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特許7047010保険情報提供システム、方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】保険情報提供システム、方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20220328BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020061426
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162933
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2020-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 恵一
(72)【発明者】
【氏名】四十山 深雪
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特許第6046793(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第2005-0047700(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置、記憶装置、および通信装置を備えた、口座を管理する金融機関によって実装されたコンピュータデバイスであって、前記記憶装置は、前記口座に対応する口座情報と、第1の保険者から前記金融機関を通じて販売された第1の保険に対応する第1の保険契約についての第1の保険識別情報および第2の保険者から前記金融機関を通じて販売された第2の保険に対応する第2の保険契約についての第2の保険識別情報とを関連付けた保険契約情報を記憶しており、
前記通信装置は、前記第1の保険者によって実装された第1のコンピュータデバイスから、第1の前記第1の保険契約に対応する第1の保険明細データを受信し、前記第2の保険者によって実装された第2のコンピュータデバイスから、前記第2の保険契約に対応する第2の保険明細データを受信し、
前記制御装置は、
前記保険契約情報から、前記口座情報に対応する前記第1の保険識別情報および前記第2の保険識別情報を特定し、
前記第1の保険明細データから、前記第1の保険識別情報に基づいて、前記第1の保険契約についての第1の保険明細情報を取得し、前記第2の保険識別情報に基づいて、前記第2の保険契約についての第2の保険明細情報を取得し、
前記第1の保険明細情報および前記第2の保険明細情報を含む通知データを生成し、
前記通信装置は、前記第1の保険契約および前記第2の保険契約の契約者によって使用される第3のコンピュータデバイスに、前記通知データを送信する、
ことを特徴とするコンピュータデバイス。
【請求項2】
前記第1の保険明細情報は、前記第1の保険契約についての損益情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータデバイス。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の保険明細データに基づいて、前記第1の保険契約についての解約返戻金を計算し、前記解約返戻金を前記損益情報に含める、ことを特徴とする請求項2に記載のコンピュータデバイス。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の保険明細データおよび前記解約返戻金に基づいて、前記第1の保険契約についての解約時損益金を計算し、前記解約時損益金を前記損益情報に含める、ことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータデバイス。
【請求項5】
前記第1の保険明細情報は、前記第1の保険契約についての為替情報を含み、前記第1の保険契約は、外貨建て保険に対応する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1の保険明細データに基づいて、保険購入時点為替レートおよび基準日時点為替レートを計算し、前記保険購入時点為替レートおよび前記基準日時点為替レートに基づいて、前記第1の保険契約についての円基準解約時損益金を計算し、前記円基準解約時損益金を前記為替情報に含める、ことを特徴とする請求項5に記載のコンピュータデバイス。
【請求項7】
前記第1の保険明細情報は、前記第1の保険契約についての商品情報を含む、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項8】
前記通信装置は、前記第1の保険明細データおよび前記第2の保険明細データは、同一のデータ構造を有する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項9】
