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特許7047107炭化水素をリフォーミングするための改質USY型ゼオライト触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】炭化水素をリフォーミングするための改質USY型ゼオライト触媒
(51)【国際特許分類】
   C10G 35/095 20060101AFI20220328BHJP
   B01J 29/12 20060101ALI20220328BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20220328BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220328BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220328BHJP
   B01J 29/89 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
C10G35/095
B01J29/12 M
B01J29/08 M
B01J35/10 301A
B01J37/04 102
B01J29/89 M
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020540777
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2018064001
(87)【国際公開番号】W WO2019147345
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】15/877,788
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オマー・レファ・コセオグル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピーター・ホジキンズ
(72)【発明者】
【氏名】アリ・エイチ・アルシャレフ
(72)【発明者】
【氏名】内田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光徳
(72)【発明者】
【氏名】仁田 健次
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05185484(US,A)
【文献】特表2013-512317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 35/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素供給原料を改質する方法であって、430℃~600℃の反応温度、1~50バールの圧力、0.5~5h-1のLHSV、及び1:1~50:1の水素と供給原料の比にて、前記供給原料を改質触媒と接触させることを含む方法であって、前記改質触媒が超安定(US)Y型ゼオライトを含む担体に担持された改質金属を含み、前記USY型ゼオライトの骨格のアルミニウム原子の一部が、ジルコニウム、チタン、及びハフニウム原子のうちの少なくとも1つで置換されており、
前記改質触媒は、USY型ゼオライトの骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム、チタン、及びハフニウム原子のうちの1又は複数で置換されているUSY型ゼオライト、結合剤、及び改質金属の懸濁液を形成することによって調製されている、方法。
【請求項2】
前記USY型ゼオライトが、酸化物を基準にして計算して、0.1~5質量%のジルコニウム原子及びチタン原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超安定(US)Y型ゼオライトを含む前記担体が、アルミナ、シリカ、又はそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記USY型ゼオライトが、
(a)2.425~2.450nmの結晶格子定数、
(b)600~900m/gの比表面積、及び
(c)5~100の、Alに対するSiOのモル比、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記改質触媒が、200~450m/gの比表面積、及び0.40~1.00ml/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記改質触媒が、0.01~1.0質量%の改質金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記改質金属が貴金属を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記貴金属がRu、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、又はAuである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記貴金属がPtである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記改質触媒が、50質量%未満のUSY型ゼオライトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記改質触媒が、1~10重量%のUSY型ゼオライトを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記改質触媒が、1~5質量%のUSY型ゼオライトを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記USY型ゼオライトが、