IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンロブ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-ダイ交換装置 図1
  • 特許-ダイ交換装置 図2
  • 特許-ダイ交換装置 図3
  • 特許-ダイ交換装置 図4
  • 特許-ダイ交換装置 図5
  • 特許-ダイ交換装置 図6
  • 特許-ダイ交換装置 図7
  • 特許-ダイ交換装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】ダイ交換装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 15/02 20060101AFI20220328BHJP
   B21J 15/38 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B21J15/02 Z
B21J15/38 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020519186
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 GB2018051652
(87)【国際公開番号】W WO2018229502
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】1709622.3
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508080296
【氏名又は名称】アトラス コプコ アイエイエス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】キーロン ハロップ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウィリアムス
(72)【発明者】
【氏名】ガレス ヒル
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0332216(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第00891986(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/332217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/02
B21J 15/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ交換装置であって、該装置は、
互いに離間した第1および第2のダイ支持部を有し、前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置し得るように移動可能である、複数のダイを支持する第1のダイ支持体と、
前記第1および第2のダイ支持部のうちの1つが前記第1の移送位置にあるとき、前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つからダイを把持し、把持したダイを前記第1のダイ支持体から取り外す第1の把持部を備えた移送装置と、を備え、
前記移送装置は、前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つが前記第1の移送位置にあるとき前記第1の把持部が前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つから前記ダイを把持することができる第1の配置形態と、前記第1の把持部がダイを解放してそのダイを第2の移送位置に位置するリベットセッターの第2のダイ支持体に渡す第2の配置形態との間で、前記第1のダイ支持体と独立に移動可能であり、
前記移送装置が第2の把持部を備え、前記移送装置の前記第1の配置形態において、前記第2の把持部は前記第2の移送位置に位置する前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から第2のダイを把持するように構成され、且つ前記移送装置の前記第2の配置形態において、前記第2の把持部は前記第1のダイを開放してそのダイを廃棄ターゲットに渡すことができる、
ダイ交換装置。
【請求項2】
前記第1の配置形態と前記第2の配置形態との間の前記移送装置の移動は、軸を中心とする回転である、請求項1に記載のダイ交換装置。
【請求項3】
前記第1のダイ支持体は、第1の軸を中心とする回転可能なカルーセルであり、前記第1および第2のダイ支持部は、前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが前記第1の移送位置に位置し得るように前記第1の軸を中心に角度的に離間されている、請求項1または2に記載のダイ交換装置。
【請求項4】
前記廃棄ターゲットは前記第1のダイ支持体の一部を形成する、請求項に記載のダイ交換装置。
【請求項5】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持部、前記第2のダイ支持部、または第3のダイ支持部のうちの1つであることを特徴とする請求項に記載の大交換装置。
【請求項6】
前記第1のダイ支持体の前記廃棄ターゲットは、廃棄容器または廃棄導管である、請求項に記載のダイ交換装置。
【請求項7】
前記第1のダイ支持体は廃棄容器または廃棄導管を備え、前記移送装置は、前記廃棄容器または廃棄導管が前記第1の移送位置にあるとき、前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から第2のダイを取り外してそれを前記廃棄容器または廃棄導管に渡すように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のダイ交換装置。
【請求項8】
前記第1のダイ支持体は、該第1のダイ支持体に接続された第1の端部と前記第1の端部から離間した第2の端部とを有する廃棄導管を含み、前記ダイ交換装置は、前記廃棄導管が前記第1の移送位置に位置するように前記第1のダイ支持体が位置づけられると、前記廃棄導管の第2端部が第2廃棄容器または廃棄導管に隣接して位置するように構成され、その結果、前記第2のダイが前記廃棄導管に渡されると、前記第2のダイは前記廃棄導管をその第1の端部から第2の端部へ第1の端部から第2の端部へ通過し、次いで前記第2の廃棄容器または廃棄導管に入ることができる。請求項またはに記載のダイ交換装置。
【請求項9】
前記ダイ交換装置の一部は人の進入が制限された制限区域内に位置するように構成され、前記ダイ交換装置は第2の廃棄導管を備え、前記第1の移送位置は前記制限区域内に位置し、前記第2の廃棄導管は互いに離間した第3および第4の端部を含み、前記廃棄導管の第2端部が前記第2の廃棄導管に隣接して位置するとき、前記第3の端部が前記廃棄導管に隣接して位置し、前記第4の端部が前記制限区域の外に位置する、請求項に記載のダイ交換装置。
【請求項10】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部が前記制限区域内に位置するように構成され、且つ前記第1のダイ支持体の一部が前記制限区域の外に位置可能であり、前記第1のダイ支持体の前記部分が廃棄ターゲットまたは廃棄容器を備える、請求項のいずれかに記載のダイ交換装置。