口座を管理する金融機関によって実装されたコンピュータデバイスによって実行される方法であって、前記コンピュータデバイスは、前記口座に対応する口座情報と、第1の保険者から前記金融機関を通じて販売された第1の保険に対応する第1の保険契約についての第1の保険識別情報および第2の保険者から前記金融機関を通じて販売された第2の保険に対応する第2の保険契約についての第2の保険識別情報とを関連付けた保険契約情報を記憶した記憶装置を含み、
前記第1の保険者によって実装された第1のコンピュータデバイスから、第1の前記第1の保険契約に対応する第1の保険明細データを受信し、前記第2の保険者によって実装された第2のコンピュータデバイスから、前記第2の保険契約に対応する第2の保険明細データを受信するステップと、
前記保険契約情報から、前記口座情報に対応する前記第1の保険識別情報および前記第2の保険識別情報を特定するステップと、
前記第1の保険明細データから、前記第1の保険識別情報に基づいて、前記第1の保険契約についての第1の保険明細情報を取得し、前記第2の保険識別情報に基づいて、前記第2の保険契約についての第2の保険明細情報を取得するステップと、
前記第1の保険明細情報および前記第2の保険明細情報を含む通知データを生成するステップと、
前記第1の保険契約および前記第2の保険契約の契約者によって使用される第3のコンピュータデバイスに、前記通知データを送信するステップと、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ実行可能命令は、コンピュータデバイスによって実行されるとき、前記コンピュータデバイスに、請求項9に記載の方法を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保険情報提供システム、方法、およびコンピュータプログラムに関する。特に、本開示は、銀行の窓口で販売した保険契約に関する情報を提供する保険情報提供システム、方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行の窓口で保険商品を販売することができる、いわゆる「銀行窓販」が2007年12月に全面的に解禁されるようになった。銀行は一定の資産を有する顧客(以下、「銀行顧客」)を抱えているため、保険を活用した運用商品を銀行顧客に提案することによって、銀行顧客に対する資産運用を活性化することができる。
【0003】
例えば、銀行顧客は、自身が口座を有する銀行から、複数の保険会社(保険者)が提供する複数の保険商品を購入することができる。商品を購入すると、銀行顧客は、その後、契約者として対象の保険商品を提供する保険者との間で情報のやり取りを行う。情報のやり取りとは、例えば、保険者が運用状況を提供すること、および契約者が住所変更などの情報を通知することなどである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、外貨建ての生命保険など、投資性の強い保険商品が販売されるようになっている。これらの商品を購入した契約者は、商品購入後の資産運用状況を把握することが重要である。保険者は、自身が販売する商品についての資産運用状況に関する情報を契約者に提供する。契約者は、異なる複数の保険者からそれぞれの商品を購入した場合、複数の保険者のそれぞれから資産運用状況に関する情報を提供されることになる。現状では、これらの情報をまとめて契約者に提供する仕組みは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係るコンピュータデバイスは、制御装置、記憶装置、および通信装置を備えたコンピュータデバイスであって、前記記憶装置は、口座情報と、対応する保険契約についての保険識別情報とを関連付けた保険契約情報を記憶しており、前記通信装置は、保険明細データを受信し、前記制御装置は、前記保険契約情報から、前記口座情報に対応する1つまたは複数の保険契約に対応する保険識別情報を特定し、前記保険明細データから、前記保険識別情報に基づいて、前記1つまたは複数の保険契約についての保険明細情報を取得し、前記保険明細情報を含む通知データを生成し、前記通信装置は、前記通知データを送信する。
【0006】
また、別の実施形態に係るコンピュータデバイスによって実行される方法は、コンピュータデバイスによって実行される方法であって、前記コンピュータデバイスは、口座情報と、対応する保険契約についての保険識別情報とを関連付けた保険契約情報を記憶した記憶装置を含み、保険明細データを受信するステップと、前記保険契約情報から、前記口座情報に対応する1つまたは複数の保険契約に対応する保険識別情報を特定するステップと、前記保険明細データから、前記保険識別情報に基づいて、前記1つまたは複数の保険契約についての保険明細情報を取得するステップと、前記保険明細情報を含む通知データを生成するステップと、前記通知データを送信するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態に係る保険情報提供システムによれば、口座名義人は、複数の異なる保険者と締結した保険契約の状況を簡易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に従った保険情報提供システムの全体的な構成の例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に従った保険情報提供システムの詳細な構成要素の例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に従った保険契約データテーブルの例を示す図である。
