(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】注射デバイスのための補助デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/48 20060101AFI20220328BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61M5/48
A61M5/31
(21)【出願番号】P 2019522913
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2017077768
(87)【国際公開番号】W WO2018083061
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴィット
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト・ギュンター
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515453(JP,A)
【文献】特表2015-506771(JP,A)
【文献】特表2014-516599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動で操作可能な注射デバイス(1)のための補助デバイス(10)であって:
注射デバイス(1)の細長いハウジング(2)に取付け可能な本体(11)と、
該本体(11)に連結され、ハウジング(2)に連結可能な少なくとも1つのコネクタ(12、14)であって、本体(11)は、少なくとも1つのコネクタ(12、14)を介してハウジング(2)に取付け可能である、少なくとも1つのコネクタと、
本体(11)と少なくとも1つのコネクタ(12、14)とのうちの少なくとも一方に結合され、少なくとも1つのコネクタ(12、14)と本体(11)との間に作用しているハウジング(2)の延長に対して平行な方向の長手方向分力(F)を測定するように構成されたセンサ装置(20)と
を含む前記補助デバイス。
【請求項2】
本体(11)は、使用者の手のひらによって把持されるように構成された外表面(16)を有する握り(15)を形成している、請求項1に記載の補助デバイス。
【請求項3】
本体(11)は、注射デバイス(1)のハウジング(2)の外径(do)よりも大きな内径(di)を有する中空スリーブ(18)を含む、請求項1または2に記載の補助デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つのコネクタ(12、14)は、中空スリーブ(18)の側壁(19)の内面(17)に取り付けられている、請求項3に記載の補助デバイス。
【請求項5】
本体(11)は、細長いハウジング(2)の少なくとも一部分を取り囲むように形作られている、請求項1~4のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項6】
センサ装置(20)は、少なくとも1つのコネクタ(12、14)と本体(11)とのうちの少なくとも一方に組み込まれている、請求項1~5のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項7】
センサ装置(20)は、歪みゲージ(21)、力センサ(22)、圧力センサ(23)および圧縮ばねを備えたスイッチ(24)のうちの少なくとも1つまたはそれ以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項8】
センサ装置(20)は、さらにマイクロホン(25)を含む、請求項7に記載の補助デバイス。
【請求項9】
センサ装置(20)に電気的に接続された処理装置(30)であって、センサ装置(20)から取得可能な信号(40)を処理および/または記録するように構成された処理装置をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項10】
センサ装置(20)は、長手方向分力(F)を定量的に測定するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項11】
処理装置(30)は、長手方向分力(F)の大きさが所定のしきい値(T)よりも大きいときに、センサ装置(20)からの信号(40)の処理または記録を開始するように構成されている、請求項7、8、9または10に記載の補助デバイス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の補助デバイス(10)と手動で操作可能な注射デバイス(1)とを含むキット(100)であって、注射デバイス(1)は:
遠位端(3)および近位端(4)を有する細長いハウジング(2)と、
近位端(4)に位置する用量ボタン(5)であって、薬剤の用量の投薬を開始するために遠位端(3)の方へ押し下げ可能な用量ボタン(5)と
を含む前記キット。
【請求項13】
注射デバイス(1)は、薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成されており、カートリッジは、該カートリッジ(6)の筒(8)の内側で変位可能なピストン(7)によって近位端(4)に向かって封止されており、注射デバイス(1)はさらに:
ピストン(7)を遠位端(3)の方へ変位させるためにピストン(7)と動作可能に係合するピストンロッド(61)を含む駆動機構(60)と、
ピストンロッド(61)を遠位端(3)の方へ変位させている間、反復性のクリック音を発生させるように構成されたクリック音発生器(64)と
を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
補助デバイス(10)は、細長いハウジング(2)の近位部分(74)の近位端(4)から所定の距離のところに取付け可能であるか、または取り付けられている、請求項12または13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤を射出または注射するように構成された医療用デバイスを補助する装置に関する。詳細には、本開示は、手動で操作可能な注射デバイスのための補助デバイスに関し、さらに、補助デバイスと注射デバイスとを含むキットに関する。本開示はさらに、手動で操作可能な薬物送達デバイスまたは注射デバイスの動作を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤を注射することによって定期的に治療する必要があるさまざまな病気が存在する。このような注射は、注射デバイスを使用することによって実行することができ、注射デバイスは、医療従事者によってまたは患者自身によって適用される。一例として、I型およびII型糖尿病は、たとえば日に1回または数回、患者自身がインスリン用量を注射することによって治療することができる。たとえば、使い捨ての充填済みインスリンペンを注射デバイスとして使用することができる。あるいは、再使用可能なペンを使用することもできる。再使用可能なペンでは、空の薬剤カートリッジを新しいカートリッジと交換することができる。いずれのペンにも、使用するたびに交換される使い捨ての一組の針が付属していることがある。注射するインスリン用量はたとえば、用量ダイヤルを回し、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を観察することによって、インスリンペンにおいて手動で選択することができる。この用量は次いで、適当な皮膚部分に針を挿入し、インスリンペンの注射ボタンまたは用量ボタンを押すことによって注射される。
