(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】非フェノール系顕色剤および感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20220328BHJP
B41M 5/327 20060101ALI20220328BHJP
C07C 311/60 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B41M5/333 220
B41M5/327 215
B41M5/327 210
C07C311/60
(21)【出願番号】P 2019564895
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2018062909
(87)【国際公開番号】W WO2018215287
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】102017111439.4
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516346355
【氏名又は名称】パピエルファブリーク・アウグスト・ケーラー・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ストーリング,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ステパット,マレン
【審査官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0004197(US,A1)
【文献】国際公開第2014/080615(WO,A1)
【文献】特開平09-272264(JP,A)
【文献】特開2017-209915(JP,A)
【文献】特開2009-234068(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02112000(EP,A1)
【文献】特表2005-518966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0255998(US,A1)
【文献】特表2019-527222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 311/00 - 311/65
B41M 5/28 - 5/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
(Ar
1-SO
2-NH-)
m-Y-(-NH-C(O)-NH-SO
2-Ar
2)
n(I)
[式中、
Ar
1は、非置換または置換芳香族基であり、
Ar
2は、非置換または置換フェニル基であり、
Yは、(m+n)個置換された
1つのベンゼン基またはナフタレン基であり、少なくとも1つのAr
2-SO
2-NH-C(O)-NH基が少なくとも1つのAr
1-SO
2-NH基に対してオルト位に存在するように置換されている]。
【請求項2】
m=1およびn≧1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが、1または2である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar
1が、非置換もしくは置換フェニル基または非置換もしくは置換2-ナフチル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Ar
1が、非置換フェニルまたは一置換フェニル基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
一置換フェニル基が、C
1~C
5アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、RO、ハロゲン、ホルミル、ROC、RO
2C、CN、NO
2、R-SO
2O、RO-SO
2、R-NH-SO
2、R-SO
2-NH、R-NH-CO-NH、R-SO
2-NH-CO-NH、R-NH-CO-NH-SO
2またはR-CO-NH基で置換されており、式中、Rは、C
1~C
5アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、トリルまたはベンジル基
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Ar
2が、非置換フェニル基または一置換フェニル基
で置換されているフェニル基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Ar
1が、非置換フェニル基または一置換フェニル基であり、Ar
2が、非置換フェニル基または一置換フェニル基であり、Yが、(m+n)個置換されたベンゼン基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
担体基材と少なくとも1種の発色剤および少なくとも1種のフェノール不含顕色剤を含有する感熱発色層とを含む感熱記録材料であって、少なくとも1種の顕色剤
が式(I´)の化合物である、感熱記録材料。
(Ar
1
-SO
2
-NH-)
m
-Y-(-NH-C(O)-NH-SO
2
-Ar
2
)
n
(I´)
[式中、
Ar
1
は、非置換または置換芳香族基であり、
Ar
2
は、非置換または置換フェニル基であり、
Yは、(m+n)個置換された少なくとも1つのベンゼン基またはナフタレン基であり、少なくとも1つのAr
2
-SO
2
-NH-C(O)-NH基が少なくとも1つのAr
1
-SO
2
-NH基に対してオルト位に存在するように置換されている]。
【請求項10】
少なくとも1種の発色剤が、トリフェニルメタン型、フルオラン型、アザフタリド型および/またはフルオレン型の色素である、請求項9に記載の感熱記録材料。
【請求項11】
式(I)の化合物に加えて、1種または複数の別の非フェノール系顕色剤も存在する、請求項9または10に記載の感熱記録材料。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物が、感熱層の全固形分に対して
3~35重量%の量で存在する、請求項9~11のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項13】
感熱発色層が、一般式(II)の尿素ウレタン化合物を含有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【化5】
【請求項14】
感熱発色層の出発物質を含有する水性懸濁液が、担体基材に塗布され、乾燥され、塗布される水性懸濁液は、
20~75重量%
の固形分を有するものであり、カーテン被覆プロセスを使用して、少なくとも
400m/分
の被覆設備の作業速度で塗布され、乾燥される、請求項9~13のいずれか一項に記載の感熱記録材料を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕色剤、担体基材と少なくとも1種の発色剤および少なくとも1種のフェノール不含顕色剤を含有する感熱発色層とを含む感熱記録材料、およびその生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直接熱印刷のための、感熱発色層(熱反応層)が担体基材に塗布されている感熱記録材料が公知となってから久しい。発色剤および顕色剤は、通常感熱発色層中に存在し、熱の作用を受けて互いに反応し、したがって顕色する。(ビス)フェノール顕色剤が使用されることが多い。感熱発色層に非フェノール系顕色剤を含有する感熱記録材料も公知である。これらの材料は、特に印刷された感熱記録材料がより長い時間にわたって貯蔵されるときまたは可塑剤含有材料もしくは油などの疎水性物質と接触するときにも印刷されたテキストの耐性を改善するために開発された。特に(ビス)フェノール系薬品の潜在的毒性に関する公の議論を背景に、非フェノール系顕色剤に対する関心が大きく高まってきた。この点で、目的は、フェノール系顕色剤の毒性学的に不利な点を回避することであったが、フェノール系顕色剤を用いて達成することができる技術的性能特性は、少なくとも維持され、好ましくは向上されるべきである。
【0003】
非フェノール系顕色剤に関して先行技術により、これらの材料の幅広い化学的多様性にもかかわらず共通する構造的特徴を特定することができる。
【0004】
したがって、1,3-二置換ウレイド部分構造(Y-NH-CO-NH-Z)は、多数の非フェノール系顕色剤の共通する特徴である。基YおよびZの適切な選択により、顕色剤としての適性にとって重要性をもつ機能的特性を調節することができる。
【0005】
スルホニル-尿素構造(-SO2-NH-CO-NH-)を有する顕色剤は、比較的容易に生成することができるので広く受け入れられており、それらを使用して生成される感熱記録材料は良好な塗布特性を有する。
【0006】
EP0526072A1は、次式の芳香族スルホニル-(チオ)尿素化合物
Ar’-SO2-NH-C(X)-NH-Ar
[式中、X=OまたはSであり、ArおよびAr’は芳香族基である]のクラスからの顕色剤を開示する。
【0007】
これらの顕色剤を使用して、改善されたテキスト永続性を特徴とする感熱記録材料を生成することができる。これらの顕色剤をベースにする感熱記録材料は、感熱発色層の配合の適切な組成を用いて、市販のサーマルプリンタを使用して高印刷濃度を生じることが比較的容易であるように、良好な表面白色度と共に使用可能な熱印刷感度も有する。
【0008】
WO0035679A1には、上記の式の芳香族およびヘテロ芳香族スルホニル-(チオ)尿素化合物(X=SまたはO)ならびに/またはスルホニルグアニジン(X=NH)[式中、Arは、2価のリンカー基により更なる芳香族基に連結されている]が開示されている。実際に広く使用されているこのクラスからの非フェノール系顕色剤である4-メチル-N-(((3-(((4-メチルフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)アミノ)カルボニル)ベンゼンスルホンアミド(販売名Pergafast 201(登録商標)、BASF社)は、この顕色剤を用いて生成された感熱記録材料の塗布特性の均衡を特徴とする。特に、それらは、良好な動的応答感度および印刷の疎水性物質に対する許容できる耐性を有する。
