(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】情報通信体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
(21)【出願番号】P 2018081832
(22)【出願日】2018-04-04
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2017108651
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-54822(JP,A)
【文献】特開2012-148546(JP,A)
【文献】特開2017-35866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項10】
被覆工程において完成後の情報通信体の表出面となる葉片の表面に印字トナー保護用のフィルムシートが被覆されることを特徴とした請求項7乃至9に記載の情報通信体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み剥離可能に一体化した情報通信体の製造方法に関する。 さらに詳しくは、折り線を介して縦横に連接された葉片を折り畳み、任意の対向面間を 剥離可能或いは剥離不能に接着した情報通信体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近パンフレットやチラシを折り畳み剥離可能に一体化したダイレクトメールを、郵送や配送により受取人へ送付する広告宣伝手段が採用されている。そのようなものとして例えば特開2008-87361号公報に記載される折り畳み印刷物等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献の発明は、封筒などに収納することがなく、そのまま配布したり、配達したりすることができ、しかも大量の情報量を有する印刷物を安価に提供することを目的としており、印刷済み用紙10を所定の折り線R1、R2から折り畳むと共に、折り畳み状態において最外面に位置する紙片12からミシン目Cを介して連続する封着片15をミシン目Cから折り畳み状態における裏面側に折り曲げて裏面側紙片11に剥離可能に貼着すると共に、折り畳み状態で開口している各紙片11、12及び13、14の周縁部同士を剥離可能に貼着し、さらに封着片15に配達先宛名書き欄Aを設けることにより前記目的が達成されるとしている。
【0005】
然るに前記折り畳み印刷物では、折り畳む前の印刷物の形状が四角形でなくて封着片を設けた歪な形状なため、そのような形状に仕上げるのに特殊で複雑であり且つ非常に手間のかかる打抜工程を必要とする。また折り畳み後に完成した状態で、周縁部を封緘しなければならないため、封緘に該当する部分の縁辺に剥離可能な接着手段を講じる必要がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、通常の長尺シート或いは枚葉シートを使用して、封着片を設けたり、封緘に該当する部分のみに剥離手段を講じたりする等、特殊な加工や手段を用いる必要がある歪な構造の用紙を元に作製するのではなく、一般的に使用されているシートを積載してスタートすれば最終完成品にまで仕上げることが素人でも容易にできる一貫したシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製造方法は、折り線を介して複数の葉片が縦横に連接された単位情報通信体用紙が印刷されたシートを繰り出すシートの繰り出し工程と、繰り出されたシートに印刷された単位情報通信体用紙の疑似接着予定面に疑似接着手段及び/又は完全接着定面に完全接着手段を形成する接着手段の形成工程と、前記疑似接着手段及び/又は完全接着手段が形成されたシートの流れ方向の余白を切除する切除工程と、流れ方向の余白が切除されたシートを前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳む第一の折り畳み工程と、前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳まれたシートを単位情報通信体用紙毎に切り出す単位情報通信体用紙の切り出し工程と、切り出された単位情報通信体用紙を横方向の折り線に沿って折りローラの組み合わせにより一枚ずつ折り畳む第二の折り畳み工程と、一枚ずつ折り畳まれた情報通信体用紙の疑似接着予定面同士及び/又は完全接着予定面同士を同時に接着する接着工程とからなることを特徴としている。