図4】一実施形態に従った保険明細データファイル送受信処理の例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に従った保険情報提供処理の例を示すフローチャートである。
図6】一実施形態に従った保険契約リストの例を示す図である。
図7】一実施形態に従った損益情報リストの例を示す図である。
図8】一実施形態に従った為替情報リストの例を示す図である。
図9】一実施形態に従った商品情報リストの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して、一実施形態に係る保険情報提供システム100を詳細に説明する。保険情報提供システム100は、特定の金融機関(銀行および証券会社など)の窓口販売を通じて販売された保険商品における情報を契約者に提供する。具体的には、保険情報提供システム100は、契約者が指定した情報を契約者が指定したメールアドレスに通知メールを送信する。以下の実施形態では、銀行窓販を通じて保険商品が販売される例を説明する。
【0010】
<定義>
本明細書で、「契約者」とは、保険者との間で保険契約を締結している者を指し、「被保険者」とは、死亡保険などの保険の対象として保険がかけられている者を指す。契約者と被保険者は、同一人物であってもよい。本明細書で、「(保険金)受取人」とは、契約者が指定した(指定のない場合は、被保険者の法定相続人)、保険に対する保険金を受け取ることができる者を指す。「口座名義人」とは、後述する銀行において口座を開設し、口座に預金などを行う者を指す。口座名義人が、銀行によって販売された保険商品を購入した場合、口座名義人と契約者とが同一人物になる。
【0011】
本明細書で、「保険者」とは、契約者との保険契約に基づいて、保険料を徴収し、保険事故の発生の際に保険金を支払う義務を負う者を指す。銀行は、保険者の代理人として保険商品を販売することができる。銀行と保険者は、1対1または1対多の関係にあってもよい。つまり、銀行は、複数の保険者の代理人として、複数の保険者がそれぞれ提供する複数の保険商品を販売することができる。
【0012】
<システム構成>
まず、図1を参照して、保険情報提供システムの全体的な構成の例を説明する。保険情報提供システム100は、サーバコンピュータ1、サーバコンピュータ2a、2b・・・、および2n(以下、「サーバコンピュータ2」)、ならびにクライアントコンピュータ3を含む。サーバコンピュータ1、サーバコンピュータ2、およびクライアントコンピュータ3は、ネットワーク4(インターネットなどのパブリックネットワーク)を介して相互に接続される。
【0013】
サーバコンピュータ1は、本実施形態に係る主要な処理を実行するコンピュータデバイス(情報処理装置)である。サーバコンピュータ1は、銀行業務を管理/支援するために銀行または銀行と提携/協力関係にある事業者により管理される。このようなことから、サーバコンピュータ1は、従来から存在する、銀行の勘定系システムにおいて実装されてもよい。また、サーバコンピュータ1は、単独のコンピュータデバイスによって実装されてもよく、または複数のコンピュータデバイスによって実装されてもよい。
【0014】
サーバコンピュータ1は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を実装し、銀行が管理する口座情報と保険識別情報(保険者番号および証券番号)とを関連付けた保険契約情報を記憶している。また、サーバコンピュータ1は、銀行が販売した保険契約に関する損益情報をも記憶している。
【0015】
サーバコンピュータ2は、サーバコンピュータ1と協働して、本実施形態に係る処理を実行するコンピュータデバイス(情報処理装置)である。サーバコンピュータ2は、保険募集業務などを管理/支援するために保険者または保険者と提携/協力関係にある事業者により管理される。このようなことから、サーバコンピュータ2は、従来から存在する、保険者の保険契約管理システムにおいて実装されてもよい。また、サーバコンピュータ2は、単独のコンピュータデバイスによって実装されてもよく、または複数のコンピュータデバイスによって実装されてもよい。
【0016】
上述したように、銀行と保険者は、1対多の関係にある場合がある。この場合、複数の保険者の各々がサーバコンピュータ2を実装する。サーバコンピュータ2は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を実装し、保険者が契約者と締結した保険契約に関する保険者管理情報を記憶している。
