(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】4入力ジョセフソンゲート
(51)【国際特許分類】
H03K 19/195 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
H03K19/195
(21)【出願番号】P 2020542013
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 US2019015233
(87)【国際公開番号】W WO2019152282
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パウエル ザ サード、ジャック アール.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、アレクサンダー ルイス
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-529216(JP,A)
【文献】特開2001-251179(JP,A)
【文献】LIKHAREV, K. K. et al.,RSFQ Logic/Memory Family: A New Josephson-Junction Technology for Sub-Terahertz-Clock-Frequency Digital Systems,IEEE TRANSACTION ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY,米国,IEEE,1991年03月,VOL. 1, NO.1,3-28
【文献】MAEZAWA, M. et al.,Pulse-Driven Dual-Rail Logic Gate Family Based on Rapid Single-Flux-Quantum (RSFQ) Devices for Asynchronous Circuits,Proceedings Second International Symposium on Advanced Reserch in Asynchronous Circuits and Systems,米国,IEEE,1996年03月18日,134-142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00-19/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4入力ジョセフソンゲート回路であって、
正の単一磁束量子(SFQ)パルスの受信に基づいてアサートされるように各々構成された4つの論理入力を有する第1の段であって、第1、第2、第3、および第4の論理入力ストレージループを含み、各論理入力が前記論理入力ストレージループの1つに関連付けられており、各論理入力ストレージループが2つのジョセフソン接合(JJ)とストレージインダクタとを含む、前記第1の段と、
第5および第6のストレージループと出力とを含み、前記第1の段からの信号を受信し、前記出力に出力信号を生成するように構成された第2の段と、
前記第1および第2の論理入力ストレージループと前記第5のストレージループとに共通の第1の論理決定JJであって、前記第1および第2の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第1のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされるように構成された前記第1の論理決定JJと、
前記第3および第4の論理入力ストレージループと前記第6のストレージループとに共通の第2の論理決定JJであって、前記第3および第4の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第2のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされるように構成された前記第2の論理決定JJと、
前記第5および第6のストレージループに共通の第3の論理決定JJであって、前記第5および第6のストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第3のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされることにより前記出力をアサートするように構成された前記第3の論理決定JJと、
を備える4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項2】
前記第2の段がさらに、前記第3の論理決定JJのトリガ解除に基づいて前記出力をデアサートするように構成されている、請求項1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項3】
前記4入力ジョセフソンゲート回路が前記4つの論理入力すべてのアサートに基づいて前記出力をアサートするように構成されている、請求項1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項4】
前記4入力ジョセフソンゲート回路が前記論理入力のいずれか1つ以上のアサートに基づいて前記出力をアサートするように構成されている、請求項1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項5】
前記4入力ジョセフソンゲート回路が、
前記論理入力のうち第1の論理入力と第2の論理入力の両方のアサートと、
前記論理入力のうち第3の論理入力と第4の論理入力の両方のアサートと、
の少なくとも一方に基づいて前記出力をアサートするように構成されている、請求項1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項6】
前記4入力ジョセフソンゲート回路が、
前記論理入力のうち第1の論理入力と第2の論理入力の少なくとも一方のアサートと、
前記論理入力のうち第3の論理入力と第4の論理入力の少なくとも一方のアサートと、の両方に基づいて前記出力をアサートするように構成されている、請求項1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項7】
前記第1の段は、前記第1の論理決定JJを含む第1の非入力ストレージループと、前記第2の論理決定JJを含む第2の非入力ストレージループとをさらに含み、前記第1および第2の非入力ストレージループは2つの論理入力のいずれからも信号を受信せず、前記第1の段の各非入力ストレージループは、システム起動時に当該対応する非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、請求項
1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項8】
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、システム起動時に当該第3の非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、請求項7に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項9】
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、前記第3の論理決定JJと回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、請求項7に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項10】
前記第1の段は、前記第1の論理決定JJを含む第1の非入力ストレージループと、前記第2の論理決定JJを含む第2の非入力ストレージループと、をさらに含み、前記第1および第2の非入力ストレージループは2つの論理入力のいずれからも信号を受信せず、前記第1の段の各非入力ストレージループは、当該非入力ストレージループの対応する論理決定JJと回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、請求項
1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項11】
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、システム起動時に当該第3の非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、請求項10に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項12】
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、前記第3の論理決定JJと前記回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、請求項10に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
【請求項13】
論理値を決定する方法であって、
1つ以上の正の単一磁束量子(SFQ)パルスを供給して、4つの論理入力を有するレシプロカル量子論理(RQL)ゲートの1つ以上の論理入力をアサートすること、
前記正のSFQパルスを供給することに基づいて、4つの入力ストレージループを有する前記RQLゲート内の1つ以上の当該入力ストレージループに1つ以上の正の電流を流すこと、
