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7047160マンホールポンプシステム、マンホールポンプ制御装置、及びマンホールポンプ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】マンホールポンプシステム、マンホールポンプ制御装置、及びマンホールポンプ制御方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/22 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
E03F5/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021064140
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2021-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000120401
【氏名又は名称】荏原実業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 博光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰治
(72)【発明者】
【氏名】野田 公一
(72)【発明者】
【氏名】大越 尋史
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0156605(US,A1)
【文献】特開2001-349286(JP,A)
【文献】特開2002-030720(JP,A)
【文献】特開2018-119310(JP,A)
【文献】特開2006-057567(JP,A)
【文献】特開2020-110026(JP,A)
【文献】特開2002-115313(JP,A)
【文献】特開2016-185496(JP,A)
【文献】特開2002-021765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプと、
前記ポンプに第一の電力を供給する第一の電力供給路と、
前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池と、
前記蓄電池から前記ポンプに第二の電力を供給する第二の電力供給路と、
前記第二の電力の特性を前記第一の電力の特性に合わせて変換する第二電力用変換回路と、
前記第一の電力供給路と、前記第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替スイッチと、
第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御部と、
を備える、マンホールポンプシステム。
【請求項2】
前記ポンプが複数設けられ、前記ポンプに前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給されている間は複数の前記ポンプのうちの一部を運転し、他の一部の運転を停止する運転制御部をさらに備える、請求項1に記載のマンホールポンプシステム。
【請求項3】
前記ポンプが複数設けられると共に、
前記貯留槽の内部の水位を検出する水位検出部と、
前記ポンプに前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給されている間、前記水位検出部によって検出される水位が予め定められた水位である上限水位に達するまでは複数の前記ポンプの少なくとも一つの運転を停止する運転制御部と、をさらに備える、請求項1に記載のマンホールポンプシステム。
【請求項4】
前記運転制御部は、前記水位検出部によって検出される水位が予め定められた水位である下限水位に達するまでは複数の前記ポンプの少なくとも一つの運転を継続する、請求項3に記載のマンホールポンプシステム。
【請求項5】
走行に使用される電力の少なくとも一部を電動モータにより発生させる電動車両のバッテリから第三の電力を供給する第三の電力供給路と、
前記第三の電力の特性を前記第一の電力の特性に合わせて変換する第三電力用変換回路と、を備え、
前記切替スイッチは、前記第一の電力供給路、前記第二の電力供給路及び前記第三の電力供給路を切り替えて、前記ポンプに対して前記第一の電力、前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力、及び前記第三電力用変換回路により変換された前記第三の電力のいずれか一つを供給する、請求項1から4のいずれか一つに記載のマンホールポンプシステム。
【請求項6】
液体を貯留する貯留槽内に設置され、前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプを制御するマンホールポンプ制御装置であって、
前記ポンプに供給される第一の電力の特性に合わせて、前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池から前記ポンプに供給される第二の電力の特性を変換する第二電力用変換回路と、