【0017】
クライアントコンピュータ3は、例えば、契約者が使用するコンピュータデバイス(情報処理装置)である。つまり、クライアントコンピュータ3は、サーバコンピュータ1によって送信された通知データを表示するためのコンピュータデバイスである。クライアントコンピュータ3は、スマートフォンおよびタブレットなどの携帯型コンピュータデバイス、ラップトップ型コンピュータデバイス、ならびにノート型コンピュータデバイスなどであってもよい。
【0018】
次に、図2を参照して、サーバコンピュータ1およびサーバコンピュータ2の詳細な構成要素の例を説明する。
【0019】
サーバコンピュータ1は、制御装置11、メモリ12、記憶装置13、および通信装置14を含み、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。図2に示すように、サーバコンピュータ1は、サーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ3と接続される。
【0020】
制御装置11は、プロセッサとも称され、上記各構成要素の制御やデータの演算を実行する。また、制御装置11は、本実施形態に係る各種処理を実行するための、記憶装置13に記憶されているプログラムをメモリ12に読み出して実行する。ここで、上述したプログラムとは、保険情報提供システム100が実行する機能の一部を実装するためのプログラムであり、サーバコンピュータ1の記憶装置13に記憶されている。
【0021】
メモリ12は、サーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ3から送信されたデータ、コンピュータ実行可能な命令、および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶した揮発性データ記憶装置である。メモリ12は、RAM(ランダムアクセスメモリ)(例えば、SRAM(スタティックRAM)およびDRAM(ダイナミックRAM))などで実装されてもよい。
【0022】
記憶装置13は、上述したプログラムおよびDBMSによって使用されるデータベーステーブル13aなどを記憶した不揮発性データ記憶装置である。記憶装置13は、ROM(リードオンリメモリ)などの不揮発性半導体メモリ、磁気記憶装置(ハードディスクドライブなど)、および光ディスクなどで実装されてもよい。なお、プログラムおよびデータベーステーブルなどのデータは、記憶装置13に加えまたはその代わりに、NAS(Network Attached Storage)および/またはSAN(Storage Area Network)などに記憶されてもよい。
【0023】
通信装置14は、ネットワーク4を通じてサーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ3との間でデータおよび制御情報を送受信するネットワークインタフェースである。このネットワークインタフェースは、例えば、TCP/IPなどのプロトコルに準拠したネットワークカード(例えば、LANカード)などによって実装される。
【0024】
サーバコンピュータ2は、制御装置21、メモリ22、記憶装置23、および通信装置24を含み、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。図2に示すように、サーバコンピュータ2は、サーバコンピュータ1と接続される。制御装置21、メモリ22、記憶装置23、および通信装置24は、サーバコンピュータ1に含まれる制御装置11、メモリ12、記憶装置13、および通信装置14とそれぞれ同様に機能するので、それらの詳細な説明は省略する。
【0025】
クライアントコンピュータ3は、一般的に使用されている汎用型コンピュータデバイスであり、その詳細な構成の説明は省略する。クライアントコンピュータ3は、少なくとも電子メールを送受信および表示することができるメーラ機能を実装する。
【0026】
<データベーステーブル>
次に、図3を参照して、サーバコンピュータ1のデータベーステーブル13aに記憶された保険契約データテーブル300の例を説明する。保険契約データテーブル300は、銀行が保有している口座に関する口座情報と、その口座の口座名義人が、銀行窓販を通じて販売した保険商品の保険識別情報とを関連付けた保険契約情報を記憶している。保険契約データテーブル300は、口座ごとにデータレコード(保険契約データレコード)を記憶している。
【0027】
図3に示すように、保険契約データテーブル300は、データ項目として、支店番号301、口座番号302、保険識別情報303(保険識別情報a、b、およびn)、通知有無304、通知頻度305、直近通知日306、通知種別307、および同時通知有無308を含む。
【0028】