前記正の電流を流すことに基づいて、前記RQLゲート内の3つの論理決定ジョセフソン接合(JJ)のうちの第1の論理決定JJをトリガすること、
前記第1の論理決定JJをトリガすることに基づいて、前記RQLゲート内のカスケード接続された論理決定JJをトリガすること、
前記カスケード接続された論理決定JJをトリガすることに基づいて、前記RQLゲートの出力からアサート信号を伝播すること、
を備える方法。
【請求項14】
前記伝播することの後に、
1つ以上の負のSFQパルスを供給して、前記論理入力のうちの1つ以上をデアサートすること、
前記1つ以上の負のSFQパルスを供給することに基づいて、前記入力ストレージループのうちの1つ以上に1つ以上の負の電流を流すこと、
前記1つ以上の負の電流を流すことに基づいて、前記第1の論理決定JJをトリガ解除すること、
前記第1の論理決定JJをトリガ解除することに基づいて、前記カスケード接続された論理決定JJをトリガ解除すること、
前記カスケード接続された論理決定JJをトリガ解除することに基づいて、前記RQLゲートの出力からデアサート信号を伝播すること、
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
AC成分を有する第1のバイアス信号を供給することであって、前記第1の論理決定JJをトリガすることがさらに前記第1のバイアス信号に基づくものである、前記第1のバイアス信号を供給すること、
AC成分を有する少なくとも1つ以上のバイアス信号を供給することであって、前記カスケード接続された論理決定JJをトリガすることがさらに前記少なくとも1つ以上のバイアス信号に基づくものである、前記少なくとも1つ以上のバイアス信号を供給すること、
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、量子および古典的なデジタル超伝導回路に関し、具体的には、4入力ジョセフソンゲートに関する。本出願は、2018年2月1日に出願された米国特許出願第15/886,684号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
デジタル論理の分野において、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術は高度に開発された周知の技術であり、幅広く使用されている。CMOSが技術として成熟しつつあるため、速度、消費電力計算密度、相互接続帯域幅などの点でより高い性能につながり得る代替技術に関心が向けられている。CMOS技術に代わるものとして、超伝導ジョセフソン接合(JJ)を利用し、20ギガビット/秒(Gb/s)以上の典型的なデータ速度で約4ナノワット(nW)の典型的な信号電力を有し、約4ケルビンの動作温度を有する超伝導体ベースの単一磁束量子回路がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施例は、第1の段と第2の段とを備えた4入力ジョセフソンゲート回路を含む。第1の段は4つの論理入力を有し、各論理入力は正の単一磁束量子(SFQ)パルスの受信に基づいてアサートされるように構成されている。第1の段は、第1、第2、第3、および第4の論理入力ストレージループを含む。各論理入力は、論理入力ストレージループの1つに関連付けられている。各ストレージループは、2つのジョセフソン接合(JJ)とストレージインダクタとを含む。第2の段は、第5および第6のストレージループと出力とを含む。第2の段は、第1の段からの信号を受信して、出力に出力信号を生成するように構成されている。第1の論理決定JJは、第1および第2の論理入力ストレージループと第5のストレージループとに共通であり、第1および第2の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第1のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされる。第2の論理決定JJは、第3および第4の論理入力ストレージループと第6のストレージループとに共通であり、第3および第4の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第2のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされる。第5および第6のストレージループに共通の第3の論理決定JJは、第5および第6のストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第3のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいて出力をトリガしアサートする。
【0004】
別の実施例は、4つの論理入力に基づいて論理値を決定する方法を含む。1つ以上の正のSFQパルスが供給されることにより、4つの論理入力を有するレシプロカル量子論理(RQL)ゲートの1つ以上の論理入力がアサートされる。これにより、1つ以上の正の電流がRQLゲート内の1つ以上の入力ストレージループに流れる。RQLゲートは、このようなストレージループを4つ有する。RQLゲート内の3つの論理決定JJのうち第1の論理決定JJがトリガされる。これにより、RQLゲート内のカスケード接続された論理決定JJがトリガされる。これにより、アサート信号がRQLゲートの出力から伝播される。
【0005】
さらに別の実施例は、第1の段と第2の段とを備えた回路を含む。第1の段において、第1および第2の論理入力ジョセフソン伝送線路(JTL)の分岐が第1のダブテールノードで結合して第5の分岐を形成し、第3および第4の論理入力JTLの分岐が第2ダブテールノードで結合して第6の分岐を形成する。各論理入力JTLは、対応する第1のノードにおいて入力JJとストレージインダクタとに接続されたストレージループ入力インダクタを含む。各論理入力JTLのストレージループ入力インダクタ、入力JJ、およびストレージインダクタは、一方向のデータフローを提供するようにサイズ設定されている。第1の論理決定JJは第1のダブテールノードと回路グランドとの間に接続されて、第1および第2の論理入力JTLのそれぞれの入力JJおよびストレージインダクタと第1の論理決定JJとによってそれぞれ第1および第2のストレージループが形成されている。第2の論理ノードJJは第2のダブテールノードと回路グランドとの間に接続されて、第3および第4の論理入力JTLのそれぞれの入力JJおよびストレージインダクタと第2の論理決定JJとによってそれぞれ第3および第4のストレージループが形成されている。第2の段においては、第3の論理決定JJの一方側が、第5および第6の分岐を結合する第3のダブテールノードに接続されており、第3の論理決定JJの他方側が回路アースに接続されている。これにより、第1の論理決定JJと、第5の分岐内の第5のストレージインダクタと、第3の論理決定JJとによって第5のストレージループが形成されている。また、第2の論理決定JJと、第6の分岐内の第6のストレージインダクタと、第3の論理決定JJとによって第6のストレージループが形成されている。この回路は、論理入力JTLにそれぞれ供給されたアサートまたはデアサート論理入力信号に基づいて出力ノードにアサートまたはデアサート論理出力信号を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な4入力ジョセフソンゲートのブロック図。
【
図2B】4入力ANDゲートの論理機能を記号で示した図。
【
図3B】4入力ORゲートの論理機能を記号で示した図。
【
図4A】例示的な4入力AND-ORゲートの回路図。
【
図4B】4入力AND-ORゲートの論理機能を記号で示した図。
【
図5A】例示的な4入力OR-ANDゲートの回路図。
【
図5B】4入力OR-ANDゲートの論理機能を記号で示した図。
【
図6A】SFQパルス入力に基づいて4入力RQLゲートからの論理出力を決定する例示的な方法のフロー図。
【
図6B】SFQパルス入力に基づいて4入力RQLゲートからの論理出力を決定する例示的な方法のフロー図。
【
図7】SFQパルス入力に基づいて論理AND値を決定する例示的な方法のフロー図。
【
図8】SFQパルス入力に基づいて論理OR値を決定する例示的な方法のフロー図。
【
図9】SFQパルス入力に基づいて論理AND-OR値を決定する例示的な方法のフロー図。
【
図10】SFQパルス入力に基づいて論理OR-AND値を決定する例示的な方法のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、概して、例えばレシプロカル量子論理(RQL)システムにおいて有用な論理ゲート回路およびそれに関連する方法に関する。本開示は、具体的には、4つの入力を有するそのようなゲートに関し、ANDゲート、ORゲート、AND-OR(AO22)ゲート、およびOR-AND(OA22)ゲートを含む。本開示は、具体的には、分散型決定ジョセフソン接合とカスケード接続型RQL論理機能とを利用する4入力論理ゲート群を提供する。
【0008】
図1は、4つの論理入力A,B,C,Dと出力Oとを有する4入力ジョセフソンゲート100を示す。ゲート100は、アサートまたはデアサート論理状態にそれぞれ対応する正または負の単一磁束量子(SFQ)パルスから構成され得る入力A,B,C,Dを受け取るように構成された第1の段102を含む。ゲート100はさらに、アサートまたはデアサート論理状態にそれぞれ対応する正または負のSFQパルスから同様に構成され得る出力Oを供給するように構成された第2の段104を含む。各論理入力A,B,C,Dには、ストレージループ106-1~106-4のうち少なくとも1つのストレージループが関連付けられている。第1の段102が入力毎に1つのストレージループを有するものとして図示されているが、各入力はそれに関連付けられた複数のストレージループを有することができる。
