(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220329BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20220329BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20220329BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220329BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20220329BHJP
B65H 7/10 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G15/16
G03G15/20 510
G03G15/00 303
B65H9/00 A
B65H7/10
G03G15/00 447
(21)【出願番号】P 2017118216
(22)【出願日】2017-06-16
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 康夫
(72)【発明者】
【氏名】川上 嘉輝
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴弘
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108152(JP,A)
【文献】特開2016-027377(JP,A)
【文献】特開2016-164690(JP,A)
【文献】特開2013-091563(JP,A)
【文献】特開2015-094876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0008294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0159598(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0207485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
G03G 15/20
G03G 15/00
B65H 9/00
B65H 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を転写する転写部と、
前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、
を備える画像形成装置において、
搬送されてくる前記用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記転写部の下流かつ前記定着部の上流の
、前記用紙の前記画像が転写された面の側に配置され、前記用紙の側端部の位置
及び前記用紙に転写された画像の位置を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、
前記揺動ローラーの揺動制御情報を決定し、決定した揺動制御情報に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記検知部による前記用紙の副走査方向の複数点における側端部の位置
及び前記転写された画像の位置の検出結果に基づいて、
前記複数点における前記側端部と前記転写された画像との距離及び前記用紙の傾きを算出し、算出した
前記距離及び前記傾きに基づいて、前記揺動ローラーの揺動
制御情報を決定する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報を決定する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記揺動ローラーを揺動させる複数のタイミング毎の前記揺動制御情報をそれぞれ決定する請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記揺動ローラーの上流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第2の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第2の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う請求項1~
3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記揺動ローラーの下流かつ前記転写部の上流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第3の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第3の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う請求項1~
4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部の下流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第4の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第4の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記揺動ローラーは、前記用紙の搬送方向に直交する方向に揺動する請求項1~
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
用紙に画像を転写する転写部と、
前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、
搬送されてくる前記用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
を備える画像形成装置における揺動ローラーの制御方法であって、
前記転写部の下流かつ前記定着部の上流の
、前記用紙の前記画像が転写された面の側に配置され、前記用紙の側端部の位置
及び前記用紙に転写された画像の位置を検知する検知部による前記用紙の副走査方向の複数点における側端部の位置
及び前記転写された画像の位置の検出結果に基づいて、
前記複数点における前記側端部と前記転写された画像との距離及び前記用紙の傾きを算出し、算出した