【0009】
2価または多価リンカー基Aを介して連結しているスルホニル尿素単位、例えば次式のビス-スルホニル尿素化合物
(Ar-SO2-NH-C(O)-NH-)2A
[式中、Arは、芳香族基である]も何度も顕色剤として述べられている(EP0535887A1、EP0542556A1、EP0604832B1、EP0620122A1およびEP1044824A2を参照のこと)。
【0010】
実際には、とりわけN,N’-(メチレンビス(4,1-フェニレンイミノカルボニル))ビス(4-メチル-ベンゼンスルホンアミド)(B-TUM)が認められている(A=CH2、Ar=4-メチルフェニル)。
【0011】
スルホニル尿素構造とN-スルホニル(チオ)ウレタン基との次式の組合せ
(Ar-SO2-NH-C(O)-NH-)n(Ar-SO2-NH-C(O)-X-)mA
[式中、Arは、芳香族基であり、Aは、(m+n)価の有機リンカー基であり、X=OまたはSである]は、JPH0664335の対象である。
【0012】
これらの顕色剤を使用して生成された感熱記録材料について、印刷されたテキストの疎水性作用剤に対する耐性が増加することが述べられている。しかし、合成によるこれらの顕色剤へのアクセスは、特に化学的に均一な物質が望まれている場合、問題となる。
【0013】
JPH0958242では、次式の顕色剤
R-SO2-NH-C(X)-NH-C6H4-SO2-NH2
を得るために、スルホニル樹脂部分構造と第一級スルホンアミド基が組み合わされている。
【0014】
JPH11-263067は、芳香族リンカー単位を介して連結された(チオ)尿素とスルホニル(チオ)尿素部分構造から形成された次式の顕色剤
Ar1-NH-C(X)-NH-A-SO2-NH-C(X)-NH-Ar2
[式中、X=OまたはSであり、Ar1およびAr2は芳香族基である]を開示する。
【0015】
スルホニル尿素の化学的性質をベースにし、非フェノール系顕色剤を用いて得られた感熱記録材料の共通する特徴は、それらが、いくつかの用途に関連する特性については良好な性能レベルを明示するが、他の特性については欠点を呈することである。
【0016】
例えば、印刷の疎水性物質に対する高耐性は、部分的に極めて特定の溶融補助剤(特定の熱溶媒または特定の増感剤)を大量に使用することによってのみ効果的に改善することができる、サーマルプリンタにおける中程度の応答感度(動的感度)に関連付けられることが多い。
【0017】
一方、いくつかの非フェノール系顕色剤を用いて、高い動的感度値を容易に達成することができるが、印刷されたテキストの耐性は中程度にすぎない。この欠点は、老化阻害剤(安定剤)の助けによって克服することができる。しかし、この克服は、記録層の配合がより複雑でよりコストがかかるという代償を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、先行技術の上記の不利な点を克服することである。特に、本発明の目的は、高い動的感度(サーマルプリンタにおける高応答感度)を有し、他の用途に関連する性能特徴については、老化阻害剤または特定の溶融補助剤など利用可能性を制限し、コストがかかる感熱性機能層の特定の配合成分に依存することなく、少なくとも先行技術の非フェノール系顕色剤をベースにする記録材料のレベルを達成する、感熱記録材料を提供することである。本発明の第一の目的は、記録材料の開始温度(静電感度)に望ましくない効果をいずれも及ぼすことなく、画像の高印刷濃度を可能にする顕色剤を提供することであった。同時に、先行技術と比べて、感熱記録材料の印刷されたテキストの特に疎水性作用剤に対する耐性は良好であることが達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、本発明において請求項9に記載の感熱記録材料における請求項1に記載の化合物の使用により対処される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
驚くべきことに、式(I)の特定の置換パターンの顕色剤を用いると、高い動的感度を特徴とし、同じ化合物クラスの顕色剤の他の置換パターンを用いた感熱記録材料の匹敵する配合では生成することができない感熱記録材料を得られることが判明した。本発明による顕色剤を用いて生成された記録材料は、少なくとも先行技術の耐性に相当する、印刷されたテキストの疎水性作用剤に対する良好な耐性も有する。
【0021】
請求項1に記載の化合物は、式(I)
Ar1(SO2-NH-)m-Y-(-NH-C(O)-NH-SO2-Ar2)n (I)
を有し、式中、
Ar1は、非置換または置換芳香族基であり、
Ar2は、非置換または置換フェニル基であり、
Yは、(m+n)個置換された少なくとも1つのベンゼン基またはナフタレン基であり、少なくとも1つのAr2-SO2-NH-C(O)-NH基が少なくとも1つのAr1-SO2-NH基に対してオルト位、すなわち1,2位に存在するように置換されている。
好ましくは、mは、1であり、nは、1以上である。
好ましくは、nは、1であり、mは、1または2である。
【0022】
好ましくは、Ar1は、非置換もしくは置換フェニル基または非置換もしくは置換2-ナフチル基である。
特に好ましくは、Ar1は、非置換フェニルまたは一置換フェニル基である。
一置換フェニル基は、好ましくはC1~C5アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、RO、ハロゲン、ホルミル、ROC、RO2C、CN、NO2、R-SO2O、RO-SO2、R-NH-SO2、R-SO2-NH、R-NH-CO-NH、R-SO2-NH-CO-NH、R-NH-CO-NH-SO2またはR-CO-NH基で置換されており、式中、Rは、C1~C5アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、トリルまたはベンジル基、好ましくはフェニルまたはp-トリル基である。
好ましい置換基は、C1~C5アルキル、RO、ハロゲン、RO2C、R-SO2O、R-NH-CO-NHおよびR-SO2-NH-CO-NH基である。
【0023】
好ましくは、Ar2は、非置換フェニル基または一置換フェニル基、特にC1~C4アルキル基で置換されているフェニル基、特に好ましくはメチル基で置換されているフェニル基である。
【0024】
特に好ましい実施形態において、Ar1は、非置換フェニル基または一置換フェニル基であり、Ar2は、非置換フェニル基または一置換フェニル基であり、Yは、(m+n)個置換されたベンゼン基である。
【0025】
式(I)の特に好ましい化合物を以下の表1に示す。
【表1】
【0026】
本発明による式(I)の化合物は、それ自体公知の方法によって生成することができる。
以下の反応スキーム1は、本発明による式(I)の化合物の可能な合成経路を化合物I~XIXの例(表2を参照のこと)に基づいて示す。
【化1】
【0027】
以下の反応スキーム2は、本発明による式(I)の化合物の可能な合成経路を化合物XX~XXIXの例(表2を参照のこと)に基づいて示す。
【化2】
【0028】
本発明による式(I)の化合物に入る化合物XX(表2を参照のこと)は、2,6-ジニトロアニリンから出発して、まず以下の反応スキーム3に従って1,2-ジアミノ-3-ニトロベンゼンに変換し(V.Milata、J.Salon(nの上にハーチェク)、Org.Prep.Proceed.Int.、31(3)、347(1999年))、次いで記載の方法によって最終生成物に変換して生成することができる。
【化3】
【0029】
式(I)の化合物に関連して記載される好ましい実施形態は、同様にその生成方法のために適用される。
【0030】
既述の通り、本発明はまた、担体基材と、少なくとも1種の発色剤と、フェノール不含顕色剤を含有する感熱発色層とを含む感熱記録材料であって、少なくとも1種のフェノール不含顕色剤は上記の式(I)の化合物である感熱記録材料にも関する。
【0031】
式(I)の化合物は、好ましくは感熱層の全固形分に対して約3~約35重量%の量、特に好ましくは約10~約25重量%の量で存在する。
【0032】
担体基材の選択は重大ではない。しかし、紙、合成紙、および/またはプラスチックフィルムを担体基材として使用することが好ましい。
【0033】
更なる少なくとも1つの中間層が、担体基材と感熱層の間に場合によって設けられており、この更なる少なくとも1つの中間層の目的は、感熱層のために担体基材の表面平滑性を改善し、担体基材と感熱層の間の熱障壁を保証することである。有機中空ビーズ顔料および/または焼成カオリンが、好ましくはこの中間層において使用される。少なくとも1つの保護層および/または印刷適性を助長する少なくとも1つの層も、本発明による感熱記録材料に設けることができ、これらの層を基材の前側または後側に塗布することができる。
【0034】
発色剤の選択に関して、本発明は、どんな重要な制限も受けていない。しかし、発色剤は、好ましくはトリフェニルメタン型、フルオラン型、アザフタリド型および/またはフルオレン型の色素である。極めて特に好ましい発色剤は、フルオラン型色素である。というのは、その利用可能性および均衡のとれた塗布関連特性のために、魅力的な価格性能比を有する記録材料を提供することができるからである。
【0035】
フルオラン型の特に好ましい色素は下記である。
3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-(N-エチル-N-p-トルイジンアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、
3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-(シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、
3-N-n-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-メチルアニリノ)フルオラン、