【0009】
第1の論理決定ジョセフソン接合(JJ)108-1は、第1および第2の入力ストレージループ106-1,106-2に共通(すなわち、それらによって共有される)であり、入力A,Bに基づいてトリガされる。第2の論理決定JJ108-2は、第3および第4の入力ストレージループ106-3,106-4に共通(すなわち、それらによって共有される)であり、入力C,Dに基づいてトリガされる。第2の段104は、第5および第6のストレージループ106-5,106-6を含む。第5のストレージループ106-5は、第1の論理決定JJ108-1とともに第3の論理決定JJ108-3によって構成されている。第6のストレージループ106-6は、第2の論理決定JJ108-2とともに第3の論理決定JJ108-3によって構成されている。第3の論理決定JJ108-3は、第5および第6のストレージループ106-5,106-6に共通(すなわち、それらによって共有される)であり、第1および第2の論理決定JJ108-1,108-2のいずれか一方または両方のトリガに基づいてトリガされる。
【0010】
4入力ゲート100の出力Oのアサートまたはデアサートは、第3の論理決定JJ108-3のトリガに基づき得る。ゲート100の構成に応じて、出力Oのアサートまたはデアサートは、入力A,B,C,Dのいずれか、またはそれらのいくつか、もしくはそれらのすべてに基づくものとなり得る。例えば、出力Oは、アサート出力論理状態に対応する正のSFQパルスと、デアサート出力論理状態に対応する負のSFQパルスとを伝播することができる。一例として、4入力ゲート100は、ANDゲート、ORゲート、OR-ANDゲート、またはAND-ORゲートとして構成することができる。第2の段104は、第3の論理決定JJ108-3の出力を増幅するために出力ジョセフソン伝送線路(JTL)(
図1では図示略)を含むことができる。
【0011】
第1の論理決定JJ108-1のトリガは、入力A,Bだけでなく、第1のバイアス線110を介して第1の論理決定JJ108-1に供給される第1のバイアス信号BIAS1にも基づくものとすることができる。同様に、第2の論理決定JJ108-2のトリガは、入力C,Dだけでなく、第2のバイアス線112を介して第2の論理決定JJ108-2に供給される第2のバイアス信号BIAS2にも基づくものとすることができる。同様に、第3の論理決定JJ108-3のトリガは、第1の論理決定JJ108-1および第2の論理決定JJ108-2の状態だけでなく、第3のバイアス線114を介して第3の論理決定JJ108-3に供給される第3のバイアス信号にも基づくものとすることができる。バイアス線110,112,114に供給されるバイアス信号BIAS1,BIAS2,BIAS3は、ACバイアスとDCバイアスの両方を供給することができる。したがって、例えば、線110,112,114に供給されたバイアス信号は、ジョセフソンゲート100へのクロックとして機能し、入力A,B,C,Dの評価に応じた出力Oをバイアス信号BIAS1,BIAS2,BIAS3のAC成分に応じた特定の時点で生成する。いくつかの例では、線110,112に供給される第1および第2のバイアス信号は同じAC位相を有し得る一方、線114に供給される第3のバイアス信号は、第1および第2のバイアス信号のAC位相とは異なるAC位相、例えば、第1および第2のバイアス信号とは位相が180°ずれたAC位相を有し得る。
【0012】
図2Aは、
図2Bに記号が示された論理機能を実行する4入力AND_RQLゲートを示し、ここでは1つの4入力ANDゲートについて示している。第1の段202は、
図1の第1の段102に対応し得るものであり、第2の段204は、
図1の第2の段104に対応し得るものである。第1の段202において、各入力ai,bi,ci,diは、先頭インダクタLina_0,Linb_0,Linc_0,Lind_0のうちの対応する1つを介して供給される。これらの先頭インダクタは各々、対応する入力を駆動JTLまたは別のゲートの出力に接続可能にする。
【0013】
第1の段202は、入力ai,biに対応し第1のダブテールノード206で結合する2つのJTL入力分岐を有している。第1の論理決定JJb0_0とともにこれら2つの入力分岐は、ストレージループを形成して、第1の論理決定が行われるまで、すなわち第1の論理条件が満たされるまで、入力ai,biを別々に受信して記憶する。入力aiに対応する第1のストレージループは、第1の入力JJb2a_0、第1のストレージインダクタFLstora_0、および第1の論理決定JJb0_0により構成されている。入力biに対応する第2のストレージループは、第2の入力JJb2b_0、第2のストレージインダクタFLstorb_0、および第1の論理決定JJb0_0により構成されている。したがって、第1の論理決定JJb0_0は、第1および第2のストレージループの両方に共通である。
【0014】
第1の段202はさらに、入力ci,diに対応し第2のダブテールノード208で結合する2つのJTL入力分岐を有している。第2の論理決定JJb0_1とともにこれら2つの入力分岐は、ストレージループを形成して、第2の論理決定が行われるまで、すなわち第2の論理条件が満たされるまで、入力ci,diを別々に受信して記憶する。入力ciに対応する第3のストレージループは、第3の入力JJb2c_0、第3のストレージインダクタFLstorc_0、および第2の論理決定JJb0_1により構成されている。入力diに対応する第4のストレージループは、第4の入力JJb2d_0、第4のストレージインダクタFLstord_0、および第2の論理決定JJb0_1により構成されている。したがって、第2の論理決定JJb0_1は、第3とおよび第4のストレージループの両方に共通である。第1の段202は、4つの入力分岐を2つの中間分岐に縮小する。
【0015】
第2の段204は、これら2つの中間分岐の出力を組み合わせて、ダブテールノード210で単一の出力分岐にさらに縮小する。第3の論理決定JJb1_0とともに2つの中間分岐は、第5および第6のストレージループを形成して、第3の論理決定が行われるまで、すなわち第3の論理条件が満たされるまで、第1の段202の2つの中間出力を別々に受信して記憶する。入力ai,biに対して行われた第1の論理決定の中間結果を記憶する第5のストレージループは、第1の論理決定JJb0_0、第5のストレージインダクタL4_0、および第3の論理決定JJb1_0により構成されている。入力ci,diに対して行われた第2の論理決定の中間結果を記憶する第6のストレージループは、第2の論理決定JJb0_1、第6のストレージインダクタL4_1、および第3の論理決定JJb1_0により構成されている。したがって、第1の論理決定JJb0_0は、第1、第2、および第5のストレージループの3つすべてに共通であり、第2の論理決定JJb0_1は、第3、第4、および第6のストレージループの3つすべてに共通であり、第3の論理決定JJb1_0は、第5および第6のストレージループの両方に共通である。
【0016】
ゲート回路200において、第1のACおよびDCバイアス入力bias1は、第1のバイアスインダクタL0_0を介して第1の論理決定JJb0_0に供給され、第2のACおよびDCバイアス入力bias2は、第2のバイアスインダクタL0_1を介して第2の論理決定JJb0_1に供給され、第3のACおよびDCバイアス入力bias3は、第3のバイアスインダクタL1_0を介して第3の論理決定JJb1_0に供給される。出力aoは、JTLまたは別のゲートの入力に接続されて、例えば、論理「ハイ」に対してゲート200のアサートを表す正の出力パルスを伝播することができる。出力aoから伝播された後続の負の出力パルスは、論理「ロー」に対してゲート200のデアサートを表すことができる。
【0017】
各ストレージループ内の構成要素のサイズを選択することにより、一方向のデータフロー、すなわち、
図2Aに示されるような回路200の左から右へのデータフローが提供される。回路200はSFQパルスで動作し、各パルスはストレージループに1Φ
0(約2.07mApH)の電流を流す。このようなストレージループを流れる電流の大きさは、ストレージループ内のストレージインダクタのサイズによって決定される。したがって、各入力について、先頭インダクタ(例えば、Lina_0など)のインダクタンス値は、ストレージインダクタ(例えば、FLstora_0)のインダクタンス値と比べて小さな値(例えば、約8pH~9pHの間であって、例えば、8.5pH)とすることができる。一方、ストレージインダクタのサイズは比較的大きく(例えば、約30pH~40pHの間であって、例えば、35pH)(例えば、対応する先頭インダクタの約4倍)設定されて、入力SFQパルスにより誘起された蓄積電流の大きさを低減することができる。いくつかの例では、入力(例えば、ai)に導入される電流の大きさは、ストレージループに蓄積される電流の約4倍である。同様に、入力aiにおける入力JJb2a_0のサイズも、駆動中のJTLがこのJJをトリガして対応するストレージループに電流を流すことができるように設定されるが、このストレージループ内の電流は入力JJb2a_0をトリガ解除するほどは十分でなく蓄積パルスが入力へと戻ることを許容しないように設定される。入力bi,ci,diに関連するストレージループは、入力aiのストレージループと同様な構造を有することができ、これにより、同様な一方向のフロー特性を有することができる。
