(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】ロータの軸方向変位のためのカム機構を備えるマイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 7/06 20060101AFI20220328BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
F04B7/06
A61M5/142 500
(21)【出願番号】P 2020533065
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018083390
(87)【国際公開番号】W WO2019115276
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514207337
【氏名又は名称】ゼンジーレ・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ブラント・デレク
(72)【発明者】
【氏名】ウィース・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マーベット・レジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブーチ・エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ペリエ・アレクサンダー
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-521969(JP,A)
【文献】特開2016-026558(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114285(WO,A2)
【文献】実開昭63-073582(JP,U)
【文献】特公昭43-004577(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 7/06、9/04
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロポンプにおいて、
ステータ(4)と、
少なくとも部分的に前記ステータ内にスライド可能かつ回転可能に装着されたロータ(6)であって、前記ロータは、第1の直径(D1)を有する第1の軸方向延長部(24)と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径(D2)を有する第2の軸方向延長部(26)と、を含む、ロータと、
前記第1の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第1のバルブシール(18)によって形成された第1のバルブ(V1)であって、前記第1のバルブが開位置にあるときに前記第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第1のチャネル(42)と関連する、第1のバルブと、
前記第2の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第2のバルブシール(20)によって形成された第2のバルブ(V2)であって、前記第2のバルブが開位置にあるときに前記第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第2のチャネル(44)と関連する、第2のバルブと、
前記ロータと前記ステータとの間および前記第1のバルブシールと前記第2のバルブシールとの間に形成されたポンプチャンバ(8)と、
前記ロータの回転の関数として前記ステータに対して前記ロータを軸方向に変位させるように、前記ロータまたは前記ステータのうちの一方にカムトラック(22、22’)を、前記ロータまたは前記ステータのうちの他方にカムフォロア(36、36’)を含むカムシステムと、
を含み、
前記カムトラックは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)、取り入れセクション(32)、および排出セクション(34)を含み、
前記排出セクションは、排出段階中にポンプサイクル容量を部分的に送達するために、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションと前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションとの間の中間軸方向位置を規定
し、前記ロータの前記軸方向の移動を停止させる排出保留位置(34b)を含むことを特徴とする、マイクロポンプ。
【請求項2】
前記排出保留位置(34b)は、前記ロータ(6)の回転軸(A)に実質的に直交するプラトーを含む、請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項3】
前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも15度の角度円弧にわたって延在する、請求項2に記載のマイクロポンプ。
【請求項4】
前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも20度の角度円弧にわたって延在する、請求項3に記載のマイクロポンプ。
【請求項5】
前記カムフォロアは、面取りされた先導角部(38a、38b)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項6】
前記排出
セクションは、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)および前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)に対して45度未満の角度(β)で傾斜した排出斜面部分(34a)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項7】
前記排出セクションは、前記排出セクションを、ポンプチャンバ-フル位置とポンプチャンバ-空位置との間の全軸方向変位の実質的に等しいサブユニットに分割するように構成された、軸方向位置における1つまたは2つの排出保留位置(34b)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項8】
