(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】積層型インダクタおよび積層型インダクタの検査方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20220329BHJP
C08F 2/48 20060101ALI20220329BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20220329BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08F2/48
C08G59/18
H01F17/00 D
(21)【出願番号】P 2017232455
(22)【出願日】2017-12-04
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0053170
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン グム-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン セオル-アー
(72)【発明者】
【氏名】リ ファ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シム ジ-ヒエ
(72)【発明者】
【氏名】シン サン-ウン
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08G
C08L
H01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性感光性樹脂を含むボディー部と、
前記ボディー部の少なくとも1つ以上の表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部とを含
み、
前記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)と、を有し、
前記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)と、を有する、
積層型インダクタ。
【請求項2】
前記ボディー部と前記カバー部との色差(ΔE)が、30以上である請求項
1に記載の
積層型インダクタ。
【請求項3】
前記ボディー部と前記カバー部との色差(ΔE)が、50以上である請求項
1または請求項2に記載の
積層型インダクタ。
【請求項4】
前記ボディー部と前記カバー部との正透過度(%T)の差が6%以上である請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項5】
前記ボディー部と前記カバー部との正透過度(%T)の差が10%から30%である請求項
1から請求項4のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項6】
前記遮光性感光性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で5%未満の正透過度(%T)を有する請求項1
から請求項5のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項7】
前記遮光性感光性樹脂は、カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、希釈溶剤、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、熱硬化性エポキシ樹脂、顔料、及び無機充填材を含む請求項1
から請求項
6のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項8】
前記遮光性感光性樹脂内の前記顔料は、固形分の総重量に対して2重量部以下である請求項
7に記載の
積層型インダクタ。
【請求項9】
前記遮光性感光性樹脂内の前記無機充填材は、固形分の総重量に対して60重量部以上の球状シリカである請求項
7または請求項
8に記載の
積層型インダクタ。
【請求項10】
前記球状シリカの平均粒径は、500nmから1μmである請求項
9に記載の
積層型インダクタ。
【請求項11】
前記球状シリカの最大粒径は、5μm未満である請求項
9または請求項
10に記載の
積層型インダクタ。
【請求項12】
前記遮光性感光性樹脂は、アルカリ現像型である請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項13】
前記遮光性熱硬化性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で0.5%以下の正透過度(%T)を有する請求項
1から請求項12のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項14】
前記遮光性熱硬化性樹脂は、固形分の総重量に対して無機充填材60から80重量部、エポキシ樹脂10から20重量部、硬化剤0から10重量部、高分子樹脂0から3重量部、顔料0から10重量部を含む請求項
1から請求項
13のいずれか1項に記載の
積層型インダクタ。
【請求項15】
前記遮光性熱硬化性樹脂に含まれる前記無機充填材は、平均粒径が500nmから5μmである球状シリカを含む請求項
14に記載の
積層型インダクタ。
【請求項16】
前記遮光性熱硬化性樹脂に含まれる前記無機充填材の前記球状シリカの最大粒径は、10μm以下である請求項
15に記載の
積層型インダクタ。
【請求項17】
ボディー部、及び前記ボディー部と重なるように配置されたカバー部を含む成形品を形成する段階と、
前記成形品の不良を検査する段階と、を含
み、
前記ボディー部は、遮光性感光性樹脂を含み、
前記カバー部は、前記ボディー部の1つまたはそれ以上の表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含み、
前記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)と、を有し、
前記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)と、を有する、
積層型インダクタの検査方法。
【請求項18】
前記ボディー部と前記カバー部との色差(ΔE)が30以上である請求項
17に記載の
積層型インダクタの検査方法。
【請求項19】
前記ボディー部と前記カバー部との色差(ΔE)が50以上である請求項
17または請求項18に記載の
積層型インダクタの検査方法。
【請求項20】
前記ボディー部と前記カバー部との正透過度(%T)の差が6%以上である請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の積層型インダクタの検査方法。
【請求項21】
前記ボディー部と前記カバー部との正透過度(%T)の差が10%から30%である請求項17から請求項20のいずれか1項に記載の積層型インダクタの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遮光性樹脂組成物(Light shielding resin composition)及びこれを含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