3-N-n-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、
3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミン)-6-メチル-7-アニリノ-フルオラン、
3-(N-メチル-N-プロピルアミン)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-(N-エチル-N-エトキシプロピルアミン)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
3-(N-エチル-N-イソブチルアミン)-6-メチル-7-アニリノフルオランおよび/または
3-ジペンチルアミン-6-メチル-7-アニリノフルオラン
【0036】
発色剤は、本発明による記録材料の望ましい塗布特性が損なわれないことを条件として、個々の物質または2種以上の発色剤のいずれかの混合物として使用することができる。
【0037】
発色剤は、感熱層の全固形分に対して好ましくは約5~約30重量%の量、特に好ましくは約8~約20重量%の量で存在する。
【0038】
特定の塗布特性を制御するために、式(I)に入る化合物の少なくとも2つが顕色剤として感熱層中に存在する場合有利でありうる。
【0039】
同様に、式(I)の化合物に加えて、1種または複数の更なる(ビス)フェノール系または非フェノール系顕色剤が、感熱発色層中に存在することができる。
【0040】
少なくとも1種の発色剤および少なくとも1種の顕色剤に加えて、熱溶媒と呼ばれることもある1種または複数の増感剤が、感熱発色層中に存在することができ、これによって、熱印刷感度をより容易に制御することができるという利点を有する。
【0041】
融点が約90~約150℃であり、呈色錯体の形成に干渉することなく溶融状態で発色成分(発色剤および顕色剤)を溶解する結晶質が、有利な増感剤であると一般的に考えられる。
【0042】
増感剤は、好ましくはステアロアミド、ベヘナミドもしくはパルミトアミドなどの脂肪酸アミド、N,N’-エチレン-ビス-ステアリン酸アミドもしくはN,N’-エチレン-ビス-オレイン酸アミドなどのエチレン-ビス-脂肪酸アミド、N-(ヒドロキシメチル)ステアロアミド、N-ヒドロキシメチルパルミトアミドもしくはヒドロキシエチルステアロアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド、ポリエチレン蝋もしくはモンタン蝋などの蝋、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、安息香酸ベンジル-4-ベンジルオキシ、シュウ酸ジ-(4-メチルベンジル)、シュウ酸ジ-(4-クロロベンジル)もしくはシュウ酸ジ-(4-ベンジル)などのカルボン酸エステル、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ジ-(3-メチルフェノキシ)エタン、2-ベンジルオキシナフタレンもしくは1,4-ジエトキシナフタレンなどの芳香族エーテル、ジフェニルスルホンなどの芳香族スルホン、および/または、ベンゼンスルホンアニリドもしくはN-ベンジル-4-トルエンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミド、あるいは4-ベンジルビフェニルなどの芳香族炭化水素である。
【0043】
増感剤は、感熱層の全固形分に対して好ましくは約10~約40重量%の量、特に好ましくは約15~約25重量%の量で存在する。
【0044】
さらに好ましい実施形態において、発色剤、フェノール不含顕色剤および増感剤だけでなく、場合によって少なくとも1種の安定剤(老化阻害剤)も感熱発色層中に存在する。
【0045】
安定剤は、好ましくは立体障害フェノール、特に好ましくは1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシル-フェニル)ブタン、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1-ビス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチル-フェニル)ブタンで構成されている。
【0046】
一般式(II)の尿素-ウレタン化合物(商品UU)、または4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)-ジフェニルスルホン(販売名NTZ-95(登録商標)、日本曹達株式会社)もしくは一般式(III)のオリゴマーエーテル(販売名D90(登録商標)、日本曹達株式会社)などの4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン誘導エーテルは、本発明による記録材料中の安定剤としても使用可能である。
【化4】
一般式(II)の尿素ウレタン化合物が特に好ましい。
【0047】
安定剤は、好ましくは式(I)の化合物の少なくとも1種のフェノール不含顕色剤1重量部に対して0.2~0.5重量部の量で存在する。
【0048】
さらに好ましい実施形態において、少なくとも1種の結合剤が、感熱発色層中に存在する。この結合剤は、好ましくは水溶性デンプン、デンプン誘導体、デンプンをベースにしたEcoSphere(登録商標)型バイオラテックス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、部分または完全ケン化ポリビニルアルコール、化学修飾ポリビニルアルコールまたはスチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、アクリルアミド-(メタ)アクリラートコポリマー、アクリルアミド-アクリラート-メタクリラートターポリマー、ポリアクリラート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリラート-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルおよび/またはアクリロニトリル-ブタジエンコポリマーで構成されている。
【0049】
さらに好ましい実施形態において、少なくとも1種の分離剤(剥離剤)または滑剤が、感熱発色層中に存在する。これらの作用剤は、好ましくはステアリン酸亜鉛もしくはステアリン酸カルシウム、またはさらにベヘン酸塩などの脂肪酸金属塩、合成蝋、例えばステアリン酸アミドやベヘン酸アミドなどの脂肪酸アミドの形をした合成蝋、ステアリン酸メチロールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド、様々な融点を有するパラフィン蝋、様々な分子量を有するエステル蝋、様々な硬度のエチレン蝋、プロピレン蝋および/またはカルナウバ蝋もしくはモンタン蝋などの天然蝋である。
【0050】
分離剤は、感熱層の全固形分に対して好ましくは約1~約10重量%の量、特に好ましくは約3~約6重量%の量で存在する。
【0051】
さらに好ましい実施形態において、感熱発色層は顔料を含有する。これらを使用すると、とりわけ、熱印刷プロセスで生み出された化学的溶融物をこれらの表面に固定することができるという利点がある。感熱発色層の表面白色度および不透明度ならびに通常の印刷インキを用いた場合のその印刷適性も、顔料を介して制御することができる。最後に、顔料は、例えば比較的コストがかかる色付け機能薬品に対して「エキステンダー機能」を有する。
【0052】
特に適当な顔料は、合成および天然起源または両方の無機顔料、好ましくは粘土、沈降または天然炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、沈降および焼成シリカ(例えば、Aerodisp(登録商標)型)、珪藻土、炭酸マグネシウム、タルクであり、さらにスチレン/アクリラートコポリマー壁または尿素/ホルムアルデヒド縮合ポリマーを有する中空顔料などの有機顔料である。これらは、単独でまたはいずれかの混合物として使用することができる。
【0053】
顔料は、感熱層の全固形分に対して好ましくは約20~約50重量%の量、特に好ましくは約30~約40重量%の量で存在する。
【0054】
本発明による感熱記録材料の表面白色度を制御するために、蛍光増白剤を感熱発色層に組み込むことができる。これらは、好ましくはスチルベンである。
【0055】
いくつかの被覆特性を改善するためには、個々の例において、更なる構成要素、特に増粘剤および/または界面活性剤などのレオロジー助剤を本発明による感熱記録材料の記載の構成要素に加えることが好ましい。
【0056】
(乾燥)感熱層の面積塗布重量は、好ましくは約1~約10g/m2、好ましくは約3~約6g/m2である。
【0057】
特に好ましい実施形態において、感熱記録材料は、請求項9に記載のものであり、フルオラン型色素が発色剤として使用され、脂肪酸アミド、芳香族スルホンおよび/または芳香族エーテルを含む群から選択される増感手段がさらに存在する。この好ましい実施形態において、請求項1に記載のフェノール不含顕色剤が1重量部の発色剤に対して約1.5~約4重量部存在することも有利である。
【0058】
式(I)の化合物に関連して記載される好ましい実施形態は、本発明による感熱記録材料のためにも適用可能である。
【0059】
本発明による感熱記録材料は、公知の生成方法によって得ることができる。
【0060】
しかし、感熱発色層の出発物質を含有する水性懸濁液を担体基材に塗布し、乾燥する方法によって、本発明による記録材料を得ることが好ましく、塗布される水性懸濁液は、約20~約75重量%、好ましくは約30~約50重量%の固形分を有するものであり、カーテン被覆プロセスを使用して、少なくとも約400m/分の被覆設備の作業速度で塗布され、乾燥される。
この方法は、特に経済的側面から有利である。
【0061】
固形分値が約20重量%に達しない場合、大量の水を穏やかな乾燥によって短時間のうちに被覆から除去しなければならず、被覆速度に不利な効果を及ぼすので、費用効率が損なわれる。一方、固形分値が75重量%を超える場合、被覆プロセス時における被覆色カーテンの安定性を保証するために、技術的努力を増加させることになるだけである。
【0062】