【請求項11】
前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は、複数の受け取ったダイを収容するように構成され、それによって、前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持する、請求項のいずれか、または、請求項もしくはを引用する請求項10に記載のダイ交換装置。
【請求項12】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部が前記制限区域内に位置するように構成され、前記第1のダイ支持体の一部が前記制限区域の外に位置可能であり、前記第1のダイ支持体の前記部分が前記第1および/または第2のダイ支持部を備える、請求項1~11のいずれかに記載のダイ交換装置。
【請求項13】
前記第1のダイ支持部および前記第2のダイ支持部の各々は複数のダイを支持するように構成され、前記第1のダイ支持部は第1のタイプの複数のダイを支持し、前記第2のダイ支持部は第2のタイプの複数のダイを支持するように構成されている、請求項1~12のいずれかに記載のダイ交換装置。
【請求項14】
ダイ交換装置を用いてダイを交換する方法であって、前記ダイ交換装置は、
互いに離間した第1および第2のダイ支持部を有する第1のダイ支持体と、第1の把持部を備えた移送装置とを備え、前記方法は、
複数のダイを前記第1の支持体に支持するステップと、
前記第1のダイ支持体を、前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置するように移動させるステップと、
前記第1および第2のダイ支持部の1つが前記第1の移送位置に位置するとき、前記第1の把持部が前記第1および第2のダイ支持部の前記1つからダイを把持し、前記移送装置が前記把持したダイを前記第1のダイ支持体から取り外すステップと、
前記移送装置を、前記第1のダイ支持体と独立に、前記把持が生じ得る第1の配置形態と、前記第1の把持部が前記ダイを開放し、そのダイを第2の移送位置に位置するリベットセッターの第2のダイ支持体に渡す第2の配置形態との間で移動させるステップと、を含み、
前記移送装置は第2の把持部を備え、前記移送装置の前記第1の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2の移送位置に位置する前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から第2のダイを把持し、前記移送装置の第2の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2のダイを解放し、それを廃棄ターゲットに渡す、
方法。
【請求項15】
前記第1のダイ支持体は、第1の軸を中心に回転可能なカルーセルであり、前記第1および第2のダイ支持部は、前記第1の軸を中心に互いに角度的に離間され、
前記第1のダイ支持体を前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置するように移動させるステップは、前記第1のダイ支持体を前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが前記第1の移送位置に位置するように回転させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持体の一部を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持部、前記第2のダイ支持部または第3のダイ支持部のうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のダイ支持体の廃棄ターゲットは、廃棄容器または導管である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のダイ支持体は廃棄容器または導管を備え、前記方法はさらに、
前記廃棄容器または導管が前記第1の移送位置にあるときに、前記移送装置が前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から前記第2のダイを取り外し、それを前記廃棄容器または導管に渡すステップを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のダイ支持体は廃棄導管を備え、前記廃棄導管は、前記第1のダイ支持体に接続された第1の端部と、前記第1の端部から離間した第2の端部とを有し、前記方法はさらに、
前記廃棄導管が前記第1の移送位置に位置するように前記第1のダイ支持体を位置させるステップと、
前記廃棄導管の第2端部を第2廃棄容器または廃棄導管に隣接して位置させるステップと、
前記第2のダイが前記廃棄導管をその第1の端部から第2の端部へ通過し、それから前記第2の廃棄容器または廃棄導管に入るように前記第2のダイを前記廃棄導管に渡すステップと、
を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記ダイ交換装置の一部が人の進入が制限された制限区域内に位置し、前記ダイ交換装置が第2の廃棄導管を備え、前記第1の移送位置が前記制限区域内に位置し、前記第2の廃棄導管が互いに離間した第3および第4の端部を備え、前記方法はさらに、
前記廃棄導管の第2端部が前記第2の廃棄導管に隣接して位置するとき、前記第3の端部を前記廃棄導管に隣接して位置させるステップと、
前記第4の端部を前記制限区域の外に位置させるステップと、
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部が前記制限区域内に位置し、前記方法はさらに、
前記第1のダイ支持体の一部を前記制限区域の外に位置させるステップを含む、前記第1のダイ支持体の前記部分が廃棄ターゲットまたは廃棄容器を備える、請求項1619のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は複数のダイを受け取り、前記方法はさらに、
前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器が前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持するステップ、
を含む、請求項1821のいずれか、または、請求項18もしくは19を引用する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部が前記制限区域内に位置し、前記方法はさらに、前記第1のダイ支持体の一部を前記制限区域の外に位置させるステップを含み、前記第1のダイ支持体の前記部分が前記第1および/または第2のダイ支持部を備える、請求項1423のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記第1のダイ支持部および前記第2のダイ支持部の各々は複数のダイを支持し、前記第1のダイ支持部は第1のタイプの複数のダイを支持し、前記第2のダイ支持部は第2のタイプの複数のダイを支持する、請求項1424のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
リベットセッターと請求項1425のいずれかに記載の方法を実施するダイ交換装置を併用してワークピースの2つ以上の層を締結するステップを含む、製品の製造方法。
【請求項27】
