(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】子機とタイムスロットチャネルホッピングネットワークにおいて動作する親機との間の優先アソシエーション
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20220328BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20220328BHJP
H04W 48/14 20090101ALI20220328BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20220328BHJP
H04W 48/20 20090101ALI20220328BHJP
【FI】
H04W48/16 131
H04W4/38
H04W48/14
H04W84/20
H04W48/20
(21)【出願番号】P 2019531070
(86)(22)【出願日】2017-11-29
(86)【国際出願番号】 US2017063631
(87)【国際公開番号】W WO2018111549
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ビドヤ・プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】サウラブ・ジャイン
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0127733(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104039020(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0040509(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子ノード(104a)によって実行される方法(600)であって、当該子ノード(104a)はタイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワーク(100)において動作する親ノード(102b)と接続するためのアソシエーション要求を開始し、
方法(600)は、
子ノード(104a)によって、TSCHネットワーク(100)において1つ以上の利用可能な親ノード(102b、102d)をスキャンすること(610)と、
前記子ノード(104a)の通信範囲内に前記1つ以上の利用可能な親ノード(102b)が閾値数より少ないと判断したとき、前記1つ以上の利用可能な親ノード(102b、102d)のうちの第1の親ノード(102b)にアソシエーション要求を送信し、前記アソシエーション要求が優先要求を含むこと(620)と、
前記第1の親ノード(102b)から、前記アソシエーション要求を受け付けるまたは拒絶するアソシエーション応答を受信すること(630)と、
を備える、方法(600)。
【請求項2】
前記アソシエーション要求は、短期優先または長期優先のための期間要求を含む、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記親ノード(102b、102d)の取得可能な数が閾値時間期間にわたって増加したかを判断することに基づいて、前記TSCHネットワーク(100)が初期化状態にあると前記子ノード(104a)によって判断されたとき、前記アソシエーション要求は短期優先のための前記期間要求を含む、請求項2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記親ノード(102b、102d)の取得可能な数が閾値時間期間にわたって変化したかを判断することに基づいて、前記TSCHネットワーク(100)が成熟状態にあると前記子ノード(104a)によって判断されたとき、前記アソシエーション要求は長期優先のための前記期間要求を含む、請求項2に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記子ノードによって受信された前記アソシエーション応答は前記アソシエーション要求を拒絶するものであり、
前記方法は(600)、
前記1つ以上の利用可能な親ノード(102b、102d)のうちの第2の親ノードに前記アソシエーション要求を送信し、前記アソシエーション要求が前記優先要求を含むことをさらに備える、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項6】
処理装置(202)と、
非一時的コンピュータ可読媒体(204)と、を備えた子ノード(104a~104d)であって、
前記処理装置(202)は、
前記子ノード(104a~104d)によって、タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワーク(100)において1つ以上の利用可能な親ノード(102a~102d)をスキャンすることと、
前記子ノード(104a~104d)の通信範囲(110a、110b)内に前記1つ以上の利用可能な親ノード(102a~102d)が閾値数より少ないと判断したとき、前記1つ以上の利用可能な親ノード(102a~102d)のうちの第1の親ノード(102b)にアソシエーション要求を送信し、前記アソシエーション要求が優先要求を含むことと、
前記第1の親ノード(102b)から、前記アソシエーション要求を受け付けるまたは拒絶するアソシエーション応答を受信することと、
を備える動作を行うように、前記非一時的コンピュータ可読媒体(204)に実装された指令を実行するために構成されている、子ノード(104a~104d)。
【請求項7】
前記子ノード(104a~104d)は、前記TSCHネットワーク(100)の前記1つ以上の親ノード(102d)の通信範囲内に一時的にあるモバイル装置であり、前記アソシエーション要求は短期優先のための期間要求を含む、請求項6に記載の子ノード(104a~104d)。
【請求項8】
前記子ノード(104a~104d)は、前記子ノード(104a~104d)の電池残量が少ないか否かを判断し、前記子ノード(104a~104d)の電池残量が少ないと前記子ノード(104a~104d)によって判断されたとき、前記アソシエーション要求が短期優先のための期間要求を含むように構成されている、請求項6または7に記載の子ノード(104a~104d)。
【請求項9】
タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワーク(100)において動作する親ノード(102d)によって、要求する子ノード(104b)から、前記親ノード(102d)と通信するためのアソシエーション要求を受信すること(710)であって、前記アソシエーション要求が優先要求を含み、前記親ノード(102d)が接続した子ノード(104a~104d)のための限られた数のエントリのリストをそのメモリに維持し、前記親ノード(102d)が優先接続のための限られた数のエントリのうちの少なくとも1つのエントリを保留する、受信する(710)ことと、