前記第一の電力が供給される第一の電力供給路と、前記第二の電力が供給される第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替スイッチと、
第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御部と、
を備える、マンホールポンプ制御装置。
【請求項7】
液体を貯留する貯留槽内に設置され、前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプを制御するマンホールポンプ制御方法であって、
前記ポンプに供給される第一の電力の特性に合わせて、前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池から前記ポンプに供給される第二の電力の特性を変換する特性変換工程と、
前記第一の電力が供給される第一の電力供給路と、前記第二の電力が供給される第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記特性変換工程において変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替工程と、
第一の電力、または前記特性変換工程において変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御工程と、
を含む、マンホールポンプ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールポンプシステム、マンホールポンプ制御装置、及びマンホールポンプ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚水を下水処理施設等に送水するため、多数のマンホールが設けられている。このようなマンホールには、水が溜められる貯留槽内にポンプ(マンホールポンプとも呼ばれる)が設けられ、貯留槽内の水位に応じて起動、あるいは停止し、汚水を下流に送水し、貯留槽内の汚水がマンホールの外部に溢れることを防ぐものがある。このようなマンホールのシステムは、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムは、汚水槽(貯留槽)内に設置された汚水ポンプの他に、汚水槽の外部に予備ポンプを設置する。そして、汚水ポンプが災害等により停止した場合、予備ポンプから汚水槽内に吐出ホースを垂設して圧送管に連結し、汚水ポンプに吸込まれた汚水を吐出する。このような特許文献1に記載の構成によれば、マンホールポンプ場において汚水ポンプが停止した場合の復旧を迅速に行うことができる。
【0003】
なお、特許文献1には、予備ポンプは汚水ポンプが停止した場合に設置されること、予備ポンプとしてエンジンポンプが使用されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-75102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、災害時には、商用電源からの給電が停止する停電が発生し、予備ポンプにも商用電源が供給されない場合がある。引用文献1には、予備ポンプにソーラーバッテリを設けることも記載されているが、ソーラー発電は地域や状況により充分な発電量を確保できる保証がない。このため、停電時、確実に予備ポンプに電力を供給するためには、予備ポンプと共にガソリンエンジン駆動式の自家発電設備(以下、「ガソリン式発電機」と記す)を搬送することが考えられる。
【0006】
ガソリン式発電機は、大型かつ大重量であり、移動時には電動クレーンによってトラックに積み込まれる。例えば、発電容量が最も小さい10KVAのガソリン式発電機の重量は500kg、発電容量が30KVAのガソリン式発電機の重量は1t以上のものもある。このようなガソリン式発電機の確保、保管は、負担が大きく、自治体等が多数のガソリン式発電機を保有することは困難であった。また、災害時には、主となるポンプの停止が複数のマンホールポンプ場において広範囲に発生することが考えられる。このとき、公知の技術では、ガソリン式発電機をマンホールポンプ場に搬送し、エンジンポンプを順次起動させることになる。このような作業は、大型で大重量のガソリン式発電機を繰り返し積み込み、積み下ろす作業を伴い、複数のマンホールポンプ場のポンプの復旧に多くの時間と労力を費やすものであった。
【0007】