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の情報通信体の製造方法は、折り線を介して複数の葉片が縦横に連接された単位情報通信体用紙が印刷されると共に疑似接着予定面に疑似接着手段及び/又は完全接着予定面に完全接着手段が形成されたシートを繰り出すシートの繰り出し工程と、繰り出されたシートの流れ方向の余白を切除する切除工程と、流れ方向の余白が切除されたシートを前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳む第一の折り畳み工程と、前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳まれたシートを単位情報通信体用紙毎に切り出す単位情報通信体用紙の切り出し工程と、切り出された単位情報通信体用紙を横方向の折り線に沿って折りローラの組み合わせにより一枚ずつ折り畳む第二の折り畳み工程と、一枚ずつ折り畳まれた情報通信体用紙の疑似接着予定面同士及び/又は完全接着予定面同士を同時に接着する接着工程とからなることを特徴としている。
【0009】
さらにまた、上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の情報通信体の製造方法は、折り線を介して複数の葉片が縦横に連接された単位情報通信体用紙が印刷されたシートを繰り出すシートの繰り出し工程と、繰り出されたシートに印刷された単位情報通信体用紙の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシート及び/又は完全接着定面に完全接着フィルムシートを被覆する被覆工程と、前記疑似接着フィルムシート及び/又は完全接着フィルムシートが被覆されたシートの流れ方向の余白を切除すると共に縦方向の折り線に折り手段を形成する切除及び折り手段形成工程と、流れ方向の余白が切除されると共に縦方向の折り線に折り手段が形成されたシートを前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳む第一の折り畳み工程と、前記縦方向の折り線に沿って連続的に折り畳まれたシートを単位情報通信体用紙毎に切り出す単位情報通信体用紙の切り出し工程と、切り出された単位情報通信体用紙を横方向の折り線に沿って折りローラの組み合わせにより一枚ずつ折り畳む第二の折り畳み工程と、一枚ずつ折り畳まれた情報通信体用紙の疑似接着予定面同士及び/又は完全接着面同士を同時に接着する接着工程とからなることを特徴としている。
【0010】
本発明の情報通信体の製造方法により製造される情報通信体を構成する葉片に使用されるシートは、上質紙、マット紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムシート、不織布等を使用することができる。また本発明の情報通信体の製造にあたり、準備されるシートの状態は複数の情報通信体用士紙が長尺シートに印刷された状態でもよく、また単数或いは複数の情報通信体用紙が枚葉シートに印刷された状態でもよい。前記長尺シートと枚葉シートの選択は、例えばビジネスフォーム印刷による場合は長尺シート、オフセット印刷による場合は枚葉シートという具合に印刷方式に適したシート形態を使用すればよいのである。
【0011】
本発明の情報通信体の製造方法で折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する疑似接着手段は、大きく以下の3種類に分けられる。
1)後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成したもの。前記疑似接着性の被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の粘着剤(弱接着性の接着剤等)を塗布するものもある。
2)先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、合成ゴム或いは天然ゴムを主成分とした疑似接着性の媒体を塗布し含侵させる。乾燥後印刷・印字を行い疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3)フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆し、前記疑似接着性のフィルムシートを対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なお、フィルム方式には、対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて折り合わせて疑似接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着しているフィルムを挟み込み用紙とフィルムを接着する挟み込み方式の二種類がある。
