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特許7046924血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019512828
(86)(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2017072030
(87)【国際公開番号】W WO2018046408
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】62/383,905
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベイル・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー・ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ファイー・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ブレディー・エイモン
(72)【発明者】
【氏名】ホリアン・メーブ
(72)【発明者】
【氏名】キング・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギルバリー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オゴーマン・ジャクリーン
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/120490(WO,A2)
【文献】特表2016-513505(JP,A)
【文献】特表2014-511223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
前記内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
前記外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、前記展開構成における前記内側細長本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
前記外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、前記血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を前記血塊受容開口部に向かって、かつ前記外側細長本体と前記内側細長本体との間の前記受容空間内に付勢するように適合されており、
前記装置の径方向力プロファイルは、前記装置の前記長さに沿って変化
前記外側細長本体は複数のセグメントを含み、セグメントは、第1の径方向力を有する閉鎖セルの近位リングを含み、これに、前記第1の径方向力よりも小さい第2の径方向力を有する少なくとも1つの浮遊セル又は小葉状部が接続されている、装置。
【請求項2】
前記装置の遠位端における径方向力は、前記装置の中央部分における径方向力よりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置の遠位端における径方向力は、前記装置の中央部分及び近位部分の径方向力よりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は複数のセグメントを含み、1つのセグメントの径方向力は、少なくとも1つの他のセグメントの径方向力とは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記セグメント間の径方向力の差は、20%未満である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記径方向力は、前記装置の前記長さに沿って近位から遠位に向かって増加する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記径方向力は、前記装置の前記長さに沿って近位から遠位に向かって減少する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
中間セグメントの前記径方向力は、遠位セグメントの前記径方向力よりも大きい、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
中間セグメントの前記径方向力は、近位セグメント及び遠位セグメントの前記径方向力よりも大きい、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記浮遊セル又は小葉状部は、隣接する遠位セグメントに接続されていない遠位頂点を備える、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の径方向力は、前記第1の径方向力よりも20%~80%小さい、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記外側本体の前記血塊受容開口部は、前記装置の前記長さに沿って異なり、前記装置の近位領域内の血塊受容開口部は、前記装置の遠位領域内の血塊受容開口部よりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記外側本体の前記血塊受容開口部は、前記装置の前記長さに沿って異なり、前記装置の中央部分の前記血塊受容開口部は、前記装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の前記血塊受容開口部よりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記外側本体の前記血塊受容開口部は、前記装置の前記長さに沿って異なり、前記装置の中央部分の前記血塊受容開口部は、前記装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の前記血塊受容開口部よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の前記長さに沿って前記血塊受容開口部のサイズの勾配が存在し、前記勾配は近位から遠位に向かって増加する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置の前記長さに沿って前記血塊受容開口部のサイズの勾配が存在し、前記勾配は近位から遠位に向かって減少する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
前記内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
前記外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、前記展開構成における前記内側細長本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
前記外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、前記血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を前記血塊受容開口部に向かって、かつ前記外側細長本体と前記内側細長本体との間の前記受容空間内に付勢するように適合されており、
前記装置の径方向力プロファイルは、前記装置の前記長さに沿って変化し、
前記装置の前記長さに沿って前記血塊受容開口部のサイズの勾配が存在し、前記内側細長本体はテーパ状であり、前記内側細長本体の前記テーパは、前記外側細長本体の前記血塊受容開口部の前記勾配と反対である、装置。
【請求項18】
前記外側細長本体は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置している、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
前記内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
前記外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、前記展開構成における前記内側細長本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
前記外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、前記血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を前記血塊受容開口部に向かって、かつ前記外側細長本体と前記内側細長本体との間の前記受容空間内に付勢するように適合されており、
前記外側細長本体は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置し、
前記外側細長本体は複数のセグメントを含み、セグメントは、第1の径方向力を有する閉鎖セルの近位リングを含み、これに、前記第1の径方向力よりも小さい第2の径方向力を有する少なくとも1つの浮遊セル又は小葉状部が接続されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管から急性遮断物を除去する装置及び方法に関する。本発明は、特に、血管から急性閉塞物を除去することに関する。急性の閉塞物としては、血塊、誤配置された装置、移動された装置、大きな塞栓などを挙げることができる。血栓塞栓症は、血栓の一部又は全てが血管壁から剥離した場合に発生する。この血塊(ここでは、塞栓と呼ぶ)は次に、血流の方向に運ばれる。虚血性脳卒中は、脳の血管系内に血塊が詰まった場合に結果として生じ得る。肺塞栓症は、血塊が静脈系で又は心臓の右側で発生し、かつ肺動脈又はその支脈内で詰まった場合に、結果として生じ得る。血塊はまた、解放されずに塞栓の形状で発達して血管を局所的に遮断し得るが、この機序は、冠状動脈の遮断物の形成において一般的である。本発明は特に、急性虚血性発作(AIS)に苦しむ患者の大脳動脈から、肺塞栓症(PE)に苦しむ患者の肺動脈から、心筋梗塞(MI)に苦しむ患者の本来の又は移植された冠血管から、並びに血塊が閉塞を引き起こしているその他の末梢動脈及び静脈から、血塊を除去するのに適している。
【背景技術】
【0002】
高レベルの性能を提供することができる血塊除去装置の設計に関連する重大な課題が存在する。
【0003】