【0018】
論理決定JJb0_0,b0_1,b1_0は、ゲート200の論理機能を実現する。任意の2つの入力にバイアスbias1、bias2、またはbias3を組み合わせるだけで、対応する論理決定JJb0_0、b0_1、またはb1_0をいずれかの方向に切り替えることができる。
図2Aのゲート200におけるバイアス信号bias1,bias2,bias3のうち任意のバイアス信号のAC成分(例えば、正弦波成分)は、ゲート200へのクロック信号として機能し、そのクロック信号のサイクル毎に論理入力を2回評価することができる。各バイアス信号のAC位相は、正の部分と負の部分を交互に有することができる。すなわち、AC位相が正の部分のときに、対応する論理決定JJは、その論理決定JJに接続された入力を評価してその出力をアサートすべきかどうかを決定し、 AC位相が負の部分のときに、対応する論理決定JJは、入力を評価してその出力をデアサートすべきかどうかを決定する。したがって、出力aoは、バイアス信号bias3のAC位相の正の部分でのみアサートされ、バイアス信号bias3のAC位相の負の部分でのみデアサートされる。
【0019】
ゲート回路200の各論理決定JJb0_0,b0_1,b1_0は、2つの論理入力と、不変論理「0」として機能する低電圧レール(例えば、グランド)に接続された第3の疑似入力とに基づいて多数決機能を実現する。第1の論理決定JJb0_0は、その3つの入力のうち過半数の2つがアサートされたときにバイアス信号bias1の正の位相部分でトリガされ、これらの入力は、ai,biと、インダクタFLgnda_0からなる第3の分岐による永続的な「0」とから構成される。アサートに過半数の2/3が必要とされ、かつ、1つの「入力」が常に「0」であるため、第1の論理決定JJb0_0は、ai,biの両方がアサートされたときにのみトリガされる。第1の論理決定JJb0_0は、その3つの入力のうち過半数の2つ未満がアサートされているときに、バイアス信号bias1の負の位相部分でトリガ解除さる。したがって、ai,biのいずれかがデアサートされると、第1の論理決定JJb0_0がトリガ解除される。第2の論理決定JJb0_1も、その論理入力ci,diとそのバイアス信号bias2とに基づいて同様に機能する。第3の論理決定JJb1_0も、第1および第2の論理決定JJb0_0,b0_1の出力とバイアス信号bias3とに基づいて同様に機能する。これにより、正確な4入力AND論理機能が出力aoにおいて実現される。
【0020】
インダクタFLgnda_0は、他のストレージインダクタFLstora_0,FLstorb_0よりも幾分大きくされることで、その分岐に関連する入力JJが存在しないことにより除去されている寄生入力インダクタンスを補償することができる。例えば、ゲート200では、インダクタFLgnda_0のインダクタンス値は約32pH~42pHの間、例えば、36pHとすることができる。
【0021】
次に、単一の入力がアサートされたときに生じるゲート回路200での一連の事象について説明する。入力パルス、例えば単一磁束量子(SFQ)パルスが入力aiに到達する。これにより、先頭インダクタLina_0と入力JJb2a_0を介して超伝導電流が誘起される。この電流は入力JJb2a_0をトリガしてその超伝導相を0から2πに引き上げる。この入力JJb2a_0のトリガにより、先頭インダクタLina_0内に等価で逆向きの電流(例えば、1Φ0相当の電流)が誘起されて初期入力電流が消滅し、入力JJb2a_0と第1のストレージインダクタFLstora_0と第1の論理決定JJb0_0とによって形成された第1のストレージループ内に超伝導電流が誘起される。この第1のストレージループの電流のみでは論理決定JJb0_0をトリガするには不十分であり、さらなら入力が適用されなければその電流が第1のストレージループに無限にトラップされたままとなる。入力aiに到達する負の入力パルスは上記の影響をなくし、第1のストレージループ内に蓄積された正の電流を等価で逆向きの電流により消滅させて回路を初期状態に復帰させることができる。論理入力bi,ci,diも同様に動作するものとなる。
【0022】
第1のストレージループ内に蓄積された正の電流は、それのみでは、ACおよびDCバイアスbias1を使用しても論理決定JJb0_0をトリガするには不十分であり、この理由は、論理決定JJb0_0が回路200内でそれに先行するJJよりも大きなJJであり得ることにのみよるものではなく、回路200が多数決構造であることにもよる。アサートされていない論理入力biに関連する構成要素やFLgnda_0を介して接地された疑似入力によって論理決定JJb0_0に現れる追加の負荷が論理決定JJb0_0をトリガしないものとなる。したがって、b0_0をトリガするには過半数の入力のアサートが必要となる。
【0023】
例えば、論理入力aiがアサートされたことに続いて、論理入力biがその入力biへの別の正のSFQパルスの導入によってアサートされると、入力JJb2b_0と第2のストレージインダクタFLstorb_0と第1の論理決定JJb0_0とによって形成された第2のストレージループ内に別の正の電流が循環する。すると、入力JJb2a_0,b2b_0の両方が2π状態になる。それぞれの正の入力パルスによって誘起された双方のループ電流は、それぞれの入力において後続の負のパルスが対応するループ電流を除去するまで、もしくは、バイアス信号bias1のAC成分のクロッキング機能により論理決定JJb0_0がトリガされて入力が出力に変換されるまで、それぞれのストレージループ内で持続する。このストレージ機能により、過半数の入力アサートに相当することが必要とされる入力が、同じクロックサイクル内に到着する必要はない。
【0024】
これら両方の入力ループ電流は、第1の論理決定JJb0_0を正の遷移にバイアスするものであるが、入力ループストレージインダクタFLstora_0,FLstorb_0のサイズのため、ACおよびDCバイアス信号bias1によって供給される追加のバイアス電流がなければ、これらの電流はこの遷移を引き起こすには十分ではない。このバイアス信号のAC成分が十分な正の大きさに達したとき、すなわち、第1の論理決定JJb0_0が正に「クロッキング」されたとき、第1の論理決定JJb0_0がトリガされる。その結果、第1および第2のストレージインダクタFLstora_0,FLstorb_0内に蓄積されている正の電流が、等価で逆向きの電流によって消滅する。また、第5のストレージインダクタL4_0と第3の論理決定JJb1_0とを介して第5のストレージループに正の電流が流れる。
【0025】
同様に、第2の論理決定JJb0_1も、論理入力ci,diのアサートと第2のバイアス信号bias2の正のクロッキング機能とに基づいて、第6のストレージインダクタL4_1と第3の論理決定JJb1_0とを介して第6のストレージループに正の電流を流すように機能する。第5および第6のストレージループに蓄積された電流は、バイアス信号bias3のAC成分と組み合わせられることで、第3の論理決定JJb1_0をトリガし、出力aoから正のSFQパルスを送出して出力をアサートし、ゲート200の正確な4入力論理AND機能を提供する。また、この第3の論理決定JJb1_0のトリガにより、インダクタL4_0,L4_1に蓄積されている正の電流が消滅する。
【0026】
最初にアサートされるいずれかの入力ai,bi,ci,diに到着した単一の負のパルスは、対応するストレージループに負のバイアス電流を供給し、その電流は、対応するACおよびDCバイアスと組み合わせられて、対応する第1または第2の論理決定JJb0_0,b0_1をその2π位相から外れるように遷移させることで、その論理決定JJをオフする。このデアサートは第3の論理決定JJb1_0を同様にデアサートするまで伝播し、それによりゲート200の出力aoをデアサートして論理「ロー」に戻す。これは、バイアス信号bias3のAC成分が十分な負の大きさに達したときに発生する。
【0027】
ゲート200は、2/3多数決構造の3つの入力のうちの1つを接地する(この第3の入力、すなわち疑似入力を実質的に論理「ロー」にする)ことにより、残りの2つの入力(論理入力)によって2入力AND構造を形成する場合を示しており、2つのそのような多数決構造は、第3のダブテールノード210において(回路200のインダクタFLgndc_0を介した)第3のグランド擬似入力により互いに結合されて、最終的に4入力ANDゲートをもたらすことができる。回路200のように疑似入力の1つを接地することに代えて、DC入力バイアスを使用して3入力多数決構造における疑似入力の1つに1Φ
0の電流(すなわち、1つのSFQパルス)を誘起する(実質的に論理「ハイ」にする)ことにより、残りの2つの論理入力から2入力OR構造を形成することができる。
図3Aに示されるような4入力ORゲート300は、
図2Aの4入力ANDゲート200を適切に変更することにより構築することができる。
【0028】
上記の説明に続いて、
図3Aは、例示的な4入力ORゲート300を示しており、入力ai,bi,ci,diのいずれかがアサートされると出力ooがアサートされる。したがって、ゲート300は、
図3Bに記号で示される単一の4入力ORゲートを示す論理機能を実現する。図示された構成では、回路200が疑似入力分岐を回路グランドに結合するのに対して、回路300は、トランス結合入力インダクタDC_c_0,DC_c_1,DC_c_2と代替ストレージインダクタFLstorDCa_0,FLstorDCb_0,L4DC_0との間にバイアス量子化JJb2DCa_0,b2DCb_0,b0DC_0をそれぞれ導入する。トランス結合入力インダクタDC_c_0,DC_c_1,DC_c_2は、それぞれのDC磁束バイアス線312,314,316にトランス結合されている。バイアス量子化JJb2DCa_0,b2DCb_0,b0DC_0は各々、トランス結合入力インダクタDC_c_0,DC_c_1,DC_c_2を介して供給されるDCバイアス電流を量子化し、動作マージンを改善する。