前記ロータおよび前記ステータから構成されるポンプモジュールは、前記ロータを停止させ、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)と前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)の中間の排出保留位置に保持することができる、ステッパ位置を有するステッパモータを含む回転駆動部に連結され、前記排出保留位置は、前記ステッパ位置の整数倍に対応する、請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項9】
前記カムトラックは、前記ロータのヘッド(10)に装着され、前記カムフォロアは、前記ステータに装着されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項10】
前記カムシステムは、半径方向外側カムトラック(22)および関連する半径方向外側カムフォロア(36)、ならびに半径方向内側カムトラック(22’)および関連する半径方向内側カムフォロア(36)を含む、少なくとも2つのカムトラック(22,22’)および関連するカムフォロア(36、36’)を含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向し、360度にわたって展開された同じカムプロファイルを画定する、請求項9に記載のマイクロポンプ。
【請求項11】
前記カムシステムは、2つのカムトラックを含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向している、請求項10に記載のマイクロポンプ。
【請求項12】
マイクロポンプにおいて、
ステータ(4)と、
少なくとも部分的に前記ステータ内にスライド可能かつ回転可能に装着されたロータ(6)であって、前記ロータは、第1の直径(D1)を有する第1の軸方向延長部(24)と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径(D2)を有する第2の軸方向延長部(26)と、を含む、ロータと、
前記第1の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第1のバルブシール(18)によって形成された第1のバルブ(V1)であって、前記第1のバルブが開位置にあるときに前記第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第1のチャネル(42)と関連する、第1のバルブと、
前記第2の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第2のバルブシール(20)によって形成された第2のバルブ(V2)であって、前記第2のバルブが開位置にあるときに前記第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第2のチャネル(44)と関連する、第2のバルブと、
前記ロータと前記ステータとの間および前記第1のバルブシールと前記第2のバルブシールとの間に形成されたポンプチャンバ(8)と、
前記ロータの回転の関数として前記ステータに対して前記ロータを軸方向に変位させるように、前記ロータまたは前記ステータのうちの一方にカムトラック(22、22’)を、前記ロータまたは前記ステータのうちの他方にカムフォロア(36、36’)を含むカムシステムと、
を含み、
前記カムトラックは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)、取り入れセクション(32)、および排出セクション(34)を含み、
前記カムシステムは、半径方向外側カムトラック(22)および関連する半径方向外側カムフォロア(36)、ならびに半径方向内側カムトラック(22’)および関連する半径方向内側カムフォロア(36)を含む、少なくとも2つのカムトラック(22,22’)および関連するカムフォロア(36、36’)を含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、360度にわたって展開された同じカムプロファイルを画定
し、
前記排出セクションは、排出段階中にポンプサイクル容量を部分的に送達するために、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションと前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションとの間の中間軸方向位置を規定し、前記ロータの前記軸方向の移動を停止させる排出保留位置(34b)を含むことを特徴とする、マイクロポンプ。
【請求項13】
前記カムシステムは、2つのカムトラックを含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向している、請求項12に記載のマイクロポンプ。
【請求項14】
前記排出保留位置(34b)は、前記ロータ(6)の回転軸(A)に実質的に直交するプラトーを含む、請求項
12に記載のマイクロポンプ。
【請求項15】
前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも15度の角度円弧にわたって延在する、請求項
14に記載のマイクロポンプ。
【請求項16】
前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも20度の角度円弧にわたって延在する、請求項
15に記載のマイクロポンプ。
【請求項17】
前記カムフォロアは、面取りされた先導角部(38a、38b)を含む、請求項12から
16のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項18】
前記排出セクションは、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)および前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)に対して45度未満の角度(β)で傾斜した排出斜面部分(34a)を含む、請求項12から
17のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項19】
前記排出セクションは、前記排出セクションを、ポンプチャンバ-フル位置とポンプチャンバ-空位置との間の全軸方向変位の実質的に等しいサブユニットに分割するように構成された、軸方向位置における1つまたは2つの排出保留位置(34b)を含む、請求項12から
18のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項20】
前記ロータおよび前記ステータから構成されるポンプモジュールは、前記ロータを停止させ、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)と前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)の中間の排出保留位置に保持することができる、ステッパ位置を有するステッパモータを含む回転駆動部に連結され、前記排出保留位置は、前記ステッパ位置の整数倍に対応する、請求項12から
19のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項21】
前記カムトラックは、前記ロータのヘッド(10)に装着され、前記カムフォロアは、前記ステータに装着されている、請求項12から
20のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、マイクロポンプに関する。マイクロポンプは、少量の液体を分配するために、特に医学的適用、例えば薬物送達装置において使用するために使用され得る。本発明に関連するマイクロポンプは、少量の液体の高精度送達を必要とする非医学的適用においても使用することができる。
【0002】
〔関連技術の説明〕
特に医学的および非医学的適用において使用され得る、少量の液体を送達するためのマイクロポンプが、EP1803934およびEP1677859に記載されている。前述の文献に記載されたマイクロポンプは、異なる直径の第1および第2の軸方向延長部を有するロータを含み、第1および第2の軸方向延長部は、ステータの第1および第2のシールと係合して、ロータの角変位および軸方向変位の関数として、それぞれのシールを横切る液体連通を開閉する、第1および第2のバルブを形成する。ステータの第1のシールと第2のシールとの間にポンプチャンバが形成され、それによって、ロータの1回転サイクル当たりの液体のポンピング体積は、ロータの第1の軸方向延長部と第2の軸方向延長部との直径の差、およびステータに対するロータの角度位置の関数としてカムシステムによってもたらされるロータの軸方向変位の両方の関数である。ロータの回転および軸方向変位だけでなく、回転延長部間の直径の差の関数として、1サイクル当たりのポンピング体積を制御する能力は、ロータの1回転につき非常に少量の液体を高精度でポンピングすることを可能にする。前述のマイクロポンプによって送達される最小体積は、ポンプチャンバの最大充填体積に対応する。
【0003】
前述した既知のポンプで正確にポンピングし得るのが少量であるにもかかわらず、特定の適用では、さらに少量の液体を十分に制御された方法で分配する能力が有益であろう。
【0004】
前述した既知のポンプのカムシステムの構成は、ポンプの摩耗および精度に影響を及ぼす可能性のあるロータのわずかな傾斜を引き起こし、望ましくない振動を引き起こす可能性がある。
【0005】
〔発明の概要〕
上記に鑑みて、本発明の目的は、正確で信頼性がある安全な方法で非常に少量の液体を分配することができるマイクロポンプを提供することである。
【0006】
動作中に堅牢で非常に安定しているマイクロポンプを提供することが有利である。
【0007】
製造が経済的なマイクロポンプを提供することが有利である。
【0008】
非常にコンパクトなマイクロポンプを提供することが有利である。
【0009】
連結および使用が容易な低コストの使い捨て部品および再利用可能部品を備えることができるマイクロポンプを提供することが有利である。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載のマイクロポンプによって達成される。
【0011】
本発明の目的は、請求項11に記載のマイクロポンプによって達成される。
【0012】
本明細書には、マイクロポンプが開示され、これは、
ステータと、
少なくとも部分的にステータ内にスライド可能かつ回転可能に装着されたロータであって、ロータは、第1の直径を有する第1の軸方向延長部と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2の軸方向延長部と、を含む、ロータと、
第1の軸方向延長部の周りでステータ上に装着された第1のバルブシールによって形成された第1のバルブであって、第1のバルブが開位置にあるときに第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成されたロータ内の第1のチャネルと関連する、第1のバルブと、
第2の軸方向延長部の周りでステータ上に装着された第2のバルブシール(20)によって形成された第2のバルブであって、第2のバルブが開位置にあるときに第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成されたロータの第2のチャネルと関連する、第2のバルブと、
ロータとステータとの間および第1のバルブシールと第2のバルブシールとの間に形成されたポンプチャンバと、
ロータの回転の関数としてステータに対してロータを軸方向に変位させるように、ロータまたはステータのうちの一方にカムトラックを、ロータまたはステータのうちの他方にカムフォロアを含むカムシステムと、
を含む。カムトラックは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(valves-closed chamber-full section)、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(valves-closed chamber-empty section)、取り入れセクション、および排出セクションを含む。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、排出セクションは、排出段階中にポンプサイクル容量を部分的に送達するために、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションとバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションとの間の中間軸方向位置を規定する排出保留位置(expel hold position)を含む。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、カムシステムは、半径方向外側カムトラックおよび関連する半径方向外側カムフォロア、ならびに半径方向内側カムトラックおよび関連する半径方向内側カムフォロアを含み、半径方向外側カムトラックと半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向し、360度にわたって展開された同じカムプロファイルを画定する。有利には、直径方向に対向したカムトラックは、ロータ上の傾斜モーメントを減少させる。
【0015】
有利な実施形態では、排出保留位置は、ロータの回転軸に実質的に直交するプラトーを含む。
【0016】
有利な実施形態では、排出保留位置のプラトーは、少なくとも15度の角度円弧にわたって、好ましくは少なくとも20度の角度円弧にわたって延在する。
