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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】光学積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220328BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220328BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220328BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220328BHJP
   C09J 133/10 20060101ALI20220328BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20220328BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220328BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/00 M
B32B27/30 A
C09J133/10
C09J175/04
C09J7/38
C08F220/18
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020524329
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2018013588
(87)【国際公開番号】W WO2019093803
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2017-0149551
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521241281
【氏名又は名称】杉金光電(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】スル・キ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ヒ・ソン
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-225764(JP,A)
【文献】特表2012-516468(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141381(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194715(WO,A1)
【文献】特開2008-249901(JP,A)
【文献】特開2006-308936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
C08F220/18
C09J 7/38
C09J133/10
C09J175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
37℃の温度および88.5%の相対湿度で24時間の間測定した透湿度が100g/(m ・day)以下である光学フィルムを含む光学素子と;前記光学素子の一面に形成されている粘着剤層と;を含み、
前記粘着剤層は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位、炭素数が3以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位、芳香族基含有単量体単位および極性官能基含有単量体単位を有する粘着重合体を含み、
前記極性官能基含有単量体は、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであり、
前記極性官能基含有単量体単位は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して1~6重量部で粘着重合体に含まれており、
前記粘着剤層は、30℃での損失正接tanδに対する100℃での損失正接tanδの比が1.7以下であり、
前記粘着剤層は、下記数式1によるゲル分率が70重量%以上である光学積層体:
[数式1]
ゲル(gel)含量=B/A×100
数式1で、Aは、エチルアセテートに浸漬前の粘着剤層の質量(単位:g)であり、Bは、前記粘着剤層をエチルアセテートに常温で24時間の間浸漬させた後に回収した不溶解分の乾燥質量(単位:g)を示す。
【請求項2】
37℃の温度および88.5%の相対湿度で24時間の間測定した透湿度が100g/(m・day)以下である光学フィルムは、環状オレフィン高分子フィルム、アクリルフィルムまたはポリエステルフィルムである、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
光学素子は、偏光板である、請求項1または2に記載の光学積層体。
【請求項4】
偏光板は、偏光子および前記偏光子の一面に形成された透湿度(37℃、88.5%相対湿度、24時間)が100g/m・day以下である光学フィルムを含む、請求項3に記載の光学積層体。
【請求項5】
偏光子は、カリウムおよび亜鉛を含むポリビニルアルコール偏光子である、請求項4に記載の光学積層体。
【請求項6】
ポリビニルアルコール偏光子に含まれているカリウムKと亜鉛Znの重量比率K/Znが0.2~6の範囲内である、請求項5に記載の光学積層体。
【請求項7】
カリウムは、ポリビニルアルコール偏光子の総重量を基準として0.1~2重量%で含まれている、請求項5または6に記載の光学積層体。
【請求項8】
亜鉛は、ポリビニルアルコール偏光子の総重量を基準として0.1~0.5重量%で含まれている、請求項5から7のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項9】
炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位の粘着重合体内の比率は、50重量%~70重量%の範囲内である、請求項1から8のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項10】
炭素数が3以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位が、メチルアクリレート単位である、請求項1から9のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項11】
炭素数が3以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して30~65重量部で粘着重合体に含まれている、請求項1から10のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項12】
芳香族基含有単量体が下記化学式1で表示される、請求項1から11のいずれか一項に記載の光学積層体:
【化1】
化学式1でRは、水素またはアルキルを示し、Aは、アルキレンを示し、nは、0~3の範囲内の整数を示し、Qは、単一結合、-O-、-S-またはアルキレンを示し、Pは、芳香族環を示す。
【請求項13】
芳香族基含有単量体単位は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して20~45重量部で粘着重合体に含まれている、請求項1から12のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項14】