【0029】
したがって、4入力ORゲート300の各論理決定JJb0_0,b01,b1_0は、対応する2つの論理入力の状態に加えて、その対応する論理決定JJをトリガして不変論理「1」が現れるようにバイアスする本明細書で疑似入力と呼ぶ第3の入力を効果的に考慮して、3つの「3」入力構造の各々の多数決機能を実質的に2入力OR構造に変換する。これは、各論理決定JJb0_0,b01,b1_0が、対応する2つの論理入力の状態に加えて、対応する論理決定JJをトリガに抗してバイアスし不変論理「0」が現れるようにする第3の入力すなわち疑似入力を効果的に考慮して、ゲート200の3つの「3」入力構造の各々の多数決機能を実質的に2入力AND構造に変換する4入力ANDゲート200とは異なる。
【0030】
図3Aに示された疑似入力は、次のように機能する。DC磁束バイアス線312,314,316のいずれかを介して供給されるDC電流は、システム動作全体を通じて一定である。システム起動時、DC磁束バイアス線312,314,316を流れるDC電流は、システムの電源投入時に発生するAC過渡期を介して、トランス結合されている入力インダクタDC_c_0,DC_c_1,DC_c_2に電流を結合する。これにより、動作の開始時にバイアス量子化JJb2DCa_0,b2DCb_0,b0DC_0が1回トリガされ、代替ストレージインダクタFLstorDCa_0,FLstorDCb_0,L4DC_0の各々に正の電流が流れる。
【0031】
図3A、
図4A、または
図5Aのゲート回路300,400,500に示される不変論理「ハイ」を提示するために使用されるいずれかまたはすべての疑似入力は、
図3Aに示されるものとは異なるように実現することができる。一例として、量子化JJ(例えば、b2DCa_0,b2DCb_0,b0DC_0)および個別の代替ストレージインダクタ(例えば、FLstorDCa_0,FLstorDCb_0,L4DC_0)を省略して、DC磁束を疑似入力分岐(例えば、DC_c_0,DC_c_1,DC_c_2)のインダクタにトランス結合してそのインダクタを疑似入力分岐の代替ストレージインダクタとして機能させることができる。したがって、任意の多数決構造または各多数決構造の疑似入力は、DC電流へのトランス結合を介して1Φ
0の電流を直接適用することで初期化することができる。別の例として、論理「ハイ」の疑似入力の場合には、DC磁束バイアス線にトランス結合されたインダクタを量子化JJと並列に配置し、その双方を代替ストレージインダクタ(例えば、FLstorDCa_0,FLstorDCb_0,L4DC_0)と直列に構成して、上記した初期化電流を供給することができる。したがって、任意の多数決構造または各多数決構造の「ハイ」疑似入力は、トランスおよび量子化JJを介して間接的に1Φ
0の電流を適用することで初期化することができる。この初期化は、他の適切な機構によっても実行することができる。
【0032】
このように回路300が初期化されることで、
図3AのORゲート300における第1の論理決定JJb0_0は、「3つ」の入力のうちの「1」つがアサートされた(この「1つ」のアサート入力は、磁束バイアス線312のDCバイアスによって初期化された非論理の疑似入力である)と実質的に認識し、論理入力ai,bi(およびbias1のクロッキング機能)のうちの少なくとも1つのアサート入力に応答してトリガされる。このようなトリガ時に、第1の代替ストレージインダクタFLstorDCa_0の正の電流は消滅し、b2DCa_0はトリガ解除されず、ストレージインダクタFLstora_0またはFLstorb_0の正の電流は、それらのストレージインダクタに関連する入力がアサートされた場合に消滅して、ai,biのうちいずれかの非アサート入力に関連するストレージインダクタに負の電流が誘起され、第1の論理決定JJb0_0と第5のストレージインダクタL4_0と第3の論理決定JJb1_0とによって形成された第5のストレージループに正の電流が流れる。
【0033】
その後、負のパルスが適用されて論理入力ai,biのうち先にアサートされた入力のすべてがデアサートされると、論理入力ai,biに関連するストレージループ内に蓄積された負の電流が結合して、バイアス信号bias1のAC成分の次の負の部分でトリガ解除するように第1の論理決定JJb0_0をバイアスすることにより、第5のストレージインダクタL4_0を含む第5のストレージループに負のパルスを伝播する。このような第1の論理決定JJb0_0のトリガ解除により代替ストレージインダクタFLstorDCa_0に正の電流が復元されることにより、回路300の左上部分が初期状態に、すなわちDC磁束バイアス線312を介して代替ストレージインダクタFLstorDCa_0に初期の正の電流が注入された起動後の状態に戻る。
【0034】
同様に、システム起動後、
図3AのORゲート300の第2の論理決定JJb0_1は、「3つ」の入力のうちの「1つ」がアサートされた(この「1つ」のアサート入力は、磁束バイアス線314のDCバイアスによって初期化された非論理の擬似入力である)と実質的に認識し、論理入力ci,di(およびbias2のクロッキング機能)のうちの少なくとも1つのアサート入力に応答してトリガされる。このようなトリガ時に、第2の代替ストレージインダクタFLstorDCb_0の正の電流が消滅し、b2DCb_0はトリガ解除されず、ストレージインダクタFLstorc_0またはFLstord_0の正の電流は、それらのストレージインダクタに関連する入力がアサートされた場合に消滅して、ci,diのうちいずれかの非アサート入力に関連するストレージインダクタに負の電流が誘起され、第2の論理決定JJb0_1と第6のストレージインダクタL4_1と第3の論理決定JJb1_0とによって形成された第6のストレージループに正の電流が流れる。
【0035】
その後、負のパルスが適用されて論理入力ci,diのうち先にアサートされた入力のすべてがデアサートされると、論理入力ci,diに関連するストレージループ内に蓄積された負の電流が結合して、バイアス信号bias2のAC成分の次の負の部分でトリガ解除するように第2の論理決定JJb0_1をバイアスすることにより、第6のストレージインダクタL4_1を含む第56ストレージループに負のパルスを伝播する。このような第2の論理決定JJb0_1のトリガ解除により代替ストレージインダクタFLstorDCb_0に正の電流が復元されることにより、回路300の左下部分が初期状態に、すなわちDC磁束バイアス線314を介して代替ストレージインダクタFLstorDCb_0に初期の正の電流が注入された起動後の状態に戻る。
【0036】
ORゲート回路300における第3の論理決定JJb1_0のトリガおよびトリガ解除は、第1および第2の論理決定JJb0_0,b0_1を用いて上記で説明したものと同様に機能する。システムが起動し第3の代替ストレージインダクタL4DC_0に電流が注入された後、第3の論理決定JJb1_0に関連付けられた多数決構造は、「3つ」の入力のうちの「1つ」がアサートされたと認識し、これにより、「3つ」のうち過半数の「2つ」をアサートさせるために、第1または第2の論理決定JJb0_0,b0_1に関連付けられている残りの入力のうちの1つのみをアサートすることが必要となり、第3の論理決定JJb1_0を(bias3のクロッキング機能と組み合わせて)トリガしてSFQパルスを出力ooに送出することで出力ooをアサートする。また、デアサートは、第1または第2の論理決定JJb0_0,b0_1の両方が(bias3のクロッキング機能と組み合わせられて)デアサートされた場合に実質的に上記と同様に機能する。これにより、4入力ORゲートの正しい論理機能が回路300で達成される。
【0037】
図4Aは、
図4Bに記号で示されている機能を実現するべく上述したトポロジに基づいて構築された例示的な4入力AND-OR(AO)ゲート400、具体的にはAO22ゲートを示す。概念的には、AO22ゲート400は、ANDゲートの出力によって供給される入力を有するORゲートである。したがって、AO22ゲート400の第1の段は、ゲート200の第1の段202(AND機能を提供するもの)と同一であるが、AO22ゲート400の第2の段は、ゲート300の第2の段(OR機能を提供するもの)と同一である。これらの段は、この開示で上述したものと同様に実質的に動作し、第1の段の論理決定JJb0_0,b0_1のトリガは、それぞれ論理入力ai,bi,ci,diだけでなく、それぞれインダクタFLgnda_0,FLgndb_0を介して供給される不変の「0」疑似入力による影響を受け、第2の段の論理決定JJb1_0のトリガは、第1の段の論理決定JJの出力だけでなく、インダクタL4DC_0を介して供給される不変の「1」疑似入力による影響を受ける。AO22ゲート400はさらに、追加の増幅を提供するために、インダクタL5_0,JJb2_0と、インダクタL2_0を介して供給されるバイアス信号bias4とからなるその出力に追加のJTL要素を含む。
【0038】
一方、
図5Aは、