装置を送達することを困難にする、アクセスに関する多くの課題が存在する。アクセスが大動脈弓を誘導することを伴う場合(冠状動脈閉塞又は脳閉塞など)、一部の患者における大動脈弓の形状は、ガイドカテーテルを位置付けることを困難にする。これらの困難な大動脈弓の形状は、II型又はIII型のいずれかの大動脈弓として分類され、III型大動脈弓が最も困難である。蛇行の問題は、脳に近づく動脈において更により深刻である。例えば、装置が、180°の屈曲、90°の屈曲、及び360°の屈曲を有する血管部分を数センチメートルの血管にわたって間断なく誘導しなければならないことは、内頸動脈の遠位端では珍しくない。肺塞栓症の場合、静脈系を通り、次いで心臓の右心房及び右心室を通ってアクセスを得ることができる。右室流出路及び肺動脈は、非可撓性又は高輪郭の装置によって容易に損傷を受け得る繊細な脈管である。これらの理由から、血塊回収装置は、可能な限り低輪郭で可撓性のアクセスカテーテル及び支持カテーテルと適合性があることが望ましい。
【0004】
血塊が詰まっている可能性のある領域の脈管構造は、多くの場合、脆弱であり、繊細である。例えば、神経脈管の血管は、身体の他の部分における同様の大きさの血管よりも脆弱であり、軟組織床にある。これらの血管に加えられる過剰な引張力は、穿孔及び出血をもたらす可能性がある。肺血管は脳血管系の血管よりも大きいが、本質的に繊細でもあり、特により遠位の肺血管は繊細である。
【0005】
血塊は、所定の範囲の形態及び稠度のいずれかを含み得る。より軟質の血塊物質の長いストランドは、分岐又は三分岐部で詰まる傾向があり、その結果、複数の血管が、かなりの長さにわたって同時に閉塞される。より成熟して組織化された血塊物質は、より軟質の新たな血塊より圧縮性が低い可能性があり、血圧の作用下では、それが内部に詰まっている柔軟な血管を膨張させ得る。更に、本発明者らは、血塊の特性が、それと相互作用する装置の作用によって著しく変化し得ることを発見した。具体的には、血塊の圧縮は血塊の脱水を引き起こし、血塊の硬さ及び摩擦係数の両方を劇的に増加させる。
【0006】
血塊は、形状及び稠度が様々であるだけでなく、解剖学的構造の任意の1つの所与の領域においてですら、長さが大きく異なり得る。例えば、虚血性脳卒中患者の中大脳動脈を閉塞する血塊は、長さがわずか数ミリメートルから数センチメートルの範囲であり得る。
【0007】
ステント様血塊レトリーバは、急性脳卒中患者の脳血管から血塊を除去するのにますます使用されている。これらは、長いシャフトの端部に取り付けられたステントと外観が似た自己拡張型装置であり、マイクロカテーテルを通して前進し、血塊閉塞部にわたって展開して、それらを捕捉及び回収する。自己拡張型装置は、自己拡張型ステント様本体と血管壁との間に血塊を捕捉することによって血塊を把持する挟み込み(pinning)機構に依存する。このアプローチは、多くの欠点を有する。
【0008】
ステント様血塊レトリーバは、その外向きの径方向の力(RF)に依存して、血塊に対するその把持力を保持する。RFが低すぎると、ステント様血塊レトリーバは、血塊に対するその把持力を失うが、RFが高すぎると、ステント様血塊レトリーバは血管壁を傷つける場合があり、かつ引き抜くのに過度に強い力が必要になる場合がある。したがって、全ての血塊タイプに対処するのに十分な径方向力を有するステント様血塊レトリーバは、血管外傷及び重篤な患者損傷を引き起こし得るものであり、非外傷性を維持するために適切な径方向力を有するステント様血塊レトリーバは、全ての血塊タイプを効果的に取り扱うことができない可能性がある。
【0009】
ステント様血塊レトリーバ挟み込み機構は、捕捉された血塊を圧縮する傾向がある。この圧縮力は、血塊を脱水する傾向があり、これはひいては、その摩擦係数を増加させる傾向があり、血管から除去することがより困難になる。
【0010】
従来のステント様血塊レトリーバ設計は、それらのストラット要素が互いに接続される方法に起因して、屈曲部内で張力下に置かれたときに、それらの拡張した形状をあまり良好に保持しない。これにより、ステント様血塊レトリーバが蛇行性血管の屈曲部の周りで近位に引き抜かれるときに、血塊に対する把持力の低下が生じる可能性があり、捕捉した血塊が抜け出る可能性がある。これは、後退するときにステント様血塊レトリーバのストラットが張力下に置かれるために起こる。この張力は、装置と血管との間の摩擦に起因し、血塊によってもたらされる負荷などの追加の負荷が加わる場合に増加する。屈曲部において、屈曲部の外部のストラットは、内部のストラットよりも高い張力下に置かれる。可能な限り低いエネルギー状態を得るために、ステントの外側表面は、屈曲部の内側表面に向かって移動し、これによりストラットの張力は低減されるが、ステント様血塊レトリーバの拡張直径も減少する。
【0011】
このアプローチによる別の欠点は、このアプローチがステント様血塊レトリーバと血管壁との間に血塊を挟み込むことに依存し、したがって、分岐血管を通過するとき、又はステント様血塊レトリーバの完全に拡張した直径よりも大きい血管に入るときに、血塊を効果的に拘束しない場合があることである。
【0012】
血管から血塊を除去するためにステント様血塊レトリーバと血管壁との間に血塊を挟み込むことにより、血塊が除去される際に血塊の側部に対して高い剪断力をもたらし、血塊の断片が解放される可能性がある。これらの断片が装置によって保持されない場合、それらは解放されて遠位脈管構造内の更なる閉塞をもたらし得る。
【0013】
長い血塊を除去しようと試みるときに遭遇する注目すべき困難は、従来の装置が血塊自体よりも短い場合があることである。血塊よりも短い装置は、展開時に閉塞された領域を通る流れを回復することができない可能性があり、したがって、血塊全体の圧力勾配は、その除去にとって依然として大きな障害となる。このような装置を単純に長くすることは、蛇行性解剖学的構造を通って追跡することを困難にし、脈管構造に外傷を与える可能性があり、引き抜くためにより多くの力を要し、動かせなくなってしまう可能性があり、除去するために手術が必要になり得る。
【0014】
上記の制限のいくつか又は全てを含む多くの理由で、閉塞性血塊を完全に除去するために、多くの場合、医師が血塊回収装置を複数回通過させる必要がある。しかしながら、血塊回収装置が引き抜かれるたびに、標的部位へのアクセスが失われる。したがって、ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルを再び前進させて血塊にアクセスし、再交差させ、次いでガイドワイヤを除去し、マイクロカテーテルを通して血塊回収装置を前進させる必要がある。ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルを血塊まで誘導することは、特に血管が蛇行している場合にはかなりの時間を要することがある。この追加の時間及び装置の操作は全て、患者が晒されるリスクを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
任意の装置が、血塊を除去し、流れを回復させ、良好な患者転帰を容易にすることにおける高いレベルの成功をもたらすためには、上述した課題を克服する必要がある。既存の装置は、これらの課題に適切に対処していない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、-
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、展開構成における内側本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能である、血塊回収装置が提供される。
【0017】
あるケースでは、装置の径方向力プロファイルは、装置の長さに沿って変化する。
【0018】
本発明はまた、血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、-
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、展開構成における内側本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を血塊受容開口部に向かって、かつ外側細長本体と内側細長本体との間の受容空間内に付勢するように適合されている、血塊回収装置も提供する。
【0019】
あるケースでは、外側細長部材は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置している。
【0020】
一実施形態において、外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と、複数の血塊係合領域と、を備える。血塊係合は、血塊と係合すると、血塊を血塊受容開口部に向かって、かつ外側細長本体と内側細長本体との間の受容空間内に付勢するように適合され得る。
【0021】
あるケースでは、装置の遠位端における径方向力は、装置の中央部分における径方向力よりも小さい。
【0022】
装置の遠位端における径方向力は、装置の中央部分及び近位部分の径方向力よりも小さくてもよい。
【0023】
一実施形態では、装置は複数のセグメントを含み、1つのセグメントの径方向力は、少なくとも1つの他のセグメントの径方向力とは異なる。セグメント間の径方向力の差は、20%未満又は10%未満であり得る。
【0024】
あるケースでは、径方向力は、装置の長さに沿って近位から遠位に向かって増加する。
【0025】
別のケースでは、径方向力は、装置の長さに沿って近位から遠位に向かって増加する。
【0026】
別のケースでは、中央セグメントの径方向力は、遠位セグメントの径方向力よりも大きい。
【0027】
更に別のケースでは、中間セグメントの径方向力は、近位セグメント及び遠位セグメントの径方向力よりも大きい。
【0028】
一実施形態において、外側本体は、複数のセグメントを含む。
【0029】
あるケースでは、セグメントは、第1の径方向力を有する閉鎖セルの近位リングを含み、これに、第1の径方向力よりも小さい第2の径方向力を有する少なくとも1つの浮遊セル又は小葉状部(leaflet)が接続されている。浮遊セル又は小葉状部は、隣接する遠位セグメントに接続されていない遠位頂点を含み得る。第2の径方向力は、第1の径方向力よりも20%~80%又は40%~60%低くてもよい。
【0030】
一実施形態において、外側本体のセグメントの血塊入口開口部は、装置の長さに沿って異なる。
【0031】
あるケースでは、装置の近位領域内の血塊入口開口部は、装置の遠位領域内の血塊入口開口部よりも小さい。
【0032】
別のケースでは、装置の中央部分の血塊入口開口部は、装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の血塊入口開口部よりも小さい。