EMC(Electro Magnetic Compatibility、電磁波適合性)分野は、'未来の成長動力'として認定されている。すなわち、EMC分野においての装置は、様々な製品に統合可能であるので、未来の地域経済成長を加速化する装置として選択されている。EMC装置の例としては、CMEF(Common Mode ESD Filter)、パワーインダクタ、高周波ビーズ(Beads)、ESDフィルター(ESD Filter)、バリスタ(Varistor)、ESDクランプ(ESD Clamp)、及びESDサプレッサー(ESD Suppressor)等がある。
【0003】
EMC装置は、携帯電話、生活家電及び自動車等広範囲な分野の製品に適用可能な"汎用電子部品"である。先端電子機器の普及とともに周辺環境の電磁波密集度が増加し、上記製品においては、高周波化、軽薄短小化、複合機能化等の高機能の電子部品に対する需要が急増している。
【0004】
従来の積層型インダクタにおいては、プリント及び積層により積層体が構成される。積層体は、セラミック絶縁層上にコイルパターンとコイル間の層間ビアの接続のために使用される。インダクタは、一般的に、圧着、焼成により形成される。複合電子部品の小型化につれ、高周波積層型インダクタも小型化及び薄膜化される傾向にある。
【0005】
高周波積層型インダクタの不良検査時にBGR照明を用いて外部電極の非めっきやコイル露出等の検査を行っている。このとき、回路が透けて見える回路透けがある場合は、外観選別時に不良と誤認する場合がある。
【0006】
また、高周波積層型インダクタは、小型化、薄膜化、及び高密度化により、幅(Width、W)と厚さ(Thickness、T)が同じである場合がある。この場合、キャリアテープに挿入する際に、ポケットとチップとの間の整列不良やバリ(burr)等により90゜誤挿入されることがある。さらに、薄膜高周波インダクタの上面と側面の色相が同じである場合は、回転による誤挿入が発生し、不良検出が不可能となる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0107085号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によれば、成形品は、遮光性感光性樹脂を含むボディー部を含む。上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0009】
上記遮光性感光性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で5%未満の正透過度(%T)を有することができる。
【0010】
上記遮光性感光性樹脂は、カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、希釈溶剤、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、熱硬化性エポキシ樹脂、顔料、及び無機充填材を含むことができる。
【0011】
上記遮光性感光性樹脂内の上記顔料は、固形分の総重量に対して2重量部以下に含まれることができる。
【0012】
上記遮光性感光性樹脂内の上記無機充填材は、固形分の総重量に対して60重量部以上の球状シリカを含むことができる。
【0013】
上記球状シリカの平均粒径は、500nmから1μmであることができる。
【0014】
上記球状シリカの最大粒径は、5μm未満であることができる。
【0015】
上記遮光性感光性樹脂は、アルカリ現像型である遮光性感光性樹脂を含むことができる。
【0016】
他の側面によれば、成形品は、遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部を含む。上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0017】
上記熱硬化性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で0.5%以下の正透過度(%T)を有することができる。
【0018】
上記熱硬化性樹脂は、固形分の総重量に対して無機充填材60から80重量部、エポキシ樹脂10から20重量部、硬化剤0から10重量部、高分子樹脂0から3重量部、顔料0から10重量部を含むことができる。
【0019】
上記無機充填材は、平均粒径が500nmから5μmである球状シリカを含むことができる。
【0020】
上記球状シリカの最大粒径は、10μm以下であることができる。
【0021】
また他の側面によれば、成形品は、遮光性感光性樹脂を含むボディー部と、上記ボディー部の少なくとも1つ以上の表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部と、を含む。上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)とを有する。上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0022】
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)は、30以上であることができる。
【0023】
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)は、50以上であることができる。
【0024】
上記ボディー部と上記カバー部との正透過度(%T)の差は、6%以上であることができる。
【0025】
上記ボディー部と上記カバー部との正透過度(%T)の差は、10%から30%であることができる。
【0026】
上記成形品は、インダクタ、フィルム、プリント配線板、遮光用部材、チップ、または携帯電話または映像装置のディスプレー用部品であることができる。
【0027】
上記成形品は、同じ幅及び同じ厚さを有する高周波積層型インダクタであることができる。
【0028】
また他の側面によれば、成形品の検査方法は、ボディー部及び上記ボディー部と重なるように配置されたカバー部を含む成形品を形成する段階と、上記成形品の不良を検査する段階と、含む。上記ボディー部は、遮光性感光性樹脂を含み、上記カバー部は、上記ボディー部の少なくとも1つの表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含む。上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)とを有する。上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0029】
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)は、30以上であることができる。
【0030】
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)は、50以上であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図5】遮光性感光性フィルムの一実施例の紫外線-可視光線吸収スペクトラム(UV-Vis spectrum)の結果を示すグラフである。
【
図6】熱硬化性フィルムの一実施例の紫外線-可視光線吸収スペクトラム(UV-Vis spectrum)の結果を示すグラフである。
【