図5Bに記号で示されている機能を実現するべく上述したトポロジに基づいて構築された例示的な4入力OR-AND(OA)ゲート、具体的にはOA22ゲートを示す。概念的には、OA22ゲート500は、ORゲートの出力によって供給される入力を有するANDゲートである。したがって、OA22ゲートは、その概念的AND段へのすべての入力がアサートされた場合にのみアサート出力を供給し、次いで、その概念的OR段の各々に対する入力の少なくとも1つがアサートされることを要求する。したがって、OA22ゲート500の第1の段は、ゲート300の第1の段(OR機能を提供するもの)と同一であるが、OA22ゲート500の第2の段は、ゲート200の第2の段204(AND機能を提供するもの)と同一である。これらの段は、この開示で上述したものと同様に実質的に動作し、第1の段の論理決定JJb0_0,b0_1のトリガは、それぞれ論理入力ai,bi、ci,diだけでなく、それぞれインダクタFLstorDCa_0,FLstorDCb_0を介して供給される不変の「1」疑似入力による影響を受け、第2の段の論理決定JJb1_0のトリガは、第1の段の論理決定JJの出力だけでなく、インダクタFLgndc_0を介して供給される不変の「0」疑似入力による影響も受ける。OA22ゲート500はさらに、追加の増幅を提供するために、インダクタL5_0,JJb2_0と、インダクタL2_0を介して供給されるバイアス信号bias4とからなるその出力に追加のJTL要素をさらに含む。
【0039】
4入力ゲート設計200,300,400,500の各々は、ブール論理を使用して、本質的に3つの2入力ゲートを融合して構成されることで、ゲート200における(AB)(CD)=ABCDの論理的等価性と、ゲート300における(A+B)+(C+D)=A+B+C+Dの論理的等価性を活用して、より大きなゲートを形成する。2つの2入力ANDゲートの入力および論理決定JJを使用して、それらを別のANDゲートの決定部分および駆動部分と組み合わせることで、
図2Aにおける4入力ANDゲート200が実現される。4入力ORゲート300は、
図3Aと同様に実現される。同様な方法により、2つの2入力ANDゲートの入力JJおよび決定JJを使用して、それらを2入力ORゲートの決定部分および駆動部分に接続することにより、
図4AのAND-ORゲート構造400を実現することができ、2つの2入力ORゲートのフロントエンドとANDゲートのバックエンドとを使用することにより、
図5AのOR-ANDゲート構造500を形成することができる。本開示におけるゲートの発明に先立って、現在の技術は、3つの独立した2入力ゲートを使用するとともに、2つの2入力ゲートと最後の2入力ゲートとの間のジョセフソン伝送線路を使用することを必要とした。本明細書で説明する新たな4入力ゲートにより、レイアウトが小さくなり、ゲート自体がマルチゲートのものよりも高速になる。新たな4入力ゲートにより、RQLデジタルロジックの回路のチップ面積が削減され、より多くの回路をチップ上に配置できるようになるため、チップコストが削減される。副産物として、回路も高速である。
【0040】
図6Aは、SFQパルス入力に基づいて4つの論理入力を有するRQLゲートからの論理出力を決定する方法600を示す。正のSFQパルスが供給(602)されて、4つの論理入力を有するRQLゲートの1つ以上の論理入力がアサートされることにより、そのアサート入力に関連する1つ以上の論理入力ストレージループ(例えば、入力毎に1つのループであり、ここではゲートは、このような論理入力ストレージループを4つ有する)に1つ以上の電流が流れる(604)。RQLゲートは、例えば、
図1~
図5に示されたゲート100,200,300,400,500のいずれかであり得るか、またはそのような例の拡張であり得る。次いで、特定数の論理入力または特定の論理入力のアサートに基づいてトリガされるように構成された論理決定JJがトリガ(606)される。JJは、2つの論理入力ストレージループの少なくとも1つが正のSFQパルスを受信してOR機能を提供するときにトリガされるか、または2つの論理入力ストレージループの両方が正のSFQパルスを受信してAND論理機能を提供するときにのみトリガされるように構成され得る。このJJは、例えば、RQLゲート内の2つの論理入力ストレージループに共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれない追加の入力を実質的に論理「ハイ」または論理「ロー」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ(606)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJがトリガされる。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ(608)によって生成されたアサート信号がRQLゲートの出力から伝播(610)する。アサート信号は、例えば、単一のSFQパルスであり得る。
【0041】
図6Bは、SFQパルス入力に基づいて4つの論理入力を有するRQLゲートからの論理出力を決定する方法650を示し、同図は
図6Aに示された方法600から続くものとすることができる。負のSFQパルスが供給(612)されて、4つの論理入力を有するRQLゲートの1つ以上の論理入力がデアサートされることにより、そのアサート入力に関連する1つ以上の論理入力ストレージループ(例えば、入力毎に1つのループであり、ここではゲートは、このような論理入力ストレージループを4つ有する)に1つ以上の電流が流される(614)。この電流は、負の電流、すなわち、方法600で流れる(604)電流と等価で逆向きの電流とすることができる。この場合も、RQLゲートは、例えば、
図1~
図5に示されたゲート100,200,300,400,500のいずれかであり得るか、またはそのような例の拡張であり得る。次いで、特定数の論理入力または特定の論理入力のデアサートに基づいてトリガ解除されるように構成された論理決定JJがトリガ解除(616)される。JJは、先にアサートされた論理入力に関連する2つの論理入力ストレージループの少なくとも1つが負のSFQパルスを受信してAND機能を提供するときにトリガされるか、または先にアサートされた論理入力に関連する2つの論理入力ストレージループの両方が負のSFQパルスを受信してOR論理機能を提供するときにのみトリガされるように構成され得る。このJJは、例えば、2つの論理入力ストレージループに共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれない追加の入力を実質的に論理「ハイ」または論理「ロー」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ解除(616)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJがトリガ解除(618)される。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ解除(618)によって生成されたデアサート信号がRQLゲートの出力から伝播(620)する。このアサート信号は、例えば、方法600で伝播(610)されたパルスとは逆方向の単一のSFQパルス、例えば、単一の負のSFQパルスとすることができる。
【0042】
図7は、4つのSFQパルス入力に基づいて論理AND値を決定する例示的な方法700を示す。正のSFQパルスが供給(702)されて、4つの論理入力を有するRQL-ANDゲートのすべての論理入力がアサートされることにより、そのアサート入力に関連する4つの論理入力ストレージループ(すなわち、入力毎に1つのループ)のすべてに電流が流れる(704)。RQL-ANDゲートは、例えば、
図2Aに示されたゲート200のようなものであり得るか、またはより多数の入力を供給するそのような例の拡張であり得る。第1および第2の論理決定JJは、電流が流れる(704)ことに基づいてトリガ(706)される。これら第1および第2の論理決定JJは各々、2つの論理入力のアサートに基づいてトリガ(706)されるように構成することができる。JJは、例えば、各JJを、その論理入力に関連する論理入力ストレージループの両方に共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれない各JJに対する追加の入力を実質的に論理「ロー」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ解除(706)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJが、先のトリガ解除(706)に基づいてトリガ(708)される。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ(708)によって生成されたアサート信号がRQL-ANDゲートの出力から伝播(710)する。アサート信号は、例えば、単一のSFQパルスであり得る。
【0043】
図8は、SFQパルス入力に基づいて論理OR値を決定する例示的な方法800を示す。正のSFQパルスが供給(802)されて、4つの論理入力を有するRQL-ORゲートのいずれかまたはすべての論理入力がアサートされることにより、そのアサート入力に関連する1つ以上の論理入力ストレージループ(すなわち、入力毎に1つのループ)に電流が流れる(804)。RQL-ORゲートは、例えば、