前記距離及び前記傾きに基づいて、前記揺動ローラーの揺動
制御情報を決定し、決定した揺動制御情報に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンターやスキャナー、コピー機、ファックス等の機能を兼ねた多機能な画像形成装置が広く使用されている。画像形成装置では、画像形成時において給紙部や反転経路から転写部に用紙が搬送されるが、装置の機械的な要因等により、用紙が搬送方向に対して直交する方向(以下、用紙幅方向という場合もある)に片寄ってしまう場合がある。このように用紙の片寄りが発生した状態で印刷処理を行った場合には、用紙に対する画像の形成位置が本来の適正位置からずれてしまうという問題が発生する。
【0003】
そこで、用紙の片寄りを考慮して画像と用紙とを精度良く位置合わせするために、レジストローラーにて用紙を挟持して用紙幅方向に揺動することで用紙の片寄りを補正するレジスト揺動補正が行われている。
例えば、特許文献1には、二次転写ローラーの上流側にレジストローラーを配置すると共にこのレジストローラーの下流側であって二次転写ローラーの上流側にラインセンサーを配置し、ラインセンサーで検知された用紙の側端部の位置に基づいて用紙を用紙幅方向に揺動することで用紙の片寄りを補正する画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、レジストローラーの下流であって二次転写ローラーの上流に複数個のCISを配置し、シートが二次転写ローラーに突入する前は、レジストローラー側に近いCISでシートの側端部の位置を検知し、その検知結果に基づいてレジストローラーを用紙幅方向に移動させ、転写中は、二次転写ローラーに近いCISの検知結果に基づいてレジストローラーを移動させてシートの位置を補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-91563号公報
【文献】特開2014-133634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2のように、二次転写ローラーを通過する前の用紙側端部の位置を検知して、その検知結果に基づいてレジストローラーを揺動させて用紙側端部の位置を合わせても、用紙側端部の位置の検知後やレジストローラーの揺動後に生じた用紙のずれを抑制することはできない。そのため、用紙に対する画像位置がずれてしまうことがある。
【0007】
本発明の課題は、用紙に対する画像位置のずれを高精度に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
用紙に画像を転写する転写部と、
前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、
を備える画像形成装置において、
搬送されてくる前記用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記転写部の下流かつ前記定着部の上流の、前記用紙の前記画像が転写された面の側に配置され、前記用紙の側端部の位置及び前記用紙に転写された画像の位置を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御情報を決定し、決定した揺動制御情報に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知部による前記用紙の副走査方向の複数点における側端部の位置及び前記転写された画像の位置の検出結果に基づいて、前記複数点における前記側端部と前記転写された画像との距離及び前記用紙の傾きを算出し、算出した前記距離及び前記傾きに基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御情報を決定する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、さらに、用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報を決定する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記揺動ローラーを揺動させる複数のタイミング毎の前記揺動制御情報をそれぞれ決定する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記揺動ローラーの上流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第2の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第2の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記揺動ローラーの下流かつ前記転写部の上流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第3の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第3の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、
前記定着部の下流に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する第4の検知部をさらに備え、
前記制御部は、さらに前記第4の検知部の検知結果に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の発明において、
前記揺動ローラーは、前記用紙の搬送方向に直交する方向に揺動する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、
用紙に画像を転写する転写部と、
前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、
搬送されてくる前記用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
を備える画像形成装置における揺動ローラーの制御方法であって、
