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特許7047132サブ波長格子を用いた偏光リサイクルバックライト、方法、およびマルチビューディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】サブ波長格子を用いた偏光リサイクルバックライト、方法、およびマルチビューディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220328BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220328BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20220328BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20220328BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220328BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220328BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220328BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20220328BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21S2/00 435
G02F1/13357
F21Y101:00 100
F21Y103:00
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21Y115:20
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020560862
(86)(22)【出願日】2018-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2018015617
(87)【国際公開番号】W WO2019147276
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アイエータ,フランセスコ
(72)【発明者】
【氏名】リ,シュエジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホークマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/111706(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231566(US,A1)
【文献】特開2016-161797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
F21Y 101/00
F21Y 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/15
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波光として光ガイドの長さに沿って光を導くように構成される光ガイドであって、前記導波光が第1の偏光成分および第2の偏光成分を含む光ガイドと、
放射光として前記導波光の前記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される偏光選択性散乱機能部と、
サブ波長格子を含む偏光変換構造であって、前記サブ波長格子が非ゼロ伝播角度で前記サブ波長格子に入射する前記導波光の一部を反射して方向変更させ、前記導波光の前記第2の偏光成分の一部を前記第1の偏光成分に変換するように構成される、偏光変換構造と
を含む、偏光リサイクルバックライトであって、
前記偏光選択性散乱機能部の1つの要素のサイズが、前記偏光選択性散乱機能部と関連するディスプレイに使用されるライトバルブのサイズの2分の1と2倍との間である、偏光リサイクルバックライト
【請求項2】
前記偏光選択性散乱機能部が、前記光ガイド長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数のマルチビーム要素を含み、前記複数のマルチビーム要素が、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を外へ散乱させるように構成される、請求項1に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項3】
前記複数のマルチビーム要素が、前記光ガイドの表面に配置され、前記偏光変換構造が、前記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素の間に配置される、請求項2に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項4】
前記マルチビーム要素が回折格子を含む、請求項2または3に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項5】
前記偏光リサイクルバックライトが、前記光ガイドの表面に実質的に直交する方向で前記偏光変換構造に入射する光に対して光学的に透明である、請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項6】
前記サブ波長格子が、格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さを有する複数の実質的に平行な回折機能部を含み、前記格子周期、前記格子デューティサイクル、前記格子の向き、前記格子ピッチ、および前記格子深さのうちの1つまたはそれ以上が、前記第1の偏光成分への前記第2の偏光成分の偏光変換の量を制御するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項7】
前記偏光変換構造が、前記光ガイドの長さに沿った位置の関数である、前記第1の偏光成分への前記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項8】
前記偏光変換構造が、反射による方向変更ごとに約10パーセントに満たない、前記第1の偏光成分への前記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項9】
前記第1の偏光成分への前記第2の偏光成分の偏光変換の前記量が、約2パーセントと約4パーセントとの間である、請求項8に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項10】
前記偏光選択性散乱機能部および前記偏光変換構造が、前記光ガイドの両面に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライト。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の偏光リサイクルバックライトを含む電子ディスプレイであって、前記放射光を変調してマルチビュー画像を提供するように構成されるライトバルブのアレイをさらに含む、電子ディスプレイ。
【請求項12】
第1の偏光成分および第2の偏光成分を含む導波光として光を導くように構成される光ガイドと、
マルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素が、マルチビュー画像のビュー方向に対応する異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームとして前記導波光の前記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される、マルチビーム要素のアレイと、
前記導波光の前記第2の偏光成分の一部を前記第1の偏光成分に変換するように構成されるサブ波長格子のアレイと、
前記マルチビュー画像を提供するように前記複数の指向性光ビームの指向性光ビームを変調するように構成されるライトバルブのアレイと
を含む、マルチビューディスプレイであって、
前記マルチビーム要素のアレイの前記マルチビーム要素のサイズが、前記ライトバルブのアレイの前記ライトバルブのサイズの2分の1と2倍との間である、マルチビューディスプレイ
【請求項13】
前記マルチビーム要素が回折格子を含む、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記マルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素が、前記光ガイドの表面に配置され、前記サブ波長格子のアレイのサブ波長格子が、前記マルチビーム要素のアレイの前記マルチビーム要素の間に配置される、請求項12または13に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記サブ波長格子のアレイが、前記光ガイドの表面に実質的に直交する方向で前記サブ波長格子アレイに入射する光に対して光学的に透明である、請求項12から14のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記サブ波長格子のアレイのサブ波長格子が、約10パーセントに満たない、前記第1の偏光成分への前記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、請求項12から15のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
前記マルチビーム要素のアレイおよび前記サブ波長格子のアレイが、互いに対向する前記光ガイドの表面に配置される、請求項12から16のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項18】
偏光リサイクルバックライト動作の方法であって、
導波光として光ガイドの長さに沿って光を導くステップであり、前記導波光が第1の偏光成分および第2の偏光成分を含むステップと、
偏光選択性散乱機能部を用いて放射光として前記導波光の前記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるステップと、
前記導波光の前記第2の偏光成分の一部をサブ波長格子を含む偏光変換構造を用いて前記第1の偏光成分に変換するステップと
を含む、方法であって、
前記偏光選択性散乱機能部の1つの要素のサイズが、前記偏光選択性散乱機能部と関連するディスプレイに使用されるライトバルブのサイズの2分の1と2倍との間である、方法
【請求項19】
前記偏光選択性散乱機能部が、前記光ガイド長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数のマルチビーム要素を含み、前記第1の偏光成分の前記部分を選択的に外へ散乱させるステップが、前記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素を用いて前記放射光として前記部分を回折的に外へ散乱させることを含み、前記放射光が、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む、請求項18に記載の偏光リサイクルバックライト動作の方法。
【請求項20】
前記偏光変換構造が、前記光ガイドの表面に前記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素の間に配置される、請求項19に記載の偏光リサイクルバックライト動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイスおよび製品のユーザーに情報を伝達するためのほぼどこにでもある媒体である。最も一般的に用いられる電子ディスプレイには、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)、およびアクティブマトリックスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、および、電気機械もしくは電気流体光変調を用いる種々のディスプレイ(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイ、その他)がある。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)とパッシブディスプレイ(すなわち、もう1つの光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のどちらかに類別され得る。アクティブディスプレイの最も分かりやすい例の中には、CRT、PDP、およびOLED/AMOLEDがある。放射光を考慮する場合にパッシブとして普通は分類されるディスプレイは、LCDおよびEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、本質的に低消費電力を含むがこれに限定されない魅力的な性能特性を示すことが多いが、光を放射する能力がないことを考慮すると、多くの実際の適用に際してはいくぶん使用が制限される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