さらに、エンジンポンプは、ガソリンエンジンにより駆動するため、大きな駆動音を発生し、この駆動音が騒音となって近隣の住民に不快感を与えることがある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、商用電源(電力)の停電により停止した貯留槽内のポンプの復旧を支援し、この際のポンプの復旧に係る負荷を予備ポンプやガソリン式発電機を搬送するものよりも小さくし、騒音の発生を抑止するマンホールポンプシステム、マンホールポンプ制御装置及びマンホールポンプ制御方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一形態は、液体を貯留する貯留槽と、前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプと、前記ポンプに第一の電力を供給する第一の電力供給路と、前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池と、前記蓄電池から前記ポンプに第二の電力を供給する第二の電力供給路と、前記第二の電力の特性を前記第一の電力の特性に合わせて変換する第二電力用変換回路と、前記第一の電力供給路と、前記第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替スイッチと、第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御部と、を備える、マンホールポンプシステムである。
【0010】
また、本発明の一形態は、液体を貯留する貯留槽内に設置され、前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプを制御するマンホールポンプ制御装置であって、前記ポンプに供給される第一の電力の特性に合わせて、前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池から前記ポンプに供給される第二の電力の特性を変換する第二電力用変換回路と、前記第一の電力が供給される第一の電力供給路と、前記第二の電力が供給される第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替スイッチと、第一の電力、または前記第二電力用変換回路により変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御部と、を備えるマンホールポンプ制御装置である。
【0011】
また、本発明の一形態は、液体を貯留する貯留槽内に設置され、前記貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプを制御するマンホールポンプ制御方法であって、前記ポンプに供給される第一の電力の特性に合わせて、前記貯留槽の外部に配置されるタイヤを有する可搬式の蓄電池から前記ポンプに供給される第二の電力の特性を変換する特性変換工程と、前記第一の電力が供給される第一の電力供給路と、前記第二の電力が供給される第二の電力供給路と、を切り替えて、前記第一の電力、または前記特性変換工程において変換された前記第二の電力の一方を前記ポンプに供給する切替工程と、第一の電力、または前記特性変換工程において変換された前記第二の電力が供給される前記ポンプの始動電流を抑止する始動制御工程と、を含む、マンホールポンプ制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上の形態によれば、商用電源(電力)の停電により停止した貯留槽内のポンプの復旧を支援し、この際のポンプの復旧に係る負荷を予備ポンプやガソリン式発電機を搬送するものよりも小さくし、騒音の発生を抑止するマンホールポンプシステム、マンホールポンプ制御装置及びマンホールポンプ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施形態が適用されるマンホールポンプ場を説明するための模式図である。
図2】第一実施形態のマンホールポンプシステムを説明するための模式図である。
図3】第一実施形態のマンホールポンプ場を例示する切欠き斜視図である。
図4】第一実施形態のマンホールポンプシステムを説明するための模式的な機能ブロック図である。
図5図4に示す第一実施形態の構成の比較例となる公知の構成を示す図である。
図6】(a)、(b)は、ソフトスタート機能付インバータの機能を説明するための図である。
図7】第二実施形態のマンホールポンプシステムを説明するための模式的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[概要]
本発明の実施形態に先立ち、その概要を説明する。図1は、本発明の一実施形態が適用されるマンホールポンプ場2を説明するための模式図である。図1は、複数の建物1と、各建物1から排出される汚水を送出する汚水管12a、12bと、汚水管12a、12bの経路上に設けられたマンホールポンプ場2と、マンホールポンプ場2のポンプ23により圧送された汚水を処理して浄化する下水処理場4と、を示している。建物1から排出された汚水は、流入管11を通って汚水管12aに流れ込む。また、マンホール13から流れ込んだ汚水も汚水管12aに流れ込み、下水処理場4に送られる。なお、側溝14や建物1の雨どい等に流入した雨水は、不図示の雨水管を通って海や河川に送られる。なお、図1に示す構成は、分流式であるが、本実施形態のマンホールポンプシステムは、合流式の下水道システムにも適用することができる。
【0015】