前記アソシエーション要求が前記優先要求を含むと前記親ノード(102d)によって判断されたとき、前記接続した子ノード(104a~104d)のための前記限られた数のエントリの前記リストが最大限になったかに基づいて、短期アソシエーションまたは長期アソシエーションのためのアソシエーション要求を受け付けること(740)であって、前記要求する子ノード(104b)を識別する識別子を、優先接続のための前記限られた数のエントリのうちの前記少なくとも1つのエントリに追加することによって、前記アソシエーション要求が受け付けられる、受け付けること(740)と、
どの前記アソシエーション要求が受け付けられたまたは拒絶されたか否かを示すアソシエーション応答を前記要求する子ノード(104b)に送信する(770)ことと、
を備え
、
前記受信するアソシエーション要求は、子ノードの通信範囲内の利用可能な親ノードの数が閾値数より少ないと判断したときに子ノードから送信されるアソシエーション要求に対応する、方法(700)。
【請求項10】
前記親ノード(102d)は、ユーティリティリソースプロバイダと、1つ以上のホームエリアネットワークに配置された複数の子ノード(104a~104d)との間の通信を提供する複数のTSCHノードの1つであり、前記要求する子ノード(104b)は前記複数の子ノード(104a~104d)のうちの1つである、請求項9に記載の方法(700)。
【請求項11】
前記接続した子ノードのための前記限られた数のエントリが最大限になったと判断すること(730)と、
以前に接続した子ノード(104c)のアソシエーションを一時停止させること(760)であって、前記要求する子ノード(104b)からの前記優
先要求が短期アソシエーションまたは長期アソシエーションのために受け付けられる、一時停止させること(760)と、
をさらに備える、請求項9または10に記載の方法(700)。
【請求項12】
前記短期アソシエーションは、前記要求する子ノード(104b)と前記親ノード(102d)との間の通信活動を完成するのに必要な時間期間のためのものである、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法(700)。
【請求項13】
前記通信活動が完成したとき、前記要求する子ノード(104a~104d)とのアソシエーションを中止すること、
をさらに備える、請求項
12に記載の方法(700)。
【請求項14】
前記接続した子ノード(104a~104d)のための前記限られた数のエントリが最大限になっていないと判断すること(750)であって、前記要求する子ノード(104a~104d)からの前記アソシエーション要求が前記長期アソシエーションのために受け付けられる(740)、判断すること(750)、
をさらに備える、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法(700)。
【請求項15】
タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワーク(100)において動作し、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法を実行するように適用される、親ノード(102d)。
【請求項16】
前記子ノード(104b)とユーティリティリソースプロバイダとの間の通信を提供するためのルーティング装置を備える、請求項15に記載の親ノード(102d)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的にネットワークに関し、子機と、IEEE802.15.4またはIEEE802.15.4eのタイムスロットチャネルホッピングネットワークにおいて動作する親機との間の優先アソシエーションのための機構に特に関する。
【背景技術】
【0002】
子機とタイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて動作する親機との間の優先アソシエーションの確立のためのシステムおよび方法が提供される。公益事業会社(utility company)、ホームオートメーションプロバイダ、産業オートメーションプロバイダ、科学および環境のアプリケーションプロバイダ、および他のリソースプロバイダは、TSCHネットワーク、例えば、IEEE802.15.4およびIEEE802.15.4(e)によって定義されたTSCHネットワークにおいて動作する装置を介して端点と通信しえる。親機(例えば、電気計器、ルータ)はTSCHネットワークを介して接続されている。ここでは、親機は親ノードまたはTSCHノードとも呼ばれる。子機はリソース(例えば、電力、熱、水、他のユーティリティ、および他の種類のリソース)の使用量の監視および/または管理に利用される端点ノードである。特定の態様において、子機(ここでは「子ノード」とも呼ばれる)はモノのインターネット(Internet of Things、IoT)の機能を有する装置であってもよく、当該装置はスマート電力網(smart power grid)およびスマートホーム技術に利用されうる。子機は、TSCHネットワークの端点として利用され、電力使用量の読み取りおよび他のリソース情報についてのメッセージを親機と通信する。他の態様において、子機はモバイル装置であってもよく、当該モバイル装置はTSCHネットワークにおいて1つ以上の親機のカバーレッジエリアを通過する。
【0003】
IEEE802.15.4のネットワークにおいて動作する親機は限られた数の子機を支援することができる。最大限の数の子機が親機に加入/関連付けされる(すなわち、アソシエーションされる)と、親機はもう追加の子機を受け付けることができない。親機と、ネットワークに加入しTSCHネットワークへの優先アクセスを要求する子機との間の優先アソシエーション(関連付け)を設ける必要がある。
【発明の概要】
【0004】
タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて動作する親機と、子機との間の優先アソシエーションの確立のためのシステムおよび方法が提供される。子ノードは、TSCHネットワークを介してリソース監視サービスをリソースプロバイダに提供するために、ホームエリアネットワーク(Home Area Network)または他のロカールネットワークにおいて実行されうる。初期化および立ち上がりのとき、子ノードはTSCHネットワークにおいて利用可能な親ノードのためにスキャンする。ハードウェアおよびネットワークの特性および制限、親ノードは同時に限られた数の子ノードを支援することができる。利用可能な親ノードとは、少なくとも1つの追加の子ノードを支持する能力(capacity)を有する親ノードを指す。子ノードは、スキャンによって検出した利用可能な親ノードの数に基づいて、優先(権)を有するアソシエーション要求を送信するかを判断する。子ノードは、利用可能な親ノードが少量(すなわち、ネットワーク管理者によって設定された閾値数より少ない)であると判断した場合、優先要求をアソシエーション要求に挿入する。優先要求は、アソシエーション要求のために送信されるデータパケット内の優先ビットを有効にするによって追加されうる。子ノードは、親ノードが閾値数より多いと判断した場合、優先要求を含まない。
【0005】
優先要求は、短期優先または長期優先のための、優先に対する期間要求を含んでもよい。短期優先によって、子機は通信活動を完成するのに十分な時間期間に親ノードと関連付ける(アソシエーションする)ことが可能となる。例えば、短期優先によって、子ノードは、親ノードと関連付け、リソース使用量/利用メッセージを親ノードに送信し、送信の完成時に親ノードとのアソシエーションを中止する(disassociate)ことが可能となる。子ノードは、TSCHネットワークが初期化状態にある、または子ノードの電力が切れそうであると判断した場合、短期期間のための優先アソシエーションを要求してもよい。長期優先によって、子ノードは親ノードが活動的である限り長く親ノードと関連付けることが可能となる。子ノードは、TSCHネットワークが成熟状態(mature state)にあると判断した場合、長期の期間のための優先アソシエーションを要求してもよい。