放射光と関連するパッシブディスプレイの制限を克服するために、多くのパッシブディスプレイは外部光源に結合される。結合された光源により、これらの本来ならパッシブディスプレイは光を放射し、実質的にアクティブディスプレイとして機能することができる場合がある。この種の結合された光源の例は、バックライトである。バックライトは、パッシブディスプレイを照明するように本来ならパッシブディスプレイの背後に配置される光源(多くの場合、パネルバックライト)として役立つことができる。例えば、バックライトは、LCDまたはEPディスプレイに結合され得る。バックライトは、LCDまたはEPディスプレイを通過する光を放射する。放射された光は、LCDまたはEPディスプレイによって変調され、次いで、変調された光は、次にはLCDまたはEPディスプレイから放射される。バックライトは、白色光を放射するように構成されることが多い。この場合、カラーフィルターが、白色光をディスプレイで使用される様々な色に変換するように使用される。カラーフィルターは、例えば、LCDもしくはEPディスプレイの出力に(あまり一般的ではない)、またはバックライトとLCDもしくはEPディスプレイとの間に配置され得る。あるいは、様々な色が、原色などの異なる色を用いてディスプレイのフィールドシーケンシャル照明によって実装される場合もある。
【0005】
本明細書において説明される原理による例および実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて用いられる次の詳細な説明を参照すればより容易に理解されることができ、ここで、同じ参照数字は同じ構造要素を示している。
本開示は以下の[1]から[20]を含む。
[1]導波光として光ガイドの長さに沿って光を導くように構成される光ガイドであって、上記導波光が第1の偏光成分および第2の偏光成分を含む光ガイドと、
放射光として上記導波光の上記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される偏光選択性散乱機能部と、
サブ波長格子を含む偏光変換構造であって、上記サブ波長格子が非ゼロ伝播角度で上記サブ波長格子に入射する上記導波光の一部を反射して方向変更させ、上記導波光の上記第2の偏光成分の一部を上記第1の偏光成分に変換するように構成される、偏光変換構造と
を含む、偏光リサイクルバックライト。
[2]上記偏光選択性散乱機能部が、上記光ガイド長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数のマルチビーム要素を含み、上記複数のマルチビーム要素が、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む放射光として上記導波光を外へ散乱させるように構成される、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[3]上記複数のマルチビーム要素が、上記光ガイドの表面に配置され、上記偏光変換構造が、上記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素の間に配置される、上記[2]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[4]上記マルチビーム要素が回折格子を含む、上記[2]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[5]上記偏光リサイクルバックライトが、上記光ガイドの表面に実質的に直交する方向で上記偏光変換構造に入射する光に対して光学的に透明である、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[6]上記サブ波長格子が、格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さを有する複数の実質的に平行な回折機能部を含み、上記格子周期、上記格子デューティサイクル、上記格子の向き、上記格子ピッチ、および上記格子深さのうちの1つまたはそれ以上が、上記第1の偏光成分への上記第2の偏光成分の偏光変換の量を制御するように構成される、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[7]上記偏光変換構造が、上記光ガイドの長さに沿った位置の関数である、上記第1の偏光成分への上記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[8]上記偏光変換構造が、反射による方向変更ごとに約10パーセントに満たない、上記第1の偏光成分への上記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[9]上記第1の偏光成分への上記第2の偏光成分の偏光変換の上記量が、約2パーセントと約4パーセントとの間である、上記[8]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[10]上記偏光選択性散乱機能部および上記偏光変換構造が、上記光ガイドの両面に配置される、上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライト。
[11]上記[1]に記載の偏光リサイクルバックライトを含む電子ディスプレイであって、上記放射光を変調してマルチビュー画像を提供するように構成されるライトバルブのアレイをさらに含む、電子ディスプレイ。
[12]第1の偏光成分および第2の偏光成分を含む導波光として光を導くように構成される光ガイドと、
マルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素が、マルチビュー画像のビュー方向に対応する異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームとして上記導波光の上記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される、マルチビーム要素のアレイと、
上記導波光の上記第2の偏光成分の一部を上記第1の偏光成分に変換するように構成されるサブ波長格子のアレイと、
上記マルチビュー画像を提供するように上記複数の指向性光ビームの指向性光ビームを変調するように構成されるライトバルブのアレイと
を含む、マルチビューディスプレイ。
[13]上記マルチビーム要素が回折格子を含む、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[14]上記マルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素が、上記光ガイドの表面に配置され、上記サブ波長格子のアレイのサブ波長格子が、上記マルチビーム要素のアレイの上記マルチビーム要素の間に配置される、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[15]上記サブ波長格子のアレイが、上記光ガイドの表面に実質的に直交する方向で上記サブ波長格子アレイに入射する光に対して光学的に透明である、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[16]上記サブ波長格子のアレイのサブ波長格子が、約10パーセントに満たない、上記第1の偏光成分への上記第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成される、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[17]上記マルチビーム要素のアレイおよび上記サブ波長格子のアレイが、互いに対向する上記光ガイドの表面に配置される、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[18]偏光リサイクルバックライト動作の方法であって、
導波光として光ガイドの長さに沿って光を導くステップであり、上記導波光が第1の偏光成分および第2の偏光成分を含むステップと、
偏光選択性散乱機能部を用いて放射光として上記導波光の上記第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるステップと、
上記導波光の上記第2の偏光成分の一部をサブ波長格子を含む偏光変換構造を用いて上記第1の偏光成分に変換するステップと
を含む、方法。
[19]上記偏光選択性散乱機能部が、上記光ガイド長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数のマルチビーム要素を含み、上記第1の偏光成分の上記部分を選択的に外へ散乱させるステップが、上記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素を用いて上記放射光として上記部分を回折的に外へ散乱させることを含み、上記放射光が、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む、上記[18]に記載の偏光リサイクルバックライト動作の方法。
[20]上記偏光変換構造が、上記光ガイドの表面に上記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素の間に配置される、上記[19]に記載の偏光リサイクルバックライト動作の方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0007】
図1B】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分のグラフィック表現を示す。
【0008】
図2】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での回折格子の横断面図を示す。
【0009】
図3A】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライトの横断面図を示す。
【0010】
図3B】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライトの斜視図を示す。
【0011】
図3C】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での回折マルチビーム要素および偏光変換構造を含む偏光リサイクルバックライトの一部の横断面図を示す。
【0012】
図4A】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での回折マルチビーム要素を含む偏光リサイクルバックライトの一部の横断面図を示す。
【0013】
図4B】本明細書において説明される原理と一致するもう1つの実施形態による、一例での回折マルチビーム要素を含む偏光リサイクルバックライトの一部の横断面図を示す。
【0014】
図5A】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での回折マルチビーム要素および偏光変換構造のサブ波長格子を含む偏光リサイクルバックライトの表面の一部の平面図を示す。
【0015】
図5B】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのサブ波長格子の平面図を示す。
【0016】
図6】本明細書において説明される原理と一致する他の実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライトの一部の横断面図を示す。
【0017】
図7】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのモード選択可能な2D/3Dディスプレイの横断面図を示す。
【0018】
図8】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0019】
図9】本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのバックライト動作の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ある一定の例および実施形態は、上記で参照した図に示されている特徴に加えたもの、およびその代わりのものである他の特徴を有する。これらのおよび他の特徴は、上述の図を参照して以下に詳細に述べられる。
【0021】
本明細書において説明される原理による例および実施形態は、電子ディスプレイへの応用を伴う偏光選択性散乱および偏光変換を用いた背面照明を提供する。本明細書において説明される原理に一致する種々の実施形態においては、偏光選択性散乱機能部を用いたバックライトが提供される。偏光選択性散乱機能部は、光の偏光部を選択的に外へ散乱させる。また、サブ波長格子を含む偏光変換構造(polarization conversion structure)が提供される。偏光変換構造は、導波光の偏光を偏光選択性散乱機能部によって選択的に散乱される光の偏光部に対応する偏光に変換する。導波光の偏光を選択的に散乱される偏光に変換することによって、偏光変換構造は、偏光選択性散乱体による選択的散乱に利用可能な偏光光の量を増加させることができ、したがっていくつかの実施形態によれば、バックライトによって放射される光の強度を増加させることができる。
【0022】
本明細書において、「二次元ディスプレイ」または「2Dディスプレイ」は、画像が見られる方向にかかわらず(すなわち、所定の視野角または2D表示の範囲内で)実質的に同一のものである画像のビューを提供するように構成されるディスプレイとして定義される。多くのスマートフォンおよびコンピューターモニターに提供される液晶ディスプレイ(LCD)は、2Dディスプレイの例である。本明細書とは対照的に、「マルチビューディスプレイ」は、マルチビュー画像の異なるビューを異なるビュー方向にまたはそれから提供するように構成される電子ディスプレイまたはディスプレイシステムとして定義される。特に、異なるビューは、マルチビュー画像のシーンまたはオブジェクトの異なる斜視図を表すことができる。いくつかの例においては、マルチビューディスプレイはまた、例えばマルチビュー画像の2つの異なるビューを同時に見ることが3次元画像を見るという知覚を提供する場合に、3次元(3D)ディスプレイと呼ばれる場合もある。