カーテン被覆プロセスにおいて、被覆分散液の自由落下カーテンが形成される。自由落下により、薄膜(カーテン)の形で存在する被膜分散液を基材に「注ぎ」、被膜分散液を基材に塗布する。DE10196052T1は、カーテン被覆プロセスの、情報記録材料の生成における使用、とりわけ感熱記録材料の生成における使用についても開示し、複数の被覆分散フィルムを含むカーテンを基材に(最高速度200m/分)塗布することによって、多層記録層が生成される。
【0063】
被覆設備の作業速度の設定を少なくとも400m/分にすると、経済的利点と技術的利点の両方がある。作業速度は、好ましくは少なくとも約750m/分、特に好ましくは少なくとも約1000m/分、極めて特に好ましくは少なくとも約1500m/分である。特に、最後に述べた速度でさえ、得られた感熱記録材料は全く損なわれず、これらの高速度でさえ、作業は最適であることは驚くべきことであった。
【0064】
本発明による方法の好ましい実施形態において、塗布される脱気水性懸濁液の粘度は、約150~約800mPa(ブルックフィールド、100rpm、20℃)である。約150mPaの値に達しないまたは約800mPaの値を超える場合、被覆装置における被覆化合物の取扱いが欠陥のあるものとなる。塗布される脱気水性懸濁液の粘度は、特に好ましくは約200~約500mPaである。
【0065】
好ましい実施形態において、方法を最適化するために、塗布される水性懸濁液の表面張力を(Du Nouy(uの上にウムラウト)、DIN 53914に準拠する静電リング法に従って測定して)、約25~約60mN/m、好ましくは約35~約50mN/mに設定することができる。
【0066】
感熱発色層は、オンラインで、または別個の被覆プロセスにおいてオフラインで形成することができる。これは、続いて塗布された層または中間層のいずれについても当てはまる。
【0067】
乾燥感熱発色層を平滑化処置にかける場合有利である。ここで、ISO 5627:1995-03に従って測定されるベック平滑度が、約100~約1000秒、好ましくは約250~約600秒に設定されている場合有利である。
【0068】
ISO 8791-4:2008-05に準拠する表面粗さ(PPS)は、好ましくは約0.50~約2.50μmの範囲、特に好ましくは1.00~2.00μmの範囲にある。
【0069】
式(I)の化合物に関連して記載される好ましい実施形態は、本発明による感熱記録材料を生成する本発明による方法のためにも適用可能である。
【0070】
本発明はまた、上記の方法によって得られうる感熱記録材料にも関する。
【0071】
上記の方法は、経済的側面から有利であり、被覆設備において、1500m/分より高速でさえ方法生成物、すなわち本発明による感熱記録材料に支障をきたすことはなく、急速に行うことが可能になる。方法はオンラインおよびオフラインで行うことができ、これによって、望ましい柔軟性が得られる。
【0072】
本発明による感熱記録材料は、好ましくはフェノールを含まず、POS(販売時点情報管理)、ラベル表示および/またはチケット発行用途に好都合である。直接熱印刷で印刷することができ、記録された画像の高耐性を、印刷されたテキストを、可塑剤、接着剤、脂肪性または油性物質などの疎水性物質と接触させる場合に必要とする、駐車用チケット、旅行用チケット、入場カード、ならびにくじおよび賭け用紙片などの生成にも適している。
【0073】
驚くべきことに、本発明による式(I)の顕色剤を用いて、印刷されたテキストの疎水性物質に対する優れた耐性を特徴とし、印刷画像の良好な品質(印刷画像の高い光学濃度)を達成できる感熱記録材料を得ることが可能であることが判明した。
【0074】
先行技術による非フェノール系顕色剤、具体的にはスルホニル尿素(Pergafast 201(登録商標)(PF201)、BASF)および尿素誘導体Z(N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド)を、比較顕色剤として使用した。
非限定的な実施例に基づいて、以下に本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0075】
本発明による式(I)の化合物の生成
化合物I~XXIV(表2)を以下の通り生成した。
【0076】
ステップA1-スルホンアミドの調製
対応するスルホニルクロリド(10mmol)のジクロロメタン(75mL)溶液を、撹拌下に0℃で芳香族ジアミン(20mmol)およびピリジン(20mmol)のジクロロメタン(125mL)溶液に滴下して加えた。反応液を室温で16時間撹拌した後、水(100mL)を添加した。有機相を分離し、5%水酸化ナトリウム水溶液(250mL)と混合した。水性相をジクロロメタン(100mL)で洗浄し、25%塩酸を添加することによって中性にした。ジクロロメタン(100mL)で複数回抽出した後、有機相を合わせて、水(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した後、スルホンアミドが固体として残った。スルホンアミドをさらに精製することなく、ステップBまたはCで使用した。
水を反応液に添加した後、単純な濾過を行うことは、生成物IXおよびXIIの前駆体化合物を回収するのに十分であった。
【0077】
ステップA2-スルホンアミドの調製
対応するスルホニルクロリド(80mmol)のジクロロエタン(150mL)溶液を、撹拌下に室温で芳香族アミン(80mmol)および炭酸カリウム(240mmol)のジクロロエタン(500mL)溶液に滴下して加えた。反応混合物を6時間還流し、次いで酢酸エチル(300mL)および水(300mL)を添加した。25%塩酸を添加することによって、水性相を酸性にした。分液した。水性相を酢酸エチル(200mL)で複数回抽出した後、有機相を合わせて、水(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した後、スルホンアミドが固体として残った。スルホンアミドをさらに精製することなく、ステップBで使用した。
【0078】
ステップA3-スルホンアミドの調製
芳香族アミン(25.0mmol)の無水THF(35mL)溶液を、保護ガス気体中、撹拌下に0℃で水素化ナトリウム(油中60%)(27.5mmol)の無水THF(25mL)溶液に滴下して加えた。室温で2時間撹拌した後、対応するスルホニルクロリド(25.0mmol)の無水THF(10mL)溶液を撹拌下に0℃で滴下して加えた。反応液を室温で40時間撹拌し、次いで水(100mL)およびジクロロメタン(100mL)を添加した。5%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって、水性相をアルカリ性にした。分液した。水性相をジクロロメタン(100mL)で洗浄し、25%塩酸を添加することによって中性にした。ジクロロメタン(100mL)で複数回抽出した後、有機相を合わせて、水(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した後、スルホンアミドが固体として残った。スルホンアミドをさらに精製することなく、ステップBで使用した。
【0079】
ステップB-ニトロ基を還元して、第一級アミンを生成
ステップA1からの生成物(28.0mmol)またはステップA2/A3からの生成物(56.0mmol)SnCl2・2H2Oを、撹拌下に室温でステップA1/A2/A3からの生成物(8.0mmol)の酢酸エチル(140mL)溶液に添加した。反応液を還流した。反応過程を薄膜クロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)によってモニターした。反応が完了すると(約2~3時間)、混合物を酢酸エチル(70mL)で希釈し、10%炭酸カリウム水溶液を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。Sn化合物を濾過して取り除き、濾液中の水性相と有機相を分液した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(2回×100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した後、ジクロロメタンおよび数滴のn-ヘキサンから再結晶することによって精製を行った。
【0080】
ステップC1-スルホニル尿素化合物の調製
対応するスルホニルイソシアネート(7.0mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、撹拌下に室温でステップA1による生成物(7.0mmol)のジクロロメタン(20~40mL)(不十分な溶解度の場合はさらにアセトニトリル(10mL))溶液に滴下して加えた。反応を薄膜クロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)によってモニターした。反応が完了すると、沈降生成物を濾別し、ジクロロメタンで洗浄し、真空中で乾燥した。場合によっては、反応液を真空中で濃縮し、n-ヘキサンを数滴添加することによって結晶化が開始した。
【0081】
ステップC2-スルホニル尿素化合物の調製
対応するスルホニルイソシアネート(8.4mmol)のDMF(5~10mL)溶液を、撹拌下にステップBによる生成物(4.2mmol)のDMF(16mL)溶液に滴下して加えた。反応を薄膜クロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)によってモニターした。反応が完了すると、反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液(2回×100mL)で洗浄し、最後に水(100mL)で洗浄した。溶媒を真空中で除去した後、ジクロロメタンおよび数滴のn-ヘキサンから再結晶することによって精製を行った。
【0082】
化合物I~XIX(表2)は、対応するフェニレンジアミンから出発して、ステップA1およびC1の一般条項に従って調製した。
【0083】