前記転写部の下流かつ前記定着部の上流の、前記用紙の前記画像が転写された面の側に配置され、前記用紙の側端部の位置及び前記用紙に転写された画像の位置を検知する検知部による前記用紙の副走査方向の複数点における側端部の位置及び前記転写された画像の位置の検出結果に基づいて、前記複数点における前記側端部と前記転写された画像との距離及び前記用紙の傾きを算出し、算出した前記距離及び前記傾きに基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御情報を決定し、決定した揺動制御情報に基づいて、前記揺動ローラーの揺動制御を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、用紙に対する画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】位置検知センサーの配置及びレジストローラーによる用紙の揺動処理を上面から見た図である。
【
図3】位置検知センサー及び吸引ファンの配置を示す図である。
【
図4】
図1の画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態において
図4の制御部により実行される揺動制御処理Aを示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態において
図4の制御部により実行される揺動制御処理Bを示すフローチャートである。
【
図10】位置検知センサーの配置例を示す図である。
【
図11】位置検知センサーの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0021】
<第1の実施形態>
[画像形成装置100の構成]
まず、第1の実施形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置100を模式的に示す構成図である。この画像形成装置100は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置100であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0022】
画像形成装置100は、原稿読取装置SC、画像形成部10、定着装置50、制御部11を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0023】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、通信部13により画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0024】
画像形成部10は、4組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6、二次転写ローラー9等を備えて構成されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成ユニット10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ユニット10Kで構成されている。
【0025】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成ユニット10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0026】
感光体ドラム1Y~1Kは、帯電部2Y~2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y~3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y~1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y~4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y~1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y~1K上には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y~1K上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0027】
中間転写ベルト6上に転写された各色よりなるトナー画像は、後述する用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、二次転写ローラー9によって転写される。この二次転写ローラー9は中間転写ベルト6と圧接して配置されることによりニップ部(以下「転写ニップ部」という)を形成する圧接部材である。
【0028】
用紙搬送部20は、用紙Pの搬送経路に従って用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。あるいは、用紙Pは、外部給紙口81、82等を介して画像形成装置100と接続された外部の給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容されており、給紙装置が保有する用紙Pは、当該給紙装置から外部給紙口81又は82を介して画像形成装置100へと供給されることで、搬送経路へと送り出される。例えば、長尺紙は、外部の給紙装置から外部給紙口81又は82を介して画像形成装置100へと供給される。
【0029】
この搬送経路において、転写ニップ部よりも上流側には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、圧接された一対のローラーによって構成されており、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより用紙Pを搬送する。また、個々の搬送手段を構成する一対のローラーは、ローラー間の状態を圧接状態と離間状態とで切り換えることができように構成されている。
【0030】
本実施形態において、用紙Pの搬送経路の上流側から下流側にかけて、中間搬送ローラー23~25、ループローラー26及びレジストローラー27が搬送手段として設けられている。なお、搬送手段は、一対のローラーで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラーの組み合わせといったように、一対の回転部材からなる構成を広く採用することができる。
【0031】
