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特許7046912遠隔操作医療システムにおけるオンスクリーンメニューのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】遠隔操作医療システムにおけるオンスクリーンメニューのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20220328BHJP
   A61B 90/90 20160101ALI20220328BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B90/90
B25J3/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019505399
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017046446
(87)【国際公開番号】W WO2018031861
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】62/374,254
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】イトコウィッツ,ブランドン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ベリー,ジュリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーク,アンソニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ケルドック,アミー イー.
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-502337(JP,A)
【文献】国際公開第2015/143067(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/052312(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008043531(DE,A1)
【文献】特表2013-510664(JP,A)
【文献】国際公開第2015/142933(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/142956(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/35
A61B 90/90
B25J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータ制御システムと、該オペレータ制御システムによる作動のために構成される遠隔操作マニピュレータとを含み、該遠隔操作マニピュレータは、手術環境内で医療器具に連結される、遠隔操作アセンブリと、
1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットとを含み、
該処理ユニットは、
以前の遠隔操作処置の間に確立されたパラメータを含む、ユーザについてのユーザプロファイルを検索し、
前記パラメータに基づいて前記遠隔操作アセンブリの作動を構成する指令を提供する、
ように構成される、
システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記ユーザの身元を決定するように更に構成され、前記ユーザプロファイルは、前記身元と関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザの身元を決定することは、前記ユーザについての生物測定学情報を受信することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ユーザプロファイルを検索することは、プロファイル格納データベースからネットワークを通じて前記ユーザプロファイルを検索することを含む、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記パラメータは、前記以前の遠隔操作処置の処置シーケンスを含む、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項6】
前記作動は、前記処置シーケンスに基づいて前記ユーザにメッセージを提供することを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記ユーザによって完了される行動の表示に基づいて前記メッセージを消去するように更に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動は、前記以前の遠隔操作処置の前記処置シーケンスに基づいて前記オペレータ制御システムの設定を調整することを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記パラメータは、前記ユーザについての身体測定データを含む、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項10】
前記作動は、前記身体測定データに基づいて前記オペレータ制御システム又は手術台を調整することを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記パラメータは、前記以前の遠隔操作処置に基づいて前記ユーザに対して発行される信用証明、前記以前の遠隔操作処置中に確立されたユーザ嗜好に基づく前記医療器具の設定、又は補助機器の設定のうちの少なくとも1つである、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項12】
前記パラメータは、前記オペレータ制御システムについての人間工学的設定、視力矯正設定、好ましい言語設定、又は好ましいグラフィカルユーザインタフェース設定のうちの少なくとも1つを含む、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項13】
前記以前の遠隔操作処置は、前記ユーザによって行われ、他のユーザによって行われ、或いはシミュレートされた遠隔操作処置として行われた、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項14】
前記処理ユニットは、前記遠隔操作マニピュレータの種類を決定するように更に構成され、前記遠隔操作アセンブリの作動を構成する指令を提供することは、前記遠隔操作マニピュレータの前記種類に更に基づく、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項15】