【0012】
本発明の情報通信体の製造方法で折り畳まれた対向面同士を剥離不能に接着する完全接着手段は、例えば感圧性、感熱性、乾湿性の接着剤層を完全接着予定面に塗布或いは被覆することにより形成すれば良い。前記完全接着予定面同士は折り畳み対向させて加圧、或いは加熱・加圧処理を施すと剥離不能に接着する。なお、疑似接着手段及び完全接着手段は接着が実行される条件を揃えておくことにより製造作業が極めて至便となる。
【0013】
本発明の情報通信体の製造方法は、前記後糊方式及びフィルム方式の場合、情報が印刷されたシートを用いて製造工程中で疑似接着手段及び/又は完全接着手段を形成しながら製造することができるが、先糊方式の場合疑似接着手段及び/又は完全接着手段が形成されたシートに情報を印刷しておいて、前記シートを切除工程以降の工程に繰り出すことで情報通信体を製造することができる。
【0014】
またフィルム方式或いは後糊方式でも、第一段階として情報の印刷及び疑似接着手段及び/又は完全接着手段の形成を完了しておいて、次に第二段階としてシートを繰り出し下流の工程へ送り出す場合は、前記先糊方式と同様に切除工程以降の工程により製造することになる。
【0015】
また、本発明の情報通信体の製造方法に使用される単位情報通信体用紙の折り線に形成されるミシン目や折り筋等の折り手段は、通常折り畳み封書の製造工程中で形成されるが、加工工程の最上流に積載される際に予め形成しておけばその工程を省略することができる。
【0016】
本発明の折り畳み封書は当初縦方向の折り線から折り畳み、続いて横方向の折り線で上下に分割された葉片群を前記横方向の折り線から二つ折りに折り畳み、例えば長3サイズ(メール便に対応したB5やA4サイズでも構わない)の封書に仕上げる。そして前記横方向の折り線からの折り畳みの際に対向する葉片の対向面間を剥離可能或いは剥離不能に接着する。また例えば前記横方向の折り線で形成される袋とじ状態の縁辺を切除して開封するように操作する。そのようにすることにより開封した際に、平面状態或いは製本状態に展開したり上下の葉片群が分離して展開したりするため、受取人の開封意欲を喚起すると共に広告宣伝の効果を倍増する。
【0017】
なお前記情報通信体の製造方法において、長尺シート或いは枚葉シートから印刷されている単位情報通信体用紙を切り出すに当たり、流れ方向の余白を切除する工程を疑似接着手段及び/又は完全接着手段の形成工程(被覆工程)の上流及び/又は下流側、或いは第一の折り畳み工程の上流及び/又は下流側に配置しても構わない。また例えばシートの繰り出しに際して流れ方向の余白を切除しながら繰り出しても構わず、前記各工程の前後に配置しておいて段階的に切除しても構わない。さらに予め切除された状態で繰り出すようにしておいて切除工程を省略しても構わない。
【0018】
また、シートの折り線に折りミシンや折り筋等の折り手段を形成する時期は、前記流れ方向の余白を切除する工程と同様で、接着手段の形成工程(被覆工程)の上流及び/又は下流側に配置しても構わない。例えばシートの繰り出しに際して折り手段を形成しながら繰り出しても、或いは疑似接着手段及び/又は完全接着手段が形成された後に形成しても構わない。また接着手段の形成工程の前後で段階的に形成されても構わない。さらに予め形成された状態で繰り出すようにしておいて接着手段の形成工程を省略しても構わない。さらにまた、使用する用紙の種類、銘柄、斤量、折り目等の関係で、折り手段を形成することなく容易に正確に折り畳める場合にも、折り手段形成工程を省略することができる。
【0019】
本発明で特に好適に採用される疑似接着手段はフィルム方式であるが、使用される疑似接着フィルムシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレンを基材として、一方の面にEVAやポリエチレン等からなる公知の感熱接着剤層を形成すると共に残るもう一方の面に疑似接着層を形成したプリントラミネートに対応したものがある。
【0020】