このような搬送経路において、給紙トレイ21又は給紙装置の給紙トレイから給紙された用紙Pは、上流側から下流側に設けられた複数の中間搬送ローラー23~25及びループローラー26により順次搬送されて、搬送経路を進行する。用紙Pの先端がレジストローラー27へと近づくと、ループローラー26等によって搬送される用紙Pは、回転停止状態のレジストローラー27に突き当てられ、そして、ループローラー26が所定時間だけ回転を継続することで、用紙Pにループが形成される。このループ形成の作用により、用紙Pの先端の曲がりが矯正される(スキュー補正)。
【0032】
つぎに、中間転写ベルト6が担持するトナー画像と同期するように所定のタイミングでレジストローラー27が回転を開始すると、中間搬送ローラー23~25及びループローラー26は、圧接状態から離間状態へと切り換えられる。すなわち、ループローラー26が離間状態へと遷移してからは、用紙Pは、レジストローラー27のみによって搬送される。このレジストローラー27は、揺動ローラーとして、用紙Pの搬送を行いながら後述する揺動処理を行い、像担持体としての中間転写ベルト6と転写部としての二次転写ローラー9の転写ニップ部へと用紙Pを搬送する。
【0033】
レジストローラー27は、
図2に示すように、用紙幅方向CD(用紙搬送方向(副走査方向)FDと直行する方向)に揺動可能に構成されている。このレジストローラー27には、電動モーター(例えば、ステッピングモーター)を主体とする駆動機構34が連結されており、当該駆動機構34によって駆動されることにより、所定のホームポジションを起点として用紙幅方向CDに移動することができる。
【0034】
レジストローラー27は、用紙Pが自身を通過する通過期間に合わせて用紙幅方向CDに沿って移動することにより、搬送される用紙Pを用紙幅方向CDに沿って移動させる(揺動処理)。これにより、レジストローラー27は、転写されるトナー画像の位置と整合するように、用紙幅方向CDにおける用紙Pの搬送位置を調整する。
【0035】
搬送経路においてレジストローラー27とループローラー26との間には、レジストセンサー61が配置されている。レジストセンサー61は、レジストセンサー61の検出位置(レジストローラー27の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。このレジストセンサー61の検出結果は、レジストローラー27の回転開始タイミングの検知等に用いられる。
【0036】
二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流の、用紙Pの画像面側には、
図2、
図3に示すように、位置検知センサー62が設けられている。位置検知センサー62は、例えば、複数の受光素子を用紙幅方向CDに沿って直線状に配列したリニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成される。位置検知センサー62は、二次転写ローラー9によるトナー画像の転写後における用紙Pの側端部の用紙幅方向CDの位置を検知する検知部である。また、本実施形態では、位置検知センサー62は、用紙Pを画像面側から読み取ることができるので、用紙Pに転写されたトナー画像の画像位置を検知することができる。この位置検知センサー62の検知結果は、制御部11に出力され、揺動処理におけるレジストローラー27の揺動制御情報の決定等に用いられる。
【0037】
また、
図3に示すように、位置検知センサー62に対向する搬送経路の下側には、吸引ファン70が設けられている。例えば、搬送経路の下ガイド(搬送ベルト)に通気孔等を設け吸引ファン70で吸引することにより用紙Pを下ガイドに沿わせることができるので、位置検知センサー62に用紙P上のトナーが付着することを防ぐことができる。また、位置検知センサー62を画像面近傍に配置することができ、検知精度を向上させることができる。
【0038】
定着装置50は、トナー画像が転写された用紙P、すなわち、転写ニップ部から送り出された用紙Pに定着処理を施す装置であり、例えば、一対の定着部材(例えば一対のローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒーターとで構成されている。この定着装置50は、用紙Pの搬送過程において、一対の定着部材による加圧と定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0039】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラー28により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切換ゲート30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、複数の再給紙用の搬送手段によって搬送され、レジストローラー27を介して転写ニップ部へと用紙Pを回帰させる。なお、排紙ローラー28、切換ゲート30、反転ローラー31及び再給紙用の搬送手段も前述した用紙搬送部20を構成する。
【0040】
制御部11は、
図4に示すように、記憶部12、通信部13、操作部14、原稿読取装置SC、画像形成部10、用紙搬送部20、定着装置50、レジストセンサー61、位置検知センサー62、環境センサー63等に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100各部の動作を集中制御する。例えば、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、ジョブを実行し、原稿読取装置SCや通信部13により入力される画像データに基づいて用紙Pにトナー画像を形成させる制御を行う。また、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、後述する揺動制御処理Aを実行し、ジョブ実行中のレジストローラー27の揺動制御を行う。
【0041】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメータやデータ等を記憶している。
【0042】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、外部機器との接続を行う。
【0043】