【0003】
たとえばインスリンペンの誤った取扱いを防ぐため、または既に適用された用量を追跡するために、インスリン注射を監視することができるようにするため、たとえば注射されたインスリンのタイプおよび用量に関する情報のような、注射デバイスの状態および/または使用に関する情報を測定することが望ましい。この点に関して、特許文献1は、値センサを含む医療用デバイスを開示している。この文献では、無線周波数識別(RFID)ユニットが、圧力センサのような値センサを含み、RFIDユニットは、圧力または他の薬剤関連パラメータ値の無線監視を可能にするために、液体薬剤容器に組み込まれている。この液体薬剤容器は、医療用デバイスの第1のハウジング部分に結合されており、第1のハウジング部分は、たとえば使い捨ての充填済み注射デバイスを構成していることがある。RFIDユニットは、第1のハウジング部分に解放可能に取り付けられた医療用デバイスの第2のハウジング部分に含まれる制御回路と無線通信する。この制御回路は、RFIDユニットによって測定された値を処理し、それを所定の値と比較し、測定値が正常動作条件から外れている場合に使用者に警告を発し、さらなるデータ処理のため測定値に関するデータを外部デバイスに伝達するように適用される。
【0004】
特許文献1に記載された医療用送達デバイスは、制御回路およびセンサシステムを含み、センサシステムは力センサを含み、それによって、流体薬物内の圧力またはアクチュエータを介して薬物に作用している力を監視することができる。流体薬物内の圧力を監視するためには、この医療用送達デバイスに大幅な変更を加える必要がある。このような変更は、開発に関して相当に費用集約的であり、特にいわゆる使い捨てデバイスとして構成および設計された注射デバイスに関しては魅力的でもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、手動で操作可能な注射デバイスのための補助デバイスであって、注射デバイスの動作を監視する相当に単純で、費用効率に優れ、直観的な手法を提供する補助デバイスを提供することが望ましい。この補助デバイスは、注射デバイスの構造または動作を変更する必要なしに、注射デバイスの動作および取扱いの監視を提供し、そのような監視を可能にすべきである。この補助デバイスは、市販されているさまざまな注射デバイスと組み合わせることができるべきである。さらなる目的は、手動で操作可能な注射デバイスの動作を監視する新規の改良された相当に丈夫でフェイルセイフな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、手動で操作可能な注射デバイスのための補助デバイスが提供される。この補助デバイスは、注射デバイスの細長いハウジングに取付け可能な本体を含む。補助デバイスはさらに、本体に連結され、ハウジングに連結可能な少なくとも1つのコネクタを含む。補助デバイスの本体は、少なくとも1つのコネクタを介して注射デバイスのハウジングに取付け可能である。本体は、少なくとも1つのコネクタを介して、ハウジングの外側を向いた部分に取付け可能である。補助デバイスはさらに、本体と少なくとも1つのセンサとのうちの少なくとも一方に結合されたセンサ装置を含む。
【0008】
センサ装置は、少なくとも1つのコネクタと本体との間に作用している、ハウジングの延長および/または本体の延長に対して平行な方向の長手方向分力を測定するように構成されている。注射デバイスのハウジングに連結され、取り付けられるとき、補助デバイスの少なくとも1つのコネクタは、ハウジングに固定されるように取り付けられる。センサ装置によって、コネクタと本体との間に作用している長手方向の任意の力を検出および測定することが可能である。少なくとも1つのコネクタが、ハウジングに固定されるように取り付けられたとき、センサ装置によって、本体とハウジングとの間に作用している長手方向の任意の力の効果を測定することが可能である。
【0009】
注射デバイスのハウジングに取り付けられるときには、補助デバイスの全体、すなわち本体、少なくとも1つのコネクタおよびセンサ装置が、注射デバイスのハウジングの外側に配置される。このようにして、注射デバイスを一切変更する必要なしに、補助デバイスが、手動で操作可能な注射デバイスと係合するように構成される。センサ装置は、少なくとも1つのコネクタと本体との間に作用している長手方向分力を測定するように構成されており、少なくとも1つのコネクタは、注射デバイスの細長いハウジングのみに連結可能であるため、補助デバイスは特に、用量ボタン、たとえば注射デバイスの近位端に位置する用量ボタンに加えられた投薬力によって誘起された反力を測定するように構成される。
【0010】
センサ装置によって測定可能な長手方向分力は通常、たとえば手動操作による注射手順中に注射デバイスを保持している使用者の手によって提供されなければならない反力を示し、またはそのような反力と同一である。この長手方向分力、したがって反力の測定は、補助デバイスの監視機能を実施するのに注射デバイスを加工または変更する必要がない点で、有益である。
【0011】
一実施形態において、補助デバイスの本体は、使用者の手のひらによって把持されるように構成された外表面を有する握りを形成している。握りを形成することにより、注射デバイスのハウジングに連結された補助デバイスは、それによって注射デバイスが使用者の手の中で支持および把持される把持手段を提供する。注射デバイスは通常、その近位端に用量ボタンを含む。用量ボタンは、使用者の手指によって、たとえば補助デバイスの本体を握っているまたは保持している使用者の手の親指によって押し下げられる。
【0012】
言い換えると、補助デバイスの本体は、少なくとも液体薬剤を注射している間、補助デバイスを把持、支持および保持するための握りを提供するように、注射デバイスのハウジングの外周に連結および取付け可能である。
【0013】
さらなる実施形態において、補助デバイスの本体は、注射デバイスのハウジングの外径よりも大きな内径を有する中空スリーブを含む。中空スリーブの内径は、中空スリーブによって取り囲まれるように構成された、注射デバイスのハウジングの少なくとも一部分の外径よりも大きい。中空スリーブの内径はハウジングの外径よりも大きいため、注射デバイスのハウジングは、中空スリーブに挿入可能である。このことは、補助デバイスの本体と注射デバイスのハウジングとの相当に直観的で、容易かつ迅速な相互組立てを可能にする。言い換えると、注射デバイスのハウジングの外周の上に補助デバイスの本体を単純に滑らせることができる。
【0014】
本体は通常、注射デバイスのハウジングに解放可能に連結可能であり、解放可能に固定可能である。このことは、注射デバイスに提供された薬剤を使いきったとき、または提供された薬剤を使用すべきでないときに注射デバイス全体を廃棄することが意図された使い捨ての注射デバイスとして注射デバイスが構成されているときに特に有益である。注射デバイスを廃棄する前に、補助デバイスと注射デバイスとの連結を解除することができる。ここで、少なくとも1つのコネクタは、本体とハウジングを互いに分離するために、注射デバイスのハウジングの外周から取外し可能である。注射デバイスが廃棄されたときには、次に使用する新しい注射デバイスまたは別の注射デバイスを、本体に、したがって少なくとも1つのコネクタに取り付け、連結することが可能である。このようにして、さまざまな複数の、たとえば使い捨ての手動で操作可能な注射デバイスとともに、この補助デバイスを使用することができる。注射デバイスとのその解放可能な係合のため、補助デバイスは本来的に、複数の注射デバイスによって実施された投薬および注射履歴を監視および/または捕捉するように構成される。