マンホールポンプ場2のポンプ23は、マンホールポンプ場2の貯留槽20(図2図3)に汚水が予め設定された量以上貯留した場合に起動し、貯留槽20内の汚水を汚水管12bに向けて吐出する。吐出された汚水は、汚水管12bの勾配により自然流下し、下水処理場4に送られる。このような構成により、下水道システムは、汚水や雨水(以下、両者を合わせて「下水」とも記す)が地表に溢れることを防いでいる。
【0016】
ただし、上記構成のポンプ23は、通常時には商用電源から電力の供給を受けている。このため、例えば、台風によって停電が発生した場合、マンホール13等からマンホールポンプ場2に汚水等が流れ込むにも関わらず、ポンプ23が起動せずに貯留槽20内の汚水の汲出しができなくなる虞がある。
【0017】
上記の事態に備え、マンホールポンプ場2においては、停電対策として外部に予備電源を設置し、予備電源を使ってポンプ23に電力を供給することが行われている。現在、下水道マンホールポンプ施設技術マニュアル(1997年6月、下水道新技術推進機構発行)に記載のように、予備電源には可搬式の電源が用いられる。公知技術のように、可搬式の電源としてトラックに積まれたガソリンを燃料とするエンジン式の発電機(以下、本実施形態においては「ガソリン式発電機」と記す)を用いた場合、大型、大重量のガソリン式発電機を繰り返しトラックに積み下ろしする作業が発生し、作業に係る負荷がポンプ23の起動、ひいてはマンホールポンプ場2における排水機能の復旧を遅らせる一因になっていた。
【0018】
本実施形態は、ガソリン式発電機に代えて、より小型の可搬式の蓄電池(以下、「単に蓄電池」とも記す)を採用し、予備の電源を用いたポンプ23の復旧に係る時間を短縮し、負荷を軽減する。常用作業における蓄電池の最大荷重は、労働省通達により自重の40%と定められている(女性は更にその60%)。このため、ガソリン式発電機よりも小型の蓄電池としては、人員2名で持運び可能な蓄電池、例えば、凡そ容量が3kVA(5kVA)以下、重量が30kg(50kg)以下のものが好ましい。さらに、並列に複数接続することにより、総容量を10kVA以上にできるものが好ましい。また、蓄電池の入力電源はどのようなものであってもよく、太陽光発電、発電機、系統電源が考えられる。蓄電池の搬送は、蓄電池自身にタイヤが取り付けられて自走するものであってもよいし、台車等を使うものであってもよい。
【0019】
[第一実施形態]
(マンホールポンプシステム及びマンホールポンプ制御装置)
第一実施形態でいうマンホールポンプシステム100は、マンホールの中にポンプ設備を組み込んで地下に埋設設置されるマンホールポンプ場2と、マンホールポンプ場2のポンプ23に対する電力供給を制御するポンプ制御部(マンホールポンプ制御装置)と、を含む。
図2は、マンホールポンプシステム100を説明するための模式図である。図2は、マンホールポンプ場2と、ポンプ制御部、マンホールポンプ制御装置として機能する制御部30(図4)の少なくとも一部が収容される制御盤3と、を示している。マンホールポンプ場2は、地盤Gの下に埋設されていて、制御盤3は地盤Gの上に設置される。図2に示す制御盤3は自立式の構成を有し、電力会社から電力を受電する引込開閉器5から電線37により電力を受電する。引込開閉器5は、例えば電柱51に保安器52と共に取り付けられる。制御盤3が受電した電力を、以降「商用電力」とも記す。
【0020】
制御盤3は、引込開閉器5から電力の供給を受けるための商用電源の受電部32(図4)を備え、電線38を介してマンホールポンプ場2に商用電力を供給する。供給された商用電力は、マンホールポンプ場2のポンプ23a、23bの動力に使用される他、マンホールポンプ場2において水位を検出するセンサ等にも供給される。異常電圧、異常電流から機器を保護する保安器は、電柱51に取り付けられるものであってもよいし、制御盤3内に収容されるものであってもよい。制御盤3に保安器を収容する場合、制御盤3には受電部32用のアース線Eと共に、保安器用のアース線Eが設けられる。また、第一実施形態では、商用電源に代えて蓄電池からマンホールポンプ場2に電力を供給する場合、この切り替えから供給に係る制御を制御盤3に収容される制御部30が行う。
【0021】
図3は、第一実施形態のマンホールポンプ場2を例示する切欠き斜視図である。マンホールポンプ場2は、底板26と、壁部25と、底板26と対向する面の一部を覆うマンホール蓋28とによって形成され、底板26、壁部25及びマンホール蓋28によって形成される閉空間が液体を貯留する貯留槽20となる。貯留槽20の内壁には、作業者がマンホール内に降りるためのステップ24が設けられる。なお、第一実施形態において、以降、底板26からマンホール蓋28を見た方向を「上」、または「上方」と記す。また、マンホール蓋28から底板26を見た方向を「下」、または「下方」と記す。このようなマンホールの上下の関係は、重力方向に従っている。
【0022】
ポンプ設備は、貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプ23a、23bを備えている。ポンプ23a、23bは、商用電源から電力の供給を受けて稼働する水中ポンプである。複数のポンプ23a、23bを備えることにより、マンホールポンプ場2は、商用電源による駆動時(以下、「通常時」とも記す)には単独交互運転、または並列運転を可能にし、ポンプ23a、23bの長寿命化を図っている。単独交互運転とは、ポンプ23a、ポンプ23bを一つずつ交互に運転する方式である。並列運転は、貯留槽20内の水位が予め定められた基準水位に達すると、ポンプ23a、23bを同時に起動して運転状態にする方式である。