前記種類は、シングルポート遠隔操作マニピュレータ又はマルチポート遠隔操作マニピュレータである、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2016年8月12日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR ONSCREEN MENUS IN A TELEOPERATIONAL MEDICAL SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第62/374,254号の優先権及び出願日の利益を主張し、その全文を参照として本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、遠隔操作医療処置を行うシステム及び方法に向けられており、より具体的には、個人化されたユーザ構成を提供するシステム及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲医療技法は、侵襲医療処置中に損傷を受ける組織の量を減らし、それにより、患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を減らすことを意図する。そのような最小侵襲技法は、患者の解剖学的構造内の自然開口部を通じて或いは1以上(1つ又はそれよりも多く)の外科切開部を通じて行われることがある。これらの自然開口部又は切開部を通じて、臨床医は、医療ツールを挿入して、標的組織場所に達する。最小侵襲医療ツールは、治療器具、診断器具、及び手術器具のような、器具を含む。最小侵襲医療ツールは、内視鏡器具のような撮像器具を含むこともある。撮像器具は、患者の解剖学的構造内の視野をユーザに提供する。幾つかの最小侵襲医療ツール及び撮像器具は、遠隔操作されることがあり、或いは他の方法でコンピュータ支援されることがある。遠隔操作医療システム及び遠隔操作医療処置がますます複雑になるにつれて、遠隔操作医療システム及び処置を構成するためのより効率的で個人化されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、以下に続く請求項によって要約されている。
【0005】
1つの実施形態では、システムが、オペレータ制御システムと、オペレータ制御システムによる作動のために構成される遠隔操作マニピュレータとを含む、遠隔操作アセンブリを含む。遠隔操作マニピュレータは、手術環境内で医療器具に連結される。システムは、1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットも含む。処理ユニットは、ユーザについてのユーザプロファイルを検索するように構成される。ユーザプロファイルは、以前の遠隔操作処置の間に確立されたパラメータを含む。処理ユニットは、パラメータに基づいて遠隔操作アセンブリの作動を構成する指令を提供するようにも構成される。
【0006】
他の実施形態では、システムが、オペレータ制御システムと、オペレータ制御システムによる作動のために構成される遠隔操作マニピュレータとを含む、遠隔操作アセンブリを含む。遠隔操作マニピュレータは、手術環境内で医療器具に連結される。システムは、1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットも含む。処理ユニットは、オペレータ入力によって確立されるパラメータを含む、ユーザについてのユーザプロファイルを検索するように構成される。処理ユニットは、パラメータに基づいて遠隔操作アセンブリの作動を構成するよう指令を提供するようにも構成される。
【0007】
他の実施形態では、方法が、遠隔操作アセンブリのオペレータ制御システムでユーザの身元を決定することを含む。遠隔操作アセンブリは、オペレータ制御システムによる遠隔操作のために構成される遠隔操作マニピュレータを含む。方法は、ユーザについてのユーザプロファイルを検索することも含む。ユーザプロファイルは、以前の遠隔操作処置の間に確立された第1のパラメータを含む。方法は、現在の遠隔操作処置中に、第1のパラメータに基づいて、遠隔操作アセンブリの作動を構成することも含む。
【0008】
本開示の態様は、添付の図面と共に読まれるときに、以下の詳細な記述から最良に理解される。業界の標準的な慣行に従って、様々な構成は一定の縮尺で描かれていないことを強調する。実際には、様々な構成の寸法は、議論の明確性のために任意に増大させられ或いは減少させられることがある。加えて、本開示は、様々な例において参照番号及び/又は文字を反復することがある。この反復は、単純性及び明確性の目的のためであり、それ自体は議論する様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を支配しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示のある実施形態に従った遠隔操作医療システムの概略図である。
【0010】
図1B】本明細書に開示する原理の一例に従った患者側カートの斜視図である。
【0011】
図1C】多くの実施形態に従った遠隔操作医療システムのための外科医の制御コンソールの斜視図である。
【0012】
図2】ユーザプロファイルを維持するためのシステムである。
【0013】
図3】検索されるプロファイルを使用して遠隔操作医療処置を行う方法である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで図面に例示する実施形態を参照し、それらを記載するために特定の用語を使用する。それにも拘わらず、本開示の範囲の限定が意図されていないことが理解されるであろう。本発明の態様の以下の詳細な記述では、開示の実施形態の完全な理解をもたらすために、数多くの特定の詳細を示す。しかしながら、この開示の実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施されてよいことが当業者に明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態の態様を不必要に曖昧にしないよう、よく知られた方法、手順、構成要素(コンポーネント)、及び回路を詳細に記載しない。
【0015】
記載するデバイス、器具、方法、及び本開示の原理の更なる適用に対する任意の変更及び更なる修正は、本開示に関連する当業者に通常思い浮かぶように、十分に想定される。特に、1つの実施形態に関して記載する構成、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載する構成、構成要素、及び/又はステップと組み合わせられてよいことが十分に想定される。加えて、本明細書において提供される寸法は、特定の例のためのものであり、異なる大きさ、寸法、及び/又は比率を利用して、本開示の着想を実施してよいことが想定される。不必要な記述の繰り返しを避けるために、1つの例示的な実施形態に従って記載する1以上(1つ又はそれよりも多く)の構成要素又は行為は、他の例示的な実施形態から適用可能であるものとして使用されることができ或いは省略されることができる。簡潔性のために、これらの組み合わせの多数の反復を別個に記載しない。単純性のために、幾つかの例では、同一の又は類似の部品を指すために、図面を通じて同じ参照番号を使用する。
