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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】手術用ステープラの補助材解放
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019544628
(86)(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018017972
(87)【国際公開番号】W WO2018152096
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】15/436,070
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヘス・クリストファー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533128(JP,A)
【文献】特開2009-000531(JP,A)
【文献】特表2014-531240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131419(US,A1)
【文献】特表2016-509522(JP,A)
【文献】特開2014-036860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリであって、
カートリッジ本体であって、前記カートリッジ本体の組織に面する表面上に複数のステープル空洞を有し、各前記ステープル空洞が、組織内に配備されるように構成されている前記ステープル空洞内に配設されたステープルを有し、前記カートリッジ本体が、前記組織に面する表面上に複数の接続空洞を有する、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面上に配設された補助材であって、前記補助材が、前記組織に面する表面と接触するように構成された補助材表面に配設された複数の突出部を有し、前記複数の突出部が、前記複数の接続空洞へと延在し、前記複数の接続空洞に係合するように構成されている、補助材と、
前記カートリッジ本体内に配設された複数のドライバであって、各前記ドライバが、前記ドライバ上に位置付けられた少なくとも1つの補助材解放機構を有し、前記少なくとも1つの補助材解放機構は前記複数の接続空洞のうちの1つへと延在するように構成されたポストを備え、そのため、前記複数のドライバは、前記複数のドライバが前記ステープルを配備するために前記ステープル空洞に進行するとき、前記ポストが対応する前記接続空洞へと入って前記補助材の前記複数の突出部を前記複数の接続空洞の外へと押し出し、前記補助材を前記カートリッジ本体から分離させるように構成されている、複数のドライバと、を備える、ステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項2】
前記ポストが、前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面を越えて延在して、前記補助材を前記カートリッジ本体から分離させるように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項3】
前記補助材が、前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面に接着剤で解放可能に取り付けられている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤が、シアノアクリレートである、請求項3に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
前記ドライバは、前記ステープルを内部に着座させるように構成されたステープルチャネルが形成された本体部分と接続要素とを含み、前記ポストが前記接続要素を介して前記本体部分に接続されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
外科用デバイスのエンドエフェクタに補助材を固定及びエンドエフェクタから補助材を解放するための方法、デバイス、及びシステムが提供される。
【背景技術】
【0002】
手術用ステープラは、外科的処置において、組織、血管、導管、シャント、又は特定の処置に関連する他の対象物若しくは身体部位の開口部を閉鎖するのに使用される。開口部は、血管内又は胃のような内臓内の通路のように天然に存在する場合もあれば、組織又は血管を穿刺してバイパス又は吻合を形成すること、又はステープル留め処置中に組織を切開することなどによって、外科的処置中に外科医によって形成される場合もある。
【0003】
ほとんどのステープラは、細長いシャフトを備えたハンドルを有し、シャフトはその端部に、それらの間でステープルを保持して成形するために形成される一対の移動可能な対向するジョーを有する。ステープルは典型的にはステープルカートリッジに収められ、そのステープルカートリッジは、複数の列のステープルを収容することができ、多くの場合、手術部位へのステープルの放出のために、2つのジョーのうちの1つに配設される。使用中、ジョーは、ステープルされるべき対象物がジョーの間に配設されるように位置決めされ、ジョーが閉じられてデバイスが作動されると、ステープルが放出されて成形される。いくつかのステープラは、ステープルカートリッジ内のステープルの列の間を移動し、ステープルされた列の間で、ステープルされた組織を長手方向に切開及び/又は開口するように構成されたナイフを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手術用ステープラは長年にわたって改良されてきたが、様々な問題が依然として存在する。例えば、ステープルが、それが配設される組織又は他の対象物を貫通すると、孔を形成することに起因して、漏出が起こり得る。血液、空気、消化管液、及び他の液体は、ステープルが完全に成形された後でも、ステープルによって形成された開口部を通してしみ出ることがある。処置される組織は、ステープル留めによる外傷のために炎症を起こすこともある。これらの問題は、様々な補助剤を組織に適用することによって解決することができるが、これらの解決策を組織部位に送達し、適切な配置を確実とすることは困難であり得る。位置決め中に手術用ステープラにしっかりと取り付けられた材料を有すること、及び使用中に手術用ステープラからきれいに離れる材料を有することが望ましい場合がある。手術用ステープラにしっかりと取り付けられ、かつ容易に離れることが可能な材料を有することは、問題を呈し得る。このため、手術用ステープラなどの様々な外科用デバイスに補助材を取り付け、外科用デバイスから補助材を解放するための改善されたデバイス、システム、及び方法に関する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科用デバイスのエンドエフェクタに補助材を固定及びエンドエフェクタから補助材を解放するための様々な方法、デバイス、及びシステムが提供される。
【0006】
一実施形態において、ステープルカートリッジアセンブリは、カートリッジ本体の組織に面する表面上に複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体を含む、手術用ステープラと共に使用するために提供される。各ステープル空洞は、組織内に配備されるように構成されているステープル空洞内部に配設されたステープルを有し、カートリッジ本体は、組織に面する表面上に複数の接続空洞を有する。補助材は、カートリッジ本体の組織に面する表面上に配設される。複数のドライバが、カートリッジ本体内に配設される。各ドライバは、ドライバ上に位置付けられた少なくとも1つの補助材解放機構を有し、そのため、複数のドライバは、複数のドライバがステープルを配備するためにステープル空洞内に進行するとき、補助材をカートリッジ本体から分離させるように構成されている。
【0007】
アセンブリは、様々な方法で変化し得る。例えば、各接続空洞は、補助材の一部を中に受容するように構成され得る。補助材は、複数の接続空洞のうちの1つ又は2つ以上内に受容されるように構成され、かつ補助材をカートリッジ本体に取り付けるように構成された突出部を有することができる。別の例では、少なくとも1つの補助材解放機構は、複数の接続空洞のうちの1つへと延在するように構成されたポストを含むことができる。別の例では、ポストは、カートリッジ本体の組織に面する表面を越えて延在して、補助材をカートリッジ本体から分離させるように構成され得る。補助材は、カートリッジ本体の組織に面する表面に接着剤で解放可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、接着剤は、シアノアクリレートであり得る。