前記疑似接着フィルムシートは、葉片の疑似接着予定面に感熱接着剤層を介して被覆される。そして疑似接着層同士が対向する状態に折り畳み加圧或いは加熱・加圧処理を施すと前記疑似接着層部分が剥離可能に接着する。その後対向面を剥離すると接着した疑似接着層の間から容易に剥離することができる。
【0021】
本発明で好適に採用される完全接着フィルムシートとしては、既述の疑似接着フィルムシートの疑似接着層に代えて完全接着層を形成したものがある。このものは葉片の対向する完全接着予定面に感熱接着剤層を介して被覆される。そして折り畳まれて完全接着層同士が対向する状態で加圧或いは加熱・加圧処理を施すと前記完全接着層部分が剥離不能に接着される。
【0022】
また上記各種フィルムシート以外に、例えば印字トナーを保護するため表出面に被覆するフィルムシートとして、例えば既述の疑似接着フィルムシート或いは完全接着フィルムシートの疑似接着層或いは完全接着層を省略した二層構成のフィルムシートが好適に使用できる。なお前記フィルムシートは艶ありと艶なしの二種類の形態のものがあるが、艶なし(マットタイプ)のものの方が書き込み等できるため至便である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の情報通信体の製造方法によれば、封着片等の突出した歪な外形を、極めて特殊で複雑且つ面倒な加工により形成したシートを使用することなく、通常の長尺シート或いは枚葉シートを使用して、封緘に該当する部分のみをスポット的な剥離手段を講じる等の複雑な製造工程を必要とせず、疑似接着フィルムシートや完全接着フィルムシート等の接着手段を所定の面に形成することにより封緘を完了できる。そして各種接着手段が形成された表面は、情報通信体の美的効果を向上させると共に水濡れや破損、印字トナーの溶融による汚れや改竄等から情報を保護する効果を奏する。さらに工程の最上流に各種シートを載置して作業をスタートすれば最終完成品まで自動的に一貫して仕上げることができるので、封入封緘等の手間が省け素人でも簡単に大量の情報通信体を製造することができる。
【0024】
さらに、疑似接着フィルムシート、完全接着フィルムシート及びフィルムシート等の疑似接着手段或いは完全接着手段の処理条件を統一することにより、加工の手間が省け作業の効率が著しく向上すると共に加工装置自体がコンパクトになり場所を取らない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(A)は情報通信体Jの表面図、(B)は(A)におけるI-I線断面図、(C)は(A)におけるII-II線断面図である。
【
図2】(A)は情報通信体Jの斜視図、(B)は開封に際して下側の縁辺を切り落し用ミシン模様11に沿って切除した状態を示す斜視図である。
【
図3】情報通信体Jの開封の様子を示す斜視図である。
【
図4】(A)は情報通信体Jの製造に使用する長尺シートS1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】長尺シートS1による情報通信体Jの製造方法で、前半の繰り出し工程から第一の折り畳み工程までの要部概略図である。
【
図6】(A)は被覆装置によりフィルムシートF及び完全接着フィルムシートKが所定の位置に被覆された状態を表す長尺シートS1の表面図、(B)は疑似接着フィルムシートGが所定の位置に被覆された状態を表す長尺シートS1の裏面図である。
【
図7】(A)は切除装置によりマージナル部分10が切除されると共に折り手段形成装置により折り線5に折りミシンが形成された長尺シートS1の表面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図である。
【
図8】(A)は第一の折り畳み装置により第一葉片1と第三葉片3を折り線5から折り畳み第二葉片2と第四葉片4と二つ折りに重ね合わせた長尺シートS1の平面図、(B)は(A)におけるIV-IV線断面図である。
【
図9】長尺シートS1及び枚葉シートS2による情報通信体Jの製造方法で、両者に共通する後半の切り出し工程から接着工程までの要部概略図である。
【
図10】(A)は情報通信体Jの製造に使用する枚葉シートS2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図11】枚葉シートS2による情報通信体Jの製造方法で、前半の繰り出し工程から第一の折り畳み工程までの要部概略図である。
【
図12】(A)は被覆装置によりフィルムシートF及び完全接着フィルムシートKが所定の位置に被覆された状態を表す枚葉シートS2の表面図、(B)は疑似接着フィルムシートGが所定の位置に被覆された状態を表す枚葉シートS2の裏面図である。