前記製品は車両である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイ交換装置に関し、特に、ファスニング装置の一部を形成するダイ交換装置に関する。ファスニング装置は、セルフピアスリベットを利用するリベットセッターであってもよい。本発明は、関連方法にも関する。
【0002】
ワークピースの2つ以上の部分(2つ以上のシートなど)を固定するために使用される、多くの既知のタイプのファスナがある。このような既知のファスナの1つのグループは、次のように機能する。ファスナ支持体がワークピースの下に配置され、ファスナとファスナ挿入装置がファスナ支持体とワークピースの両方の上に配置される。ファスナ挿入装置は、ファスナに力を加え、それによりファスナをワークピースを通してファスナ支持体に向かって駆動する。場合によっては、ファスナ支持体は、ファスナ挿入装置によってファスナに加えられる力の結果として、ファスナに反力を及ぼし得る。ファスナに作用する力により、ファスナが変形し、それによってワークピースの2つ以上の部分が固定される。
【0003】
そのようなファスナの例には、リベット、機械的スタッド、および他のタイプのファスニング装置が含まれる。特定のタイプの既知のリベットは、セルフピアスリベットである。このようなリベットを適切な接着剤などと組み合わせて使用することは、溶接が実用的ではない産業で広く普及しており、望ましいものとなっている。そのような産業には、アルミニウム構成要素を利用する産業が含まれる。そのような産業の一例は、少なくとも1枚のアルミニウムシートを含む金属シートのスタックを互いに固定する必要がある自動車産業である。
【0004】
上述のように、既知のファスニング装置は、ファスナ支持体とファスナ挿入装置とを含む。ファスナ挿入装置はノーズアセンブリを含み、リベットがリベット貯蔵場所からノーズアセンブリに入り、そこからパンチによってワークピースに挿入される。ファスナ支持体は、ワークピースの下に位置し、リベットがワークピースに挿入されたときリベットをアプセットするように構成されたアプセットダイを含む。アプセットダイの容積と形状は、リベットがパンチによってワークピースに挿入されたときに所望の形状をとるように、所望の程度のアプセットを提供するように選択される。
【0005】
異なるタイプのリベット(すなわち、異なる形状、寸法、および/または材料などのリベット)をノーズアセンブリに供給することができる供給装置は既に知られている。異なるファスニング要件を持つ異なるワークピースまたはワークピース上の異なる位置を固定することが望ましい場合(例えば、ワークピース/ワークピース部分を形成するシートの数が異なる場合、ワークピース/ワークピース部分の材料タイプの組み合わせが異なるおよび/または厚さが異なる場合、および/またはワークピース/ワークピース部分のシート、および/または(上記のように)異なるタイプのリベットを使用する必要がある場合)、しばしばアプセットダイを取り外し、そのダイを異なるリベットおよび/または関連するワークピース/ワークピース部分の特性により適した異なる容積および/または形状を有するアプセットダイと交換する必要がある。さらに、ダイは消耗品であり、最終的には摩耗するため、リベットが必要な形状を得るのに必要な程度のアップセット作用を提供できなくなる。これにより、不満足な接合が生じ得る。摩耗したダイは交換しなければならない。
【0006】
ファスニング装置のダイを取り外して交換するためのダイ交換装置は既に知られている。このようなダイ交換装置はあまり効率よく使用することができない。ダイ交換装置の効率を改善するためにできることは何でもしてファスニング装置の動作中のメンテナンス停止時間および/または潜伏期間を短縮するのが有利である。
【0007】
さらに、既知のファスニング装置およびダイ交換装置は、多くの場合、制限区域、すなわち安全上の理由から人の接近が制限された区域に設置される。このような状況では、人が侵入する前に制限区域内のすべての機械の電源を切る必要があるのが一般的である。これはダイ交換装置へのアクセスを困難にし、従ってダイ交換装置から不要なダイを除去し、新しいダイをダイ交換装置に補充することが問題になる。
【0008】
本明細書で説明されるか否かにかかわらず、既知のダイ交換装置と関連する問題の少なくとも1つを軽減する装置および方法を提供することが望ましい。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、ダイ交換装置が提供され、該装置は、
互いに離間した第1および第2のダイ支持部を有し、前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置し得るように移動可能である、複数のダイを支持する第1のダイ支持体と、
前記第1および第2のダイ支持部のうちの1つが前記第1の移送位置にあるとき、前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つからダイを把持し、把持したダイを前記第1のダイ支持体から取り外す第1の把持部を備えた移送装置と、を備え、
前記移送装置は、前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つが前記第1の移送位置にあるとき前記第1の把持部が前記第1および第2のダイ支持部のうちの前記1つから前記ダイを把持することができる第1の配置形態と、前記第1の把持部が前記ダイを解放してそのダイを第2の移送位置に位置するリベットセッターの第2のダイ支持体に渡す第2の配置形態との間で、前記第1のダイ支持体とは独立に移動可能である。
【0010】
前記第1のダイ支持体と前記移送装置を独立に動かす能力は、第1のダイ支持体の移動に関してより多くの自由があることを意味する。たとえば、前記ダイの支持体がカルーセルである場合、カルーセルを時計回りまたは反時計回りに回転させることができ、これにより、正しいダイ支持部を可能な限り迅速に位置付けることができるため、ファスニング装置の動作中の潜伏期間が短縮される。さらに、別個の移送装置を使用すると、移送装置が選択されたダイをダイ支持部から取り外したらすぐに、第1のダイ支持体を移動させて別のダイ支持部にある次のダイ(もしあれば)をプリフェッチすることができる。これによっても、ファスニング装置の動作中の潜伏期間を短縮することができる。
【0011】
前記第1の配置形態と前記第2の配置形態との間の前記移送装置の移動は、軸を中心とする回転とし得る。前記第1の配置形態と前記第2の配置形態との間の移送装置の回転量は、180°または他の適切な回転量とし得る。
【0012】
前記第1のダイ支持体は、第1の軸を中心に回転可能なカルーセルとしてよい。前記第1および第2のダイ支持部は、第1の軸を中心に互いに角度的に離間してよい。第1のダイ支持体は、第1のダイ支持部または第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置し得るように回転可能としてよい。
【0013】
前記移送装置は第2の把持部を備えてもよく、前記移送装置の第1の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2の移送位置に位置する前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から第2のダイを把持するように構成してもよい。前記移送装置の第2の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2のダイを解放し、それを廃棄ターゲットに渡すことができる。