【0006】
TSCH親ノードは、優先アソシエーション要求を有する子ノードのために1つ以上のスロットを保留することによって、優先アソシエーション要求を受け入れるように構成されている。TSCH親ノードは、そのハードウェアおよびネットワーク能力に基づいて限られた数の子ノードの記録をそのメモリに維持する。TSCH親ノードは優先アソシエーション要求を要求する子ノードのために1つ以上のエントリを保留する。他の実施例において、TSCH親ノードは、自身と関連付けた子ノードの1つとのアソシエーションを切り、他の子ノードからの優先アソシエーション要求を受け入れることを選択してもよい。例えば、他の子ノードの最低限の無線通信(least communicative radio)および信号強度に基づいて、アソシエーションを中止することを決定してもよい。TSCH親ノードは、接続した子ノードの統計および情報(例えば、子ノードが優先アソシエーションを介して接続したか否か)を維持してもよく、以前に優先アソシエーションを要求していなかった子ノードとのアソシエーションを中止することを選択してもよい。
【0007】
これらの例示的な実施態様および特徴は、発明を制限または定義しないように言及されるが、本願に説明された発明概念を理解することに役立つように例示を提供する。一方、本発明の利点および特徴は本願全体を検討すると明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて動作する親ノードと子ノードとの間の優先アソシエーションのための例示の計算装置を示すネットワーク図
【
図4】タイムスロットチャネルホッピングパターンにおけるタイムスロットの配置を示す図
【
図5】優先アソシエーションを確立するために子ノードとTSCHノードとの間において送信される一連のメッセージを表す通信タイミング図
【
図6】TSCH親ノードと優先アソシエーションを確立するために子ノードにおいて実行される例示のプロセスを表すフローチャート
【
図7】子ノードと優先アソシエーションを確立するためにTSCH親ノードにおいて実行される例示のプロセスを表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
これら並びに他の本開示の特徴、実施態様および利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってよく理解される。
【0010】
子機と、タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて動作する親機との間の優先アソシエーションの確立のためのシステムおよび方法が提供される。TSCHネットワークは、例えば、メッシュネットワークにおける複数のTSCH装置を含み、当該メッシュネットワークはリソースプロバイダシステムなどの中央システムとの通信を提供する。TSCH装置は、IEEE802.15.4によって定義されたTSCHプロトコルを利用して通信する。TSCHプロトコルを利用する通信によって、TSCHネットワーク内のノードは、スケジューリングされた周波数チャネルホッピングパターンに基づく一連のタイムスロットを用いて信号を送信および受信する。親ノードは1つ以上の子ノードを管理および支援するTSCH装置である。例えば、子ノードは、ホームエリアネットワークに配置され、かつ、ホームエリアネットワーク内のリソースの消費および使用量を管理および/または監視するために利用される端点装置であってもよい。よって、子ノードはTSCHネットワークを介してリソースプロバイダにリソースの使用量を報告することができる。他の実施態様において、子ノードは、TSCHネットワークの1つ以上の親ノードの通信範囲内のモバイル装置であってもよく、短期通信のためにTSCHネットワークと一時的に接続する必要がある装置であってもよい。
【0011】
特定の実施例において、子ノードはTSCHネットワークにおける親ノードとの優先アクセスを要求してもよい。例えば、特定の実施例において、子ノードは、自身によるネットワークスキャンのときに見つけた利用可能な親ノードの数に基づいて、自身が優先アクセスを必要とすると判断してもよい。なぜなら、限られた数の利用可能な親ノードは、TSCHネットワークが能力限界に近いこと、および子ノードがTSCHネットワークとの通信の確立を確保するように優先アクセスを要求しうることを、示しうるからである。他の実施態様において、子ノードは短期の優先アクセスを要求するモバイル装置であってもよい。追加の実施態様において、子ノードは低エネルギ装置(例えば、スーパーキャパシタ電源などの、限られたエネルギ容量を有する電池電源または他のエネルギ源によって給電される装置)であってもよい。低エネルギ装置である子ノードは、その電池寿命が短くなった場合に優先アクセスを要求してもよい。
【0012】
ここで説明する特定の特徴に基づいて、子ノードは、子ノードの通信範囲内の親ノードへのアソシエーション要求に優先要求を含ませることによって、当該親ノードとの優先アクセスを要求してもよい。優先要求は、子ノードと親ノードとの間のIEEE802.15.4およびIEEE802.15.4eの通信において、カスタムの情報要素(information element、IE)として実行される。例えば、子ノードは、アソシエーション要求のためにアプリケーション層のデータパケットに有効な優先ビットを含んでもよい。優先アソシエーション要求を受信したとき、親ノードは有効な優先ビットを識別してアソシエーション要求を受け付けるまたは拒絶する。親ノードは、すでに最大限の数の子ノードを支援している場合、以前に接続した子ノードを一時停止させ、要求する子ノードの、短期期間のための優先アソシエーション要求を一時的に受け付けてもよい。親ノードは、アソシエーション要求を受け付けるかまたは拒絶するかに問わず、子ノードにアソシエーション応答を送信することによってアソシエーション要求に応答する。
【0013】
アソシエーション要求を受け付ける可能性を増加するために、親ノードは優先アソシエーションを受け入れるように構成されている。特に、親ノードは、優先アクセスを要求する子ノードのためにその最大限のスロット能力のうちの1つ以上のスロットを保留することによって、優先アソシエーションを受け入れる。例えば、親ノードは、接続した子ノードのための限られた数のエントリ(最大限のスロット能力に基づくもの)のリストをメモリに維持する。限られた数のエントリの1つ以上は優先接続のために保留される。例えば、親ノードは、最大限に50つの子ノードを支援する能力がある場合、優先アクセスを要求する子ノードのために、エントリのリストのうちの5つのエントリを保留してもよい。優先アクセスを要求する子ノードのために保留されるスロットの数は設定可能であり、初期のネットワーク確立のときに親ノードにプログラミングされうる。
【0014】