化合物XX(表2)は、2,6-ジニトロアニリンから出発して、まず1,2-ジアミノ-3-ニトロベンゼンに変換し(反応スキーム3、V.Milata、J.Salon(nの上にハーチェク)、Org.Prep.Proceed.Int.、31(3)、347(1999年))、最後にステップA1、BおよびC2の一般条項に従って最終生成物に変換して生成した。
【0084】
化合物XXI~XXIV(表2)は、2,4-ジニトロアニリン(XXIおよびXXII)、4-ニトロ-1,2-フェニレンジアミン(XXIII)、および2,6-ジニトロアニリン(XXIV)から出発して、ステップA1(XXIII)、A2(XXIおよびXXII)、A3(XXIV)、B(XXI~XXIV)およびC2(XXI~XXIV)の一般条項に従って調製した。
【0085】
【0086】
分析データ:
I、C19H17N3O5S2、M=431.5、N-((2-(フェニルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 430.0 (14) [M-H]-, 273.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 247.0 (15) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
*H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.66 (1H, s), 9.60 (1H, s), 8.57 (1H, s), 8.01-7.99 (2H, m), 7.86 (1H, dd, J = 8.3, 1.3 Hz), 7.73-7.69 (1H, m), 7.68-7.62 (5H, m), 7.56-7.53 (2H, m), 7.16-7.12 (1H, m), 6.80 (1H, ddd, J = 8.9, 7.9, 1.4 Hz), 6.39 (1H, dd, J = 7.9, 1.1 Hz).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.12 (NHCONH), 139.78, 138.87, 135.56, 133.39, 133.01, 129.10, 129.03, 127.82, 127.27, 127.23, 127.08, 125.28, 123.15, 120.75.
【0087】
II、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-((2-(フェニルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (23) [M-H]-, 273.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 247.1 (21) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.58 (1H, s), 9.60 (1H, s), 8.56 (1H, s), 7.89-7.86 (3H, m), 7.68-7.66 (2H, m), 7.65-7.62 (1H, m), 7.56-7.53 (2H, m), 7.44- 7.43 (2H, m), 7.16-7.12 (1H, m), 6.79 (1H, ddd, J = 8.9, 7.7, 1.4 Hz), 6.38 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.16 (NHCONH), 143.93, 138.90, 136.95, 135.67, 133.02, 129.52, 129.05, 127.84, 127.37, 127.25, 127.10, 125.22, 123.08, 120.68, 21.00 (CH3).
【0088】
III、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-(2-(3-(フェニルスルホニル)ウレイド)フェニル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (17) [M-H]-, 287.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 261.1 (7) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.66 (1H, s), 9.51 (1H, s), 8.56 (1H, s), 8.01-7.99 (2H, m), 7.85 (1H, dd, J = 8.3, 1.4 Hz), 7.73-7.69 (1H, m), 7.66-7.63 (2H, m), 7.56-7.54 (2H, m), 7.35-7.33 (2H, m), 7.15-7.11 (1H, m), 6.81 (1H, ddd, 9.1, 7.7, 1.4 Hz), 6.43-6.42 (1H, m), 2.36 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.13 (NHCONH), 143.34, 139.80, 136.07, 135.48, 133.38, 129.47, 129.09, 127.70, 127.26, 127.18, 127.13, 125.43, 123.16, 120.73, 20.96 (CH3).
【0089】
IV、C21H21N3O5S2、M=459.5、N-((2-(トシルアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 458.1 (26) [M-H]-, 287.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 261.0 (10) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMS0-d6): δ (ppm) = 11.58 (1H, s), 9.50 (1H, s), 8.55 (1H, s), 7.89-7.85 (3H, m), 7.56-7.54 (2H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.35-7.33 (2H, m), 7.15-7.11 (1H, m), 6.80 (1H, ddd, J = 9.0, 7.7, 1.4 Hz), 6.43-6.41 (1H, m), 2.39 (3H, s), 2.36 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.15 (NHCONH), 143.88, 143.33, 136.98, 136.11, 135.59, 129.49, 129.45, 127.70, 127.36, 127.19, 127.15, 125.37, 123.07, 120.65, 20.98 (CH3), 20.94 (CH3).
【0090】
V、C24H27N3O5S2、M=501.6、N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)-4-tert-ブチルベンゼンスルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 500.1 (56) [M-H]-, 329.1 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.57 (1H, s), 9.53 (1H, s), 8.55 (1H, s), 7.89-7.87 (2H, m), 7.86-7.85 (1H, m), 7.62-7.60 (2H, m), 7.58-7.56 (2H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.14-7.11 (1H, m), 6.80-6.77 (1H, m), 6.42-6.40 (1H, m), 2.39 (3H, s), 1.28 (9H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 156.10, 149.16 (NHCONH), 143.89, 136.96, 136.15, 135.48, 129.51, 127.66, 127.35, 127.03, 127.03, 125.84, 125.44, 123.05, 120.68, 34.83 (C(CH3)3), 30.71 (C(CH3)3), 21.00 (CH3).
【0091】
VI、C23H25N3O5S2、M=487.6、N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)-2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 486.1 (37) [M-H]-, 315.1 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 289.1 (18) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.66 (1H, s), 9.26 (1H, s), 8.62 (1H, s), 7.89-7.87 (3H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.18-7.14 (1H, m), 6.98 (2H, s), 6.77 (1H, ddd, J = 9.0, 7.7, 1.4 Hz), 6.26 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 2.39 (3H, s), 2.29 (6H, s), 2.24 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.26 (NHCONH), 143.87, 142.02, 138.89, 136.96, 136.06, 133.30, 131.54, 129.48, 127.99, 127.83, 127.35, 124.76, 123.09, 120.55, 22.42 (2xCH3), 20.98 (CH3), 20.36 (CH3).