【0014】
第2の把持部を使用すると、2つの別々のダイを、即ち1つはリベットセッター(例えば、第2のダイ支持体)から、もう1つは第1の支持部(例えば、第1のダイ支持体)から、同時に取り外すことができ、その後、同時に別々のダイを1つは廃棄ターゲットに、もう1つはリベットセッターに(例えば、第2のダイ支持体)に開放することができる。この同時動作により、関連する動作を順次に実行する場合と比較して、動作速度が向上する。
【0015】
前記廃棄ターゲットは、第1のダイ支持体の一部をとしてよい。
【0016】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持部、前記第2のダイ支持部または第3のダイ支持部のうちの1つとしてよい。
【0017】
前記第1のダイ支持体の廃棄ターゲットは、廃棄容器または導管としてもよい。
【0018】
前記第1のダイ支持体は、廃棄容器または導管を備えてもよい。前記移送装置は、前記廃棄容器または導管が前記第1の移送位置にあるときに、前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から前記第2のダイを取り外し、それを前記廃棄容器または導管に渡すように構成してもよい。
【0019】
前記第1のダイ支持体は廃棄導管を備えてもよい。前記廃棄導管は、前記第1のダイ支持体に接続された第1の端部と、前記第1の端部から離間した第2の端部とを有してよい。前記ダイ交換装置は、前記廃棄導管が前記第1の移送位置に位置するように前記第1のダイ支持体が位置付けられると、前記廃棄導管の第2端部が第2廃棄容器または廃棄導管に隣接して位置するように構成することができ、その結果、前記第2のダイが前記廃棄導管に渡されると、前記第2のダイは前記廃棄導管をその第1の端部から第2の端部へ通過し、それから前記第2の廃棄容器または廃棄導管に入ることができるようにしてよい。
【0020】
前記ダイ交換装置の一部は人の進入が制限された制限区域内に位置するように構成される。前記ダイ交換装置は第2の廃棄導管を備えてよい。前記第1の移送位置は前記制限区域内に位置させることができ、前記第2の廃棄導管は互いに離間した第3および第4の端部を備えることができる。前記廃棄導管の第2端部が前記第2の廃棄導管に隣接して位置するとき、前記第3の端部は前記廃棄導管に隣接して位置し、前記第4の端部は前記制限区域の外に位置することができる。
【0021】
これにより、オペレータが廃棄ダイをリベットセッターから取り外すために制限区域に入るのを回避することができる。
【0022】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部は前記制限区域内に位置するよう構成することができる。前記第1のダイ支持体の一部は前記制限区域の外に位置させることができ、前記第1のダイ支持体の前記部分は廃棄ターゲットまたは廃棄容器を備えることができる。
【0023】
この場合も同様に、オペレータが廃棄ダイをリベットから取り外すために制限区域に入るのを回避することができる。
【0024】
前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は、複数の受け取ったダイを収容するように構成してよい。前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持することができる。
【0025】
これは廃棄ダイの事後分析を可能にし、それらの特性をそれらがリベットセッターから除去された時系列に基づいて分析することができる。
【0026】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部は前記制限区域内に位置するように構成することができる。前記第1のダイ支持体の一部は前記制限区域の外に位置させることができ、前記第1のダイ支持体の前記部分は前記第1および/または第2のダイ支持部を備えることができる。
【0027】
これにより、オペレータが第1及び/又は第2のダイ支持部により支持されたダイのいずれかを補充/交換するために制限区域に入るのを回避することができる。
【0028】
前記第1のダイ支持部および前記第2のダイ支持部の各々は複数のダイを支持するように構成することができる。前記第1のダイ支持部は第1のタイプの複数のダイを支持し、前記第2のダイ支持部は第2のタイプの複数のダイを支持するように構成することができる。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、ダイ交換装置を用いてダイを交換する方法が提供され、前記ダイ交換装置は、互いに離間した第1および第2のダイ支持部を有する第1のダイ支持体と、第1の把持部を備えた移送装置とを備え、前記方法は、複数のダイを前記第1の支持体に支持し、前記第1のダイ支持体を、前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置するように移動させ、前記第1および第2のダイ支持部が前記第1の移送位置に位置するとき、前記第1の把持部が前記第1および第2のダイ支持部の1つからダイを把持し、前記移送装置が前記把持したダイを前記第1のダイ支持体から取り外し、前記移送装置を、前記第1のダイ支持体とは独立に、前記把持が生じ得る第1の配置形態と、前記第1の把持部が前記ダイを開放し、そのダイを第2の移送位置に位置するリベットセッターの第2のダイ支持体に渡す第2の配置形態との間で移動させることを特徴とする。
【0030】
前記第1のダイ支持体は、第1の軸を中心に回転可能なカルーセルとしてよい。前記第1および第2のダイ支持部は、前記第1の軸を中心に互いに角度的に離間してよい。前記第1のダイ支持体を前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置するように移動させるステップは、前記第1のダイ支持体を前記第1のダイ支持部または前記第2のダイ支持部のいずれかが第1の移送位置に位置するように回転させることを含む。
【0031】
前記移送装置は第2の把持部を備えてもよい。前記移送装置の前記第1の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2の移送位置に位置する前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から第2のダイを把持し、前記移送装置の第2の配置形態において、前記第2の把持部が前記第2のダイを解放し、それを廃棄ターゲットに渡す。
【0032】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持体の一部を形成してよい。
【0033】
前記廃棄ターゲットは、前記第1のダイ支持部、前記第2のダイ支持部または第3のダイ支持部のうちの1つとし得る。
【0034】
前記第1のダイ支持体の廃棄ターゲットは、廃棄容器または導管とし得る。
【0035】
前記第1のダイ支持体は廃棄容器または導管を備えてよい。前記方法はさらに、前記廃棄容器または導管が前記第1の移送位置にあるときに、前記移送装置が前記リベットセッターの前記第2のダイ支持体から前記第2のダイを取り外し、それを前記廃棄容器または導管に渡すステップを備える。
【0036】