図3Aに示されたゲート300のようなものであり得るか、またはそのような例の拡張であり得る。論理決定JJは、電流が流れる(804)ことに基づいてトリガ(806)される。この論理決定JJは、2つの論理入力のうちの少なくとも1つのアサートに基づいてトリガ(806)されるように構成することができる。JJは、例えば、その論理入力に関連する論理入力ストレージループの両方に共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれないそのJJに対する追加の入力を実質的に論理「ハイ」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ(806)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJが、先のトリガ(806)に基づいてトリガ(808)される。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ(808)によって生成されたアサート信号がRQL-ORゲートの出力から伝播(810)する。アサート信号は、例えば、単一のSFQパルスであり得る。
【0044】
図9は、少なくとも2つのSFQパルス入力に基づいて論理AO22値を決定する例示的な方法900を示す。少なくとも2つの正のSFQパルスが供給(902)されて、2つの論理入力の2つのペアとして配置された4つの論理入力を有するRQL-AO22ゲートの少なくとも2つのペアの論理入力がアサートされることにより、そのアサートされたペアの入力に関連する少なくとも2つの論理入力ストレージループ(すなわち、入力毎に1つのループ)に電流が流れる(904)。RQL-AO22ゲートは、例えば、
図4Aに示されたゲート400のようなものであり得るか、またはそのような例の拡張であり得る。論理決定JJは、電流が流れる(904)ことに基づいてトリガ(906)される。この論理決定JJは、関連する論理入力の両方のアサートに基づいてトリガ(906)されるように構成することができる。JJは、例えば、その論理入力に関連する論理入力ストレージループの両方に共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれないそのJJに対する追加の入力を実質的に論理「ロー」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ(906)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJが、先のトリガ(906)に基づいてトリガ(908)される。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ(908)によって生成されたアサート信号がRQL-AO22ゲートの出力から伝播(910)する。アサート信号は、例えば、単一のSFQパルスであり得る。
【0045】
図10は、少なくとも2つのSFQパルス入力に基づいて論理OA22値を決定する例示的な方法1000を示す。少なくとも2つの正のSFQパルスが供給(1002)されて、2つの論理入力の2つのペアとして配置された4つの論理入力を有するRQL-OA22ゲートの少なくとも2つの非ペアの論理入力がアサートされることにより、そのアサートされた非ペアの入力に関連する少なくとも2つの論理入力ストレージループ(すなわち、入力毎に1つのループ)に電流が流れる(1004)。RQL-OA22ゲートは、例えば、
図5Aに示されたゲート500のようなものであり得るか、またはそのような例の拡張であり得る。第1および第2の論理決定JJは、電流が流れる(1004)ことに基づいてトリガ(1006)される。これら第1および第2の論理決定JJは各々、少なくとも1つの関連する論理入力のアサートに基づいてトリガ(1006)されるように構成することができる。各JJは、例えば、2つの論理入力ストレージループに共通とすることによって構成されるか、論理入力に含まれない追加の入力を実質的に論理「ハイ」に固定することによって構成されるか、適切なバイアスを供給することによって構成されるか、および/または、適切な構成要素のサイズを設定することによって構成される。次いで、論理フローの観点から、RQLゲート内で先にトリガ(1006)されたJJの「下流」側のカスケード接続された論理決定JJが、先のトリガ(1006)に基づいてトリガ(1008)される。そして、このカスケード接続された論理決定JJのトリガ(1008)によって生成されたアサート信号がRQL-OA22ゲートの出力から伝播(1010)する。アサート信号は、例えば、単一のSFQパルスであり得る。
【0046】
本明細書で説明される4入力ゲート200,300,400,500は例であり、すべての可能な構成を含むわけではない。これらの例に示されるように、各段は、AND、OR、または多数決機能を実現するように個別に構成することができる。ANDとORの4つの入力のすべての組み合わせを含むこれらの機能のすべての組み合わせを実現することができる。多数決機能を実現するように段が構成されている場合、ANDゲートおよびORゲートの疑似入力が実際の主入力になるように追加の入力を追加することができる。本明細書に開示される例を含む4つ以上の入力を有する論理ゲートを使用することにより、RQL論理の効率と密度を改善することができる。より大きな論理機能を実装可能なゲートを使用することにより、ダイのサイズを削減することができ、ひいてはダイあたりのコストを削減することができる。本明細書で説明する論理ゲートは、RQLデータ符号化に従って動作することができ、例えば、論理ゲートが2つの正の出力パルスを一列に、または2つの負の出力パルスを一列に伝搬することは許されない。
【0047】
以上の説明は本発明の例示である。本開示を説明する目的のために構成要素または方法のあらゆる考えられる組み合わせを記載することは勿論不可能であり、当業者は本開示のさらなる多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識し得る。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような代替、変形、および変更を包含することが意図される。また、本開示または請求項が「1つの~」、「第1の~」、または「別の~」という要素を列挙するかまたはそれらの同等物を列挙する場合には、1つまたは2つ以上のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必須とするものでも、2つ以上のそのような要素を除外するものでもない。本明細書で使用される「含む」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
4入力ジョセフソンゲート回路であって、
正の単一磁束量子(SFQ)パルスの受信に基づいてアサートされるように各々構成された4つの論理入力を有する第1の段であって、第1、第2、第3、および第4の論理入力ストレージループを含み、各論理入力が前記論理入力ストレージループの1つに関連付けられており、各論理入力ストレージループが2つのジョセフソン接合(JJ)とストレージインダクタとを含む、前記第1の段と、
第5および第6のストレージループと出力とを含み、前記第1の段からの信号を受信し、前記出力に出力信号を生成するように構成された第2の段と、
前記第1および第2の論理入力ストレージループと前記第5のストレージループとに共通の第1の論理決定JJであって、前記第1および第2の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第1のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされるように構成された前記第1の論理決定JJと、
前記第3および第4の論理入力ストレージループと前記第6のストレージループとに共通の第2の論理決定JJであって、前記第3および第4の論理入力ストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第2のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされるように構成された前記第2の論理決定JJと、
前記第5および第6のストレージループに共通の第3の論理決定JJであって、前記第5および第6のストレージループに蓄積された1つ以上の電流と第3のバイアス信号とによって供給されるバイアスに基づいてトリガされることにより前記出力をアサートするように構成された前記第3の論理決定JJと、
を備える4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記2)
前記第2の段がさらに、前記第3の論理決定JJのトリガ解除に基づいて前記出力をデアサートするように構成されている、付記1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記3)
前記4入力ジョセフソンゲート回路が前記4つの論理入力すべてのアサートに基づいて前記出力をアサートするように構成されている、付記1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記4)
前記4入力ジョセフソンゲート回路が前記論理入力のいずれか1つ以上のアサートに基づいて前記出力をアサートするように構成されている、付記1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記5)
前記4入力ジョセフソンゲート回路が、
前記論理入力のうち第1の論理入力と第2の論理入力の両方のアサートと、
前記論理入力のうち第3の論理入力と第4の論理入力の両方のアサートと、
の少なくとも一方に基づいて前記出力をアサートするように構成されている、付記1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記6)
前記4入力ジョセフソンゲート回路が、
前記論理入力のうち第1の論理入力と第2の論理入力の少なくとも一方のアサートと、