【0008】
別の態様では、エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを有する第1のジョーと、ステープルを内部に着座させるように構成された複数のステープル空洞とを含む手術用ステープル留め器具と共に使用するために提供される。補助材は、カートリッジの組織に面する表面に取り付けられ、複数のステープル空洞の上に重なる。第2のジョーは、第2のジョーの組織に面する表面上に形成された複数のステープル形成空洞を有するアンビルを有し、第1のジョー及び第2のジョーは、それらの間に組織をクランプするように構成されている。複数のドライバは、カートリッジ内に配設され、ステープル空洞を通って、補助材を通じて、第1のジョーと第2のジョーとの間に係合された組織内に複数のステープルを配備し、かつ同時に補助材をカートリッジから分離させるように構成されている。
【0009】
エンドエフェクタは、多くの変形例を有し得る。例えば、補助材は、接着剤によってカートリッジの組織に面する表面に取り付けられてもよい。カートリッジは、カートリッジの組織に面する表面内に形成された少なくとも1つの接続空洞を有することができ、補助材は、補助材をカートリッジに取り付けるために、少なくとも1つの接続空洞へと延在する、補助材上に形成された少なくとも1つの突出部を有することができる。いくつかの実施例では、少なくとも1つの接続空洞の各々は、複数のドライバのうちの1つの一部を中に受容するように構成され得る。複数のドライバの各々は、カートリッジの組織に面する表面を越えて延在して、補助材をカートリッジから分離させるように構成されているポストを有することができる。
【0010】
別の態様では、手術用ステープラを患者の体内に進行させることを含む、外科的方法が提供され得る。手術用ステープラは、手術用ステープラの遠位端における、第1のジョー及び第2のジョーを有するエンドエフェクタと、エンドエフェクタの第1のジョーに取り付けられた補助材と、を有する。本方法は、エンドエフェクタの第1のジョーと第2のジョーとの間で組織を係合することを含む。本方法はまた、手術用ステープラを作動させて、複数のドライバに、第1のジョーから、補助材を通って、組織内に、ステープルを発射させ、かつ複数のドライバに補助材を第1のジョーから分離させることを含む。
【0011】
本方法は、多数の変形例を有し得る。例えば、手術用ステープラを作動させることにより、複数のドライバの各々上の解放部材が、第1のジョーの組織に面する表面内の接続空洞に入ることができる。別の例では、手術用ステープラを作動させることにより、解放部材が、接続空洞内に保持された補助材の一部を接続空洞から押し出して、補助材を第1のジョーから分離させることができる。また、手術用ステープラを作動させることにより、解放部材を補助材に係合させ、それによって、補助材と第1のジョーとの間の接着結合を破壊して、補助材を第1のジョーから分離させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せ読むことで、より完全に理解されるであろう。
図1】手術用ステープラの一実施形態の斜視図である。
図2図1の手術用ステープラの遠位部分の分解組立図である。
図3図1の手術用ステープラの発射バーの斜視図である。
図4】手術用ステープラの別の実施形態の斜視図である。
図5】手術用ステープラ上に配設された補助材の一部分を示す、手術用ステープラの下部ジョー部材の上面図である。
図6】補助材解放機構を有する単一のステープルドライバの斜視図である。
図7】補助材解放機構を有する二重のステープルドライバの斜視図である。
図8】補助材解放機構を有する手術用ステープラの下部ジョー部材の一部の別の実施形態の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書で開示されるデバイス及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示され又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0014】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、デバイス及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、デバイス及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが用いられる被験者の解剖学的構造、システム及びデバイスがそれらと共に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが用いられる方法及び手順によって決まり得る。
【0015】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、臨床医などのユーザが器具のハンドルを握ることについて使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では、「垂直」及び「水平」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるデバイス及び方法は、切開外科的処置のために提供され、他の実施形態において、デバイス及び方法は、腹腔鏡下、内視鏡的、及び他の低侵襲的外科的処置のために提供される。これらのデバイスは、人間のユーザによって直接、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、天然の開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセスデバイスを使用してなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接挿入できる、又は、手術用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを通過させることが可能な作業用チャネルを有するアクセスデバイスを介して挿入され得る。
【0017】
手術用器具のエンドエフェクタ上に補助材料を解放可能に保持するための様々な例示的なデバイス、システム、及び方法が、本明細書に記載される。いくつかの実施態様では、補助材料は、補助材料がジョーから早期に滑り落ちるのを低減又は防止する様式で、エンドエフェクタのジョー上に解放可能に保持され得る。このようにして、補助材は、外科医が外科的処置中にエンドエフェクタを操作しながら、エンドエフェクタにしっかりと結合され得る。補助材料は、例えば、補助材の一部をジョーの組織に面する表面上の接続空洞に挿入することによってなど、様々な方法でエンドエフェクタに結合され得る。いくつかの実施形態では、補助材は、外向きに面する表面から延在するタグ又は突出部を有することができ、そのため、タグは、ジョーの組織に面する表面上の空洞内に受容されるように構成され得る。他の実施において、補助材は、接着剤を使用して、ジョーの組織に面する表面に結合され得る。補助材は、エンドエフェクタから分離され、例えば、補助材をエンドエフェクタに解放可能に取り付けるように構成された特徴部及び/又は構成要素を含む解放機構によって、患者における治療部位に伝達されるまで、エンドエフェクタに結合されたままであり得る。ステープル配備部材、及び/又は補助材をエンドエフェクタから分離させる切断要素などの、様々な解放機構を使用することができる。このため、解放機構は、ユーザが補助材をエンドエフェクタにしっかりと取り付けることを可能にし、かつ、所望の場合に、ユーザが補助材を迅速に配備することを可能にし得る。
【0018】
本明細書に開示される補助材取り付け及び解放技術は、手術用ステープラなどの様々な手術用器具と組み合わせて使用することができる。様々な手術用ステープラ、例えば、線状手術用ステープラ及び円形ステープラが使用され得る。概して、線状ステープラは、長手方向ステープルラインを形成するように構成され得、細長いジョーを含むことができる。この細長いジョーは、それに連結され、長手方向ステープル列を収容しているカートリッジを有する。ステープラは、ステープルをジョーの間で係合された組織内に駆動するように構成された発射バーを含むことができる。発射バーは、ジョー内に保持された組織に沿って、ステープル列間に切れ目を生成することができるナイフ又は他の切断要素を含み得る。ステープラは、様々な組織、例えば、胸郭手術又は胃手術において使用することができる。
【0019】