【0092】
VII、C21H21N3O6S2、M=475.5、N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 474.1 (28) [M-H]-, 303.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.59 (1H, s), 9.42 (1H, s), 8.56 (1H, s), 7.89-7.85 (3H, m), 7.60-7.58 (2H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.15-7.12 (1H, m), 7.07-7.05 (2H, m), 6.82 (1H, ddd, J = 8.7, 7.7, 1.0 Hz), 6.43 (1H, dd, J = 7.9, 1.1 Hz), 3.82 (3H, s), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 162.53, 149.16 (NHCONH), 143.90, 136.96, 135.64, 130.47, 129.50, 129.34, 127.70, 127.34, 127.30, 125.46, 123.07, 120.58, 114.17, 55.60 (OCH3), 20.99 (CH3).
【0093】
VIII、C20H18ClN3O5S2、M=480.0、N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)-4-クロロベンゼンスルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 478.0 (29) [M-H]-, 307.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 281.0 (49)[M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.56 (1H, s), 9.70 (1H, s), 8.55 (1H, s), 7.88-7.86 (3H, m), 7.67-7.65 (2H, m), 7.63-7.61 (2H, m), 7.44-7.43 (2H, m), 7.18-7.14 (1H, m), 6.84 (1H, ddd, J = 9.2, 7.9, 1.4 Hz), 6.44 (1H, dd, J = 7.9, 1.5 Hz), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-6): δ (ppm) = 149.13 (NHCONH), 143.93, 137.95, 137.77, 136.91, 135.65, 129.52, 129.24, 129.04, 128.00, 127.35, 127.28, 124.97, 123.26, 120.79, 21.00 (CH3).
【0094】
IX、C22H22N4O6S2、M=502.6、N-(4-(N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)スルファモイル)フェニル)アセトアミド
MS (ESI): m/z (%) = 501.0 (32) [M-H]-, 330.1 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.60 (1H, s), 10.30 (1H, s), 9.45 (1H, s), 8.56 (1H, s), 7.89-7.86 (3H, m), 7.75-7.73 (2H, m), 7.60-7.57 (2H, m), 7.44- 7.42 (2H, m), 7.15-7.12 (1H, m), 6.81 (1H, ddd, J = 9.0, 7.6, 1.4 Hz), 6.40 (1H, dd, J = 7.9, 1.4 Hz), 2.39 (3H, s), 2.09 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 169.01 (NHCOCH3), 149.19 (NHCONH), 143.91, 143.26, 136.96, 135.69, 132.36, 129.51, 128.38, 127.73, 127.35, 127.28, 125.41, 123.08, 120.59, 118.34, 24.11 (CH3), 21.00 (CH3).
【0095】
X、C20H18N4O7S2、M=490.5、N-((2-(4-ニトロフェニルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 489.0 (31) [M-H]-, 318.0 (55) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 292.0 (100)[M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.51 (1H, s), 9.97 (1H, s), 8.52 (1H, s), 8.40-8.37 (2H, m), 7.92-7.89 (2H, m), 7.87-7.84 (3H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.20-7.16 (1H, m), 6.85 (1H, ddd, J = 8.9, 7.7, 1.4 Hz), 6.48 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 2.39 (3H,s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.88, 149.13 (NHCONH), 144.49, 143.96, 136.89, 135.60, 129.52, 128.67, 128.24, 127.50, 127.33, 124.71, 124.47, 123.50, 121.08, 21.00 (CH3).
【0096】
XI、C22H21N3O7S2、M=503.5、メチル2-(N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)スルファモイル)ベンゾエート
MS (ESI): m/z (%) = 5O2.1 (32) [M-H]-, 331.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 305.0 (31) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.53 (1H, s), 9.21 (1H, s), 8.53 (1H, s), 7.88-7.86 (2H, m), 7.82-7.81 (1H, m), 7.73-7.72 (2H, m), 7.67-7.65 (2H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.18-7.15 (1H, m), 6.85-6.82 (1H, m), 6.55-6.54 (1H, m), 3.72 (3H, s), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-6): δ (ppm) = 167.35 (COOCH3), 149.29 (NHCONH), 143.90, 136.93, 136.57, 135.40, 133.17, 132.03, 130.94, 129.49, 129.13, 129.11, 127.91, 127.42, 127.34, 125.39, 123.43, 121.21, 52.87 (COOCH3), 20.98 (CH3).
【0097】
XII、C24H21N3O5S2、M=495.6、N-(2-(3-トシルウレイド)フェニル)ナフタレン-2-スルホンアミド
MS (ESI): m/z (%) = 494.1 (24) [M-H]-, 323.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 297.0 (26) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.64 (1H, s), 9.73 (1H, s), 8.64 (1H, s), 8.27 (1H, d, J = 1.4 Hz), 8.13-8.12 (1H, m), 8.08-8.06 (1H, m), 8.04-8.02 (1H, m), 7.90-7.89 (2H, m), 7.89 (1H, dd, J = 8.3, 1.3 Hz), 7.80 (1H, dd, J = 8.7, 1.9 Hz), 7.71-7.68 (1H, m), 7.65-7.61 (1H, m), 7.45-7.43 (2H, m), 7.12-7.09 (1H, m), 6.71-6.68 (1H, m), 6.37-6.36 (1H, m), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-6): δ (ppm) = 149.19 (NHCONH), 143.92, 136.96, 135.95, 135.74, 134.29, 131.43, 129.52, 129.26, 129.19, 128.94, 128.34, 127.84, 127.81, 127.61, 127.37, 127.22, 125.21, 123.09, 122.45, 120.67, 20.99 (CH3).
【0098】
XIII、C21H21N3O5S2、M=459.5、N-((2-(ベンジルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 458.0 (16) [M-H]-, 287.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 261.1 (13) [M-H-Ar2SO2NCO]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.47 (1H, s), 9.25 (1H, s), 8.40 (1H, s), 7.86-7.84 (2H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.4, 1.4 Hz), 7.39-7.34 (8H, m), 7.25- 7.21 (1H, m), 7.10 (1H, ddd, J = 9.0, 7.6, 1.5 Hz), 4.40 (2H, s), 2.36 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-6): δ (ppm) = 149.33 (NHCONH), 143.87, 136.93, 134.39, 130.83, 129.46, 129.06, 128.33, 128.16, 127.52, 127.33, 127.33, 126.50, 123.97, 121.66, 57.25 (CH2), 20.98 (CH3).
【0099】
XIV、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-((3-(フェニルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (100) [M-H]-, 272.9 (7) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.55 (1H, s), 10.24 (1H, s), 8.83 (1H, s), 7.86-7.84 (2H, m), 7.76-7.74 (2H, m), 7.59-7.56 (1H, m), 7.52-7.49 (2H, m), 7.43-7.41 (2H, m), 7.24-7.23 (1H, m), 7.10-7.07 (1H, m), 6.97 (1H, ddd, J = 8.2, 2.0, 0.8 Hz), 6.76 (1H, ddd, J = 8.1, 2.1, 0.9 Hz), 2.39 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.05 (NHCONH), 143.80, 139.46, 138.70, 138.19, 137.01, 132.79, 129.39, 129.39, 129.11, 127.45, 126.58, 114.42, 114.34, 110.23, 20.98 (CH3).
【0100】
XV、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-(3-(3-(フェニルスルホニル)ウレイド)フェニル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (100) [M-H]-, 287.0 (6) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.44 (1H, s), 10.17 (1H, s), 8.87 (1H, s), 7.99-7.97 (2H, m), 7.71-7.68 (1H, m), 7.64-7.61 (4H, m), 7.30-7.28 (2H, m), 7.24-7.23 (1H, m), 7.10-7.07 (1H, m), 6.97 (1H, ddd, J = 8.2, 2.1, 0.9 Hz), 6.76 (1H, ddd, J = 8.1, 2.1, 0.9 Hz), 2.30 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.03 (NHCONH), 143.16, 139.90, 138.64, 138.34, 136.61, 133.28, 129.54, 129.36, 128.97, 127.37, 126.66, 114.27, 114.22, 110.04, 20.87 (CH3).