【0015】
さらなる実施形態において、少なくとも1つのコネクタは、中空スリーブの側壁の内面に取り付けられている。中空スリーブは円筒形または管形とすることができる。中空スリーブの側壁の内面にコネクタを取り付けることは、中空スリーブの側壁の内面と注射デバイスのハウジングの外側を向いた部分との間に少なくとも1つのコネクタが挟み込まれた、注射デバイスとの組立て構成を可能にする。中空スリーブおよびハウジングが実質的に円筒形または管形である場合、少なくとも1つのコネクタは、中空スリーブの側壁と注射デバイスのハウジングの外周との間で半径方向に押圧される。
【0016】
少なくとも1つのコネクタとハウジングとの相互取付け、連結および固定は、ポジティブ係合または非ポジティブ係合を含むことができる。ハウジングおよび少なくとも1つのコネクタは、スナップ機能、半径方向の突起および対応する半径方向の凹部のような、相互に対応するポジティブ係合締結部材を含むことができる。あるいは、少なくとも1つのコネクタとハウジングは、摩擦によって互いに対して固定可能であってもよい。少なくとも1つのコネクタとハウジングとを圧力ばめまたは押しばめすることができる。ハウジング、少なくとも1つのコネクタおよび本体のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのコネクタとハウジングとの間の相互押しばめ、摩擦ばめまたは圧力ばめを可能にする、多少なりとも弾性変形可能な構造を含むことができる。
【0017】
ハウジングおよび/または本体は通常、射出成形可能な熱可塑性材料などの熱可塑性材料で作られている。さらに、少なくとも1つのコネクタは、本体とハウジングとの相互締付けを可能にする熱可塑性材料を含むことができ、またはそのような熱可塑性材料からなることができる。その代わりにまたはそれに加えて、少なくとも1つのコネクタは、それによってハウジングと本体との相当に容易で、耐久性および信頼性が高い締付け、押しばめまたは圧力ばめを達成することができる、天然ゴムまたは合成ゴムのようなエラストマー材料を含むことができる。
【0018】
少なくとも1つのコネクタはたとえば、中空スリーブの側壁の内周に沿って環状またはリング状の形状を有することができる。これに対応して形作られた管形または円筒形のハウジングを用いると、ハウジングの外周に沿ってまたは本体もしくはコネクタの内周に沿って相当に均質な締付け力を得ることができる。このような構成は、信頼性および耐久性が高く機械的に安定した本体とハウジングとの相互連結のために有益である。
【0019】
別の実施形態によれば、本体は、細長いハウジングの少なくとも一部分を取り囲むように形作られている。細長いハウジングの少なくとも一部分、通常は注射デバイスの管形の細長いハウジングの近位部分を取り囲むことによって、本体とハウジングとの相当に単純で直観的な相互締結を提供することができる。本体と細長いハウジングがともに円筒形であると仮定すると、細長いハウジングに対して任意の角度位置に本体を配置することも考えられる。本体またはその中空スリーブの管の形状および細長いハウジングの対応する管の形状は、回転しても変化しない、ハウジングに対する本体の取付けを可能にする。言い換えると、本体の長手方向軸を回転軸とするハウジングに対する本体の所与の任意の角度配向で、本体とハウジングを、互いに相互に取り付けること、および互いに相互に固定することができる。ハウジングに取り付けられているとき、本体の長手方向の中心軸は通常、注射デバイスのハウジングの中心に位置する長手方向軸と一致しているか、または、少なくとも、注射デバイスのハウジングの中心に位置する長手方向軸に対して平行に延びている。
【0020】
一実施形態において、センサ装置は、少なくとも1つのコネクタと本体とのうちの少なくとも一方に組み込まれている。センサ装置は、本体と少なくとも1つのコネクタとのうちの一方だけに組み込むことができる。センサ装置を本体だけに組み込むことができる。次いで、センサ装置は、少なくとも1つのコネクタに結合および/または連結される。他の実施形態では、センサ装置が、少なくとも1つのコネクタだけに組み込まれている。いくつかのコネクタが提供される場合には、センサ装置を、さまざまなコネクタの間で分配することができ、複数のコネクタにわたって分配することができる。次いで、センサ装置は、複数のコネクタのうちの1つまたはいくつかのコネクタにそれぞれが組み込まれた複数のセンサ部材を含む。単一のコネクタだけが提供される場合には、その特定のコネクタにセンサ装置全体を組み込むことができる。少なくとも1つのコネクタに組み込まれているとき、センサ装置はさらに、コネクタと本体の間の長手方向分力測定を提供するため、本体に結合または連結される。
【0021】
少なくとも1つのコネクタと本体の両方にセンサ装置を組み込むことも考えられる。少なくとも1つのコネクタと本体をセンサ装置を介して連結することも考えられる。このようにして、本体と注射デバイスのハウジングとの間で伝達される力は、本体からセンサ装置に伝達され、さらにセンサ装置からコネクタに伝達され、さらにハウジングに伝達される。本体と少なくとも1つのコネクタとのうちの少なくとも一方にセンサ装置を組み込むことによって、補助デバイスがハウジングに取り付けられているとき、センサ装置は本来的に、本体とハウジングの間の力束の中に配置される。
【0022】
本体と少なくとも1つのコネクタとのうちの少なくとも一方にセンサ装置を組み込むことは、補助デバイスの耐久性、機械的安定性および丈夫さに関しても有益である。本体と少なくとも1つのコネクタとのうちの少なくとも一方にセンサ装置を組み込むことによって、センサ装置は本来的に環境影響から保護される。センサ装置を、本体の内部および/または少なくとも1つのコネクタの内部に封入することができる。このようにして、センサ装置は、センサ装置の完全性、機能性または長期安定性を害する可能性がある湿気、ダスト、危険な電磁放射および/または他の環境影響から本来的に保護される。
【0023】
一実施形態において、少なくとも1つのコネクタは、第1の端部および第2の端部を有するレバーを含む。第2の端部は第1の端部の反対側に位置する。第1の端部はさらに、細長いハウジングに連結可能であり、第2の端部は、センサ装置に機械的に連結されている。レバーはL字形の構造を含むことができる。注射手順中に生じる一切の長手方向分力をレバーの第1の端部で吸収することまたは受け取ることができる。これによって、レバーの旋回運動または変形を誘起することができ、その結果、レバーの第2の端部が、それぞれの分力をセンサ装置に伝達することができる。レバーは、本体を貫いて延びることができる。レバーは、本体の側壁を横切ることもできる。具体的には、レバーの第1の端部は本体の内側に位置することができ、レバーの第2の端部は、本体の側壁を貫いて延びることができ、または本体の側壁から突き出すこともできる。このようにして、レバーは、本体の外周または外側セクションにセンサ装置を配置することを可能にする。このことが、センサ装置から取得可能な電気信号のデータ伝送またはデータ処理に有益となることがある。