図1は、線状手術用ステープラ10の一実施例を示す。ステープラ10は、一般に、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12の遠位端12dから遠位方向に延在するシャフト14と、シャフト14の遠位端14dにあるエンドエフェクタ30と、を含む。エンドエフェクタ30は、対向する下部及び上部ジョー32、34を有するが、他の種類のエンドエフェクタを、シャフト14、ハンドルアセンブリ12、及びそれらに付随する構成要素と共に使用し得る。図2に示されるように、下部ジョー32は、ステープルカートリッジ40を支持するように構成されたステープルチャネル56(図2を参照)を有し、上部ジョー34は、下部ジョー32に面し、ステープルカートリッジ40のステープル(ステープルは、図1及び図2内に隠されている)を配備するのを支援するためのアンビルとして動作するように構成されているアンビル面33を有する。少なくとも1つの対向する下部及び上部ジョー32、34は、それらの間に配設された組織及び/又は他の対象物をクランプするために、他方の下部及び上部ジョー32、34に対して移動可能である。いくつかの実施では、対向する下部及び上部ジョー32、34のうちの一方が、固定されるか、又は別の方法で移動不能であってよい。いくつかの実施では、対向する下部及び上部ジョー32、34の両方が、移動可能であってよい。発射システムの構成要素は、ステープルをクランプされた組織内に放出するために、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通過するように構成され得る。様々な実施において、ナイフブレード36(図3を参照)又は他の切断要素は、発射システムと関連付けられ、ステープル留め処置中に組織を切開し得る。切断要素は、放出されるステープルと少なくとも部分的に同時に組織を切開するように構成され得る。状況によっては、ステープルが放出され、組織が固定された後に、組織が切開される場合に有利であってもよい。このように、外科的処置が、ジョーの間に捕捉された組織が切断されることを必要とする場合、ナイフブレード36は、進行して、ステープルがステープルカートリッジ40から放出された後にジョー間に把持された組織を切断する。
【0020】
エンドエフェクタ30の動作は、ハンドルアセンブリ12での、例えば、臨床医、外科医などのユーザからの入力によって開始され得る。ハンドルアセンブリ12は、それに連結されるエンドエフェクタ30を操作して動作させるように設計された多くの異なる構成を有してもよい。図示した例では、ハンドルアセンブリ12は、内部に配設される様々な機械的及び/又は電気的構成要素を備えたピストルグリップ型のハウジング18を有し、器具10の様々な特徴を動作させる。例えば、ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12に対する、シャフト14の長手方向軸線Lの周りでのシャフト14及び/又はエンドエフェクタ30の回転を促進し得る、その遠位端12dに隣接して取り付けられた回転ノブ26を含み得る。ハンドルアセンブリ12は、クランプトリガ22によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、発射トリガ24によって作動される発射システムの一部としての発射構成要素と、を更に含み得る。クランプ及び発射トリガ22、24は、例えば、トーションばねによって、静止ハンドル20に対して開放位置に付勢され得る。静止ハンドル20に向けたクランプトリガ22の移動は、以下に記載のクランプシステムを作動させることができ、これにより、ジョー32、34を互いに向かって倒し、それによって、それらの間に組織をクランプすることができる。発射トリガ24の移動は、以下に記載の発射システムを作動させることができ、これにより、内部に配設されたステープルカートリッジ40からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフブレード36を前進させて、ジョー32と34との間に捕捉された組織を切断することができる。当業者であれば、機械、油圧、空気圧、電気機械、ロボット、又はその他の発射システムの構成要素の様々な構成が、ステープルの放出及び/又は組織の切開に使用され得ることを認識するであろう。
【0021】
図2に示すように、図示した実施のエンドエフェクタ30は、カートリッジアセンブリ又はキャリアとして機能する下部ジョー32と、アンビルとして機能する、対向する上部ジョー34と、を有する。内部に複数のステープルを有するステープルカートリッジ40は、ステープルトレイ37内に支持され、次に、ステープルトレイ37は、下部ジョー32のカートリッジチャネル内に支持される。上部ジョー34は、複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有し、各ポケットは、ステープルカートリッジ40内に収容される複数のステープルからの対応するステープルの上に位置付けられる。図示した実施では、上部ジョー34は、シャフト14との係合部のすぐ遠位の、ステープルチャネル56の近位端56p内で枢動可能に受け入れられる近位枢動端部34pを有するが、上部ジョー34は、様々な方法で下部ジョー32に接続され得る。上部ジョー34が下向きに枢動すると、上部ジョー34は、アンビル面33を移動させ、上部に形成されたステープル成形ポケットは、対向するステープルカートリッジ40に向けて移動する。
【0022】
ジョー32、34の開閉をもたらして、これらの間に組織を選択的にクランプするために、様々なクランプ構成要素が使用され得る。図示したように、上部ジョー34の枢動端部34pは、ステープルチャネル56との枢動取り付け部の遠位に閉鎖機構34cを含む。したがって、遠位端部が、閉鎖機構34cと係合する馬蹄形開口部46aを含む閉鎖管46は、クランプトリガ22に応答して、閉鎖管46の近位長手方向運動中に上部ジョー34に対して開放運動、及び、閉鎖管46の遠位長手方向運動中に上部ジョー34に対して閉鎖運動を選択的に加える。上述されたように、様々な実施において、エンドエフェクタ30の開閉は、上部ジョー34に対する下部ジョー32の相対運動、下部ジョー32に対する上部ジョー34の相対運動、又は互いに対する両方のジョー32、34の運動によってもたらされてよい。
【0023】
図示した実施の発射構成要素は、図3に示すように、遠位端にEビーム38を有する発射バー35を含む。発射バー35は、シャフト14内、例えば、シャフト14の長手方向発射バースロット14s内に包含され、ハンドル12からの発射運動によって誘導される。発射トリガ24の作動は、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通るEビーム38の遠位運動に影響し、それによって、ステープルカートリッジ40内に収容されたステープルを発射させ得る。図示したように、Eビーム38の遠位端から突出しているガイド39は、図2に示したウェッジスレッド47と係合し得、次いで、ウェッジスレッド47は、ステープルカートリッジ40内に形成されたステープル空洞41を通ってステープルドライバ48を押し上げ得る。ステープルドライバ48の上向きの移動は、カートリッジ40内の複数のステープルのそれぞれに上向きの力を加え、それによって、上部ジョー34のアンビル面33に押し付けてステープルを押し上げ、成形されたステープルを形成する。
【0024】
ステープルを発射させることに加えて、Eビーム38は、ジョー32、34の閉鎖、ステープルカートリッジ40からの上部ジョー34の引き離し、及び/又は、ジョー32と34との間に捕捉された組織の切断を促進するように構成され得る。具体的には、一対の頂部ピン及び一対の底部ピンは、上部及び下部ジョー32、34の一方又は両方と係合して、発射バー35がエンドエフェクタ30を通って前進するときに、ジョー32、34を互いに向けて圧迫し得る。同時に、頂部ピンと底部ピンとの間に延在するナイフ36は、ジョー32と34との間で捕捉された組織を切断するように構成され得る。
【0025】
使用中、手術用ステープラ10は、カニューレ又はポート内に配置され、手術部位に配設され得る。切開されてステープル留めされる組織は、手術用ステープラ10のジョー32と34との間に置かれてもよい。ステープラ10の機構が、ユーザによって望みどおりに操作され、ジョー32、34に関する手術部位と組織において、ジョー32、34の所望の位置を達成し得る。適切な位置決めを達成した後に、クランプトリガ22を静止ハンドル20に向けて引いて、クランプシステムを作動させ得る。クランプトリガ22は、閉鎖管46が、シャフト14の少なくとも一部を通過して遠位方向に進んで、ジョー32、34の少なくとも一方を他方に向かって倒し、これらの間に配設された組織をクランプするように、クランプシステムの構成要素を作動させ得る。その後、発射バー35及び/又はEビーム38が、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って遠位方向に進んで、ステープルの発射をもたらし、任意選択的に、ジョー32と34との間で捕捉された組織を切断するように、発射トリガ24を、静止ハンドル20に向けて引いて、発射システムの構成要素を作動させ得る。