操作部14は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部14としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部14を通じて、ユーザーは、印刷条件、すなわち、用紙Pの紙種、坪量、サイズ、使用する給紙トレイ、画像の濃度、倍率、両面印刷の有無などを設定することができる。また、ユーザーは、操作部14を通じて、ジョブの実行指令や調整モードでの動作指示を入力することができる。また、制御部11は、操作部14を制御することにより、当該操作部14を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0044】
環境センサー63は、例えば、温度センサーや湿度センサー等を備えて構成され、画像形成装置100の筐体内の温度や湿度を検知し、検知結果を制御部11に出力する。
【0045】
[画像形成装置100の動作]
次に、第1の実施形態における画像形成装置100の動作について説明する。
図5は、レジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御処理Aを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザーからのジョブの実行指令に応じて、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によって実行される。
【0046】
ジョブが開始されると、制御部11は、位置検知センサー62により用紙Pの先端が検知されるのを待機する(ステップS1)。
位置検知センサー62により用紙Pの先端が検知されると(ステップS1;YES)、制御部11は、位置検知センサー62による複数位置(例えば、2点)における用紙Pの側端部の位置の検知結果を取得する(ステップS2)。
【0047】
次いで、制御部11は、位置検知センサー62による検知結果に基づいて、予め定められた各揺動タイミングのレジストローラー27の揺動制御情報を決定する(ステップS3)。ここで、揺動タイミングとは、レジストローラー27を揺動させるタイミングである。本実施形態では、例えば、位置検知センサー62が用紙Pの先端を検知したタイミングからt1秒後、t2秒後・・・のように、複数の揺動タイミングが(例えば、略等間隔に)予め決められている。
【0048】
ここで、例えば、レジストローラー27、二次転写ローラー9、定着装置50の定着ローラーのアライメントのずれや画像形成装置を正面から見たときの各ローラーの手前側と奥側とのローラー径の差等によって、
図6に示すように、レジストローラー27への突入後に、用紙Pが途中で曲がってしまう副走査曲がりが発生することがある。そうすると、二次転写ローラー9による転写位置に対して用紙Pの位置がずれてしまい、トナー画像が最適な位置(最適画像位置と呼ぶ。例えば、用紙Pの幅方向の中央とトナー画像の幅方向の中央とが一致する位置)に転写されなくなる。そこで、本実施形態では、二次転写ローラー9の下流に設けられた位置検知センサー62により転写後の用紙Pの側端部の実際の位置を検知し、検知結果に基づいてレジストローラー27の揺動量等を決定してレジストローラー27を揺動させることで、用紙Pの側端部の位置を調整し、転写位置に対する用紙Pの位置のずれを抑制する。例えば、
図6に示す場合、レジストローラー27を矢印方向に揺動させる。
【0049】
ステップS3において、例えば、制御部11は、用紙Pの先端側の副走査方向の2点における位置検知センサー62による用紙側端部の位置(X1、X2とする)の検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて、用紙Pの傾きを算出する。そして、算出した傾きに基づいて、各揺動タイミングにおける用紙側端部の目標位置とのずれ量を算出し、算出したずれ量に基づいて、各揺動タイミングにおける揺動制御情報(揺動量、揺動方向、揺動速度)を決定する。目標位置は、用紙Pの側端部がその位置を通過すれば、用紙Pに対してトナー画像が最適画像位置に転写されると見込まれる位置である。なお、駆動機構34のステッピングモーターのローラーポジションによりレジストローラー27の位置がわかるため、制御部11は、位置検知センサー62による検知結果及びレジストローラー27の位置情報に基づいて揺動制御情報を決定することとしてもよい。
【0050】
用紙Pの傾きは、例えば、以下の式により算出することができる。
用紙Pの傾き=(X1とX2の用紙幅方向の差分)÷(X1~X2間の搬送距離)
また、揺動量は、例えば、以下の式により算出することができる。
揺動量=用紙側端部の目標位置とのずれ量×α
ここで、αは係数である。用紙Pの搬送状態は、用紙搬送に係る条件、例えば、用紙Pの紙種、坪量、環境(温度、湿度等)、紙サイズ(紙幅、紙の長さ)等によって異なるので、係数αは、用紙搬送に係る条件及び揺動タイミング(すなわち、揺動される副走査方向の位置)に応じて異なることが好ましい。また、揺動速度は、揺動量が大きくなるほど速めることが好ましい。
【0051】
なお、位置検知センサー62は、トナー画像の画像情報を取得できることから、位置検知センサー62による用紙側端部の位置及びトナー画像の位置の検知結果に基づいて、レジストローラー27の揺動制御情報を決定してもよい。例えば、位置検知センサー62により検知された複数点における用紙側端部の位置及びトナー画像の位置の検知結果に基づいて、複数点における用紙側端部とトナー画像の距離及び傾きを算出し、算出した距離及び傾きに基づいて、各揺動タイミングにおける用紙側端部とトナー画像の距離を算出する。そして、算出した距離とトナー画像が最適画像位置に配置されたときの用紙側端部とトナー画像の距離との差分(ずれ量)をそれぞれ算出し、算出したずれ量に基づいて、各揺動タイミングにおける揺動制御情報を決定する。これにより、より精度良くトナー画像を最適画像位置に合わせ込むことができる。
【0052】
次いで、制御部11は、レジストローラー27の揺動タイミングが到来するのを待機する(ステップS4)。揺動タイミングが到来したと判断した場合(ステップS4;YES)、制御部11は、ステップS3で決定した、揺動タイミングに応じた揺動制御情報に基づいて、駆動機構34によりレジストローラー27を揺動させる(ステップS5)。
【0053】
次いで、制御部11は、最終の揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する(ステップS6)。例えば、用紙Pの用紙サイズと、位置検知センサー62が用紙Pの先端を検知してからの経過時間及び搬送速度に基づいて、最終揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する。
【0054】