V、Zn、Ga、Li、Ca、又はMgを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応温度が430℃~550℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記の水素と供給原料の比が1:1~30:1の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記供給原料を固定床反応装置中で改質することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記固定床反応装置が半再生固定床反応装置である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炭化水素供給原料をサイクリック固定床改質装置中で改質することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
連続改質装置中で前記炭化水素供給原料を改質することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
触媒置換反応装置中で前記炭化水素供給原料を改質することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記炭化水素供給原料が36~250℃の沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格置換ゼオライトYを含む、炭化水素油の接触改質(リフォーミング)のための触媒であって、その骨格置換ゼオライトYにおいて、ジルコニウム原子及び/又はハフニウム原子及び/又はチタン原子が超安定Y型ゼオライトの骨格の一部を形成している触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
接触改質は、石油精製及び石油化学産業における主要な変換プロセスである。改質プロセス(リフォーミングプロセス)は、例えば原油から蒸留された低オクタン価ナフサを、ガソリン混合に使用される高オクタン価改質油、及び芳香族生産に使用される芳香族リッチ改質油へと変換する触媒プロセスである。基本的には、このプロセスは、ナフサ原料中の炭化水素分子を再転位又は再構築し、一部の分子をより小さな分子へと分解する。接触改質に向けたナフサ原料には、重質直留ナフサが含まれる。そのプロセスは、低オクタン価ナフサを、高オクタン価自動車ガソリン混合原料、並びにベンゼン、トルエン、及びキシレンが豊富な芳香族化合物に変換し、副生成物として水素及び液化石油ガスを伴う。芳香族化合物の需要と高オクタン価物の需要の急増に伴い、接触改質は、石油工業及び石油化学工業において最も重要な単位プロセスの1つであり続けると思われる。当業者によく知られている様々な商業的接触改質プロセスがある。
【0003】
原油から有用な生成物を調製することの重要性を考えると、接触改質プロセスに関する重要な文献があることは驚くべきことではない。
【0004】
Santilliの米国特許第4,698,322号明細書は、(i)Pt、(ii)L型ゼオライト、及び(iii)Fe、Co、又はTiであることができる「促進剤(プロモーター)」を含有する改質触媒を教示している。 Ptとプロモーターの比率は10未満:1である。この「プロモーター」は、ゼオライト骨格には挿入されず、これは、いずれにしても、USY型ゼオライトとは異なる。いかなるバインダーもまた開示されていない。
【0005】
Skeelsの米国特許第5,271,761号明細書は、ゼオライトYモレキュラーシーブを教示している。USYとゼオライトYはどちらもFAU骨格を有する一方で、それらは組成及び特性が異なることを当業者は認識している。'761特許は、TiO、AlO、及びSiOのモル分率、並びにSi/Ti比及び(Si+Al)/Ti比についても記載しているが、それらは本明細書に記載した本発明の範囲内ではない。
【0006】
また、固体酸、周期表の第III族又は第IV族の元素、及び第VIII族の金属堆積物を使用する改質プロセスを教示している、Lawrenceらの米国特許第5,690,810号明細書も参照されたい。また、Al-Muhaishらの米国特許第9,499,403号明細書、Inuiらの米国特許第8,008,226号明細書及び米国特許第7,700,005号明細書も参照されたい。
【0007】
米国特許第9,512,371号明細書は、TiをFAUゼオライトに組み込み、その後、水素化分解触媒としてそれを使用することを記載している。 そのAl/Siの質量%比は0.14~0.35の範囲であり、これは本発明の範囲のかなり外である。
【0008】
ある意味では、接触水素化分解は、改質プロセスの「反対にあるもの」と見なすことができ、なぜなら、前者では、大きな分子が小さな分子へと壊され(「分解され」)され、その一方、改質は、たとえば、出発物質を変換する脱水素化、異性化、アルキル化、及びクラッキング反応によって、分子を高オクタン含有分子に変換するからである。ここでも、水素化分解触媒についての文献は膨大であり、本発明者らは、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第9,221,036号明細書に注目することを望む。この’036特許は、とりわけ、USY骨格が、部分的に、ジルコニウム、チタン、及びハフニウムのうち1つ以上によって置換されている水素化分解触媒を教示している。これらの触媒では、その金属(Ti、Zr、及び/又はHf)は、アルミニウム/シリカ骨格中のアルミニウムの一部と置き換わり、本質的に骨格の一部になる。これらの触媒の製造方法及びその使用は、全てこの '036特許に記載されている。下の例1及び2は、実際にはこの特許からとったものである。
【0009】