【0026】
線状手術用ステープラ50の形態における手術用器具の別の例を、図4に図示する。ステープラ50は、概して、図1のステープラ10と同様に構成され、かつ使用され得る。図1の手術用器具10と同様に、手術用器具50は、手術用器具50から遠位方向に延在し、組織を治療するために手術用器具の遠位端にエンドエフェクタ60を有する、シャフト54を備えるハンドルアセンブリ52を含む。エンドエフェクタ60の上部及び下部ジョー64、62は、これらの間で組織を捕捉し、下部ジョー62に配設されたカートリッジ66からステープルを発射することによって組織をステープル留めし、及び/又は、組織に切開部を形成するように構成され得る。この実施において、シャフト54の近位端にある取り付け部67は、シャフト54及びエンドエフェクタ60をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に取り付け可能にするように構成され得る。具体的には、取り付け部67の嵌合機構68は、ハンドルアセンブリ52の補助嵌合機構71と嵌合できる。シャフト54をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に結合するために、任意の数の補助嵌合機構及び任意の種類の結合を使用できるが、嵌合機構68、71は、例えば、スナップフィット結合、バヨネット式結合などによって互いに結合するように構成され得る。図示した実施のシャフト54の全体は、ハンドルアセンブリ52から分離可能に構成されているが、いくつかの実施において、取り付け部67は、シャフト54の遠位部のみを分離することができるように構成され得る。シャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の分離可能な結合は、特定の処置のための所望のエンドエフェクタ60の選択的な取り付け、及び/又は、多数の異なる処置のためのハンドルアセンブリ52の再利用を可能にし得る。
【0027】
ハンドルアセンブリ52は、その上に、エンドエフェクタ60を操作して動作させるための1つ又は2つ以上の機構を有していてもよい。非限定例として、ハンドルアセンブリ52の遠位端に取り付けられた回転ノブ72は、ハンドルアセンブリ52に対するシャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の回転を促進し得る。ハンドルアセンブリ52は、移動可能なトリガ74によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、これもトリガ74によって作動され得る発射システムの一部としての発射構成要素と、を含み得る。したがって、いくつかの実施において、第1の可動域を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の移動は、クランプ構成要素を作動させて、対向するジョー62、64を互いに向けて閉鎖位置に接近させ得る。いくつかの実施において、対向するジョー62、24の一方のみが移動して、ジョー62、64を閉鎖位置に移動させることができる。第2の可動域を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の更なる移動は、発射構成要素を作動させて、ステープルカートリッジ66からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフ又は他の切断部材(図示せず)を前進させて、ジョー62と64との間に捕捉された組織を切断させることができる。
【0028】
手術用ステープル留め器具10、50の図示した例は、多くの異なる構成及び関連する使用方法のうちのごく一部の例を提供するものであり、これらは本明細書で提供される開示と共に使用され得る。図示した例は、全て低侵襲処置で使用するように構成されているが、切開外科的処置で使用するように構成されている器具、例えば、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)に記載されているようにオープン線状ステープラを、本明細書で提供される開示と共に使用できることが理解されるであろう。図示した例の更なる詳細並びに、手術用ステープラ、その構成要素、及びその関連する使用方法の更なる例は、米国特許出願公開第2015/0277471号(発明の名称「Systems And Methods For Controlling A Segmented Circuit」、2014年3月26日付けで出願)、米国特許出願公開第2013/0256377号(発明の名称「Layer Comprising Deployable Attachment Members」、2013年2月8日付けで出願)、米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)、同第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)、同第7,143,925号(発明の名称「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」、2005年6月21日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134077号(発明の名称「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願、発明の名称「Sealing Materials for Use in Surgical Procedures」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0134076号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0133995号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0272575号(発明の名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、2014年3月26日付けで出願)、及び同第2015/0351758号(発明の名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」、2014年6月10日付けで出願)に提供され、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
様々な異なる補助材を、本明細書に開示される手術用器具と共に使用することができる。「補助材」は、本明細書において、「補助材料」又は「バットレス」とも呼ばれる。本明細書で集合的に「補助材」と呼ぶ、1つ又は2つ以上の生体材料及び/又は合成材料を、手術用器具と共に使用して、外科的処置の改善を支援することは望ましいことであり得る。種々の異なる手術用エンドエフェクタが、補助材の使用によって利益を得ることがあり、いくつかの例示的実施形態では、エンドエフェクタは、手術用ステープラであり得る。手術用ステープラと共に使用されるとき、補助材は、ステープラのジョーの間及び/又はその上に配設されても、ジョーに配設されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。ステープルが配備されると、補助材は、ステープルと共に治療部位に残ってもよく、その結果、多くの利益を提供することができる。例えば、補助材は、治療部位における組織を増強して、治療部位において、ステープルにより裂かれるか引き裂かれるのを防止することができる。組織増強は、組織が病変している、放射線治療など別の処置、化学療法など薬物治療、又は他の組織特性を変更する状況から治癒している場合に、ステープルが組織を裂かないように保つために必要なことがある。いくつかの場合において、補助材は、ステープル留め後に生じる組織変形(例えば、肺膨張、消化管膨張など)から生じ得る、ステープル穿刺部位及びその付近における組織の移動を最小化してよい。ステープル穿刺部位は応力集中部となることがあり、ステープルによって形成された孔の寸法は、その付近の組織が張力下に置かれると、増大することを当業者は認識するであろう。これらの穿刺部位付近での組織の移動を制限することは、張力下で増大し得る孔の寸法を最小化できる。いくつかの場合において、補助材は、例えば、シーラント、血液、接着剤など、更に治癒を促進する有益な流体を吸い上げる(wick)、又は吸収するように構成され得る。また、いくつかの場合において、補助材は、分解して、例えば、シーラントなど、更に治癒を促進するゲルを形成するように構成され得る。いくつかの場合には、補助材が、組織、血管、及び種々の他の対象物又は身体部位に植え込まれるときに、ステープルによって形成される孔の封止の支援に使用されてもよい。また、補助材は、補助材に関連付けられた任意のファイバ又はストランドの間隔、配置、及び/又は配向により、組織成長に影響を及ぼしてもよい。