【0023】
ここで、「光ガイド」とは、内部全反射を用いて構造内で光を導く構造として定義される。特に、光ガイドは、光ガイドの動作波長において実質的に透明であるコアを含むことができる。「光ガイド」という用語は、一般に、光ガイドの誘電材料とその光ガイドを取り囲む材料もしくは媒体との間の界面で光を導くように内部全反射を用いる誘電体光導波路を指す。定義により、内部全反射の条件は、光ガイドの屈折率が、光ガイド材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態においては、光ガイドは、内部全反射をさらに容易にするように、前述の屈折率差に加えてまたはその代わりにコーティングを含むことができる。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。光ガイドは、プレートもしくはスラブガイドおよびストリップガイドのうちの1つまたは両方を含むがこれらに限定されないいくつかの光ガイドのいずれであってもよい。
【0024】
本明細書においては、「偏光選択性散乱機能部(polarization-selective scattering feature)」は、一般に、特定の偏光を有する入射光を選択的に散乱させるように構成される機能部(feature)として定義される。いくつかの実施形態においては、入射光は、第1の偏光成分または単に「第1の偏光」、および第2の偏光成分または単に「第2の偏光」を含むことができる。例えば、第1の偏光成分は、横電気(TE)偏光成分であることができるが、第2の偏光成分は、横磁気(TM)偏光成分であり得る。もう1つの例においては、第1の偏光成分は、TM偏光成分であることができ、第2の偏光成分は、TE偏光成分であり得る。
【0025】
種々の実施形態によれば、偏光選択性散乱機能部は、第1の偏光と関連する(例えば、第1の偏光を有する)光を優先的に外へ散乱させるように構成され得る。さらに、第2の偏光成分と関連する(例えば、第2の偏光を有する)光は、種々の実施形態によれば、偏光選択性散乱機能部によって散乱されないか、または最小に散乱され得る。いくつかの実施形態においては、偏光選択性散乱機能部は、光ガイドの中から第1の偏光の導波光を選択的に散乱させるように光ガイドに光学的に結合され得る。特に、偏光選択性散乱機能部は、いくつかの実施形態によれば光ガイドの表面に配置される。
【0026】
本明細書においては、「偏光変換構造」は、一般に、構造に入射する光の偏光成分の一部をもう1つの偏光成分に変換するように構成される構造として定義される。例えば、偏光変換構造は、構造に入射する光の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換することができる。したがって、偏光変換構造は、TM偏光成分を含む光を受け取り、TM偏光成分の一部をTE偏光成分に変換し、次いで、結果として生じるTE偏光成分を含む出力光として提供することができる。いくつかの実施形態においては、偏光変換構造は、第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に位相遅延を用いることができる。特に、偏光変換構造は、第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換するのに十分な第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に位相遅延を導入することができる。種々の実施形態においては、偏光変換構造は、以下でさらに説明されるように、回折格子、および具体的には、サブ波長回折格子を含む。
【0027】
本明細書においては定義により、「マルチビーム要素」は、複数の指向性光ビームを含む光を生成するバックライトまたはディスプレイの構造または要素である。マルチビーム要素によって生成される複数の指向性光ビーム(または「複数の指向性光ビーム」)の指向性光ビームは、本明細書においては定義により、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義により、複数の指向性光ビームの指向性光ビームは、複数の指向性光ビームのもう1つの指向性光ビームと異なる所定の主角度方向を有する。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム要素のサイズは、マルチビーム要素と関連するディスプレイ(例えば、マルチビューディスプレイ)に使用されるライトバルブのサイズに匹敵し得る。特に、マルチビーム要素のサイズは、いくつかの実施形態においては、ライトバルブのサイズの約2分の1と約2倍との間であり得る。いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素は、偏光選択性散乱を提供することができる。
【0028】
種々の実施形態によれば、複数の指向性光ビームは、ライトフィールドを表すことができる。例えば、複数の指向性光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に閉じ込められることができ、または複数の光ビームについて光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有することができる。したがって、組み合わさった指向性光ビームの所定の角度広がり(すなわち、複数の指向性光ビーム)は、ライトフィールドを表すことができる。
【0029】
種々の実施形態によれば、複数の指向性光ビームの様々な指向性光ビームの異なる主角度方向は、他の特性と共にマルチビーム要素のサイズ(例えば、長さ、幅、面積、およびその他のうちの1つまたはそれ以上)を含むがこれらに限定されない特性によって決定される。例えば、回折マルチビーム要素においては、回折格子マルチビーム要素内の回折格子の「格子ピッチ」もしくは回折機能部間隔および向きは、様々な指向性光ビームの異なる主角度方向を少なくとも一部は決定する特性であり得る。いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素は、本明細書においては定義により、「拡張点光源」、すなわちマルチビーム要素の範囲の全域に配置された複数の点光源と考えられ得る。さらに、マルチビーム要素によって生成される指向性光ビームは、図1Bに関して以下で説明されるように、角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有することができる。
【0030】
本明細書においては、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向でマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成される電子ディスプレイまたはディスプレイシステムとして定義される。図1Aは、本明細書において説明される原理に一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイ10の斜視図を示している。図1Aに示されるように、マルチビューディスプレイ10は、見られるべきマルチビュー画像を表示するスクリーン12を含む。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16でマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延在する矢印として示されており、異なるビュー14は、矢印の終点で陰影付きの多角形ボックスとして示されており(すなわち、ビュー方向16を示しており)、かつ、4つのビュー14および4つのビュー方向16のみが、すべて例示としてでありこれに限定されるものではなく示されている。異なるビュー14がスクリーンの上方にあるように図1Aで示されているが、ビュー14は、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示される場合は実際にスクリーン12の上方にまたはその近くに現れることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描くことは、説明を簡単にするためだけであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれのものからマルチビューディスプレイ10を見ることを表すように意図されている。
【0031】
ビュー方向、または同等にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、一般に、本明細書においては定義により、角度成分(θ、φ)によって与えられる主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書においては、光ビームの「仰角成分」または「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位成分」または「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは、(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に垂直な)垂直平面における角度であるが、方位角φは、(例えば、マルチビューディスプレイスクリーン平面に平行な)水平面における角度である。
【0032】
図1Bは、本明細書において説明される原理に一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、図1Aにおけるビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分(θ、φ)のグラフィック表現を示している。さらに、光ビーム20は、本明細書においては定義により、特定の点から放射されまたは発する。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点と関連する中心光線を有する。また、図1Bは、光ビーム(またはビュー方向)の原点Oを示している。
【0033】
さらに、本明細書においては、「マルチビュー画像」および「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表し、または複数のビューのビュー間の角度視差を含む複数のビューとして定義される。さらに、本明細書においては「マルチビュー」という用語は、本明細書においては定義により、2つより多い異なるビュー(すなわち、最小限3つのビュー、および通常は3つより多いビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書において用いられる「マルチビューディスプレイ」は、シーンまたは画像を表すように2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイと明示的に区別される。しかしながら、マルチビュー画像およびマルチビューディスプレイは、本明細書においては定義により2つより多いビューを含むが、マルチビュー画像は、一度に見るようにマルチビュービューのうちの2つ(例えば、1つの眼につき1つのビュー)のみを選択することによって、画像のステレオペアとして(例えば、マルチビューディスプレイ上に)見られ得ることに留意されたい。
【0034】
本明細書においては、「回折格子」は、一般に、回折格子に入射する光の回折を提供するように配置されまたは構成される複数の機能部(すなわち、回折機能部(diffractive features))として定義される。いくつかの例においては、複数の機能部は、周期的にまたは準周期的に配置され得る。例えば、回折格子は、1次元(1D)アレイに配置される複数の機能部(例えば、材料表面の複数の溝または隆起)を含むことができる。他の例においては、回折格子は、機能部の2次元(2D)アレイであってもよい。回折格子は、例えば、材料表面のバンプまたは穴の2Dアレイであってもよい。
【0035】
したがって、本明細書においては定義により、回折格子は、回折格子に入射する光の回折を提供する構造である。光が光ガイドから回折格子に入射する場合、提供される回折または回折散乱は、回折格子が回折によって光ガイドから光を結合し得るという点で、「回折結合」をもたらし、したがって「回折結合」と呼ばれ得る。また、回折格子は、回折によって(すなわち、回折角で)光の角度を方向変更しまたは変える。特に、回折の結果として、回折格子を出る光は、一般に、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向に比べて異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化は、本明細書においては「回折的方向変更」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折的に方向変更する回折機能部を含む構造であると理解されることができ、光が光ガイドから入射する場合に、回折格子はまた、光ガイドから光を回折的に外へ結合することができる。
【0036】