【0033】
更なるケースでは、装置の中央部分の血塊入口開口部は、装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の血塊入口開口部よりも大きい。
【0034】
一実施形態では、装置の長さに沿って血塊入口開口部のサイズの勾配が存在する。
【0035】
あるケースでは、勾配は近位から遠位に向かって増加する。
【0036】
別のケースでは、勾配は近位から遠位に向かって減少する。
【0037】
いくつかの実施形態では、内側細長本体はテーパ状である。内側細長本体のテーパは、外側本体の血塊入口開口部の勾配と反対であってもよい。
【0038】
本発明の別の態様では、外側細長部材は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置している。
【0039】
いくつかのケースでは、外側拡張可能部材は、管内にスロットを切断することによって形成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、外側拡張可能部材は、形状記憶材料のレーザー切断されたスロット付き管である。
【0041】
本発明によれば、血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、-
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、展開構成における内側本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
外側細長本体は遠位端部分を備え、
内側細長本体は、本体部分と遠位部分とを備え、遠位部分は、展開構成において、外側細長本体に向かって、本体部分よりも大きい範囲で延在し、
内側細長部材の遠位部分と外側細長本体の遠位端部分は、共に三次元保護構造体を画定して、装置から血塊又は血塊断片が遠位に脱出するのを実質的に防止する、血塊回収装置が提供される。
【0042】
本発明のこの態様では、塞栓化リスクは、血管内腔を横切って装置の遠位端に向かって遠位のネット又はスキャフォールド領域を提供することによって低減される。スキャフォールドは、このケースでは、内側部材若しくは外側部材の両方に、又は両方の部材に追加され、深さ及び表面積を有するという点で3次元である。内側部材及び外側部材の両方のスキャフォールドを組み合わせることにより、1つの部材のみを利用するよりも効果的なフィルタがもたらされる。場合によっては、繊維又は細いワイヤを利用して、装置の輪郭又は送達能力に最小限の影響を及ぼす追加のスキャフォールドを提供する。
【0043】
一実施形態において、内側細長本体の遠位部分は、容積パターンで構成された複数のストラットを備える。
【0044】
あるケースでは、内側細長本体の遠位部分は、バルジ状又はフレア状のストラットのフレームワークを含む。
【0045】
一実施形態において、外側細長本体の遠位端部分は、遠位ストラットを含む。あるケースでは、外側細長部材の遠位端部の遠位ストラットは、概ね円錐形の形状で構成されている。
【0046】
一実施形態において、ストラットの少なくともいくつかは、繊維を受容するためのアイレット(eylet)などの取り付け点を含む。保護構造体は、遠位ネットを提供する複数の繊維を含んでもよい。
【0047】
一実施形態において、外側細長本体は、第1のモノリシック構造を備える。
【0048】
一実施形態において、内側細長本体は、第2のモノリシック構造を備える。
【0049】
あるケースでは、内側細長本体は、外側細長本体の近位端の近位に延在する。
【0050】
一実施形態において、外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を血塊受容開口部に向かって、かつ外側細長本体と内側細長本体との間の受容空間内に付勢するように適合されている。
【0051】
外側細長本体の血塊係合領域は、スキャフォールド開口部を含み、血塊受容開口部は、スキャフォールド開口部よりも実質的に大きい。
【0052】
一実施形態において、外側細長本体は、少なくとも2つの長手方向に離間したセグメントを備える。セグメント間には、少なくとも1つのヒンジが設けられてもよい。
【0053】
別の態様では、本発明は、血管から血塊を除去する方法であって、
本発明による血塊回収装置を血塊を横切って送達することと、
血塊の少なくとも一部が血塊受容空間内に長手方向に付勢されるように、血塊回収装置を拡張することと、
拡張された展開構成における内側本体を通る血液の流れを可能にするために、血塊の内側本体内への移動を阻止することと、を含む、方法、を提供する。
【0054】
本発明はまた、血管から血塊を除去するための血塊回収装置であって、この装置は、折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有し、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
シャフトに連結された拡張可能な本体であって、拡張可能な本体は、隣接する血塊スキャフォールドセグメント間に複数の血塊入口開口部を形成する空隙によって分離された4つの長手方向に離間した血塊スキャフォールドセグメントを備え、各血塊スキャフォールドセグメントは、複数の閉鎖セルを含み、複数の血塊スキャフォールドセグメントのそれぞれの少なくとも1つの閉鎖セルは、隣接する閉鎖セルへの接続を含まない遠位頂点で終端する、装置、を提供する。
【0055】
開示される設計は、既存の機械的血栓除去の解決法の多くの欠点を克服する。
【0056】
様々な交換可能な用語が、血塊と係合するように構成された本発明の部分を説明するために本明細書において使用されているが、当該部分は、通常は血塊内で展開され血塊と係合する。これらの用語は、「血塊係合部分」、「拡張可能部材」、「拡張可能な本体」、「血塊係合要素」包含し、用語「細長いバスケット」、「係合バスケット」、及び「ステントバスケット」も、装置のこの部分を説明するために使用され得る。
【0057】
装置の血塊係合部分が血管内の閉塞性血塊内で拡張されるように構成され、それにより、拡張する係合部は、係合具が拡張するにつれて、血塊が係合具の本体内の受容空間内に移動することを可能にする設計が開示される。係合具は、カテーテルを通して閉塞部位に送達され、血塊内に位置付けられる。係合具は、閉塞部位で拡張可能であり、拡張される際に血塊を圧縮し始める。係合具の表面は入口開口部を備え、入口開口部は、血塊のかなりの部分を係合具の壁の入口開口部を通して変位させることによって、圧縮から血塊が「抜け出る」ことを可能にする。血塊のかなりの部分が係合具内の入口開口部を通って付勢されるため、血塊の圧縮が最小限に抑えられ、したがって、結果として生じる血塊摩擦係数の増加が最小化される。これはまた、血塊の領域内の血管の径方向力を低減し、これは、捕捉された血塊を引き出すために、より小さい力が必要とされることを意味し、ひいては、血管外傷が少なく、遠位血管床に加わる張力が少なくなることを意味する。装置は、装置の径方向力が、小さい直径において強く作用して血塊と係合し、血塊を把持するが、より大きな直径においては優しく作用して血管壁と緩やかに接触するように構成されている。
【0058】
装置の径方向力プロファイルは、装置の長さに沿って更に調整されてもよい。例えば、本発明の装置の一実施形態において、装置の遠位端の径方向力は、装置の中央部分の径方向力よりも小さい。一実施形態において、装置の遠位端の径方向力は、装置の中央部分及び近位部分の径方向力よりも小さい。本発明の装置の一実施形態において、装置は複数のセグメントを備え、任意のセグメントの径方向力は、隣接するセグメントと同じであっても異なっていてもよい。このような装置の一実施形態において、全てのセグメントの径方向力は、任意の所与のセグメントの径方向力が、任意の他のセグメントの径方向力と20%未満、より好ましくは10%未満だけ異なるように平衡化される。このような装置の一実施形態において、任意の所与のセグメントの径方向力は、隣接するセグメントの径方向力と20%未満、より好ましくは10%未満だけ異なる。このような装置の一実施形態において、全てのセグメントの径方向力は、径方向力が、装置の長さに沿って近位から遠位に向かって概ね減少するように調整される。このような装置の一実施形態において、全てのセグメントの径方向力は、径方向力が、装置の長さに沿って近位から遠位に向かって概ね増加するように調整される。別の実施形態では、中間セグメントの径方向力は、遠位セグメントの径方向力よりも大きい。別の実施形態では、中間セグメントの径方向力は、近位セグメント及び遠位セグメントの径方向力よりも大きい。
【0059】
本発明の装置の径方向力は、外側拡張可能部材の各個々のセグメント内で更に調整することができる。具体的には、外側拡張可能部材のセグメントは、第1の径方向力の接続された閉鎖セルの近位リングを備えてもよく、この第1の径方向力は、第2の径方向力の1つ以上の浮動セル又は小葉状部と接続されている。これらの浮動セル又は小葉状部は、それらの遠位頂点が装置のより遠位の部分に接続されていないという事実によって区別されており、むしろ、それらは浮遊している又は分離されている。これにより、これらの小葉状部は、血塊がそこを通って装置の内側受容空間内に落下し得るトラップドアとして機能することを可能にする。これらは、装置が屈曲部及び通過した分岐血管の周囲に後退するときにより良好に開いたまま血管壁に並置されていることができ、全ての捕集された血塊を保持するのに役立つ、捕捉機構として更に機能し得る。一実施形態において、第2の径方向力は、第1の径方向力よりも小さい。一実施形態において、第2の径方向力は、第1の径方向力よりも20%~80%小さい。好ましい実施形態では、第2の径方向力は、第1の径方向力よりも40%~60%小さい。
【0060】
装置が第1の内側拡張可能部材と第2の外側拡張可能部材とを備え、内側部材が実質的に外側部材の内腔内に配置されている、二重拡張部材を有する設計が開示される。内側部材及び外側部材の特性は、互いに独立して調整され得る。内側部材は、外側部材と非常に異なる径方向力を有してもよい。内側部材は、外側部材と非常に異なるレベルの多孔性を有してもよい。内側部材は、外側部材の完全に拡張した直径と非常に異なる、完全に拡張した直径を有してもよい。内側部材の長さは、外側部材の長さと異なっていてもよい。内側部材のストラットの形状は、外側部材のストラットの形状と異なっていてもよい。拡張された構成において内側部材と外側部材との間に隙間が存在してもよい。折り畳まれた構成において内側部材と外側部材との間に隙間が存在してもよい。内側部材及び外側部材の一方又は両方は、当該部材の壁の少なくとも一部に沿って実質的に長手方向に延びるシームを有してもよく、あるいは内側部材及び外側部材のいずれも当該シームを有していなくてもよい。内側部材及び外側部材の一方又は両方は、レーザー切断部材、編組部材、編み部材、押出部材、引き抜き成形部材を含んでいてもよい。内側部材及び外側部材の一方又は両方は、レーザー切断工程、編組工程、編み工程、押出工程、引き抜き成形工程、電気研磨工程、熱処理工程を伴うプロセスで製造され得る。内側部材及び外側部材の一方又は両方は、テーパ部分、フレア部分、閉鎖端部分、又は閉鎖された中間部分を含んでもよい。一方又は両方の部材は、実質的に管状又は円筒形の部分を含んでもよい。