【0016】
以下の実施形態は、様々な器具及びそれらの器具の部分を、三次元空間におけるそれらの状態に関して記載する。本明細書で使用するとき、「位置(position)」という用語は、三次元空間内の物体又は物体の一部分の場所(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿い3つの並進自由度)を指す。本明細書で使用するとき、「向き(orientation)」という用語は、物体又は物体の一部分の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書で使用するとき、「姿勢(pose)」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の一部分の位置、及び少なくとも1つの回転自由度におけるその物体又はその物体の一部分の向き(最大で6つの自由度)を指す。本明細書で使用するとき、「形状(shape)」という用語は、物体に沿って測定される姿勢、位置、又は向きのセットを指す。
【0017】
図面の図1Aを参照すると、例えば、診断的、治療的、又は外科的処置を含む、医療処置における使用のための遠隔操作医療システムが、参照番号10によって概ね示されている。記載するように、この開示の医療システムは、外科医の遠隔操作制御の下にある。代替的な実施形態において、遠隔操作医療システムは、処置又は副処置を実行するようにプログラムされたコンピュータの部分的な制御の下にあってよい。更に他の代替的な実施形態では、処置又は副処置を実行するようにプログラムされたコンピュータの完全な制御な下にある完全に自動化された医療システムを使用して、処置又は副処置を実行してよい。図1Aに示すように、遠隔操作医療システム10は、一般的に、患者Pを位置付ける手術台Oに又はその付近に取り付けられる遠隔操作アセンブリ12を含む。遠隔操作アセンブリ12がカートの一部分又は全部として構成されるときに或いはカート内に配置されることができるときに、遠隔操作アセンブリ12を患者側カートと呼ぶことがある。医療器具システム14及び内視鏡撮像システム15が、遠隔操作アセンブリ12に動作可能に連結されている。オペレータ入力システム16が、外科医又は他の種類の臨床医Sが手術部位の画像又は手術部位を表す画像を見ることを可能にし、医療器具システム14及び/又は内視鏡撮像システム15の動作を制御することを可能にする。オペレータ入力システム16を制御コンソール16と呼ぶこともある。様々な実施形態において、オペレータ入力システム16は、例えば、マルチポート(多ポート)及びシングルポート(単ポート)遠隔操作プラットフォームを含む、複数の種類の遠隔操作システムのうちの1つとの使用のために適合可能であってよい。
【0018】
オペレータ入力システム16は、通常は手術台Oと同じ部屋に配置される外科医コンソールに配置されてよい。しかしながら、外科医Sは、患者Pと異なる部屋又は完全に異なる建物に配置されることができる。オペレータ入力システム16は、一般的に、医療器具システム14を制御するための1以上の制御デバイスを含む。(複数の)制御装置は、ハンドグリップ、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、フットペダル、手動制御装置、音声認識デバイス、タッチスクリーン、体動センサ又はプレゼンスセンサ、及び同等物のような、任意の数の様々な入力デバイスのうちの1以上を含んでよい。幾つかの実施形態では、外科医に、テレプレゼンス、即ち、外科医が恰も手術部位に存在しているかのように器具を直接的に制御している強い感覚を有するよう、(複数の)制御デバイスが器具と一体的であるという知覚、を提供するために、(複数の)制御デバイスは、遠隔操作アセンブリの医療器具と同じ自由度を備える。他の実施形態において、(複数の)制御デバイスは、関連する医療器具よりも多い又は少ない自由度を有しながらも、依然として外科医にテレプレゼンスを提供してよい。幾つかの実施形態において、(複数の)制御デバイスは、6自由度で動く手動入力デバイスであり、(複数の)制御デバイスは、器具を作動させるための(例えば、把持ジョーエンドエフェクタを閉鎖するための、電極に電位を印加するための、医療治療を送達するための、及び同等のことのための)作動可能ハンドルも含んでよい。
【0019】
遠隔操作アセンブリ12は、外科医Sがコンソール16を通して手術部位を見ている間に、医療器具システム14を支持し且つ操作する。立体視内視鏡のような内視鏡撮像システム15によって手術部位の画像を取得することができ、遠隔操作アセンブリ12によって内視鏡撮像システム12を操作して内視鏡撮像システムを方向付けることができる。電子機器カート18を使用して、コンソール16を通じて外科医Sへの後続の表示のために手術部位の画像を処理することができる。一度に使用する医療器具システム14の数は、一般的に、他の要因の中でも特に診断的又は外科的処置及び手術室内の空間制約に依存する。遠隔操作アセンブリ12は、1以上の非サーボ制御リンク(例えば、一般にセットアップ構造と呼ばれる、手動で位置決めされて所定の場所にロックされることがある1以上のリンク)の運動学的構造及び遠隔操作マニピュレータを含むことがある。遠隔操作アセンブリ12は、医療器具システム14上の入力を駆動する複数のモータを含む。これらのモータは、制御システム(例えば、制御システム20)からのコマンドに応答して動く。モータは、医療器具システム14に連結されるときに医療器具を自然に又は外科的に創り出された解剖学的開口部内に前進させることがある、駆動システムを含む。他の電動駆動システムは、3つの程度の線形運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿う線形運動)及び3つの程度の回転運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸についての回転)を含むことがある多自由度において、医療器具の遠位端を移動させることがある。加えて、生検デバイス又は同等物のジョー内で組織を把持するために器具の関節作動可能なエンドエフェクタを作動させるためにモータを使用することができる。器具14は、メス、鈍い刃、光ファイバ、又は電極のような、単一の作業部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ(把持器)、鋏、又はクリップアプライヤを含んでよい。
【0020】