【
図13】(A)は切除装置により縦方向の余白Xが切除されると共に折り手段形成装置により折り線5に折りミシンが形成された枚葉シートS2の表面図、(B)は(A)におけるV-V線断面図である。
【
図14】(A)は第一の折り畳み装置により第一葉片1と第三葉片3を折り線5から折り畳み第二葉片2と第四葉片4と二つ折りに重ね合わせた枚葉シートS2の平面図、(B)は(A)におけるVI-VI線断面図である。
【
図15】(A)はフィルムシートFにより表出面が保護された情報通信体Jの平面図、(B)は(A)におけるVII-VII断面図、(C)はVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。なお、疑似接着手段及び完全接着手段としてフィルム方式を中心に説明するが、他の疑似接着手段及び完全接着手段に代えても構わない。
【0027】
[情報通信体J]
図1(A)、(B)、(C)及び
図2(A)に示すように、本発明で製造される情報通信体の一形態を示す情報通信体Jは上から第一葉片1、第二葉片2、第四葉片4及び第三葉片3が折り線5(折りミシンが形成されているが必ずしも必要としない)及び折り線7(折りミシンが形成されているが必ずしも必要としない)から折り畳まれ重ねられている。なお各葉片の縦横幅は自由に設計すればよいが、本実施例においてはほぼ同じである。そして第一葉片1と第二葉片2及び第四葉片4と第三葉片3の対向面間は疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されており、また第二葉片2と第四葉片4の対向面間は完全接着フィルムシートKにより剥離不能に接着されている。なお前記完全接着フィルムシートKは折り線5を跨いで第一葉片1及び第三葉片3側へ回り込むように被覆されているが必ずしもその必要はない。即ち折り線5を跨がずとも第二葉片2及び第四葉片4の対向面内を被覆していればよいのである。
【0028】
この情報通信体Jの受取人は
図2(B)に示すように、下側縁辺に沿って記載されている横方向の切り落し用のミシン模様11から、例えば鋏やカッター等の切除道具を用いて下側縁辺部分を切り落とす。そうすることにより
図3に示すように中央の郵便はがき本体(貼り合わされた第二葉片2及び第四葉片4)から第一葉片1及び第三葉片3を剥離して見開き状態に展開することができるのである。剥離展開後は内部に隠されていた情報を透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して視認することができる。
【0029】
なお前記情報通信体Jの説明では、疑似接着手段をフィルム方式の疑似接着フィルムシートG、完全接着手段を完全接着フィルムシートKとしているが、後糊方式であればそれぞれ疑似接着性被膜(G)及び完全接着性被膜(K)となる。また先糊方式であれば疑似接着性塗工層(G)及び完全接着性塗工層(K)となる。前記何れの方式を用いても情報通信体Jとしては同じものとなる。
【実施例1】
【0030】
[情報通信体Jの長尺シートS1による製造方法]
図4(A)及び(B)は本実施例の情報通信体Jを長尺シートにより製造する際に使用する長尺シートS1で、第一葉片1及び第二葉片2が縦方向の折り線5(折りミシン等の折り手段が形成されていないが形成されていても構わない)を介して横方向に連接されると共に、その下方に同様の状態で連接されている第三葉片3及び第四葉片4が横方向の折り線7(折りミシンが形成されている)を介して第一葉片1と第三葉片3及び第二葉片2と第四葉片4がそれぞれ対向する配置で連接され、合計4葉片により単位情報通信体用紙tを形成している。なお各葉片の縦横幅はほぼ同じであるが製造される情報通信体Jの使用目的等により自由に変更して構わない。そして前記単位情報通信体用紙tは両外側に切取線8を介して複数のマージナル孔9が設けられたマージナル部分10を連接すると共に、天地で2本並行に並んでいる横方向の切取線6に挟まれたセンサ読取用のマークMの記載部分を介して縦方向に連接されている。
なお切り落とし用のミシン模様11は図面の複雑化を避けるため省略している。
【0031】
既述の構成の長尺シートS1は、例えば切取線6(折りミシン等を形成しておいても構わない)から蛇腹状に折り畳まれてブロック状態となり、