前記第1のダイ支持体は廃棄導管を備えてよい。前記廃棄導管は、前記第1のダイ支持体に接続された第1の端部と、前記第1の端部から離間した第2の端部とを有し得る。前記方法はさらに、前記廃棄導管が前記第1の移送位置に位置するように前記第1のダイ支持体を位置させるステップと、前記廃棄導管の第2端部を第2廃棄容器または廃棄導管に隣接して位置させるステップと、前記第2のダイが前記廃棄導管をその第1の端部から第2の端部へと通過させ、それから前記第2の廃棄容器または廃棄導管に入るように前記第2のダイを前記廃棄導管に渡すステップとを備える。
【0037】
前記ダイ交換装置の一部は人の進入が制限された制限区域内に配置してよい。前記ダイ交換装置が第2の廃棄導管を備えてよい。前記第1の移送位置が前記制限区域内に位置し、前記第2の廃棄導管が互いに離間した第3および第4の端部を備えてよい。前記方法はさらに、前記廃棄導管の第2端部が前記第2の廃棄導管に隣接して位置するとき、前記第3の端部を前記廃棄導管に隣接して位置させるステップと、前記第4の端部を前記制限区域の外に位置させるステップとを備えてよい。
【0038】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部を前記制限区域内に配置してよく、前記方法はさらに、前記第1のダイ支持体の一部を前記制限区域の外に位置させるステップを備え、前記第1のダイ支持体の前記部分は廃棄ターゲットまたは廃棄容器を備えてよい。
【0039】
前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は複数のダイを受け取ることができる。前記方法はさらに、前記第1の廃棄容器または第2の廃棄容器が前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持するステップを備えてよい。
【0040】
前記第1の移送位置が人の進入が制限された制限区域内に位置するように、前記ダイ交換装置の一部を前記制限区域内に配置してよく、記方法はさらに、前記第1のダイ支持体の一部を前記制限区域の外に位置させるステップを備え、前記第1のダイ支持体の前記部分は前記第1および/または第2のダイ支持部を備えることができる。
【0041】
前記第1のダイ支持部および前記第2のダイ支持部の各々は複数のダイを支持することができる。前記第1のダイ支持部は第1のタイプの複数のダイを支持し、前記第2のダイ支持部は第2のタイプの複数のダイを支持することができる。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、リベットセッターと本発明の上記の態様による方法を実施するダイ交換装置を併用してワークピースの2つ以上の層を接合するステップを備える製品の製造方法を提供する。
【0043】
前記製品は車両とし得る。
【0044】
本発明の態様の1つに関して上述した選択可能な特徴のいずれも、必要に応じ、本発明の他の態様のいずれにも等しく適用できることは理解されよう。
【0045】
これから、一例として、本発明の特定の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の一実施形態によるファスニング装置の概略図を示す。
図2】移送装置が第1の配置形態にあるときの本発明の一実施形態によるダイ交換機を示す図である。
図3】移送機構が第2の配置形態にあるときの、図2に示すダイ交換機を示す別の図である。
図4図2に示すダイ交換機のいくつかの部分を示す図である。
図5図2に示すダイ交換機のいくつかの部分を示す図である。
図6図2に示すダイ交換機の一部分をリベットセッターの一部分とともに示す図である。
図7】本発明の別の実施形態によるダイ交換機の概略図を示す。
図8】本発明の他の実施形態によるダイ交換機の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
説明を簡単にするために、本発明はセルフピアスリベットセッターのためのダイ交換機に関して説明されるが、本発明はファスナ支持体が定期的に交換する必要のある部分を含むあらゆるファスニング装置に等しく適用可能であることは理解されよう。定期交換部分は本発明によるダイ交換機または方法によって交換することができる。
【0048】
図1は、本発明の一態様によるファスニング装置10の一部の概略図を示す。ファスニング装置10は、リベットセッター12およびダイ交換機14を含む。リベットセッター12はCクランプ16を含み、その第1の端部にファスナ挿入装置18が、その第2の端部にファスナ支持体20が互いに対向するように取り付けられる。ファスナ挿入装置はノーズアセンブリ22を含み、その中にリベット貯蔵場所(図示せず)からリベットが挿通される。ノーズアセンブリはパンチ24をさらに含む。アクチュエータ26は、使用中に、パンチ24をファスナ支持体20およびファスナ挿入装置18とファスナ支持体20との間に置かれるワークピースに向かって移動させるために使用される。
【0049】
ファスナ支持体20は、ダイ30を支持するダイ支持体28を含む。
【0050】
リベットセッター12は、取り付け部32を介して、リベットセッターを位置決めする任意の適切な装置に取り付けることができる。たとえば、いくつかの応用例では、リベットセッターはロボットアームに取り付けることができる。
【0051】
使用中、リベットセッター12は、リベット締結すべきワークピースがファスナ挿入装置18とファスナ支持体20の間に位置するに適切な位置に移動される。アクチュエータ26がノーズアセンブリ22の一部をワークピースに近づける。リベットがノーズアセンブリ22に供給され、アクチュエータ26がパンチ24を駆動し、リベットがパンチ24によってワークピースに挿入される。リベットはワークピースに打ち込まれ、ワークピースと接触するダイ30によりリベットに反力が及ぼされる。ダイ30により及ぼされる反力によって、ワークピースに打ち込まれたリベットがアプセットされ、それによってリベットが変形し、ワークピースがリベット締結される(すなわち、リベットによって一体に固定される)。
【0052】
リベットをワークピースに挿入するための上記の装置および方法はすでによく知られており、本発明の重要な側面ではない。したがって、簡潔のために、リベットをワークピースに挿入する際のリベットセッターの動作に関するさらなる説明は省略する。
【0053】
前述したように、ファスニング装置10はダイ交換機14も含む。ダイ交換機について以下でより詳細に説明する。ダイ交換機14(ダイ交換装置とも呼ばれる)は、図2および図3により詳細に示されている。
【0054】
ダイ交換機14は、複数のダイを支持するための第1のダイ支持体34を含む。本実施形態では、図5に最も明確に示されるように、第1のダイ支持体34は、第1の軸Aを中心に回転可能なカルーセルの形態をとる。図示の特定の実施形態では、第1のダイ支持体34は、アクチュエータ36によって回転駆動される。アクチュエータ36および第1のダイ支持体34は、支持アーム38に取り付けられる。
【0055】
第1のダイ支持体34は、互いに離間した第1および第2のダイ支持部40、42(図3に示す)を有する。
【0056】
図示されている本実施形態では、第1および第2のダイ支持部40、42はそれぞれダイカートリッジの形をとる。図5に最もよく見られるように、各ダイカートリッジ44は、カルーセルの第1のダイ支持体34の本体48に固定されたカートリッジ支持体46を含む。カートリッジ44は、カートリッジ支持体46に固定された本体48も含み、よって第1のダイ支持体34の一部を形成する。
【0057】