【0017】
有利な実施形態では、カムフォロアは、面取りされた先導角部を含む。
【0018】
有利な実施形態では、排出部分は、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションおよびバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションに対して45度未満の角度(β)で傾斜した排出斜面部分を含む。
【0019】
有利な実施形態では、排出セクションは、排出セクションを、ポンプチャンバ-フル位置(pump chamber-full position)とポンプチャンバ-空位置(pump chamber-empty position)との間の全軸方向変位の実質的に等しいサブユニットに分割するように構成された、軸方向位置における1つまたは2つの排出保留位置を含む。
【0020】
実施形態において、ポンプモジュールは、ロータを停止させ、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションとバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションの中間の排出保留位置に保持することができる、ステッパ位置を有するステッパモータを含む回転駆動部に連結され、排出保留位置は、ステッパ位置の整数倍に対応する。
【0021】
有利な実施形態では、カムトラックは、ロータのヘッドに装着され、カムフォロアは、ステータに装着される。
【0022】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による、(モータ駆動なしで、かつ液体源と液体出口の接続なしで示される)ポンプモジュールの断面図である。
【
図2a】フルポンプチャンバ位置における
図1のポンプモジュールの一方の側からの側面図である。
【
図2b】フルポンプチャンバ位置における
図1のポンプモジュールの反対側からの側面図である。
【
図3a】中間液体排出位置における
図1のポンプモジュールの一方の側からの側面図である。
【
図3b】中間液体排出位置における
図1のポンプモジュールの反対側からの側面図である。
【
図4a】ステータから分解されたロータを示す
図1のポンプモジュールの斜視図である。
【
図4b】
図4aのポンプモジュールのロータの斜視図である。
【
図4c】
図4aのポンプモジュールのステータの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるマイクロポンプのステータに対するロータの軸方向変位のためのカムシステムの展開されたカムトラックの概略図である。
【
図6a】本発明の別の実施形態によるマイクロポンプのステータに対するロータの軸方向変位のためのカムシステムの展開されたカムトラックプロファイルの概略図である。
【
図6b】本発明の別の実施形態によるマイクロポンプのステータに対するロータの軸方向変位のためのカムシステムの展開されたカムトラックプロファイルの概略図である。
【
図7】本発明のさらに別の実施形態によるマイクロポンプのステータに対するロータの軸方向変位のためのカムシステムの展開されたカムトラックプロファイルの概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるマイクロポンプを示す図である。
【0024】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
図面を参照すると、マイクロポンプ1は、ステータ4と、回転軸Aを中心とした回転運動をロータに与えるモータ5を含む回転駆動部3によって駆動されるロータ6と、を含むポンプモジュール2を含む。ロータ6は、例えばばね9によって軸方向に付勢されており、ステータ上の相補的なカムフォロア48と係合するロータ上のカムトラック46を含むカムシステムは、ロータが回転するときのロータの角度位置の関数として、ステータに対するロータの軸方向変位Axを与える。ステータに対するロータの軸方向および回転変位により、以下でさらに詳細に説明する第1のバルブV1および第2のバルブV2が開閉してポンピング作用をもたらす。この一般的な機能原理は、それ自体が既知であり、例えばEP1803934に記載されている。
【0025】
一実施形態において、回転駆動部3は、単回使用の使い捨て部品の形態をとることができるポンプモジュール2に連結するための再利用可能部品の形態をとることができる。例えば、薬物送達適用では、ポンプモジュールは、液体薬物および液体送達出口(針またはカテーテルチューブなど)を含む単回使用の使い捨て部品に一体化され得、回転駆動部は、電源、制御電子機器、およびユーザインターフェースを含む再利用可能部品に一体化され得、それによって、再利用可能部品は、使い捨て部品に連結され、次いで、使い捨て部品の使用後に取り外され、新しい使い捨て部品に再連結され得る。
【0026】
一実施形態では、ポンプの入口14は、ロータの軸方向端部に形成され得、出口16は、カムを含むロータの端部に向かって設けられ得る。出口16は、ステータを通って半径方向に延びることができる。入口および出口は、ステータに対するロータの回転方向およびバルブシール構成に応じて逆にされてもよい。さらに、特定の実施形態では、ポンプは、流体流の方向がロータの回転方向に依存する、双方向となるように構成されてもよい。ロータの軸方向端部に形成された入口または出口は、ステータの端部から軸方向ではなく、ステータを通って半径方向に向けられてもよい。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、流体源および流体送達位置への接続の必要性に従って、入口および出口のための様々な流体チャネルを構成し得ることを理解するであろう。
【0027】
ロータ6は、第1の直径D1を有する第1の延長部24と、第2の直径D2を有する第2の延長部26と、を有し、第1の直径と第2の直径とは異なる値を有する。図示の実施形態では、第2の延長部26の直径D2は、第1の延長部24の直径D1よりも大きい直径である。第1の直径と第2の直径との差は、ロータの軸方向変位Axと相まって、ロータの1回転当たりのポンピング体積を規定する。
【0028】
マイクロポンプは、ロータの第1の延長部とステータとの間に形成された第1のバルブV1と、ロータの第2の延長部とステータとの間に形成された第2のバルブV2と、を含む。第1のバルブV1および第2のバルブV2は、対応する入口14または出口16の開閉を制御する。
【0029】