【0030】
上記のように、様々な植え込み可能な補助材が、手術用ステープル留め器具と共に使用するのに提供される。補助材は、様々な構成を有することができ、様々な材料から形成されることができる。一般的に、補助材は、1つ又は2つ以上のフィルム、発泡体、射出成形熱可塑性材料、真空熱成形材料、繊維性構造体、及びそれらのハイブリッドから形成され得る。また、補助材は、1つ又は2つ以上の生物由来材料及び1つ又は2つ以上の薬物も含み得る。これらの材料はそれぞれ、以下により詳細に説明される。
【0031】
補助材は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体、又はスポンジから形成され得る。このような補助材を製造し得る方法の例は、動物由来コラーゲン、例えば、ブタの腱からのものであり、次いで、これが処理され、発泡構造に凍結乾燥され得る。ゼラチンを使用し、発泡体に加工することもできる。様々な発泡補助材の例は、先で言及された米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)に更に記載されている。
【0032】
また、補助材は、以下に説明される任意の適切な材料又はその組み合わせから形成されたフィルムからも形成され得る。フィルムは、1つ又は2つ以上の層を含むことができ、各層は、異なる分解速度を有することができる。更に、フィルムは、内部に形成された様々な領域、例えば、多くの異なる形態において、1つ又は2つ以上の薬剤を内部に放出可能に保持することができるリザーバを有することができる。内部に配置された少なくとも1つの薬剤を有するリザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含み得る、1つ又は2つ以上の異なるコーティング層を使用して封止され得る。フィルムは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、押出成形フィルム又は圧縮成形フィルムであり得る。薬剤はまた、フィルム上に吸着されてもよく、又は水素結合などの非共有相互作用を介してフィルムに結合され得る。
【0033】
また、補助材は、射出成形熱可塑性材料又は真空熱成形材料からも形成され得る。様々な成形補助材の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0221065号(発明の名称「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」、2013年2月8日付けで出願)に更に記載されている。また、補助材は、織布、編地、又は、メルトブロー、ニードルパンチ、若しくは熱構成ルーズ織布などの不織布であり得る、ファイバベース格子であることもできる。補助材は、多くの異なる方法で共に補助材を形成し得る、同じ種類の格子又は異なる種類の格子から形成され得る、複数の領域を有し得る。例えば、ファイバは、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編み組まれ、編まれ、又は他の方法で相互に結び付けられ得る。得られた補助材が比較的緩くなるように、ファイバは、相互に結び付けられ得る。あるいは、補助材は、密に相互に結び付けられたファイバを含み得る。補助材は、シート、チューブ、螺旋、又は、柔らかい部分及び/又はより硬い補強部分を含み得る任意の他の構造の形態であり得る。補助材は、特定の領域がより密なファイバを有することができ、一方で、他の領域がより密でないファイバを有するように構成され得る。ファイバ密度は、補助材の意図した用途に基づいて、補助材の1つ又は2つ以上の次元に沿って、異なる方向で変わり得る。更に、いくつかの状況では、補助材は、ステープルによって加えられた圧力を分散させるのに有用であり得、それによって、ステープルが組織を通って引き寄せられ(崩れやすい場合がある)、意図したように組織を締結する(いわゆる「チーズワイヤリング(cheese wiring)」)ことに失敗する可能性を低減する。加えて、補助材は、少なくとも部分的に伸張可能であり得、そのため、組織の少なくとも部分的な自然運動(例えば、呼吸中の肺組織の膨張及び収縮)を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ステープルラインは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第No.2016/0089142号(発明の名称「Method For Creating a Flexible Staple Line」、2014年9月26日付けで出願)に記載されているように可撓性であり得る。補助材は、織られた、編まれた、又は別様に、相互接続されたファイバから形成することができ、補助材が伸張することを可能にする。例えば、補助材は、その長手方向軸に沿った方向、及び/又は長手方向軸に垂直な横方向に延伸するように構成され得る。少なくとも2つの寸法(例えば、X及びY方向)に伸張可能でありながら、補助材は、その厚さに沿って(例えば、Z方向に)補強を提供することができ、そのため、補助材は、伸張するが、ステープルによる引き裂き及び引き抜きに抵抗する。補助材が組織と共に伸張することができるように埋め込まれるように構成された補助材の非限定的な例は、上述の、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第No.2016/0089142号(発明の名称「Method For Creating a Flexible Staple Line」、2014年9月26日付けで出願)に記載されている。
【0034】
また、補助材は、積層複合材又はメルトロック相互結合ファイバなどのハイブリッド構造であることもできる。様々なハイブリッド構造の補助材の例は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,282,962号(発明の名称「Adhesive Film Laminate」、2013年2月8日付けで出願)及び米国特許第7,601,118号(発明の名称「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」、2007年9月12日付けで出願)に更に記載されている。
【0035】
記載される技術に基づく補助材は、様々な材料から形成され得る。材料は、異なる目的での様々な実施形態に使用され得る。材料は、組織内方成長を促進するために、組織に送達されるべき所望の治療に従って選択され得る。材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含めた、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含み得る。生体吸収性ポリマーは、吸収性、再吸収性、生体吸収性、又は生分解性ポリマーであり得る。また、補助材は、活性剤、例えば、活性な細胞培養物(例えば、ダイス状の自家組織、幹細胞療法に使用される作用剤(例えば、Biosutures及びCellerix S.L.)、止血剤、及び組織治癒剤も含み得る。
【0036】
補助材は、多数の異なる薬剤から選択され得る少なくとも1つの薬剤を中に解放可能に保持することができる。薬剤としては、所望の機能を有する、補助材内に含まれ、又は、その補助材に関連付けられた薬物又は他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤としては、例えば、抗菌剤、例えば、抗細菌剤及び抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、麻酔剤、組織マトリックス変性阻害剤、抗ガン剤、止血剤、及び生物学的応答を引き起こす他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。補助材はまた、例えば、エコー材料、又は放射線不透過性材料などの、撮像中の可視性を向上させる化学物質から作製されてもよく、又はそれを含むことができる。
【0037】
補助材から薬剤を解放するための様々な補助材及び様々な技術の例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第14/840,613号(発明の名称「Medicant Eluting Adjuncts and Methods of Using Medicant Eluting Adjuncts」、2015年8月31日付けで出願)に更に記載されている。