支店番号301および口座番号302は、銀行が保有する口座、つまり、口座名義人を識別する情報が設定される。なお、本実施形態では、支店番号301および口座番号302に設定された情報によって保険契約データレコードを識別するが、それらの情報に加え、またはそれに代えて、保険情報提供システム100ごとに口座名義人に一意に割り当てられた識別番号が使用されてもよい。
【0029】
保険識別情報303は、口座名義人が締結した保険契約を識別する情報が設定される。これらの情報は、保険者番号(保険を販売している保険者を識別する番号)および証券番号(保険契約ごとに割り当てられる番号)を含む。保険識別情報303は、口座名義人が締結したn個の保険契約をそれぞれ識別する情報を含む(保険識別情報a、b、およびn)。
【0030】
通知有無304は、後述する損益情報などを通知するか否かを示す値が設定される。例えば、通知有無304は、「0:通知なし」または「1:通知あり」が設定される。通知頻度305は、損益情報などを通知する頻度を示す値が設定される。例えば、通知頻度305は、「1:1カ月毎」、「2:3カ月毎」、「3:6カ月毎」、または「4:1年毎」が設定される。直近通知日306は、損益情報などを通知したときの日付が設定される。
【0031】
通知種別307は、契約者に対して通知する保険契約に関する情報の種別を示す値が設定される。例えば、通知種別307は、3桁の数値の情報が設定され、1桁目に対し「1:損益情報」、2桁目に対し「1:為替情報」、3桁目に対し「1:商品情報」が設定される。例えば、契約が全ての種類御情報を通知するよう希望した場合、通知種別307は、「111」と設定される。通知種別307に設定された値に基づいて、その値に対応する情報が契約者に通知される。
【0032】
同時通知有無308は、損益情報などを通知する場合に、契約者が指定した者(例えば、被保険者および/または受取人など)に通知するか否かを示す値が設定される。例えば、同時通知有無308は、「0:通知なし」または「1:通知あり」が設定される。「1:通知あり」が設定される場合、図示しないが、契約者が指定した被保険者などが使用するコンピュータデバイスのメールアドレスに対して通知メールが送信される。
【0033】
保険契約データレコードの各々は、銀行が契約者との間で保険契約を締結すると、銀行の担当者が、サーバコンピュータ1に接続されたコンピュータデバイスから必要な情報を入力することによって、その情報がサーバコンピュータ1に送信され、保険契約データテーブル300に新規に挿入される。
【0034】
なお、図3に示したデータテーブルのレイアウトは、例示にすぎない。保険契約データテーブル300は、図3に示す要素の全てを含む必要はなく、また、図3には示されない任意の情報を含んでもよい。例えば、図3に示すレイアウトの代わりに、保険契約データテーブル300は、正規化された複数のデータテーブルによって実装されてもよい。
【0035】
保険者が保険契約を締結した時点で(銀行による販売を介して)、保険契約データテーブル300に保険契約データレコードを追加することによって、少なくとも銀行は、対象の口座情報および保険契約を関連付けて管理することができる。
【0036】
なお、図示しないが、サーバコンピュータ2は、保険者が締結した保険契約の各々を特定/管理するためのデータベーステーブル(以下、「保険者管理データテーブル」)を記憶装置23に記憶している。保険者管理データテーブルは、少なくとも保険契約(例えば、証券番号によって識別)および保険契約に関する情報を記憶している。保険契約に関する情報は、契約日、満期日、払込保険料、積立金、解約控除額、および保険金などを含む。
【0037】
上述したように、サーバコンピュータ2は、それぞれが複数の異なる保険者によって実装された複数のサーバコンピュータ2(サーバコンピュータ2a、2b、および2n)が存在することがある。よって、保険者管理データテーブルは、サーバコンピュータ2a、2b、および2nごとに含まれる情報やレイアウトなど異なる。少なくとも、サーバコンピュータ2は、証券番号に基づいて、該当の保険契約に関する上述した情報を記憶装置23から取得することができる。
【0038】
<保険明細データファイル送受信処理>
次に、図4および5を参照して、本実施形態に係る保険情報提供システム100が実行する処理の例を説明する。図4は、保険明細データファイル送受信処理の例を示すフローチャートである。保険明細データファイルは、サーバコンピュータ2(サーバコンピュータ2a、2b、および2n)のそれぞれにおいて記憶された保険者管理データテーブルから生成される、保険契約の明細に関するデータの集合である。
【0039】
サーバコンピュータ2a、2b、および2nはそれぞれ、保険明細データファイルを生成し、サーバコンピュータ1に送信するが、サーバコンピュータ2a、2b、および2nによって生成される保険明細データファイルは、統一したフォーマット、つまり、同一のデータ構造を有する。
【0040】