図5に示す製造工程最上流の左下用紙載せ台20上に載置される。そして最上面の単位情報通信体用紙tから順に上方のサポートローラ21へ引き上げられると略水平に向きを変えて、右側に配置されているピントラクタ22のピンとマージナル孔9を嵌合させ、更に右側に配置された一対のヒートローラ23a、23bからなる被覆装置へと送り込まれる。
【0032】
前記被覆装置では、通過する長尺シートS1の上方から完全接着フィルムシートKが繰り出されると共に下方から疑似接着フィルムシートGが繰り出され、
図6(A)及び(B)に示すようにそれぞれの被覆予定面に整合され被覆される。そして各種フィルムシートが被覆された長尺シートS1は、右側のバックアップローラ25上に並列に配置されているスリット刃24a、24b及び折りミシン刃24cからなる、切除及び折り手段形成装置へ送られる。
【0033】
前記切除及び折り手段形成装置では
図7(A)及び(B)に示すように、長尺シートS1の両側のマージナル部分10が切除されると共に縦方向の折り線5に折りミシンが形成される。そして右側に配置された一対のニップローラ26a、26bによりさらに右側に配置されている第一の折り畳み装置へと送り込まれる。なお前記スリット刃24a、24b及び折りミシン刃24cは同一バックアップローラ25上に並列に配置されているが、異なるバックアップローラ上に分散され段階的に切除したり折りミシンを形成したりしても構わない。
【0034】
なお、長尺シートS1の両外側のマージナル部分10は、被覆装置の上流及び/又は下流の何れの箇所で切除されても構わない。例えば各種フィルムシートの横幅を調整することにより用紙載せ台20上に載置する際に既に切除されていても良く、或いはインタースタッカー等の切除装置を用いて前記マージナル部分10を切除しながら繰り出して、被覆装置へ送り込むようにしても構わない。また本実施例のように被覆装置の下流で両側を切除しても良く、さらに被覆装置の上流及び下流の両方で段階的に切除しても構わない。
【0035】
前記第一の折り畳み装置では、下方のサポートローラ27から上方のサポートローラ28に引き上げられるまでに、図示されないガイド板やガイドバーにより
図8(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線5から第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4が対向するように二つ折りに折り畳まれる。そして上方のサポートローラ28で略水平に向きを変えると、
図5及び
図9に示すように右側に配置されている一対のニップローラ29a、29bによりさらに右側に配置されている断裁刃31aと固定刃31bからなる断裁装置へ送り込まれる。
【0036】
前記断裁装置では
図8(A)に示すように、通過する単位情報通信体用紙tに記載された読取マークMをセンサ30が読み取ると、移動距離のカウントを開始し最初の切取線6(単位情報通信体用紙tの天辺)を断裁する。そして引き続き前記移動距離のカウントは行われ次の切取線6(単位情報通信体用紙tの地辺)を断裁して個別の単位情報通信体用紙tが切り出される。この動作は後続の単位情報通信体tでも行われ、このようにして個別に切り出された単位情報通信体用紙tは、右側の折りローラ32a、32b、32cと折りトレー33からなる第二の折り畳み装置へ送り込まれる。なお本実施例で使用する長尺シートS1は読み取りマークMを切取線6、6で設けられた余白に記載しているが、この余白をなくし(前後する単位情報通信体用紙tが一本の切取線6で連接された状態)単位情報通信体用紙tの何れかの箇所に目立たないよう記載しておいても構わない。その方がシートの無駄を省くことができる。
【0037】
前記第二の折り畳み装置では、折りローラ32a、32bにより折りトレー33内に送り込まれた単位情報通信体用紙tはストッパ34に当たると停止し、次に折りローラ32b、32cにより折り線7から銜え込まれると、二つ折りに折り畳まれて
図1(A)、(B)及び(C)の状態になり、右側に配置されている一対の搬送ローラ35a、35bと上下一対のヒータパネル36a、36bが交互に配置されると共に、排出口に一対の加圧ローラ37a、37bが設けられた接着装置へと送り込まれる。なおこの時点では対向する各種フィルムシート同士は未だ接着されていない。
【0038】
前記接着装置では、ヒータパネル36a、36b間を通過する単位情報通信体用紙tは十分加熱され、排出に際して一対の加圧ローラ37a、37bにより加圧される。前記加熱・加圧処理により