遠隔操作医療システム10は、制御システム20も含む。制御システム20は、医療器具システム14と、オペレータ入力システム16と、例えば、撮像システム、オーディオシステム、流体供給システム、ディスプレイシステム、照明システム、操縦制御システム、洗浄システム、及び/又は吸引システムを含むことがある、他の補助システム26との間の制御をもたらすために、少なくとも1つのメモリ24と、少なくとも1つのプロセッサ22、典型的には、複数のプロセッサとを含む。制御システム20は、本明細書に開示する態様に従って記載する方法の一部又は全部を実施するようプログラムされた指令(例えば、指令を格納するコンピュータ可読媒体)も含む。制御システム20は、図1Aの簡略図では単一ブロックとして示されているが、制御システムは、2以上(2つ又はそれよりも多く)のデータ処理回路を含んでよく、処理の一部分は、遠隔操作アセンブリ12上で又は遠隔操作アセンブリ12に隣接して任意的に行われ、処理の他の部分は、オペレータ入力システム16及び同等物で行われる。多種多様な集中型又は分散型データ処理アーキテクチャのうちのいずれかが使用されてよい。同様に、プログラムされた指令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実装されてよく、或いは、それらは、本明細書に記載する遠隔操作システムの多数の他の態様に統合されてよい。1つの実施形態において、制御システム20は、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE 802.11、DECT、及びWireless Telemetry(ワイヤレステレメトリ)のような、無線通信プロトコルをサポートする。
【0021】
制御システム20は、1以上のユーザプロファイルを格納するプロファイルデータベース27と通信する。プロファイルデータベース27は、遠隔操作システムのメモリ24に格納されてよい。追加的に又は代替的に、プロファイルデータベース27は、内部ネットワーク(例えば、医療施設又は遠隔操作システムプロバイダの安全なネットワーク)又は外部ネットワーク(例えば、インターネット)を介して制御システムによってアクセス可能なサーバ又は携帯格納デバイスのようなデバイスに格納されてよい。プロファイルデータベース27は、2以上の場所を通じて分散されてよい。例えば、プロファイルデータベース27は、異なる実体(エンティティ)のデバイス及び/又はクラウドサーバを含んでよい複数のデバイス上に存在してよい。追加的に又は代替的に、プロファイルデータベース27は、コンピュータ、モバイルデバイス、スマートフォン、ラップトップ、電子バッジ、タブレット、ページャ(pager)、及び他の類似のユーザデバイスのような、携帯型ユーザ割当てデバイスに格納されてよい。
【0022】
幾つかの実施形態において、制御システム20は、医療器具システム14から力及び/又はトルクのフィードバックを受け取る1以上のサーボコントローラを含んでよい。フィードバックに応答して、サーボコントローラは、オペレータ入力システム16に信号を送信する。(複数の)サーボコントローラは、身体の開口を通じて患者の身体内の内部手術部位内に延びる(複数の)医療器具システム14及び/又は内視鏡撮像システム15を動かすことを遠隔操作アセンブリ12に指令する信号を送信してもよい。任意の適切な従来的な又は特殊なサーボコントローラが使用されてよい。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ12と別個であってよく、或いは遠隔操作アセンブリ12と一体化されてよい。幾つかの実施形態において、サーボコントローラ及び遠隔操作アセンブリは、患者の身体に隣接して位置付けられる遠隔操作アームカートの一部分として提供される。
【0023】
制御システム20は、内視鏡撮像システム15と連結されることができ、外科医コンソール上の外科医への或いはローカル及び/又は遠隔に配置される他の適切なディスプレイ上へのような後続の表示のために、取り込んだ画像を処理するプロセッサを含むことができる。例えば、立体視内視鏡が使用される場合、制御システム20は、手術部位の調整された(coordinated)立体視画像を外科医に提示するために、取り込んだ画像を処理することができる。そのような調整(coordination)は、対向する画像間の整列(位置合わせ)を含むことができ、立体視内視鏡の立体作動距離を調整することを含むことができる。
【0024】
代替的な実施形態において、遠隔操作システムは、1つよりも多くの遠隔操作アセンブリ及び/又は1つよりも多くのオペレータ入力システムを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、他の要因の中でも特に、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。オペレータ入力システムは並置されてよく、或いはそれらは別個の場所に位置付けられてよい。複数のオペレータ入力システムは、1人以上(1人又はそれよりも多く)のオペレータが様々な組み合わせにおいて1以上のマニピュレータアセンブリを制御することを可能にする。
【0025】
図1Bは、カートの一部又は全部として構成されるときに或いはカート内に配置されることができるときに、患者側カートと呼ぶことがある、遠隔操作アセンブリ12の1つの実施形態の斜視図である。図示の遠隔操作アセンブリ12は、3つの手術ツール30a,30b,30c(例えば、器具システム14)及び処置の部位の画像の取込みのために使用される立体視内視鏡のような撮像デバイス28(例えば、内視鏡撮像システム15)の操作を提供する。撮像デバイスは、ケーブル56を通じて制御システム20に信号を送信することがある。操作は、多数のジョイント(関節)を有する遠隔操作機構によって提供される。運動学的な遠隔中心が切開部に維持されて切開部の大きさを最小にするよう、撮像デバイス28及び手術ツール30a~30cを患者の切開部を通じて位置付けて操作することができる。手術部位の画像は、それらが撮像デバイス28の視野内に位置付けられるときの手術ツール30a~30cの遠位端の画像を含むことができる。
【0026】
遠隔操作アセンブリ12は、駆動可能なベース58を含む。駆動可能なベース58は、入れ子式のコラム57に接続され、それはアーム54の高さの調整を可能にする。アーム54は、回転し且つ上下に動く回転ジョイント55を含んでよい。アーム54の各々は、配向プラットフォーム53に接続されてよい。配向プラットフォーム53は、360度の回転が可能であってよい。遠隔操作アセンブリ12は、配向プラットフォーム53を水平方向に移動させるための入れ子式の水平カンチレバー52を含んでもよい。
【0027】
本例において、アーム54の各々は、マニピュレータアーム51に接続する。マニピュレータアーム51は、手術ツール(例えば30a~30c)のような医療器具に直接的に接続してよい。マニピュレータアーム51は、遠隔操作可能であってよい。幾つかの例において、配向プラットフォームに接続するアーム54は、遠隔操作可能でない。むしろ、そのようなアーム54は、外科医Sが遠隔操作構成要素で手術を開始する前に所望に位置付けられる。
【0028】
