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特許7047035プロピレン重合用固体触媒の製造方法 {The preparation method of solid catalyst for propylene polymerization}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】プロピレン重合用固体触媒の製造方法 {The preparation method of solid catalyst for propylene polymerization}
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
C08F4/654
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020158461
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2021066866
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0130859
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515253049
【氏名又は名称】ハンファ トータル ペトロケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウン イル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジヌ
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188180(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/121549(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0277389(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0080616(KR,A)
【文献】特開昭59-117509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含むことを特徴にするプロピレン重合用固体触媒の製造方法:
(1)有機溶媒の存在下でジアルコキシマグネシウムとチタニウムハライド化合物を反応させる段階;
(2)前記段階(1)の結果物に1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジブチルエステルと、そしてエチルベンゾエート(B)、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン(C)、または2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン(D)の中から選ばれたいずれか1種を混合した内部電子供与体混合物を反応させる段階
【化1】

(3)前記段階(2)の結果物をチタニウムハライド化合物と反応させ、結果物を洗浄する段階。
【請求項2】
請求項1において、前記ジアルコキシマグネシウム化合物はジエトキシマグネシウムであることを特徴にするプロピレン重合用固体触媒の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記チタニウムハライドは一般式(I)で表されることを特徴にするプロピレン重合用固体触媒の製造方法。
Ti(OR)(4-a)・・・・・・(I)
ここで、Rは炭素原子1~10のアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、aは一般式の原子価を合わせるためのものであって0~3の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロピレン重合用固体触媒の製造方法に関するものであって、より詳しくは、(1)有機溶媒の存在下でジアルコキシマグネシウムとチタニウムハライド化合物とを1次反応させる段階;(2)前記段階(1)の結果物に2種の非芳香族内部電子供与体を混合し添加して反応させる段階;(3)前記段階(2)の結果物をチタニウムハライド化合物と2次反応させた後、結果物を洗浄する段階から構成されることを特徴にする。本発明において記述された方法にしたがって製造された触媒は、高い触媒活性を提供することはもちろん、優れた立体規則性を有するプロピレン重合体を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは産業的に極めて有用な物質であるが、特に自動車と電子製品に関わる素材において様々な用途で広く用いられている。ポリプロピレンの適用がより拡がるためには結晶化度を高めて剛性を改善させることが重要であり、このためにはプロピレン重合用固体触媒が高い立体規則性を示すように考案しなければならない。
【0003】
前記のようなプロピレンなどのオレフイン類の重合においてはマグネシウム、チタニウム、電子供与体及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒が知られており、この固体触媒と有機アルミニウム化合物及び有機シリコン化合物からなる触媒係を用いてオレフィン類を重合または共重合する方法が数多く提案されてきた。しかし、このような方法は高立体規則性の重合体を高い収率で得るには十分ではなく、改善が求められている。
【0004】
プロピレン重合用触媒において触媒活性は最も基本的で、かつ重要な特性の一つである。活性が高いとその分少ない量の触媒の使用ができるため、製造コストを下げることができ、マグネシウム、チタニウム、ハロゲンなどの金属触媒残渣及び触媒の注入時に用いられるヘキサンなどの揮発性物質の残留量を減らすことができる。
【0005】