図1(B)及び(C)に示す第一葉片1と第二葉片2及び第四葉片4と第三葉片3の対向面間で対向する疑似接着フィルムシートG同士が剥離可能に接着されると共に、第二葉片2と第四葉片4の対向面間で対向する完全接着フィルムシートK同士が剥離不能に接着される。そして既述の各種接着が完了して完成品となった情報通信体Jはベルトコンベア等からなるスタッカ38に落とし込まれて順次集積された後に、例えば郵便はがきの形態であればポストに投函されるのである。
【0039】
なお前記情報通信体Jの長尺シートS1による製造方法の説明では、疑似接着手段をフィルム方式の疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKとしているが、後糊方式であればそれぞれ疑似接着性被膜(G)及び完全接着性被膜(K)となる。従ってフィルムシートの被覆装置が被膜の形成装置と読み替えられ、何れも情報通信体Jの長尺シートS1による製造方法として同じ内容となる。
【0040】
また先糊方式であれば、シートへの接着手段の形成が予め施されているので、それら形成されている接着手段の上から各種情報の印刷が完了した後にシートを繰り出し、その後接着手段の形成工程をパスして下流の切除工程へ送り込まれる。前記切除工程以降の工程は既述のフィルム方式及び後糊方式の工程と同じ内容となる。即ち、繰り出し工程、切除工程、第一の折り畳み工程、切り出し工程、第二の折り畳み工程及び接着工程の順に進む。この場合疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKがそれぞれ疑似接着性塗工層(G)及び完全接着性塗工層(K)と読み替えられる。
【実施例2】
【0041】
[情報通信体Jの枚葉シートS2による製造方法]
図10(A)及び(B)は本実施例の情報通信体Jを枚葉シートにより製造する際に使用する枚葉シートS2で、第一葉片1及び第二葉片2が縦方向の折り線5を介して横方向に連接されると共に、その下方に同様の状態で連接されている第三葉片3及び第四葉片4が横方向の折り線7を介して第一葉片1と第三葉片3及び第二葉片2と第四葉片4がそれぞれ対向する配置で連接され、合計4葉片で単位情報通信体用紙tを形成している。なお各葉片の縦横幅はほぼ同じであるが製造される情報通信体Jの使用目的等により自由に変更して構わない。そして前記単位情報通信体用紙tは、その周囲が縦方向の余白Xと横方向の余白Yに囲まれており、第二葉片2上方の横方向の余白Yにセンサの読取用マークMが印刷されている。なお切り落とし用のミシン模様11は図面の複雑化を避けるため省略している。
【0042】
既述の構成の枚葉シートS2は、
図11に示す製造工程の最上流の左下の用紙載せ台40上に載置される。そして最上面の枚葉シートS2から順に等間隔で吸着パッド41等からなる給紙装置(静電ベルト、フィードローラ等によるものでも構わない)により右側の搬送テーブル上に繰り出され、右側に配置されている一対のニップローラ42a、42bによりさらに右側に配置されている一対のヒートローラ43a、43bからなる被覆装置へ送り込まれる。
【0043】
前記被覆装置では、通過する枚葉シートS2の上方から完全接着フィルムシートKが繰り出されると共に下方から疑似接着フィルムシートGが繰り出され、
図12(A)及び(B)に示すようにそれぞれの被覆予定面に整合され被覆される。そして表裏面に各種フィルムシートが被覆されることにより連続状態となった枚葉シートS2は、引き続き右側のバックアップローラ45上に並列に配置されているスリット刃44a、44b及び折りミシン刃44cからなる、切除及び折り手段形成装置へ送られる。
【0044】
前記切除及び折り手段形成装置で単位情報通信体用紙tは、
図13(A)及び(B)に示すように、その両側の縦方向の余白Xが切除されると共に縦方向の折り線5に折りミシンが形成される。そして右側に配置された一対のニップローラ46a、46bによりさらに右側に配置されている第一の折り畳み装置へと送り込まれる。
【0045】
なお枚葉シートS2の両外側の縦方向の余白Xは、被覆装置の上流及び/又は下流の何れの箇所で切除されても構わない。例えば各種フィルムシートの横幅を調整することにより用紙載せ台40上に載置する際に既に切除されていても良く、或いは公知の切除装置を用いて前記縦方向の余白Xを切除しながら繰り出して、被覆装置へ送り込むようにしても構わない。また本実施例のように被覆装置の下流で両側を切除しても良く、さらに被覆装置の上流及び下流の両方で段階的に切除しても構わない。
【0046】
前記第一の折り畳み装置では、下方のサポートローラ47から上方のサポートローラ48に引き上げられるまでに、図示されないガイド板やガイドバーにより