内視鏡撮像システム(例えば、システム15及びデバイス28)は、剛性の又はフレキシブルな(可撓性の)内視鏡を含む、様々な構成で提供されてよい。剛性の内視鏡は、内視鏡の遠位端から近位端へ画像を伝送する中継レンズ系(relay lens system)を収容する剛性のチューブを含む。フレキシブルな内視鏡は、1以上のフレキシブルな光ファイバを使用して画像を伝送する。デジタル画像ベースの内視鏡は、1以上の電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子のような遠位デジタルセンサが画像データを格納する「チップ・オン・ザ・ティップ(chip on the tip)」設計を有する。内視鏡撮像システムは、視聴者(viewer)に二次元又は三次元の画像を提供することがある。二次元画像は、限定的な奥行き知覚を提供することがある。三次元立体内視鏡画像は、視聴者により正確な奥行き知覚を提供することがある。立体内視鏡器具は、立体カメラを使用して患者の解剖学的構造の立体画像を取り込む。内視鏡器具は、内視鏡ケーブル、ハンドル、及びシャフトが全て剛的に連結され且つ気密に封止された、完全に滅菌可能なアセンブリであることがある。
【0029】
図1Cは、コンソール16の斜視図である。コンソール16は、深さ知覚を可能にする手術環境の調整された立体図を外科医Sに提示するための左眼用ディスプレイ32及び右眼用ディスプレイ34を含む。コンソール16は、1以上の入力制御デバイス36を更に含み、1以上の入力制御デバイス36は、次に、遠隔操作アセンブリ12に1以上の器具又は内視鏡撮像システムを操作させる。入力制御デバイス36は、それらの関連する器具14と同じ自由度を提供して、外科医Sに、テレプレゼンス、又は外科医が器具14を直接的に制御しているという強い感覚を有するよう入力制御デバイス36が器具14と一体的であるという知覚を提供することができる。この目的を達成するために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)を利用して、器具14からの位置、力、及び触感を、入力制御デバイス36を通じて、外科医の両手に送り返してよい。入力制御デバイス36は、ユーザの足から入力を受け取るフットペダルである。
【0030】
コンソール16、遠隔操作アセンブリ12、及び補助システム26の多くの態様は、外科医Sの身体的ニーズ、スキルレベル、又は嗜好(好み)を満たすよう調整可能であり且つカスタマイズ可能である。外科医のニーズ、スキルセット、及び嗜好に合うようにシステムを構成することは、それが各外科処置について実行されなければならないならば、時間がかかり得る。更に、外科医は、システムの新しい構成又は他の施術者(practitioners)によって開発された手順上の効率性に気付かないことがある。結果的に、一部の臨床医は、最適未満の人間工学的条件を受け入れるか、或いは処置を行うときに起こり得る手順上の効率性を認識し損なう。
【0031】
以下に詳細に記載するように、識別情報(identification information)、トレーニング履歴(training history)、信用証明(credentials)、処置履歴(procedure history)、通信嗜好(communication preferences)、人間工学的嗜好(ergonomic preferences)、機器嗜好(equipment preferences)、及びインタフェース嗜好(interface preferences)を含む、様々な個人化されたデータを格納するために、遠隔操作システム10の各ユーザについて、ユーザプロファイルが作成されてよい。プロファイルは、手術環境、機器、ユーザインタフェース、及びユーザへの通信を構成するために外科医によって行われる、各シミュレータ(simulator)、トレーニング、又は実際の外科処置の前、間、及び後にアクセスされてよい。
【0032】
図2は、ユーザプロフィールを維持するためのシステム100を例示している。システム100は、例えば、遠隔手術システム104(例えば、システム10)、遠隔手術システム106、シミュレータシステム108、及び、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルモバイルデバイス、デスクトップコンピュータ、ページャ、電子バッジ、又はユーザからの情報或いはユーザについての情報を受動的或いは能動的に受信することがある他の類似のユーザデバイスを含む、データ入力デバイス110を含む、複数のシステム及びデバイスと通信する、プロファイルデータベース102(例えば、データベース27)を含む。システム104、106、108又はデバイス110のうちの1以上が、システムから省略されてよい。代替的に、プロファイルデータベースは、図2に示すものよりも多くのシステム及びデバイスと通信してよい。例えば、プロファイルデータベースは、遠隔操作システム製造業者のサーバ上に存在してよく、世界中に分散している何千もの製造業者の遠隔操作システムと通信してよい。前述のように、プロファイルデータベース102は、1以上のネットワークを介して1以上のシステム又はデバイス104、106、108、110にアクセス可能であってよい。1以上のネットワークは、ケーブル、セル方式、無線通信(radio)、デジタル加入者線、又は有線及び/又は無線であってよい任意の他の適切なネットワークの任意の適切な組み合わせを含んでよい。幾つかの例において、ネットワーク通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE 802.11、DECT、Wireless Telemetry、又は無線データ通信のための他のプロトコルを使用して、無線媒体を通じて行われてよい。プロファイルデータベース102は、リレーショナル(relational)でも非リレーショナル(non-relational)でもよい、レコード、テーブル、アレイ(array)、及び同等物を含んでよい。
【0033】
シミュレータシステム108を外科医又は遠隔操作システムの他のオペレータに提供して、システムを備える施設を開発し且つ選択された入口ポート場所を検証するために所与の動作を練習するための環境を創り出してよい。一般的に、シミュレータシステムは、遠隔操作制御機構、モニタを備えるコンピュータ、及びシミュレーションを可能にするコンピュータソフトウェアを含んでよい。シミュレーションを使用して、外科医は、コンピュータモニタ上に三次元表現でシミュレートされるように、本質的に、生きている患者に対して行われるように手術を行うことができる。
【0034】
プロファイルデータベース102は、システム及びデバイス104、106、108、110の複数のユーザの各々について(プロファイル103とも呼ぶ)ユーザ記録103を含む。各ユーザの記録103は、トレーニング記録112、信用証明記録114、処置履歴記録116、通信嗜好記録118、人体計測記録120、機器嗜好記録122、及びインタフェース嗜好記録124を含んでよい。ユーザの一部又は全部について、追加的又は代替的な種類のユーザ特異記録が格納されてもよい。
【0035】
トレーニング記録112は、例えば、処置の種類、処置の結果、及び処置中に発生した問題を含む、ユーザのシミュレータ経験及び試験監督者支援処置経験の累積記録を含んでよい。それは評価、認証、及びトレーニング中の累積時間ログも含んでよい。トレーニング記録112は、ユーザについての各トレーニングエピソード後に更新されてよい。例えば、シミュレータシステム108を用いてシミュレーション演習を行った後に、シミュレータは、ユーザAに関するトレーニング記録112と通信し、シミュレーション演習の完了を反映するようにそれを更新してよい。