【0061】
本発明の内側部材の一実施形態は、概ね管状の部分を形成する相互接続されたストラットフレームワークを含み、フレームワークのストラットは、セル又は開口部を画定し、当該セル又は開口部は、部材の多孔性を画定する。この管状部分は、異なるセルパターン及び様々なセル形状を含み得る。一実施形態では、装置を通る任意の所与の部分の円周の周りに少なくとも2つのセルが存在する。好ましい実施形態では、装置を通る任意の所与の部分の円周の周りに少なくとも3つのセルが存在する。より多くの数のセルは、より高密度で多孔性の低い構造を提供し、当該構造は、軟血塊を通る流れ内腔を維持することがより可能であるが、装置の可撓性及び輪郭が犠牲となってしまう。したがって、最適なセルの数は、装置が展開されることになる材料の一貫性、及び部材がそこまで拡張するように設計される直径に依存する。より大きな直径は、適切かつ有効なレベルの多孔性を維持するために、より多くの数のセルを必要とする場合がある。適切な程度の血塊スキャフォールドを達成するために、4.0mm未満のセル面積が望ましい。しかしながら、0.5mm未満のセル面積は、望ましくない血液凝固又は血栓症を引き起こす場合があり、装置を再使用のために洗浄することを困難にし、有害な血塊断片が生じる可能性がある。したがって、1.0mm~3.0mmのセル面積が最も好ましい。
【0062】
0.75mm~2.5mmの内側拡張可能部材拡張直径は、本発明の神経血管用途に最も好適である可能性が高い。3つ又は4つのセル構造を有する0.75mm~1.75mmの内側拡張可能部材拡張直径が最も好ましい。
【0063】
概ね管状の内側部材の直径は、その長さに沿って変化し得る。一実施形態において、内側部材の直径は、概ね円錐形である。一実施形態において、内側部材の直径は、より小さい近位直径からより大きい遠位直径までテーパ状になる。一実施形態において、内側部材の直径は、より大きい近位直径からより小さい遠位直径までテーパ状になる。一実施形態において、内側部材の直径は、約0.75mm~1.75mmの直径から約1.5mm~4.0mmの直径までテーパ状になる。
【0064】
これらの二重拡張可能部材装置は、多くの利益を有する。(1)内側部材は、血塊を通って内腔を形成し、展開の直後に流れを回復するために、強い開放力を提供するように構成され得る。この流れ内腔は、血塊全体にわたる圧力勾配を低減し、血塊を除去することをより容易にする。(2)内側部材がそこまで拡張する直径は、再潅流傷害のリスクを低減するように調整され得る。この実施形態では、内側部材は、閉塞物のすぐ隣及び遠位の血管の直径よりも著しく小さい直径まで拡張する。この小径の内側部材は、閉塞部を横切る小さな流れ内腔を形成し、脳の患部への初期血流を制限する。この制限された血流は、血流回復直後に血管に加えられる圧力が正常よりも低く、これにより、虚血性血管床における出血のリスクが低減されるのを確実にする。その後、装置及び血塊を除去することによって、完全な潅流が回復される。(3)内側部材は、外側バスケットよりも小さい直径まで、かつ展開されるべき任意の血管よりも小さい直径まで拡張するように構成され得る。これは、強い径方向力が、流れ内腔を開放するために血塊には安全に加えられ得るが、血管には加えられなくて済むことを意味する。(4)内側部材は、血塊を通って形成された内腔をスキャフォールドする働きをすることができ、血塊から塞栓が遊離して、得られる高速流動血流に入るのを防止する。(5)内側部材は、ステントを少なくとも部分的に含んでもよく、血管から血塊を係合解除する重要な初期工程のために、血塊に強力な把持力を提供することができ、外側バスケットが低い径方向力で構成されることを可能にする。(6)外側部材は、外側の壁を横切って血塊を付勢するように、大きな入口開口部を有するように構成されてもよい。これに対して、内側部材は、外側部材の壁を横断する血塊の遠位移動又は断片化又は塞栓を防止するように構成されてもよい。血塊が外側部材の壁を横断するように外側部材を構成することによって、装置は、血管の壁から血塊をより効果的に係合解除することができる一方で、装置はまた、スキャフォールドを提供する形状及び下部構造を有する内側部材によって血塊物質の損失を防止するのに有効である。
【0065】
外側部材の入口開口部は、臨床的に遭遇し得る血塊の種類及びサイズの範囲に適応するように、更に調整されてもよい。大きな入口開口部は、血塊を装置の内側受容空間内に受け入れて血塊を確実に捕捉するために望ましいが、血塊が屈曲及び分岐を越えて近位に後退する際に、血塊に対する確実な把持力を保持しようと試みるとき、不都合であり得る。一実施形態において、入口開口部は、装置の長さに沿って異なってもよい。一実施形態において、装置の近位領域内の入口開口部は、装置の遠位領域内の入口開口部よりも大きい。一実施形態において、装置の近位領域内の入口開口部は、装置の遠位領域内の入口開口部よりも小さい。一実施形態において、装置の中央部分の入口開口部は、装置のより近位及び/又は遠位の領域内の入口開口部よりも小さい。一実施形態において、装置の中央部分の入口開口部は、装置のより近位及び/又は遠位の領域内の入口開口部よりも大きい。一実施形態では、入口開口部の勾配が提供される。1つのこのような実施形態では、この勾配は近位から遠位に向かって増加し、そのため、より小さい、より近位の開口部に入ることができない血塊は、装置が後退するときに、より大きな、より遠位の開口部によって捕捉され得る。1つのこのような実施形態において、この勾配は近位から遠位に向かって減少し、そのため、装置が後退するときに、より大きな、より近位の開口部に入る任意の血塊は、より小さい、より遠位の開口部から出ることができない。そのような外側部材は、テーパ状の内側部材と組み合わされて、血塊の脱可動化(demobilisation)及び捕捉を更に支援することができ、その結果、内側部材の小径部分に隣接する外側部材の大きな近位開口部を通って進入する血塊は、テーパ状の内側部材のより遠位の部分の直径が増大することによって、装置に沿って遠位に移動することが防止される。
【0066】
本発明の様々な実施形態については、以下でより詳細に説明する。これらの説明において、装置の各部分に関する様々な用語は、前述したように交換可能に使用され得る。説明される実施形態のそれぞれの後には、先行する上欄の実施形態の更により詳細な変形形態を説明するために、更なる必要条件のリスト(単語「wherein」が先行する)が続く。これらの必要条件のいずれも、上欄の実施形態のいずれとも組み合わされ得ることが意図されているが、明瞭性及び簡潔性を維持するために、可能な変形の全てが列挙されているわけではない。
【0067】
本発明の一実施形態において、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、拡張状態で血塊を横切って延在するように構成された拡張可能な血塊係合要素と、を備え、拡張可能な血塊係合要素は、第1のモノリシック構造と第2のモノリシック構造とを備え、第1のモノリシック構造は第2のモノリシック構造をその長さの少なくとも一部を覆って取り囲み、第2のモノリシック構造は、近位部分と、中間部分と、遠位部分と、を含み、遠位部分は拡張部を備える。
【0068】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
第1のモノリシック構造は、第2のモノリシック構造を実質的に封入するように構成されており、
第1のモノリシック構造は、近位部分と、中間部分と、遠位部分と、を含み、遠位部分は閉鎖遠位端を備えており、
血塊係合要素の遠位端は閉鎖遠位端を備え、当該閉鎖遠位端は、血塊断片を捕捉するように、かつ/又は血塊断片の遠位移動を防止するように構成されており、
拡張部は、血塊断片の移動を防止するように構成されており、
第1のモノリシック構造の遠位端は閉鎖遠位端を備え、当該閉鎖遠位端は表面を画定し、表面は血塊断片バリア表面として構成されており、
血塊断片バリア表面は、相互接続されたストラットの網状組織を含んでおり、
血塊係合要素の遠位部分は、血塊移動に対する三次元バリアを提供するように構成されており、
装置は、細長いコネクタ要素を更に備え、当該細長いコネクタ要素は、近位端と遠位端とを含み、近位端は第2のモノリシック構造に接続されており、遠位端は第1のモノリシック構造に接続されており、
細長いコネクタ要素はばね要素を含み、当該ばね要素は第2のモノリシック構造と一体であり、
第1のモノリシック構造及び第2のモノリシック構造は、それらの遠位端で接続されており、
第1のモノリシック構造及び第2のモノリシック構造は、それらの遠位端で接続されておらず、及び/又は
第1のモノリシック構造及び第2のモノリシック構造の近位部分は、細長部材の遠位端に接続されている、ことを含む。
【0069】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、拡張状態で血塊を横切って延在するように構成された拡張可能な血塊係合要素と、を備え、拡張可能な血塊係合要素は、近位セグメントと、血塊係合セグメントと、遠位セグメントと、を備え、近位セグメントは、使用時に血塊の近位に延在し、遠位端は、使用中に血塊の遠位に延在するように構成されており、血塊係合セグメントは、その拡張状態において血塊と係合するように構成されており、遠位端は、断片保護構造体を備え、断片保護構造体は、容積パターンで構成された複数のストラットを備える。
【0070】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
容積パターンは、少なくとも部分的に円錐形状の容積パターンを含んでおり、
容積パターンは、少なくとも部分的に円筒形の容積パターンを含んでおり、
容積パターンは、少なくとも1つの複数の相互接続されたストラットを含んでおり、容積パターンは、少なくとも2つの複数の相互接続されたストラットを含んでおり、容積パターンは、第1の軸の周りに配置された第1の複数のストラットと、第2の軸の周りに配置された第2の複数のストラットと、を備えており、