【0023】
さらに、ポンプ設備は、ポンプ23a、23bを吊り下げて支持する吊り上げチェーン232、ポンプ23a、23bが設置されるポンプ台版231、ポンプ23a、23bと吐出用の配管とを接続する着脱ベント233、貯留槽20内の水位を検出する水位検出部29、を含んでいる。さらに、マンホールポンプ場2は、貯留槽20内の下水を排出する槽内配管22、貯留槽20内に下水が流入する流入管21、水位検出部29の故障に備えるバックアップ用のフロートスイッチ211を含む。地上と貯留槽20との間には電線管38が設けられ、電線管38を通って水中ケーブル234がポンプ設備に必要な電力を供給する。
【0024】
図4は、第一実施形態のマンホールポンプシステム100を説明するための模式的な機能ブロック図である。図5は、図4に示す第一実施形態の構成の比較例となる公知の構成を示す図である。図4に示す構成は、図5に示す構成に対し、ガソリン式発電機7に代えて蓄電池61を予備電源に用いる点が相違する。予備電源の相違により、図4に示す構成は、図5に示す構成にはない電力変換部31を備えている。なお、図4に示す制御部30の構成は、その少なくとも一部が図2に示す制御盤3の内部に格納されている。
【0025】
図4は、蓄電池61と、制御部30とを示している。蓄電池61は、搬送可能な機構、または重量の蓄電池であり、第一実施形態ではタイヤ611を有するものとした。蓄電池61は、作業者が蓄電池61の一部に力を加えることにより容易に移動させることができる。蓄電池61は、蓄電された電力を直流(Direct Current:DC)により出力する。蓄電池61の出力電圧は、例えば、48Vである。
【0026】
制御部30は、受電部32と、電力変換部31と、切替スイッチ33と、切替スイッチ(SW)33を制御する指令回路34と、を備えている。受電部32は、電線37との電気的な接続端子や安全装置等を含む構成である。電力変換部31は、インバータ(INV)311と、ソフトスタート機能付インバータ(INV(ST))312と、を有している。インバータ311は、蓄電池61から供給された直流(DC)の電力の特性を変換する。ソフトスタート機能付インバータ312は、ポンプ23a、23bの始動電流を抑える機能を有するインバータである。制御部30において、受電部32から切替スイッチ33までの電力の供給路を供給路R1-1と記す。また、電力変換部31から切替スイッチ33に至るまでの電力供給路を電力供給路R2-1、切替スイッチ33から分岐点Pに至る電力供給路をR0、分岐点Pからポンプ23a、ポンプ23bに至る電力供給路をそれぞれ電力供給路R0a、R0bとする。制御部30は、蓄電池61を必要に応じて電力変換部31と接続するための接続端子(不図示)を備えている。
【0027】
上記の電力供給路のうち、電力供給路R1-1、R0、R0a、R0bは、ポンプ23a、23bに商用電力(第一の電力)を供給する第一の電力供給路を構成する。また、電力供給路R2-1、R0、R0a、R0bは、貯留槽の外部に配置される可搬式の蓄電池61からポンプに蓄電電力(第二の電力)を供給する第二の電力供給路を構成する。電力変換部31は、蓄電電力の特性を商用電力の特性に合わせて変換する第二電力用変換回路として機能する。蓄電電力の特性の変換は、インバータ311によって行われる。切替スイッチ33は、第一の電力供給路と、第二の電力供給路と、を切り替えて、商用電力、または電力変換部31により変換された蓄電電力の一方をポンプ23a、23bに供給する。また、電力変換部31は、商用電力、またはインバータ311により変換された蓄電電力が供給されるポンプ23a、23bの始動電流を抑止する始動制御部として機能する。始動電流の抑止は、ソフトスタート機能付インバータ312によって行われる。
【0028】
上記のうち、蓄電電力、商用電力の特性は、例えば、電力の直流または交流の別や電圧、電流の値をいう。電力変換部31は、インバータ311により蓄電池61から供給された48Vの直流電圧を昇圧し、300Vの直流電圧に変換する。また、インバータ312は、昇圧された直流電圧を、三相200Vの交流電圧にする。このような構成は、ポンプ23a、23bが商用電力の供給を受ける仕様になっているため、蓄電電力をポンプ23a、23bの仕様に合わせて変換するために設けられる。切替スイッチ33は、電力供給路R1-1と、電力供給路R2-1のいずれか一方を選択し、選択された電力供給路を二つの電力供給路R0a、R0bの一方、または両方に接続する機能を有している。切替スイッチ33の切り替えは、手動、遠隔操作、自動のいずれで行ってもよい。
【0029】
また、上記のうち、「ソフトスタート機能付インバータ312がポンプ23a、23bの始動電流を抑止する」とは、ソフトスタート機能付インバータ312を介してポンプ23a、23bに電力を供給する場合、ソフトスタート機能付インバータ312を介さない場合よりもポンプ23a、23bのモータを流れる始動電流が小さくなることをいう。