【0101】
XVI、C21H21N3O5S2、M=459.5、N-((3-(トシルアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 458.1 (100) [M-H]-, 287.0 (4) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.53 (1H, s), 10.17 (1H, s), 8.82 (1H, s), 7.86-7.85 (2H, m), 7.65-7.63 (2H, m), 7.42-7.41 (2H, m), 7.30-7.28 (2H, m), 7.24-7.24 (1H, m), 7.10-7.06 (1H, m), 6.97-6.95 (1H, m), 6.77-6.75 (1H, m), 2.38 (3H, s), 2.30 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.05 (NHCONH), 143.80, 143.15, 138.68, 138.35, 137.03, 136.62, 129.54, 129.39, 129.36, 127.46, 126.67, 114.22, 114.17, 109.98, 20.99 (CH3), 20.87 (CH3).
【0102】
XVII、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-((4-(フェニルスルホンアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (100) [M-H]-, 273.0 (5) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.47 (1H, s), 10.05 (1H, s), 8.70 (1H, s), 7.84-7.82 (2H, m), 7.70-7.68 (2H, m), 7.58-7.55 (1H, m), 7.52-7.49 (2H, m), 7.40-7.39 (2H, m), 7.20-7.18 (2H, m), 6.99-6.97 (2H, m), 2.37 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.19 (NHCONH), 143.77, 139.39, 137.06, 134.61, 132.72, 132.72, 129.41, 129.09, 127.41, 126.59, 121.63, 119.83, 20.99 (CH3).
【0103】
XVIII、C20H19N3O5S2、M=445.5、N-(4-(3-(フェニルスルホニル)ウレイド)フェニル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 444.0 (100) [M-H]-, 287.0 (5) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.70 (1H, s), 9.98 (1H, s), 8.73 (1H, s), 7.96-7.95 (2H, m), 7.69-7.66 (1H, m), 7.62-7.57 (4H, m), 7.30-7.29 (2H, m), 7.20-7.18 (2H, m), 7.00-6.97 (2H, m), 2.30 (3H, s)
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.16 (NHCONH), 143.04, 139.94, 136.56, 134.40, 133.25, 132.96, 129.51, 128.98, 127.31, 126.64, 121.41, 119.91, 20.87 (CH3).
【0104】
XIX、C21H21N3O5S2、M=459.5、N-((4-(トシルアミド)フェニル)カルバモイル)トシルアミド
MS (ESI): m/z (%) = 458.1 (100) [M-H]-, 287.1 (4) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 10.55 (1H, s), 9.97 (1H, s), 8.68 (1H, s), 7.84-7.82 (2H, m), 7.59-7.57 (2H, m), 7.40-7.39 (2H, m), 7.30-7.28 (2H, m), 7.20-7.17 (2H, m), 7.00-6.97 (2H, m), 2.37 (3H, s), 2.30 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.17 (NHCONH), 143.75, 143.03, 137.07, 136.56, 134.44, 132.91, 129.51, 129.39, 127.39, 126.63, 121.42, 119.84, 20.97 (CH3), 20.86 (CH3).
【0105】
XX、C29H29N5O8S3、M=671.8、N,N’-(((3-トシルアミド-l,2-フェニレン)ビス(アザンジイル))ビス(カルボニル))ビス(トシルアミド)
MS (ESI): m/z (%) = 670.0 (21) [M-H]-, 499.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 302.0 (70) [M-H-Ar2SO2NCO-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.38 (1H, s), 11.18 (1H, s), 9.47 (1H, s), 8.16 (1H, s), 7.91 (1H, s), 7.91-7.89 (2H, m), 7.80-7.78 (2H, m), 7.54-7.53 (1H, m), 7.49-7.47 (2H, m), 7.42-7.40 (4H, m), 7.29-7.28 (2H, m), 7.00-6.97 (1H, m), 6.42-6.40 (1H, m), 2.39 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.34 (3H, s).
13C-NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 150.34 (NHCONH), 149.01 (NHCONH), 143.91, 143.64, 143.34, 137.20, 136.81, 136.01, 135.71, 133.30, 129.52, 129.50, 129.45, 127.22, 127.20, 126.89, 125.57, 122.98, 119.81, 119.08, 21.01 (CH3), 21.01 (CH3), 20.95 (CH3).
【0106】
XXI、C27H25N5O8S3、M=643.7、N,N’-(((4-トシルアミド-l,3-フェニレン)ビス(アザンジイル))ビス(カルボニル))ビス(ベンゼンスルホンアミド)
MS (ESI): m/z (%) = 644.0 (79) [M+H]+.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.69 (1H, s), 10.62 (1H, s), 9.36 (1H, s), 8.94 (1H, s), 8.53 (1H, s), 8.00-7.98 (2H, m), 7.95-7.93 (2H, m), 7.91 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.74-7.59 (6H, m), 7.52-7.50 (2H, m), 7.33-7.32 (2H, m), 6.86 (1H, dd, J = 8.7, 2.5 Hz), 6.23 (1H, d, J = 8.7 Hz), 2.35 (3H, s).
13C-NM R (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.05 (NHCONH), 148.98 (NHCONH), 143.35, 139.85, 139.72, 137.58, 136.32, 135.91, 133.45, 133.30, 129.47, 129.13, 129.01, 127.95, 127.35, 127.21, 125.84, 119.89, 113.18, 110.52, 20.98 (CH3).
【0107】
XXII、C29H29N5O8S3、M=671.8、N,N’-(((4-トシルアミド-l,3-フェニレン)ビス(アザンジイル))ビス(カルボニル))ビス(トシルアミド)
MS (ESI): m/z (%) = 670.0 (15) [M-H]-, 499.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 473.0 (2) [M-H-Ar2SO2NCO]-, 328.0 (5) [M-H-2xAr2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.60 (1H, s), 10.69 (1H, s), 9.34 (1H, s), 9.18 (1H, s), 8.55 (1H, s), 7.91 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.87-7.85 (2H, m), 7.82- 7.80 (2H, m), 7.51-7.50 (2H, m), 7.45-7.43 (2H, m), 7.40-7.39 (2H, m), 7.32-7.31 (2H, m), 6.82 (1H, dd, J = 8.7, 2.4 Hz), 6.24 (1H, d, J = 8.7 Hz), 2.40 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.35 (3H, s).
13C-NM R (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.09 (NHCONH), 148.93 (NHCONH), 143.95, 143.76, 143.31, 137.61, 136.99, 136.87, 136.29, 135.91, 129.54, 129.42, 129.42, 127.92, 127.40, 127.38, 127.21, 119.77, 112.96, 110.27, 21.01 (CH3), 21.00 (CH3), 20.99 (CH3).
【0108】
XXIII、C29H29N5O8S3、M=671.8、N,N’-(((2-トシルアミド-l,4-フェニレン)ビス(アザンジイル))ビス(カルボニル))ビス(トシルアミド)
MS (ESI): m/z (%) = 670.0 (60) [M -H]-, 499.0 (100) [M-H-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.38 (1H, s), 10.47 (1H, s), 9.47 (1H, s), 8.68 (1H, s), 8.33 (1H, s), 7.86-7.84 (2H, m), 7.82-7.81 (2H, m), 7.62 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.54-7.52 (2H, m), 7.43-7.41 (4H, m), 7.28-7.26 (2H, m), 7.05 (1H, dd, J = 9.0, 2.5 Hz), 6.76 (1H, d, J = 2.5 Hz), 2.39 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.32 (3H, s).
13C NM R (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 149.20 (NHCONH), 148.86 (NHCONH), 143.87, 143.78, 143.32, 137.05, 137.02, 135.99, 133.65, 129.88, 129.51, 129.45, 129.37, 127.43, 127.35, 127.02, 126.39, 121.75, 117.81, 117.28, 21.01 (CH3), 21.01 (CH3), 20.97 (CH3).