【0036】
信用証明記録114は、例えば、システム及びデバイス104、106、108、110を使用する或いはそれらのシステムを用いて特定の処置にアクセスする信用証明又は他の権利を含んでよい。信用証明は、トレーナ、医療施設(例えば、病院、診療所、トレーニングセンタ)のような、発行機関(issuing authority)によって発行されてよい。例えば、ユーザAが現場遠隔操作システムを使用することが病院によって許可されるならば、コンピュータ(例えば、デバイス110)を使用してユーザAについての信用証明114を更新してよい。信用証明114を使用してシステム又はデバイス104,106,108,110のうちのいずれかへのユーザのアクセスを制限してよい。例えば、外科医ではなくシステムエンジニアであるユーザは、(例えば、ディスプレイスクリーンの明るさを制御する)システム104制御装置への限定的なアクセスを許容するが、他の機能(例えば、患者が存在するときの手術器具の操作)へのアクセスを制限する、信用証明を有することある。適切な信用証明が信用証明記録114中に見出されないならば、信用証明記録は、システム104の処置、器具、及び機能へのユーザアクセスを制限することがある。
【0037】
処置記録116は、実行された処置手順の総数、実行された処置の種類、実行された処置の速さ、及び以前の処置についての移行時間を含む、経験統計を含んでよい。処置記録116は、各処置のために使用されるシステムのソフトウェアバージョン及びモデルを更に含んでよい。後述のように、ユーザの処置記録からのデータを現在のソフトウェア、機器モデル、又は処置情報と比較して、現在の処置を以前の処置から区別することがある差異又は変更についての支援又は警告をユーザに提供してよい。処置記録116は、例えば、処置が行われた手術システムとの通信を介して、ユーザAによって行われた各処置中及び/又は後に更新されてよい。
【0038】
通信嗜好記録118は、ユーザが流暢である言語並びに音声及び/又はテキスト通信のための好ましい言語の記録を含んでよい。通信記録は、通信の配信のための媒体(例えば、視覚的、聴覚的、視覚的及び聴覚的の組み合わせ)、音量設定、並びにリマインダ及び警告の好ましい頻度に関するユーザAの嗜好も含んでよい。通信嗜好記録118は、例えば、記録にアクセスするスマートフォン(例えば、デバイス110)アプリケーションを使用してユーザAによって更新されてよい。代替的に、通信嗜好記録118を更新して、処置中の最新の通信選択を次の処置のためのデフォルトの通信設定として記録してよい。
【0039】
人体測定記録120は、例えば、ユーザAの視力及び任意の必要な矯正レンズの検眼測定値、眼内距離、身長、体重、利き手、及び身体的制約を含む、ユーザAについて取られる解剖学的測定値を含んでよい。人体計測記録120からの情報は、アイディスプレイ32、34(eye displays)を含む外科医コンソールビューアの人間工学的構成を最適化するために使用されてよい。例えば、人体計測記録情報を使用して、ビューアの高さ及びビューアの角度を構成してよい。人体計測記録120は、例えば、外科医コンソールの肘掛けとアイディスプレイとの間の距離(例えば、肘掛け高さ)を決定するために、ユーザの肘と両眼との間の距離を含んでもよい。人体計測記録120は、例えば、マスタ制御装置の中心化された中立位置を決定するために、ユーザの前腕の長さを含んでもよい。人体計測記録120は、例えば、フットペダルトレイの位置を決定するために、腰関節屈筋から膝までのユーザの脚の長さを含んでもよい。人体計測記録120は、コンピュータ(例えば、デバイス110)を通じたデータ入力によって更新されてよい。追加的に又は代替的に、システム104、106、108は、ユーザがシステムに関わっている間に人体測定データを取り込む測定デバイスを含んでよい。
【0040】
機器嗜好記録122は、遠隔操作システム(例えば、システム10、104、106)の構成要素の任意的な構成、機能、及び設定に関するユーザAの嗜好を含んでよい。機器嗜好記録122は、特定の種類のアセンブリ12に関する幾つかのユーザの嗜好及び設定並びに任意の種類のアセンブリ12について持続する幾つかのユーザの嗜好及び設定を含んでよい。例えば、機器嗜好記録122は、制御コンソール16についての好ましい手の位置及びボタン/ペダル機能割当てを含んでよい。機器嗜好記録122は、患者に対するアセンブリ12のユーザAの好ましい構成を含んでよい。機器嗜好記録122は、電気焼灼器電力レベル、凝固/切断エネルギレベル、力、トルク、ステープルカートリッジ、及びステープラの利き手のような、好ましい器具(例えば、器具14)設定を含んでよい。機器嗜好記録122は、マスタ制御装置と制御されたマニピュレータ及び/又は器具との間の好ましい遠隔操作関連付けを含んでよい。機器嗜好記録122は、マニピュレータアームの各マニピュレータアーム上の内視鏡及び器具の種類の好ましい配置を含んでよい。機器嗜好記録122は、左側又は右側についての補助器具アーム嗜好のような、支配的及び非支配的な手の割当てを含んでよい。機器嗜好記録122は、好ましいポート配置及びアーム構成を含んでよい。機器嗜好記録122は、テーブル動作又は顕微手術能力のような好ましい機能性を含んでよい。例えば、好ましい事前設定テーブル位置(例えば、トレンデレンブルグ角及び傾斜角)は、処置の異なる段階について格納されてよい。機器嗜好記録122は、補助撮像システム(例えば、MRI、X線、超音波)を含む補助機器(例えば、補助システム26)、ビデオ入出力、二酸化炭素設定、患者の状態及び処置の段階に基づく通気圧力及び流速の嗜好、オーディオ設定(例えば、どのマイクロホンが作動させられるか、フィードバック抑制、どのスピーカが作動させられるか、音声プロンプトの使用)に関する嗜好を含んでよい。機器嗜好記録122は、処置中の最新の機器設定を次の処置のためのデフォルトの通信設定として記録するよう更新されてよく、或いは最も頻繁に使用される設定をデフォルト設定してよい。
【0041】
ユーザインタフェース記録124は、グラフィカルユーザインタフェース、他の感覚ディスプレイ、又は内視鏡器具設定に関するユーザAの嗜好を含んでよい。例えば、ユーザインタフェース記録124は、視力矯正及びオートフォーカスに関する嗜好を含んでよい。ユーザインタフェース記録124は、表示色、明るさ、コントラスト、陰影、動的コントラスト、色調、及び近赤外線撮像の使用に関するユーザAの嗜好を含んでもよい。ユーザインタフェース記録124は、鏡面反射除去、煤煙除去、及びノイズ抑制のための画像処理強化に関するユーザAの嗜好を含んでもよい。ユーザインタフェース記録124は、蛍光撮像、セグメンテーション、及び解釈のための閾値及びフィルタに関するユーザAの嗜好を含んでもよい。ユーザインタフェース記録124は、制御コンソール16でユーザAに見える情報及びディスプレイ上のタイル又は他の構成における情報の配置に関するユーザAの嗜好を含んでもよい。ユーザインタフェース記録124は、グラフィカルオーバーレイ(graphical overlays)の不透明度(opacity)を含む内視鏡画像上のグラフィカルオーバーレイに関するユーザAの嗜好を含んでもよい。