【0030】
指令回路34は、ポンプ23a、23bの省エネ運転モードを実現するための回路である。このような機能を果たすため、指令回路34は、二つの電力供給路R0a、R0bのうちのいずれか一方、または両方に電力を供給するように切替スイッチ33を制御する運転制御部として機能する。指令回路34は、例えば、作業者等が手動で操作することにより電力が供給される電力供給路が選択される操作ボタンを備える構成であってもよい。また、指令回路34は、遠隔操作により操作されるものであってもよいし、自動的に切替スイッチ33を制御する構成であってもよい。指令回路34が遠隔操作、または自動で切替スイッチ33を切り替える場合、指令回路34から切替スイッチに向けて制御信号Sが出力されるようにしてもよい。指令回路34が切替スイッチ33を自動制御する場合、例えば、図示しないタイマーや図2図3に示した水位検出部29の検出信号に連動して制御を行ってもよい。なお、省エネ運転モードについては、後に詳述する。
【0031】
なお、以上説明した制御部30は、図4に示す構成に限定されるものではない。例えば、制御部30の機能は、以上説明した構成と異なる他の装置や部品により果たされるものであってもよい。また、制御部30を構成する各装置等は、それぞれ独立に、あるいは一体的に組み合わされて機能するものであってもよい。さらに、各装置等の配置は任意であり、どのような順序で以上説明した機能を果たすものであってもよい。また、第一実施形態の制御部30は、二つのポンプ23a、23bを制御することに限定されず、さらに多数のポンプを制御するものであってもよい。
【0032】
図4に示した第一実施形態のマンホールポンプシステム100に対し、図5に示す公知のマンホールポンプシステムは、ガソリン式発電機7から電力供給路R4-1を介して直接AC三相200Vの電力が供給されるため、供給された電力を変換する構成が不要である。公知のマンホールポンプシステムの制御部80の切替スイッチ83は、電力供給路R4-1と電力供給路R1-1とを切り替えて、ポンプ23a、23bの少なくとも一方に商用電力またはガソリン式発電機7によって発電された電力を供給する。
【0033】
図6(a)、図6(b)は、ソフトスタート機能付インバータ35の機能を説明するための図である。図6(a)は、縦軸にポンプ23a、23bの不図示のモータ(以下、単に「モータ」とも記す)を流れる始動電流を示し、横軸にモータの回転速度を示している。なお、始動電流が流れた以降、モータには定格電流が流れ、一定の速度で回転するようになる。図6(b)は、縦軸にモータにかかる始動トルクを示し、横軸にモータの回転速度を示している。なお、始動電流が流れた以降、モータには定格電流が流れ、一定の速度で回転してポンプ23a、23bが安定して運転されるようになる。
【0034】
図6(a)において、点線で示される特性Pn1は、図5に示す比較例のポンプ23a、23bのモータの電流特性であり、実線で示される特性Ps1は、図4に示す第一実施形態のポンプ23a、23bのモータの電流特性である。図6(b)において、点線で示される特性Pn2は、図5に示す比較例のポンプ23a、23bのモータのトルクの特性であり、実線で示される特性Ps2は、図4に示す第一実施形態のポンプ23a、23bのモータのトルクの特性である。図6(a)、図6(b)の縦軸に示す電流及びトルクは、図5に示す比較例のモータを流れる始動時のモータ及びトルクの値を100として示されている。
【0035】
比較例の制御部80の場合、ポンプ23a、23bのモータに対して全電圧が印加(直入れ)されると、定格電流の5倍から7倍の始動電流が流れることが知られている。定格電流よりもはるかに大きい電流がモータを流れると、大きな電圧降下が発生し、ポンプ23a、23bに接続される機器に異常が生じる可能性がある。また、ポンプ23a、23bの全電圧始動は、電力消費が大きく、ポンプ23a、23bを起動するために必要な予備電源の大型化を招く一因になる。
【0036】
第一実施形態は、ポンプ23a、23bを比較的小型の蓄電池で行うため、ポンプ23a、23bの上流にソフトスタート機能付インバータ35を設けている。ソフトスタート機能付インバータ35は、モータに供給される交流電圧の周波数を、予め定められた規定の周波数より低い周波数に変換し、この周波数を既定の周波数まで所定の時間内に高めるように制御する機器である。図6(a)に示すように、ソフトスタート機能付インバータ35を介して電力の供給を受けたモータに流れる始動直後の電流は、比較例の始動直後の電流に比べて十分に低減される。また、特性Pn1、Ps1から明らかなように、ソフトスタート機能付インバータ35を介して電力の供給を受けたモータに流れる始動電流は、ポンプ23a、23bの起動に至るまで全電圧始動時の始動電流よりも小さくなっている。なお、第一実施形態のモータの回転速度は、比較例よりも時間をかけてポンプ23a、23bの起動速度に到達する。
【0037】