前記粘着重合体は、多官能性(メタ)アクリレートを更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項15】
粘着剤層は、30℃での貯蔵弾性率が0.06MPa以上である、請求項1から14のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項16】
粘着剤層は、粘着重合体を架橋させている架橋剤をさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の光学積層体がその粘着剤層を介して付着されているディスプレイパネルを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月10日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0149551号の出願日の利益を主張し、その内容の全部は、本出願に含まれる。
【0002】
本出願は、光学積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)等の多様なディスプレイ装置には、偏光板等のような多様な光学フィルムが適用される。このような光学フィルムは、一般的に粘着剤によりディスプレイ装置に付着される。
【0004】
ディスプレイ装置の用途の拡大に伴って、前記光学フィルムと粘着剤に対して高い信頼性が要求される。例えば、ナビゲーションや車両用ディスプレイ等に使用される光学フィルムや粘着剤は、非常に高い温度で長期間維持される場合にも、安定的に性能が維持されることが要求される。
【0005】
代表的な光学フィルムである偏光板は、一般的に偏光機能を示す素子である偏光子と、該偏光子を保護する保護フィルムとを含む多層構造である。偏光子の保護フィルムとしては、いわゆるTAC(triacetyl cellulose)フィルムが使用されているが、透湿度が低いいわゆる低透湿性保護フィルムも使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、光学積層体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の光学積層体は、光学素子と、前記光学素子の一面または両面に形成されている粘着剤層とを含む。必要な場合に、前記光学素子の一面または両面に形成されている粘着剤層上には、離型フィルムが付着されていてもよい。
【0008】
本出願の光学積層体に含まれる光学素子の種類は、特に制限されず、各種ディスプレイ装置において使用される多様な種類が含まれ得る。例えば、前記光学素子は、偏光板、偏光子、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルムまたは輝度向上フィルム等を例示することができる。本出願で用語「偏光子」と「偏光板」は、互いに区別される対象を指す。偏光子は、偏光機能を示すフィルム、シートまたは素子それ自体を指し、偏光板は、前記偏光子とともに他の要素を含む光学素子を意味する。偏光子とともに光学素子に含まれ得る他の要素としては、偏光子保護フィルムまたは位相差層等を例示することができるが、これに制限されるものではない。
【0009】
本出願の光学素子は、いわゆる低透湿性光学フィルムを少なくとも含むことができる。本出願で用語「低透湿性光学フィルム」は、低い透湿度を有する光学フィルムであって、例えば、37℃の温度、88.5%の相対湿度で、24時間の間測定した透湿度WVTR(Water vapor transmissiion rate)が約100g/(m・day)以下である光学フィルムを意味する。前記で相対湿度は、若干の誤差があり得、その誤差範囲は、±0.5%以内、±0.3%以内、±0.1%以内であってもよい。一例として、前記透湿度は、約95g/(m・day)以下、90g/(m・day)以下、85g/(m・day)以下、80g/(m・day)以下、75g/(m・day)以下、70g/(m・day)以下、65g/(m・day)以下、60g/(m・day)以下、55g/(m・day)以下、50g/(m・day)以下、45g/(m・day)以下、40g/(m・day)以下、35g/(m・day)以下、30g/(m・day)以下、25g/(m・day)以下、20g/(m・day)以下、15g/(m・day)以下、10g/(m・day)以下、8g/(m・day)以下または6g/(m・day)以下であってもよい。前記透湿度の下限は、特に制限されるものではないが、約0.01g/(m・day)以上、0.1g/(m・day)以上、0.5g/(m・day)以上、1g/(m・day)以上、1.5g/(m・day)以上、2g/(m・day)以上、2.5g/(m・day)以上、3g/(m・day)以上、3.5g/(m・day)以上、4g/(m・day)以上または4.5g/(m・day)以上の程度であってもよい。前記透湿度を有する光学フィルムの厚さは、特に制限されない。すなわち、一般的に光学フィルムに適用される厚さを有し、当該厚さで前記透湿度を示す光学フィルムが本出願の光学素子に適用され得る。一例として、前記光学フィルムの厚さは、約10μm~100μmの範囲内であってもよい。前記透湿度は、当業界で公知となった方式により測定することができる。透湿度を測定する代表的な規格としては、ASTM F1249またはISO15506-3等が知られており、本出願の透湿度は、前記のうち適切な方式によって測定される。
【0010】
前記のような低透湿性の光学フィルムの種類としては、多様な種類が知られており、例えば、環状オレフィン高分子(COP;cycloolefin polymer)フィルムまたはアクリルフィルムや、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムのようなポリエステルフィルム等を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0011】
前記のようなフィルムは、通常、偏光子の保護フィルムに使用されるか、あるいは位相差フィルム等の材料に用いられている。
【0012】
このような低透湿性のフィルムが粘着剤層と共に光学積層体を形成する場合に、当該フィルムの低い透湿度に起因して粘着剤に発泡現象が発生しやすく、特に100℃以上の超高温の条件下では、前記発泡現象がさらに容易に誘発される。
【0013】
しかしながら、本出願の粘着剤は、前記のような低透湿性の光学フィルムが適用された場合にも、安定的に耐久性を維持しつつ、発泡現象も示さない。
【0014】
前記のような低透湿性のフィルムを含む光学素子の代表的な例には、偏光板がある。このような偏光板は、偏光機能を示す偏光子とともに、前記低透湿性の光学フィルムを含むことができ、このような低透湿性の光学フィルムは、前記偏光子に対する保護フィルムあるいは位相差フィルムとして偏光板に含まれ得る。
【0015】
したがって、一例として、前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の一面に形成された前記低透湿性光学フィルムとを含むことができる。
【0016】
偏光板の構造において前記偏光子の一面にのみ前記低透湿性の光学フィルムが形成され、両面に前記低透湿性の光学フィルムが形成され得る。一面にのみ形成される場合、他の面には光学フィルムが存在しないか、他の光学機能性層が存在するか、あるいは透湿度の高い光学フィルムが存在し得る。前記偏光子の一面にのみ前記低透湿性の光学フィルムが形成されている場合には、後述する前記低透湿性の光学フィルムが前記偏光子に比べて後述する粘着剤層が近く位置することができる。
【0017】