第1のバルブV1は、ステータに装着された第1のバルブシール18と、ロータに装着された第1のチャネル42と、によって形成され、第1のチャネルは、第1のバルブシールが開位置にあるときには第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にし、第1のバルブV2が閉位置にあるときには第1のバルブシールを横切って液体連通させないように構成される。第2のバルブV2は、ステータ4上の第2のバルブシール20と、ロータ6に形成された第2のチャネル44と、によって形成され、第2のチャネルは、第2のバルブV2が開位置にあるときには第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にし、第2のバルブV2が閉位置にあるときには第2のバルブシールを横切って液体連通させない。ロータ6とステータ4との間、および第1のバルブシール18と第2のバルブシール20との間には、ポンプチャンバ8が形成されている。
【0030】
ポンプチャンバシール21が、第2の延長部26を囲み、ポンプチャンバ8をポンプの外部環境から分離する。
【0031】
図示の実施形態では、液体チャネル42、44は、それぞれの第1のロータ延長部24および第2のロータ延長部26内で軸方向に延びる溝として図示されている。しかしながら、変形例では、他の液体チャネル構成を実装することができ、例えば、チャネルは溝ではなく、ロータ内に埋設され、対応するシールを横切る連通を可能にするオリフィスをロータ表面上に有することができる。さらに、第1のバルブシール18は、それぞれの第2のバルブシール20と異なる角度方向を有することができ、それに応じてロータチャネル44、42の位置が適合されることに留意されたい。
【0032】
ステータは、注入された構成要素、例えば2段階の注入プロセスにおいてシールが注入される、注入されたポリマーであってもよい。シールは、それ自体が当技術分野で知られているように、エラストマー材料中に注入されてもよい。ロータ6も、注入されたポリマーであってよく、したがって、ステータおよびロータは、低コストの使い捨て部品を形成する。
【0033】
ステータ4に対するロータ6の完全な360度の回転でポンピングされる液体の体積は、ロータシャフト12の軸方向ストロークおよび第1の直径D1と第2の直径D2との差によって規定される。第1の直径と第2の直径との小さな差をロータシャフトに提供することによって、少量の液体がポンプサイクルでポンピングされ得る。それにもかかわらず、ロータの軸方向ストロークは、軸方向変位の精度に対する製造公差の影響を最小化するために十分に大きい振幅を有するべきである。例えば、濃縮された薬物の投与のため、または薬物のゆっくりとした投与のための、特定の適用において、本発明の実施形態によるマイクロポンプが、1サイクル当たり2マイクロリットルほどの少ない量を正確にポンピングするために提供され得るにもかかわらず、ロータシャフトの完全な回転によって投与されるよりもさらに小さい液体の増分を送達することにおいて、利点がある。
【0034】
ロータの角変位の関数としてのロータ6の軸方向変位は、付勢機構9を含む軸方向変位システムおよびカムシステムによって課される。カムシステムは、カムトラック22、22’と、付勢機構によってカムトラックに対して付勢されたカムフォロア36、36’と、を含む。図示の実施形態では、カムトラック22、22’がロータヘッド10上に設けられているのに対して、カム突出部36、36’はステータ4上に設けられている。しかしながら、カムトラックおよびカム突出部の機能は、本発明の範囲から逸脱することなく、カム突出部がロータ上にありかつカムトラックがステータ上にあるように逆にされてもよいことが理解されよう。
【0035】
カムトラック22、22’は、ステータに対するロータの角度位置の関数として、ステータに対するロータの軸方向位置を規定する。したがって、ロータの軸方向変位は、カムトラックのプロファイルによって規定される、ロータの回転変位の関数である。
図5は、本発明の一実施形態によるカムトラック22、22’の360°展開されたプロファイルの一例を示す。
【0036】
図4bで最もよく分かるように、カムシステムは、一対のカムトラックと、対応する一対のカムフォロア36、36と、を含むことができる。曲率半径R1を有する半径方向外側カムトラック22と、曲率半径R2を有する半径方向内側カムトラック22’と、があり、R2はR1よりも小さい。第1のカムフォロア36が半径方向外側カムトラック22と係合するように位置付けられ、第2のカムフォロア36’が半径方向内側カムトラック22’と係合するように位置付けられる。半径方向外側および半径方向内側カムトラックは、対応する一対のカムフォロア36、36’と共に、ロータの角変位の関数として実質的に同一の軸方向変位プロファイルを画定することができる。半径方向内側および半径方向外側カムトラックの同心の半径方向位置は、半径方向外側カム突出部36が半径方向外側カムトラック22のみと係合し、半径方向内側カム突出部36’が半径方向内側カムトラック22’のみと係合することを確実にする。
【0037】
好ましい実施形態では、半径方向内側カムトラックは、半径方向外側カムトラックに直径方向に対向しており、これにより、対応する一対のカムフォロアと係合する一対のカムトラックが、ロータ6の安定性を増大させる。特に、ロータ上の付勢機構9によって加えられる付勢力Fは、ロータ軸Aと整列し、従って対応するカムトラック上のカムフォロアの反力によりオフセットされる、結果として生じる力を発生する。このオフセット力は、ロータを傾斜させる傾向にあるモーメントを発生させ、したがって摩擦の増加、および場合によっては望ましくない振動をもたらす。一対のカムトラック22、22’および対応するカムフォロア36、36’は、ロータ上の傾斜モーメントを著しく減少させて安定性を改善し、振動および摩耗の潜在的な問題を減少させる一対の直径方向に対向したカム接触点を提供する。
【0038】
しかしながら、本発明の範囲内で、カムシステムは、ロータの傾斜を低減するために複数のロータ支持点を提供する目的で、3つ以上のカムトラック、例えば、3つまたは4つのカムトラックと、3つまたは4つの関連するカムフォロアと、を含み得、それぞれが360°にわたって展開される実質的に同一のプロファイルを画定することに留意されたい。様々なカムトラックは、各カムフォロアが1つの関連するカムトラックにのみ係合するように、異なる半径上にあることができる。カムトラックおよびカムフォロアは、ロータ軸の周りに均等に角度的に離間することができる(例えば、3つのカムトラックでは120°ごと)。
【0039】
特に