【0038】
手術用ステープラなどの様々な外科用デバイスを有するバットレス、補助材、及び/又は薬剤の使用は、上述のように、エンドエフェクタの少なくとも1つの組織接触表面に補助材を取り付けること及び組織接触表面から補助材を解放することを必要とする場合がある。補助材をエンドエフェクタに取り付け、補助材をエンドエフェクタから解放することは、様々な技術によって達成することができる。図5図7は、補助材解放機構を有するエンドエフェクタ100の一実施形態を示す。図5は、上述の手術用ステープラ10、50などの手術用器具の遠位端上に配設され得る、エンドエフェクタ100の下部ジョー101の一部を示す。下部ジョー101は、ステープルカートリッジ40と同様に、下部ジョー上に配設されたカートリッジ102を有することができ、カートリッジ102は、上記のバットレス、補助材、及び/又は薬剤のうちの1つ又は2つ以上などの、上部に配設された補助材104(補助材104の一部のみが示されている)を有する組織に面する表面106を有する。
【0039】
カートリッジ102は、組織に面する表面106内に形成されたステープル空洞108内に配設されたステープルを有することができる。組織に面する表面106はまた、その表面が内部を通って遠位方向に移動する際、ナイフブレード36と同様に、切断要素を受容するように構成されたチャネル112を有することができる。1つ又は2つ以上の接続空洞110は、補助材をカートリッジ102に取り付けるためにステープル空洞108の間に延在し、かつステープル空洞108を接続することができる。接続空洞110は、凹部又は穴の形態であってもよく、様々な構成及び形状を有することができる。例えば、接続空洞110は、ほぼ楕円形の形状であり、ステープル空洞108よりも小さい場合がある。他の実施形態では、空洞は、円形、正方形、矩形、三次元形状などであってもよく、それらは、ステープル空洞108に対してサイズがより大きく、サイズが等しく、又はサイズの組み合わせであってもよい。空洞110は、ステープル空洞108の列の間に配設することができる。しかしながら、接続空洞110は、各ステープル空洞に隣接する接続空洞110を有する各ステープル空洞108など、任意の数の構成を有することができる。接続空洞110は、組織に面する表面106上のステープル空洞108に隣接して形成されるが、他の場所に形成される場合もある。例えば、空洞は、トレイ37と同様に、カートリッジとトレイとの境界面に形成することができ、そのため空洞の内側表面の一部がカートリッジの表面であり、別の部分がトレイの表面である。更に、補助材を取り付ける及び分離するための接続空洞は、カートリッジの組織に面する表面に限定される必要はない。例えば、接続空洞は、カートリッジの組織に面する表面の縁部に沿って形成することができ、そのため、エンドエフェクタが組み立てられると、接続空洞の一部は、ステープルトレイ37と同様のステープルトレイによって形成されるであろう。代替的に、接続空洞ではなく、カートリッジの組織に面する表面とトレイとの間にチャネルを形成することができる。補助材の部分は、製造中、又は使用前の任意の時点でチャネルに押し込まれてもよく、又はチャネルの近位の場所で組織に面する表面に接着させることができる。そのような実施形態では、カートリッジの組織に面する表面の最も外側の縁部付近のドライバは、補助材解放機構を有することができ、そのため補助材の部分は、チャネルから押し出され、及び/又は発射中に補助材とカートリッジとの間のチャネルに沿って接着結合を破壊する。
【0040】
補助材104は、組織に面する表面106上に解放可能に保持されるように構成され得る。補助材104は、組織に面する表面106に接触する表面上に配設された突出部又はタブを有することができ、突出部は、接続空洞110へと延在し、かつ接続空洞110と係合するように構成され得る。補助材104は、様々な手段を介して組織に面する表面106と係合するように構成され得る。例えば、補助材上の突出部は、接続空洞内に受容され、摩擦嵌合アタッチメントに起因してしっかりと取り付けられ得る。このような実施例では、補助材は、フィルムを押し出すことによって作製することができ、そのためカートリッジの組織に面する表面上の接続空洞の場所に対応する所定の場所において突出部を有する。他の実施形態では、補助材は、VICRYL(登録商標)(ポリグラクチン910)材料から作製することができ、ポリジオキサノン(polydioxanone、PDS)で作製された1つ又は2つ以上のバッキング層を含むことができる。1つ又は2つ以上のPDS層は、VICRYL(登録商標)材料に融合することができ、1つ又は2つ以上のPDS層は、接続空洞へと延在し、かつ接続空洞と嵌合するように構成され得る突出部を含むことができる。加えて、又は代替的に、補助材は、シアノアクリレートなどの接着剤を使用して組織に面する表面と係合することができる。
【0041】
カートリッジ102は、ステープルドライバ48と同様に、カートリッジ内に移動可能に配設された1つ又は2つ以上のステープルドライバ200、300を有することができる。ステープルドライバ200、300は、ステープル空洞108を通って上向きに移動して、カートリッジ102内の複数のステープルの各々に上向きの力を適用するように構成され得る。図6に示されたステープルドライバ200は、ステープル部分202を有することができ、ステープル部分202は、その上の上端に形成されたステープルチャネル208を有することができ、ステープルドライバ48と同様に、ステープルを内部に着座させるように構成され得る。ドライバ200はまた、ステープル部分202の側面に取り付けられ、略L字形の構成を有する補助材解放機構203を有することができる。補助材解放機構203は、ステープル部分202を補助材解放機構203に接続する接続要素204を有することができる。ポスト206は、接続要素204に取り付けることができ、ステープル部分202のステープルチャネル208と同じ方向に上向きに延在することができる。接続要素204は、楔形スレッド47と同様に、楔形スレッドに接触するように構成された上向きの角度付き底部205を有して、ドライバ200の上向きの移動及びステープルの発射を可能にする。ポスト206は、図6に示されるような矩形形状、円筒形状、正方形などの様々な形状を有することができる。例示的な実施形態では、ポスト206は、接続空洞110の形状に対応する形状を有し、そのためポスト206は接続空洞110内に受容され得る。
【0042】
図7は、ステープルドライバ200と同様に構成され得る、ステープルドライバ300の別の実施形態を示す。しかしながら、ステープルドライバ300は、ステープル部分302、303の上端にそれぞれ配設されたステープルチャネル308、310を有するステープル部分202と同様の第1のステープル部分302、及び第2のステープル部分303を有することができる。各ステープルチャネル308、310は、ステープルを中に着座させるように構成され得、ステープルドライバ300は、2つのステープルを同時に発射するように構成され得る。第1のステープル部分302及び第2のステープル部分303は、それらの間に結合された補助材解放機構304を有し得る。補助材解放機構304は、接続要素305及びポスト306を含むことができる。接続要素305は、2つのステープル部分302、303の間に延在し、かつ2つのステープル部分302、303を接続し、楔形スレッド47と同様に楔形スレッドに接触するように構成された上向きの角度付き底部309を有して、ドライバ300の上向きの移動及びステープルの発射を可能にする。ポスト306は、接続要素305に取り付けられ、ステープルチャネル308、310と同じ方向に上向きに延在する。ポスト306は、図6に示されるような矩形形状、円筒形状、正方形などの様々な形状を有することができる。例示的な実施形態では、ポスト306は、接続空洞110の形状に対応する形状を有し、そのためポスト306は、接続空洞110内に受容され得る。
【0043】
図示したステープルドライバ200、300は、ステープル部分と補助材解放機構との間に接続要素を有しながら、複数のステープルドライバを接続するために様々な接続を使用することができる。例えば、2つの接続要素を使用して、3つのステープルドライバを接続することができる。当業者であれば、接続要素は、複数の補助材解放機構を含むことができ、複数の接続要素は、複数のステープルドライバを接続するために、並列又は直列に使用することができ、補助材解放機構は、任意の数の幾何学的形状を有し得ることを理解するであろう。例えば、補助材解放機構は、湾曲していてもよく、又は正方形、円形、三角形などの断面を有することができる。加えて、補助材解放機構の全てが均一ではない可能性がある。補助材解放機構は、同様に、鋭い特徴部を有することができる。例えば、分離特徴部は、カートリッジの組織に面する表面から残りを分離するために補助材の小さい部分を切り取ることができるように、鋭利にすることができる。