本出願の光学積層体に含まれ得る偏光子は、基本的には特に制限されない。例えば、偏光子として、ポリビニルアルコール偏光子を使用することができる。用語「ポリビニルアルコール偏光子」は、例えば、ヨードや二色性色素のような吸収異方性物質を含むポリビニルアルコール(以下、PVAと呼ぶことがある)系の樹脂フィルムを意味する。このようなフィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸収異方性物質を含ませ、延伸等により配向させて製造することができる。前記でポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタルまたはエチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物等が挙げられる。前記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、100~5,000または1,400~4,000程度であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0018】
このようなポリビニルアルコール偏光子は、例えば、PVA系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも行って製造することができる。染色工程、架橋工程および延伸工程には、それぞれ染色浴、架橋浴および延伸浴の各処理浴が使用され、これらの各処理浴は、各工程による処理液を使用することができる。
【0019】
染色工程では、前記PVA系フィルムに吸収異方性物質を吸着および/または配向させることができる。このような染色工程は、延伸工程と共に行うことができる。染色は、前記フィルムを吸収異方性物質を含む溶液、例えば、ヨード溶液に浸漬させて行われ得る。ヨード溶液としては、例えば、ヨードおよび溶解補助剤であるヨウ化化合物によりヨードイオンを含有させた水溶液等を使用することができる。ヨウ化化合物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズまたはヨウ化チタン等を使用することができる。ヨード溶液のうちヨードおよび/またはヨウ化イオンの濃度は、目的とする偏光子の光学特性を考慮して調節することができ、このような調節方式は、公知となっている。染色工程でヨード溶液の温度は、通常、20℃~50℃、25℃~40℃程度であり、浸漬時間は、通常、10秒~300秒または20秒~240秒程度であるが、これらに制限されるものではない。
【0020】
偏光子の製造過程で行われる架橋工程は、例えば、ホウ素化合物のような架橋剤を使用して行うことができる。架橋工程の順序は、特に制限されず、例えば、染色および/または延伸工程と共に行うか、別に進めることができる。架橋工程は、複数回実施することもできる。ホウ素化合物としては、ホウ酸または硼砂等を使用することができる。ホウ素化合物は、水溶液または水と有機溶媒の混合溶液の形態で一般的に使用することができ、通常、ホウ酸水溶液を使用する。ホウ酸水溶液におけるホウ酸濃度は、架橋度とそれによる耐熱性等を考慮して適正範囲に選択することができる。ホウ酸水溶液等にも、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。
【0021】
架橋工程は、前記PVA系フィルムをホウ酸水溶液等に浸漬することによって行うことができ、この過程で、処理温度は、通常、25℃以上、30℃~85℃または30℃~60℃程度の範囲であり、処理時間は、通常、5秒~800秒間または8秒~500秒間程度である。
【0022】
延伸工程は、一般的に1軸延伸で行う。このような延伸は、前記染色および/または架橋工程と共に行うこともできる。延伸方法は、特に制限されず、例えば、湿潤式延伸方式を適用することができる。このような湿潤式延伸方法では、例えば、染色後に延伸を行うことが一般的であるが、延伸は、架橋とともに行われてもよく、複数回または多段で行うこともできる。
【0023】
湿潤式延伸方法に適用される処理液にヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができ、この過程での比率調節等を通じても光遮断率の調節が可能になり得る。延伸において処理温度は、通常、25℃以上、30℃~85℃または50℃~70℃の範囲内の程度であり、処理時間は、通常、10秒~800秒または30秒~500秒間であるが、これらに制限されるものではない。
【0024】
延伸過程において総延伸倍率は、配向特性等を考慮して調節することができ、PVA系フィルムの本来の長さを基準として総延伸倍率が3倍~10倍、4倍~8倍または5倍~7倍程度であってもよいが、これらに制限されるものではない。前記で総延伸倍率は、延伸工程以外の膨潤工程等においても延伸を伴う場合には、各工程においての延伸を含む累積延伸倍率を意味する。このような総延伸倍率は、配向性、偏光子の加工性ないしは延伸切断可能性等を考慮して適正範囲に調節することができる。
【0025】
偏光子の製造工程では、前記染色、架橋および延伸に加えて、前記工程を行う前に膨潤工程を行うこともできる。膨潤によりPVA系フィルム表面の汚染やブロッキング防止剤を洗浄することができ、また、これにより、染色偏差等の不均一性を低減できる効果もある。
【0026】
膨潤工程では、通常、水、蒸留水または純水等を使用することができる。当該処理液の主成分は、水であり、必要に応じて、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物または界面活性剤等のような添加物や、アルコール等が少量含まれていてもよい。この過程でも、工程変数の調節を通じて前述した光遮断率の調節が可能になり得る。
【0027】
膨潤過程における処理温度は、通常、20℃~45℃または20℃~40℃程度であるが、これらに制限されない。膨潤偏差は、染色偏差を誘発し得るので、このような膨潤偏差の発生が、可能な限り抑制されるように工程変数を調節することができる。
【0028】
必要に応じて、膨潤工程でも適切な延伸が行われ得る。延伸倍率は、PVA系フィルムの本来の長さを基準として6.5倍以下、1.2~6.5倍、2倍~4倍または2倍~3倍程度であってもよい。膨潤過程における延伸は、膨潤工程後に行われる延伸工程における延伸を小さく制御することができ、フィルムの延伸破断が発生しないように制御することができる。
【0029】
偏光子の製造過程では、金属イオン処理が行われ得る。このような処理は、例えば、金属塩を含有する水溶液にPVA系フィルムを浸漬することによって実施する。これにより、偏光子内に金属イオンを含有させることができ、この過程で、金属イオンの種類ないしは比率を調節することによって、PVA系偏光子の色調の調節が可能である。適用できる金属イオンとしては、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、銅、マンガンまたは鉄等の遷移金属、あるいはアルミニウムの金属イオンを例示することができ、このうち、適切な種類の選択によって色調の調節が可能になり得る。
【0030】
偏光子の製造過程では、染色、架橋および延伸後に洗浄工程が行われ得る。このような洗浄工程は、ヨウ化カリウム等のヨード化合物溶液により行うことができ、この過程で、前記溶液内のヨウ化化合物の濃度ないしは前記洗浄工程の処理時間等を通じても前述した光遮断率の調節が可能になり得る。したがって、前記ヨウ化化合物の濃度とその溶液での処理時間は、前記光遮断率を考慮して調節することができる。ただし、洗浄工程は、水を使用して行うこともできる。
【0031】
このような水による洗浄とヨード化合物溶液による洗浄は、組合わせてもよく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールまたはプロパノール等の液体アルコールを配合した溶液をも使用してもよい。
【0032】