ゼオライト系触媒は、接触分解(クラッキング)において機能するために十分な酸性度を提供し、これは水素化分解において望ましい。対照的に、これらの反応は改質反応(リフォーミング)においては非常に望ましくないので、新しい改質触媒を開発する目標は、触媒組成物の酸性度を低下させることである。
【0010】
さらに、水素化分解(ハイドロクラッキング)に使用される特徴的な金属は、Ni、Mo、及びWの、単独又は好ましくはこれらを組み合わせたものである。このような金属は改質(リフォーミング)触媒では避けられ、改質触媒は貴金属の存在によって特徴づけられる。さらなる基本的な違いは、水素化分解及び改質反応が行われる温度であり、後者のタイプの反応は、水素化分解において用いられる温度よりもはるかに高い500℃以上の温度を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第4,698,322号明細書
【文献】米国特許第5,271,761号明細書
【文献】米国特許第5,690,810号明細書
【文献】米国特許第9,499,403号明細書
【文献】米国特許第8,008,226号明細書
【文献】米国特許第7,700,005号明細書
【文献】米国特許第9,512,371号明細書
【文献】米国特許第9,221,036号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
改質プロセス(リフォーミング)及び水素化分解(ハイドロクラッキング)において使用される異なる反応剤、及びその異なる目的を考えると、水素化分解(ハイドロクラッキング)触媒が変性されて改質(リフォーミング)触媒になることができることは驚くべきことである。それにもかかわらす、これは本発明の主題であり、これについては以下の開示において詳しく述べる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、改質(リフォーミング)プロセスにおいて有用な触媒を含み、ここで超安定Y型(以下「USY」)ゼオライトは、その骨格中にジルコニウム、チタン、及びハフニウムのうち1以上を組み込むように置換された骨格であり、さらにまた、その中に改質プロセス金属、例えば、Pt、Rh、又はPdを含浸させている。任意選択により場合によっては、その改質触媒(リフォーミング触媒)は、金属、例えば、V、Zn、Ga、Li、Ca、Mg、又は希土類金属を包含又は含有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の触媒の基本成分であるUSY型ゼオライトは、その酸化物を基準にして計算して0.1~5質量%の、Zr、Ti、及びHfのうちの1つ又は複数を含む。この改質金属(リフォーミング金属)は、得られる触媒組成物の0.01~1質量%、好ましくは0.1~0.4質量%の量で存在する。Zr、Ti、及びHfを供給する個々の材料の量は0.1質量%未満であるが、組み合わせた場合に、その合計は少なくとも0.1質量%である。
【0015】
全体として、触媒組成物は、結合剤(バインダー)、例えばアルミナ結合剤、USY型ゼオライト、及び前述の金属を含む。USY型ゼオライトの量は50質量%を超えるべきではなく、全組成物の好ましくは1~10、より好ましくは1~5、最も好ましくは2~3質量%である。
【実施例
【0016】
<例1>
超安定Y型ゼオライトの製造
最初に、5.2のSiO2/Al2O3モル比、2.466 nmの単位格子寸法(UD)、720 m2/gの比表面積(SA)、及び13.0質量%のNa2O含有量を有するNaY型ゼオライト(以下、「NaY」ともいう)50.0 kgを、60℃の温度を有する500リットル(以下、「L」と表す)の水の中に懸濁させた。次に、そこへ硫酸アンモニウム14.0 kgを添加した。得られた懸濁液を70℃において1時間撹拌し、ろ過した。得られた固体を水で洗浄した。次に、その固体を、60℃の温度を有する水500L中に硫酸アンモニウム14.0 kgを溶かした硫酸アンモニウム溶液で洗い、60℃の温度を有する水500 mLで洗い、130℃において20時間乾燥させて、NaY中に含まれるナトリウム(Na)の65%がアンモニウムイオン(NH4 +)でイオン交換されたY型ゼオライト(NH4 65Y)約45 kgが得られた。NH4 65Y中のNa2Oの含有量は4.5質量%だった。
【0017】
NH4 65Y 40 kgを、670℃において1時間、飽和水蒸気雰囲気中で焼成して、水素Y型ゼオライト(HY)を形成させた。HYを60℃の温度を有する水400 L中に懸濁させた。次に、そこへ硫酸アンモニウム49.0 kgを添加した。得られた混合物を90℃において1時間撹拌し、60℃の温度を有する水200 Lで洗浄した。その混合物を次に130℃において20時間乾燥させて、最初のNaY中に含まれていたNaの95%がNH4でイオン交換されたY型ゼオライト(NH4 95Y)約37 kgが得られた。NH4 95Y 33.0 kgを650℃において1時間、飽和水蒸気雰囲気中で焼成して、5.2のSiO2/Al2O3モル比と、0.60質量%のNa2O含有量を有する超安定Y型ゼオライト(以下、「USY (a)」ともいう)約15 kgを得た。
【0018】
次に、このUSY (a) 26.0 kgを、60℃の温度を有する水260 L中に懸濁させた。その懸濁液に、25質量%硫酸 61.0 kgを徐々に添加した後、その懸濁液を70℃において1時間撹拌した。その懸濁液をろ過した。得られた固体を60℃の温度を有する脱イオン水 260 Lで洗浄し、130℃において20時間乾燥させて、超安定Y型ゼオライト(以下、「USY (b)」ともいう)を得た。
【0019】
USY (b)を600℃において1時間焼成して、約17 kgの超安定Y型ゼオライト(以下、「USY (c)」ともいう)を得た。
【0020】
<例2>