図7】高周波インダクタの製造工程の一実施例を概略的に示す順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付の図面及び連関する以下の詳細な説明、実施例からより明らかになるであろう。
【0033】
これに先たち、本明細書及び特許請求の範囲で使用した用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に基づいて、本開示の技術的思想に符合する意味や概念として解釈されるべきである。
【0034】
本明細書において、層、部分、または基板等の構成要素が他の構成要素の"上に"、"接続され"、または"結合され"と記載されている場合、これは、直積的に他の構成要素の"上に"、"接続されて"、または"結合されて"いる場合を意味し、また、両構成要素の間に1つ以上の他の構成要素が介在されている場合も意味する。これに対して、構成要素が他の構成要素の"直積的に上に"、"直積的に接続されて"、または"直積的に結合されて"いると記載されている場合は、両構成要素の間には、他の構成要素が介在されていることはない。
【0035】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本開示を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に言及しない限り、複数の表現を含む。
【0036】
本願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたもの等の存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなくてはならない。
【0037】
本願において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは特別に言及しない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
また、明細書の全般にわたって、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味するものではない。
【0039】
本開示は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本開示を特定の実施形態に限定することではなく、本開示の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0040】
本開示を説明するに当たって、係わる公知技術に対する具体的な説明が本開示の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0041】
以下に、本開示の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0042】
(遮光性感光性樹脂組成物)
遮光性感光性樹脂組成物は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0043】
CIE色空間での任意の位置は、L*、a*、b*の3つの座標値で表現される。L*値は、明度を示すものであって、L*=0であると黒色(darkest black)であり、L*=100であると白色(brightest white)を示す。a*は、該当色座標を有する色が純粋な深紅色(red)と純粋な緑色(pure green) のうちのいずれかに偏ったかを示し、b*値は、該当色座標を有する色が純粋な黄色(pure yellow)と純粋な青色(pure blue)のうちのいずれかに偏ったかを示す。
【0044】
a*は、-aから+aの範囲を有する。a*の最大値(a*max)は純粋な深紅色(red)を示し、a*の最小値(a*min)は純粋な緑色(pure green)を示す。例えば、a*値が負数であれば純粋な緑色に偏った色相であり、正数であれば純粋な深紅色に偏った色相を意味する。a*=80とa*=50を比較すると、a*=80がa*=50よりも純粋な深紅色に近く位置することを意味する。
【0045】
b*値は、-bから+bの範囲を有する。b*の最大値(b*max)は純粋な黄色(pure yellow)を示し、b*の最小値(b*min)は純粋な青色(pure blue)を示す。例えば、b*値が負数であれば純粋な黄色に偏った色相であり、正数であれば純粋な青色に偏った色相を意味する。b*=50とb*=20を比較すると、b*=50がb*=20よりも純粋な黄色に近く位置することを意味する。
【0046】
遮光性感光性樹脂組成物は、これに限定するものではないが、L値が-100から40であり、a*値が-40から-10、及びb*値が-100から5である着色力を有することができる。
【0047】
遮光性感光性樹脂組成物は、上記の着色力を備えた組成物で形成された成形品の遮光特性を改善することができる。上記着色力の範囲を外れると、製造された成形品の遮光性が不足する場合がある。この場合、BGR照明の使用時に積層インダクタの内部コイル透け現象が発生することがある。
【0048】
一般的に光学フィルターを透過した光は、入射光と実質的に平行な成分と散乱した成分とに分けられ、この場合、入射光と実質的に平行な成分に対する透過度を正透過度(%T、Transmittance)と定義する。
【0049】
上述の遮光性感光性樹脂組成物は、10%未満の正透過度を備え、上述の組成物で製造された成形品の遮光性を改善することができる。上記正透過度の範囲を外れると、成形品の遮光性が不足する場合がある。
【0050】
これに限定されないが、上記組成物の正透過度(%T)は、200nmから700nmの波長帯で0%以上5%未満がより好ましい。
【0051】
上記遮光性感光性樹脂組成物は、1つ以上のカルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、希釈溶剤、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、熱硬化性エポキシ樹脂、顔料、及び無機充填材を含むことができる。
【0052】
上記カルボキシル基含有樹脂は、これに限定されないが、カルボキシル基含有不飽和化合物として特開平5-271356号公報に記載の化合物等が挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]へプト-5-エン-2,3ージカルボン酸、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]へプト-5-エン-2,3ージカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基含有不飽和化合物には不飽和カルボン酸誘導体も含まれる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、酸ハライド、アミド、イミド等が挙げられ、具体的には無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸等の酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等のエステル;塩化マレニル、マレイミド等が挙げられる。
【0053】
カルボキシル基含有樹脂の含量は、これに限定されないが、0.1から10重量部であることができる。上記含量を超過する場合、アルカリ現像性、溶剤性等が劣化する問題点が発生することがある。