最終の揺動タイミングでの揺動が終了していないと判断した場合(ステップS6;NO)、制御部11は、ステップS4に戻り、次の揺動タイミングを待機して、揺動タイミングが到来すると、レジストローラー27を揺動させる処理を繰り返す。
【0055】
最終揺動タイミングでの揺動が終了したと判断した場合(ステップS6;YES)、制御部11は、最終ページまでの転写が終了したか否かを判断する(ステップS7)。
最終ページまでの転写が終了していないと判断した場合(ステップS7;NO)、制御部11は、ステップS1に戻る。
最終ページまでの転写が終了したと判断した場合(ステップS7;YES)、制御部11は、揺動制御処理Aを終了する。
【0056】
このように、第1の実施形態では、二次転写ローラー9の下流に位置検知センサー62を設け、用紙Pの先端側における位置検知センサー62の検知結果(用紙側端部の位置及び/又はトナー画像の位置)に基づいて、用紙Pの後端側におけるレジストローラー27の揺動を制御する。したがって、転写後の実際の用紙Pの側端部の位置の目標位置とのずれに基づいてレジストローラー27を揺動させ、用紙Pの側端部の位置を調整することができるので、副走査曲がりによる用紙Pに対するトナー画像位置のずれを高精度に抑制することができる。特に、長尺紙のように用紙搬送方向に長い用紙では、より効果がある。
【0057】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、二次転写ローラー9の下流に設けられた位置検知センサー62の検知結果に基づいて、次紙以降のレジストローラー27の揺動制御情報を決定する例について説明する。
【0058】
第2の実施形態において、記憶部12には、制御部11で実行される各種プログラムや各部で必要なパラメータやデータの他、揺動制御テーブル121が記憶されている。
揺動制御テーブル121は、レジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御情報が記憶されたテーブルである。揺動制御テーブル121には、レジストローラー27が揺動制御される複数の揺動タイミング(タイミング1~n)に応じた揺動制御情報(ここでは、揺動量、揺動方向、揺動速度)がそれぞれ記憶されている。本実施形態では、揺動タイミングは、用紙Pの先端から後端まで略等間隔で揺動されるように定められている。
ここで、用紙Pが搬送されるときの状態は、用紙搬送に係る条件、例えば、用紙Pの紙種、坪量、環境(温度、湿度等)、紙サイズ(紙幅、紙の長さ)等に応じて異なるため、用紙Pの最適画像位置に精度良くトナー画像を書き込むためには、揺動制御テーブル121において、用紙搬送に係る条件に応じて揺動制御情報が格納されていることが好ましい。
図7は、揺動制御テーブル121の一例を示す図である。
図7においては、一例として、紙種毎に各揺動タイミング(タイミング1~n)で用いられる揺動制御情報が格納された揺動制御テーブル121を示している。
【0059】
また、第2の実施形態の記憶部12には、後述する揺動制御処理Bを実行するためのプログラムが記憶されている。
その他の第2の実施形態における構成は第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態における動作について説明する。
【0060】
図8は、第2の実施形態において制御部11により実行されるレジストローラー27の揺動制御処理Bを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザーからのジョブの実行指令に応じて、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によって実行される。
【0061】
ジョブが開始されると、制御部11は、レジストローラー27の揺動タイミングが到来するのを待機する(ステップS11)。ここで、本実施形態では、レジストセンサー61が用紙Pの先端を検知してからの経過時間によって揺動タイミングが定められており、制御部11は、レジストセンサー61が用紙Pの先端を検知してからの経過時間によって揺動タイミングが到来したか否かを判断する。
【0062】
揺動タイミングが到来したと判断した場合(ステップS11;YES)、制御部11は、揺動制御テーブル121により特定される、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた揺動制御情報に基づいて、駆動機構34によりレジストローラー27を揺動させる(ステップS12)。
【0063】
制御部11は、最終の揺動タイミングでのレジストローラー27の揺動が終了するまで、ステップS11~S13を繰り返し実行し、各揺動タイミングでレジストローラー27を揺動させる。なお、この間に用紙Pが位置検知センサー62に到達すると、位置検知センサー62は、例えばラインごとに、用紙側端部の位置とトナー画像の位置を示す画像情報を取得して制御部11に出力する。
【0064】
最終の揺動タイミングでのレジストローラー27の揺動が終了したと判断した場合(ステップS13;YES)、制御部11は、各揺動タイミングに対応する位置における位置検知センサー62による検知結果を取得する(ステップS14)。例えば、制御部11は、位置検知センサー62による検知結果(画像情報)から用紙Pの領域及びトナー画像の領域を特定し、用紙Pの副走査方向の各揺動タイミングに対応する位置における用紙Pの側端部の位置とトナー画像の位置を取得する。
【0065】
次いで、制御部11は、取得した位置検知センサー62による検知結果に基づいて、各揺動タイミングにおける揺動制御情報の補正値を算出する(ステップS15)。例えば、制御部11は、用紙Pの副走査方向の各揺動タイミングに対応する位置(各揺動タイミングで揺動された位置)における用紙Pの側端部とトナー画像の位置との距離を取得する。そして、例えば、取得した距離と、トナー画像が最適画像位置に書き込まれたときの用紙Pの側端部とトナー画像との距離の差分をずれ量として算出し、算出したずれ量に基づいて、各揺動タイミングにおける揺動制御情報の補正値を決定する。
【0066】
そして、制御部11は、各揺動タイミングについて算出された補正値に基づいて、揺動制御情報を補正して揺動制御テーブル121を更新する(ステップS16)。すなわち、算出した補正値により補正した揺動制御情報により揺動制御テーブル121の揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた揺動制御情報を上書きして、揺動制御テーブル121を記憶部12に記憶させる。