図14(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線5から第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4がそれぞれ対向するように二つ折りに折り畳まれる。そして上方のサポートローラ48で略水平に向きを変えると、
図11及び
図9に示すように右側に配置されているニップローラ29a、29bにより、
図9に示す断裁刃31a、固定刃31bからなる断裁装置へ送り込まれる。
【0047】
前記断裁装置では
図14(A)に示すように、通過する単位情報通信体用紙tに記載された読取マークMをセンサ30が読み取ると、移動距離のカウントを開始し切取線L1を断裁する。そして引き続き前記移動距離のカウントは行われ切取線L2を断裁して個別の単位情報通信体用紙tが切り出される。この動作は後続の単位情報通信体用紙tでも行われ、このようにして個別に切り出された単位情報通信体用紙tは、
図9に示す右側の折りローラ32a、32b、32cと折りトレー33からなる第二の折り畳み装置へ送り込まれる。
【0048】
前記第二の折り畳み装置では、折りローラ32a、32bにより折りトレー33内に送り込まれた単位情報通信体用紙tはストッパ34に当たると停止し、次に折りローラ32b、32cにより折り線7から銜え込まれると二つ折りに折り畳まれて
図1(A)、(B)及び(C)の状態になり、さらに右側に配置されている一対の搬送ローラ35a、35bと上下一対のヒータパネル36a、36bが交互に配置されると共に、排出口に一対の加圧ローラ37a、37bが設けられた接着装置へと送り込まれる。
【0049】
前記接着装置では、ヒータパネル36a、36b間を通過する単位情報通信体用紙tは十分加熱され排出に際して一対の加圧ローラ37a、37bにより加圧される。前記加熱・加圧処理により
図1(B)及び(C)に示す第一葉片1と第二葉片2の対向面間及び第四葉片4と第三葉片3の対向面間で対向する疑似接着フィルムシートG同士が剥離可能に接着され、同時に第二葉片2と第四葉片4の対向面間で対向する完全接着フィルムシートK同士が剥離不能に接着される。このようにして完成された情報通信体Jは、接着装置の右に配置されているベルトコンベア等からなるスタッカ38に落とし込まれて順次積載された後に、例えば郵便はがきであればポストに投函される。
【0050】
なお本実施例2では接着手段にフィルム方式を採用しているが、これは枚葉シートをフィルムシートの連続被覆により連続状態にできるため、既述の長尺シートと同様の加工工程を経ることができ極めて至便であるからである。然るにフィルム方式以外の後糊方式或いは先糊方式では、枚葉シート同士を連接する手段がない。従って接着手段の形成と情報の印刷が完了した枚葉シートを断裁により単位通信体用紙t毎に切り出し、それを最終形態に折り畳んだ後に接着手段に掛けるというオフラインの作業工程により製造される。
【0051】
なお本発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば
図15(A)、(B)及び(C)に示すように、第一葉片1及び第三葉片3の表出面に艶消しのプリントラミネート用のフィルムシートFを被覆して、表出面のトナー等により印字されている文言が溶融して汚損しないよ保護しても構わない。この場合被覆装置の上方に待機している完全接着フィルムシートKとフィルムシートFを並列に配置しておけばよい。
【符号の説明】
【0052】
J 情報通信体
S1 長尺シート
S2 枚葉シート
t 単位情報通信体用紙
K 完全接着フィルムシート
G 疑似接着フィルムシート
F フィルムシート
X 縦方向の余白
Y 横方向の余白
M マーク
L1、L2 辺
1、2、3、4 葉片
5、7 折り線
6、8 切取線
9 マージナル孔
10 マージナル部分
11 ミシン模様
20、40 用紙載せ台
21、27、28、47、48 サポートローラ
22 ピントラクタ
23a、23b、43a、43b ヒートローラ
24a、24b、44a、44b スリット刃
24c、44c ミシン刃
25、45 バックアップローラ
26a、26b、29a、29b、42a、42b、46a、46b ニップローラ
35a、35b 搬送ローラ
36a、36b ヒータパネル
37a、37b 加圧ローラ
32a、32b、32c 折りローラ
33 折りトレー
34 ストッパ
38 スタッカ
30 センサ
31a 断裁刃
31b 固定刃
41 吸着パッド