前記のようにプロピレン重合において、触媒活性の増加を通じてコストを下げ、立体規則性などの触媒性能を向上させて重合体の物性を改善させるために、内部電子供与体として芳香族ジカルボン酸のジエステルを用いる方法が広く知られており、これに関わる特許が出願された。米国特許第4,562,173号、米国特許第4,981,930号、韓国特許第0072844号などはその例と言え、前記特許は芳香族ジアルキルジエステルまたは芳香族モノアルキルモノエステルを用いて高活性、高立体規則性を発現する触媒製造方法を紹介している。
【0006】
しかし、前記特許で用いられるものと同じ芳香族ジカルボン酸のジエステル化合物は極めて少ない量でも人間の生殖機能の低下、成長障害、奇形、癌の誘発といった人間及び生態系に好ましくない影響をもたらせる環境ホルモン物質として知られている。よって、近年、飲食包装容器及び医療機器などの用途として用いられるポリプロピレンの製造には内部電子供与体として環境にやさしい物質を使用することに対する要求が台頭されている。また、前記特許の方法は高立体規則性の重合体を高い収率で得るには十分ではないため改善が求められる。
【0007】
一方、内部電子供与体として前記のようなアルキルエステルの他に、非芳香族性のジエーテル物質(韓国特許第0491387号)及び非芳香族でありながらケトンとエーテル官能基を同時に有する物質(韓国特許第0572616号)を用いる触媒製造方法が知られている。しかし、この二つの方法とも活性と立体規則性の側面の両方で大きく改善しなければならない余地がある。
【0008】
また、米国特許第6,048,818号には内部電子供与体としてマロン酸を用いて触媒を製造する方法を開示しているが、この方法は活性及び立体規則性が商業用として使用するのに適合でないほどに低い短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は環境有害物質を含有せず、且つ高い収率で立体規則性に優れたポリプロピレンを製造することができるプロピレン重合用固体触媒の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的と有益性は下記の説明と本発明の請求範囲を参照すれば一層明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような課題を解決するために、本発明は下記の段階を含むことを特徴にするプロピレン重合用固体触媒の製造方法を提供する:
(1)有機溶媒の存在下でジアルコキシマグネシウムとチタニウムハライド化合物とを1次反応させる段階;
(2)前記段階(1)の結果物に2種の非芳香族内部電子供与体を混合し添加して反応させる段階;及び
(3)前記段階(2)の結果物をチタニウムハライド化合物と2次反応させ、結果物を洗浄する段階。
【0012】
前記段階(1)で用いられる有機溶媒としては、その種類に特に限定がなく、炭素数6~12の脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを用いることができ、より好ましくは炭素数7~10の飽和脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素を用いることができ、その具体的な例としては、オクタン、ノナン、デカン、トルエン及びキシレン、クルロロブタン、クルロロヘキサン、クルロロヘプタンなどから選ばれる1種以上を単独で、または混合して用いることができる。
【0013】
前記段階(1)において担持体であるマグネシウムクロライドを生成するのに用いられるジアルコキシマグネシウムとしてはジエトキシマグネシウムが特に好ましく用いられる。前記ジアルコキシマグネシウムは金属マグネシウムを塩化マグネシウムのような反応開始剤の存在下で無水アルコールと反応させて得られる平均粒径が 10~200μmで、表面が滑らかな球形粒子であって、前記球形の粒子形状はプロピレンの重合時にもそのまま維持されるものが好ましく、前記平均粒径が10μm未満であると製造された触媒の微細粒子が増加して重合時に高分子の団塊化を招いて工程問題を引き起こすので好ましくなく、200μmを超えると見掛け密度が下がる傾向にあって好ましくない。
【0014】
前記固体触媒の製造工程のうち段階(1)において用いられるチタニウムハライドは、好ましくは下記一般式(I)で表される:
Ti(OR)(4-a)・・・・・・(I)
ここで、Rは炭素原子1~10のアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、aは一般式の原子価を合わせるためのものであって0~3の整数である。前記チタニウムハライドとしては、特に四塩化チタニウムをを用いるのが好ましい。
【0015】
前記固体触媒の製造工程のうち段階(1)における反応は0~30℃の温度範囲でジアルコキシマグネシウムウを有機溶媒に懸濁した状態で前記チタニウムハライドを徐々に投入して行ったほうが好ましい。
【0016】
前記段階(1)においてチタニウムハライドの使用量はジアルコキシマグネシウム 1モルに対して0.1~10モル、より好ましくは0.3~2モルにするのが好ましいが、0.1モル未満であるとジアルコキシマグネシウムが塩化マグネシウムに変化する反応が円滑に進まないので好ましくなく、10モルを超えると過度に多いチタニウム成分が触媒内に存在することとなるので好ましくない。
【0017】
前記プロピレン重合用固体触媒の製造工程において、前記段階(2)において用いられる内部電子供与体混合物は、1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジアルキルエステル(1,4-cyclohexadiene-1,2-dicarboxylic acid1,2-dialkylester)(A)化合物と、そしてエチルベンゾエート(ethyl benzoate)(B)、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン(9,9-bis(methoxymethyl)fluorine))(C)、または2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン(2-isopropyl-2-isopentyl-1,3-dimethoxypropane)(D)の中から選ばれたいずれか1種を混合して使用する。