【0067】
ここで、副走査曲がりが発生すると、後端にいくにしたがって用紙Pに対する画像位置のずれが大きくなる傾向がある。特に、長尺紙のように、用紙搬送方向に長い用紙では、そのずれは顕著となる。揺動制御処理Bにおいては、転写後の位置検知センサー62による用紙Pの側端部の位置とトナー画像の位置の検知結果に基づいて、各揺動タイミングに対応する副走査方向の各位置における用紙側端部とトナー画像の位置関係のずれ量(最適な位置関係とのずれ量)を算出し、算出したずれ量に基づいて、各揺動タイミングにおけるレジストローラー27の揺動制御情報を補正して揺動制御テーブル121を更新するので、各揺動タイミングごとに個別に揺動制御情報を補正することができ、次紙以降、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを高精度に抑制することが可能となる。特に、長尺紙のように用紙搬送方向に長い用紙では、より効果がある。
【0068】
次いで、制御部11は、最終ページまでの転写が終了したか否かを判断する(ステップS17)。
最終ページまでの転写が終了していないと判断した場合(ステップS17;NO)、制御部11は、ステップS11に戻る。
最終ページまでの転写が終了したと判断した場合(ステップS17;YES)、制御部11は、揺動制御処理Bを終了する。
【0069】
上記揺動制御処理Bは、ジョブ実行中におけるレジストローラー27の揺動動作に基づいてその後の(次紙以降の)揺動制御に用いる揺動制御情報を補正する処理であるが、画像形成装置100は、調整モードを有しており、調整モードにおいて、ジョブ実行前に予め揺動制御テーブル121の揺動制御情報を設定又は補正することができる。例えば、操作部14により調整モードでの動作が指示されると、制御部11は、給紙トレイ21や給紙装置の給紙トレイから所定枚数の用紙を搬送させ、予め記憶部12に記憶されている画像データに基づいて画像形成ユニット10Y~10Kにより画像を形成させて二次転写ローラー9により用紙に画像を転写させる。また、制御部11は、上記揺動制御処理Bと同様の制御によりレジストローラー27の揺動及び画像が転写された用紙の側端部及びトナー画像の位置検知センサー62による検知を行わせ、その検知結果に基づいて揺動制御テーブル121に揺動制御情報を設定又は補正する。このように、画像形成装置100は、調整モードを有しているので、ジョブ実行前に予め揺動制御テーブル121を設定又は補正することができ、一枚目の用紙に対する用紙と画像位置のずれを抑制し、仕上がりのよいプリントを提供することができる。
【0070】
また、例えば、第2の実施形態においては、1ページ分の画像が転写される毎に、位置検知センサー62による用紙Pの側端部の位置及びトナー画像の位置の検知結果を取得し、その検知結果に基づいてリアルタイムに揺動制御情報の補正を行う場合を例にとり説明したが、所定期間(すなわち、複数枚の画像が転写された用紙)の検知結果の演算値(例えば、ずれ量の平均値、中央値等)に基づいて、揺動制御情報の補正を行うこととしてもよい。これにより、所定期間の傾向に基づいて、効率的に揺動制御情報の補正を行うことができる。
【0071】
また、上記揺動制御処理Bでは、ジョブ実行中において、前紙の位置検知センサー62による検知結果に基づいて、次紙におけるレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報の補正を行う場合を例にとり説明したが、自紙の後端側におけるレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報の補正を行ってもよい。例えば、長尺紙等の用紙搬送方向が長い用紙の場合には、位置検知センサー62が所定サイズまでの側端部及びトナー画像の位置を検知したら、その検知結果に基づいて、制御部11が揺動制御情報の補正値を算出して揺動制御情報を補正し、補正した揺動制御情報に基づいて自紙の後端側におけるレジストローラー27の制御を行ってもよい。
【0072】
また、上記揺動制御処理Bにおいては、ステップS15で算出した補正値により直接揺動制御テーブル121の揺動制御情報を書き換えることとしたが、記憶部12に、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じて補正値を記憶する補正値テーブルを設けることとしてもよい。そして、制御部11は、ステップS15で算出した補正値を揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じて補正値テーブルに書き込み、次にレジストローラー27の揺動制御を行う際に、揺動制御テーブル121及び補正値テーブルの補正値に基づいた揺動制御情報によりレジストローラー27の揺動制御を行うこととしてもよい。
【0073】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流に配置され、用紙Pの側端部の位置を検知する位置検知センサー62を備え、制御部11は、位置検知センサー62による検知結果に基づいて、レジストローラー27の揺動制御を行う。例えば、位置検知センサー62による検知結果に基づいて、レジストローラー27の揺動制御情報を決定し、決定した揺動制御情報に基づいて、レジストローラー27の揺動制御を行う。
したがって、転写後の実際の用紙Pの側端部の位置に基づいてレジストローラー27を揺動させ、レジストローラー27の通過時の用紙Pの側端部の位置を調整することができるので、副走査曲がりによる用紙Pに対するトナー画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【0074】
また、用紙Pのトナー画像が転写される面の側に位置検知センサー62を配置し、制御部11が位置検知センサー62により検知された用紙Pの側端部の位置及びトナー画像の位置に基づいて揺動制御情報を決定するようにすることで、用紙Pとトナー画像のずれ量に基づいてさらに高精度に用紙Pに対するトナー画像の位置のずれを抑制することができる。
【0075】
また、制御部11は、紙種、環境等の用紙搬送に係る条件に応じて揺動制御情報を決定するようにすることで、用紙搬送に係る条件に応じた最適な揺動制御を行うことが可能となる。
【0076】
また、制御部11は、位置検知センサー62による検知結果に基づいて、レジストローラー27を揺動させる予め定められた複数のタイミング毎の揺動制御情報をそれぞれ決定するようにすることで、副走査曲がりによる用紙に対するトナー画像位置のずれをより高精度に抑制することができる。