【0024】
レバーの第1および第2の端部は、それぞれの脚の端部セクションを形成することができる。したがって、レバーは、第1の端部を含む第1の脚および第2の端部を含む第2の脚を含むことができる。これらの脚は、互いに対して所定の角度で、たとえば約90°の角度で延びることができる。第1の脚と第2の脚は異なる延長を有することができる。このようにして、測定可能な長手方向力の効果の減衰または増幅につながるテコの効果を提供することができる。
【0025】
一実施形態において、センサ装置は、歪みゲージ、力センサ、圧力センサ、スイッチおよびマイクロホンのうちの少なくとも1つまたはそれ以上を含む。センサ装置は通常、長手方向分力の存在を示す電気信号を提供するように電気的に実施される。センサ装置の特定の実施態様によれば、少なくとも1つのコネクタと本体は互いに堅く取り付けられ、または、少なくとも、長手方向分力を測定するための少なくとも1つのコネクタと本体の相互変位が可能になるように、少なくとも1つのコネクタは本体に変位可能に取り付けられる。
【0026】
歪みゲージ、力センサおよび/または圧力センサは、長手方向分力を測定する信頼性が高く、費用効率に優れ、空間が節約される手法を提供する圧電層または圧電部材を含むことができる。センサ装置がスイッチとして実施されているとき、センサ装置は通常、圧縮ばねを備える。補助デバイスが注射デバイスのハウジングに取り付けられているとき、この圧縮ばねは、注射デバイスのハウジングに長手方向の力が加えられたときの、少なくとも1つのコネクタに対する本体の相互変位の間、圧縮可能である。ハウジングに加えられた長手方向分力のレベルが所定のしきい値を超えたときに、スイッチは、電気的接触を提供することができ、または以前に提供された電気的接触を中断することができる。この場合、この電気的接触の確立または電気的接触の中断は、所定のレベルの長手方向分力に到達したことの測定可能な標示である。
【0027】
一実施形態において、補助デバイスは、センサ装置に電気的に接続された処理装置またはコントローラをさらに含む。この処理装置は、センサ装置から取得可能な信号を処理および/もしくは記録し、または捕捉するように構成されている。また補助デバイスが取り付けられた注射デバイスの使用中にセンサ装置から取得された電気信号を直接に処理するように、処理装置を構成することができる。あるいは、処理装置は単純に、注射デバイスの使用中にセンサ装置から取得された電気信号を捕捉および記録することができる。この場合、補助デバイスはさらに、記憶装置またはメモリを備え、さらに、データを伝送できる方式で補助デバイスに接続可能な他の何らかの電子デバイスによる記憶装置からの読出しならびに信号およびデータの処理を可能にするために、インタフェースを備える。
【0028】
センサ装置からの電気信号を直接に処理するように構成されているとき、処理装置は、たとえば注射を実施した時刻、注射手順の持続時間、注射手順中に実際に注射された薬剤の用量のサイズ、および/または注射手順が終わった後もしくは注射が完了した後に注射針が生体組織内に残された保持時間を示す情報またはデータを、センサ装置の電気信号から抽出することができる。
【0029】
さらに、処理装置は、手動で操作可能な注射デバイスに人間によって加えられた投薬力の大きさを監視および捕捉することもできる。さらに、時間の経過に伴う圧力パターンまたは圧力プロファイルを監視および/または記憶することもできる。
【0030】
一実施形態において、センサ装置はさらに、長手方向分力を定量的に測定するように構成されている。したがって、センサ装置は、ハウジングに及ぼされた補助デバイスの本体に対する長手方向分力の大きさを測定するように構成されている。このようにして、センサ装置は、相当に低い長手方向分力と相当に高い長手方向分力とを区別することができる。所定のしきい値よりも大きな相当に高い長手方向分力は、投薬手順が始められたことまたは投薬手順が実際に実施されていることの標示である。センサ装置によって力プロファイルまたは圧力プロファイルを測定、捕捉および監視することにより、投薬手順の開始および終了を正確に検出することができる。これによって、注射が終了した時刻から注射が開始された時刻を単純に差し引くことにより、投薬手順の持続時間を決定することができる。
【0031】
さらに、使用者の癖または注射デバイスの使い方を特徴づけるため、使用中および薬剤の注射中の力プロファイルまたは圧力プロファイルの監視、特に長期監視を評価することができる。
【0032】
一実施形態において、センサ装置は、マイクロホンを含み、さらに、歪みゲージ、力センサ、圧力センサおよびスイッチのうちの少なくとも1つを含む。さらに、処理装置は、長手方向分力の大きさが所定のしきい値よりも大きいときに、センサ装置からの信号の処理または記録を開始するように構成されている。信号の記録または処理は、用量投薬中に、したがって注射手順中に注射デバイスが発生させた音響信号を計数することを含むことができる。多種多様なペン型注射器などの手動で操作可能なある市販の注射デバイスを用いて薬剤の用量を設定および投薬すると、それに伴って、注射デバイスのクリック音発生器(click sound generator)が、規則的なまたは反復性のクリック音を発生させる。それぞれのクリック音は、離散量の薬剤の設定および/または投薬を示す。
【0033】
用量投薬または注射手順を特徴づけ、監視するためには、補助デバイスが、用量設定動作と用量投薬動作とを区別することができなければならない。補助デバイスが注射デバイスに取り付けられているときにセンサ装置によって測定可能な長手方向分力は通常、手動操作による注射手順中または用量投薬手順中にだけ生じる。このようにして、歪みゲージ、力センサ、圧力センサおよびスイッチのうちの少なくとも1つを使用し、それを、投薬手順の開始および終了を検出するように構成することができる。その場合には、実際に投薬または注射された用量のサイズに関する情報を得るために、センサ装置のマイクロホンが、注射手順中の反復性のクリック音を検出するように構成される。
【0034】
したがって、センサ装置の長手方向分力の測定を使用して、マイクロホンを起動し、および/またはマイクロホンを停止状態にし、それによって用量投薬中の反復性のクリック音を計数することができる。
【0035】
別の態様では、上述の補助デバイスを含むキットが提供される。このキットはさらに、手動で操作可能な注射デバイスを含む。この注射デバイスは、遠位端および近位端を有する細長いハウジングと、近位端に位置する用量ボタンとを含む。この用量ボタンは、薬剤の用量の投薬を開始および/または実施するために遠位端の方へ、したがって遠位方向に押し下げ可能である。手動で操作可能な注射デバイスは、カートリッジから薬剤を吐出させるための投薬力が、使用者が遠位端の方へ用量ボタンを押し下げることにより提供されることを特徴とする。注射デバイスは通常、投薬力を提供する電気で動作する駆動機構を持たない。
【0036】
このキットは、補助デバイスが注射デバイスのハウジングに直ちに取り付けられる状態で、または、注射デバイスの使用を開始する前に最終使用者が手作業で互いに取り付け、固定しなければならない別個の部材として、補助デバイスと注射デバイスが提供される構成で、最終使用者に引き渡すことができる。