図5を参照すると、カムトラック22、22’のプロファイルは、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30からバルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28まで延びる斜面の形態の取り入れセクション32を含む。したがって、取り入れセクション32とカムフォロアとの係合は、入口バルブV1が開いていて出口バルブV2が閉じている間に、ロータの軸方向変位を引き起こし、ポンプチャンバ8を満たす。ポンプチャンバ8がいっぱいになると、入口バルブV1は閉じ、出口バルブV2は、ポンプサイクルの排出段階前に、ある角度範囲にわたって閉じたままである。したがって、入口バルブおよび出口バルブの両方が同時に開くことがないことを確実にするために、入口バルブおよび出口バルブの両方が、定められた角度範囲にわたって閉じられ、したがって、ポンプロータが静止しているときに液体がポンプを通過する状況が妨げられる。排出段階の開始時に、出口バルブV2は開き、一方、入口バルブV1は閉じたままであり、カムトラックの排出セクション34はカムフォロアに係合する。排出セクション34は、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28からバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30へのロータの軸方向変位を引き起こす排出斜面部分34aを含む。
【0040】
本発明の一態様によれば、排出セクション34は、少なくとも1つの排出保留位置34を備えている。排出保留位置34bは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28とバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30との間の中間の角度および軸方向位置に位置付けられ、ロータ6を停止させ、中間位置に安定して保持することを可能にする。
【0041】
したがって、
図5に示す実施形態では、ポンプサイクルの全容量を2つの部分送達増分で投与するために、液体の送達を2つの部分送達段階に分割することができる。
【0042】
変形例では、ポンプサイクルの全容量を3つ以上の部分送達増分で投与するために、2つ以上の排出保留位置が提供されてもよい。
図6aおよび
図6bの例に図示されているように、カムトラックの排出セクションは、排出斜面部分34aによって分離された2つの排出保留位置34bを備えており、したがって、ポンプサイクルの全排出容量の3つの部分送達増分を規定している。
【0043】
有利には、全ポンプサイクル容量の一部を正確かつ確実に段階的に送達するために1つ以上の排出保留位置34bを備えた排出セクション34は、非常に少量の用量の液体を経時的に増分で送達することを可能にする。全ポンプサイクルの部分的送達の段階でマイクロポンプを操作することは、ある期間にわたって液体薬物の投与速度を制御するために特に有用であり得る。これは、例えば、(例えば、基本比率を送達するために)薬物の制御されたゆっくりとした準連続的な送達をシミュレートすることを可能にする。ポンプサイクル容量のこのような部分送達は、例えば複数のポンプサイクルにポンプサイクルの一部を加えたものに対応する、正確な量の液体の非常に正確な送達にも有用であり得る。例えば、全ポンプサイクル送達容量が2μLであり、カムトラックが、
図5に例示されているように、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28とバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30との間の軸方向の中間に1つの排出保留位置34bを有する場合(すなわち、2つの部分送達段階)、奇数の整数に対応する容量を送達することができる。例えば、7μLを送達するために、ポンプは、ロータを3回回転させ、次いで、カムフォロアが4回目の回転中に排出保留位置34bに係合したときにロータを停止させることによって、3.5のポンプサイクル容量を送達するように動作され得る。
【0044】
有利な実施形態では、排出保留位置34bは、回転軸Aに本質的に直交する表面を画定するプラトーを含むことができる。排出保留部分34bの角度円弧長は、ステータに対するロータの角度停止位置に対してある程度の許容度を有する正確な中間軸方向位置(排出される体積を画定する)を提供するために、少なくとも15度にわたって有利に延びることができる。
【0045】
変形例では、排出斜面部分34aは、ステータに対するロータの逆転(逆転は、通常のポンピング動作に対応する正転とは反対である)を可能にする傾斜を備えて構成されてもよい。ロータの逆転は、薬物再構成のための双方向流、薬物送達装置の針の後退を作動させるためのロータの逆動、または他の特別な動作を含む、ポンプの特別な動作に有用であり得る。排出斜面部分34aの傾斜は、好ましくは、約45度以下の、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28またはバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30に対する角度βを有する。それにもかかわらず、ロータの逆転が提供されない変形例では、排出斜面部分34aは、45度~90度の、チャンバ-フルセクション28およびチャンバ-空セクション30に対する角度を有することができる。
【0046】
カムフォロア36、36’は、有利には、面取りされた前方先導角部38aを、逆転を可能にする変形例では、面取りされた逆の先導角部38bを備えて、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28およびバルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30ならびに排出保留位置34bによって画定されるプラトーから後続の斜面部分に進むときに、関連するカムトラック22、22’上のカムフォロア36、36’の滑らかな移行を確実にすることができる。
【0047】
直径方向に対向したカムフォロア36、36’および関連する直径方向に対向したカムトラック22、22’は、曲率半径R1、R2について調整された、360度の回転にわたって展開されたときの同一の係合プロファイルを備えることができる。
【0048】
本発明の実施形態では、回転駆動部3のモータ5は、有利には、カムトラック22の排出セクション34の角度範囲よりも小さい増分だけ角度的に分離されたステップを含むステッパモータの形態であってもよい。ステッパモータによって係合されたロータ6は、カムフォロアがカムトラックの排出セクションに沿って係合されている間にロータを停止し保持するために、ステッパモータの選択されたステップで停止させることができる。したがって、例えば、