また、比較例のモータの始動トルクは、定格トルクになる直前に大きくなり、ピークを持つ。図6(b)に示すように、第一実施形態のモータにかかるトルクは、電圧の投入開始時には比較例よりも小さいが、その後に上昇してピークを持つことがわかる。ソフトスタート機能付インバータ35では、供給された電圧の周波数を規定の周波数に高めるまでの時間を調整することにより始動電流やトルクを調整することができる。このため、第一実施形態は、始動電流を考慮しながらトルクのピークが負荷トルク以上の値を持つように予めソフトスタート機能付インバータ35を調整することが可能である。
【0038】
以上説明したように、第一実施形態の制御部30は、ソフトスタート機能付インバータ35を設けたことにより、ポンプ23a、23bの起動にかかる電力を低減し、小型の蓄電池61を使ってポンプ23a、23bを起動しやすくすることができる。また、大型の発電機によりポンプ23a、23bのモータを全電圧始動することをなくし、始動電流によって機器の異常が発生することを防ぐことができる。
【0039】
なお、第一実施形態は、図4に示すように、ソフトスタート機能付インバータ312が切替スイッチ33の前段に設けられているため、蓄電電力がポンプ23a、23bに供給される場合にのみ動作してポンプ23a、23bの始動電流を低下させるように機能する。ただし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものではなく、ポンプ23a、23bに商用電力、蓄電電力のいずれが供給される場合でもソフトスタート機能付インバータ312が機能するようにしてもよい。また、第一実施形態の始動制御部は、ソフトスタート機能付インバータ312の構成に限定されるものではない。始動制御部は、例えば、オープンスターデルタ始動、クローズドスターデルタ始動、リアクトル始動、コンドルファ始動等の、始動電流を低減する機構を有するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0040】
次に、図4に示す指令回路34(運転制御部)による省エネ運転モードについて説明する。省エネ運転モードは、ポンプ23a、23bに供給される電力が商用電力から蓄電電力に切り替えられたことを契機にして開始される運転の方式である。省エネ運転モードは、比較的小型の蓄電池61によりポンプ23a、23bに電力を供給する必要上、ポンプ23a、23bへの電力供給量を抑えるために行われる。
【0041】
第一実施形態の省エネ運転モードは、以下の4つのモードを含む。
(a)ポンプ23a、23bに電力変換部31により変換された蓄電電力が供給されている間は、複数のポンプ23a、23bのうちの一つを運転し、他の一つの運転を停止する。
(b)複数のポンプ23a、23bのうち、運転中であった一方が起動しなくなった場合に、他の一方を起動する。
(c)ポンプ23a、23bに電力変換部31により変換された蓄電電力が供給されている間は、水位検出部29によって検出される水位が予め定められた水位である上限水位に達するまではポンプ23a、23bの少なくとも一つの運転を停止する。
(d)上記(c)のモードにおいて、水位検出部29によって検出される水位が予め定められた水位である下限水位に達するまで運転中のポンプの運転を継続する。
【0042】
上記(a)モードにおいて、指令回路34は、図4に示す2つの電力供給路R0a、R0bのうちの一方をオン(電力供給状態)し、他方をオフ(電力供給停止状態)するように指示する制御信号Sを切替スイッチ33に送信する。このようなモードは、蓄電電力のポンプ23a、23bへの電力供給量を抑えることができる。
【0043】
また、(b)モードにおいて、指令回路34は、例えば、ポンプ23a、23bに取り付けられているモータの回転数を検出する常設センサと連動し、ポンプの運転停止を検出する。そして、運転を停止したポンプと異なるポンプに接続する電力供給路R0a、または電力供給路R0bをオンするように指示する制御信号Sを切替スイッチ33に送信する。このようなモードは、蓄電電力のポンプ23a、23bへの電力供給量を抑えながら、すべてのポンプが停止することを防ぐことができる。
【0044】
(c)モードにおいて、指令回路34は、例えば、図3に示す水位検出部29から検出信号を入力して水位が上限水位に達したか否か判断する。上限水位とは、貯留槽20に貯留した下水の汲出しが必要になったと判断される水位である。検出信号により上限水位に達していないと判断した場合、指令回路34は、2つの電力供給路R0a、R0bの両方のオフを継続するように指示する制御信号Sを切替スイッチ33に送信する。また、(d)モードにおいて、指令回路34は、例えば、検出信号により水位が下限水位に達したか否か判断する。下限水位とは、貯留槽20に貯留した下水の汲出しが不要になったと判断される水位である。検出信号により下限水位に達していないと判断した場合、指令回路34は、オン状態の電力供給路R0a、または電力供給路R0bのオンを継続するように指示する制御信号Sを切替スイッチ33に送信する。このようなモードは、蓄電電力のポンプ23a、23bへの電力供給量をよりいっそう抑えながら、必要に応じて下水を汲み出して貯留槽20内に下水が溢れることを防ぐことができる。