特定の実施形態において、アソシエーション要求に含まれて子ノードに送信される優先要求は優先の期間要求を含んでもよい。例えば、当該期間は短期期間の優先または長期期間の優先のためのものであってもよい。特定の実施態様において、子ノードは、ネットワークスキャンによって識別した親ノードの数が時間期間にわたって変化したかに基づいて、短期優先または長期優先のための期間要求を含んでいるかを判断する。例えば、子ノードの通信範囲内にあるとして識別された利用可能な親ノードの数が、1つのネットワークスキャンから次のネットワークスキャンへの間に増加する場合、それは、TSCHネットワークがまだ初期化状態にあり、ネットワークが成熟すると利用可能な親ノードが追加されうることを表しうる。子ノードは、ネットワークがまだ初期化中であると判断した場合、短期優先の期間要求を有する優先アクセスを要求する。子ノードの通信範囲内にあるとして識別された利用可能な親ノードの数が、時間期間にわたって複数のネットワークスキャン後同じく維持する場合、これは当該ネットワークが成熟したことを表しうる。子ノードは、TSCHネットワークが成熟した、かつ、子ノードの通信範囲内に識別した親ノードの数が親ノードの閾値数より少ないままであると判断した場合、長期優先の期間要求を有する優先アクセスを要求する。
【0015】
これら示された例示は、ここで説明する一般的な保護対象を読者に紹介するためのものであり、開示された概念の範囲を制限する意図がない。以下の段落は、図面を参照しながら様々な追加的な実施態様および例示を説明し、図面において同様な番号は同様な要素を指す。
【0016】
図面を参照すると、
図1は、TSCHノード102a~102dを備える例示のTSCHネットワーク100を示すネットワーク図であり、当該TSCHノード102a~102dはリソースプロバイダ110と通信連結している。TSCHネットワーク100はネットワーク115を介して子ノード104a~104dとリソースプロバイダ110との間の通信を提供する。例えば、ネットワーク115は、プライベートイントラネットまたはインターネットを含んだ任意の適したネットワークまたは仲介計算装置を含んでもよい。TSCHノード102a~102dのそれぞれは、1つ以上の子ノード104a~104dの親ノードであってもよい。例えば、TSCHノード102b~102dは子ノード104a~104dに対する親ノードの例示として示されている。親TSCH装置102c、102dは、1つ以上の無線送受信器を介して、隣接するTSCH装置(例えば、TSCH装置102dと隣接するTSCH装置102b、102c、および、TSCH装置102cと隣接するTSCH装置102b、102d)と、接続した子ノード104a~104cとも通信可能である。
【0017】
子ノード104a~104dは1つ以上のアプリケーションを実行するように利用されてもよく、当該1つ以上のアプリケーションは、リソースプロバイダ110に関連する配電システムの1つ以上の属性についての情報を管理、監視、または利用に関する。このような子ノード104a~104dの非限定的な例示は、電力使用量の監視および分析のためのインテリジェント計量装置、電力使用量の管理のためのプログラム可能なサーモスタット、電力使用量に関する情報と電力使用量に対する関連課金情報とを表示するための家庭内表示装置などを含む。子ノード104a~104dはホームエリアネットワーク内のインテリジェント計量装置として配置されうる。子ノード104a~104dは、ホームエリアネットワークにおいてスマートホーム能力を提供するために、モノのインターネットの機能を有する他の装置も含む。特定の実施態様において、子ノード104a~104dは、TSCHネットワーク100における1つ以上のTSCH装置102a~102dの無線範囲を通過するモバイル装置も含む。
【0018】
子ノード104a~104dは、A/C電源によって給電されてもよく、特定の実施態様において、限られた電源によって給電されてもよい。例えば、子ノード104a~104dは電池によって給電され、またはスーパーキャパシタによって給電される。子ノード104a~104dは、限られた電源によって給電される装置として実行されるとき、低エネルギ装置と呼ばれ、周期的に部品(例えば、発信器または送受信器)の給電を切ること、およびスリープ状態とウェイク状態との間で循環することによって、電池寿命を節約する。子ノード104a~104dは、互いに通信し、かつ、TSCHノード102c、102dを介してTSCHネットワーク100と通信するために、任意の適した無線ネットワークにおいても動作してもよい。他の実施例において、子ノードはTSCHネットワークを加入するようにアクセスを要求するTSCHノード(例えば、TSCHプロトコルにしたがって動作する装置)であってもよい。他の特定の実施態様において、親ノードおよび子ノードは、非TSCHネットワーク、例えば、IEEE802.15.4基準のキャリア検知多重アクセス(Carrier Sense Multiple Access、CSMA)ネットワークにおいて動作してもよい。
【0019】
子ノード104a~104dは、初期化するときまたはスリープ状態から目を覚ますとき、無線通信範囲内に利用可能なTSCHノード102a~102dをスキャンすることによって、TSCHネットワーク100に関連する同期化プロセスを開始する。
図1に示された例示において、子ノード104aはTSCHノード102bとTSCHノード102dともの無線通信範囲110a内にありながら、子ノード104bおよび子ノード104cはTSCHノード102dの無線通信範囲110b内のみにある。特定の実施例において、子ノード104a~104dは、TSCHネットワーク100とのアソシエーションプロセスにわたって優先アソシエーション要求を送信するかを判断する。TSCHノード102a~102dの最大限に利用可能な帯域幅、メモリの大きさ、およびハードウェア能力に基づいて、TSCHノード102a~102dは限られた数の子ノードを同時に支援することができる。よって、利用可能なTSCHノード102の数は、時間とともにTSCHネットワーク100の成熟、およびTSCHノード102と関連する子ノード104の数の増加につれて減少する。TSCHネットワーク100とのアソシエーションを要求する子ノード104、限られた数の利用可能なTSCHノード102(例えば、閾値数より少ない利用可能なTSCHノード102)が子ノード104によって検出された場合、親ノードとの優先アソシエーションを要求してもよい。
【0020】
例示のために、仮にTSCHノード102b、102dは、2つの子スロットである最大限の子ノードスロット能力を有する。また、仮に子ノード104b、104cは、子ノード104aの初期化前の時点においてTSCHノード102dと関連しTSCHノード102dに加入した。子ノード104aは、初期化しネットワーク関連プロセスを開始するとき、TSCHネットワーク100に利用される周波数チャネルを巡回してTSCH装置からの通信を傾聴(listen)することによって、利用可能な親ノードをスキャンする。TSCHノード102dが子ノード104aの通信範囲内にあっても、TSCHノード102dがすでに最大限の数の子ノードを支援しているので、ノード104aはTSCHノード102bのみを利用可能な親ノードとして識別する。子ノード104aは、利用可能なTSCHノード102の数を判断し、利用可能なTSCHノード102の数(この実施例において利用可能なTSCHノード102bが1つ)が利用可能な親ノードの閾値数より少ないとさらに判断する。子ノード104からの優先アソシエーション要求をトリガーする利用可能な親ノードの閾値数は、初期化の前に子ノード104にプログラミングされて実行時に変更される設定可能な値であってもよい。