【0054】
上記光重合開始剤としては、これに限定されないが、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、N,N'-テトラメチル-4,4'ージアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N'-テトラエチル-4,4'ージアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4'ージメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2ージメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1等の1種以上の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3ージフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル1,4-ナフトキノン、2,3ージメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4',5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5ージフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5ージ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5ージフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5ージフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5ージフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリルイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9'-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物、チオキサントン類、安息香酸イソアミル等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を任意に組み合わせて使用できる。
【0055】
光重合開始剤の含量は、これに限定されないが、遮光性感光性樹脂組成物の溶媒を除いた固形分に対して0.05から10重量部が好ましく、1から3重量部がより好ましい。
【0056】
光重合開始剤の含量が、0.05重量部未満であると、遮光性感光性樹脂組成物の硬化が遅れたり、正確に始まらない恐れがあり、光重合開始剤の含量が10重量部を超過すると、遮光性感光性樹脂組成物の感度が過度に高くなり、解像度が低下することがある。
【0057】
上記希釈溶剤としては、これに限定されないか、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の1種以上のアルコール類、α-またはβ-テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらを数種類用いて溶解、混合させることにより、遮光性粒子や色調整用粒子等を安定的に分散させた均一な組成物を得ることができる。
【0058】
上記希釈溶剤の含量は、遮光性感光性樹脂組成物100重量部に対して10から2000重量部の範囲が好適であり、基板上に塗布する方法に応じて適切な固形分、溶液粘度に調整するための目的として用いることができる。
【0059】
上記エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、これに限定されないが、下記から1種以上を選択することができる:アルキル系(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、へプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビス(メタクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、エピクロルヒドリン変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート:日本化薬製カヤラッドR-167、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート:日本化薬製カヤラッドHXシリーズ等のアルキル型(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート:長瀬産業デナコールDA(M)-811、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート:長瀬産業デナコールDA(M)-851、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート:長瀬産業デナコールDA(M)-911等のアルキレングリコール型(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート:日本化薬製カヤラッドR-604、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート:サートマーSR-454、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート:日本化薬製TPA-310、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート:長瀬産業DA(M)-321等のトリメチロールプロパン型(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート:東亜合成アロニックスM-233、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート類:日本化薬製カヤラッドD-310、320、330等、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート類:日本化薬製カヤラッドDPCA-20、30、60、120等のペンタエリスリトール型(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート:長瀬産業デナコールDA(M)-314、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート等のグリセロール型(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート:山陽国策パルプCAM-200等の脂環式(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート:東亜合成アロニックスM-315、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート型(メタ)アクリレート。
【0060】