第1の軸の位置は、第2の軸の位置に対して移動可能であり、
第1の軸及び第2の軸は中心線を含み、使用中に当該中心線が直線及び/又は湾曲した中心線を含んでもよく、
中心線は互いに対して偏向可能であり、
容積パターンは、末端部を含んでおり、
末端部は、当該複数のストラットのうちの少なくともいくつかのための末端接合部を含んでおり、
末端部は、当該複数のストラットが終端及び/又は接続される接続点を含んでおり、
容積パターンは、第1の複数のストラットと、第2の複数のストラットと、を備えており、
第2の複数のストラットは、第1の複数のストラットによって少なくとも部分的に包囲されており、
第2の複数のストラットは、第1の複数のストラットを取り囲んでおり、
第1の複数のストラットは、第1の軸の周りに配置され、第2の複数のストラットは、第2の軸の周りに配置され、当該第1及び第2の軸は実質的に平行であり、
第1の複数のストラットは、第1の軸の周りに配置され、第2の複数のストラットは、第2の軸の周りに配置され、当該第1及び第2の軸は実質的に平行であり、
第1の複数のストラットは円錐形状を備えており、
第2の複数のストラットは、球形、平坦にされた球形、円筒形、又はスピンドルトーラス形状を備えている、ことを含む。
【0071】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、第1の管状構造体と第2の管状構造体とを備える拡張可能な血塊係合要素と、を備え、第1の管状構造は、第2の管状構造体を少なくとも部分的に取り囲み、第1の管状構造体は、近位端と、遠位端と、近位終端と、及び遠位終端と、を含み、第2の管状構造体は、近位端と、遠位端と、近位終端と、遠位終端と、を含み、第1及び第2の管状構造体の近位終端は、細長部材に接続されており、第1及び第2の管状構造体の遠位終端は互いに接続されている。
【0072】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
第1の管状構造体及び第2の管状構造体は、相互接続されたストラットのモノリシック構造を含んでおり、
第1の管状構造体及び第2の管状構造体は、長手方向に延在する構造体を含んでおり、
第1の管状構造体及び第2の管状構造体の両方は、折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを含み、第1の管状構造体は、拡張された構成及び折り畳まれた構成の両方において、第2の管状構造体を少なくとも部分的に取り囲んでおり、
第1の管状構造体及び第2の管状構造体の一方又は両方は、第1の管状構造体及び第2の管状構造体の一方又は両方を細長部材の遠位端に接続するための近位カラーを備えており、
少なくとも1つの近位カラーは部分カラーを備えており、並びに/あるいは
少なくとも1つの近位カラーはハイポチューブから切断され、細長部材の遠位端の少なくとも一部分を取り囲んでいる、ことを含む。
【0073】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、第1の管状構造体と第2の管状構造体とを備える拡張可能な血塊係合要素と、を備え、第1の管状構造体は、第2の管状構造体を少なくとも部分的に取り囲み、第1の管状構造体及び第2の管状構造は、接続点において細長部材の遠位端に接続され、第1の管状構造体は、第1の近位接続ストラットと第1のコネクタ要素とを含み、第2の管状構造体は、第2の近位接続ストラットと第2のコネクタ要素とを含み、第1のコネクタ要素は、接続点において第2のコネクタ要素を取り囲んでいる。
【0074】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
第1のコネクタはカラーを備え、
第2コネクタはカラー又は部分カラーを備え、並びに/あるいは
細長部材は、第1のコネクタ及び/又は第2のコネクタの遠位移動を防止するように構成された遠位安全停止部を備える、ことを含む。
【0075】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、拡張状態において血塊を横切って延在するように構成された拡張可能な血塊係合要素と、を備え、拡張可能な血塊係合要素は、第1の管腔構造体と第2の管腔構造体とを含み、第1の管腔構造体は、直径が当該第2の管腔構造体よりも大きく、第1の管腔構造体の遠位端は、第1の管腔構造体の軸に向かって収束する複数のストラットを備え、第2の管腔構造体の遠位端は、当該第2の管腔構造体の軸から離れて分岐する複数のストラットを備える。
【0076】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
当該第1及び第2の管腔構造体の遠位端は、三次元の血塊断片移動バリアを形成するように構成されており、
当該第2の管腔構造体の遠位端は、当該複数のストラットへの接線が当該第2の管腔構造体の軸に実質的に平行である変曲領域を更に備えており、
当該第2の管腔構造体の遠位端は、当該複数のストラットが当該第2の管腔構造体の軸線上に収束する収束領域を更に備えており、
当該第2の管腔構造体の遠位端は、当該複数のストラットが終端する第2の遠位接合部を更に備えており、
当該第1の管腔構造体の遠位端は、当該複数のストラットが終端する第1の遠位接合部を更に備えており、
第1の遠位接合部は第2の遠位接合部の遠位にあり、並びに/あるいは
第1の遠位接合部は、コネクタ要素によって第2の遠位接合部に接続されている、ことを含む。
【0077】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血塊回収装置を含み、血塊回収装置は、-細長部材と、折り畳まれた送達状態と拡張された血塊係合状態とを含む血塊係合要素と、を備え、血塊係合要素は、その拡張状態において血塊を横切って延在するように構成されており、血塊係合要素は、近位部分と、中間部分と、遠位部分と、を備え、中間部分は、管腔構造体を含み、遠位部分は拡張領域を備える。
【0078】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
拡張領域の直径は、拡張状態における中間部分の直径よりも大きく、
血塊係合要素は、モノリシック構造で接続された複数のストラットを備えており、
拡張領域は、分岐領域と収束領域と、を含んでおり、
拡張領域は、分岐領域と収束領域との間に変曲点を含んでおり、
拡張領域は中間部分と一体であり、
拡張領域は、拡張領域を中間部分に接続する複数のストラットを含む遷移部分を備えており、
拡張領域は、テーパ状の遠位端を備えており、
装置は、拡張領域の遠位端に接続された細長部材を含んでおり、及び/又は
拡張状態では、管腔構造は、血塊を通る流れ内腔を画定するように構成されている、ことを含む。
【0079】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、血管から血塊を除去するための装置を含み、装置は、-細長部材と、拡張状態において血塊を横切って延在するように構成された拡張可能な血塊係合要素と、を備え、拡張可能な血塊係合要素は、第1の管腔構造体と第2の管腔構造体とを備え、第1の管腔構造体は、直径が当該第2の管腔構造体よりも大きく、かつ第2の管腔構造体の少なくとも一部分を取り囲み、第2の管腔構造体は、その遠位端に血塊捕捉構造体を備え、血塊捕捉構造体は、フレア状部分を備える。
【0080】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
血塊捕捉構造体は、複数のストラットと、フィルタに構成された少なくとも1つの繊維と、を含んでおり、
拡張状態において、血塊捕捉構造体の少なくとも一部の直径は、血管の直径と類似しており、
拡張状態において、血塊捕捉構造体の少なくとも一部分の直径は、第2の管腔構造体の直径よりも大きく、及び/又は
拡張状態において、血塊捕捉構造体の少なくとも一部分の直径は、第1の管腔構造体の直径と類似している、ことを含む。
【0081】
本発明の別の実施形態では、治療器具は、細長部材と、第1の拡張可能部材と、第2の拡張可能部材と、を備える血塊回収装置を含み、両方の拡張可能部材は、近位部分と、本体部分と、遠位部分と、を有し、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体部分は、直径が、自由に拡張された状態で第2の拡張可能部材の直径よりも大きく、第1の拡張可能部材の近位部分は、第2の拡張可能部材の近位部分の遠位にある。
【0082】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
第1の拡張可能部材の遠位部分は血塊捕捉構造体を備えており、
第2の拡張可能部材の遠位部分は血塊捕捉構造体を備えており、
血塊捕捉構造体は複数のストラットを含んでおり、
血塊捕捉構造体は、複数のストラットと、フィルタに構成された少なくとも1つの繊維と、を含んでおり、
第1の拡張可能部材の近位端は、細長いシャフトの遠位部分に接続されており、
第1の拡張可能部材の近位端は、第2の拡張可能部材に接続されており、
第2の拡張可能部材の近位端は、細長いシャフトの遠位部分に接続されており、
第1の拡張可能部材の遠位端は、第2の拡張可能部材の遠位端に接続されておらず、
第1の拡張可能部材の遠位端は、第2の拡張可能部材の遠位端に接続されており、
自由に拡張された状態における第2の拡張可能部材の本体部分は、自由に拡張された状態における第1の拡張可能部材の本体部分の直径の50%未満であり、
自由に拡張された状態における第2の拡張可能部材の本体部分は、自由に拡張された状態における第1の拡張可能部材の本体部分の直径の40%未満であり、
自由に拡張された状態における第2の拡張可能部材の本体部分は、自由に拡張された状態における第1の拡張可能部材の本体部分の直径の30%未満であり、及び/又は
自由に拡張された状態における第2の拡張可能部材の本体部分は、自由に拡張された状態における第1の拡張可能部材の本体部分の直径の20%未満である、ことを含む。
【0083】
血塊回収装置を使用して血管から血塊を回収する方法も提供され、当該血塊回収装置は、拡張可能な本体と細長いシャフトとを備え、当該方法は、マイクロカテーテルを通して標的部位に装置を送達することと、マイクロカテーテルを後退させて、血塊内又は血塊の下に少なくとも部分的に装置を展開することと、血塊の近位部分内の拡張可能部材の近位部分を、血管の直径よりも小さい直径に拡張させることと、血塊の遠位の拡張可能部材の遠位部分を、血管の直径と実質的に等しい直径に拡張させることと、装置及び血塊を近位に引き出し、その両方を患者から除去することと、を含む。
【0084】
本実施形態のいくつかの任意の特徴は、-