【0021】
図2はTSCHノード102dの例示を示すブロック図であり、当該TSCHノード102dは、隣接するTSCHノード102b、102cと、接続した子ノード104b、104cとも通信するための単一の送受信装置220を有する。TSCHノード102dはプロセッサ202を含む。プロセッサ202の非限定的な例示は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、ステートマシン、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、または他の適した処理装置を含む。プロセッサ202は1つを含む任意の数の処理装置を含んでもよい。プロセッサ202はメモリ装置204などの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信連結されてもよい。プロセッサ202は、コンピュータ実行可能なプログラム指令実行してもよく、および/またはメモリ装置204に記憶された情報をアクセスしてもよい。
【0022】
メモリ装置204は指令を記憶してもよく、当該指令がプロセッサ202によって実行されるとき、ここで説明する動作をプロセッサ202に行わせる。メモリ装置204はコンピュータ可読媒体であって、電子式、光学式、磁気式、またはプロセッサにコンピュータ可読指令を提供する能力がある他の記憶装置などである(でもこれらに限らない)。このような光学式、磁気式、または他の記憶装置の非限定的な例示は、再生専用装置(read-only device、ROM device)、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)装置、磁気ディスク、磁気テープもしくは他の磁気記憶装置、メモリチップ、ASIC、設定されたプロセッサ、光学記憶装置、またはそれからコンピュータプロセッサが指令を読み込める他の媒体などを含む。指令は、任意の適したコンピュータプログラミング言語で作成されたコードからコンパイラおよび/またはインタープリタによって生成されたプロセッサ固有指令を備えてもよい。適したコンピュータプログラミング言語の非限定的な例示は、C、C++、C♯(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Java(登録商標)、Python(登録商標)、Perl、JavaScript(登録商標)、ActionScript(登録商標)などを含む。
【0023】
TSCHノード102dはバス206も含んでもよい。バス206はTSCHノード102の1つ以上の部品を通信連結してもよい。
図2においてプロセッサ202、メモリ装置204およびバス206は互いに通信している分別の部品としてそれぞれに表示されているが、他の実行態様もあり得る。例えば、プロセッサ202、メモリ装置204およびバス206は、それぞれの印刷回路板のそれぞれの部品、またはプログラミングされたコードを記憶および実行するようにTSCHノード102dに配置された他の適した装置であってもよい。
【0024】
TSCHノード102dは、バス206を介してプロセッサ202およびメモリ装置204と通信連結された送受信装置220も含んでもよい。送受信装置220の非限定的な例示は、RF送受信器または信号を無線に送信および受信するための他の送受信器を含む。送受信装置220はTSCHノード102によってアンテナ208を介して隣接のTSCHノード102b、102cおよび接続した子ノード104a、104bと通信するように利用される。特定の実施例において、送受信装置220は、複数のアンテナによって複数のMACインターフェースを実行し、隣接のTSCHノード102b、102cおよび接続した子ノード104a、104bと通信する能力を有する。TSCHノード102dは、単一の送受信装置220を用いて同じネットワークプロトコルまたは異なるネットワークプロトコルを介して隣接のTSCHノード102b、102cおよび接続した子ノード104a、104bと通信してもよい。例えば、TSCHノード102dは、電池によって給電されているときに子ノード104と通信してもよく、低エネルギTSCHプロトコルを用いて動作するように構成されてもよく、当該低エネルギTSCHプロトコルにおいて、子ノード104は、TSCHネットワークに用いられるチャネルホッピングパターンと比べて比較的遅い頻度で周波数チャネルを切り替える。TSCHノード102dは、TSCHノード102と子ノード104とが異なる周波数を利用する場合にもいても、隣接のTSCHノード102b、102cと接続した子ノード104a、104bとも通信してもよい。他の実施例において、子ノードとTSCHノードとは同じ周波数で通信してもよい。
【0025】
例示的な目的のためにTSCHノード102dは単一の送受信装置220を有するように示されているが、特定の実施例において、TSCHノード102dは複数の送受信装置を含んでもよい。例えば、TSCHネットワーク100が接続した子ノード104a、104bと異なる周波数セットまたは変調技術によって動作する実施例において、TSCHノード102は異なる変調技術を用いて通信するように複数の送受信装置を含んでもよい。例えば、(第1の周波数セットまたは変調技術のために構成された)第1の送受信装置は隣接のTSCHノード102b、102cとの通信に利用されてもよく、(第2の周波数セットまたは変調技術のために構成された)第2の送受信装置はノード104b、104cとの通信に利用されてもよい。
【0026】
図3は、親ノード102dと通信するための子ノード104cの例示を示すブロック図である。子ノード104は、バス306を介して全部相互接続したプロセッサ302と、メモリ304と、送受信装置320とを含む。プロセッサ302、メモリ304、送受信装置320、およびバス306は
図2に対して説明した動作と同様な動作を行う。子ノード104cが電池によって給電されている実施例において、プロセッサ302、メモリ304、送受信装置320、およびバス306は電池(図示せず)によって給電されている。
【0027】
前述したように、TSCHネットワーク100はTSCHプロトコルを用いてネットワーク内およびネットワーク外において情報を無線通信する。TSCHネットワークにおいて、ネットワーク内の装置はTSCHチャネルホッピングパターンに基づいて同期化されている。TSCHノード102a~102dおよび子ノード104a~104dが異なるネットワークまたはプロトコルによって動作する実施例において、TSCHノード102a~102dは、TSCHタイムスロットを細分化することによって、TSCHネットワークとの通信期間および子ノード104a~104dとの通信期間を交互に行ってもよい。TSCHタイムスロットを細分化することによって、主要なTSCHネットワーク100との通信期間および子ノード104a~104dに用いられるネットワークとの通信期間を交互に行うための例示的な技術は、タイトルが「リソースプロバイダおよびホームエリアネットワークとのインタリーブ通信」である米国特許出願第14/830271号明細書に開示されており、その内容は参照により本願に組み入れられる。
【0028】
TSCHネットワーク100において、それぞれのタイムスロットは、ミリ秒または他の適した時間単位によって定義されうる期間「T」の時間期間のものである。TSCHネットワークもネットワークにおいて異なる装置との通信のために複数のチャネル周波数を利用する。ホッピングパターンは、それぞれのタイムスロットにわたって通信に利用されるチャネルを定義する。