上記熱硬化性樹脂としては、これに限定されないが、エポキシ樹脂またはポリイミド(polyimide)または液晶ポリマー(Liquid crystal polymer、LCP)等を用いることができる。非晶質のエポキシ樹脂の場合は、ビフェニルタイプのエポキシ等の結晶性エポキシに比べて、フィルム状に製作することが容易であるという利点がある。熱硬化性樹脂の含量が過度に増加すると、成形品の特性を実現するための磁束の流れを邪魔する要因として作用することがある。これに限定されないが、1から10重量部を含むことができ、5重量部以下がより好ましい。
【0061】
本願で使用する顔料は、上述の条件を満足する顔料であれば、特に制限はない。これに限定されないが、例えば、有機顔料及び無機顔料のすべてを用いることができ、酸化チタン等の白色顔料、黒色顔料及びカラー着色顔料を単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0062】
上記黒色有機顔料としては、ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、ラクタムブラック等を用いることができ、黒色無機顔料としては、カーボンブラック(ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等)、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、酸窒化チタン、チタン窒化物、チタン酸ストロンチウムまたはセリア等を用いることができる。
【0063】
上記黒色顔料と混合して使用可能なカラー着色顔料としては、カーマイン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、リノールイエロー(C.I.21090)、リノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T-564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED97、122、149、168、177、180、192、215、C.I.PIGMENT GREEN7、36、C.I.PIGMENT BLUE15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.PIGMENT YELLOW83、139,C.I.PIGMENT VIOLET23等があり、その他に白色顔料、蛍光顔料等を用いることもできる。
【0064】
顔料の含量は、これに限定されないが、固形分の総重量に対して2重量部以下が好適であり、2重量部を超過すると、遮光率が低下し、顔料追加による遮光効果が比例的に増加しない。
【0065】
上記無機充填材としては、球状のシリカが好適であり、平均粒径は、500nmから1μmでありながら、最大粒径が5μm を超過しないものが均一な光硬化に好適である。
【0066】
これに限定されないが、上記無機充填材としては、固形分の総重量に対して60重量部以上の球状シリカを用いることができる。
【0067】
上記遮光性感光性樹脂組成物は、シリカの含有率が60重量部以上であることを特徴とするアルカリ現像型であって、エポキシ樹脂が少なくとも1種以上含まれることが好適である。
【0068】
上記遮光性感光性樹脂組成物は、これに限定されないが、アルカリ現像型である着色遮光性感光性樹脂組成物を含むことができる。
【0069】
上記現像のための現像液としては、これに限定されないが、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ類;エチルアミン、N-プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン等の2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3級アルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、n-メチルピペリジン、n-メチルピロリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリン等の芳香族3級アミン類;またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩の水溶液等を用いることができる。
【0070】
(遮光性熱硬化性樹脂組成物)
本願の遮光性熱硬化性樹脂組成物は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)とを有する。
【0071】
上述した遮光性熱硬化性樹脂組成物は、これに限定されないが、a*値は、-6から100であることができ、b*値は、-100から30であることができ、正透過度は、200nmから700nmの波長帯で0%以上1%未満の正透過度を有することができる。
【0072】
本願の遮光性熱硬化性樹脂組成物は、上記のような着色力を備え、本願の組成物で製造された成形品の遮光性を改善することができる。上記着色力の範囲を外れると、製造された成形品の遮光性が不足する場合がある。この場合、BGR照明の使用時に積層インダクタの内部コイル透け現象が発生することがある。
【0073】
上述した遮光性熱硬化性樹脂組成物は、1%未満の正透過度を備え、本願の組成物で製造された成形品の遮光性を改善することができる。上記正透過度の範囲を外れると、成形品の遮光性が不足する場合がある。
【0074】
これに限定されないが、上記遮光性熱硬化性樹脂組成物の正透過度(%T)は、200nmから700nmの波長帯で0.5%以下がより好ましい。
【0075】
上記遮光性熱硬化性樹脂組成物は、固形分の総重量に対して、無機充填材60から80重量部、エポキシ樹脂10から20重量部、硬化剤0から10重量部、高分子樹脂0から3重量部、顔料0から10重量部、及び分散剤または硬化促進剤等のその他の添加物を0から2重量部で含むことができる。
【0076】
上記無機充填材は、これに限定されないが、ガラス繊維または硫酸バリウムが好適であり、成形品に製造する場合、耐衝撃性を高める役割をする。
【0077】
上記無機充填材が60重量部以下であると、強度及び耐衝撃性が低下し、低重量による問題点があり、80重量部を超過すると、高重量及び高剛性のために、生産工程が複雑になる問題点がある。
【0078】
無機充填材としては、少なくとも1種以上の球状シリカを含むことが好ましく、平均粒径は500nmから5μmでありながら最大粒径が10μmを超過しないものが好ましい。
【0079】
上記無機充填材の平均粒径が500nm未満であると、混合する間に剛性効果が充分ではないという問題点があり、5μmを超過すると、成形品の変形が悪くなり、外観状態が不良となることがある。
【0080】
上記エポキシ樹脂としては、これに限定されないが、モノまたはポリエポキシ樹脂を用いることができ、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4-(1-(4-(1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p-オキシ安息香酸、β-オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4ージアミノジフェニルメタンやm-アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシドが挙げられる。
【0081】