さらに、本明細書においては定義により、回折格子の機能部は、「回折機能部」と呼ばれ、材料表面(すなわち、2つの材料間の境界)での、その中のおよびその上のうちの1つまたはそれ以上にあり得る。表面は、例えば、光ガイドの表面であってもよい。回折機能部は、表面での、その中の、またはその上の溝、隆起、穴、およびバンプのうちの1つまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない光を回折する様々な構造のいずれかを含むことができる。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含むことができる。もう1つの例においては、回折格子は、材料表面から隆起する複数の平行な隆起を含むことができる。回折機能部(例えば、溝、隆起、穴、バンプ、その他)は、正弦波プロファイル、長方形プロファイル(例えば、バイナリ回折格子)、三角形プロファイルおよび鋸歯プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1つまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない回折を提供する様々な断面形状またはプロファイルのいずれかを有することができる。
【0037】
本明細書において説明される種々の例によれば、回折格子(例えば、以下で説明されるマルチビーム要素の回折格子)は、光ビームとして光ガイド(例えば、導光板)から光を回折的に散乱させまたは結合するように用いられ得る。特に、局所的に周期的な回折格子の、またはそれによって提供される回折角θは、
【数1】
として式(1)によって与えられることができ、
ここで、λは光の波長であり、mは回折次数であり、nは光ガイドの屈折率であり、dは回折格子の機能部の間の距離または間隔であり、θは回折格子に対する光の入射角である。簡単にするために、式(1)は、回折格子が光ガイドの表面に隣接し、光ガイドの外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、nout=1)ということを仮定している。一般に、回折次数mは、整数で与えられる。回折格子によって生成される光ビームの回折角θは、回折次数が正(例えば、m>0)である式(1)によって与えられ得る。例えば、1次回折は、回折次数mが1に等しい(すなわち、m=1である)場合に提供される。
【0038】
図2は、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での回折格子30の横断面図を示している。例えば、回折格子30は、光ガイド40の表面に配置され得る。さらに、図2は、入射角θで回折格子30に入射する光ビーム50を示している。光ビーム50は、光ガイド40内の導波光ビームである。また、図2においては、入射光ビーム50の回折の結果として回折格子30によって回折的に生成され、外へ結合される指向性光ビーム60が示されている。指向性光ビーム60は、式(1)によって与えられる回折角θ(または本明細書においては「主角度方向」)を有する。回折角θは、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応することができる。
【0039】
本明細書においては、「光源」は、光源(例えば、光を生成し放射するように構成される光エミッタ)として定義される。例えば、光源は、作動されまたはオンにされると光を放射する発光ダイオード(LED)などの光エミッタを含むことができる。特に、本明細書においては、光源は、実質的に任意の光源であることができ、または発光ダイオード(LED)、レーザー、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベース光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、および事実上任意の他の光源のうちの1つまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない実質的に任意の光エミッタを含むことができる。光源によって生成される光は、色を有することができ(すなわち、特定の波長の光を含むことができ)、または様々な波長(例えば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態においては、光源は、複数の光エミッタを含むことができる。例えば、光源は、光エミッタのセットまたはグループを含むことができ、その場合、光エミッタのうちの少なくとも1つは、セットまたはグループの少なくとも1つの他の光エミッタによって生成される光の色または波長と異なる、色または同等に波長を有する光を生成する。異なる色は、例えば、原色(例えば、赤、緑、青)を含むことができる。
【0040】
定義により、「広角の」放射光は、マルチビュー画像またはマルチビューディスプレイのビューの円錐角よりも大きい円錐角を有する光として定義される。特に、いくつかの実施形態においては、広角放射光は、約20度よりも大きい(例えば、>±20°)円錐角を有することができる。他の実施形態においては、広角放射光円錐角は、約30度より大きい(例えば、>±30°)、または約40度より大きい(例えば、>±40°)、または50度より大きい(例えば、>±50°)場合がある。例えば、広角放射光の円錐角は、約60度(例えば、>±60°)であってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態においては、広角放射光円錐角は、LCDコンピューターモニター、LCDタブレット、LCDテレビジョン、または広角ビューイングのための同様のデジタルディスプレイデバイスの視野角とほぼ同じであると定義され得る(例えば、約±40-65°)。他の実施形態においては、広角放射光はまた、拡散光、実質的に拡散光、(すなわち、任意の特定のまたは定義された指向性を欠いている)非指向性光として、あるいは単一または実質的に均一な方向を有する光として特徴付けられまたは説明され得る。
【0042】
さらに、本明細書において使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つまたはそれ以上」を有するよう意図されている。例えば、「サブ波長格子(a subwavelength grating)」は、1つまたはそれ以上のサブ波長格子を意味し、したがって、「サブ波長格子(the subwavelength grating(s))」は、本明細書においては「サブ波長格子(複数のサブ波長格子)」を意味する。また、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上方の(upper)」、「下方の(lower)」、「上に(up)」、「下に(down)」、「前部の(front)」、「後部の(back)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「左の(left)」または「右の(right)」に対する本明細書における任意の参照は、本明細書において限定するよう意図されているものではない。本明細書においては、値に適用される場合の「約(about)」という用語は、一般に、値を生成するのに使用される機器の許容範囲の範囲内を意味し、あるいは特に明記しない限り、プラスまたはマイナス10%、あるいはプラスまたはマイナス5%、あるいはプラスまたはマイナス1%を意味することができる。さらに、本明細書において使用される「実質的に(substantially)」という用語は、大部分、またはほぼすべて、またはすべて、または約51%から約100%の範囲の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書における例は、例示するだけであることを目的とするものであり、議論の目的で提示されており、限定するためではない。
【0043】
本明細書において説明される原理のいくつかの実施形態によれば、バックライトが提供される。図3Aは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライト100の横断面図を示している。図3Bは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライト100の斜視図を示している。図3Cは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライト100の一部の横断面図を示している。図示の偏光リサイクルバックライト100は、例えば、マルチビューディスプレイを含むがこれに限定されない電子ディスプレイの背面照明に使用され得る。
【0044】
種々の実施形態によれば、偏光リサイクルバックライト100は、放射光102として光を提供しまたは放射するように構成される。いくつかの実施形態においては、放射光102は、広角放射光であることができ、またはそれを含むことができる。広角放射光は、例えば、2Dディスプレイ用途における照明源としての使用に適している場合がある。他の実施形態においては、放射光102は、複数の指向性光ビームを含む指向性放射光であり得る。例えば、複数の指向性光ビームは、マルチビュー画像のビュー方向に対応する方向を有することができ、放射光102は、マルチビュー画像を表示するように構成されるマルチビューディスプレイのための照明源として使用され得る。
【0045】
さらに、偏光リサイクルバックライト100は、導波光104として偏光リサイクルバックライト100内で導かれる光の特定の偏光成分から、またはそれを用いて放射光102を提供するように構成され得る。例えば、放射光102は、導波光104の第1の偏光成分から提供されることができ、または少なくとも実質的にそれから提供され得る。結果として、第1の偏光の利用可能な量は、放射光102を提供する結果として減少する場合がある。偏光リサイクルバックライト100は、特定の偏光以外の導波光104の一部の偏光をその偏光成分を補充するように特定の偏光成分に変換するようにさらに構成される。例えば、偏光リサイクルバックライト100は、第2の偏光成分を導波光104の第1の偏光成分を補充するように第1の偏光成分に変換することができる。したがって、偏光リサイクルバックライト100は、種々の実施形態によれば、放射光102を提供するために使用される特定の偏光成分の追加の導波光を提供するように導波光104の偏光成分を再利用するように構成される。
【0046】
図3A図3Cに示されるように、偏光リサイクルバックライト100は、光ガイド110を含む。光ガイド110は、導波光104(すなわち、導波光ビーム104)として光ガイド110の長さに沿って光を導くように構成される。例えば、光ガイド110は、光導波路として構成される誘電材料を含むことができる。誘電材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有することができる。屈折率の差は、例えば、光ガイド110の1つまたはそれ以上の導波モードに従って、導波光104の内部全反射を容易にするように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態においては、光ガイド110は、光学的に透明な誘電材料の拡張された実質的に平面のシートを含むスラブまたは平板光導波路(すなわち、導光板)であり得る。誘電材料の実質的に平面のシートは、内部全反射を用いて導波光104を導くように構成される。様々な例によれば、光ガイド110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(例えば、石英ガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、その他)および実質的に光学的に透明なプラスチックまたはポリマー(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)または「アクリルガラス」、ポリカーボネート、その他)のうちの1つまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない様々な誘電材料のいずれかを含むことができ、またはそれらからできている場合がある。いくつかの例においては、光ガイド110は、光ガイド110の表面の少なくとも一部(例えば、第1の表面および第2の表面のうちの1つまたは両方)にクラッド層(図示せず)をさらに含むことができる。クラッド層は、いくつかの例によれば内部全反射をさらに容易にするように使用され得る。
【0048】
さらに、いくつかの実施形態によれば、光ガイド110は、光ガイド110の第1の表面110’(例えば、前面または上面または側面)と第2の表面110’’(例えば、背面または底面または側面)との間で非ゼロ伝播角度で内部全反射によって導波光104を導くように構成される。特に、導波光104は、非ゼロ伝播角度で光ガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で反射しまたは「跳ね返る」ことによって伝播する。いくつかの実施形態においては、光の異なる色を含む複数の導波光ビーム104は、異なる色別の非ゼロ伝播角度のそれぞれで光ガイド110によって導かれ得る。非ゼロ伝播角度は、説明を簡単にするために図3Bには示されていないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を表す太い矢印が、図3Aの光ガイド長さに沿った導波光104の一般的な伝播方向を示している。
【0049】