図4は、TSCHプロトコルに従うTSCHネットワークのためのタイムスロットおよびチャネルホッピングパターンを示す図である。
図4はタイムスロット411~415、421~425、および431~436を示し、それぞれが同じタイムスロット期間430を有する。一例として、タイムスロット期間は25ミリ秒であってもよい。スロットフレーム410およびスロットフレーム420のそれぞれは7つのタイムスロットを含む。
図4はチャネルホッピングパターン440(チャネルホッピングパターン440a~440cとして示されている)も示す。チャネルホッピングパターンはホッピングパターンにおけるそれぞれのタイムスロットに対してチャネル周波数またはチャネルを定義する。例えば、ホッピングパターン440aは、チャネル4、チャネル6、チャネル3、チャネル5、チャネル7であってもよく、すなわち、チャネル4をタイムスロット1に関連付け、チャネル6をタイムスロット2に関連付け、チャネル3をタイムスロット3に関連付け、チャネル5をタイムスロット4に関連付け、チャネル7をタイムスロット5に関連付けてもよい。
図4において、ホッピングパターン440aは5であるホッピングパターン長(hopping pattern length)を有する。当該ホッピングパターンは繰り返す。例示的な第1反復(iteration)のホッピングパターン440aはタイムスロット1-5(411-415)を有し、第2反復のホッピングパターン440bはタイムスロット6-10(411-415)を有し、第3反復のホッピングパターン440cはタイムスロット11-15(431-435)を有する。ホッピングパターンにおけるタイムスロットの数は、スロットフレームにおけるタイムスロットの数と無関係であってもよい。
【0029】
図5は、優先アソシエーションを確立するために子ノード104aとTSCHネットワーク100のTSCHノード102bとの間の通信タイミング図を示す。
図5における通信タイミングは、優先アソシエーションを確立するときに子ノード104aとTSCHノード102bとの間において送信される一連のメッセージを示すことを意図する。
【0030】
TSCHネットワーク100と関連付けるために、アソシエーション要求に優先要求を含むべきであると判断するとき、子ノード104aは第1の時間期間510にわたってTSCHノード102bに優先アソシエーション要求を送信する。それに応じて、TSCHノード102bは第2の時間期間520にわたって子ノードに肯定応答メッセージを送信する。子ノード104aは、閾値時間期間にわたって肯定応答メッセージを受信していない場合、優先アソシエーション要求を送信してもよい。
図7に関して以下にさらに説明するように、TSCHノード102bは、優先アソシエーション要求を受け付けるかまたは拒否するかを判断し、第3の時間期間530にわたって子ノード104aに優先アソシエーション応答530を送信する。優先アソシエーション応答はTSCHノード102bがアソシエーション要求を受け付けたかまたは拒絶したかを示す。
【0031】
注意すべきなのは、TSCHノード102bからの肯定応答メッセージおよび優先アソシエーション応答は、第2の時間期間520および第3の時間期間530のそれぞれにわたる個別の通信として送信されるように示されているが、特定の実施態様において、優先アソシエーション応答および肯定応答メッセージは単一のメッセージに組み合わせて子ノード104aに送信してもよいことである。
【0032】
優先アソシエーション応答を受信したとき、子ノード104aは第4の時間期間540にわたってTSCHノード102bに肯定応答メッセージを送信する。TSCHノード102bは、閾値時間期間にわたって肯定応答メッセージを受信していない場合、優先アソシエーション応答を再送信してもよい。その後、TSCHノード102bがアソシエーション要求を受け付けた場合、子ノード104aとTSCHノード102bとは、アソシエーションを開始し、IEEE802.15.4またはIEEE802.15.4eによって規定された手順を行う。
【0033】
図6は、TSCHノード102bと接続するような優先アソシエーション要求を開始するために、子ノード104aによって実行される例示の方法600を示すフローチャートである。例示的な目的のために、方法600は、
図1~
図3に示されたシステムの実施形態を参照し、
図4に示されたTSCHタイムスロットの例示を関連しながら説明される。ただし、他の実施形態も可能である。
【0034】
ブロック610に示されているように、プロセス600は、TSCHネットワークにおいて1つ以上の利用可能な親ノードをスキャンすることを含む。例えば、初期化が開始するとき、またはスリープ状態から目を覚ますとき、子ノード104aがその通信範囲内に利用可能なTSCH親ノード102b、102dをスキャンする。当該スキャンは、TSCHネットワーク100に用いられる異なる周波数チャネルを巡回して隣接するTSCH親装置102b、102dからの通信を傾聴することによって行われる。TSCH親装置は利用可能性を示すビーコン信号を間欠的にブロードキャストする。ビーコン信号は、TSCH親装置が新たな子ノードを受け付けるかを示す情報を含んでもよい。子ノード104aは、ビーコン信号を傾聴することによって、TSCH親ノード102b、102が利用可能であると判断しうる。
【0035】
子ノードは、スキャンによって見つけた利用可能なTSCH親ノード102b、102dの数に基づいて、親ノードとの優先アクセスが必要であるかを判断しうる。例えば、子ノードは、その通信範囲内に閾値数の利用可能なTSCH親ノードを識別した場合、優先アクセスが必要ではないと判断する。子ノードは、通信範囲内に閾値数より少ない利用可能な親ノードを識別したとき、優先アクセスが必要であると判断する。
【0036】
特定の実施態様において、子ノード104aは、通信範囲内にTSCH親ノード102b、102dの数を識別し、親装置の利用可能性を問わずに、識別されたTSCH親ノード102b、102dの数に基づいて優先アソシエーション要求が要求されるかを判断する。例えば、子ノード104aは、スキャンによって、または、TSCHネットワーク100に用いられる異なる周波数チャネルを巡回して隣接するTSCH装置102a~102dからの通信によって、隣接するTSCH親ノード102b、102dをスキャンする。この例示において、子ノード104aは、識別された親装置102a~102dが利用可能であるかを判断しないが、隣接する親装置102b、102dを識別する。子ノード104aは、その通信範囲内に識別された親装置102b、102dの数が閾値数より少ない場合、優先要求を送信するかを判断する。
【0037】
ブロック620に示されているように、子ノード104aの通信範囲内にTSCH親装置102b、102dの数が閾値数より少ないと判断したとき、1つ以上の親ノード102b、102dのうちの第1の親ノード102bに子ノードは優先アソシエーション要求を送信する。例えば、TSCH親装置102b、102dの数が閾値数より少ないと判断したとき、子ノード104aは、当該アソシエーション要求を載せるデータフレーム内の有効ビットの形式で、優先要求を含んでもよい。優先要求が含まれているかを判断する閾値数は、ネットワークのデプロイメント前に子ノード104aにプログラミングされ、子ノード104aが配置されると設定されてもよい。