【0037】
さらなる実施形態において、注射デバイスは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成されており、カートリッジは、カートリッジの筒(barrel)の内側で変位可能なピストンによって近位端に向かって封止されている。注射デバイスはさらに、カートリッジのピストンを遠位端の方へ変位させるため、特に薬剤の用量を投薬して生体組織に薬剤を注射するためにピストンと動作可能に係合するピストンロッドを含む駆動機構を含む。
【0038】
注射過程のため、カートリッジの遠位端、したがって注射デバイスのハウジングの遠位端は通常、注射針のような取外し可能な穿孔アセンブリを備える。この注射針は通常、両端が尖っている。注射デバイスに取り付けられているとき、注射針の近位先端は、カートリッジの内部と流体接続しており、注射針の遠位先端は、それぞれの生体組織内に液体薬剤を送達するために患者または人間の皮膚を穿孔するように構成されている。
【0039】
注射デバイスはさらに、ピストンロッドを遠位端の方へ変位させている間、反復性のクリック音を発生させるように構成されたクリック音発生器を含む。さらに、クリック音発生器を、用量の設定またはダイヤル設定中にも反復性のクリック音を発生させるように構成することができる。クリック音の発生はそれぞれ、離散サイズの用量を示す。反復性のクリック音の数を計数することにより、用量のサイズを、たとえば補助デバイスの処理装置によって算出することができる。クリック音発生器が発生させた反復性のクリック音は通常、センサ装置のマイクロホンによって記録および検出される。
【0040】
マイクロホンは選択的に起動可能であり、または、恒久的に起動したマイクロホンから取得可能な信号が、センサ装置によってそれと同時に測定された長手方向分力が所定のしきい値よりも大きいときにだけ処理および分析される。このしきい値は、注射デバイスを用いた手動操作による投薬手順を開始および実施するのに通常必要な投薬力に従って選択される。所定の力しきい値は通常、投薬手順を開始および/または実施するのに必要な力のレベルよりもわずかに低い。このようにして、駆動機構の機械的相互作用による最終的な摩擦損を補償することができる。
【0041】
一実施形態において、補助デバイスは、細長いハウジングの近位部分の近位端から所定の距離のところに取付け可能であるか、または取り付けられている。用量投薬中に用量投薬のために注射デバイスに及ぼされた長手方向分力の測定は、注射デバイスの用量ボタンの内側または注射デバイスの用量ボタンにセンサ装置を配置することを必要としない。注射デバイスの操作および取扱いの監視を実施するために、ハウジングの相当に任意の部分に補助デバイスを取り付けることができる。補助デバイスは、用量ボタンから遠く離れた、用量ボタンから所定の非ゼロ距離だけ隔てられた位置に置くことができる。
【0042】
注射デバイスのハウジングの外周の任意の部分に補助デバイスが取り付けられることにより、注射デバイスのハウジングに補助デバイスを取り付ける多種多様な構成が提供される。具体的には、用量設定中および/または用量投薬中に用量の実際のサイズを表示することができる窓から隔てられた遠く離れたハウジングの部分に、補助デバイスを取り付けることができる。補助デバイス、たとえば補助デバイスの中空スリーブが注射デバイスの用量サイズ標示窓を覆う可能性がある実施形態では、本体の側壁にそれぞれの凹部を提供すること、または、透明材料の本体の少なくとも一部分を、注射デバイスの用量サイズ標示窓が使用者から常に見えるように製造することが考えられる。
【0043】
別の態様では、手動で操作可能な注射デバイスの動作を監視する方法が提供される。この方法は、上述の補助デバイスを注射デバイスの細長いハウジングに取り付ける工程と、補助デバイスの少なくとも1つのコネクタを注射デバイスのハウジングに連結する工程とを含む。次いで、注射デバイスが取り付けられた補助デバイスをつかむ。通常は、薬剤の用量を注入しようとする使用者が、手のひらで補助デバイスをつかむ。続く工程で、注射デバイスの近位端に位置する用量ボタンに力をかける。用量ボタンが遠位方向に押し下げられている間に、またはその間中、用量ボタンに力が加えられている間、補助デバイスの本体とハウジングとの間に作用しているハウジングの延長に対して平行な方向の長手方向分力を測定する。
【0044】
手動で操作可能な注射デバイスの動作の監視中に用量ボタンに加えられた力または用量ボタンに加えることができる力は、注射デバイスの投薬動作を開始させるために用量ボタンを遠位方向に押し下げ、または変位させるのに十分な投薬力である可能性がある。
【0045】
この監視方法は通常、上述の注射デバイスに連結された上述の補助デバイスによって実施され、上述の注射デバイスに連結された上述の補助デバイスによって実行可能である。この監視方法は通常、上述のキットによって実施可能である。この監視方法は、さらなる工程、たとえば、用量ボタンに投薬力をかける前に用量をダイヤル設定または設定する工程を含むことができる。加えて、マイクロホンと、歪みゲージ、力センサ、圧力センサおよびスイッチのうちの1つとをともに備えるとき、注射デバイスの動作を監視するこの方法はさらに、用量ボタンに投薬力が加えられている間に注射デバイスのクリック音発生器が発生させた反復性のクリック音を計数する工程を含むことができる。
【0046】
このようにして、上述のとおり、実際に投薬または注射された用量のサイズを補助デバイスによって正確に決定することができる。一般に、上述の補助デバイスおよびキットによって獲得可能な特徴、利益および効果は、注射デバイスの動作を監視する方法にも等しく反映され、当てはまり;その逆もまた真である。
【0047】
本開示の文脈では、遠位端または遠位方向が、注射を受ける人または動物の体の部分の方を向いた注射デバイスの端を指す。近位方向または近位端は、注射デバイスの反対側の端を指し、通常は、注射デバイスの投薬端の反対側の端を指す。
【0048】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0049】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0050】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0051】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0052】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0053】