【0109】
XXIV、C29H29N5O8S3、M=671.8、N,N’-(((2-トシルアミド-l,3-フェニレン)ビス(アザンジイル))ビス(カルボニル))ビス(トシルアミド)
MS (ESI): m/z (%) = 670.1 (100) [M-H]-, 499.0 (33) [M-H-Ar2SO2NH2]-, 473.0 (29) [M-H-Ar2SO2NCO]-, 328.1 (23) [M-H-2xAr2SO2NH2]-, 302.0 (21) [M-H-Ar2SO2NCO-Ar2SO2NH2]-.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.22 (2H, s), 8.91 (1H, s), 8.13 (2H, s), 7.84-7.82 (4H, m), 7.43-7.42 (4H, m), 7.40-7.38 (2H, m), 7.37-7.35 (2H, m), 7.19-7.17 (2H, m), 7.13-7.09 (1H, m), 2.39 (6H, s), 2.27 (3H, s).
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 148.89 (NHCONH), 143.85, 143.78, 136.95, 136.62, 135.51, 129.44, 129.22, 128.40, 127.28, 126.87, 116.40, 115.44, 20.97 (CH3), 20.95 (CH3), 20.95 (CH3).
【0110】
感熱記録紙の感熱発色層を形成するための塗布される水性懸濁液を、坪量63g/m2の合成原紙(Yupo(登録商標)FP680)の片側にドクターバーによって実験室規模で塗布した。乾燥すると、熱記録材料シートが得られた。感熱発色層の塗布量は、3.8~4.2g/m2であった。
【0111】
感熱記録材料または感熱紙を上述の詳細に基づいて生成した。ここで、以下の塗布される水性懸濁液の配合を使用して、複合構造を担体基材に形成し、次いで更なる層、特に保護層を通常のように形成したが、これらをここでは別々に詳述しない。
【0112】
塗布される懸濁液のための分散液(いずれの場合も1重量部)の調製
水性分散液A(発色剤分散液)は、ビーズミル中で3-N-n-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(ODB-2)(20重量部)をGhosenex(商標) L-3266(スルホン化ポリビニルアルコール、Nippon Ghosei社)の15%水性溶液(33重量部)と粉砕することによって調製した。
【0113】
水性分散液B(顕色剤分散液)は、ビーズミル中で顕色剤(40重量部)をGhosenex(商標)L-3266の15%水性溶液(66重量部)と一緒に粉砕することによって調製した。
【0114】
水性分散液C(増感剤分散液)は、ビーズミル中で増感剤(40重量部)をGhosenex(商標)L-3266の15%水性溶液(33重量部)と粉砕することによって調製した。
【0115】
粉砕することによって生成された分散液はすべて、平均粒径D(4,3)が0.80~1.20μmであった。分散液の粒径分布は、Beckman Coulter社のCoulter LS230装置を使用してレーザー回折によって測定した。
【0116】
分散液D(滑剤分散液)は、9重量部のステアリン酸Zn、1重量部のGhosenex(商標)L-3266、および40重量部の水からなる20%ステアリン酸亜鉛分散液であった。
【0117】
顔料Pは、72%被覆カオリン懸濁液(Lustra(登録商標)S、BASF社)であった。
【0118】
結合剤は、10%ポリビニルアルコール水溶液(Mowiol 28-99、Kuraray Europe社)からなるものであった。
【0119】
塗布される感熱懸濁液は、導入順序B、D、C、P、A、結合剤を考慮して、撹拌下にA(1部)、B(1部)、C(1部)、D(56部)、顔料P(146部)、および結合剤溶液(138部)(すべて重量部)を混合し、水を加えて混合物の固形分を約25%にすることによって調製した。
【0120】
こうして得られた感熱被覆懸濁液を使用して、紙担体と熱反応層の複合構造を生成した。
【0121】
熱記録材料を、以下に記載のように評価した(表3、4および5を参照のこと)。
【0122】
(1)動的色濃度:
紙(幅6cmの細片)に、200dpiおよび560オームのKyocera印刷ヘッドを備えたAtlantek 200試験プリンタ(Atlantek社、USA)を印加電圧20.6Vおよび最大パルス幅0.8m秒で使用して、10エネルギー段階の市松模様を熱印刷した。画像濃度(光学濃度(o.D.))は、X-Rite社のSpectroEye濃度計を使用して0.25および0.45mJ/ドットのエネルギー段階で測定した。o.D.値の測定の不確かさは≦2%と推定された。
【0123】
(2)静的色濃度(開始温度):
記録材料シートを、様々な温度に加熱された一連のサーモスタット制御金型にプレスオン圧力0.2kg/cm2および接触時間5秒でプレスした(熱試験機TP 3000QM、Maschinenfabrik Hans Rychiger AG社、Steffisburg, Switzerland)。こうして生成された画像の画像濃度(光学濃度)は、X-Rite社のSpectroEye濃度計を使用して測定した。
【0124】
静的開始点は、定義によれば、光学濃度0.2が達成される最低温度である。測定方法の正確度は≦±0.5℃であった。
【0125】
(3)印刷画像の耐性試験:
a)可塑剤耐性:
可塑剤を含有するクリングフィルム(20~25%アジピン酸ジオクチルを含むPVCフィルム)を、(1)の下で方法に従って動的に記録しておいた熱記録紙の試料と接触させ、折り目および空気の包含を回避し、次いで巻いてロールにし、16時間貯蔵した。1つの試料を室温(20~22℃)で貯蔵し、更なる試料を40℃で貯蔵した。フィルムを除去した後、画像濃度(o.D.)を測定し、式(数式1)に従って可塑剤の作用の前に対応する画像濃度値に対して設定した。
【0126】
b)接着剤に対する耐性:
Tesa社の透明な自己接着性テープ(tesafilm(登録商標)クリスタル-クリア、#57315)の細片、およびそれとは別にTesa社の包装接着テープ(#04204)の細片を、(1)の下で方法に従って動的に記録しておいた熱記録紙の試料に接着させ、折り目および空気の包含を回避した。室温(20~22℃)で貯蔵した後、特定の接着テープにより画像濃度(o.D.)を24時間後および7日後に測定し、式(数式1)に従って、新たに接着させた供試体の同様にして決定した画像濃度値に対して設定した。
【0127】
【0128】
(数式1)によって算出された値(%)の散乱は、≦±2パーセント点であった。
【0129】
表3~5に、生成された記録材料の評価をまとめる。
【表3】
【0130】
【0131】
【0132】
以上の実施例から、本発明の感熱記録材料は、特に以下の有利な特性を与えることがわかる。
(1)本発明による顕色剤をベースにする感熱記録材料の記録された画像は、先行技術による比較供試体の印刷濃度に匹敵する印刷濃度(光学濃度)を有する(表3)。
(2)本発明による置換パターン(関連官能基の1,2位(オルト位))を有する顕色剤をベースにする感熱記録材料は、代替の置換パターン(関連官能基の1,3および1,4位)を有する顕色剤をベースにする記録材料より有意に高い印刷濃度を有する。IIとXIVおよびXVII、IIIとXVおよびXVIII、ならびにIVとXVIおよびXIXを参照のこと(表4)。
(3)本発明による記録材料の視覚的に認識可能なグレーイングが始まる温度(静的開始点)は、市場に出せる感熱記録材料の要件を満たす(表3)。
(4)疎水性作用剤(接着剤、可塑剤)の作用後の画像耐性は、先行技術による公知の非フェノール系顕色剤材料の対応する性能よりよいまたはそれに匹敵する(表5)。
(5)本発明による顕色剤を用いて、重要な塗布特性に関して高品質の感熱記録材料を得ることができる。公知の顕色剤をベースにする記録材料はいずれも、すべての試験特性にわたってバランスのとれた匹敵する性能プロファイルを有さない。