【0038】
特定の実施態様において、アソシエーション要求は短期優先または長期優先のための期間要求を含む。短期優先の要求とは、限られた時間期間(例えば、TSCHノード102bと子ノード104aとの間の単一の通信活動を完成するのに必要な時間期間)に対して要求される優先を指す。例えば、短期優先の要求によって、子ノード104bは、TSCHノード102bに電力電流使用計量を報告するなどの特定の活動またはタスクのために、TSCHノード102aと関連付けることが可能となる。データ通信の完成後、子ノード104aはTSCHノード102bからのアソシエーションを中止する。長期優先の要求とは、TSCHノード102bが活動的で給電されている限り、子ノード104aがTSCHノード102bからのアソシエーション中止を要求するまで長く関連付ける優先を指す。
【0039】
子ノード104aは、子ノード104aによって検出されたTSCHネットワーク100における1つ以上の条件に基づいて、優先アソシエーション要求とともに短期の期間要求または長期の期間要求を含んでいるかを判断する。例えば、子ノード104aは、TSCHネットワーク100が初期化状態または成熟状態にあると子ノード104aが判断したかに基づいて、短期の期間要求または長期の期間要求を含んでいるかを判断してもよい。
【0040】
初期化状態にあるTSCHネットワーク100とは、TSCHネットワーク100がまだ初期化されており、TSCHノード102a~102dが起動し、隣接するTSCH装置102a~102dと接続および同期化をし、傾聴している子ノード104a~104dに対して利用可能性を知らせるビーコン送信をブロードキャストすることを指す。子ノード104aは、閾値時間期間にわたって通信範囲内にあるとして検出された取得可能なTSCHノード102a~102dの数を比較することによって、TSCHネットワーク100が初期化状態にあると判断してもよい。例えば、子ノード104aは、複数回のネットワークスキャンを介して取得可能なTSCHノード102a~102dの数が閾値時間期間にわたって増加したと判断する場合、TSCHノード102a~102dが起動してTSCHネットワーク100と同期化するプロセスを行っているため、TSCHネットワーク100がまだ初期化状態にあると判断する。TSCHネットワーク100が初期化状態にあると判断したとき(、および、ブロック620に関して説明したように、取得可能なTSCHノード102b、102dの数が閾値数より小さいと判断したとき)、子ノード104aは短期優先のための期間要求を有する優先アソシエーション要求を含む。
【0041】
成熟状態にあるTSCHネットワーク100とは、TSCHネットワーク100が安定した数の、閾値時間期間にわたって活動的なTSCHノード102a~102dを含むことを指す(閾値時間期間の値は子ノード104に対してプログラミングによって調整可能である)。例えば、複数回のネットワークスキャンを介して取得可能なTSCHノード102b、102dの数が閾値時間期間にわたって定数に維持していると判断した場合、新たなTSCHノード102b、102dがもう検出されていなかったため、子ノード104aはTSCHネットワーク100が成熟状態にあると判断する。TSCHネットワーク100が成熟状態にあると判断したとき(、および、ブロック620に関して説明したように、取得可能なTSCHノード102b、102dの数が閾値数より小さいと判断したとき)、子ノード104aは長期優先のための期間要求を有する優先アソシエーション要求を含む。
【0042】
他の条件も子ノード104aに短期優先のための期間要求を送信させることがある。例えば、特定の実施態様において、子ノード104aは、TSCHネットワーク100の1つ以上のTSCHノード102a~102dの範囲内に入っているモバイル装置を備えてもよい。このような例示において、モバイル装置は、通信範囲内にTSCHノード102bとの短期のアクセスを必要としてもよく、それによって、TSCHノード102bはモバイル装置から外部ネットワークへの通信のルーティングを行う。モバイル装置は、優先アソシエーション要求が必要であると判断したとき、短期優先のための期間要求を含んでもよい。他の実施形態において、子ノード104aは、電池の給電によって動作し、電池残量が少ないときに短期優先のための期間要求を送信してもよい。他の実施形態において、子ノード104aは、送信すべきアプリケーションデータがあると知らせられた場合、短期優先のための期間要求を送信してもよい。
【0043】
特定の実施態様において、子ノード104aは、優先を要求しない短期の期間要求を有するアソシエーション要求を送信してもよい。例えば、ネットワークスキャンによって、子ノード104aの通信範囲内のTSCHノード親102b、102dが閾値数より少ないと判断したとき、子ノード104aは優先を有しない短期優先のためのアソシエーション要求を送信してもよい。1つの例示において、子ノード104aは、任意の親ノード102b、102dに加入する必要があるものの、特定の親ノードとのアソシエーションを必要としないとき、優先を有しない短期優先のためのアソシエーション要求を送信してもよい。子ノード104aは、特定の親ノード102b、102dと接続する必要がある場合、優先を有する短期優先のためのアソシエーション要求を送信してもよい。
【0044】
ブロック630に示されているように、プロセス600は、親ノード102bから、アソシエーション要求を受け付けるまたは拒絶するアソシエーション応答を受信することをさらに含む。アソシエーション要求を受け付けるアソシエーション応答とは、TSCHノード親102bが子ノード104aをそのノードの接続リストに加えたことを指す。要求を受け付けるアソシエーション応答を受信したとき、子ノード104aおよびTSCHノード親102bは、子ノード104aをTSCHネットワーク100と同期化させるために、同期化プロセスを開始する。子ノード104aは、アソシエーション要求を拒絶/拒否するアソシエーション応答を受信したとき、その通信範囲内の次の取得可能なTSCHノード102dに優先アソシエーション要求を送信する。
【0045】
子ノード104aは、すでに親ノード102bに短期優先を要求した場合、ブロック620に関して説明したように、親ノード102bとの通信が完成したときに(例えば、監視されたホームエリアネットワークの電力使用量の報告などの活動に関する通信メッセージの送信または受け取りの完成後に)、親ノード102bからアソシエーションを切断/中止する。
【0046】
図7は、子ノード104bからのアソシエーション要求を受信および処理するように、親ノード102dによって実行される例示のプロセス700を表すフローチャートであり、当該親ノード102bは優先アソシエーション要求を支援する能力を有する。例示的な目的のために、方法700は、
図1~
図3に示されたシステムの実施形態を参照し、
図4に示されたTSCHタイムスロットの例示を関連しながら説明される。ただし、他の実施形態も可能である。
【0047】