上記エポキシ樹脂は、貯蔵安定性の観点から、ポリエポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂を10重量部未満で使用すると、成形品の形成工程が困難となる場合がある。
【0082】
上記高分子樹脂としては、これに限定されないが、ポリイミド(PI)樹脂、C-PVC樹脂、PVDF樹脂、ABS樹脂、CTFE樹脂を用いることができ、上記組成物には機能性を付与するためにハードコーティング剤、UV遮断剤、及びIR遮断剤等がさらに含まれることができる。
【0083】
上記分散剤としては、高分子形、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性分散剤を用いることができる。この分散剤の非制限的な例としては、ポリアルキレングリコール及びそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキサイド付加物、アルコールアルキレンオキサイド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキサイド付加物、アルキルアミン等が挙げられ、これらから選択された1種または2種以上の混合物を用いることができ、これらに限定されるものではない。
【0084】
(成形品)
成形品は、上記遮光性感光性樹脂を含むボディー部、及び上記遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部のうちの1つ以上を含むことができる。
【0085】
以下に、上記成形品の例として積層型インダクタを中心に説明する。
【0086】
図1は、上述した遮光性感光性樹脂組成物で製造されたボディー部と、遮光性熱硬化樹脂組成物で製造されたカバー部とを含む積層型インダクタの斜視図である。
図2は、
図1のA-A線に沿った断面写真である。
【0087】
上記
図1及び
図2を参照すると、積層型インダクタ100は、インダクタ100の内部絶縁材であるボディー部110、上記ボディー部110の上下面を形成するカバー部120、上記ボディー部110の一部の角に形成された外部電極130、上記ボディー部110に内蔵されたコイル140、及び上記コイル140を貫通するビア150で構成される。
【0088】
上記ボディー部110は、上述したように、着色力に優れた遮光性感光性樹脂組成物で形成される。
【0089】
上記カバー部120は、上述したように、着色力に優れ、ボディー部110との区別が容易であり、装置の方向性の認識が可能な遮光性熱硬化性樹脂組成物で形成される。
【0090】
着色力は、プリント配線板の外観や回路の隠蔽性に影響を与える重要な特性である。従来のインダクタ等においては、一般的に材料にフタロシアニン系の緑色及び青色、補助的に黄色の着色剤が使用され、これらの着色剤はすべて紫外線領域に大きな吸収を有しているため、配合量が多いと紫外線透過性に影響して良い解像性が得られなかった。
【0091】
しかし、着色力が不十分であると、プリント配線板上に形成されている銅回路が透けて見えるので、外観選別時に良品率を著しく低下させる。さらに、最近には、後続工程であるプリント配線板の外観選別工程が自動化されており、機械による部品の取り付けが行われるが、画像認識の際に前面(Front)/後面(Rear)とスタート(S)面との認識がうまくできないという問題点が発生することがある。
【0092】
特に、薄膜高周波積層型インダクタである場合、上面/側面の色相が同じである下面電極タイプであるため、回転による誤挿入が発生すると不良検出が不可能となり、流出されると、高不良を生じることがある。
【0093】
上述したように、良好な遮光性及び高解像性をともに満足する絶縁層を形成できる遮光性感光性樹脂組成物と、良好な遮光性を有する遮光性熱硬化性樹脂組成物とを用いて、ボディー部110とカバー部120をそれぞれ製造することができる。
【0094】
したがって、上記薄膜高周波積層型インダクタの検査時に、外観選別器の照明下でコイル透けがなく、ボディー部110とカバー部120の区別及び方向性の認識が可能であるという利点がある(
図3及び
図4参照)。
【0095】
また、上述したように、幅(W)及び厚さ(T)が同じである場合にも、ボディー部110とカバー部120の区別及びそれぞれの配置方向性の認識が可能である。
【0096】
さらに、上記カバー部120を使用すると、ホワイト系列の場合にも回路透けがなく、クラックまたは他の変形の有無を選別できるという利点がある。これに限定されないが、上記カバー部120は不透明のホワイトであるものが好ましい。
【0097】
上記のように、ボディー部110及びカバー部120を用いるインダクタを説明したが、これはただの例示である。例えば、成形品は、インダクタ、コンデンサー、レジスター、キャパシター、カラーフィルター、フィルム、プリント配線板、遮光用部材、チップ、または携帯電話または映像装置のディスプレー用部品であることができる。
【0098】
これに限定されないが、上述の成形品は、モバイル機器だけではなく、カメラ、オーディオ、ECU(electronic control unit)及び自動車部品等の電装用装置などの受動素子の全領域に適用可能である。
【0099】
成形品は、遮光性感光性樹脂組成物で製造されたボディー部110;及び遮光性熱硬化性樹脂組成物で製造されたカバー部120を含み、上記ボディー部110と上記カバー部120との色差(ΔE)が30以上である。
【0100】
本願において、色差はCIE(国際照明委員会、Commission Internationale de l'Eclairage)により規定された色相値である CIELab色空間で使用される概念である。上記CIELabの色空間は、人間の視力で感知できる色の差を表現する色座標の空間である。CIELabの色空間では、互いに異なる二つの色の距離は、人間が認知する色の差と比例するように設計されている。CIELabの色空間での色差とは、CIELabの色空間における二つの色の間の距離を意味する。すなわち、距離が遠いと色差が大きくなり、距離が近いほど色差がほとんどないことを意味する。この色差をΔEと表示する。ボディー部110及びカバー部は、30以上の色差を有するか、50以上の色差を有することができる。
【0101】
上記ボディー部110とカバー部120との色差が30未満であると、ボディー部110とカバー部120との識別が困難となる場合がある。
【0102】
上述の成形品とは別に、成形品は、遮光性感光性樹脂組成物で製造されたボディー部110と、遮光性熱硬化性樹脂組成物で製造されたカバー部120とを含み、上記ボディー部110と上記カバー部120の正透過度(%T)の差が6%以上である。
【0103】
上記ボディー部110と上記カバー部120の正透過度(%T)の差が6%未満であると、上記ボディー部110と上記カバー部120の識別が困難となる場合がある。
【0104】
これに限定されないが、上記ボディー部110と上記カバー部120の正透過度(%T)の差が10%から30%が好適である。
【0105】
上述したように、上記成形品は、高周波積層型インダクタであることができる。
【0106】
図7を参照すると、成形品の製造方法は、個別層を製作する段階S100と、一括積層する段階S200と、後工程段階S300とを含むことができる。
【0107】