本実施形態では、口座名義人Xは、同一の銀行Yによる銀行窓販を通じて、保険者aとの間で保険契約Aを、保険者bとの間で保険契約Bを、および保険者cとの間で保険契約Cを締結しているものとする。銀行Yは、サーバコンピュータ1を実装しているものとする。また、保険者aは、サーバコンピュータ2aを実装しているものとし、保険者bおよびcもそれぞれ、サーバコンピュータ2bおよび2cを実装しているものとする。
【0041】
サーバコンピュータ2a乃至2cはそれぞれ、独立したコンピュータシステムを実装してもよく、その場合、システム構成およびデータ構造(上述した保険者管理データテーブルにおける)などが異なるが、少なくとも全ての保険契約のうち、銀行Yによって販売された保険契約を識別することができるものとする。
【0042】
まず、サーバコンピュータ2aの制御装置21は、保険者管理データテーブルから、銀行Yによって販売された保険契約に関するデータレコード(保険者管理データレコード)を全て抽出する(ステップS401)。次に、制御装置21は、抽出した保険者管理データテーブルから、契約日、満期日、払込保険料、積立金、解約控除金、および保険金などの情報を含む保険明細データファイルを生成する(ステップS402)。保険明細データファイルが生成されると、通信装置24は、保険明細データファイルをサーバコンピュータ1に送信する(ステップS403)。
【0043】
サーバコンピュータ2bでも同様に、制御装置21が保険者管理データレコードを抽出し(ステップS404)、抽出した保険者管理データレコードから保険明細データファイルを生成し(ステップS405)、通信装置24が保険明細データファイルをサーバコンピュータ1に送信する(ステップS406)。サーバコンピュータ2cでも同様に、制御装置21が保険者管理データレコードを抽出し(ステップS407)、抽出した保険者管理データレコードから保険明細データファイルを生成し(ステップS408)、通信装置24が保険明細データファイルをサーバコンピュータ1に送信する(ステップS409)。
【0044】
サーバコンピュータ1は、ステップS403においてサーバコンピュータ2aから送信された保険明細データファイルを、記憶装置13に記憶する。ステップS406においてサーバコンピュータ2bから送信された保険明細データファイル、およびステップS409においてサーバコンピュータ2cから送信された保険明細データファイルについても同様である。
【0045】
ステップS401乃至S409の処理によって、サーバコンピュータ1は、保険者a乃至cが保有している保険契約のうち、銀行Yによる銀行窓販を通じて契約者と締結した全ての保険契約に関する保険契約データを有することになる。上述したように、サーバコンピュータ2a乃至2cはそれぞれ、記憶している保険者管理データテーブルのデータ構造などが異なるが、サーバコンピュータ1に送信される保険明細データファイルは、同一のデータ構造を有する。つまり、サーバコンピュータ2a乃至2cはそれぞれ、予め定められたデータ構造に従って、保険明細データファイルを生成する。
【0046】
なお、サーバコンピュータ2aにおけるステップS401乃至S403は、予め定められた頻度(例えば、月に1回)およびタイミングで実行される。サーバコンピュータ2bにおけるステップS404乃至S406を実行する頻度およびタイミング、ならびにサーバコンピュータ2cにおけるステップS407乃至S409を実行する頻度およびタイミングも同様である。
【0047】
<保険情報提供処理>
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る保険情報提供処理の例を説明する。図5に示す処理は、予め定められた頻度およびタイミングで実行されるが、本実施形態では、月に1回の予め定められたタイミングで実行されるものとする。
【0048】
まず、サーバコンピュータ1の制御装置11は、保険契約データテーブル300から、通知有無304に「1:通知あり」が設定されたデータレコード(保険契約データレコード)を抽出する(ステップS501)。次に、制御装置11は、抽出した保険契約データレコードから、通知頻度305および直近通知日306に設定された値に基づいて、本ステップが実行されるときに保険情報を通知するべきタイミングである保険契約データレコードを判定する(ステップS502)。ステップS502の処理では、例えば、以下の条件を満たす保険契約データレコードが判定される。
・通知頻度305に「1:1カ月毎」が設定される、
・通知頻度305に「2:3カ月毎」が設定され、直近通知日306に設定された日付+3カ月=>ステップS502が実行される日付、または
・通知頻度305に「3:6カ月毎」が設定され、直近通知日306に設定された日付+6カ月=>ステップS502が実行される日付
【0049】
次に、制御装置11は、ステップS502において判定された保険契約データレコードごとに、保険識別情報303に設定された保険者番号および証券番号に基づいて、記憶装置13に記憶された保険明細データファイルから、保険者番号および証券番号に対応する保険明細データを取得する(ステップS503)。つまり、制御装置11は、保険契約データレコードに含まれる口座情報に対応する1つまたは複数の保険契約に対応する保険識別情報を特定し、保険識別情報に基づいて、対応する保険明細データを取得する