ブロック710に示されているように、プロセス700は、TSCHネットワーク100で動作するTSCH親ノード102dにおいて、子ノード104bからアソシエーション要求を受信することを含む。TSCH親ノード102dは接続した子ノードのためのエントリのリストをそのメモリ204に維持する。エントリの数は、TSCH親ノード102dに対する最大限のスロット能力に基づく限られた数である(すなわち、親ノード102dが同時に支援しうる子ノードの最大値である)。優先アソシエーション要求を受け入れるように、TSCH親ノード102dは、子ノード104a~104dからの優先アソシエーション要求のために限られた数のエントリのうちの少なくとも1つのエントリを保留する。よって、限られた数のエントリのうちの第1のセットのエントリは、受信されて優先要求を有するまたは有しないアソシエーション要求のために、TSCHノード102dによって利用される。限られた数のエントリのうちの第2のセットのエントリは、受信されて優先要求を有するアソシエーション要求のために、TSCHノード102dによって保留される。子ノード104b、104cがTSCHノード102dに関連付けおよび加入をするとき、TSCHノード102dは、最大限の子ノード102dを支援するまで、関連付けられた子ノード104b、104cのそれぞれをエントリのリストに格納する。特定の他の実施例において、TSCHノード102dは優先要求のためにエントリを保留することをしなくてもよい。この場合において、TSCHノード102dは、優先要求を受信したとき、1つ以上のパラメータ(例えば、最後に受信したパケットの時間、最低信号強度など)に基づいて、すでに接続した子ノード1つを減らすことを選択してもよい。
【0048】
メモリ204内の記録は、接続した子ノードのリストの情報を記憶するように、任意の適したソフトウェアテーブルまたはデータベースとして実行されうる。例えば、記録は、TSCHノード102によって支援された子ノード104b、104cに対して識別子(例えば、IPアドレスまたはMACアドレス)、当該子ノード104b、104cが優先アソシエーションを要求したか、および、要求した場合に優先要求の期間などの情報を含んでもよい。
【0049】
ブロック720に示されているように、プロセス700は、アソシエーション要求が優先要求を含むかを判断することをさらに含む。例えば、TSCH親ノード102dは、入ってくるアソシエーション要求のパケットを処理し、有効された優先ビットを識別し、当該有効された優先ビットは子ノード104bが優先アソシエーションを要求したことを指す。
【0050】
ブロック730に示されているように、アソシエーション要求が優先要求を含まない場合、TSCHノード102dは、限られた数のエントリのリストのうちに非保留のエントリが取得可能であるかを判断する。取得可能な非保留エントリとは、TSCHノード102dが優先要求を有しない追加の子ノードを支援する能力を有することを指す。ブロック750に示されているように、TSCHノード102dは、取得可能な非保留エントリがない(すなわち、限られた数のエントリのリスト内の非保留エントリのすべてが接続した子ノード104b、104cで満杯となった)と判断した場合、アソシエーション要求を拒否する。ブロック740に示されているように、TSCHノード102dは、優先アソシエーション要求のために保留されるものではない、かつ、取得可能なエントリが少なくとも1つあると判断した場合、アソシエーション要求を受け付ける。TSCHノード102dは、アソシエーション要求を送信した子ノード104bの情報をさらにこの取得可能なエントリに加える。
【0051】
ブロック750に示されているように、アソシエーション要求が優先要求を含む場合、TSCHノード102dは、非保留エントリまたは保留エントリ(すなわち、優先アソシエーション要求を有する子ノード104a~104dのために保留するエントリ)が限られた数のエントリのリストから取得可能であるかを判断する。取得可能なエントリがある場合、TSCHノード102dは、優先アソシエーション要求を受け付け、優先アソシエーションを要求する子ノード104bの情報を、接続した子ノードのエントリのリストに加える。特定の実施態様において、TSCHノード102dは長期アソシエーションのための優先アソシエーション要求を(TSCHノード102dが活動的である限り長く)受け付ける。特定の状況において、TSCHノード102dは複数の取得可能な接続スロットを有してもよい(すなわち、エントリのリストにおいて複数の非保留エントリが取得可能であってもよい)。これらの実施態様において、子ノード104bからの優先アソシエーション要求が長期優先のための期間要求を含む場合、TSCHノード102dは非保留エントリにおける子ノード104bの情報を含む。子ノード104bからの優先アソシエーション要求は短期優先のための期間要求を含む場合、TSCHノード102dは、保留された子リストの保留エントリにおける子ノード104bの情報を含む。ただし、他の実施形態も可能である。
【0052】
ブロック760に示されているように、取得可能なエントリがない場合、すなわち、TSCHノード102dが最大限の数の子ノード104b、104cを支援している場合、TSCHノード102dは、優先のアソシエーション要求を送信した子ノードと関連付け続けるが、閾値数の優先アソシエーションが達成されるまで、以前に優先なしで接続している子ノードを中止する。閾値数はネットワーク管理者によってTSCHノード102dの設定を介して設定可能である。閾値数の優先子ノードと関連付けているとき、TSCHノード102dは追加の子ノードからのその後アソシエーション要求を拒否する。
【0053】
例えば、
図1を参照すると、子ノード104bは既にTSCHノード102dと関連付けている、以前に接続した子ノードであってもよい。TSCHノード102dは、子ノード104cから優先要求を有するアソシエーション要求を受信する場合、当該アソシエーション要求を拒否してもよく、子ノード104cの短期アソシエーションを許可するために子ノード104bとのアソシエーションを一時的に中止してもよい。TSCHノード102dは、子ノード104bを保留エントリのリストから一時的に除去し、子ノード104cを短期期間(例えば、子ノード104cに単一の通信活動を完成させる時間期間)のための保留エントリのリストに加える。
【0054】
特定の実施態様において、TSCHノード102dはネットワーク条件に基づいて接続した子ノード104b、104cの優先期間設定を変更してもよい。例えば、特定の状況において、(長期の期間要求を有する優先アソシエーションを介して接続した)第1の接続した子ノード104bは通信範囲を出て時間量の閾値にわたってTSCHノードと通信しなくなってもよい。このような実施形態において、第2の接続した子ノード104cが優先アソシエーションを用いてTSCHノード102dと関連付けようと試す場合、TSCHノード102dは第1の接続した子ノード104bの優先期間設定を変更してもよい。時間量の閾値はネットワーク管理者によって設定可能である。
【0055】
プロセス700は、TSCHノード102dからアソシエーションを要求した子ノード104b、104cにアソシエーション応答を送信することをさらに含む。アソシエーション応答は、子ノードからのアソシエーション要求が受け付けたことを示し、または、拒絶の理由(例えば、ネットワークが能力上限になった)を示す情報とともに拒絶/拒否されたことを示す。
【0056】
本保護対象はここで具体的な実施概念に関連して詳細に説明されたが、本分野の当業者は上述した説明を理解した上で、このような実施形態の代替例、変形例または均等例を容易に製造しうることが理解されるであろう。したがって、理解されるべきなのは、本開示は、限定の目的ではなく例示の目的で開示されており、当業者にとっては明らかに、本保護対象の変更例、変形例および/または追加例の包含が排除されていない。