【0044】
使用時に、ステープルドライバ200及び/又は300は、カートリッジ102内に配設され、ステープル空洞108及び接続空洞110と整列することができ、そのためステープルチャネル208、308、310は、ステープル空洞108と整列され、ポスト206、306は、接続空洞110と整列される。カートリッジ102は、ステープルを装填することができる。補助材104は、例えば、接続空洞110内に複数の突出摩擦嵌合を有することによって、組織に面する表面106上に保持され得る。補助材104は、製造中、又は使用のための調製中など、使用前の任意の時点で組織に面する表面106に適用することができ、アプリケータの使用によってなど、様々な技術を通して適用することができる。
【0045】
外科医は、手術用ステープラを適所に操作し、手術用ステープラ上のエンドエフェクタ100のジョーの間で組織をクランプすることができる。外科医は次いで、手術用ステープラを発射し、楔形スレッド47と同様に、スレッドをエンドエフェクタ100のカートリッジ102を通って遠位方向に移動させることができる。スレッドは、ステープルカートリッジ102内のステープル空洞108を通して、ステープルドライバ200、300のうちの1つ又は2つ以上を上向きに押すことができる。ステープルドライバ200、300の上向きの移動は、カートリッジ102内の複数のステープルの各々に上向きの力を適用して、それによってステープルを補助材104及び組織を通って、エンドエフェクタ100の上部ジョーのアンビル表面に抗して上向きに押して、ステープルを形成する。ステープルドライバ200、300の上向きの移動はまた、ポスト206、306を上向きに移動させる。ポスト206、306は、補助材104の突出部上に上向きの力を適用し、ポスト206、306の遠位端が空洞110に入る際に、突出部を接続空洞110から押し出す。突出部を空洞110から押し出すことにより、組織に面する表面106から補助材104が解放され、補助材は、ステープルによってエンドエフェクタ100により把持された組織に固定することができる。他の実施形態では、ポスト206、306は、接続空洞110から部分的にのみ突出部を押し出すように構成され得、ステープルが発射時に補助材104を完全に除去するように、十分に組織に面する表面106から補助材104を緩めるのに十分なものであり得る。様々な実施形態において、手術用ステープラの発射はまた、ステープルが発射され、補助材104が解放されている間、切断要素をチャネル112に沿ってカートリッジ102を通って組織に並進させることができる。
【0046】
補助材104は、上述のように、突出部によってカートリッジ102に取り付けられ得るが、補助材は、様々な手段を介して手術用ステープラのカートリッジに取り付けられてもよい。例えば、図8は、カートリッジ402と、接着剤によってそのカートリッジに固定された補助材404とを有するエンドエフェクタ400を示す。エンドエフェクタ400は、概して機能することができ、エンドエフェクタ100と同様の構成要素を含むことができる。例えば、エンドエフェクタ400は、アンビル(図示せず)を有する上部ジョーと、カートリッジ402が係合された下部ジョー401と、を含むことができる。
【0047】
カートリッジ402は、複数のステープル空洞408内に配設されたステープル416と、組織に面する表面406内に形成された複数の接続空洞410と、を有することができる。接続空洞410は、様々な構成及び形状を有することができる。例えば、接続空洞410は、ほぼ楕円形の形状であり、ステープル空洞408よりも小さい場合がある。他の実施形態では、接続空洞410は、円形、正方形、矩形などであってもよく、それらは、ステープル空洞408に対してサイズがより大きく、サイズが等しく、又はサイズの組み合わせであってもよい。接続空洞410は、ステープル空洞408の行の間に配設することができる。しかしながら、接続空洞410は、任意の数の構成を有することができる。
【0048】
補助材404は、組織に面する表面406上に解放可能に保持されるように構成され得、補助材404は、本明細書で論じる補助材のいずれかであり得る。補助材404は、組織に面する表面406に接触する表面上に配設された接着剤を有することができる。例えば、補助材404をカートリッジ402上に保持するように構成され得る接続空洞410の外側縁部の周りに、補助材404と組織に面する表面406との間の接着点405が存在する場合がある。しかしながら、格子パターンなどの、接着点405の様々な異なる配置が可能である。加えて、接着剤は、組織に面する表面406上に均一に広がることができる。シアノアクリレートなどの様々な接着剤を使用することができる。
【0049】
補助材が接着剤でカートリッジに取り付けられるとき、様々な実施形態において、接着剤がカートリッジに、例えば、切断要素チャネル又はステープル空洞内に漏出するのを防止することが望ましい場合がある。様々な補助材は、取り付けプロセス中にカートリッジへ、及び/又は具体的にはカートリッジの切断要素チャネルへの接着剤の漏れを防止又は阻止する特徴部を含むように構成され得る。一例として、接着点405は、カートリッジ404の組織に面する表面406に接触する補助材404の表面上に小さい円形の成形特徴部を含むことによって形成することができる。円形の成形特徴部は、接着剤液滴付着点を形成するためのリザーバとして機能して、シアノアクリレートなどの接着剤が、取り付け中にカートリッジ402及び/又は切断要素チャネルに入らないことを確実にする。他の実施形態では、接着剤は、補助材自体の内部に収容され得、又は接着剤用のリザーバは、補助材をカートリッジに適用するために使用されるアプリケータの一部であり得る。例えば、リザーバは、アプリケータ上の起動レバーをクランプする、又は引っ張ることの一部として破壊され得る。
【0050】
カートリッジ402は、カートリッジ402内の複数のステープル416の各々の上に上向きの力を適用するためにステープル空洞408を通って上向きに移動するように構成され得る、ステープルドライバ200、300と同様の、内部に移動可能に配設された1つ又は2つ以上のステープルドライバ411を有することができる。各ステープルドライバ411は、ステープル416を中に着座させるように構成された、ステープルチャネル413をその上端部に有することができるステープル部分412を有し得る。ドライバ411はまた、ステープル部分412の側面に取り付けられ、ステープル部分412に取り付けられ、ステープル部分412のステープルチャネル413と同じ方向に上向きに延在するポスト414を有する、補助材解放機構を有することができる。ステープルドライバ411は、楔形スレッド47と同様に、楔形スレッド420を受容するように構成され、ドライバ200の上向きの移動及びステープルの発射を可能にする、上向きに角度付き底部409を有することができる。ポスト414は、矩形形状、円筒形状、正方形形状などの様々な形状を有することができ、ポスト406は、接続空洞410内に受容されるように構成され得る。
【0051】
使用中、カートリッジ402は、内部に配設され、ステープル416を有して装填された複数のステープルドライバ411を有することができる。補助材404は、例えば、接続空洞410の外側縁部の周りで、補助材404と組織に面する表面406との間に複数の接着点405を有することによって、組織に面する表面406上に保持され得る。補助材404は、製造中、又は使用のための調製中など、使用前の任意の時点で組織に面する表面406に適用することができ、アプリケータの使用によってなど、様々な技術を通して適用することができる。外科医は、手術用ステープラを適所に操作し、手術用ステープラ上のエンドエフェクタ400のジョーの間で組織をクランプすることができる。外科医は次いで、手術用ステープラを発射し、スレッド420をエンドエフェクタ400のカートリッジ402を通って遠位方向に移動させることができる。スレッド420は、ステープルカートリッジ402内のステープル空洞408を通して、ステープルドライバ411のうちの1つ又は2つ以上を上向きに押すことができる。ステープルドライバ411の上向きの移動は、カートリッジ402内の複数のステープル416の各々上に上向きの力を適用し、それによって補助材404及び組織を通って、エンドエフェクタ400の上部ジョーのアンビル面に押し付けてステープルを押し上げ、ステープルを形成する。ステープルドライバ411の上向きの移動はまた、ポスト414を上向きに移動させる。ポスト414は、補助材404に上向きの力を適用することができ、ポスト414が接続空洞411を通って十分に移動すると、補助材404を上向きに移動させ、接着点405を破壊させる。例えば、接着点405は、ポスト414の最遠位端が組織に面する表面406の平面を横切るまでしっかりと保持することができる。補助材404と組織に面する表面406との間からの接着点405の破壊、亀裂、又は分離は、補助材404を組織に面する表面406から解放し、補助材404は、エンドエフェクタ400によって把持された組織にステープル416によって固定され得る。ポスト414の最遠位端は、組織に面する表面406の平面を横切ることができるが、ポスト414は、組織に面する表面406と同じ、又は下回って延在するのみであるように構成され得る。いくつかの実施形態では、手術用ステープラの発射はまた、ステープル416が発射され、補助材404が解放されている間、切断要素にカートリッジ402を通らせ、組織を切断させることもできる。
