグ、積層体、樹脂被覆銅等は、当該技術分野において周知の製造技術を用いて、プリント回路基板(PCB)を製造するのに有用である。
【0054】
実施例
単一のタルク充填剤(ISE-S4)を有する樹脂、およびシリカおよびタルク(ISE-S3)を含む充填剤を有する樹脂を後記処方によって調製した。樹脂を用いて同一タイプの樹脂含浸ガラス織物を含むプリプレグおよび積層体を調製した。次いで、このプリプレグおよび積層体を用いて、後記の表3に記載された仕様を有する24層の多層プリント回路試験基板を調製し、引き続いて、それらの層間剥離に耐える能力、それらのウィッキングに耐える能力およびそれらの白色ガラスクレイジングに耐える能力を含めた多数の特性について試験した。
【0055】
【表3】
【0056】
表3において、例えば、1x2116RC57.8%とは、57.8%の樹脂含量(RC)を有する2116ガラス織布の1-ply層を有するプリプレグをいう。4mil[2x106]H/Hとは、106ガラス繊維布の2つの樹脂被覆層から作製された、完全硬化の4mm積層体をいう。
【0057】
前記にリストされた2つの樹脂に加えて、商業的に入手可能なSMA/エポキシ樹脂プリプレグ(いずれの充填剤も含まない)のIS415も、前記の表3に記載された試験基板の調製に用いた。
【0058】
ISE-S3樹脂は、以下の表4に記載した配合を有した。
【0059】
【表4】
所望によるParaloid-1.7重量%
UVブロッカー-0.02重量%を含む。
試験したプリント回路基板は:
■ 複数ピッチ寸法およびBGA設計;
■ 4層の2オンス銅を含む24Lおよび約3mmの厚み
■ 樹脂含量は、2つの改変物の密度に基づき調整し、同じ体積の樹脂を
維持することを目標とする
ことを含む試験ビヒクルであった;
ISE-S4樹脂は同様の配合を有したが、全タルク(11.6重量%)を用いた。
IS415樹脂は同様の配合を有したが、充填剤を完全に除いた。
【0060】
試験ビヒクルの試験結果は以下を示した:
■ ISE-S3およびISE-S4の双方は、6x260℃ IRリフロー後の熱性能について良好に働いた。
しかしながら、ISE-S3は、いくつかの重要な領域においてISE-S4より良好に働いた。ISE-S3は:
■ 層間剥離に対するより大きな耐性
■ 余り白色ガラス/クレイジングなし
■ T288でより高いTg
■ ISE-S4は相互接続欠陥(Interconnect Defects, ICD)を示したが、
ISE-S3はそれを示さなかった
を有した。
【0061】
3種の各試験基板において行った熱および電気的試験の結果を以下の表5~7に記載する。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
表6~7は、摂氏260度でのIRリフロー試験の結果を詳述する。ビアおよびボールグリッド配列のIRリフロー試験(赤外線リフローのハンダ付け)。リフロー試験は、ISE-S3プリプレグおよび積層体で作製された基板が、IS415ならびにISE-S4のプリプレグおよび積層体で作製された基板より一貫して良好であるウィッキングおよび白色ガラスクレイジング結果を提示したことを示す。
【0066】
ウィッキングは、銅が、めっきスルーホール(through hole)に隣接するガラス束へ移動する距離の指標であることは注目されるべきである。さらに、前記の表に参照される「クレイジング」または「白色ガラス」とは、エポキシ系および個々のガラス繊維間の分離量(距離)をいう。断面積において顕微鏡でみられる場合、クレイジングは、個々のガラス繊維を流れ落ちる銀色または白色の光沢を生成する。銀色の光沢は、光を反射する個々のガラス繊維の周囲のエアギャップによって創製される。
【0067】
加えて、基板を切り開き、6xIRリフロー260℃後に断面積を検討し、層間剥離(すなわち、隣接するプリプレグまたは積層体層が分離している領域)を視覚的に検査した。視覚的結果を以下の表8に報告する。
【0068】
【表8】
【0069】
前記の表8からの結果は、シリカ/タルク充填剤の組合せを含む積層体で作製された基板は、BGAにおけるリフロー試験および熱ビア適用後に層間剥離を提示しなかったことを示す。
【0070】
前記の詳細および特定の例への参照により、樹脂および樹脂を含む物品を記載すると、添付した特許請求の範囲に規定された開示の範囲から逸脱することなく、修飾および変更が可能であることが明確であろう。より詳細には、本開示のいくつかの態様が本明細書において特に有利であると識別されるが、本発明は、その開示のこれらの特定の態様に必ずしも限定されないと考えられる。