図7に示すように、1つ以上の中間排出保留位置34bが、ポンプサイクルの全容量の一部を送達するためにモータのステップによって規定され得る。ステッパモータと、ステッパモータとロータ6との間の任意の減速ギアシステムとは、規定された排出保留位置34bの間の複数の位置を含み得ることに留意されたい。回転駆動部は、ステータに対するロータ6の軸方向変位を測定するためのストロークセンサ(図示せず)を含み得る。ストロークセンサは、光学的もしくは磁気的位置センサ、またはそれ自体が位置検出の技術分野で周知である、他の既知の位置センサを含み得る。ストロークセンサは、ステッパモータを制御するために、特に、選択された排出保留位置で停止させるために、回転駆動部の制御電子機器に接続することができる。ストロークセンサは、マイクロポンプの動作不良を検出する役割を果たすこともできる。
【0049】
変形例では、マイクロポンプは、プラトーを含む排出保留位置34bと、さらなる中間排出保留位置を規定するためのマイクロポンプの回転駆動部内のステッパモータの制御との組み合わせを含むことができる。
【0050】
〔図示された特徴部のリスト〕
マイクロポンプ1
ポンプモジュール2(使い捨て部品)
ステータ4
入口14
出口16
第1のバルブV1
第1のバルブシール18
第2のバルブV2
第2のバルブシール20
ポンプチャンバシール21
カムシステム
カムフォロア36、36’
ロータ6
ロータヘッド10
伝送入力カプリング
カムシステム
カムトラック22、22’
半径方向外側カムトラック22
曲率半径R1
半径方向内側カムトラック22’
曲率半径R2
(R2<R1)
ロータシャフト12
第1の延長部(第1の直径D1を有する)24
第1のチャネル42
第2の延長部(第2の直径D2を有する)26
第2のチャネル44
ポンプチャンバ8
軸方向変位システム
付勢機構9
カムトラック22、22’
バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション28
バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション30
取り入れセクション32
排出セクション34
排出斜面部分34a
排出保留部分34b
カムフォロア36、36’
先導角部38a、38b
回転駆動部3(再利用可能部品)
モータ5
ステッパモータ
カプリング7
付勢機構9
ストロークセンサ
【0051】
〔実施の態様〕
(1) マイクロポンプにおいて、
ステータ(4)と、
少なくとも部分的に前記ステータ内にスライド可能かつ回転可能に装着されたロータ(6)であって、前記ロータは、第1の直径(D1)を有する第1の軸方向延長部(24)と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径(D2)を有する第2の軸方向延長部(26)と、を含む、ロータと、
前記第1の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第1のバルブシール(18)によって形成された第1のバルブ(V1)であって、前記第1のバルブが開位置にあるときに前記第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第1のチャネル(42)と関連する、第1のバルブと、
前記第2の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第2のバルブシール(20)によって形成された第2のバルブ(V2)であって、前記第2のバルブが開位置にあるときに前記第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第2のチャネル(44)と関連する、第2のバルブと、
前記ロータと前記ステータとの間および前記第1のバルブシールと前記第2のバルブシールとの間に形成されたポンプチャンバ(8)と、
前記ロータの回転の関数として前記ステータに対して前記ロータを軸方向に変位させるように、前記ロータまたは前記ステータのうちの一方にカムトラック(22、22’)を、前記ロータまたは前記ステータのうちの他方にカムフォロア(36、36’)を含むカムシステムと、
を含み、
前記カムトラックは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)、取り入れセクション(32)、および排出セクション(34)を含み、
前記排出セクションは、排出段階中にポンプサイクル容量を部分的に送達するために、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションと前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションとの間の中間軸方向位置を規定する排出保留位置(34b)を含むことを特徴とする、マイクロポンプ。
(2) 前記排出保留位置(34b)は、前記ロータ(6)の回転軸(A)に実質的に直交するプラトーを含む、実施態様1に記載のマイクロポンプ。
(3) 前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも15度の角度円弧にわたって延在する、実施態様2に記載のマイクロポンプ。
(4) 前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも20度の角度円弧にわたって延在する、実施態様3に記載のマイクロポンプ。
(5) 前記カムフォロアは、面取りされた先導角部(38a、38b)を含む、実施態様1から4のいずれかに記載のマイクロポンプ。
【0052】
(6) 前記排出部分は、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)および前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)に対して45度未満の角度(β)で傾斜した排出斜面部分(34a)を含む、実施態様1から5のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(7) 前記排出セクションは、前記排出セクションを、ポンプチャンバ-フル位置とポンプチャンバ-空位置との間の全軸方向変位の実質的に等しいサブユニットに分割するように構成された、軸方向位置における1つまたは2つの排出保留位置(34b)を含む、実施態様1から6のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(8) 前記ポンプモジュールは、前記ロータを停止させ、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)と前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)の中間の排出保留位置に保持することができる、ステッパ位置を有するステッパモータを含む回転駆動部に連結され、前記排出保留位置は、前記ステッパ位置の整数倍に対応する、実施態様1から7のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(9) 前記カムトラックは、前記ロータのヘッド(10)に装着され、前記カムフォロアは、前記ステータに装着されている、実施態様1から8のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(10) 前記カムシステムは、半径方向外側カムトラック(22)および関連する半径方向外側カムフォロア(36)、ならびに半径方向内側カムトラック(22’)および関連する半径方向内側カムフォロア(36)を含む、少なくとも2つのカムトラック(22,22’)および関連するカムフォロア(36、36’)を含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向し、360度にわたって展開された同じカムプロファイルを画定する、実施態様9に記載のマイクロポンプ。