前記論理入力のうち第3の論理入力と第4の論理入力の少なくとも一方のアサートと、
の両方に基づいて前記出力をアサートするように構成されている、付記1に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記7)
前記第1の段は、前記第1の論理決定JJを含む第1の非入力ストレージループと、前記第2の論理決定JJを含む第2の非入力ストレージループとをさらに含み、前記第1および第2の非入力ストレージループは2つの論理入力のいずれからも信号を受信せず、前記第1の段の各非入力ストレージループは、システム起動時に当該対応する非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、付記5に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記8)
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、システム起動時に当該第3の非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、付記7に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記9)
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、前記第3の論理決定JJと回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、付記7に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記10)
前記第1の段は、前記第1の論理決定JJを含む第1の非入力ストレージループと、前記第2の論理決定JJを含む第2の非入力ストレージループと、をさらに含み、前記第1および第2の非入力ストレージループは2つの論理入力のいずれからも信号を受信せず、前記第1の段の各非入力ストレージループは、当該非入力ストレージループの対応する論理決定JJと回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、付記5に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記11)
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、システム起動時に当該第3の非入力ストレージループに正の電流を導入するように構成されたDC磁束バイアス線へのトランス結合を含む、付記10に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記12)
前記第2の段は、前記第3の論理決定JJを含む第3の非入力ストレージループをさらに含み、前記第3の非入力ストレージループは、前記第1および第2の論理決定JJのいずれからも信号を受信せず、前記第3の非入力ストレージループは、前記第3の論理決定JJと前記回路グランドとの間に接続されたインダクタを含む、付記10に記載の4入力ジョセフソンゲート回路。
(付記13)
論理値を決定する方法であって、
1つ以上の正の単一磁束量子(SFQ)パルスを供給して、4つの論理入力を有するレシプロカル量子論理(RQL)ゲートの1つ以上の論理入力をアサートすること、
前記正のSFQパルスを供給することに基づいて、4つの入力ストレージループを有する前記RQLゲート内の1つ以上の当該入力ストレージループに1つ以上の正の電流を流すこと、
前記正の電流を流すことに基づいて、前記RQLゲート内の3つの論理決定ジョセフソン接合(JJ)のうちの第1の論理決定JJをトリガすること、
前記第1の論理決定JJをトリガすることに基づいて、前記RQLゲート内のカスケード接続された論理決定JJをトリガすること、
前記カスケード接続された論理決定JJをトリガすることに基づいて、前記RQLゲートの出力からアサート信号を伝播すること、
を備える方法。
(付記14)
前記伝播することの後に、
1つ以上の負のSFQパルスを供給して、前記論理入力のうちの1つ以上をデアサートすること、
前記1つ以上の負のSFQパルスを供給することに基づいて、前記入力ストレージループのうちの1つ以上に1つ以上の負の電流を流すこと、
前記1つ以上の負の電流を流すことに基づいて、前記第1の論理決定JJをトリガ解除すること、
前記第1の論理決定JJをトリガ解除することに基づいて、前記カスケード接続された論理決定JJをトリガ解除すること、
前記カスケード接続された論理決定JJをトリガ解除することに基づいて、前記RQLゲートの出力からデアサート信号を伝播すること、
をさらに備える付記13に記載の方法。
(付記15)
AC成分を有する第1のバイアス信号を供給することであって、前記第1の論理決定JJをトリガすることがさらに前記第1のバイアス信号に基づくものである、前記第1のバイアス信号を供給すること、
AC成分を有する少なくとも1つ以上のバイアス信号を供給することであって、前記カスケード接続された論理決定JJをトリガすることがさらに前記少なくとも1つ以上のバイアス信号に基づくものである、前記少なくとも1つ以上のバイアス信号を供給すること、
をさらに備える付記13に記載の方法。
(付記16)
回路であって、
第1の段において、第1および第2の論理入力ジョセフソン伝送線路(JTL)の分岐と、第3および第4の論理入力JTLの分岐と、第1の論理決定ジョセフソン接合(JJ)と、第2の論理決定JJと、を備えており、
前記第1および第2の論理入力JTLの分岐が第1のダブテールノードで結合して第5の分岐を形成し、前記第3および第4の論理入力JTLの分岐が第2のダブテールノードで結合して第6の分岐を形成し、各論理入力JTLが、対応する第1のノードにおいて入力JJとストレージインダクタとに接続されたストレージループ入力インダクタを含み、各論理入力JTLの前記ストレージループ入力インダクタ、入力JJ、およびストレージインダクタは、一方向のデータフローを提供するようにサイズ設定されており、
前記第1の論理決定JJが前記第1のダブテールノードと回路グランドとの間に接続されて、前記第1および第2の論理入力JTLのそれぞれの入力JJおよびストレージインダクタと前記第1の論理決定JJとによってそれぞれ第1および第2のストレージループが形成されており、
前記第2の論理決定JJが前記第2のダブテールノードと前記回路グランドとの間に接続されて、前記第3および第4の論理入力JTLのそれぞれの入力JJおよびストレージインダクタと前記第2の論理決定JJとによってそれぞれ第3および第4のストレージループが形成されており、
第2の段において、前記第5および第6の分岐を結合する第3のダブテールノードと前記回路グランドとの間に接続された第3の論理決定JJを備えており、
前記第1の論理決定JJと、前記第5の分岐内の第5のストレージインダクタと、前記第3の論理決定JJとによって第5のストレージループが形成されており、
前記第2の論理決定JJと、前記第6の分岐内の第6のストレージインダクタと、前記第3の論理決定JJとによって第6のストレージループが形成されており、
前記論理入力JTLにそれぞれ供給されたアサートまたはデアサート論理入力信号に基づいてアサートまたはデアサート論理出力信号を出力ノードに供給するように構成された回路。
(付記17)
前記回路グランドと前記第1、第2、および第3のダブテールノードとの間にそれぞれ接続されたインダクタをそれぞれ含む第1、第2、および第3の疑似入力をさらに備えており、
前記論理出力信号が、前記4つの論理入力JTLに供給された前記論理入力信号に基づいてAND機能を提供する、付記16に記載の回路。
(付記18)
トランス結合されたDC磁束バイアス線と、量子化JJと、ストレージインダクタとを各々含み、システム起動時に、対応する疑似入力トランス結合を介して供給された対応するDC磁束バイアス電流を量子化するように各々構成された第1、第2、および第3の疑似入力をさらに備えており、前記第1、第2、および第3の疑似入力はそれぞれ前記第1、第2、および第3のダブテールノードに接続されており、
前記論理出力信号が、前記4つの論理入力JTLに供給された前記論理入力信号に基づいてOR機能を提供する、付記16に記載の回路。
(付記19)
前記回路グランドと前記第1および第2のダブテールノードとの間にそれぞれ接続されたストレージインダクタを各々含む第1および第2の疑似入力と、
トランス結合されたDC磁束バイアス線と、量子化JJと、ストレージインダクタとを含み、システム起動時に、疑似入力トランス結合を介して供給されたDC磁束バイアス電流を量子化するように構成された第3の疑似入力と、
をさらに備えており、前記第3の疑似入力は前記第3のダブテールノードに接続されており、
前記論理出力信号が、前記4つの論理入力JTLに供給された前記論理入力信号に基づいてAND-OR機能を提供する、付記16に記載の回路。
(付記20)
トランス結合されたDC磁束バイアス線と、量子化JJと、ストレージインダクタとを各々含み、システム起動時に、対応する疑似入力トランス結合を介して供給された対応するDC磁束バイアス電流を量子化するように各々構成された第1および第2の疑似入力であって、前記第1および第2のダブテールノードにそれぞれ接続された前記第1および第2の疑似入力と、
前記回路グランドと前記第3のダブテールノードとの間に接続されたストレージインダクタを含む第3の疑似入力と、
をさらに備えており、
前記論理出力信号が、前記4つの論理入力JTLに供給された前記論理入力信号に基づいてOR-AND機能を提供する、付記16に記載の回路。