本明細書において定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、光ガイド110の表面(例えば、第1の表面110’または第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、非ゼロ伝播角度は、種々の実施形態によれば、ゼロより大きくもあり、光ガイド110内の内部全反射の臨界角度より小さくもある。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度と約50度との間、またはいくつかの例においては、約20度と約40度との間、または約25度と約35度との間であり得る。例えば、非ゼロ伝播角度は、約30度であってもよい。他の例においては、非ゼロ伝播角度は、約20度、または約25度、または約35度であり得る。さらに、特定の非ゼロ伝播角度が光ガイド110内の内部全反射の臨界角より小さいように選択される限り、特定の非ゼロ伝播角度は、特定の実装のために(例えば、任意に)選択され得る。
【0050】
光ガイド110内の導波光104は、非ゼロ伝播角度(例えば、約30~35度)で光ガイド110に導入されまたは結合され得る。いくつかの例においては、これらに限定されないが、レンズ、ミラーまたは同様の反射鏡(例えば、傾斜コリメーティング反射鏡)、回折格子およびプリズム(図示せず)ならびにそれらの様々な組み合わせなどの結合構造は、非ゼロ伝播角度で導波光104として光ガイド110の入力端で光を結合することを容易にすることができる。他の例においては、光は、結合構造を使用せずに、または実質的に使用せずに、光ガイド110の入力端に直接導入され得る(すなわち、直接または「突合わせ」結合が用いられ得る)。いったん光ガイド110に結合されれば、導波光104は、一般に入力端から遠ざかることがある伝播方向103に光ガイド110に沿って伝播するように構成される(例えば、図3Aのx軸に沿って示している太い矢印で示されている)。
【0051】
さらに、光を光ガイド110に結合することによって生成される導波光104、または同等に導波光ビーム104は、種々の実施形態によれば、コリメート光ビームであってもよい。本明細書においては、「コリメート光」または「コリメート光ビーム」は、一般に、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光ビーム104)内で互いに実質的に平行である光のビームとして定義される。さらに、コリメート光ビームから発散しまたは散乱される光線は、本明細書においては定義により、コリメート光ビームの一部と考えられてない。いくつかの実施形態においては、偏光リサイクルバックライト100は、例えば光源からの光を平行にするように、上述のようにレンズ、反射鏡またはミラーなどのコリメータ(例えば、傾斜コリメーティング反射鏡)を含むことができる。いくつかの実施形態においては、光源はコリメータ(図示せず)を含む。光ガイド110に提供されるコリメート光は、コリメート導波光104である。導波光104は、種々の実施形態においては、コリメーション係数sに従って、またはコリメーション係数sを有するように平行にされ得る。
【0052】
いくつかの実施形態においては、光ガイド110は、導波光104を方向変更し再利用するように構成され得る。特に、光ガイド長さに沿って導かれている導波光104は、伝播方向103と異なるもう1つの伝播方向103’にその長さに沿って後方へ方向変更され得る。例えば、光ガイド110は、光源に隣接する入力端と反対側の光ガイド110の端部に反射鏡(図示せず)を含むことができる。反射鏡は、導波光104を方向変更された導波光として入力端に向かって反射し返すように構成され得る。いくつかの実施形態においては、もう1つの光源が、(例えば、反射鏡を用いて)光の方向変更の代わりに、またはそれに加えて、他の伝播方向103’に導波光104を提供することができる。導波光104を方向変更し再利用すること、および他の伝搬方向103’を有する導波光104を提供するようにもう1つの光源を用いることの一方または両方は、例えば、以下で説明される偏光選択性散乱機能部および偏光変換構造の一方または両方に導波光104を複数回利用できるようにすることによって、偏光リサイクルバックライト100の輝度を増加させる(例えば、放射光102の強度を増加させる)ことができる。加えて、導波光104は、例えば、光ガイド110の両端で導波光104を反射することによって、複数回方向変更され得る。
【0053】
図3Aにおいては、(例えば、負のx方向に向けられた)再利用される導波光の伝播方向103’を示す太い矢印は、光ガイド110内の再利用される導波光の一般的な伝播方向を示している。
あるいは(例えば、導波光を再利用することと異なり)、他の伝播方向103’に伝播する導波光104は、(例えば、伝播方向103を有する導波光104に加えて)他の伝播方向103’で光ガイド110に光を導入することによって提供され得る。
【0054】
いくつかの例においては、導波光104は、実質的に非偏光の、または同等に「ランダムに偏光された」光として、光ガイド110に最初は結合され得る。導波光104は、第1の偏光成分および第2の偏光成分を有することができる。第1および第2の偏光成分は、種々の例によれば、互いに実質的に直交することができる。いくつかの例においては、第1の偏光成分は、横電気(TE)偏光成分であり、第2の偏光成分は、横磁気(TM)偏光成分である。導波光104は、いくつかの例によれば、2つの直交する偏光成分(すなわち、第1および第2の偏光成分)の重ね合わせによって表され得る。
【0055】
いくつかの例においては、第1の偏光成分に対応するまたはそれと関連する導波光104の第1の部分の特性(例えば、強度、量、レベル、その他)は、特に、光ガイド110の入力端の近傍において光ガイド110内の第2の偏光成分に対応するまたはそれと関連する導波光104の第2の部分の特性(例えば、強度、その他)とほぼ等しくなり得る。言い換えれば、光ガイド110の入力端における実質的に非偏光のまたは任意に偏光された導波光104の光は、第1および第2の偏光成分(例えば、TEおよびTM偏光成分)の間でほぼ等しく分配され得る。他の例においては、導波光104の第1の偏光成分の部分の特性は、第2の偏光成分の部分よりも大きく、または、第2の偏光成分の特性は、第1の偏光成分部分よりも大きい。
【0056】
図3A図3Cに示される偏光リサイクルバックライト100は、偏光選択性散乱機能部120をさらに含む。偏光選択性散乱機能部120は、放射光102として偏光選択性散乱機能部120に入射する導波光104の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される。すなわち、偏光選択性散乱機能部120は、特定の偏光、例えば第1の偏光成分を有する導波光104の一部を光ガイドから散乱させるように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態においては、偏光選択性散乱機能部120は、複数の偏光選択性散乱体を含む。特に、偏光選択性散乱機能部120の個々の偏光選択性散乱体は、互いに間隔を置いて設けられた別々の構造または機能部であってもよく、各別々の構造は、偏光選択的に導波光104の異なる部分を散乱させまたは外へ結合するように構成される。種々の実施形態においては、偏光選択性散乱機能部120は、回折格子、反射構造および屈折構造、ならびに偏光選択性散乱特性を有するそれらの様々な組み合わせを含むがこれらに限定されない偏光選択性散乱を提供し、またはそれを生成するように構成される様々な異なる構造または機能部のいずれかを含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態においては、偏光リサイクルバックライト100の偏光選択性散乱機能部120は、マルチビーム要素120’を含むことができる。特に、偏光選択性散乱機能部120は、いくつかの実施形態においては、複数のマルチビーム要素120’を含むことができる。図3A図3Cは、限定ではなく例示として、複数のマルチビーム要素120’を含む偏光選択性散乱機能部120を示している。複数のマルチビーム要素120’を含む偏光選択性散乱機能部120を有する光ガイド110を持つ偏光リサイクルバックライト100は、以下でより詳細にさらに説明されるように、「マルチビュー」バックライトと呼ばれる場合がある。
【0059】
種々の実施形態によれば、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素120’は、光ガイド110の長さに沿って互いに間隔を置いて設けられ得る。特に、マルチビーム要素120’は、有限の空間によって互いに分離され、光ガイド長さに沿った個々の別個の要素を表すことができる。すなわち、本明細書においては定義により、複数のマルチビーム要素120’は、有限の(すなわち、非ゼロの)要素間距離(例えば、有限の中心間距離)によって互いに間隔を置いて設けられる。さらに、マルチビーム要素120’は、いくつかの実施形態によれば、一般に、互いに交差せず、重なり合わず、または別様に接触しない。すなわち、複数のマルチビーム要素の各マルチビーム要素120’は、一般に別個であり、マルチビーム要素120’の他のものから分離される。
【0060】
種々の実施形態においては、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素120’は、光ガイド110の表面(例えば、第1の表面110’または第2の表面110’’)において、その上におよびその中のうちの1つまたはそれ以上の様々な形状に配置されてもよい。例えば、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素120’は、(例えば、アレイとして)光ガイド表面の全域で列および行に配置され得る。もう1つの例においては、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素120’は、グループに配置されてもよく、グループは、行および列に配置され得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、偏光選択性散乱機能部120の複数のマルチビーム要素120’は、1次元(1D)アレイと2次元(2D)アレイのどちらかに配置され得る。例えば、複数のマルチビーム要素120’は、直線1Dアレイとして配置されてもよい。もう1つの例においては、複数のマルチビーム要素120’は、長方形の2Dアレイとしてまたは円形の2Dアレイとして配置されてもよい。さらに、アレイ(すなわち、1Dまたは2Dアレイ)は、いくつかの例においては、規則的または均一なアレイであり得る。特に、マルチビーム要素120’間の要素間距離(例えば、中心間距離または間隔)は、アレイの全域で実質的に均一または一定であり得る。他の例においては、マルチビーム要素120’間の要素間距離は、アレイ全体の全域でおよび光ガイド110の長さに沿ってのうちの一方または両方で変化され得る。
【0062】
種々の実施形態によれば、複数のマルチビーム要素120’のマルチビーム要素120’は、放射光102として導波光104の一部を外へ結合するように構成される。さらに、放射光102は、複数の指向性光ビーム102’を含み、(したがって、指向性放射光と呼ばれる場合がある)。図3Aにおいては、指向性光ビーム102’は、光ガイド110の第1の(または前部)表面110’から向けられた方向であるように描かれている複数の分岐矢印として示されている。種々の実施形態によれば、指向性光ビーム102’は、互いに異なる主角度方向を有する。さらに、指向性光ビーム102’の異なる主角度方向は、種々の実施形態によれば、マルチビューピクセルを含むマルチビューディスプレイのそれぞれの異なるビュー方向に対応することができる。
【0063】
種々の実施形態によれば、マルチビーム要素120’は、導波光104の一部を外へ結合するように構成されるいくつかの異なる構造のいずれかを含むことができる。例えば、異なる構造は、回折格子、微小反射素子、微小屈折素子、またはそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、回折格子を含むマルチビーム要素120’は、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビーム102’として導波光部分を回折的に外へ結合するように構成される。他の実施形態においては、微小反射素子を含むマルチビーム要素120’は、複数の指向性光ビーム102’として導波光部分を反射的に外へ結合するように構成され、または、微小屈折素子を含むマルチビーム要素120’は、屈折によってまたはそれを用いて、複数の指向性光ビーム102’として導波光部分を外へ結合する(すなわち、導波光部分を屈折して外へ結合する)ように構成される。
【0064】
図4Aは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビーム要素120’を含む偏光リサイクルバックライト100の一部の横断面図を示している。図4Bは、本明細書において説明される原理と一致するもう1つの実施形態による、一例でのマルチビーム要素120’を含む偏光リサイクルバックライト100の一部の横断面図を示している。特に、図4A図4Bは、回折格子122を含む回折マルチビーム要素として、偏光リサイクルバックライト100のマルチビーム要素120’を示している。回折格子122は、放射光102の複数の指向性光ビーム102’として導波光104の一部を回折的に外へ結合するように構成される。回折格子122は、導波光部分から回折結合を提供するように構成される回折機能部間隔または回折機能部または格子ピッチによって互いに間隔を置いて設けられた複数の回折機能部を含む。
【0065】
いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素120’の回折格子122は、光ガイド110の表面にまたはそれに隣接して配置され得る。例えば、回折格子122は、例えば、図4Aに示されるように、光ガイド110の第1の表面110’にあり、またはそれに隣接することができる。光ガイド110の第1の表面110’における回折格子122は、指向性光ビーム102’として第1の表面110’を通して導波光部分を回折的に外へ結合するように構成される透過モード回折格子であり得る。他の実施形態においては、例えば、図4Bに示されるように、回折格子114は、光ガイド110の第2の表面110’’に、またはそれに隣接して配置され得る。第2の表面110’’に配置される場合、回折格子122は、反射モード回折格子であり得る。反射モード回折格子として、回折格子122は、導波光部分を回折するのみならずまた、指向性光ビーム102’として第1の表面110’を通して出て行くように第1の表面110’に向かって回折された導波光部分を反射するように構成される。さらに他の実施形態(図示せず)においては、回折格子は、例えば、透過モード回折格子および反射モード回折格子のうちの一方または両方として、光ガイド110の表面の間に配置され得る。本明細書において説明されるいくつかの実施形態においては、指向性光ビーム102’の主角度方向は、光ガイド表面で光ガイド110を出て行く指向性光ビーム102’による屈折の影響を含み得ることに留意されたい。例えば、図3Aおよび図4Bは、限定ではなく例示として、指向性光ビーム102’が第1の表面110’を横切る際の屈折率の変化による指向性光ビーム102’の屈折(すなわち、曲げ)を示している。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、回折格子122の回折機能部は、互いに間隔を置いて設けられた溝および隆起のうちの一方または両方を含むことができる。溝または隆起は、光ガイド110の材料を含むことができ、例えば、光ガイド110の表面に形成されてもよい。もう1つの例においては、溝または隆起は、光ガイド材料以外の材料、例えば、光ガイド110の表面上のもう1つの材料のフィルムまたは層から形成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素120’の回折格子122は、回折機能部間隔が回折格子122全体にわたって実質的に一定のまたは変わらない均一な回折格子である。他の実施形態においては、回折格子122は、チャープ回折格子であってもよい。定義により、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の範囲または長さの全域で変化する回折機能部の回折間隔(すなわち、格子ピッチ)を示しまたは有する回折格子である。いくつかの実施形態においては、チャープ回折格子は、距離とともに直線的に変化する回折機能部間隔のチャープを有しまたはそれを示すことができる。したがって、チャープ回折格子は、定義により「線形チャープ」回折格子である。他の実施形態においては、マルチビーム要素120’のチャープ回折格子は、回折機能部間隔の非線形チャープを示すことができる。指数チャープ、対数チャープ、またはもう1つの実質的に不均一もしくはランダムであるが依然として単調に変化するチャープを含むがこれらに限定されない種々の非線形チャープが、使用され得る。また、正弦波チャープまたは三角形もしくは鋸歯状チャープなどであるがこれらに限定されない非単調チャープが用いられ得る。
また、これらのタイプのチャープのいずれかの組み合わせが用いられ得る。
【0068】
再び図3A~3Cを参照すると、偏光リサイクルバックライト100は、偏光変換構造130をさらに含む。偏光変換構造130は、偏光成分の一部をもう1つの偏光成分に変換するように構成される。具体的には、偏光変換構造130は、非ゼロ伝播角度で偏光変換構造130に入射する導波光104の一部を反射して方向変更するように構成される。そうすることで、偏光変換構造130は、第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換する。すなわち、偏光変換構造130は、偏光変換構造130に入射する光の第2の偏光成分の一部を反射光の第1の偏光に変換する。例えば、第1の偏光成分がTE偏光成分であり、第2の成分がTM偏光成分である場合は、偏光変換構造130は、入射光のTM偏光成分の一部を反射光のTE偏光成分に変換することができる。それによって、反射光の第1の偏光成分(この例においては、TE成分)の部分が増加される。
【0069】
図3Cは、本発明の実施形態による偏光変換構造130を含む偏光リサイクルバックライト100の横断面図を示している。偏光変換構造130は、非ゼロ伝播角度で偏光変換構造130に入射する導波光104の一部を反射して方向変更し、導波光104の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換するように構成される。この例においては、偏光変換構造130は、偏光選択性散乱機能部120の複数の偏光選択性散乱体の間の光ガイド110の第2の表面110’’に配置される。偏光変換構造130に入射する導波光104が示されている。さらに、第1の偏光成分104’を表す第1のベクトル、および第1の偏光成分104’に直交する、導波光104の第2の偏光成分104’’を表す第2のベクトルが示されている。特に、第の偏光成分104’は、偏光変換構造130の第1の表面に平行であり、ページの中指し示しているベクトルを表すように中央にドットを持つ円として示されている。第1および第2の偏光成分104’、104’’は、図3Cに示されるように、互いに直交するばかりでなく、導波光104の進行方向にも直交する。いくつかの実施形態においては、例えば、第1の偏光成分104’は、導波光104のTE偏光成分に対応することができるが、第2の偏光成分104’’は、導波光104のTM偏光成分に対応することができる。
【0070】
図3Cに示されるように、導波光104は、非ゼロ伝播角度で偏光変換構造130に入射する。導波光104は、反射光ビームとして偏光変換構造130によって反射されまたは反射して方向変更され、この反射光ビームは、入射角に実質的に等しい非ゼロ伝播角度で偏光変換構造から遠ざかるように伝播する。導波光104の反射中に、偏光変換構造130は、形態複屈折材料として働くことができる。すなわち、偏光変換構造130は、いくつかの例においては、第1の偏光成分104’および第2の偏光成分104’’、または同等に入射導波光104のTE偏光成分104’およびTM偏光成分104’’などの、2つの直交する偏光成分の間に位相遅延を導入することができる。したがって、偏光変換構造130は、いくつかの例によれば、入射導波光104の第1および第2の偏光成分104’、104’’の間に約2分の1波長差または90度の位相遅延を導入することができる。2つの偏光成分104’、104’’の間の位相遅延により、入射光のTM偏光成分104’’の一部の、反射光のTE偏光成分104’への変換がもたらされる。結果として、反射光のTE偏光成分部分は、入射光に対して増加される。これは、偏光変換構造130から反射された光の第1の偏光成分104’を表すより長いベクトルによって図3Cに示されている。同様に、反射光のTM偏光成分部分は、図3Cの反射光の中央にドットを持つより小さい円で示されるように、入射光に対して減少される。
【0071】
偏光変換構造130との相互作用の後、光ビーム104は、非ゼロ伝播角度で光ガイド110を通して引き続き伝播し、前述のように、光ガイド110の第1および第2の表面110’、110’’に対して交互に反射する。そうすることで、導波光104は、偏光変換構造130と複数回相互作用するように構成される。偏光変換構造130との各相互作用中に、第2の偏光成分104’’(例えば、TM偏光成分)の一部は、第1の偏光成分104’(例えば、TE偏光成分)にさらに変換される。また、導波光104は、光ガイド110を通してその伝搬中に偏光選択性散乱機能部120と相互作用する。偏光選択性散乱機能部120との相互作用中に、第1の偏光またはTE偏光成分の一部は、放射光102として光ガイド110から選択的に結合されまたは散乱される。第1の偏光成分の一部の偏光選択性散乱は、導波光104の第1の偏光成分を減らすかまたは消耗させる。この損失を補償するために、導波光104の第1の偏光成分の消耗した部分は、偏光変換構造130との反復的な相互作用を通して補充される。結果として、いくつかの実施形態によれば、より多量の第1の偏光成分が偏光選択性散乱機能部120に利用可能にされ、それにより、放射光102のより大きな強度、およびより明るい偏光リサイクルバックライト100がもたらされる。
【0072】
いくつかの実施形態においては、偏光変換構造130は、光ガイドの表面に実質的に直交する方向で構造に入射する光に対して実質的に光学的に透明であり、この種の光に対する偏光変換構造130の影響は最小限である。その代わりとして、偏光変換構造130は、非ゼロ伝播角度で伝播し、傾斜して構造に入射する導波光と相互に作用するように構成される。
【0073】
種々の実施形態においては、偏光変換構造130は、サブ波長格子132を含む。サブ波長格子132は、非ゼロ伝播角度でサブ波長格子132に入射する導波光の一部を反射して方向変更するように構成される。そうすることで、サブ波長格子132は、上述のように、導波光104の第2の偏光成分104’’の一部を第1の偏光成分104’に変換する。図5Aは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビーム要素120’および偏光変換構造130のサブ波長格子132を含む偏光リサイクルバックライト100の表面の一部の平面図を示している。図5Bは、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのサブ波長格子132の平面図を示している。
【0074】
いくつかの実施形態においては、サブ波長格子132は、複数の実質的に平行な回折機能部を含む。回折機能部は、いくつかの例においては、上述の回折格子の回折機能部と実質的に同様であり得る。特に、サブ波長格子132の回折機能部は、互いに間隔を置いて設けられた溝および隆起のうちの一方または両方を含むことができる。溝および隆起は、光ガイド110の表面に、または光ガイド材料以外の材料から形成されてもよい。しかしながら、サブ波長格子132においては、回折機能部間の距離、または同等に回折機能部の格子ピッチは、定義により導波光104の波長よりも短い。いくつかの実施形態においては、格子ピッチは、導波光104の波長よりも実質的に短くてもよい。例えば、サブ波長格子132の格子ピッチは、上述の回折格子122の格子ピッチの半分よりも小さくてもよい。サブ波長格子ピッチは、サブ波長格子132の偏光変換特性に寄与する回折特性を提供する。特に、サブ波長格子ピッチのために、サブ波長格子132は、形態複屈折材料、またはその回折特性が導波光104の入射部分の成分の向きの要因である材料として機能する。すなわち、サブ波長格子132の偏光変換特性は、入射導波光104の成分の向きに依存する。上述のように、サブ波長格子132に入射する導波光104は、互いに対して直角に向けられる第1の偏光成分および第2の偏光成分(いくつかの例においては、それぞれTE偏光およびTM偏光)を含むことができる。したがって、サブ波長格子132は、各偏光成分をその向きに従って異なって反射する。したがって、サブ波長格子132の形態複屈折は、第1の偏光成分に対して第2の偏光成分のほぼ半波長の位相遅延を引き起こすことができる。この位相遅延は、サブ波長格子132に入射する光の第2の偏光成分の一部を、サブ波長格子132によって反射された光の第1の偏光成分に変換する。
【0075】
サブ波長格子132の回折機能部の格子ピッチは、サブ波長格子132の回折次数にさらに影響を及ぼす。特に、格子ピッチが実質的にサブ波長であるか、または同等に、回折機能部間の間隔がサブ波長格子132に入射する光ビーム104の波長より実質的に短い場合は、ゼロ回折次数または同等に反射のみが、サブ波長格子132によって提供される。したがって、サブ波長格子132に入射する導波光104は、入射導波光104のそれと実質的に等しい非ゼロ伝播角度(すなわち、鏡面反射)でサブ波長格子132によって反射して方向変更される。上述のように、反射光は、サブ波長格子132による反射光の第1の偏光成分への入射光の第2の偏光成分の変換に起因して、入射導波光104よりも第1の偏光成分(例えば、TE偏光)のより大きな部分を含む。
【0076】
サブ波長格子132の回折機能部は、いくつかの例においては、格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さを有することができる。格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ(上述のとおり)、および格子深さのうちの1つまたはそれ以上は、第1の偏光成分への第2の偏光成分の偏光変換の量を制御するように構成される。すなわち、これらの特性のうちの1つまたはそれ以上は、どのくらいの入射光の第2の偏光成分が反射光の第1の偏光成分に変換されるかに影響を及ぼすように設計され得る。いくつかの例においては、サブ波長格子132に入射する光ビームの方向に対する回折機能部の向きは、偏光変換の量に影響を及ぼす場合がある。
【0077】
図5Bを参照すると、サブ波長格子132の回折機能部は、サブ波長格子132の表面のy軸に対して傾斜して向けられる。図示の例においては、表面は、光ガイド110の第2の表面110’’である。したがって、サブ波長格子132は、光ガイド110の表面に(または同等に、サブ波長格子132の平面に)入射する導波光104の方向の投影に対して角度αにある。光ガイド110の表面のサブ波長格子132の向きは、その表面の平面内のサブ波長格子132に対する導波光104の入射角αを制御し、それは、サブ波長格子132によって変換される導波光104の偏光の量を制御する。