【0053】
(11) 前記カムシステムは、2つのカムトラックを含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向している、実施態様10に記載のマイクロポンプ。
(12) マイクロポンプにおいて、
ステータ(4)と、
少なくとも部分的に前記ステータ内にスライド可能かつ回転可能に装着されたロータ(6)であって、前記ロータは、第1の直径(D1)を有する第1の軸方向延長部(24)と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径(D2)を有する第2の軸方向延長部(26)と、を含む、ロータと、
前記第1の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第1のバルブシール(18)によって形成された第1のバルブ(V1)であって、前記第1のバルブが開位置にあるときに前記第1のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第1のチャネル(42)と関連する、第1のバルブと、
前記第2の軸方向延長部の周りで前記ステータ上に装着された第2のバルブシール(20)によって形成された第2のバルブ(V2)であって、前記第2のバルブが開位置にあるときに前記第2のバルブシールを横切る液体連通を可能にするように構成された前記ロータ内の第2のチャネル(44)と関連する、第2のバルブと、
前記ロータと前記ステータとの間および前記第1のバルブシールと前記第2のバルブシールとの間に形成されたポンプチャンバ(8)と、
前記ロータの回転の関数として前記ステータに対して前記ロータを軸方向に変位させるように、前記ロータまたは前記ステータのうちの一方にカムトラック(22、22’)を、前記ロータまたは前記ステータのうちの他方にカムフォロア(36、36’)を含むカムシステムと、
を含み、
前記カムトラックは、バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)、バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)、取り入れセクション(32)、および排出セクション(34)を含み、
前記カムシステムは、半径方向外側カムトラック(22)および関連する半径方向外側カムフォロア(36)、ならびに半径方向内側カムトラック(22’)および関連する半径方向内側カムフォロア(36)を含む、少なくとも2つのカムトラック(22,22’)および関連するカムフォロア(36、36’)を含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、360度にわたって展開された同じカムプロファイルを画定することを特徴とする、マイクロポンプ。
(13) 前記カムシステムは、2つのカムトラックを含み、前記半径方向外側カムトラックと前記半径方向内側カムトラックは、互いに直径方向に対向している、実施態様12に記載のマイクロポンプ。
(14) 前記排出セクションは、排出段階中にポンプサイクル容量を部分的に送達するために、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクションと前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクションとの間の中間軸方向位置を規定する排出保留位置(34b)を含む、実施態様12または13に記載のマイクロポンプ。
(15) 前記排出保留位置(34b)は、前記ロータ(6)の回転軸(A)に実質的に直交するプラトーを含む、実施態様14に記載のマイクロポンプ。
【0054】
(16) 前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも15度の角度円弧にわたって延在する、実施態様15に記載のマイクロポンプ。
(17) 前記排出保留位置(34b)の前記プラトーは、少なくとも20度の角度円弧にわたって延在する、実施態様16に記載のマイクロポンプ。
(18) 前記カムフォロアは、面取りされた先導角部(38a、38b)を含む、実施態様12から17のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(19) 前記排出セクションは、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)および前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)に対して45度未満の角度(β)で傾斜した排出斜面部分(34a)を含む、実施態様12から18のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(20) 前記排出セクションは、前記排出セクションを、ポンプチャンバ-フル位置とポンプチャンバ-空位置との間の全軸方向変位の実質的に等しいサブユニットに分割するように構成された、軸方向位置における1つまたは2つの排出保留位置(34b)を含む、実施態様12から19のいずれかに記載のマイクロポンプ。
【0055】
(21) 前記ポンプモジュールは、前記ロータを停止させ、前記バルブ-閉鎖・チャンバ-フルセクション(28)と前記バルブ-閉鎖・チャンバ-空セクション(30)の中間の排出保留位置に保持することができる、ステッパ位置を有するステッパモータを含む回転駆動部に連結され、前記排出保留位置は、前記ステッパ位置の整数倍に対応する、実施態様12から20のいずれかに記載のマイクロポンプ。
(22) 前記カムトラックは、前記ロータのヘッド(10)に装着され、前記カムフォロアは、前記ステータに装着されている、実施態様12から21のいずれかに記載のマイクロポンプ。