ダイカートリッジ44の正確な構造および動作方法は、本出願と同じ出願日に本出願人によって出願された同時出願の英国特許出願で説明されている。カートリッジ44の構造および動作方法は、本発明にとって重要ではない。したがって、簡潔のために、カートリッジの構造および動作のさらなる説明は省略する。許可される権利範囲内で、カートリッジの構造および動作方法に関する前述の同時出願の英国出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
それにもかかわらず、言及に値するダイカートリッジ44の一態様は、それらが複数(例えば5または6)のダイを支持するように構成されることである。いくつかの実施形態では、第1および第2のカートリッジの形態の第1および第2のダイ支持部40、42は、同じタイプのダイを支持してもよい。他の実施形態では、第1および第2のダイカートリッジの形態の第1および第2のダイ支持部は、異なるタイプのダイを支持してもよい。すなわち、第1のダイ支持部は、第1のタイプの複数のダイを支持し、第2のダイ支持部は、第2のタイプの複数のダイを支持してもよい。
【0059】
また、図の明瞭さを高めるために、第1のダイ支持部40および第2のダイ支持部42は、いくつかの図では全くまたは全体的に示されていないことにも注目されたい。より詳細には、図2には、カートリッジの形態の第1のダイ支持部のカートリッジ支持体のみが示されている。図3は、第1および第2のダイ支持部40、42の両方に対するカートリッジ支持体を示す。図4は、第1のダイ支持部40に対するカートリッジ支持部46およびカートリッジの本体48を示すが、第2のカートリッジ支持部のダイ支持部のみが見える。最後に、図5は、カートリッジ支持体46とカートリッジ本体48の両方を含むカートリッジ44の形態の第1のダイ支持部40のみを示している。
【0060】
これらの図は、2つのダイ支持部のみを示していることが理解されよう。2つ以上の任意の数のダイ支持部が存在することは、本発明の範囲内である。例えば、図5に明確に見られるように、カルーセルの第1のダイ支持体34は、それぞれがさらなるダイ支持部の場所として機能し得るいくつかの追加のスペース(例えば、参照番号52で示されている)を含む。
【0061】
さらに、図に示されている第1のダイ支持体の設計は限定を意図するものではない。たとえば、カルーセルの第1の支持体は、2つ以上の任意の適切な数のダイ支持部のための場所を有してもよい。
【0062】
加えて、本明細書の図面に示されるダイ支持部は複数のダイを保持するカートリッジであるが、任意の適切なダイ支持部を使用してもよい。そのようなダイ支持部は、1つ以上のダイを含むことができる。さらに、複数のダイが各ダイ支持部により支持される実施形態において、各ダイ支持部によって支持される複数のダイは同じである必要はない。
【0063】
前述のように、第1および第2のダイ支持部40、42は互いに間隔を置いて配置されている。特に、本実施形態では、第1および第2のダイ支持部は、第1の軸Aの周りで互いに角度的に離間している。
【0064】
ダイ支持体34は、第1のダイ支持部40または第2のダイ支持部42のいずれかを第1の移送位置54に位置させることができるように移動可能である。図示の特定の実施形態では、ダイ支持体34は、第1または第2のダイ支持部を第1の移送位置54に位置させるために、いずれの方向にも回転可能である。
【0065】
ダイ交換機14の第1のダイ支持体34がいずれの方向にも回転可能であるということは、単一方向にのみ移動/回転可能なシステムよりも有利である。それは、第1の移送位置にあるダイ支持部(または廃棄容器/導管-後記参照)を交換するために第1のダイ支持体を回転させる必要があるとき、第1の移送位置にある現在のダイ支持部と第1の転送位置に位置させる予定のダイ支持部との間の最も速い回転方向(時計回りまたは反時計回り)を使用できるためである。
【0066】
ダイ交換機14は、移送装置56も含む。本実施形態では、移送装置56は、第2の軸Bを中心に平行移動可能であるとともに回転可能なアーム58の形態をとる。移送装置56およびそのアクチュエータは、第1のダイ支持体34を支持するアーム38を支持するベースプレート60に取り付けられる。
【0067】
移送装置56は、参照番号62で一般に示される第1の把持部を含む。第1の把持部(および後述する第2の把持部)の動作の詳細は、本発明にとって重要ではない。本発明によれば、ダイに隣接してまたはその周囲に配置し、次いでダイに力を加えてそれを移送装置に固定するように作動し、その後、ダイを移送装置から解放するために作動停止することができるならば、任意の適切な装置を把持部として使用することができる。適切な例は、ダイと接触するまで延びる把持部材またはダイを磁気的に保持するように作動し得る電磁石を含む把持部を含む。任意の適切な把持部を使用できるという事実に照らして、且つ本発明の一部としてこの特徴の動作の重要性の補助的な性質を考慮して、この点のさらなる説明は簡潔のために省略する。
【0068】
第1の把持部は、第1および第2のダイ支持部40、42の1つが第1の移送位置54に位置するときに第1および第2のダイ支持部の1つからダイを把持し、把持したダイを第1のダイ支持体から取り外すように構成される。本実施形態では、これは図2を参照して以下のように達成される。移送装置によってダイが引き抜かれるダイ支持部は、第1の移送位置に位置する。これは、第1のダイ支持体34を移動させることにより達成され、これは、本例では、回転による移動である。第1の移送位置は、第1の把持部62の垂直下の位置(図2に示す装置の向きに関して)である。図2に示す実施形態では、第1の移送位置54に位置するダイ支持部は第2のダイ支持部42である。関連するダイ支持部が第1の移送位置54に位置されると、移送装置56(したがって、アーム58および第1の把持部60)は、軸Bに沿って方向Cに並進される。移送装置は、第2のダイ支持部42に接触するまで方向Cに移動する。カートリッジに関する同時出願で詳細に説明されているように、第2のダイ支持部に接触すると、第2のダイ支持部42を構成する第2のカートリッジからダイが解放される。カートリッジの動作に関するさらなる詳細は本発明にとって重要ではないので、簡潔のために、ここではこれ以上詳細に説明しない。ダイが第2のダイ支持部42から解放されると、そのダイは移送装置56の第1の把持部62によって受け取られる。次いで、第1の把持部62が作動してダイを把持する。次に、移送装置56のアクチュエータが移送装置56を作動させて、移送装置56を軸Bに沿って第1のダイ支持体34から離れる方向Dに動かす。このようにして、把持されたダイは第2のダイ支持部42および従って第1のダイ支持体34から取り外される。
【0069】
移送装置56は、第1の把持部62が関連するダイ支持部から関連するダイを上述の方法で(すなわち、移送装置56を方向Cに移動し、第1の把持部62を作動させることにより)把持することができる第1の配置形態(図2に示す)と、第1の把持部が前記ダイを解放し、それを第2の移送位置64に位置するリベットセッター12の第2のダイ支持体28に渡すことができる第2の配置形態(図3に示す)との間でダイ支持体34と独立に移動可能である。
【0070】