このような工程を経た後に、乾燥工程を行って偏光子を製造することができる。乾燥工程は、例えば、偏光子に要求される水分率等を考慮して適切な温度で適切な時間の間に行うことができ、このような条件は、特に制限されない。
【0033】
一例として、光学積層体の耐久性、特に高温信頼性の確保のために、前記偏光子としては、カリウムイオンのようなカリウム成分と亜鉛イオンのような亜鉛成分を含むポリビニルアルコール偏光子を使用することができる。このような成分が含まれた偏光子を使用する場合、高温の条件、特に100℃以上の超高温の条件下でも安定的に耐久性が維持される光学積層体を提供することができる。
【0034】
前記カリウムおよび亜鉛成分の比率は、さらに調節することができる。例えば、ポリビニルアルコール偏光子に含まれているカリウム成分Kと亜鉛成分Znの比率K/Znは、一例として、0.2~6の範囲内であってもよい。前記比率K/Znは、他の例として、約0.4以上、0.6以上、0.8以上、1以上、1.5以上、2以上または2.5以上であってもよく、5.5以下、約5以下、約4.5以下または約4以下であってもよい。
【0035】
また、ポリビニルアルコール偏光子に含まれているカリウム成分の比率は、約0.1~2重量%であってもよい。前記カリウム成分の比率は、他の例として、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、約0.25重量%以上、約0.3重量%以上、約0.35重量%以上、0.4重量%以上または約0.45重量%以上であってもよく、約1.95重量%以下、約1.9重量%以下、約1.85重量%以下、約1.8重量%以下、約1.75重量%以下、約1.7重量%以下、約1.65重量%以下、約1.6重量%以下、約1.55重量%以下、約1.5重量%以下、約1.45重量%以下、約1.4重量%以下、約1.35重量%以下、約1.3重量%以下、約1.25重量%以下、約1.2重量%以下、約1.15重量%以下、約1.1重量%以下、約1.05重量%以下、約1重量%以下、約0.95重量%以下、約0.9重量%以下または約0.85重量%以下程度であってもよい。
【0036】
一例として、前記カリウム成分と亜鉛成分の比率は、下記数式Aを満たすように含まれていてもよい。
【0037】
[数式A]
0.70~0.95=1/(1+Q×d/R)
【0038】
数式Aで、Qは、ポリビニルアルコール偏光子に含まれているカリウム成分のモル質量K(39.098g/mol)と亜鉛成分のモル質量Zn(65.39g/mol)の比率K/Znであり、dは、ポリビニルアルコール偏光子の延伸前の厚さ(μm)/60μmであり、Rは、ポリビニルアルコール偏光子に含まれているカリウム成分の重量比K(単位:weight%)と亜鉛成分の重量比Zn(単位:weight%)の比率K/Znである。
【0039】
前記のような形態で偏光子にカリウムおよび亜鉛成分を含ませることによって、高温での信頼性に優れた偏光子の提供が可能になり得る。
【0040】
前記のような偏光子の厚さは、特に制限されず、目的に応じて適正な厚さで形成することができる。通常、偏光子の厚さは、5μm~80μmの範囲内であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0041】
本出願の光学積層体は、前記光学素子の一面または両面に形成されている粘着剤層を含むことができる。このような粘着剤層は、粘着重合体を含む。粘着剤層は、前記粘着重合体を主成分として含むことができる。すなわち、粘着剤層の全体重量対比前記粘着重合体の包含比率は、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または90重量%以上であってもよい。前記比率の上限は、特に制限されず、例えば、約98重量%以下または95重量%以下であってもよい。このような粘着重合体は、後述するような架橋剤により架橋された状態で粘着剤層に含まれていてもよい。
【0042】
高温の条件、特に100℃以上の超高温の条件で優れた耐久性を確保し、低透湿性の光学フィルムと適用される場合にも、発泡現象等を抑制ないしは防止するために、前記粘着剤層の特性が制御され得る。
【0043】
以下、本出願で言及する物性のうち測定温度および/または圧力がその物性値に影響を及ぼす場合には、特に別途言及しない限り、当該物性は、常温および/または常圧で測定した物性を意味する。
【0044】
本出願で用語「常温」は、加温されるかまたは減温されない自然そのままの温度であり、例えば、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、25℃または23℃程度の温度を意味する。
【0045】
本出願で用語「常圧」は、特に低減するか高めないときの圧力であって、その例としては、普通、大気圧のような1気圧程度を意味する。
【0046】
一例として、前記粘着剤層は、所定範囲のゲル分率を示すことができる。例えば、前記粘着剤層は、下記数式1で計算されるゲル分率が約70重量%以上であってもよい。
【0047】
[数式1]
ゲル(gel)含量=B/A×100
【0048】
数式1で、Aは、エチルアセテートに浸漬前の粘着剤層の質量(単位:g)であり、Bは、前記粘着剤層をエチルアセテートに常温で24時間の間浸漬させた後に回収した不溶解分の乾燥質量(単位:g)を示す。この際、不溶解分は、200メッシュ(#200)の篩にかける成分を意味し、不溶解分の乾燥質量は、収集した不溶解分を適正条件で乾燥させて、当該不溶解分に前記溶媒が実質的に含まれていない状態、例えば、溶媒の含量が約1重量%以下、0.5重量%以下または0.1重量%以下である状態で測定した質量を意味する。前記で乾燥条件は、不溶解分に含まれる溶媒の比率を前記範囲に制御することができる場合、特に制限されず、適正条件で行うことができる。
【0049】
前記ゲル分率は、他の例として、約75重量%以上または約80重量%以上であるか、約95重量%以下または90重量%以下であってもよい。
【0050】
前記粘着剤層は、30℃での損失正接tanδに対する100℃での損失正接tanδの比(100℃での損失正接tanδ/30℃での損失正接tanδ)が1.7以下であってもよい。前記で損失正接tanδは、損失弾性率G″の貯蔵弾性率G′に対する比率G″/G′である。すなわち、100℃での損失正接tanδは、100℃での損失弾性率G″の100℃の貯蔵弾性率G′に対する比率G″/G′であり、30℃での損失正接tanδは、30℃での損失弾性率G″の30℃での貯蔵弾性率G′に対する比率G″/G′である。
【0051】
前記で貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″および損失正接tanδは、動力学的レオロジー特性測定装置を使用して求めることができる。前記貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″および損失正接tanδは、例えば、測定モードをせん断モードとし、測定周波数を約1Hz程度とした状態で測定することができる。
【0052】
前記比率(100℃での損失正接tanδ/30℃での損失正接tanδ)は、他の例として、約1.68以下、1.65以下、1.60以下、1.55以下、1.5以下、1.45以下、1.4以下または約1.35以下であるか、約1以上、約1.05以上、約1.1以上、約1.15以上、約1.2以上または約1.25以上であってもよい。
【0053】
また、前記粘着剤層は、前記方式で求めた30℃での貯蔵弾性率が約0.06MPa以上であってもよい。前記貯蔵弾性率は、他の例として、0.065MPa以上、0.07MPa以上、0.075MPa以上、0.08MPa以上、0.085MPa以上または0.09MPa以上であってもよく、0.2MPa以下、0.15MPa以下または0.12MPa以下であってもよい。
【0054】