拡張可能な本体は、内側拡張可能部材と外側拡張可能部材とを備えており、
内側拡張可能部材の拡張直径は、外側拡張可能部材の拡張直径よりも小さく、
内側拡張可能部材の少なくとも一部分は、外側拡張可能部材の少なくとも一部の内部に延在しており、
内側拡張可能部材の少なくとも一部分は、外側拡張可能部材の近位に延在しており、
拡張可能な本体の遠位部分は血塊捕捉構造体を備えており、血塊捕捉構造体は、内側拡張可能部材に接続されており、
血塊捕捉構造体は、外側拡張可能部材に接続されており、及び/又は使用中に細長いシャフトは患者の外側に延在する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0085】
本発明は、例示目的のみで示されるそのいくつかの実施形態の以下の説明から、添付の図面を参照して、より明確に理解されるであろう。
図1a】本発明の血塊回収装置の側面図である。
図1b】本発明の血塊回収装置の側面図である。
図1c図1aの一部の詳細図である。
図2a】本発明の血塊回収装置の構成要素の図である。
図2b】本発明の血塊回収装置の構成要素の図である。
図2c】その非拡張状態にある本発明の血塊回収装置の構成要素の図である。
図2d図2cの近位部分の詳細図である。
図3a】本発明の血塊回収装置の構成要素の図である。
図3b】その非拡張状態にある本発明の血塊回収装置の構成要素の図である。
図3c図2cの一部の詳細図である。
図4a】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図4b】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図4c】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図4d】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図4e】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図4f】本発明の装置の使用方法における様々な工程を示す。
図5】本発明の血塊回収装置の側面図である。
図6】本発明の血塊回収装置の側面図である。
図7】本発明の血塊回収装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明の具体的な実施形態が、ここで図面を参照して詳細に説明されるが、同一の参照番号は、同一又は機能的に類似した要素を示す。「遠位」又は「近位」という用語は、以下の説明において治療医師に対して相対的な位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」は、医師から離れた位置又は医師から離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」は、医師に近い位置又は医師に向かう方向である。
【0087】
大脳、冠状動脈、及び肺静脈にアクセスすることは、多数の市販の製品及び従来の処置工程を使用することを伴う。ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、血管造影カテーテル及びマイクロカテーテルなどのアクセス製品は、他の場所で説明され、カテーテル検査法で定常的に使用されるものである。以下の記述において、これらの製品及び方法は、本発明の装置及び方法と併せて用いられることが想定され、そのことを詳細に説明する必要はない。
【0088】
以下の詳細な説明は、単に例示的なものであり、本発明又は本発明の用途及び使用を制限することを意図するものではない。本発明の説明は、多くの場合は頭蓋内動脈の処置との関連におけるものであるが、本発明はまた、前述のようなその他の身体通路においても使用され得る。
【0089】
開示された設計の多くにわたって共通のテーマは、装置が外側拡張可能部材を備え、その内部に内側拡張可能部材が延在しており、両方の部材が細長いシャフトに直接的又は間接的に接続され、装置の遠位端に構成された血塊断片が抜け出るのを防止する遠位ネット又はスキャフォールドを備えた、二重層構造である。この遠位ネットは、シャフト、内側部材、若しくは外側部材のいずれか、又はこれらのいくつかに取り付けられ得る。この文書全体に記載されているように、これらの要素のそれぞれについて設計の範囲が想定され、これらの要素のいずれも、任意の他の要素と共に使用できることが意図されるが、繰り返しを避けるために、これらの要素は考えられる全ての組み合わせでは示されていない。
【0090】
内側拡張可能部材及び外側拡張可能部材は共に、著しくひずんだ送達構成から解放されると、その形状を自動的に回復することができる材料から作製されるのが望ましい。ニチノール又は類似の特性を有する合金などの超弾性材料が特に適している。材料は、ワイヤ又はストリップ又はシート又は管などの多くの形態であり得る。特に適している製造プロセスは、ニチノール管をレーザー切断し、次いで、結果として生じた構造体を熱処理及び電解研磨して、ストラット及び接続要素のフレームワークを作製することである。このフレームワークは、本明細書に開示されているように多種多様な形状のいずれかにすることができ、また、合金元素(例えば、白金など)の添加によって又は様々なその他のコーティング若しくはマーカーバンドによって、蛍光透視法の下で可視化されてもよい。
【0091】
内側拡張可能部材は、場合によっては、概ね管状の構造を形成してもよく、理想的には、使用することが意図される最小の血管の直径よりも小さい直径に拡張するように構成されている。概ね非テーパ状の内側部材の場合、この直径は、典型的には、外側拡張可能部材の直径の50%未満であり、外側部材直径の20%以下まで小さくすることができる。
【0092】
図1a及び図1bは、本発明の血塊回収装置の一実施形態のわずかに異なる角度及び向きからの図を示す。血塊回収装置1は、動脈の内部に延在する遠位端と、動脈の外部に延在する近位端と、を有する細長いシャフト6と、複数の拡張可能セグメント26を備える外側拡張可能部材2を有する細長いシャフト6の遠位端に構成された血塊係合部分と、血塊回収装置1が閉塞部位で展開された直後の血塊を通る血流の回復を促進するための内側拡張可能部材3と、を有する。外側部材2及び内側拡張可能部材3は、送達のための折り畳まれた構成と、血塊回収、血流回復、及び断片化保護のための拡張された構成と、を含む。一実施形態において、内側拡張可能部材は、概ね管状の本体部分を備える。外側部材2は、複数の入口開口部22を備え、血塊は、この入口開口部を通って、外側拡張可能部材と内側拡張可能部材との間に設けられた内側受容空間11に入ることができる。外側拡張可能部材2及び内側拡張可能部材3は、近位継手部12で細長いシャフト6に接続されている。装置はまた、遠位拡張可能セグメント28の遠位端で遠位継手部9に追加された遠位先端8を備える。内側拡張可能部材の遠位部分は、遠位継手部9で外側拡張可能部材の遠位部分に接合されている。
【0093】
遠位拡張可能セグメント28の閉鎖端部は、内側部材と外側部材との間の受容空間11に進入した血塊又は血塊断片の脱出を防止する。内側部材の拡張された遠位ストラット10は、血塊又は血塊断片の脱出を更に防止するために、外側部材2の閉じた遠位端との組み合わせで追加の三次元フィルタとして作用する。特定の実施形態では、この遠位部分は、アイレット87又はその他の繊維取り付け機構などの繊維取り付け点を含んでもよく、繊維は、遠位ネットを作り出すためにこれらの取り付け点において遠位部分に接続されていてよい。
【0094】
内側部材及び外側部材は、好ましくは、ニチノール又は高い回復可能なひずみを有する別の合金などの超弾性又は擬似弾性材料で作製されている。シャフト6は、テーパ状のワイヤシャフトであってもよく、ステンレス鋼、MP35N、ニチノール、又は好適に高い弾性率及び引張強度のその他の材料で作製されてもよい。シャフト6は、その遠位端に隣接しておりかつ外側部材2及び内側拡張可能部材3の近位にあるコイル4を有する。このコイル4は、金属であってよく、ステンレス鋼、あるいは、例えば、白金若しくは金などのより放射線不透過性の材料、又はそのような材料の合金から形成され得る。別の実施形態では、コイル4は、低摩擦材料でコーティングされてもよく、又はコイルの外側表面上に配置されたポリマージャケットを有してもよい。
【0095】
図1cは、図1aの破線楕円83によって強調された、装置の領域の拡大図を示す。近位放射線不透過性マーカー82は、2つの近位クラウン81のすぐ近位の外側部材2のストラット20の遠位端に位置付けられている。この位置は、血塊を最適に把持するために血塊の下で展開することが最も望ましい装置部分である、装置の完全に拡張した直径の開始点(図1bにおいてより明確にわかる)を示すため、有利である。したがって、これらのマーカー82は、最適な結果を得るためにはどこで装置を血塊に対して展開すべきかを医師に指示するために使用され得る。更に図2dを参照すると、これらのマーカー82をクラウン81のすぐ近位に位置決めすることは、これらのマーカーを可能な限り大きく(したがって視認可能に)するためのより大きな空間を提供する。クラウン81の遠位に位置付けられた場合、マーカーは、ストラット44及び51と空間に関して競合することになり(マイクロカテーテル内で折り畳まれたとき)、したがって、装置の輪郭又は送達能力を損なうことを回避するために非常に小さく作製される必要がある。
【0096】
図2aは外側部材2の平面図を示し、図2bは立面図を示す。外側部材2は、入口開口部22と共に散在し、遠位の拡張可能なバスケットセグメント28で終端する、複数の拡張可能セグメント26を備える。近位ストラット20は、それらの近位端でカラー12に接続され、それらの遠位端で拡張可能セグメント26のうちの第1のセグメントに接続されている。近位ストラット20は、シャフト6から装置の血塊係合部分への緩やかな硬さの遷移を確実にするために、テーパ状形状を有してもよい。各拡張可能セグメント26は、近位接合部39から遠位接合部40へと延びる2つの接続アーム29によって遠位のセグメントに接続されている。一実施形態において、これらの接続アームは、装置の中心軸に平行に延びる概ね直線状のストラットを備えている。他の実施形態では、これらの接続アームは、1つ以上のセルに構成された複数のストラットを備えていてもよく、又は湾曲アーム若しくは螺旋状アームを備えていてもよい。したがって、これらの接続アーム29は、拡張可能セグメントが拡張したままとなり、かつ血管壁に十分に並置されたままとなる能力を損なうことなく、装置が拡張可能セグメント間で屈曲することを可能にする、ヒンジ要素として作用する。各隣接する拡張可能セグメント間の領域は、一対の入口開口部22を備え、血塊はこの入口開口部22を通過し、内側部材と外側部材との間の領域によって画定される受容空間11に進入することができる。入口開口部22は、外側部材2が後退したときに、外側部材2が血塊に、血塊が血管から引っ張られる方向に対して実質的に平行(すなわち、血管の中心軸に対して実質的に平行)な方向に力を加えることを可能にする追加の利益をもたらす。これは、脈管構造に加えられる外向きの径方向の力が最小に保たれることができることを意味し、ひいては、血塊回収装置1が血塊に加える作用が、血管から血塊を除去するのに必要な力を増加させるものとはならず、その結果、有害な半径方向力及び引張力から繊細な脳血管を保護することを意味する。一実施形態において、各拡張可能セグメント間の接続アーム29は、互いに実質的に整列されているが、別の実施形態では、第1の対の拡張可能セグメント間の接続アームは、第2の対に対して90°に配置されてよい。