【0050】
上述したように、口座名義人Xは、保険者aとの間で保険契約Aを、保険者bとの間で保険契約Bを、および保険者cとの間で保険契約Cを締結している。よって、口座名義人Xに対応する保険明細データレコードについて、サーバコンピュータ2aによって送信された保険明細データファイルから保険契約Aに対応する保険明細データが取得される。同様に、サーバコンピュータ2bによって送信された保険明細データファイルから保険契約Bに対応する保険明細データが取得され、サーバコンピュータ2cによって送信された保険明細データファイルから保険契約Cに対応する保険明細データが取得される。
【0051】
次に、制御装置11は、ステップS502において判定された保険契約データレコード、およびステップS503において取得された保険明細データに基づいて、通知データを生成する(ステップS504)。通知データは、1つの口座に対応する1つまたは複数の保険契約についての保険明細情報を含む、電子メールの形式で表示されるデータである。保険明細情報は、保険契約のリストと共に、損益情報、為替情報、および商品情報を含む。損益情報、為替情報、および商品情報は、保険契約データレコードの通知種別307に設定された値に対応して、通知データに含まれる。
【0052】
通知データが生成されると、通信装置14は、指定されたメールアドレスに通知データを送信する(ステップS505)。また、通信装置14は、保険契約データレコードの同時通知有無308に「1:通知あり」が設定されている場合、対応するメールアドレスにも通知データを送信する(電子メール)。通知データを受信すると、口座名義人は、クライアントコンピュータ3のメーラ機能を使用して、通知データを参照することができる。
【0053】
図6は、通知データに含まれる保険契約リスト600を示す。図6に示す例は、口座名義人Xが締結している保険契約A乃至Cを含むリストを示す。保険契約リスト600は、データ項目として、商品名601、保険種別602、証券番号603、契約日604、満期日605、通貨606、払込保険料607、積立金608、および保険金609を含む。これらのデータ項目は、保険明細データファイルに含まれる対応するデータが設定される。
【0054】
図6に示すように、保険契約リスト600は、口座名義人が複数の異なる保険者から複数の保険契約を締結している場合でも、一覧形式で全ての保険契約の満期日などを示す。この構成によって、口座名義人(契約者)は、定期的に自身が締結している保険契約の状況を確認することができる。
【0055】
図7は、通知データに含まれる損益情報リスト700を示す。図7に示す例は、保険契約リスト600に対応する保険契約の損益情報を示す。保険明細データファイルに含まれる情報は、積立金などの情報のみであり、契約者が保険契約を解約した場合に戻る返戻金や損益額などを含まない。本実施形態では、制御装置11が、保険明細データファイルに含まれる情報に基づいて損益額などを計算し、損益情報リスト700に含めるようにしている。
【0056】
損益情報リスト700は、データ項目として、積立金701、解約控除金702、解約返戻金703、および解約時損益金704を含む。積立金701および解約控除金702は、保険明細データファイルに含まれる対応するデータが設定される。解約返戻金703は、契約者が基準日時点で該当の保険契約を解約した場合に契約者に返却される額を示す値が設定される。具体的には、積立金701に設定される値に解約控除金702に設定される値を加算した額が設定される。解約時損益金704は、契約者が基準日時点で該当の保険契約を解約した場合の損益額を示す値が設定される。具体的には、解約返戻金703に設定される値に積立金701を減算した額が設定される。なお、基準日とは、本ステップが実行される日を指すが、上述した額を算出するための基準となる任意の日であってもよい。
【0057】
図7に示すように、損益情報リスト700は、口座名義人が保険契約を解約した場合に、全ての保険契約について、どの程度の損益が発生するかを一覧形式で示す。この構成によって、口座名義人は、定期的に自身が締結している保険契約の損益の状況を確認することができる。
【0058】
図8は、通知データに含まれる為替情報リスト800を示す。図8に示す例は、保険契約リスト600に対応する保険契約の為替情報を示す。該当の保険契約が外貨建て保険の場合、保険明細データファイルに含まれる積立金などは、対応する外貨を基準とした額が設定される。本実施形態では、制御装置11が、保険明細データファイルに含まれる情報に基づいて日本円を基準とした損益額などを計算し、為替情報リスト800に含めるようにしている。
【0059】