【0042】
プロファイルデータベース102は、手術システム(例えば、10、104、106)を収容する各施設についての情報を含む施設記録130を含んでもよい。施設記録130は、例えば、ローカルシステムの利用可能性又はスケジューリング、施設についての信用証明要件、施設についてのトレーニング要件、及び施設で利用可能な補助機器を含んでよい。施設記録130をユーザ記録103と一緒に使用して施設で手術システムを構成してよい。例えば、手術システム104が配置される施設Aは、認証信用証明を必要とする記録130を含んでよい。ユーザAの信用証明記録114は、認証信用証明を含まなければならず、さもなければユーザAはシステム104及び施設Aにある任意の他のシステムへのアクセスを拒否されるであろう。
【0043】
プロファイルデータベース102は、遠隔操作システムを用いて実行されることがある様々な処置に関する情報を含む処置記録132を含んでもよい。各処置記録132は、例えば、現在の処置順序、処置を実行するためのベストプラクティス(best practice)、処置を実行するのに必要な器具、及び処置を実行するのに必要なトレーニングレベルを含んでよい。処置順序、ベストプラクティス、及び必要な器具は、管理者、講師、又は他の機関によって事前に決定されてよい。代替的に、これらの記録は、以前の遠隔操作処置から記録されてよい。処置記録132をユーザ記録103と一緒に使用して処置を準備してよい。例えば、記録132から処置Aを実行するためのベストプラクティスが、(ユーザA処置履歴記録116に記録されるように)、ユーザAが処置Aの種類を最後に実行した後に変更されたならば、現在の処置Aを開始する前に、相違を説明する視覚的又は聴覚的メッセージがユーザAに提供されてよい。
【0044】
プロフィールデータベース102は、手術システム(例えば、10、104、106)の機器についての情報を含む機器記録134を含んでもよい。各機器記録134は、例えば、制御コンソール、制御システム、遠隔操作アセンブリ、補助機器、及び手術器具のためのソフトウェア改訂情報及び機能的能力を含んでよい。機器記録134をユーザ記録103と一緒に使用して、使用のために手術システムを準備してよい。例えば、機器記録134が、システム104上で動作している現在のソフトウェアが、ユーザAが最後にシステムを使用したときと比較してより新しい改訂版であることを示すならば、システム104の使用を開始する前に、その相違を説明する視覚的又は聴覚的メッセージがユーザAに提供されてよい。
【0045】
ここで図3を参照すると、検索したユーザプロファイルを使用して遠隔操作医療処置を実施する方法150が例示されている。プロセス152で、遠隔操作医療システム(例えば、システム10)の潜在的なユーザが検出され(detected)且つ識別される(identified)。例えば、制御コンソール16は、ユーザについての識別情報(identifying information)を検出する身元検出システム17(identity detection system)を含んでよい。身元検出システム17は、ヘッドインコンソール虹彩又は網膜スキャン認識システム、指紋認識システム、音声認識システム、顔認識システム又は他の生理学的認識システムを含んでよい。代替的に、身元検出システムは、例えば、無線ICタグ(RFID)、磁気ストリップ、バーコード、近接ケア、又は接触カード技術を使用する、ユーザ割当て識別バッジに基づいてよい。様々な代替において、上述の技術のうちのいずれかを使用する身元検出システムは、1人以上のユーザが手術室のような所定の領域に入るときに身元検出を開始してよい。1以上の識別特性を検出した後に、その特性をプロファイルデータベース102からのユーザプロファイルからの情報と比較してよい。例えば、収集した識別特性を人体測定記録120及び/又は信用証明記録114と比較してよい。1つの例において、人体測定記録120は、ユーザAの網膜測定値を含んでよい。それらの網膜測定値が身元検出システム17から検出される網膜測定値と一致するならば、ユーザの身元はユーザAであると決定される。他の例では、信用証明記録114は、ユーザAと関連付けられるRFIDデータを含んでよい。身元検出システム17から収集されるRFIDデータが許可されたユーザAのRFIDデータと一致するならば、ユーザAは許可されたユーザとして識別される。
【0046】
プロセス154で、ユーザの身元が決定されるならば、プロファイルデータベース102からのユーザプロファイルが検索される。プロセス156で、ユーザの身元が決定されないことがあるならば、デフォルトのプロファイルが検索されてよい。任意的に、ユーザの身元が決定されないならば、プロファイルは検索されず、ユーザは遠隔操作システム10を使用することができない。代替的に、ユーザの身元が決定されないならば、身元は許可された管理職員によって手動で検証されてよく、信用証明されていないユーザが記録された時間期間に亘ってコンソールで操作していたことを示す警報が提供されてよい。
【0047】
プロセス158で、遠隔操作システム10は、識別されたユーザの個人プロフィールに基づいて構成される。例えば、ユーザAがユーザとして識別されるならば、プロファイル103の記録は、遠隔操作システムを構成するために使用される。
【0048】
プロセス160で、ユーザAへの通信が設定されてよい。例えば、ポップアップメッセージ、警告、又は他の表示が、処置履歴記録116からの情報に基づいてユーザAに提供されてよい。様々な例において、メッセージは、ユーザAが同じ処置を最後に実施した時以降に追加された追加的な構成を含むソフトウェア改訂をシステムが実行していること、彼らがその処置のために定期的に使用する構成が利用可能でないこと、又は(記録132との組み合わせにおいて)効率若しくは安全性を向上させるためにユーザが新しい構成若しくは処置シーケンスを試すことに興味を有する場合があることをユーザAに警告してよい。通信は、(例えば、虹彩検出、測定された体温の変化、測定される発汗の変化を使用して)検出されるユーザの感情状態に基づいて構成されてもよい。他の例において、メッセージング(messaging)はトレーニング記録112に基づいてもよく、ユーザAが処置のために監督者又はトレーナを使用することのポップアップ推奨を提供することを含んでよい。他の例では、メッセージングを提供して、ユーザAがフルディスプレイをよりよく見ることを可能にする身体の位置変更を提案してよい。
【0049】
言語、場所、持続時間、及び(オーディオ又はビデオメッセージの場合の)音量のような、ユーザメッセージングの態様は、プロファイル103の通信記録118によって決定されてよい。提供されるメッセージは、ユーザインタフェース上の確認をクリックすること、ユーザの眼の凝視を追跡してメッセージが読まれたことを確認すること、テスト又は他の理解評価を提供すること、又はシステムの新しい構成を試すことのような行動を実行することをユーザに要求することを含む、様々な技法のうちのいずれかを使用して、確認及び消去されてよい。ユーザが所要の確認を完了した後に、メッセージは、後続の処置について省略されてよく、或いは限定的な数の後続の時にだけ提供されてよい。同様に、ユーザがある処置における閾値レベルの経験を獲得したことをユーザの処置履歴が示すならば、幾つかのメッセージ(例えば、支援メッセージ又は警告)の頻度は、低減又は排除されてよい。