【0097】
各拡張可能セグメント26は、接続されたストラット84の近位リングと、複数の遠位の「小葉状部」85と、を備える。各小葉状部は、更なる要素が接続されていない遠位クラウン86で終端する一対のストラットを備える。ストラット84の接続されたリングは、このセグメントに、血塊の下で展開されたときに開いて拡張させる径方向力を提供する。小葉状部85は、血塊が入口開口部22に滑り込むことを可能にするように(トラップドアのように)偏向することができる。小葉状部とヒンジ要素29との組み合わせにより、装置は、その拡張した形状を保持し、装置が屈曲部を周り分岐血管を通過して後退するときに血管壁との接触を維持することを可能にする。この後退プロセスの間、小葉状部は、血塊が装置から抜け出るのを防止するように作用し、トラップドアを閉鎖し、血管壁と緩やかに接触する。
【0098】
1つ以上の拡張可能部材は、金又は白金マーカー又はコイルなどのマーカーバンド又は放射線不透過性機構を含んでもよい。この実施形態では、3つの放射線不透過性マーカー25が、遠位拡張可能部材28のアイレット87に固定されて示されている。金マーカーは、展開の精度を補助するために、外側部材の胴部の遠位端をユーザーに示すように配置されている。
【0099】
図2cは、例えばマイクロカテーテルの内腔内に保持されているときなどの、その非拡張状態の外側拡張可能部材の展開図を示す。一実施形態において、外側拡張可能部材は、スロットをレーザー切断し(又は同様の材料除去プロセス)、管から材料を除去することによって、管から形成される。一実施形態において、この管は、外側可能拡張部材の拡張されたい直径よりはるかに小さい、非常に小さい直径の管であり、また、装置が内部を通って送達されるように設計されている、マイクロカテーテルの内側内腔(直径)よりも小さいのが理想的である。このような装置は、その非拡張状態において、図2cのものと同様の展開切断パターンを有することになる。そのような小さな管直径からの切断は、かなりの製造課題を生じさせるが、装置の遠位端が円錐形の「捕捉バスケット」形状に容易に形成されることを可能にし、近位カラー12が、マイクロカテーテル内腔内に嵌合し、かつ細長いシャフト6に非常にしっかりと接合され得る円筒を含むことを可能にする点において、有意な利点も有する。
【0100】
図2dは、図2cに示す展開図の近位部分の拡大図を示す。近位放射線不透過性マーカー82は、2つの近位クラウン81のすぐ近位のストラット20の遠位端におけるアイレット88内に位置する。この位置は、血塊を最適に把持するために血塊の下で展開することが最も望ましい装置部分である、装置の完全に拡張した直径の開始点を示すため、有利である。したがって、これらのマーカーは、最適な結果を得るためにはどこで装置を血塊に対して展開すべきかを医師に指示するために使用され得る。
【0101】
他の市販の装置上のマーカーは通常、血塊の下で展開されることが意図される装置の近位、遠位、又は領域内に配置され、したがって、装置の最適な位置決めに関する有用な情報をユーザーに提供することなく、装置の位置を示すように機能する。本発明者らは、血塊に対してこのような装置を展開するための理想的な位置への広範な研究を行っており、装置の「作業長」の近位縁部を血塊の近位面と整列させることによって、最良の再疎通結果が得られることを発見した。したがって、これらのマーカー82は、血塊スキャフォールド領域及び血塊入口開口部を含む装置の長さであるこの「作業長」の近位縁部に配置され、非拘束時に最大直径まで拡張する。
【0102】
図3aは、内側拡張可能部材3の側面図を示す。内側拡張可能部材3は、送達のための折り畳まれた構成と、血流回復及び断片化保護のための拡張された構成と、を含む。内側拡張可能部材3は、弾性又は超弾性又は形状記憶金属構造を含んでもよく、電気研磨面などの研磨面を更に備えてもよい。内側拡張可能部材3は、展開時に血塊を通過する血流の即時回復を容易にするために、装置1を通る流れ内腔を提供するように構成されている。一実施形態において、内側拡張可能部材3は、血塊を通る当該流れ内腔にスキャフォールドを設けて、断片の遊離を防止するように構成されている。そうしなければ、遊離した断片が遠位脈管構造内に詰まる可能性がある。内側拡張可能部材3は、相互接続されたストラット31の略円筒形部分を備え、この略円筒形部分はその近位端でストラット34によって部分的カラー13に接続されている。内側拡張可能部材3の遠位端は、拡張したストラット10から形成された拡張性部分からなる。拡張したストラット10の直径は、内側拡張可能部材3の本体部分の直径よりも大きい。これらの拡張したストラットは、この実施形態では、加工中に内側拡張可能部材3も切断される管からレーザー切断されるコイル部分18に接続されている。内側拡張可能部材3上のコイル18の遠位端は、接着剤によって外側部材2の遠位カラーに結合されている。
【0103】
外側部材2及び内側拡張可能部材3は、使用中に部材内の張力を最小化するために、それらを組み立てる際に近位端及び遠位端において接合される。外側部材2の長さは、自由に拡張された構成及び装填された構成において、内側拡張可能部材3の長さと実質的に同じでなければならない。マイクロカテーテル内に完全に装填されたときに内側部材の長さと外側部材の長さが等しくなるように、内側拡張可能部材3の拡張したストラット10は装填中に伸長する。内側拡張可能部材3と外側部材2との間の長さの差は、装置が小血管内で展開されるとき、又は装填若しくは展開プロセス中に依然として生じ得る。内側拡張可能部材3の遠位端にあるコイル18は、装置に著しい引張力又は圧縮力を加えることなく伸張することによって、わずかな長さの差を調整することができる。別の実施形態では、このコイルは、内側拡張可能部材3とは別個に形成された後、内側拡張可能部材3に組み付けられてもよい。コイルは、ステンレス鋼材料、ポリマー、又は金若しくは白金などのより放射線不透過性の金属、あるいはそのような材料の合金から形成することができる。コイルはまた、低弾性率ポリマー又はエラストマーなどの弾性材料の長手方向の長さで置き換えられてもよい。
【0104】
図3bは、例えばマイクロカテーテルの内腔内に保持されているときなどの、その非拡張状態の内側拡張可能部材3の展開図を示す。一実施形態において、内側拡張可能部材は、スロットをレーザー切断し(又は同様の材料除去プロセス)、管から材料を除去することによって、管から形成される。一実施形態において、この管は、拡張直径よりはるかに小さい、非常に小さい直径の管であり、また、装置が内部を通って送達されるように設計されている、マイクロカテーテルの内側内腔(直径)よりも小さいのが理想的である。このような装置は、その非拡張状態において、図3bと同様の展開切断パターンを有することになる。
【0105】
図3cは、楕円89によって強調された図3bの領域の詳細図を示す。この拡大図では、内側部材の各セルが、コネクタ要素91を取り付けられているクラウン90内で終わることが分かる。次いで、これらのコネクタ要素のそれぞれは、第1のクラウン92で別の一対のストラット要素へと分岐する。次いで、これらのストラット要素の各対のうちの1つは、第2のクラウン93で隣接する一対のストラット要素のうちの1つに収束し、これと接合される。このパターンは、周囲の周りに一定数のセル要素を維持するために、部材の本体に沿って継続される。周囲の周りのセル数を増加させるために(例えば、特定の部分における多孔性を更に低減するために)、パターンの変化が必要とされる。これは、一対のストラット要素94を取り、各ストラットを更なる一対の短いストラット要素95に分岐させることによって達成される。このように、4つの短いストラット要素95が作り出され、隣接する短いストラット要素は、クラウン96で収束し、クラウン96で接続される一方、他の短いストラット要素97は、クラウン99において隣接する長いストラット98に接続される。
【0106】
図4a~図4fは、本発明の装置の使用方法を示す。ガイドワイヤ103及びマイクロカテーテル102は、動脈100に挿入され、従来の既知の技術を使用して閉塞性血塊101を横切って前進される。マイクロカテーテル102が閉塞性血塊101の遠位に位置付けられると、ガイドワイヤ103が動脈100から取り出されて、血塊回収装置110はマイクロカテーテル102を通って前進できる。装置110は、装置110の近位放射線不透過性マーカー(図4cに示されていない)がX線透視下で血塊101の近位縁105と整列されるまで、マイクロカテーテル102内で折り畳まれた構成で前進する。
【0107】
マイクロカテーテル102は、装置110の位置が固定されて維持されて、血塊101を横切って血塊回収装置110を展開している間に後退される。展開の際、装置110の遠位端120は、血塊101の遠位に配置されることが好ましい。装置110が拡張し、これにより、外側部材121が閉塞性血塊と係合して血管からの血塊回収を容易にし、内側管状部材122が拡張して、閉塞性血塊101を通って閉塞物の遠位の脈管構造に至る血流を制御された方法で回復させるための流路を提供する。内側流路122もまた血塊101に係合して、除去のための更なる把持を提供することができる。装置110は、内側管状部材122を通る制御された流れが回復したときに、必要に応じて、血塊101内で一定期間のインキュベートが可能となってもよい。図4eはまた、マイクロカテーテル102からの装置展開後の血塊の近位縁105と整列された近位放射線不透過性マーカー123を示す。
【0108】