【0045】
また、第一実施形態は、電力消費を抑えるため、ポンプ23a、23bを一定の回転速度で運転する場合、ポンプ23a、23b毎に決まる最も電力消費量が少ない周波数帯域の蓄電電力を供給するようにしてもよい。このような構成は、例えば、ポンプ23a、23bのそれぞれに適した周波数帯域を予め電力変換部31に設定し、指令回路34がオンを指示する側の電力供給路R0a、または電力供給路R0bに応じてインバータ311が直流の蓄電電力を交流に変換する際の周波数を決定することにより実現する。
【0046】
以上説明したように、本発明の第一実施形態は、比較的小型の蓄電池を使って貯留槽内のポンプを起動させることができるので、蓄電池の積み下ろしや搬送に係る負荷が小さくなる。第一実施形態は、予備ポンプを搬送せずに蓄電池だけを搬送するので、特許文献1に記載の発明に比べて負荷をいっそう軽減することができる。このため、第一実施形態は、ポンプの復旧に係る負荷が小さく、また、エンジン式のポンプを使うよりも騒音の発生を抑止することができる。また、第一実施形態は、一度により多くの蓄電池を搬送することができるので、多数のマンホールポンプ場に順次蓄電池を搬送し、複数のマンホールポンプを並行して起動することができる。
【0047】
[マンホールポンプ制御方法]
以上説明したマンホールポンプシステム100を制御する制御方法は、ポンプ23a、23bに供給される商用電力の特性に合わせて、貯留槽20の外部に配置される蓄電池61からポンプ23a、23bに供給される蓄電電力を200Vの交流に変換する工程と、商用電力が供給される電力供給路R1-1、R0、R0a、R0bと、蓄電電力が供給される電力供給路R2-1、R0、R0a、R0bと、を切り替えて、商用電力、または交流に変換された蓄電電力の一方をポンプ23a、23bに供給する工程と、商用電力、または交流に変換された蓄電電力が供給されるポンプ23a、23bのモータを流れる始動電流を抑える工程と、を含む。
【0048】
[第二実施形態]
図7は、本発明の第二実施形態のマンホールポンプシステム200を説明するための図である。図7において、第一実施形態で示した構成と同一の構成は同一の符号を付して説明し、その説明の一部を省く場合がある。
【0049】
マンホールポンプシステム200は、制御部90を備えている。制御部90は、電動車両65の不図示のバッテリから車両蓄電電力(第三の電力)を供給する電力供給路R3-1、R3-2、R0、R0a、R0bと、車両蓄電電力の特性を商用電力の特性に合わせて交流の三相200Vに変換するV2L(EV用パワーコンディショナ:Vehicle to Load)66と、を備えている。
【0050】
切替スイッチ33は、電力供給路R1-1、R0、R0a、R0b、電力供給路R2-1、R0、R0a、R0b及び電力供給路R3-1、R3-2、R0、R0a、R0bを切り替えて、ポンプ23a、23bに対して商用電力、変換後の蓄電電力、及び変換後の車両蓄電電力のいずれか一つを供給する。なお、第二実施形態でいう電動車両65は、走行に使用される電力の少なくとも一部を電動モータにより発生させる車両であればよく、動力の一部をガソリンエンジンにより発生するものであってもよい。可搬用蓄電池として電動車両65を利用する第二実施形態は、特に蓄電池の可搬性に優れる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・建物,2・・・マンホールポンプ場,3・・・制御盤,4・・・下水処理場,5・・・引込開閉器,7・・・ガソリン式発電機,80,30,90・・・制御部、11,21・・・流入管,12・・・汚水管,13・・・マンホール,20・・・貯留槽,23、23a・・・ポンプ
29・・・水位検出部,31・・・インバータ,32・・・受電部,33・・・切替スイッチ,34・・・指令回路,61・・・蓄電池,65・・・電動車両,100、200・・・マンホールポンプシステム,311・・・インバータ,312・・・ソフトスタート機能付インバータ,R1-1、R2-1、R0、R0a、R0b・・・電力供給路
【要約】
【課題】ポンプの復旧に係る負荷が小さく、また、エンジン式のポンプを使うよりも騒音の発生を抑止できるマンホールポンプシステムを提供する。
【解決手段】貯留槽の内部の液体の吸い込み及び吐出を行うポンプ23a、23b、ポンプ23a、23bに商用電力を供給する電力供給路R1-1、R0、R0a、R0b、貯留槽の外部に配置される可搬式の蓄電池61からポンプ23a、23bに第二の電力を供給する電力供給路R2-1、R0、R0a、R0b、商用電力の特性を蓄電電力の特性に合わせて変換するインバータ311、電力供給路R1-1、R0,R0a、R0bと、電力供給路R2-1、R0、R0a、R0bと、を切り替えて、商用電力、または変換された蓄電電力の一方をポンプ23a、23bに供給する切替スイッチ33と、商用電力、または変換された蓄電電力が供給されるポンプ23a、23bの始動電流を抑止するソフトスタート機能付インバータ312と、によりマンホールポンプシステムを構成する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7