前記粘着剤層は、ガラス基板に対して300mm/minの剥離速度と90度の剥離角度で測定した常温剥離力が約700gf/25mm以上であってもよい。前記剥離力は、約750gf/25mm以上、約800gf/25mm以上、約850gf/25mm以上、約900gf/25mm以上または約950gf/25mm以上であってもよい。前記剥離力の上限は、特に制限されず、例えば、前記剥離力は約2,000gf/25mm以下、約1,800gf/25mm以下または約1,500gf/25mm以下であってもよい。
【0055】
前記のような特性を示す粘着剤層は、高温の条件、特に100℃以上の超高温の条件で優れた耐久性を確保することができる。また、前記粘着剤層は、低透湿性の光学フィルムと適用される場合にも、発泡現象等を抑制ないしは防止することができる。
【0056】
このような特性の粘着剤層を形成するために、前記言及された粘着重合体の単量体組成や、分子量特性、架橋の程度等が制御され得る。
【0057】
また、一例として、前記言及された物性の一つまたは二つ以上が後述する重合体の組成等と関連して本出願で意図する粘着剤層の形成を可能にすることができる。
【0058】
一例としては、前記粘着重合体としては、重量平均分子量Mwが50万以上である重合体を使用することができる。本出願で用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレン換算数値であり、特に別途規定しない限り、単に分子量と呼ぶこともできる。前記分子量Mwは、他の例として、60万以上程度、70万以上程度、80万以上程度、90万以上程度、100万以上程度、110万以上程度、120万以上程度、130万以上程度、140万以上程度または150万以上程度であってもよく、約300万以下、約280万以下、約260万以下、約240万以下、約220万以下または約200万以下であってもよい。また、本出願で、重量平均分子量の単位は、特に別途規定しない限り、g/molである。
【0059】
前記粘着重合体は、アクリル粘着重合体であってもよい。用語「アクリル粘着重合体」は、粘着剤を形成できる特性を有するものであって、アクリル系単量体単位を主成分として含む重合体を意味する。用語「アクリル系単量体」は、アクリル酸、メタクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体を意味する。前記で(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。また、前記で主成分として含まれるというのは、当該成分の比率が重量を基準として55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上である場合を意味する。前記比率の上限は、100%であってもよい。また、重合体に含まれる単位は、単量体が重合反応を経て前記重合体の主鎖および/または側鎖を形成している状態を意味する。
【0060】
前記粘着重合体は、(1)炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位、(2)炭素数が3以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位、(3)芳香族基含有単量体単位および(4)極性官能基含有単量体単位を含むことができる。このような単量体の組成は、後述する粘着剤層のゲル分率、剥離力等のような物性と関連して、粘着剤層が優れた高温耐久性を示すと同時に、その他粘着剤に要求される物性である、優れた再作業性、切断性、浮き上がりおよび発泡防止性等も維持されるようにすることができる。
【0061】
前記で単位(1)としては、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度または粘着性等を考慮して、炭素数が4以上のアルキル基、例えば炭素数が4~14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単位を使用することができる。前記のようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびテトラデシル(メタ)アクリレート等を例示することができ、前記のうち1種または2種以上を適用することができる。一般的には、n-ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレート等を使用する。
【0062】
前記単位(1)の重合体内での比率は、特に制限されるものではないが、約50~70重量%の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例として、約65重量%以下であってもよい。
【0063】
前記単位(2)としては、炭素数が3以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位を使用する。このような単位は、粘着剤が高温で優れた耐久信頼性を確保するようにすることができる。前記単位を形成できる単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレートまたはイソプロピル(メタ)アクリレート等を例示することができ、適切な例示は、メチルアクリレートである。
【0064】
前記単位(2)は、前記単位(1)100重量部に対して約30~65重量部の比率で粘着重合体に含まれ得る。前記比率は、他の例として、約60重量部以下または58重量部以下であってもよい。
【0065】
前記単位(3)としては、芳香族基含有単量体の単位、例えば、芳香族環を有する(メタ)アクリレート系単量体の単位を使用する。
【0066】
このような単位を形成できる芳香族基含有単量体の種類は、特に制限されず、例えば、下記化学式1の単量体を例示することができる。
【0067】
【化1】
【0068】
化学式1でRは、水素またはアルキルを示し、Aは、アルキレンを示し、nは、0~3の範囲内の整数を示し、Qは、単一結合、-O-、-S-またはアルキレンを示し、Pは芳香族環を示す。
【0069】
化学式1で単一結合は、両側の原子団が別途の原子を媒介とせず、直接結合された場合を意味する。
【0070】
化学式1で、Rは、例えば、水素または炭素数1~4のアルキルであるか、水素、メチルまたはエチルであってもよい。
【0071】
化学式1の定義で、Aは、炭素数1~12または1~8のアルキレンであってもよく、例えば、メチレン、エチレン、ヘクシルレンまたはオクチレンであってもよい。
【0072】
化学式1で、nは、例えば、0~2の範囲内の数であるか、0または1であってもよい。
【0073】
化学式1でQは、単一結合、-O-または-S-であってもよい。
【0074】
化学式1で、Pは、芳香族化合物から誘導される置換基であって、例えば、炭素数6~20の芳香族環由来官能基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルまたはアントラセニルであってもよい。
【0075】
化学式1で、芳香族環は、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記で置換基の具体的な例としては、ハロゲンまたはアルキルや、ハロゲンまたは炭素数1~12のアルキルや、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ノニルまたはドデシルが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0076】