または、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0054】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0055】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0056】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0057】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0058】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0059】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0060】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0061】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0062】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0063】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0064】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0065】
さらに、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明にさまざまな変更および改変を加えることができることは、当業者には明白である。さらに、添付の特許請求の範囲で使用された参照符号が本発明の範囲を限定すると解釈すべきではないことに留意されたい。
【0066】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】補助デバイスが取り付けられた注射デバイスであって、初期構成にあるときの注射デバイスを概略的に示す図である。
【
図2】用量が設定され、用量を投薬する注射デバイスの準備が整った構成に注射デバイスがあるときの
図1に基づくデバイスを示す図である。
【
図3】補助デバイスおよびその部材のブロック図である。
【
図4】用量設定および用量投薬中のセンサ装置の信号出力を、時間の経過に対して示した図である。
【
図5】長手方向分力を時間の経過に対して示した
図4に基づく図、ならびにマイクロホンによって記録および捕捉された音響信号を示す別の図である。
【
図6】センサ装置およびセンサ装置とともに使用される異なるセンサのさまざまな実施態様を示す図である。
【
図7】注射デバイスの動作を監視する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1および2は、カートリッジ6に入った液体薬剤9を投薬するためのペン型注射器として構成された手動で操作可能な注射デバイスを示す。注射デバイス1は細長いハウジング2を含む。ハウジング2は、さまざまなハウジング部分、たとえばカートリッジ6を支持する遠位ハウジング部分73、および駆動機構60を収容するように構成された近位ハウジング部材74を含む。カートリッジ6は通常、円筒形または管形のガラス筒8を含む。
【0069】
遠位ハウジング部材73は、その中に収容されたカートリッジ6の充填レベルを視覚的に示す視覚目盛りを有するカートリッジホルダとして示されることもある。
図1と
図2を比較すれば、遠位ハウジング部材73または近位ハウジング部材74に取外し可能に連結可能な保護キャップ72によって遠位ハウジング部材73を覆うことができることがすぐに分かる。保護キャップ72は、たとえば遠位端3に注射針が取り付けられていないときに環境影響から遠位ハウジング部材73を保護する役目を果たす。
【0070】
筒8の近位方向はピストン7によって封止されている。ピストン7は、ハウジング2の遠位端3に取外し可能に連結可能な両端が尖った注射針を介して薬剤9を吐出させるためにカートリッジ6の延長に沿って摺動可能に変位可能である。両端が尖った注射針(図示せず)は通常、細長いハウジング2の遠位端3とねじ係合するためのカップ形の針ハブ(hub)を含む。遠位端3は通常、注射針の近位部分を受け取るための中心貫通開口を含む。遠位端3に取り付けられたとき、注射針の近位端は、筒8の内部空間にアクセスするために、遠位側に位置する封止体、たとえばカートリッジ6のセプタムを貫通する。
【0071】
ハウジング2の遠位端3、したがってカートリッジ6の遠位端3の方へピストン7が前進したときに液体薬剤9の用量を投薬するために、注射針の遠位端は、生体組織に貫入し、生体組織を穿孔するように構成されている。ピストン7は、ピストンロッド61によって遠位方向に変位可能である。ピストンロッド61は
図2に示されている。ピストンロッド61は通常、遠位端に、遠位方向の圧力をピストン7に加えるように構成された、放射状に拡大された圧力片62を含む。
【0072】
手動で操作可能な注射デバイス1は、ピストンロッド61を遠位方向に変位させるための力が、デバイスの使用者のみによって完全に提供されることを特徴とすることができる。ピストンロッド61は、注射デバイス1のハウジング2の近位ハウジング部材74内に収容された駆動機構60の一部材である。ハウジング2の近位端4には用量ボタン5が提供されており、用量ボタン5は、
図2に示された近位方向に伸長した構成にあるときに、使用者自身によって遠位方向に、したがって遠位端3の方へ押し下げ可能である。このようにして、
図2に示された近位方向に伸長した構成からハウジング2の近位端4の近くに用量ボタン5が位置する初期構成まで用量ボタン5を変位させるための投薬力Dを用量ボタン5に加えることができる。
図2に示されているように、用量ボタン5は、ハウジング2に対して軸方向または長手方向に変位可能なスリーブ76の近位端に提供されている。スリーブ76は、近位ハウジング部材74の用量標示窓78に表示される一連の用量標示数字を外周上に有する用量標示スリーブとして構成することができる。
【0073】
図1および2に示された用量ボタン5は2重機能を提供する。用量ボタン5は、その外周に沿って把持機能を有する環の形状を有する。そのため、可変サイズまたは固定サイズの用量を設定するためには、用量設定手順中および用量投薬手順または用量注射手順の前に、用量のサイズを増大または低減させるために、用量ボタン5を、ハウジング2に対して時計回りまたは逆時計回りに回転させる。
【0074】
用量ボタン5とスリーブ76のうちの少なくとも一方の遠位方向への運動または回転運動を、ピストンロッド61の遠位方向への前進運動に変えるため、駆動機構60は通常、少なくとも1つまたはいくつかのクラッチおよびある種のギヤ(gear)65を含む。手動で操作可能な注射デバイスの一例の全般的な動作および機能性はたとえば、文献WO2004/078239A1、WO2004/078240A1および/またはWO2004/078241A1のうちのいずれかから知られている。このような注射デバイスは、当技術分野でよく知られており、市販もされており、ここでさらに説明する必要はない。
【0075】
手動で操作可能な注射デバイス1、特にその駆動機構60はさらに、デバイスの使用者が聞き取れるクリック雑音のような反復性のまたは規則的な可聴音を発生させるように構成されたクリック音発生器64を含む。クリック音発生器64は、少なくとも用量投薬手順または用量注射手順が現在進行中であることを使用者に聴取可能に知らせるように構成される。離散サイズの用量が実際にダイヤル設定または設定されたことを示す可聴フィードバックを使用者に提供するために、クリック音発生器64を、用量設定の間、起動中とすることもできる。
【0076】
図1および2にはさらに、注射デバイス1の細長いハウジング2に取り付けられた補助デバイス10の断面が示されている。補助デバイス10は、少なくとも1つのコネクタ12、14を有する本体11を含む。