図2図3を比較すると、図2に示す第1の配置形態と図3に示す第2の配置形態との間の移送装置の動きは、軸Bを中心とする180度の移送装置56の回転となる。このような回転は、移送装置のアクチュエータによって実行される。この回転は、時計回りの方向Eまたは反時計回りの方向Fのいずれかで最適に発生する。本発明の範囲内において、第1の配置形態と第2の配置形態との間の移送装置56の回転は任意の適切な回転量とすることができ、例えば30°、45°、60°、90°、120°、135°、150°、および180°にすることができるが、それらに限定されないことは理解されよう。第1の配置形態から第2の配置形態への、およびその後の第2の配置形態から第1の配置形態への移送装置56の回転量は360°にしてもよい。いくつかの実施形態では、第1の配置形態から第2の配置形態への回転量は、第2の配置形態から第1の配置形態への回転量と同じにしてもよい。他の実施形態では、このようにする必要はない。さらに、移送装置は、第1の配置形態と第2の配置形態との間で回転するように構成されていれば、任意の適切な形状または構造にしてよいことは理解されよう。
【0071】
本実施形態では、第2の移送位置は、図6を参照すると最もよく理解される。図6は、リベットセッター12の一部およびダイ交換機14の一部を示す。リベットセッター12のダイ支持体28はダイ30を支持する。理解されるように、ダイ支持体28がさらなるダイを受け取るためには、ダイ30を取り外さなければならない。ダイ30は、任意の適切な方法で取り外すことができる。本発明による特定の方法は、本明細書において後で説明される。第1の把持部62がダイを解放し、それを第2の移送位置に位置するリベットセッターの第2のダイ支持体28に渡すことができる移送装置56の第2の配置形態を説明するために、図6内のダイ30は既に取り外されていると仮定すべきである。リベットセッター12の第2のダイ支持体28が位置する第2の移送位置は、リベットセッター12がダイ交換機14に対して移動するときにリベットセッター12の肩部66が表面68の形態のダイ交換機14のハードストップと当接するようなダイ支持体28の位置である。ダイ支持体28が第2の移送位置64に位置するようにリベットセッター12がダイ交換機14に対して位置する場合、移送装置56が第2の配置形態にあるとき(図3に示される)、ダイ支持体28は第1の把持部62の垂直下方に位置する(図面の向きで)。
【0072】
移送装置56の第1の把持部62によって把持したダイを第2のダイ支持体28に渡すために、移送装置56のアクチュエータは移送装置56を作動させて軸Bに沿って方向Cに動かす。これにより、把持したダイは第2のダイ支持体28に置かれ、第1の把持部分62は、ダイを解放して第2のダイ支持体28に残すように作動解除することができる。第2のダイ支持体28内にダイが置かれると、第2のダイ支持体内の保持機構を作動させて、第2のダイ支持体内にダイを保持することができる。次に、必要に応じて、移送装置56のアクチュエータを作動させて、移送装置56を軸Bに沿って方向Dに移動させ、移送装置56を元の位置に戻すことができる。
【0073】
本実施形態では、移送装置56は、移送装置56のアーム58の第1の把持部62とは反対側の端部に設置された第2の把持部70を備える。
【0074】
第1の把持部と第2の把持部は、移送装置のアームの両端に位置することを除いて、実質的に同一であり、実質的に同一の方法で動作する。図2に示されるように、(および図6に示されるように、ただしこの図で見える移送装置の部分は第2の把持部70である)、移送装置56の第1の配置形態において、第2の把持部70は、リベットセッターが第2の移送位置に位置するとき、リベットセッター12の第2のダイ支持体28から第2のダイ30を把持することができる。これは次のように達成される。移送装置56が第1の配置形態にあるとき、移送装置56のアクチュエータが移送装置56を作動させ、それを軸Bに沿って方向Cに動かして、第2の把持部70を第2のダイ30に隣接してまたはその周囲に位置させることができる。次に、第2把持部を作動させ、それにより第2ダイに力を加えて第2のダイを第2把持部に固定することができる。次いで、移送装置56を移送装置のアクチュエータによって作動させて移送装置56を軸Bに沿って方向Dに移動させることができる。これにより、第2のダイ30が第2のダイ支持体28から取り外される。
【0075】
第2のダイ30を取り外す前に、リベットセッターがリベットをワークピースに挿入するように動作している間、第2のダイ30は第2のダイ支持体28に固定される。これは、既知のタイプのダイ保持機構により達成される。ダイ保持機構は既知であり、その動作は本発明の実施にとって重要ではないため、簡潔のために、その動作はこれ以上詳細には説明しない。つまり、第2のダイ30が通常第2のダイ支持体に固定されているとすると、第2のダイ30を第2のダイ支持体28から取り外す前に、ダイ保持機構を解除する必要があることは明らかである。本実施形態では、これは以下のように達成される。図6はダイ取り外しピン72を示す。ダイ取り外しピン72は、第2の移送位置の下に位置する。リベットセッターが第2の移送位置に位置されると、ダイ取り外しピン72がCフレームの下側の開口部(図示せず)を通って垂直に上方に移動する。ダイ取り外しピン72は、開口部を通って第2のダイ支持体28に入り、ダイ保持機構を解放させてダイをわずかに上方に移動させる。ダイ保持機構が解放され、ダイが上方に移動すると、ダイは第2の把持部70によって把持され、第2のダイ支持体から取り外される。
【0076】
移送装置の動作のこの部分(ダイが第2の把持部分70によって把持され、第2のダイ支持体から取り外される動作)は、上述したように第1の把持部が第1または第2のダイ支持部からダイを把持するときに同時に生じ得ることは理解されよう。したがって、第1または第2のダイ支持部が第1の移送位置にあると同時にリベットセッターの第2のダイ支持部が第2の移送位置にあるならば、移送装置56の第1の把持部62が第1または第2のダイ支持部から取り外すべきダイを把持するとき、同時に第2の把持部70が第2のダイ支持体28から取り外すべきダイ30を把持することができる。
【0077】
ダイ30が第2のダイ支持体28から取り外されると、移送装置56は第2の配置形態に移動することができる。移送装置56の第2の配置形態では、第2の把持部70は、第2のダイ30を解放し、廃棄ターゲットに渡すために作動解除される。廃棄ターゲットは、第1の移送位置に設置してもよい。
【0078】
移送機構の動作のこの部分は、上述したように第1の把持部62がダイを解放し、それを第2の移送位置64に位置するリベットセッター12の第2のダイ支持体28に渡すときにも、同時に生じ得ることは理解されよう。したがって、廃棄ターゲットが第1の移送位置にあり、同時にリベットセッターの第2のダイ支持体が第2の移送位置にある場合、第1のグリップ部62がダイを解放してリベットセッター12の第2のダイ支持体28に渡すと同時に、第2のグリップ部70がダイ30を解放し、それを廃棄ターゲットに渡すことができる。
【0079】
用途に応じて、廃棄ターゲットは、使用済みのダイを渡すのが望ましい任意の適切な実体としてよい。いくつかの実施形態では、廃棄ターゲットは、第1のダイ支持体とは別にしてよい。しかし、本実施形態では、廃棄ターゲットは第1のダイ支持体34の一部を形成し、廃棄ターゲットは廃棄導管74である。廃棄導管74は、カルーセルの追加スペース52の1つにおいて第1のダイ支持体34に固定される。廃棄導管74はほぼ垂直に下向きに延び、ダイが通過できるサイズを有する。より詳細には、廃棄導管は、第1のダイ支持体34に接続された第1端部74aと、第1端部74aから離間した第2端部74bとを有する。第1のダイ支持体34は、廃棄導管74の第1の端部74aが第1の移送位置54に位置するとき、図2に最もよく示されるように、廃棄導管74の第2の端部74bが第2の廃棄導管76に隣接するように配置され、第2のダイが廃棄導管74に渡されるとき、第2のダイが廃棄導管74を第1端部74aから第2端部74bへ通過し、次いで第2の廃棄導管76へと入るように配置される。他の実施形態では、第2の廃棄導管は第2の廃棄容器と交換しても、または追加的に含んでもよい。廃棄導管の第1の端が第1の移送位置にあるとき、廃棄導管の第2の端は第2の廃棄容器に隣接して配置されるため、第2のダイが廃棄導管に渡されると、第2のダイは(重力により)廃棄導管を第1の端から第2の端へ通過し、次いで第2の廃棄容器へ入る。