【0078】
本発明の種々の実施形態によれば、偏光変換構造130は、光ガイド110の表面に配置されてもよい。図5Aに戻って参照すると、偏光変換構造130は、光ガイド110の表面の複数の散乱体の隣接する散乱体(例えば、マルチビーム要素120’)の間に配置され得る。例えば、マルチビーム要素120’を含む偏光選択性散乱機能部120が(例えば、図4Aに示されるように)光ガイドの第1の表面110’に配置される実施形態においては、偏光変換構造130は、マルチビーム要素120’間の第1の(または上部)表面110’に配置され得る。あるいは、マルチビーム要素120’を含む偏光選択性散乱機能部120が図3A図3Cおよび図4Bに示されるように、光ガイド110の第2の(または底部)表面110’’に配置される実施形態においては、偏光変換構造130は、複数のマルチビーム要素120’間の第2の表面110’’に配置され得る。
【0079】
いくつかの実施形態(図示せず)においては、反射アイランドが、偏光選択性散乱機能部120の部分に隣接して設けられ得る。例えば、反射アイランドは、反射モード回折格子を含む偏光選択性散乱機能部120のマルチビーム要素120’に隣接して設けられ得る。反射アイランドは、入射導波光104の反射を容易にし、例えば、偏光選択性散乱機能部120によって生成される放射光102の強度を増加させるように設けられ得る。
【0080】
図6は、本明細書において説明される原理と一致するもう1つの実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライト100の一部の横断面図を示している。この実施形態においては、偏光選択性散乱機能部120および偏光変換構造130は、光ガイドの両面に配置される。図示のように、偏光選択性散乱機能部120は、光ガイド110の第1の表面110’上に配置される透過モードで動作するように構成されるマルチビーム要素120’を含む。偏光変換構造130は、光ガイド110の対向する表面(すなわち、第2の表面110’’)に配置される。もう1つの実施形態(図示せず)においては、偏光選択性散乱機能部120は、反射モードで動作するように構成される第2の表面110’’に配置されたマルチビーム要素120’を含むことができ、偏光変換構造130は、第1の表面110’に配置され得る。すべての実施形態において、非ゼロ伝播角度で伝播する導波光104は、光ガイド110の表面110’、110’’に対して交互に反射し、光ガイド110の表面110’、110’’のうちの1つの上の偏光変換構造130によって反射して方向変更され、変換される。
【0081】
偏光選択性散乱機能部120および偏光変換構造130が光ガイド110の両面に配置される実施形態は、それぞれ、偏光選択性散乱機能部120および偏光変換構造130に利用できる利用可能な表面を効果的に2倍にすることができる。さらに、この種の実施形態は、偏光変換構造130と偏光選択性散乱機能部120とのどちらについてもより多くの種類の構成を可能にすることができる。例えば、偏光変換構造130が偏光選択性散乱機能部120のマルチビーム要素120’の間に配置される図3A図3Cに示される構成とは対照的に、偏光選択性散乱機能部120と反対側の表面に配置される偏光変換構造130は、実質的に表面全体を占めることができ、より効果的な偏光変換を行うことができる。同様に、偏光選択性散乱機能部120には、より多くの空間、したがって例えば放射光102の強度が与えられる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、偏光変換構造130は、第1の偏光成分への第2の偏光成分の偏光変換の量(これは光ガイド110の長さに沿った位置の関数である)を提供するように構成される。例えば、導波光104が光ガイド110内を伝播する際に、導波光104の偏光は、光ガイド110に沿った導波光104の位置と共に変化することができる。すなわち、特定の位置における導波光104の偏光は、光ガイド110の異なる位置における導波光104の偏光と異なり得る。導波光104の偏光のこの種の変化は、光ガイド110の長さに沿った導波光の位置に予測どおりに依存する方法で起こり得る。光ガイド110におけるこの偏光変化を説明し、光ガイド110の表面の全域で実質的に均一な偏光を有する放射光102を発生させるために、偏光変換構造130は、いくつかの実施形態においては、光ガイド110の長さに沿った位置の関数である、第1の偏光成分への第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成され得る。例えば、導波光104が第1の偏光成分のより大きな部分を含む光ガイド110の領域においては、偏光変換構造130は、より少量の第2の偏光成分を第1の偏光成分に変換するように構成され得る。同様に、導波光104が第1の偏光成分のより少ない部分を含む領域においては、偏光変換構造130は、より多量の第2の成分を第1の成分に変換するように構成され得る。したがって、偏光選択性散乱機能部120によって外へ散乱された放射光102は、光ガイド110の全域で強度が実質的に均一であり得る。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、偏光変換構造130は、各反射による方向変更中に約10パーセント(10%)に満たない、第1の偏光成分への第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成され得る。前述のように、偏光変換構造130は、導波光104が反射光として反射される場合に偏光変換構造130に入射する導波光104の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換するように構成される。偏光変換の量は、第1の偏光成分に変換される第2の偏光成分の割合である。偏光変換の量は、種々の実施形態によれば、偏光変換構造130のサブ波長格子132の回折機能部の特性によって制御され得る。これらの特性には、格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さがある。したがって、サブ波長格子132の格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さのうちの1つまたはそれ以上は、サブ波長格子132に入射する導波光104の第2の偏光成分の約10パーセント(10%)を変換するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、偏光変換の量は、約4パーセント(4%)未満であり得る。例えば、偏光変換の量は、約2パーセント(2%)と約4パーセント(4%)との間であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、約10パーセント(10%)以下の偏光変換により、偏光リサイクルバックライト100がモード選択可能な2D/3Dディスプレイに使用されるようになっている。例えば、偏光リサイクルバックライト100は、2つの隣接するバックライトを含むモード選択可能な2D/3Dディスプレイに第2のバックライトとして使用され得る。モード選択可能な2D/3Dディスプレイにおいては、バックライトは、拡散光または実質的に広角(例えば、「2D」)光を放射するように構成されることができ、第2のバックライト(または本明細書において説明される偏光リサイクルバックライト100)は、指向性放射光として光を放射するように構成され得る。指向性放射光は、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームを含むことができる。したがって、指向性放射光はまた、マルチビューまたは3D放射光と呼ばれることもある。2D画像は、第1のバックライトを作動させることによって第1のモードでモード選択可能な2D/3Dディスプレイによって提供され得るが、マルチビューまたは「3D」画像は、第2のまたは偏光リサイクルバックライト100が第2のモード中に作動される場合に提供され得る。
【0085】
図7は、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのモード選択可能な2D/3Dディスプレイ200の横断面図を示している。図示されるように、モード選択可能な2D/3Dディスプレイは、偏光リサイクルバックライト100に隣接する第1のバックライト210を含む。第1のバックライト210は、第1のモード(モード1)中に広角放射光202を提供するように構成されるが、偏光リサイクルバックライト100は、図示されるように第2のモード(モード)中に指向性のある放射光102(すなわち、指向性放射光)を提供するように構成される。さらに、図示されるように、指向性のある放射光102は、複数のマルチビーム要素120’を含む偏光選択性散乱機能部120によって提供される。種々の実施形態においては、広角放射光202は、偏光リサイクルバックライト100に向かう方向に放射される。さらに、第1のモード(モード1)中に、広角放射光202は、偏光リサイクルバックライト100の厚さを通して、例えば光ガイド110および偏光リサイクルバックライト100の偏光選択性散乱機能部120を通して通過するように構成される。
【0086】
図示のモード選択可能な2D/3Dディスプレイ200は、第1のモード(モード1)で2D画像を提供するように広角放射光202を変調するように、かつ、第2のモード(モード2)中にマルチビュー画像を提供するように放射光102(または指向性放射光)を変調するように構成されるライトバルブアレイ208をさらに含む。種々の実施形態によれば、広角放射光202は、一般に、偏光リサイクルバックライト100の偏光変換構造130と1回だけ相互に作用する。偏光変換構造130の偏光変換が約10パーセント(10%)以下である場合、広角放射光202は、種々の実施形態によれば、広角放射光202がその偏光に実質的な影響なしに偏光リサイクルバックライト100を通過できるようになっている偏光変換をほとんどあるいは全く経験しない。
【0087】
本明細書において説明される原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイが提供される。図8は、本明細書において説明される原理と一致する実施形態による、一例でのマルチビューディスプレイ300のブロック図を示している。種々の実施形態によれば、マルチビューディスプレイ300は、放射光を提供するように偏光選択散乱を用いる。特に、マルチビューディスプレイは、第1の偏光成分と関連する導波光の一部を選択的に外へ散乱させる。さらに、マルチビューディスプレイ300は、複数の指向性光ビーム302を含む放射光として選択的に外へ散乱されるように導波光を偏光光に変換するように偏光変換を用いる。具体的には、マルチビューディスプレイ300は、選択的に外へ散乱されるように導波光の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換する。
【0088】
図8に示されるように、マルチビューディスプレイ300は、導波光として光を導くように構成される光ガイド310を含む。種々の実施形態によれば、光ガイド310は、内部全反射を用いて導波光を導くように構成され得る。さらに、導波光は、光ガイド310によってまたは光ガイド310内で非ゼロ伝播角度で導かれ得る。いくつかの実施形態においては、光ガイド310は、上述の偏光リサイクルバックライト100の光ガイド110と実質的に同様であり得る。特に、光ガイド310は、誘電材料のスラブを含むことができる。したがって、光ガイド310は、プレート光ガイドであり得る。導波光は、種々の実施形態によれば、第1の偏光成分および第2の偏光成分をさらに含むことができる。第1の偏光成分は、横電気(TE)偏光成分であることができ、第2の偏光成分は、例えば、横磁気(TM)成分であり得る。
【0089】
図8に示されるように、マルチビューディスプレイ300は、マルチビーム要素のアレイ320をさらに含む。マルチビーム要素のアレイ320のマルチビーム要素320は、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビーム302として導波光の第1の偏光の一部を選択的に外へ散乱させるように構成される。いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素320は、導波光のTE偏光成分を指向性光ビームとして光ガイドから選択的に散乱させるように構成される。さらに、指向性光ビーム302の異なる主角度方向は、例えばマルチビューディスプレイ300によって表示される、マルチビュー画像のビュー方向に対応する。
【0090】
いくつかの実施形態においては、光ガイド310のマルチビーム要素のアレイ320は、上記の偏光リサイクルバックライト100の偏光選択性散乱機能部120と実質的に同様であり得る。特に、マルチビーム要素のアレイ320のマルチビーム要素320は、マルチビーム要素120’と実質的に同様であり得る。例えば、マルチビーム要素320は、回折格子を含むことができる。回折格子は、説明された偏光リサイクルバックライト100の回折格子122と実質的に同様であり得る。したがって、マルチビーム要素320は、光ガイド310の表面に、またはそれに隣接して配置され得る。
例えば、マルチビーム要素320は、光ガイド310の第1の表面に配置されることができ、これは、透過モード回折格子として第1の表面を通して第1の偏光を有する導波光部分を選択的に外へ散乱させるように構成される。もう1つの例においては、マルチビーム要素320は、光ガイド310の第2の表面に配置されることができ、これは、導波光部分を選択的に散乱させ、第1の表面に向かって散乱された導波光部分を反射するように構成される反射モードマルチビーム要素である。