化学式1の化合物の具体的な例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルチオ-1-エチル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-sec-ブチルフェノキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ドデシルフェニル(メタ)アクリレート、2-(1-ナフチルオキシ)-1-エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ナフチルオキシ)-1-エチル(メタ)アクリレート、6-(1-ナフチルオキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(2-ナフチルオキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、8-(1-ナフチルオキシ)-1-オクチル(メタ)アクリレートおよび8-(2-ナフチルオキシ)-1-オクチル(メタ)アクリレートの1種または2種以上の混合が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0077】
前記単位(3)は、前記単位(1)100重量部に対して約20~45重量部の比率で粘着重合体に含まれ得る。前記比率は、他の例として、約40重量部以下、35重量部以下または30重量部以下であってもよい。
【0078】
前記単位(4)としては、極性官能基としてヒドロキシ基やカルボキシル基を有する単量体の単位を使用することができる。このような単位は、必要な場合には、後述する架橋剤等との反応を通じて凝集力等を付与する役割をすることができる。適切な高温信頼性等の確保のために、前記極性官能基を有する単量体としては、炭素数が3~6の範囲内のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはカルボキシル基含有単量体を使用することができる。
【0079】
炭素数が3~6の範囲内であるヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートまたは6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等を例示することができ、一例として、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0080】
カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸およびマレイン酸無水物等を例示することができ、一般的にはアクリル酸を適用することができる。
【0081】
ただし、粘着剤層がITO(Indium Tin Oxide)等のような電極と隣接して使用される場合に、粘着剤層にカルボキシル基が多量含まれる場合、前記電極の腐食等を誘発して、機器の性能に悪影響を及ぼす恐れがあるので、カルボキシル基を有する成分は適用しないか、その適用比率を制限することもできる。具体的に、前記単位 (4)は、前記単位(1)100重量部に対して約1~6重量部の比率で粘着重合体に含まれ得る。前記比率は、他の例として、約1.5重量部以上であってもよく、約5.8重量部以下、5.5重量部以下、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下または3.5重量部以下であってもよい。特に、前記単位(4)がカルボキシル基含有単量体単位である場合には、前記比率は、前記単位(1)100重量部に対して約1重量部以上または1.5重量部以上であるか、4.5重量部以下、約4重量部以下、約3.5重量部以下、約3重量副以下、約2.5重量部以下または2重量部以下であってもよい。
【0082】
粘着重合体が前記言及した単量体の単位を含み、必要な場合にその比率を調節することによって、粘着剤層に高温での安定した耐久性が確保され、その他粘着剤層に要求される物性も安定的に維持され、電極と隣接して配置される場合にも、粘着剤層が当該電極の腐食等を誘発しない。
【0083】
粘着重合体は、必要な場合に前記言及された単位の他に公知の他の単位をさらに含むことができる。例えば、前記粘着重合体は、多官能性(メタ)アクリレートの重合単位を含むことができる。前記で、多官能性(メタ)アクリレートは、2個以上の官能基、例えばラジカル重合性官能基を有する(メタ)アクリレート単量体、オリゴマーまたは高分子を意味する。多官能性(メタ)アクリレート化合物の官能基は、例えばアクリロイル基またはメタクリロイル基であってもよい。また、前記多官能性(メタ)アクリレート化合物内の官能基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0084】
一例として、前記多官能性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性(メタ)アクリレート化合物であってもよい。
【0085】
また、前記多官能性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能性(メタ)アクリレート化合物であってもよい。
【0086】
このような粘着重合体は、前記言及された単量体を適用した公知の重合方法で製造することができる。
【0087】
粘着剤層は、架橋剤をさらに含むことができ、前記架橋剤は、粘着重合体を架橋させていてもよい。
【0088】
架橋剤としては、特別な制限なしに公知の架橋剤を使用することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤および金属キレート系架橋剤等を使用することができる。
【0089】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネート等のようなジイソシアネートや前記ジイソシアネートのうち一つまたはそれ以上の種類とポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物等を使用することができる。
エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N′,N′-テトラグリシジルエチレンジアミンおよびグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選ばれた一つ以上を使用することができ、アジリジン系架橋剤としては、N,N-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N′-ジフェニルメタン-4,4′-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)およびトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選ばれた一つ以上を使用することができ、金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチル等に配位している化合物を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0090】
架橋剤は、粘着重合体100重量部に対して0.001重量部~10重量部の量で使用することができ、この比率下で粘着剤の凝集力を適切に維持しつつ、層間剥離や浮き上がり現象が発生する等の耐久信頼性の低下を防止することができる。前記比率は、他の例として、約0.005重量部以上、0.01重量部以上、0.05重量部以上または0.1重量部以上であってもよく、約9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下または1.5重量部以下であってもよい。
【0091】