上記個別層を製作する段階S100は、ベース基板上に回路を形成する段階;上記回路が形成された基板上に上記ボディー部を接合する段階;上記接合された基板上に露光、現像及び光硬化工程によりビアホールを形成する段階;及び上記ビアホールのビーアを充填するためにバンプ(Bump)メッキをする段階;を含むことができる。
【0108】
ここで、ボディー部は、上記遮光性感光性樹脂組成物で製造される。
【0109】
上記基板は、これに限定されないが、絶縁体基板として使用可能なセラミックス、特に低温焼成セラミックス(LTCC)、アルミニウムセラミックス(アルミナ)、ビズマスイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド樹脂、ガラスエポキシ、GaAs、InP、FR4、シリコンまたはガラスクロス、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0110】
製品フローの改善及び生産性の向上のためにDCF工法を用いたキャリア銅箔積層フィルム(CCL)を用いることができる。
【0111】
上記個別層の回路は、ベース基板にDFR(Dry film resist)接合、露光工程、現像工程及びCuをメッキする工程により形成されることができる。
【0112】
上記露光工程は、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光及び非接触露光が可能であるが、解像度面からは接触露光が好ましい。また、露光環境としては、真空中または窒素雰囲気下が好適である。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドラムプ、ブラックランプ、無電極ランプ等を用いることができる。これに限定されないが、本願に好適な露光量は100Jから400J範囲であることができる。
【0113】
上記現像工程は、これに限定されないが、例えば、アルカリ溶液を用いた現像であることができる。
【0114】
上記回路の形成された基板上に遮光性感光性絶縁フィルムを接合し、ビアホールを形成する。ビアホールの形成方法は、露光、現像及び光硬化工程により完成される。
【0115】
上記硬化工程は、これに限定されないが、150から230℃の範囲で行われることができる。
【0116】
硬化温度は、シリカ粒子が溶融されないように、中空シリカ粒子の溶融温度より低い方が好ましい。
【0117】
上記ビアホールが形成された基板は、Cu及びSnでビアを充填するためのBumpメッキ工程を経る。
【0118】
上記メッキ工程が完了した基板は、DCFを分離し、キャリアCuをエッチングして各個別層の製造を完了する。
【0119】
上記個別層の厚さは、これに限定されないが、それぞれの層当たり10から30μmの厚さを有することができる。
【0120】
上記から得られた複数の個別層は、一括積層段階S200の後に、後工程段階S300を経ることになる。上記一括積層は、順次に積層する段階よりも経済性及び便利性の側面から有利である。
【0121】
上記一括積層段階は、複数の個別層を仮接した後に、上下に上述の熱硬化性カバー材(カバーフィルム)をレイアップした後、整合積層及び熱硬化により積層されることができる。
【0122】
上記一括積層された成形品は、ダイシング(Dicing)等のカッティング、研磨、及びNi及び/またはSnメッキの後工程(S300)を行うことにより上記成形品を完成することができる。
【0123】
以下、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明するが、下記の例により本開示の範囲が限定されることはない。
【実施例】
【0124】
<遮光性感光性樹脂組成物及びフィルムの製造方法>
(実施例1)
実施例1のフィルムは、カルボキシル基含有樹脂20重量部、光重合開始剤2.0重量部、エチレン性不飽和基を有する化合物1.6重量部、熱硬化樹脂12重量部、上述した顔料0.4重量部、及びシリカの含有率64重量部を含むように均一に溶解混合して、20μmの一定の厚さを有するフィルムを製造した。上記フィルムは、100~400mJ範囲の露光量及び150~230℃範囲の温度で最適の硬化条件により硬化された。
【0125】
(比較例1から5)
比較例1から5のフィルムを、実施例1とは顔料種類及び含量を除き、すべて同じ条件で製造した(表1参照)。
【0126】
【0127】
<遮光性熱硬化性樹脂組成物及びフィルムの製造方法>
(実施例2)
実施例2のフィルムを下記の方法により製造した。無機充填材70重量部、エポキシ樹脂15重量部、硬化剤5重量部、高分子樹脂2重量部、顔料7重量部、分散剤または硬化促進剤等その他の添加物1重量部に溶剤を添加し、固形分65%となるように撹拌した。完全に溶解されると、上記ワニスをPETフィルムまたは銅箔(Copper foil)上に一定の厚さに塗布し、70~100℃温度範囲で乾燥させて、20μm以下の一定の厚さのフィルムを製造した。
【0128】
(比較例6から9)
比較例6から9のフィルムを、実施例2とは顔料種類及び含量及びシリカの含量を除き、すべて同じ条件で製造した(表2参照)。
【0129】
【0130】
<CIEL*a*b*表色系の測定>
CIEL*a*b*Spectroeye(xrite社 portable spectrophotometer)を使用して実施例及び比較例によるフィルムのCIEL*a*b*を測定した(表3及び表4参照)。
【0131】
表3には、本願の実施例1及び比較例1から5の感光性樹脂組成物で成形されたボディー部のL、a*及びb*値及び600nmの波長帯で正透過度(%T)を示した。
【0132】
表3に示すように、L値が40以下、a*値が-40から-10、b*値が5以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)とを有する実施例1は、回路透けがなかったが、比較例1から5は、回路透けが発生した。例えば、比較例5は、実施例1と同様にblue pigmentを使用したが、a*値が-40から-10範囲を外れ、回路透けが発生した。
【0133】
【0134】
表4には、本願の実施例2及び比較例6から9の熱硬化性樹脂組成物で成形されたカバー部のL、a*及びb*値、及び600nmの波長帯で正透過度(%T)を示した。
【0135】
表4に示すように、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100以下であり、a*値が-6から100であり、b*値が30以下である着色力と、200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)とを有する実施例2は、回路透けがなく、W及びTが同じである場合にも区分できる一方、比較例6、8及び9は、回路透けが発生し、さらに比較例7及び8は、W及びTが同じである場合に、方向性の区分ができなかった。
【0136】
【0137】
<透過度UV-Vis spectrumの測定>
PerkinElmer Lambda 1050を使用して実施例及び比較例によるフィルムの正透過度(%T)を測定した。これを
図5及び6に示した。
【0138】
図5には、上述した例示的実施例による実施例1の着色遮光性感光性樹脂フィルムが約600nmから750nmの波長帯で正透過度(%T)が10%未満であることが示されている。一方、比較例1から比較例4は、正透過度が10%以上に示された。
【0139】
図6には、上述した例示的実施例による実施例2の熱硬化性フィルムの場合、約200nmから約650nmの波長帯で正透過度が1%以下であることが示されている。