【0091】
図8に示されるように、マルチビューディスプレイ300は、サブ波長格子のアレイ330をさらに含む。サブ波長格子のアレイ330は、導波光の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換するように構成される。具体的には、サブ波長格子のアレイ330は、非ゼロ伝播角度で格子に入射する導波光の一部を反射して方向変更するように構成される。そうすることで、サブ波長格子のアレイ330は、サブ波長格子330に入射する導波光の第2の偏光成分の一部を反射された導波光の第1の偏光に変換する。例えば、第1の偏光成分がTE偏光成分であり、第2の成分がTM偏光成分である場合は、サブ波長格子のアレイ330は、入射光のTM偏光成分の一部を反射光のTE偏光成分に変換することができる。それによって、反射光の第1の偏光成分(この例においては、TE成分)の部分が増加される。いくつかの実施形態によれば、サブ波長格子のアレイ330は、偏光リサイクルバックライト100に関して上述の偏光変換構造130と実質的に同様であり得る。特に、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330は、上記のサブ波長格子132と実質的に同様であり得る。
【0092】
例えば、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330は、複数の実質的に平行な回折機能部を含むことができる。特に、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330の回折機能部は、互いに間隔を置いて設けられ、光ガイド310の表面に形成される溝および隆起の一方または両方を含むことができる。さらに、定義により、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330においては、回折機能部間の距離、または同等に、回折機能部の格子ピッチは、導波光の波長よりも小さい。いくつかの実施形態においては、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330の格子ピッチは、上述のマルチビーム要素120’の回折格子の格子ピッチの半分未満であってもよい。
【0093】
サブ波長格子ピッチは、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330の偏光変換特性に寄与する回折特性を提供する。特に、サブ波長格子アレイのサブ波長格子330は、サブ波長格子ピッチの結果として、形態複屈折材料、またはその回折特性が入射光の成分の向きの要因である材料として機能することができる。サブ波長格子330の形態複屈折は、第1の偏光成分(またはTE偏光)に対して第2の偏光成分(またはTM偏光)の約半波長の位相遅延を引き起こすように構成される。この位相遅延は、種々の実施形態によれば、サブ波長格子330に入射する光の第2の偏光成分の一部をサブ波長格子アレイのサブ波長格子330で反射される光の第1の偏光成分に変換する。
【0094】
図8に示されるように、マルチビューディスプレイ300は、ライトバルブ308のアレイをさらに含む。ライトバルブ308のアレイは、マルチビュー画像を提供するように複数の指向性光ビーム302の指向性光ビーム302を変調するように構成される。種々の実施形態においては、異なるタイプのライトバルブが、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、およびエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つまたはそれ以上を含むがこれらに限定されないライトバルブアレイのライトバルブ308の形で使用され得る。特に、光ガイド310のマルチビーム要素のアレイ320からの指向性光ビーム302は、変調された指向性光ビーム302’を提供するようにライトバルブアレイの個々のライトバルブ308通過し、それによって変調され得る。さらに、異なる主角度方向を有する指向性光ビーム302の異なるものは、ライトバルブアレイ内のライトバルブ308の異なるものを通過し、それによって変調されるように構成される。図8の破線の矢印は、その変調を強調するように変調された指向性光ビーム302’を示すように使用されている。
【0095】
いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素320は、光ガイドの表面に配置される。マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素320は、光ガイド310の長さに沿って互いに間隔を置いて設けられ得る。さらに、サブ波長格子のアレイ330のサブ波長格子330は、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素320の間に配置され得る。いくつかの実施形態においては、マルチビーム要素のアレイ320およびサブ波長格子のアレイ330は、互いに対向する光ガイド310の表面に配置される(すなわち、両面または対向する表面に配置される)。例えば、反射モード回折格子がマルチビーム要素320に用いられる上述の実施形態においては、マルチビーム要素アレイは、光ガイド310の第2の表面に配置されることができ、サブ波長格子のアレイ330は、第2の表面と反対側の第1の表面に配置され得る。マルチビーム要素アレイおよびサブ波長格子アレイが光ガイドの両側に配置される実施形態は、利用可能な表面を効果的に2倍にし、アレイの両方ともより多くの種類の構成が可能である。
【0096】
サブ波長格子のアレイ330は、各反射による方向変更中に約10パーセント(10%)に満たない、第1の偏光成分への第2の偏光成分の偏光変換の量を提供するように構成され得る。偏光変換の量は、第1の偏光成分に変換される第2の偏光成分の割合である。偏光変換の量は、サブ波長格子のアレイ330の回折機能部の特性によって制御され得る。これらの特性には、格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さがある。したがって、サブ波長格子330の格子周期、格子デューティサイクル、格子の向き、格子ピッチ、および格子深さのうちの1つまたはそれ以上は、サブ波長格子330に入射する光の第2の偏光の約10パーセントを変換するように構成される。いくつかの実施形態においては、偏光変換の量は、約4パーセント(4%)未満、例えば約2%と約4%との間であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態においては、サブ波長格子のアレイ330は、光ガイド310の表面に実質的に直交する方向でサブ波長格子アレイに入射する光に対して実質的に光学的に透明である。したがって、この種の入射光に対するサブ波長格子330の影響は最小限であり得る。その代わりとして、サブ波長格子のアレイ330は、種々の実施形態によれば、非ゼロ伝播角度で伝播し、傾斜して格子に入射する導波光と相互に作用するように構成される。
【0098】
本明細書において説明される原理のいくつかの実施形態に従って、バックライト動作の方法が開示される。図9は、本明細書の原理と一致する実施形態による、一例での偏光リサイクルバックライト動作の方法400のフローチャートを示している。図9に示されるように、偏光リサイクルバックライト動作の方法400は、導波光として、光ガイドの長さに沿って光を導くステップ410を含む。種々の実施形態によれば、導波光は、第1の偏光成分および第2の偏光成分を含む。さらに、導波光は、光ガイド内で非ゼロ伝播角度で導かれ得る。いくつかの実施形態においては、光ガイドは、偏光リサイクルバックライト100に関して上述の光ガイド110と実質的に同様であり得る。例えば、導波光は、光ガイド内で内部全反射を用いて光ガイドに沿って導かれ伝播する。第1の偏光成分は、例えば、横電気(TE)偏光成分であることができ、第2の偏光成分は、横磁気(TM)成分であり得る。
【0099】
図9に示される偏光リサイクルバックライト動作の方法400は、偏光選択性散乱機能部を用いて、放射光として導波光の第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるステップ420をさらに含む。いくつかの実施形態においては、偏光選択性散乱機能部は、上述の偏光リサイクルバックライト100の偏光選択性散乱機能部120と実質的に同様であり得る。特に、外へ散乱させるステップ420で使用される偏光選択性散乱機能部は、回折格子、反射構造および屈折構造、ならびに偏光選択性散乱を提供するように構成されるそれらの様々な組み合わせを含むがこれらに限定されない偏光選択性散乱を提供しまたは生成するように構成される様々な異なる構造または機能部のいずれかを含むことができる。
【0100】
偏光リサイクルバックライト動作の方法400は、サブ波長格子を含む偏光変換構造を用いて、導波光の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換するステップ430をさらに含む。特に、非ゼロ伝播角度で偏光変換構造に入射する導波光の一部は、偏光変換構造によって反射して方向変更される。反射による方向変更中に、入射導波光の第2の偏光成分の一部は、反射光の第1の偏光成分に変換される。例えば、第1の偏光成分がTE偏光成分であり、第2の偏光成分がTM偏光成分である場合、入射光のTM偏光成分の一部は、偏光変換構造によって反射して方向変更される光のTE偏光成分に変換され得る。したがって、反射光の第1の偏光成分(この例においては、TE成分)の部分は、例えば偏光選択性散乱機能部によって選択的に外へ散乱させるステップ420による第1の偏光成分の損失を補償するよう増加され、または補充され得る。
【0101】
いくつかの実施形態においては、サブ波長格子は、偏光リサイクルバックライト100の前述のサブ波長格子132と実質的に同様であり得る。したがって、サブ波長格子の回折機能部は、互いに間隔を置いて設けられ、光ガイドの表面に形成される溝および隆起の一方または両方を含むことができる。さらに、回折機能部間の距離、または同等に、回折機能部の格子ピッチは、導波光の波長より小さい。サブ波長格子ピッチは、サブ波長格子の偏光変換特性に寄与する回折特性を提供する。特に、サブ波長格子は、サブ波長格子ピッチの結果として、形態複屈折材料、またはその回折特性が入射光の成分の向きの要因である材料として機能することができる。サブ波長格子の形態複屈折は、いくつかの実施形態においては、第1の偏光成分(またはTE偏光)に対して第2の偏光成分(またはTM偏光)の約半波長の位相遅延を引き起こすことができる。したがって、サブ波長格子に入射する導波光の第2の偏光成分の一部は、サブ波長格子によって反射された光の第1の偏光成分に変換される。
【0102】
いくつかの実施形態においては、偏光選択性散乱機能部は、光ガイド長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数のマルチビーム要素を含む。いくつかの実施形態においては、第1の偏光成分の一部を選択的に外へ散乱させるステップ420は、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素を用いて放射光としてその一部を外へ散乱させるステップを含む。いくつかの実施形態においては、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素は、上記の偏光リサイクルバックライト100のマルチビーム要素120’と実質的に同様であり得る。したがって、マルチビーム要素は、例えば、偏光リサイクルバックライト100の回折格子122と実質的に類似している回折格子を含むことができる。さらに、複数のマルチビーム要素を含む偏光選択性散乱機能部によって提供される放射光は、種々の実施形態によれば、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態においては、偏光変換構造は、光ガイドの表面の複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素の間に配置される。特に、複数のマルチビーム要素は、サブ波長格子を表面の個々のマルチビーム要素の間に配置した状態で、光ガイドの第1の表面に配置され得る。あるいは、マルチビーム要素およびサブ波長格子は、サブ波長格子を複数のマルチビーム要素の間に配置した状態で、底面に配置され得る。さらに他の実施形態においては、マルチビーム要素およびサブ波長格子、または同等に偏光変換構造は、光ガイドの両面に配置され得る。
【0104】
このように、偏光リサイクルバックライト、偏光リサイクルバックライト動作の方法、および放射光として導波光を外へ結合するように偏光選択性散乱機能部を用いるマルチビューディスプレイ、および導波光の第2の偏光成分の一部を第1の偏光成分に変換する偏光変換構造についての例および実施形態が説明されている。上記の例は、本明細書において説明される原理を表す多くの特定の例のいくつかを単に例示するだけものであることを理解されたい。明らかに、当業者は、次に述べる特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、非常に多くの他の構成を容易に考案することができる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9