【0018】
前記プロピレン重合用固体触媒の製造工程において、前記段階(2)において用いられる内部電子供与体混合物は、1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジアルキルエステル(1,4-cyclohexadiene-1,2-dicarboxylic acid 1,2-dialkylester)(A)化合物と、そしてエチルベンゾエート(ethyl benzoate)(B)、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン(9,9-bis(methoxymethyl)fluorene)(C)、または2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン(2-isopropyl-2-isopentyl-1,3-dimethoxypropane)(D)の中から選ばれたいずれか1種を混合して使用する。
【0019】
【化1】
【0020】
ここでR及びRは炭素原子2~8の線形または分枝形アルキル基または炭素原子3~8の環形アルキル基である。
【0021】
【化2】
【0022】
前記段階(2)は、前記段階(1)の結果物の温度を80~130℃まで徐々に昇温させながら昇温過程の中で前記内部電子供与体を投入して1~3時間の間反応させることで行うのが好ましいが、前記温度が80℃未満であるか反応時間が1時間未満であると反応が仕上がりにくく、130℃を超えるか反応時間が3時間を超えると副反応によって結果物である触媒の重合活性または重合体の立体規則性が低くなりえる。
【0023】
前記内部電子供与体は、前記昇温過程中に投入される限り、その投入温度及び投入回数は大きく制限されず、前記内部電子供与体の全体の使用量は用いられたジアルコキシマグネシウム1モルに対して0.1~1.0モルを使用するのが好ましいが、前記範囲から外れると、結果物である触媒の重合活性または重合体の立体規則性が低下しえるため好ましくない。
【0024】
前記固体触媒の製造工程において、段階(3)は、前記段階(2)の結果物にチタニウムハライドを担持させる2次反応・洗浄する工程であって、80~130℃の温度で行われたほうが、チタニウムハライド化合物による前記段階(2)の結果物を2次活性化するにおいてより好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の方法によって製造されたプロピレン重合用固体触媒を用いると、環境有害物質を含有せず、且つ優れた立体規則性を有するポリプロピレンを高い収率で生成することができる。
【発明を実施するための具体的な内容】
【0026】
以下、実施例を介して本発明をより詳しく説明する。しかし、これらの実施例は例示的な目的であるだけで、本発明がこれらの実施例に限定される訳ではない。
【0027】
[実施例]
実施例1
[固体触媒の製造]
窒素で充分に置換された1リットルサイズの撹拌機が設けられたガラス反応器にトルエン150mlとジエトキシマグネシウム(平均粒度20μm)20gを投入し、10℃に維持した。四塩化チタニウム40mlをトルエン60mlに希釈して1時間かけて投入した後、反応器の温度を110℃まで上げながら1,4-cyclohexadiene-1,2-dicarboxylic acid 1,2-dibutylester(A、R1=R2=butyl)を16.8mmol(4.71g)、ethyl benzoate(B)を5.6mmol(0.84g)を注入した。110℃で2時間の維持した後、90℃に温度を下げて撹拌を止め、上澄液を除去し、追加でトルエン200mlを用いて同一の方法で1回洗浄した。
【0028】
ここにトルエン150mlと四塩化チタニウム50mlとを投入して温度を110℃まで上げて2時間維持した。熟成過程が終わった前記スラリー混合物を1回当たりトルエン200mlで2回洗浄し、40℃でノーマルヘキサンで1回あたり200mlずつ5回洗浄して薄い黄色の固体触媒成分を得た。
【0029】
[ポリプロピレン重合]
4リットルサイズの高圧用ステンレス反応器内に前記の固体触媒10mgとトリエチルアルミニウム6.6mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.66mmolを投入した。続いて水素1000mlと液体状態のプロピレン2.4Lを順に投入した後、温度を70℃まで上げて重合を実施した。重合開始後、2時間が経過すれば反応器の温度を常温まで下げながらバルブを開けて反応器内部のプロピレンを完全除去した。得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0030】
ここで、触媒活性及び立体規則性は次のような方法で決定した。
1.触媒活性(kg-PP/g-触媒)=ポリプロピレン生成量(kg)÷注入した触媒量(g)
2.立体規則性(X.I.):重合体100gの中で、混合キシレン中に結晶化して析出された不溶成分の重量%
【0031】
実施例2
前記実施例1の[固体触媒の製造]段階において、ethyl benzoate(B)5.6mmol(0.84G)の代わりに9,9-bis(methoxymethyl)fluorene(C)5.6mmol(1.42g)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で固体触媒を製造した。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0032】
実施例3
前記実施例1の[固体触媒の製造]段階において、ethyl benzoate(B)5.6mmol(0.84g)の代わりに2-isopropyl-2-isopentyl-1,3-dimethoxypropane(D)5.6mmol(1.13g)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で固体触媒を製造した。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0033】