例1で得られたUSY (c) 1 kgを25℃において10 Lの水の中に懸濁させ、その液のpHを、25質量%の硫酸によって1.6に調節した。18質量%の硫酸ジルコニウム(86 g)及び33質量%の硫酸チタニル(60 g)を添加し且つ混合し、その懸濁液を室温にて3時間攪拌した。次に、15質量%のアンモニア水を添加することによって、そのpHを7.2に調節し、その懸濁液を室温で1時間攪拌し、次にろ過した。得られた生成物を10 Lの水で洗浄し、130℃において20時間乾燥させて、約1 kgのジルコニウム/チタン置換型ゼオライト(以下、「USY (E)」という)を得た。分析は、そのUSYが0.8重量%のTiO2と、合計1.39重量%のTiO2及びZrO2を含むことを示した。
【0021】
<例3>
この例は、本発明に従って調製された触媒を提示する。
【0022】
担体としての95重量%のアルミナ結合剤と、上記の例2に従って調製した、骨格に挿入されたTi-Zr-USY 5重量%とを混合することによって、触媒担体を調製した。次に、この担体 600gを1.9質量%のPtを含むテトラアンミンPtの溶液と混合することによって、担体にPtを含侵させた。(この溶液は、63 gのテトラアンミン白金を水に溶かすことによって調製した)。これは、触媒担体にPtを含浸させるという役目を果たした。生成物を次に120℃において1時間、空気で乾燥させ、400℃において1時間焼成した。分析は、0.2 質量%のPtが担体に含浸されていることを示した。
【0023】
この例では説明していないが、調製された混合物は、触媒担体(例えば、アルミナ、シリカ、又はそれらの混合物、あるいは当技術分野で公知の任意の触媒担体)と混合され、次に室温で押出しされ、その後、乾燥及び焼成されうる。混合及び押出しは、当業者によく知られているのはもちろんのこと、上記の '036特許を見直すことによってもわかる。
【0024】
<例4>
例3で調製された触媒を、16日間にわたって行ったパイロット試験において使用した。 さまざまなパラメーターの影響を見極めるために、条件を変えた。パイロットプラントは、510℃において、6~8バールの圧力範囲で、1.0~1.5 h-1の液空間速度範囲、及び3.5~5.0の、炭化水素に対する水素比の範囲で運転した。表1は、試験原料の組成を示している。表2は、最終結果を示している。「フィード」は、もちろん、供給原料の組成を示している。「市販品」は市販されている触媒をいい、「CAN-22」は例3の触媒である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
上の例は、改質触媒、改質触媒を作るためのプロセス、及びその使用を含む本発明の実施形態を示している。
【0028】
本発明の改質触媒は、アルミニウムの一部がZr及びTiで置換され且つ改質金属(リフォーミング金属)が添加された骨格をもつ、超安定(「US」)Y型ゼオライトを含む組成物である。この改質金属は、好ましくは、触媒の総質量の0.01~1.0質量%の量で添加される。本明細書で使用される「改質金属」の語は、貴金属、すなわち、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、及びAuを包含し、Pt及びPdが好ましい。任意選択により、ゼオライトの骨格は、V、Zn、Ga、Li、Ca、Mg、及び希土類元素のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0029】
触媒中のUSY型ゼオライトの実際の量は、50質量%未満であるが、好ましくは1~10質量%、好ましくは1~5質量%、最も好ましくは2~3質量%と低い。’036特許におけるのと同様に、使用されるZr、Ti、Hf、及びその他の任意選択による金属は、ゼオライト基本成分の0.1~5質量%の範囲の量で存在してよい。改質触媒のゼオライトの他の特徴には、2.425~2.450nm、好ましくは2.430~2.450nmの結晶格子定数、600m/g~900m/gの比表面積、及び、一般に5:1~100:1、好ましくは20:1~100:1の範囲のSiO対Alのモル比が含まれる。これらの改質触媒は、好ましくは、200~450m/gの比表面積、及び0.4~1.00ml/gの細孔容積を有する。
【0030】
ゼオライト成分の触媒組成物は、好ましい実施形態では、0.25~1.25質量%のTiOを含む。好ましくは、それは0.75~1.0質量%のTiOを含み、最も好ましくは0.8質量%のTiO(これは0.01モル%のTiOに相当する)を含む。
【0031】
本発明の触媒は、本質的に、上で援用した米国特許第9,221,036号明細書に記載された方法を用いて製造され、それにより、例2のUSY型ゼオライトを懸濁液に入れ、好ましくは、 5~15の液体/固体質量比を有する懸濁液を形成し、その後、好ましくはその懸濁液を1~2のpHにするように酸を添加し、その後、Zr及びTiを添加して混合した後で中和する。得られた物質を結合剤(バインダー)、例えば、アルミナ結合剤と混合し、そこに貴金属の溶液を添加することによって貴金属を含浸させ、続いて乾燥及び焼成する。
【0032】
使用においては、本発明の改質触媒を、400℃~600℃、好ましくは430℃~600℃、最も好ましくは430~550℃の反応温度、及び1バール~50バールの圧力、及び0.5~5h-1のLHSV(液空間速度)、及び1:1~50:1、好ましくは1:1~30:1の水素対炭化水素フィード比で、36~250℃の範囲の沸点を有する炭化水素原料と接触させる。様々な方法、例えば、固定床反応装置、触媒置換反応装置、半再生固定床反応装置、サイクリック固定床改質装置、又は連続改質装置を使用することができる。
【0033】
本発明の他の特徴は当業者には明らかであり、ここで繰り返す必要はない。
【0034】
使用している用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用において、示されかつ説明された特徴又はその一部の均等物を除外するいかなる意図もない。本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認められる。