【0140】
上述したように、例示的実施例は、特定範囲の着色力及び正透過度を有する遮光性感光性樹脂組成物及び遮光性熱硬化性樹脂組成物を提供し、遮光性及び解像性をともに向上させて、外観選別時に回路透けの問題点を解決することができる。
【0141】
本開示は、色差及び透過度の差の大きい遮光性感光性樹脂組成物及び遮光性熱硬化性樹脂組成物を用いて、幅(W)と厚さ(T)が同じである場合や、上面と側面との色相が類似である場合にも、成形品の外観及び方向の選別が可能なボディー材、カバー材、これを含む成形品及びその製造方法を提供する。
【0142】
従って、本開示は、高い着色力及び優れた解像度を有する絶縁層を形成できる遮光性感光性樹脂組成物及び遮光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。また、本開示は、改善された着色力及び解像度をともに有する成形品を提供する。本開示は、幅(W)と厚さ(T)が同じである場合でも外観や方向の選別が容易である成形品を提供する。本開示は、遮光性に優れるとともにクラックの選別が可能な成形品を提供する。本開示は、上記樹脂組成物を用いて、小型化、薄膜化及び高密度化が進まれた高周波インダクタに利用可能な、高解像性及び優れた遮光性をともに満足させるフィルムを提供する。
【0143】
以上、本開示を具体的な実施例を挙げて詳細に説明したが、これは本開示を具体的に説明するためのものであって、本開示がこれに限定されることはなく、本開示の技術的思想内で当分野の通常の知識を有した者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。本開示の単純な変形及び変更はすべて本開示の領域に属するものであって本開示の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
[項目1]
遮光性感光性樹脂を含むボディー部を含む成形品であって、
上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)と、
を有する成形品。
[項目2]
上記遮光性感光性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で5%未満の正透過度(%T)を有する項目1に記載の成形品。
[項目3]
上記遮光性感光性樹脂は、カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、希釈溶剤、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、熱硬化性エポキシ樹脂、顔料、及び無機充填材を含む項目1または項目2に記載の成形品。
[項目4]
上記遮光性感光性樹脂内の上記顔料は、固形分の総重量に対して2重量部以下である項目3に記載の成形品。
[項目5]
上記遮光性感光性樹脂内の上記無機充填材は、固形分の総重量に対して60重量部以上の球状シリカである項目3または項目4に記載の成形品。
[項目6]
上記球状シリカの平均粒径は、500nmから1μmである項目5に記載の成形品。
[項目7]
上記球状シリカの最大粒径は、5μm未満である項目5または項目6に記載の成形品。
[項目8]
上記遮光性感光性樹脂は、アルカリ現像型である項目1から項目7のいずれか1項に記載の成形品。
[項目9]
遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部を含む成形品であって、
上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)と、
を有する成形品。
[項目10]
上記遮光性熱硬化性樹脂は、200nmから700nmの波長帯で0.5%以下の正透過度(%T)を有する項目9に記載の成形品。
[項目11]
上記遮光性熱硬化性樹脂は、固形分の総重量に対して無機充填材60から80重量部、エポキシ樹脂10から20重量部、硬化剤0から10重量部、高分子樹脂0から3重量部、顔料0から10重量部を含む項目9または項目10に記載の成形品。
[項目12]
上記無機充填材は、平均粒径が500nmから5μmである球状シリカを含む項目11に記載の成形品。
[項目13]
上記球状シリカの最大粒径は、10μm以下である項目12に記載の成形品。
[項目14]
遮光性感光性樹脂を含むボディー部と、
上記ボディー部の少なくとも1つ以上の表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含むカバー部とを含む成形品であって、
上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)と、を有し、
上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)と、を有する、成形品。
[項目15]
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)が、30以上である項目14に記載の成形品。
[項目16]
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)が、50以上である項目14に記載の成形品。
[項目17]
上記ボディー部と上記カバー部との正透過度(%T)の差が6%以上である項目14から項目16のいずれか1項に記載の成形品。
[項目18]
上記ボディー部と上記カバー部との正透過度(%T)の差が10%から30%である項目17に記載の成形品。
[項目19]
上記成形品は、インダクタ、フィルム、プリント配線板、遮光用部材、チップ、または携帯電話または映像装置のディスプレー用部品である項目14から項目18のいずれか1項に記載の成形品。
[項目20]
上記成形品は、同じ幅及び同じ厚さを有する高周波積層型インダクタである項目14から項目19のいずれか1項に記載の成形品。
[項目21]
ボディー部、及び上記ボディー部と重なるように配置されたカバー部を含む成形品を形成する段階と、
上記成形品の不良を検査する段階と、を含む成形品の検査方法であって、
上記ボディー部は、遮光性感光性樹脂を含み、
上記カバー部は、上記ボディー部の1つまたはそれ以上の表面をカバーし、遮光性熱硬化性樹脂を含み、
上記遮光性感光性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40以下、a*値が-40から-10、及びb*値が5以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で10%未満の正透過度(%T)と、を有し、
上記遮光性熱硬化性樹脂は、L*a*b*表色系(CIE表色系)のL値が40から100であり、a*値が-6以上、b*値が30以下である着色力と、
200nmから700nmの波長帯で1%未満の正透過度(%T)と、を有する、成形品の検査方法。
[項目22]
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)が30以上である項目21に記載の成形品の検査方法。
[項目23]
上記ボディー部と上記カバー部との色差(ΔE)が50以上である項目21に記載の成形品の検査方法。
【符号の説明】
【0144】
100 積層型インダクタ
110 ボディー部
120 カバー部
130 外部電極
140 コイル
150 ビア