【0050】
プロセス162で、遠隔操作システム10の機器は、例えば、機器嗜好記録122、人体計測記録120、トレーニング記録112、信用証明記録114、及び/又は処置履歴記録116に基づいて構成されてよい。例えば、好ましい手の位置及びボタン/ペダル機能の割当てが、制御コンソール16について行われてよい。患者に対するアセンブリ12の好ましい構成が設定されてよい。アブレーション電力レベル、エネルギ、力、トルク、ステープルカートリッジ、及びステープラについての利き手のような、好ましい器具設定が、設定されてよい。ポート配置、アーム構成、テーブル動作又は顕微手術能力を含む、他の嗜好が、実装されてよい。補助撮像システム(例えば、MRI、X線、超音波)、ビデオ入出力、二酸化炭素設定、オーディオ設定(例えば、どのマイクロホンが作動させられるか、フィードバック抑制、どのスピーカが作動させられるか、音声プロンプトの使用)を含む、補助機器(例えば、補助システム26)に関する嗜好も、実装されてよい。
【0051】
遠隔操作システムの機器を構成するプロセス162は、本処置において使用されている遠隔操作アセンブリ12の種類を決定すること、遠隔操作アセンブリの種類に基づいて機器を構成することを更に含んでよい。例えば、運動スケール設定(motion scale setting)が、本処置を実行する遠隔操作アセンブリの種類に依存して異なる運動スケール設定を適用するユーザ記録に基づいて選択されてよい。ユーザプロファイル中の幾つかの機器構成設定は、異なる遠隔操作プラットフォーム(例えば、画像の明るさ、スピーカの音量)を通じて同等であってよいが、特定のプラットフォームとの相互作用と本質的に異なるユーザプロファイルの他の設定が別個に固持されてよい。
【0052】
プロセス164で、コンソール16のディスプレイ上に見えるグラフィカルユーザインタフェースを含むユーザインタフェースは、例えば、インタフェース嗜好記録124、人体計測記録120、トレーニング記録112、信用証明記録114、及び/又は処置履歴記録116に基づいて構成される。例えば、視力矯正及びオートフォーカス嗜好が、コンソール16又は内視鏡システム15上の調整によって構成されてよい。表示色、明るさ、コントラスト、陰影、動的コントラスト、近赤外線撮像についての調整が行われてよい。制御コンソール16でユーザAに見える情報に関するユーザAの嗜好及びディスプレイ上のタイル又は他の構成における情報の配置も実装されてよい。グラフィカルオーバーレイの不透明度を含む内視鏡画像上のグラフィカルオーバーレイに関するユーザAの嗜好も実装されてよい。
【0053】
プロセス166で、ユーザ環境の他の調整可能な態様が、プロファイル103についての記録に基づいて構成されてよい。プロセス156で、デフォルトのプロファイルが検索されるならば、通信システム、機器、及びユーザインタフェースのデフォルトの又はテスト設定構成が、実装されてよい。任意的に、デフォルト設定の一部が、身元不明ユーザによって調整されてよい。
【0054】
プロセス168で、ユーザAは、ユーザプロファイル103に基づく構成を使用して遠隔操作医療処置を実施する。処置を通して、通信、機器、ユーザインタフェース、及びユーザの環境の他の態様が、ユーザプロファイル103によって制御されてよい。
【0055】
プロセス170で、ユーザAがプロファイル103の記録中に格納される嗜好とは異なる設定変更を行うならば、システムは、プロファイルを更新してよく、或いは、ユーザに問い合わせて、ユーザがプロファイルの記録中に格納された嗜好を(完全に又は文脈的に)変更された設定と置換することを望むか否かを決定してよい。ユーザプロファイルは、ユーザがプロファイルのパラメータをインポート、エクスポート、及び修正することができるよう、手術環境の外部でもアクセス可能である。プロファイルは、管理者によって作成、削除、及び入力されてもよい。管理者は、プロファイルを、ユーザが実行することが信用証明されている処置で満たしてもよい。
【0056】
制御処理システムのようなコンピュータシステムのプロセッサ上で実行するために、本発明の実施形態における1以上の要素をソフトウェア中に実装してよい。ソフトウェア中に実装されるとき、本発明の実施形態の要素は、本質的に所要のタスクを実行するコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、伝送媒体又は通信リンクを通じて搬送波中に具現されるコンピュータデータ信号を経由してダウンロードされてよいプロセッサ可読記憶媒体又はデバイスに格納されることができる。プロセッサ可読記憶デバイスは、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納することができる任意の媒体を含んでよい。プロセッサ可読記憶デバイスの例は、電子回路、半導体デバイス、半導体メモリデバイス、読出し専用記憶装置(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能なプログラマブル読出し専用記憶装置(EPROM)、フロッピーディスケット、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の格納デバイスを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのような、コンピュータネットワークを介して、ダウンロードされてよい。
【0057】
提示するプロセス及び表示は、本質的に如何なる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連しない場合があることに留意のこと。様々な汎用システムが本明細書中の教示に従ったプログラムと共に使用されてよく、或いは記載する動作を実行するためにより特殊化された装置を構成することが便利であることが分かる場合がある。様々なこれらのシステムのための所要の構造は、請求項中に要素として現れる。加えて、本発明の実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して記載されていない。様々なプログラミング言語を使用して本明細書に記載する本発明の教示を実施してよいことが理解されるであろう。
【0058】
本発明の特定の例示的な実施形態を記載し且つ添付の図面に示したが、そのような実施形態は例示的であるに過ぎず、広い発明を限定するものではないこと、並びに本発明の実施形態は図示し且つ記載する特定の構造及び構成に限定されないことが理解されるべきである。何故ならば、他の様々な修正が当業者の心に思い浮かぶからである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3