粘着剤層は、前述した成分の他にも必要な公知の他の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤としては、シランカップリング剤等のカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤(tackifier)、紫外線安定剤;酸化防止剤;調色剤;補強剤;充填剤;消泡剤;界面活性剤;多官能性アクリレートのような光重合性化合物;および可塑剤よりなる群から選ばれた一つ以上を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0092】
また、本出願は、前記のような光学積層体を含むディスプレイ装置に関する。前記装置は、例えば、前記光学積層体が前記言及した粘着剤層を介して付着しているディスプレイパネルを含むことができる。前記でディスプレイパネルの種類は、特に制限されず、例えば、公知のLCDパネルまたはOLEDパネル等であってもよい。また、光学積層体が前記パネルに付着される位置等も、公知の方式に従うことができる。
【発明の効果】
【0093】
本出願の光学積層体は、高温、特に約100℃以上の超高温でも安定した耐久性を有することができる。
【0094】
また、本出願の光学積層体は、粘着剤層における発泡現象等を抑制ないしは防止することができる。
【0095】
本出願の光学積層体は、その他光学積層体において要求される物性に優れており、電極と隣接して配置される場合にも、当該電極の腐食等を誘発しない。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、実施例により本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例により制限されるわけではない。
【0097】
1.剥離力の測定方法
実施例または比較例で製造された粘着偏光板を、横の長さが25mm、縦の長さが200mmになるようにカットして試験片を製造し、試験片をその粘着剤層を介してガラス板に付着させた。試験片の付着後に1時間経過時点で90度の剥離角度および300mm/minの剥離速度で粘着偏光板を剥離しつつ、剥離力を測定した。
【0098】
2.ゲル分率の測定方法
実施例または比較例で製造された粘着剤層を7日間恒温恒湿室(温度:23℃、相対湿度:50%)に維持した後、0.2g(=ゲル分率測定数式でA)を採取した。採取された粘着剤層を50mLのエチルアセテートに完全に浸るように入れた後、常温の暗室で1日間保管した。次に、エチルアセテートに溶解しない部分(不溶解分)を200メッシュ(#200)のステンレス金網に採取し、これを150℃で30分間乾燥させて、質量(不溶解分の乾燥質量=ゲル分率測定数式でB)を測定した。次に、前記測定結果を下記式に代入して、ゲル分率(単位:%)を測定した。
<ゲル分率測定数式>
【0099】
ゲル分率=B/A×100
A:粘着剤の質量(0.2g)
B:不溶解分の乾燥質量(単位:g)
【0100】
3.弾性率の測定方法
実施例または比較例で製造された粘着剤組成物を2枚の離型フィルムの間にコートし、恒温恒湿条件(温度:23℃、相対湿度:50%)で7日間熟成(aging)させて、厚さが約22μmの粘着剤層を製造した。次に、離型フィルムの間の粘着剤をカットして、8mm×1mm(=直径×厚さ)の円周状の試験片を製作した後、動力学的レオロジー特性測定装置(ARES、RDA、TA Instruments Inc.)を使用して、せん断モードで周波数1Hzでパラレルプレート(parallel plate)の間でせん断応力を加えながら、100℃または30℃の温度での貯蔵弾性率、損失弾性率および損失正接を測定した。損失正接は、損失弾性率G″の貯蔵弾性率G′に対する比率G″/G′であり、30℃での損失正接に対する100℃での損失正接を評価した。
【0101】
4.ITO腐食テスト
実施例または比較例で製造された粘着剤組成物を厚さ40μmのTAC(Triacetyl cellulose)フィルム上に積層し、恒温恒湿条件(温度:23℃、相対湿度:50%)で7日間熟成(aging)させた粘着剤層を製造した。一般的なITO(Indium Tin Oxide)フィルムを横の長さが約50mm程度、縦の長さが約30mm程度になるようにカットして、ITOフィルム試験片を製造した。次に、前記ITOフィルム試験片の上に横方向の両端部にそれぞれ10mm程度の幅で銀ペーストを塗布した。その後、前記粘着剤層を横の長さが約40mm程度、縦の長さが約30mm程度のサイズになるようにカットして、前記銀ペースト上に端部に5mm程度の間隔をもって付着して、ITO腐食テスト用試験片を製造した。前記テスト用試験片を高温高湿の条件(温度:85℃、相対湿度:85%)で約250時間保存した後、線抵抗測定装置(Hioki社3244-60 card hitester)で初期投入前に比べて抵抗の変化率を評価した。
【0102】
5.高温耐久性
実施例または比較例の粘着偏光板を、横の長さが約140mm程度、縦の長さが約90mm程度になるようにカットして、試験片を製造し、これをガラス基板の上に5kg/cmの圧力で付着させた。前記付着は、気泡または異物が発生しないように、クリーンルーム(clean room)で作業を行った。次に、製造されたサンプルは、50℃の温度および5kg/cmの圧力条件で15分間オートクレーブ(Autoclave)で維持された。
【0103】
前記サンプルを約100℃の温度で約500時間の間維持した後、下記基準に基づいて耐久性を評価した。
【0104】
<評価基準>
O:気泡および剥離が発生しない
△:気泡および/または剥離が発生
X:気泡および/または剥離がひどく発生
【0105】
6.発泡サイズの評価
発泡サイズは、顕微鏡で光学積層体内に発生した気泡を観察して、そのサイズをマイクロメーター単位で測定して評価した。気泡が観察されない場合には、下記表2および表3に「無し」で示し、粘着剤層が偏光板から剥離される場合には、下記表2および表3に「剥離」で示した。
【0106】
製造例1.粘着重合体Aの製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1Lの反応器にn-ブチルアクリレート(n-BA)、ベンジルアクリレート(BzA)、メチルアクリレート(MA)およびヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を63:15:20:2の重量比(n-BA:BzA:MA:4-HBA)で投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために、窒素ガスを1時間の間パージングした後、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度に希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入し、8時間の間反応させて、分子量Mwが約180万g/mol程度である共重合体Aを製造した。
【0107】
製造例2~8.粘着重合体B~Hの製造
下記表1に示されたような組成を採用したことを除いて、前記製造例1と同じ方法で共重合体を製造した。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例1
粘着剤組成物および粘着剤層の製造
製造例1の共重合体Aにイソシアネート系架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Aの固形分100重量部に対して約0.12重量部で配合した。次に、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート(di-n-butyltin dilaurate)系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Aの固形分100重量部に対して約0.001重量部で配合した。その後、さらに、架橋遅延剤としてアセチルアセトン(acetyl acetone)を前記共重合体Aの固形分100重量部に対して約1重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を製造した。前記粘着剤組成物を通常の離型紙上にコートし、乾燥させて、厚さが22μmの均一な粘着剤層を製造した。