【0080】
第1の廃棄導管は第1のダイ支持体に接続されているためそれと一緒に移動するが、第2の廃棄導管または第2廃棄容器は第1のダイ支持体とは分離しているため第1のダイ支持体と共に移動しない。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1の廃棄導管74は廃棄容器に置き換えてもよい。廃棄導管と廃棄容器の違いは、廃棄導管はある場所から別の場所に廃棄物を運ぶように設計されているのに対して、廃棄容器は、メンテナンス業務の一部として廃棄物が空にされるまで廃棄物を保管または収容するように設計されていることである。
【0082】
これまで説明した廃棄ターゲットは、リベットセッターから取り外されたダイを廃棄物として処理するのが望ましいものであった。これは、ダイが非常に多数のリベット操作を実行して摩耗する場合に当てはまる。他の用途では、リベットセッターから除去されたダイは完全に摩耗してないことがあり、したがって廃棄物ではないことがある。そのような場合、そのダイは後で使用できるようにダイ支持部に置くことが望ましいことがある。この目的のために、廃棄ターゲットは、第1のダイ支持部、第2のダイ支持部、または第3のダイ支持部のうちの1つとしてもよい。
【0083】
ファスニング装置のいくつかの用途では、ファスニング装置は、安全上の理由から人員のアクセスが制限された制限区域に配置される。このような状況では、人が侵入する前に制限区域内のすべての機械の電源を切る必要があるのが一般的である。一例では、リベットセッターはロボットアームの先端に設置され得る。リベットセッターはロボットアームの先端にあるため、リベットセッターは安全上のリスクを示し、ロボットアームがリベットセッターを不注意に動かす可能性があり、それによって怪我を生じる可能性がある。このため、この場合には、リベットセッターは制限区域内に設置される。リベットセッターはダイ交換機にアクセスする必要があるため、ダイ交換機の少なくとも一部も制限区域内に設置しなければならない。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1の移送位置54は制限区域R内に配置され、第2の廃棄導管76は、互いに離間した第3の端部76aおよび第4の端部76bを含み、第3の端部76aは、廃棄導管74の第2の端部74bが第2の廃棄導管76に隣接して位置するとき、廃棄導管74に隣接して位置し、第4端部76bは、制限区域の外側(非制限区域Uとも呼ばれる)に配置される。このようにして、第1および第2の廃棄導管は、リベットセッターから取り外されたダイを制限区域外の場所に運ぶことができる。このように、オペレータは廃棄ダイを取り外すために制限区域に入る必要はない。したがって、廃棄ダイの取り外しはファスニング装置の中断時間を生じない。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1の移送位置54は制限区域R内に位置し、第1のダイ支持体34の一部分は制限区域の外(非制限区域U内)に配置可能であり、第1のダイ支持体の前記部分は廃棄ターゲットまたは廃棄容器を含む。このように、第1のダイ支持体を移動させることにより、制限区域の外に廃棄ターゲットまたは廃棄容器を位置させることができる。廃棄ターゲットまたは廃棄容器を制限区域の外に移動できるということは、リベットセッターから取り外される如何なるダイも、制限区域にアクセスする必要なしにファスニング装置から簡単に取り外すことができるため、制限区域内でマシンを停止させる必要がないことを意味する。
【0086】
図8に示すようないくつかの実施形態では、第1の移送位置54は制限区域R内に位置する。第1のダイ支持体34の一部は、制限区域の外(非制限区域U内)に位置させることができ、第1のダイ支持体の前記部分は第1および/または第2のダイ支持部40,42を備える。このように、第1のダイ支持部を移動させることにより、第1および/または第2のダイ支持部を制限区域の外に位置させることが可能である。第1および/または第2のダイ支持部を制限区域外に移動させることができるということは、制限区域に入る必要なしに関連するダイを使い果たしたダイ支持部にダイを補充することができるため、制限区域の機械を停止する必要がないことを意味する。
【0087】
複数の受け取ったダイを収容するように構成された第1の廃棄容器または第2の廃棄容器を含む本発明のいくつかの実施形態では、第1の廃棄容器または第2の廃棄容器は、前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持することができる。より詳細には、一例として、図7は、第1および第2の廃棄導管74、76の末端に位置する第2の廃棄容器78を示す。使用中、上述したように、ダイがリベットセッターから取り外され、第1の廃棄導管74の形態の廃棄ターゲットに渡される場合、そのダイは第1廃棄導管74を通り、第2廃棄導管76を通り、第2廃棄容器78に入る。図示の実施形態では、第2の廃棄容器78の直径は第2の廃棄容器で受け取られるダイの直径よりわずかに大きい。こうして、第2の廃棄容器78は、前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持する。つまり、ダイ30aが最初に受け取られ、ダイ30aの隣のダイ30bが2番目に受け取られたものであり、ダイ30bの隣の空間30cは、ダイ30が解放されたときそのダイで占有される。
【0088】
廃棄容器78が受け取ったダイを受け取った順に支持することは、各ダイがリベットセッターから除去された時系列に基づくダイの事後分析を可能にするため、有益であり得る。図示の実施形態において、第2の廃棄容器78が前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持する方法は、第2の廃棄容器78の直径を第2の廃棄容器により受け取られるダイの直径よりわずかに大きくするだけで達成されている。しかし、他の実施形態では、前記複数の受け取ったダイを受け取った順序と同じ順序で互いに隣接して支持する任意の適切な構成を使用することができることは理解されるであろう。
【0089】
上述の実施形態には特許請求の範囲によって特定される本発明の範囲から逸脱することなくいくつもの変更を加えることができることは理解されるであろう。
【0090】
そのような変更の1つは第1のダイ支持体に関する。記載した実施形態にでは、第1のダイ支持体はカルーセルであり、第1および第2のダイ支持部は角度的に離間され、第1のダイ支持体の動きは軸を中心とする回転である。他の実施形態では、そのように構成する必要はなく、第1のダイ支持体は任意の適切な形状、例えば線形または長方形にしてもよい。これらの例では、第1および第2のダイ支持部は角度的に離間されず、第1のダイ支持体の動きは平行移動になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8