為替情報リスト800は、保険購入時点為替レート801、基準日時点為替レート802、および円基準解約時損益金803を含む。保険購入時点為替レート801は、該当の保険を購入した時点での為替レートの値が設定される。保険明細データファイルは、該当の保険契約が外貨建ての場合、通貨を識別する情報を含む。保険購入時点為替レート801は、契約日604(図6を参照)に設定される日付の時点での対応する通貨と円との為替情報が設定される。基準日時点為替レート802は、基準日時点での為替レートの値が設定される。円基準解約時損益金803は、解約返戻金703(図7を参照)に設定される値に基準日時点為替レート802に設定される値を乗算し、その値から、払込保険料607(図6を参照)に設定される値に保険購入時点為替レート801に設定される値を乗算した値を減算した額が設定される。
【0060】
図8に示すように、為替情報リスト800は、口座名義人が外貨建ての保険契約を解約した場合に、全ての保険契約について、どの程度の損益が発生するかを一覧形式で示す。この構成によって、口座名義人は、定期的に自身が締結している保険契約の為替レートを考慮した損益の状況を確認することができる。
【0061】
図9は、通知データに含まれる商品情報リスト900を示す。図9に示す例は、保険契約リスト600に対応する保険契約の商品情報を示す。商品情報リスト900は、該当の保険契約の商品情報(例えば、年金の受取方法、給付金についての注意事項など)を示す。これらの情報は、保険明細データファイルに含まれる対応するデータが設定される。また、対応する保険契約ごとに商品パンフレットのイメージデータが記憶装置13に記憶され、そのイメージデータが通知データに含まれてもよい。
【0062】
図9に示すように、商品情報リスト900は、口座名義人が締結している保険契約に対応する商品情報を示す。この構成によって、口座名義人は、定期的に自身が締結している保険契約の注意事項などを確認することができる。
【0063】
以上のように本実施形態に係る保険情報提供システム100の例を説明した。上記説明した保険情報提供システム100によれば、口座名義人は、銀行窓販を介して締結した複数の保険契約についての情報を定期的かつ容易に把握することができる。
【0064】
なお、通知データに含まれる上述した情報は例示にすぎず、該当の保険契約に関する任意の情報が通知データに含まれてもよい。例えば、被保険者および/または受取人の住所や電話番号などの連絡先情報が通知データに含まれてもよい。この場合、サーバコンピュータ2から送信される保険明細データファイルにも、被保険者および/または受取人の連絡先情報が含まれることになる。被保険者および/または受取人の住所が変わった場合、その事実が保険者に通知されないこともある。定期的に送信される通知データに被保険者および/または受取人の連絡先情報を含めることによって、被保険者などの連絡先が変わったことを契約者が保険者に連絡する動機付けとなり得る。
【0065】
また、上記説明した実施形態では、電子メールの形式で通知データが送信される例を示したが、そのような例に限定されない。例えば、(口座名義人の)クライアントコンピュータ3が特定のウェブサイトにアクセスし、要求電文を送信したことに応答して、サーバコンピュータ1が通知データをクライアントコンピュータ3に送信してもよい。
【0066】
さらに、上記説明した実施形態では、銀行の窓口を通じて保険商品が販売された例を示したが、そのような例に限定されない。例えば、上記実施形態は、銀行だけでなく、証券会社および信託会社など、特定の金融機関の窓口を通じて保険商品が販売された例にも適用されてもよい。
【0067】
上記実施形態で説明したハードウェアの構成要素は例示的なものにすぎず、その他の構成も可能であることに留意されたい。また、上記実施形態で説明した処理の順序は、必ずしも説明した順序で実行される必要がなく、任意の順序で実行されてもよい。さらに、本発明の基本的な概念から逸脱することなく、追加のステップが新たに加えられてもよい。
【0068】
また、本発明の一実施形態に係る保険情報提供システム100は、サーバコンピュータ1によって実行されるコンピュータプログラムによって実装されるが、当該コンピュータプログラムは、非一時的記憶媒体に記憶されてもよい。サーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ3によって実行されるコンピュータプログラムも同様である。非一時的記憶媒体の例は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクおよび取外可能ディスク装置などの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD-ROMディスクおよびデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学媒体などを含む。
【符号の説明】
【0069】
1 サーバコンピュータ
2 サーバコンピュータ
2a サーバコンピュータ
2b サーバコンピュータ
2n サーバコンピュータ
3 クライアントコンピュータ
4 ネットワーク
100 保険情報提供システム
図1
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