【0110】
偏光板の製造
厚さが約60μmのポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol);PVA)フィルム(日本合成社、M2004)をヨード約0.05重量%およびヨウ化カリウム約1.5重量%を含む約30℃の染着液に約60秒間浸漬させて染着処理した。次に、染着されたPVAフィルムをホウ素約0.5重量%およびヨウ化カリウム約3.0重量%を含む約30℃の架橋液に約60秒間浸漬させて架橋処理した。その後、架橋させたPVAフィルムをロール間延伸方法を利用して約5.5倍の延伸倍率で延伸させた。延伸されたPVAフィルムを約30℃のイオン交換水に約20秒間浸漬させて水洗し、硝酸亜鉛約2.0重量%およびヨウ化カリウム約5.5重量%を含む約30℃の溶液に約10秒間浸漬させた。その後、PVAフィルムを約80℃の温度で約200秒間乾燥させて偏光子を製造した。前記製造された偏光子内のカリウム含量は約0.8重量%であり、亜鉛含量は約0.17重量%であった。次に、前記偏光子の一面には、7002 Water Vapor Permeation Analyzer(Systech Illinois)装備で規格(ASTM F1249、ISO15506-3)によって約37℃、88.5%(誤差±0.5%)の相対湿度で約24時間の間測定した透湿度WVTRが約5g/(m・day)程度であるCOP(Cycloolefin polymer)フィルムを接着剤で接着した。次に、前記偏光子の他の面には、公知の偏光子保護フィルムであるTAC(triacetyl cellulose)フィルムを接着剤で接着して偏光板を製造した。
【0111】
光学積層体(粘着偏光板)の製造
前記製造された粘着剤層を前記偏光板のCOPフィルム面に粘着加工して、粘着偏光板(光学積層体)を製造した。
【0112】
実施例2
製造例2の共重合体Bにトルエンジイソシアネート系架橋剤(T-706BB、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約1重量部で配合し、さらに、エポキシ架橋剤(T-743L、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約0.007重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0113】
実施例3
製造例2の共重合体Bにトルエンジイソシアネート系架橋剤(T-706BB、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約1.2重量部で配合し、さらに、エポキシ架橋剤(T-743L、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約0.005重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0114】
実施例4
製造例5の共重合体Eに架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Eの固形分100重量部に対して約0.12重量部で配合し、次に、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Eの固形分100重量部に対して約0.006重量部で配合し、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0115】
実施例5
製造例6の共重合体Fに架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Fの固形分100重量部に対して約0.12重量部で配合し、次に、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Fの固形分100重量部に対して約0.006重量部で配合し、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0116】
実施例6
製造例8の共重合体Hに架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Hの固形分100重量部に対して約0.14重量部で配合し、次に、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Hの固形分100重量部に対して約0.001重量部で配合し、さらに、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを前記共重合体Hの固形分100重量部に対して約1重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0117】
比較例1
製造例3の共重合体Cにトルエンジイソシアネート系架橋剤(T-706BB、日本Soken社)を前記共重合体Cの固形分100重量部に対して約1.7重量部で配合し、さらに、エポキシ架橋剤(T-743L、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約0.005重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0118】
比較例2
製造例4の共重合体Dに架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Dの固形分100重量部に対して約0.08重量部で配合し、次に、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Dの固形分100重量部に対して約0.006重量部で配合し、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0119】
比較例3
製造例5の共重合体Eに架橋剤(T-39M、日本Soken社)を前記共重合体Eの固形分100重量部に対して約0.08重量部で配合し、約0.5重量%程度の濃度にエチルアセテートに希釈したジ-n-ブチルチンジラウレート系触媒(C-700、HANNONG化成)を前記共重合体Eの固形分100重量部に対して約0.006重量部で配合して適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0120】
比較例4
製造例7の共重合体Gにトルエンジイソシアネート系架橋剤(T-706BB、日本Soken社)を前記共重合体Gの固形分100重量部に対して約1.0重量部で配合し、さらに、エポキシ架橋剤(T-743L、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約0.005重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0121】
比較例5
製造例2の共重合体Bにトルエンジイソシアネート系架橋剤(T-706BB、日本Soken社)を前記共重合体Cの固形分100重量部に対して約0.8重量部で配合し、さらに、エポキシ架橋剤(T-743L、日本Soken社)を前記共重合体Bの固形分100重量部に対して約0.005重量部で配合した後、適正の濃度に希釈して均一に混合した粘着剤組成物を使用したことを除いて、実施例1と同一に粘着剤層と粘着偏光板を製造した。
【0122】
前記実施例および比較例に対する評価結果を下記表2および表3に整理して記載した。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】