図1および2に示されているとおり、補助デバイス10は、ハウジング2の外周、特に近位ハウジング部材74の外周に取り付けられる。この少なくとも1つのコネクタ12、14は、本体11とハウジング2との間の機械的連結を提供する。補助デバイス10はさらに、本体11と少なくとも1つのコネクタ12、14とのうちの少なくとも一方に結合されたセンサ装置20を含む。センサ装置20はさらに、少なくとも、少なくとも1つのコネクタ12、14と本体11との間に作用している、ハウジング2の延長に対して平行な方向および/または本体11もしくは補助デバイス10の延長もしくは対称軸に対して平行な方向の長手方向分力Fを測定するように構成されている。
【0077】
図1および2に示された実施形態では、本体11が、コネクタ12、14によってハウジング2の外周に取り付けられ、固定されている。コネクタ12、14は、さまざまなコネクタ部材を含むことができ、または、本体11の内周に沿って延びる単一のたとえば環形のコネクタ12もしくは14を含むことができる。少なくとも1つのコネクタ12、14がハウジング2の外周に固定され、取り付けられているときには、本体11とハウジング2との間に作用している長手方向の力を、センサ装置20および補助デバイス10によって検出、測定および監視することができる。
【0078】
補助デバイス10の本体11はさらに、使用者の手のひらによって把持されまたは握られるように構成された外表面16を有する握り15を形成している。言い換えると、補助デバイス10がハウジング2に取り付けられているとき、本体11は、注射デバイス1をつかみ、保持するための握りを形成する。用量を投薬するために、使用者は通常、近位方向に延びる用量ボタン5に遠位方向の投薬力Dを加える。投薬力Dは通常、親指によって用量ボタン5に加えられ、使用者の同じ手の残りの手指が握り15、したがって補助デバイスの本体11の外表面16をつかむ。
【0079】
センサ装置は、本体11とハウジング2の間の力束の中に位置する。センサ装置20は、投薬力Dと比較して反対方向の長手方向分力Fを検出および測定するように構成されている。言い換えると、長手方向分力Fは、ハウジング2に対して用量ボタン5を遠位方向に変位させるために使用者によって提供される反力に実質的に等しい。駆動機構60内の摩擦損を除けば、長手方向分力Fの大きさは投薬力Dの大きさに実質的に等しい。
【0080】
図1および2に示されているように、本体11は、注射デバイスのハウジング2の外径doよりも大きな内径diを有する中空スリーブ18を含むことができる。このようにして、本体11、したがって補助デバイス10の全体を、注射デバイスのハウジング2の上に滑らせることができる。少なくとも1つのコネクタ12、14は通常、本体11の中空スリーブ18の側壁19の内面17から内側へ突き出ている。このようにして、少なくとも1つのコネクタ12、14は、ハウジング2の外周との機械的連結を提供することができる。少なくとも1つのコネクタ12、14を、ハウジング2とポジティブ係合または摩擦係合するように構成することができる。いくつかの実施形態において、本体11、少なくとも1つのコネクタ12、14およびハウジング2の寸法および幾何形状は、本体11とハウジング2の間の摩擦ばめまたは押しばめを達成することができるような寸法および幾何形状である。他の実施形態は、本体11とハウジング2の解放可能なポジティブ係合を提供し、そのような係合を可能にするポジティブ係合連結部材のような、相互に対応し、相補的に係合する連結部材に基づくことができる。
【0081】
補助デバイス10、特に少なくとも1つのコネクタ12、14が取り付けられたその本体11は、ハウジング2と解放可能に係合可能である。このようにして、さまざまな注射デバイス1を、要求に応じてまたは順番に補助デバイス10に連結することができる。注射デバイス1が全体として廃棄されることが意図されている場合には、補助デバイス10を注射デバイス1から取り外し、別の新しい注射デバイスに連結および固定することができる。このようにして、補助デバイス10は、注射デバイスに依存しない、デバイス取扱いおよび注射手順の監視を提供することができる。したがって、補助デバイスは、使用者によって実施された投薬履歴を捕捉および記録するように構成される。
【0082】
センサ装置の具体的な実施および配置はさまざまである。センサ装置20を、コネクタ12、14と本体11のうちの少なくとも一方に組み込むことができる。センサ装置20を本体11に完全に組み込むこと、またはセンサ装置20を本体11に取り付けられることができる。センサ装置20は次いで、コネクタ12、14に連結または機械的に結合される。他の実施形態では、センサ装置20が、コネクタ12、14に組み込まれるかまたは連結される。センサ装置20は次いで本体11に結合される。他の実施形態では、センサ装置20が、コネクタ12、14と本体11のインタフェースセクションに組み込まれるかまたは配置される。したがって、センサ装置20は、本体11と少なくとも1つのセンサ装置12、14の両方に組み込むことができる。
【0083】
センサ装置20を介してコネクタ12、14を本体11に連結することも考えられる。これらの全ての実施形態では、半径方向内側に位置するコネクタ12、14の端部と半径方向外側に位置する本体11の握り15または外表面16との間の力束の中にセンサ装置20が位置する。
【0084】
図3には、補助デバイス10の概略ブロック図が示されている。補助デバイス10は少なくとも、本体11および少なくとも1つのコネクタ12、14を含む。
図3では、注射デバイス1に対する機械的連結を提供するように構成された少なくとも1つのコネクタ12、14が、矢印として示されている。補助デバイス10はさらに、本体11に組み込まれたセンサ装置20、または破線で示されているように、本体11の外側の本体11の近くに位置するセンサ装置20を含む。場合により、補助デバイス10はさらに、センサ装置20によって生成された信号を受け取り、処理するように構成された処理装置30を備える。場合により、補助デバイス10はさらに、通常は電池または蓄電池の形態をとる電源31を備える。電源31は、電力および電気エネルギーを処理装置30に供給する。
【0085】
さらに、場合により、センサ装置20から取得された信号に基づいて処理装置によって生成されたデータを捕捉および記憶するように構成された記憶装置32が提供される。あるいは、センサ装置20によって生成された電気信号を記憶するように記憶装置32を構成することもできる。処理装置30は通常、記憶装置32から読み出し、記憶装置32に書き込むように構成されている。さらに、場合により、処理装置30とデータ通信するインタフェース33が提供される。このインタフェースにより、記憶装置32に以前に記憶されたデータおよび/またはセンサ装置20によって提供された電気信号を、無線でまたは有線データ接続によって外部デバイスに転送することができる。インタフェース33は、少し挙げただけでもIEEE 802.11、Bluetooth、赤外線ベースの通信プロトコル、NFCまたはRFIDベースの通信プロトコルのような、一般的に利用可能な無線伝送ハードウェアおよび規格に従って実施することができる。
【0086】
用量投薬手順を実施した日時を監視するため、処理装置30は通常、内部クロックを備える。
【0087】