【0052】
補助材は、上記のように下部ジョーに取り付けられ得るが、補助材はまた、アンビルなどの上部ジョーの構成要素に取り付けられてもよい。上部ジョーは、図1図2に示されるものと同様であり得るが、補助材を着脱するための特徴部及び/又は構成要素を含むことができる。例えば、上部ジョーは、補助材をジョーから分離させるためにEビームによって駆動される、接続空洞及びドライバを含むように構成され得る。様々な実施形態において、ステープル留めが開始されるとき、下部ジョーの構成要素は、組織及び補助材を通してステープルを駆動するように機能することができ、一方、上部ジョー内のドライバは、アンビルから補助材を分離するように機能することができる。
【0053】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、デバイスの分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、デバイスを後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで再組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本願の範囲内にある。
【0054】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献はそれらの全容が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリであって、
カートリッジ本体であって、前記カートリッジ本体の組織に面する表面上に複数のステープル空洞を有し、各ステープル空洞が、組織内に配備されるように構成されている前記ステープル空洞内に配設されたステープルを有し、前記カートリッジ本体が、前記組織に面する表面上に複数の接続空洞を有する、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面上に配設された補助材と、
前記カートリッジ本体内に配設された複数のドライバであって、各ドライバが、前記ドライバ上に位置付けられた少なくとも1つの補助材解放機構を有し、そのため、前記複数のドライバは、前記複数のドライバが前記ステープルを配備するために前記ステープル空洞ステープル内に進行するとき、前記補助材を前記カートリッジ本体から分離させるように構成されている、複数のドライバと、を備える、ステープルカートリッジアセンブリ。
(2) 各接続空洞が、前記補助材の一部を中に受容するように構成されている、実施態様1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
(3) 前記補助材が、前記複数の接続空洞のうちの1つ又は2つ以上内に受容されるように構成され、かつ前記補助材を前記カートリッジ本体に取り付けるように構成された突出部を有する、実施態様1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
(4) 前記少なくとも1つの補助材解放機構が、前記複数の接続空洞のうちの1つへと延在するように構成されたポストを備える、実施態様1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
(5) 前記ポストが、前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面を越えて延在して、前記補助材を前記カートリッジ本体から分離させるように構成されている、実施態様4に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【0056】
(6) 前記補助材が、前記カートリッジ本体の前記組織に面する表面に接着剤で解放可能に取り付けられている、実施態様1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
(7) 前記接着剤が、シアノアクリレートである、実施態様6に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
(8) 手術用ステープル留め器具と共に使用するためのエンドエフェクタであって、
第1のジョーであって、ステープルを内部に着座させるように構成された複数のステープル空洞を有するステープルカートリッジと、前記カートリッジの組織に面する表面に取り付けられ、前記複数のステープル空洞の上に重なる補助材と、を有する、第1のジョーと、
第2のジョーであって、前記第2のジョーの組織に面する表面上に形成された複数のステープル形成空洞を有するアンビルを有し、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが、それらの間に前記組織をクランプするように構成されている、第2のジョーと、
複数のドライバであって、前記カートリッジ内に配設され、前記ステープル空洞を通って、前記補助材を通じて、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に係合された組織内に複数のステープルを配備し、かつ同時に前記補助材を前記カートリッジから分離させるように構成された、複数のドライバと、を備える、エンドエフェクタ。
(9) 前記補助材が、接着剤によって前記カートリッジの前記組織に面する表面に取り付けられている、実施態様8に記載のエンドエフェクタ。
(10) 前記カートリッジが、前記カートリッジの前記組織に面する表面内に形成された少なくとも1つの接続空洞を有し、前記補助材が、前記補助材を前記カートリッジに取り付けるために、前記少なくとも1つの接続空洞へと延在する、前記補助材上に形成された少なくとも1つの突出部を有する、実施態様8に記載のエンドエフェクタ。
【0057】
(11) 前記少なくとも1つの接続空洞の各々が、前記複数のドライバのうちの1つの一部を中に受容するように構成されている、実施態様10に記載のエンドエフェクタ。
(12) 前記複数のドライバの各々が、前記カートリッジの前記組織に面する表面を越えて延在して、前記補助材を前記カートリッジから分離させるように構成されているポストを有する、実施態様8に記載のエンドエフェクタ。
(13) 外科的方法であって、
手術用ステープラを患者の体内に進行させることであって、前記手術用ステープラが、前記手術用ステープラの遠位端における、第1のジョー及び第2のジョーを有するエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーに取り付けられた補助材と、を有する、進行させることと、
前記エンドエフェクタの前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間で組織を係合することと、
前記手術用ステープラを作動させて、複数のドライバに、前記第1のジョーから、前記補助材を通って、前記組織内に、前記ステープルを発射させ、かつ前記複数のドライバに前記補助材を前記第1のジョーから分離させることと、を含む、外科的方法。
(14) 前記手術用ステープラを作動させることにより、前記複数のドライバの各々上の解放部材が、前記第1のジョーの組織に面する表面内の接続空洞に入る、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記手術用ステープラを作動させることにより、前記解放部材が、前記接続空洞内に保持された前記補助材の一部を前記接続空洞から押し出して、前記補助材を前記第1のジョーから分離させる、実施態様14に記載の方法。
【0058】
(16) 前記手術用ステープラを作動させることにより、前記解放部材を前記補助材に係合させ、それによって、前記補助材と前記第1のジョーとの間の接着結合を破壊して、前記補助材を前記第1のジョーから分離させる、実施態様14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8