装置110を後退させることで、動脈100内のその位置から血塊101が除去され、装置100を更に引くことで、血塊101がガイドカテーテル又はイントロデューサーシース130内に回収され得るまで血塊101が回収される。図4fは、ガイドカテーテル130内への回収中に装置110と係合されている血塊140を例示している。血塊140は、装置110の入口開口部141内に部分的に位置しており、また、内側部材と外側部材との間の領域によって画定される受容空間142内に部分的に位置している。血塊断片143は、装置110の遠位端に捕捉されて示されており、外側部材144の閉鎖端部及び内側部材145の拡張したストラットは、血流内に断片が解放されることを防止している。血流閉塞、吸引、及びその他の標準的な技術が、血塊回収プロセス中に使用されてよい。装置110は、挿入器具(図示せず)に再装填する前に、生理食塩水中ですすぎ、優しく洗浄されてよい。装置110は、必要ならば、マイクロカテーテルに再導入されて、閉塞性血塊の追加のセグメント内に再展開されてもよい。
【0109】
図5は、図1の装置1と設計及び構造が同様であるが、異なる外側部材設計を有する、本発明の血塊回収装置200の側面図を示す。外側部材201は、一連の入口開口部203によって分離された一連の拡張可能セグメント202を備える。この実施形態において、入口開口部は、装置の長さに沿ってサイズが増大し、その結果、近位入口開口部は最小となり、最も遠位の開口部は最大となる。他の実施形態では、入口開口部のサイズ及び位置は、交互に小さく/大きくする、又はランダムな大きさにするなど、他の方法で変化させることができる。装置は、本明細書で前述した他の内側拡張可能部材と同様の内側拡張可能部材204を更に備える。
【0110】
図6は、図5の装置200と同様であるが、内側拡張可能部材を有していない、本発明の別の血塊回収装置250の側面図を示す。この実施形態では、外側部材252の入口開口部251は、装置の長さに沿ってサイズが減少し、その結果、近位入口開口部253は最大となり、最も遠位の開口部254は最小となる。他の実施形態では、入口開口部のサイズ及び位置は、交互に小さく/大きくする、又はランダムな大きさにするなど、他の方法で変化させることができる。
【0111】
図7は、図1の装置1と同様の本発明の別の血塊回収装置280の側面図を示す。この実施形態では、外側部材の入口開口部は、装置の長さに沿ってサイズが減少し、その結果、近位入口開口部281は最大となり、最も遠位の開口部282は最小となる。内側拡張可能部材283は、概ね管状であり、近位側の小径から遠位側のより大きい直径までテーパ状なっている。入口開口部のサイズを減少させ、内側部材の直径を増大させるこの組み合わせは、装置の近位入口開口部に入る塞栓又は血塊が脱可動化し、装置を通って遠位に移動し、より遠位の開口部から抜け出ることを防止することを意味する。示される実施形態では、外側部材284の直径は、内側部材の直径と反対方向にテーパ状であり、そのため、近位拡張可能セグメント285は、隣接するセグメント286よりも直径が大きい。これにより、典型的な動脈血管の自然な遠位テーパに装置が良好に一致することが可能となる。別の実施形態では、外側部材の本体の直径は、概ね一定であってよい。更に別の実施形態では、外側部材の本体は反対方向にテーパ状になってもよく、最遠位セグメントの直径が最大になることによって、装置が次第に大きくなる脈管内へと近位に後退するときに、遠位塞栓に対して最適に保護を提供する。
【0112】
以上、本発明の具体的な実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことが可能である点が、上記の説明により明らかとなるであろう。例えば、本明細書に記載された実施形態は特定の特徴に言及するが、本発明は、異なる特徴の組み合わせを有する実施形態を含む。本発明は、記載されている特定の特徴全てを含んではいない実施形態をも含む。
【0113】
本発明は、本明細書においてこれまで述べてきた、構成及び詳細において変化し得る実施形態に限定されない。
【0114】
〔実施の態様〕
(1) 血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
前記内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
前記外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、前記展開構成における前記内側本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
前記外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、前記血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を前記血塊受容開口部に向かって、かつ前記外側細長本体と前記内側細長本体との間の前記受容空間内に付勢するように適合されており、
前記装置の前記径方向力プロファイルは、前記装置の前記長さに沿って変化する、装置。
(2) 前記装置の遠位端における前記径方向力は、前記装置の中央部分における前記径方向力よりも小さい、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記装置の遠位端における前記径方向力は、前記装置の中央部分及び近位部分の前記径方向力よりも小さい、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記装置は複数のセグメントを含み、1つのセグメントの前記径方向力は、少なくとも1つの他のセグメントの前記径方向力とは異なる、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記セグメント間の径方向力の差は、20%未満又は10%未満である、実施態様4に記載の装置。
【0115】
(6) 前記径方向力は、前記装置の前記長さに沿って近位から遠位に向かって増加する、実施態様4又は5に記載の装置。
(7) 前記径方向力は、前記装置の前記長さに沿って近位から遠位に向かって減少する、実施態様4又は5に記載の装置。
(8) 中間セグメントの前記径方向力は、前記遠位セグメントの前記径方向力よりも大きい、実施態様4又は5に記載の装置。
(9) 中間セグメントの前記径方向力は、前記近位セグメント及び前記遠位セグメントの前記径方向力よりも大きい、実施態様4又は5に記載の装置。
(10) 前記外側本体は複数のセグメントを含む、実施態様1に記載の装置。
【0116】
(11) セグメントは、第1の径方向力を有する閉鎖セルの近位リングを含み、これに、前記第1の径方向力よりも小さい第2の径方向力を有する少なくとも1つの浮遊セル又は小葉状部が接続されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記浮遊セル又は小葉状部は、隣接する遠位セグメントに接続されていない遠位頂点を備える、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記第2の径方向力は、前記第1の径方向力よりも20%~80%又は40%~60%小さい、実施態様11又は12に記載の装置。
(14) 前記外側本体の前記セグメントの前記血塊入口開口部は、前記装置の前記長さに沿って異なる、実施態様10~13のいずれかに記載の装置。
(15) 前記装置の近位領域内の血塊入口開口部は、前記装置の遠位領域内の血塊入口開口部よりも小さい、実施態様14に記載の装置。
【0117】
(16) 前記装置の中央部分の前記血塊入口開口部は、前記装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の前記血塊入口開口部よりも小さい、実施態様14に記載の装置。
(17) 前記装置の中央部分の前記血塊入口開口部は、前記装置のより近位及び/又はより遠位の領域内の前記血塊入口開口部よりも大きい、実施態様14に記載の装置。
(18) 前記装置の前記長さに沿って前記血塊入口開口部のサイズの勾配が存在する、実施態様14に記載の装置。
(19) 前記勾配は近位から遠位に向かって増加する、実施態様18に記載の装置。
(20) 前記勾配は近位から遠位に向かって減少する、実施態様18に記載の装置。
【0118】
(21) 前記内側細長本体はテーパ状である、実施態様18に記載の装置。
(22) 前記内側細長本体の前記テーパは、前記外側本体の前記血塊入口開口部の前記勾配と反対である、実施態様21に記載の装置。
(23) 前記外側細長部材は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置している、実施態様1~22のいずれかに記載の装置。
(24) 前記血塊受容開口部の前記面積は、0.5mm~4.0mmである、実施態様1~23のいずれかに記載の装置。
(25) 前記血塊受容開口部の前記面積は、1.0mm~3.0mmである、実施態様24に記載の装置。
【0119】
(26) 前記内側細長本体の前記拡張直径は、0.75mm~2.5mmである、実施態様1~25のいずれかに記載の装置。
(27) 前記内側細長本体の前記拡張直径は、0.75mm~1.75mmである、実施態様1~26のいずれかに記載の装置。
(28) 前記内側細長本体の前記直径は、前記内側細長本体の前記長さに沿って変化する、実施態様1~25のいずれかに記載の装置。
(29) 前記内側細長本体は、近位直径からより小さい遠位直径までテーパ状になっている、実施態様28に記載の装置。
(30) 前記内側細長本体は概ね円錐形の形状のものである、実施態様28又は29に記載の装置。
【0120】
(31) 血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、
折り畳まれた送達構成と拡張された展開構成とを有する内側細長本体と、
前記内側細長本体を少なくとも部分的に覆う外側細長本体と、を備え、
前記外側細長本体は、血塊受容空間を画定するように、前記展開構成における前記内側本体の径方向範囲よりも大きい径方向範囲まで拡張可能であり、
前記外側細長本体は、複数の血塊受容開口部と複数の血塊係合領域とを備え、前記血塊係合領域は、血塊と係合すると、血塊を前記血塊受容開口部に向かって、かつ前記外側細長本体と前記内側細長本体との間の前記受容空間内に付勢するように適合されており、
前記外側細長部材は、ストラット及びクラウンによって形成されたフレームワークを含み、近位放射線不透過性マーカーは、近位クラウンに近位に隣接するストラットの遠位端に位置している、装置。
(32) 前記外側拡張可能部材は、管内にスロットを切断することによって形成されている、実施態様1~31のいずれかに記載の装置。
(33) 前記外側拡張可能部材は、形状記憶材料のレーザー切断されたスロット付き管である、実施態様1~32のいずれかに記載の装置。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5
図6
図7