図6には、センサ装置20のさまざまな実施態様が示されている。センサ装置20は、歪みゲージ21、力センサ22、圧力センサ23、スイッチ24およびマイクロホン25のうちの少なくとも1つまたはいくつかを含むことができる。歪みゲージ21、力センサ22、圧力センサ23およびスイッチ24は選択肢として実施することができる。歪みゲージ21、力センサ22、圧力センサ23およびスイッチ24のうちの少なくとも1つの他に、センサ装置20はさらにマイクロホン25を含むことができる。一実施形態において、センサ装置は、少なくとも2つのセンサ、すなわち、マイクロホン25と、歪みゲージ21、力センサ22、圧力センサ23およびスイッチ24のうちの1つとを含む。
【0088】
マイクロホン25は特に、少なくとも用量投薬中に、場合によってはさらに用量の設定中にクリック音発生器64が発生させた可聴クリック音を検出するように構成されている。力センサ22および/または圧力センサ23は、機械的負荷に反応して電気信号を発生させるように構成された少なくとも1つの圧電素子、たとえば圧電層を含むことができる。歪みゲージ21は、本体11の内側もしくは本体11のところに組み込みもしくは実施することがき、かつ/またはコネクタ12、14のところに組み込みもしくは実施することができる。歪みゲージ21によって、本体11に作用している固有機械的負荷を直接に監視することができる。
【0089】
図4および5には、センサ装置20の信号40が、秒で測定された時間の経過に対して印刷されている。信号40は、測定された長手方向分力Fの大きさをニュートンで示している。
図4から明らかなとおり、2秒後には、相当に低い大きさを有する力、たとえば1ニュートン未満の大きさを有する力が検出可能である。2秒から5秒までの間の時間間隔には、注射デバイス1が用量設定手順にかけられている。用量設定手順の間、本体11とハウジング2の相互連結は、それらの間に作用している長手方向の力を受けない。約7秒後、投薬手順が始まる。
図4の線
図42に示されているとおり、測定される力は、約10ニュートンのレベルまで上昇する。約9秒で、力のレベルは、約11または12ニュートンにまで上昇する。
【0090】
7秒から10秒までの間、用量ボタン5に加えられた圧力または力のレベルは相当に一定である。このことは、遠位方向の相当に一定な投薬圧力が用量ボタン5に加えられていることを明らかに示している。
図4に示された信号40は、反力、したがってセンサ装置20によって検出可能で定量的に測定可能な長手方向分力Fを直接に示している。
【0091】
図5の線
図44には、約3ニュートンの力しきい値Tが水平線の形態で示されている。本発明の注射デバイス1を用いた場合、この力しきい値Tは、駆動機構60のクラッチが開き、投薬手順が開始される典型的なレベルである。マイクロホン25の出力を示す第2の信号46も示されている。
図5から分かるように、マイクロホン25の信号46は、さまざまな別個の鋭いピークを示し、それらのピークはそれぞれ、マイクロホン25によって記録されたクリック音を表している。信号46のそれぞれのピークは、別個の離散サイズの用量を表している。たとえば、どのピークまたはどのクリックも、1または2国際単位(IU)のインスリンの投薬ステップを示している。
【0092】
手動で操作可能な注射デバイス1によって実際に投薬された用量のサイズを測定するためには、実際に投薬された用量のサイズを算出するために信号40がしきい値Tよりも大きいときに発生した信号46だけが計数されるように、補助デバイスの処理装置30をプログラムすることができる。2秒から5秒までの間の時間間隔では、長手方向分力Fを示す信号40が相当に低く、所与のしきい値Tよりも小さい。2秒から5秒まで間の時間間隔に生じたクリック音、したがって信号46のピークは、用量のサイズの測定または決定には無関係であると考えられる。上昇した信号40と同時に出現した信号46のピーク、および7秒から10秒までの間に発生したクリック雑音であって、所与のしきい値Tよりも大きな長手方向分力と同時に出現したクリック雑音だけが計数および評価される。これらのクリック雑音の計数は、実際に投薬された用量のサイズに直結する。
【0093】
そのため、歪みゲージ21、力センサ22、圧力センサ23およびスイッチ24のうちの少なくとも1つは、マイクロホン25から取得された信号を記録または処理するための起動スイッチの働きをすることができる。
【0094】
図1および2は、注射デバイス1と注射デバイス1に実際に取り付けられた補助デバイス10とを含むキット100を示している。図示の実施形態とは異なり、キット100の補助デバイス10と注射デバイス1とが、取り外された構成で提供され、そのため、最終使用者が、注射デバイス1に補助デバイス10を取り付けなければならないことも考えられる。補助デバイス10が注射デバイス1とは別個に販売されることも考えられる。
【0095】
図7には、手動で操作可能な注射デバイス1の動作を監視する方法の流れ図が示されている。第1の工程100で、注射デバイス1のハウジング2に上述の補助デバイス10を取り付ける。続く工程102で、使用者は、補助デバイス1を、補助デバイス10に取り付けられた注射デバイス1とともにつかむ。使用者は通常、キット100を手のひらで保持する。典型的な構成では、使用者が実際に、補助デバイス10の本体11を握り15として使用する。後続の工程104で、投薬する用量が既に設定されているものとして、使用者は、注射デバイス1の近位端の用量ボタン5に遠位方向の投薬力Dをかける。
【0096】
工程106で、反力、したがって補助デバイス10の本体11と注射デバイスのハウジング2との間で測定可能な長手方向分力Fを測定する。工程108で、測定された長手方向分力が所定のしきい値Tよりも大きいかどうかを判定し、表明する。この力がしきい値Tよりも小さい場合、手順は工程106に戻る。測定された圧力が所定のしきい値Tよりも小さい限り、工程106および108のループを繰り返す。
【0097】
工程108で、圧力レベルが所与のしきい値Tよりも大きいと判定されたら、方法は、工程110に進み、マイクロホン25を起動するか、またはマイクロホン25によって恒久的に提供された信号をさらなる処理および分析にかける。通常、工程110では、注射デバイス1のクリック音発生器64が発生させた反復するまたは繰り返し生じるクリック音を記録および/または計数する。工程110の後、手順は工程106に戻る。工程110では、加えられた投薬力Dおよびその結果生じる測定された長手方向分力Fがしきい値Tよりも大きい限り、連続したクリック音を記録する。このようにして、用量ボタン5に投薬力が加えられている間に実際に投薬された用量のサイズを決定および算出することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 注射デバイス
2 ハウジング
3 遠位端
4 近位端
5 用量ボタン
6 カートリッジ
7 ピストン
8 筒
9 薬剤
10 補助デバイス
11 本体
12 コネクタ
14 コネクタ
15 握り
16 外表面
17 内面
18 スリーブ
19 側壁
20 センサ装置
21 歪みゲージ
22 力センサ
23 圧力センサ
24 スイッチ
25 マイクロホン
30 処理装置
31 電源
32 記憶装置
33 インタフェース
40 信号
42 線図
44 線図
46 信号
60 駆動機構
61 ピストンロッド
62 圧力片
64 クリック音発生器
65 ギヤ
72 保護キャップ
73 遠位ハウジング部材
74 近位ハウジング部材
76 スリーブ
78 用量標示窓