実施例4
[固体触媒の製造]
窒素で充分に置換された1リットルサイズの撹拌機が設けられたガラス反応器にトルエン150mlとジエトキシマグネシウム(平均粒度20μm)20gを投入し、10℃に維持した。四塩化チタニウム40mlをトルエン60mlに希釈して1時間かけて投入した後、反応器の温度を110℃まで上げながら1,4-cyclohexadiene-1,2-dicarboxylic acid 1,2-diethylester(A、R1=R2=ethyl)16.8mmol(3.77g)、ethyl benzoate(B)5.6mmol(0.84g)を注入した。110℃で2時間維持した後、90℃に温度を下げて撹拌を止め、上澄液を除去し、追加でトルエン200mlを用いて同一の方法で1回洗浄した。
【0034】
ここにトルエン150mlと四塩化チタニウム50mlを投入して温度を110℃まで上げて2時間維持した。熟成過程が終わった前記スラリー混合物を1回当たりトルエン200mlで2回洗浄し、40℃でノーマルヘキサンで1回当たり200mlずつ5回洗浄して薄い黄色の固体触媒成分を得た。
【0035】
[ポリプロピレン重合]
前記固体触媒を用いて、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果を表1に示した。
【0036】
実施例5
前記実施例4の[固体触媒の製造]段階において、ethyl benzoate(B)5.6mmol(0.84g)の代わりに9,9-bis(methoxymethyl)fluorene(C)5.6mmol(1.42g)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で固体触媒を製造した。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0037】
実施例6
前記実施例4の[固体触媒の製造]段階において、ethyl benzoate(B)5.6mmol(0.84g)の代わりに2-isopropyl-2-isopentyl-1,3-dimethoxypropane(D)5.6mmol(1.13g)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で固体触媒を製造した。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0038】
比較例1
窒素で十分に置換された1リットルサイズの撹拌機が設けられたカラス反応器にトルエン150mlとジエトキシマグネシウム(平均粒度20μm)20gを投入して10℃に維持した。四塩化チタニウム40mlをトルエン60mlに希釈して1時間かけて投入した後、反応器の温度を110℃まで上げながら1,4- cyclohexadiene-1,2-dicarboxylic acid 1,2-dibutylester(A、R1=R2=butyl)22.4mmolを注入した。110℃で2時間維持した後、90℃に温度を下げて撹拌を止めて上澄液を除去し、追加でトルエン200mlを用いて同一の方法で1回洗浄した。
【0039】
ここにトルエン150mlと四塩化チタニウム50mlを投入して温度を110℃まで上げて2時間の維持した。熟成過程が終わった前記スラリー混合物を1回当たりトルエン200mlで2回洗浄し、40℃でノーマルヘキサンで1回当たり200mlずつ5回洗浄して薄い黄色の固体触媒成分を得た。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0040】
比較例2
窒素で充分に置換された1リットルサイズの撹拌機が設けられたガラス反応器にトルエン150mlとジエトキシマグネシウム(平均粒度20μm)20gを投入して10℃に維持した。四塩化チタニウム40mlをトルエン60mlに希釈して1時間かけて投入した後、反応器の温度を110℃まで上げながら1,4-cyclohexene-1,2-dicarboxylic acid 1,2-diethylester(A、 R1=R2=ethyl)22.4mmolを注入した。110℃で2時間維持した後、90℃に温度を下げて撹拌を止めて上澄液を除去し、追加でトルエン200mlを用いて同一の方法で1回洗浄した。
【0041】
ここにトルエン150mlと四塩化チタニウム50mlを投入して温度を110℃まで上げて2時間維持した。熟成過程が終わった前記スラリー混合物を1回当たりトルエン200mlで2回洗浄し、40℃でノーマルヘキサンで1回当たり200mlずつ5回洗浄して薄い黄色の固体触媒成分を得た。その後、実施例1と同一の方法でポリプロピレン重合を行い、得られたプロピレン重合体の分析結果は表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示されたように、本発明による1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジブチルエステル(A、R1=R2=ブチル)や、1,4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジエチルエステル(A、R1=R2=エチル)と、内部電子供与体にエチルベンゾエート(B)、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン(C)、または2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン(D)のうち一つを選択混合して使用した実施例1~6は、内部電子供与体1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジブチルエステル(A、R1=R2=ブチル)や、1,4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸1,2-ジエチルエステル(A、R1=R2=エチル)を単独で使用した比較例1~2と比べて立体規則性が一層高いだけでなく、触媒活性が改善した。