【0077】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0078】
例えば、上記実施形態においては、用紙Pの側端部の位置を検知する位置検知センサー62を二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流のみに設ける場合を例にとり説明したが、搬送経路上に複数設け、それぞれの検知結果に基づいて個別に、又は複数の位置検知センサーの検知結果に基づいて、揺動制御情報を決定してもよい。
【0079】
例えば、
図9に示すように、二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流に設けた位置検知センサー62に加え、レジストローラー27の上流に位置検知センサー64(第2の検知部)を設けることとしてもよい。そして、制御部11は、例えば、位置検知センサー64により用紙Pの側端部位置が検知されると、その検知結果に基づいて(例えば、目標位置とのずれ量に基づいて)レジストローラー27の揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させ、位置検知センサー62により用紙Pの側端部が検知された後は、例えば上記第1の実施形態で説明した手法等により揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させることとしてもよい。また、第1の実施形態において揺動制御情報を決定する際に、併せて位置検知センサー64の検知結果を加味してもよい。このように、位置検知センサー62に加え、さらにレジストローラー27の上流に位置検知センサー64を設け、これらの検知結果に基づいてレジストローラー27を揺動させて用紙Pの側端部の位置を調整することで、さらに、レジストローラー27上流の搬送バラツキを抑えることができる。
【0080】
また、例えば、
図10に示すように、二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流に設けた位置検知センサー62に加え、レジストローラー27の下流であって二次転写ローラー9の上流に位置検知センサー65(第3の検知部)を設けることとしてもよい。そして、制御部11は、例えば、位置検知センサー65により用紙Pの側端部位置が検知されると、その検知結果に基づいて(例えば、目標位置とのずれ量に基づいて)レジストローラー27の揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させ、位置検知センサー62により用紙Pの側端部が検知された後は、例えば上記第1の実施形態で説明した手法等により揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させることとしてもよい。また、第1の実施形態において揺動制御情報を決定する際に、併せて位置検知センサー65の検知結果を加味してもよい。このように、位置検知センサー62に加え、さらにレジストローラー27の下流に位置検知センサー65を設け、これらの検知結果に基づいてレジストローラー27を揺動させて用紙Pの側端部の位置を調整することで、さらに、レジストローラー27の搬送バラツキを抑えることができる。加えて、転写部にできるだけ近いレジストローラー27の下流に位置検知センサー65を設けることで、転写位置(作像位置)に対して、用紙位置を正確に合わせることが可能となる。
【0081】
また、例えば、
図11に示すように、二次転写ローラー9の下流かつ定着装置50の上流に設けた位置検知センサー62に加え、さらに定着装置50の下流に位置検知センサー66(第4の検知部)を設けることとしてもよい。そして、制御部11は、例えば、位置検知センサー62により用紙Pの側端部位置が検知されると、その検知結果に基づいてレジストローラー27の揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させ、位置検知センサー66により用紙Pの側端部が検知された後は、位置検知センサー66による検知結果に基づいて揺動制御情報を決定してレジストローラー27を揺動させることとしてもよい。また、第1の実施形態で揺動制御情報を決定する際に、併せて位置検知センサー66の検知結果を加味してもよい。このように、位置検知センサー62に加え、さらに定着装置50の下流に位置検知センサー66を設け、これらの検知結果に基づいてレジストローラー27を揺動させて用紙Pの側端部の位置を調整することで、さらに、定着装置50の搬送バラツキを抑えることができる。
【0082】
また、位置検知センサー62に加え、
図9に示す位置検知センサー64、
図10に示す位置検知センサー65、
図11に示す位置検知センサー66の二つ以上を組み合わせて設け、制御部11は、複数の位置検知センサーの検知結果に基づいて、揺動制御情報を決定してもよい。
【0083】
また、制御部11は、位置検知センサー62と、位置検知センサー64、65、66のいずれかの検知結果に基づいて、用紙Pの傾きを算出し、算出した傾きに基づいて各揺動タイミングにおける揺動制御情報を決定することとしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ローラーに一次転写し、中間転写ローラーから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
【0085】
また、上記実施形態においては、レジストローラー27が用紙搬送方向に直交する方向に揺動するものとして説明したが、揺動方向は、必ずしも用紙搬送方向に直交する方向でなくてもよく、用紙送り方向を変えられれば良い。
【0086】
また、上記実施形態においては、揺動ローラーがレジストローラー27である場合を例にとり説明したが、これに限定されず、例えば、レジストローラー27とは別体であってもよい。
【0087】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0088】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 画像形成装置
11 制御部
12 記憶部
121 揺動制御テーブル
13 通信部
14 操作部
SC 原稿読取装置
10 画像形成部
9 二次転写ローラー
20 用紙搬送部
27 レジストローラー
50 定着装置
61 レジストセンサー
62 位置検知センサー
63 環境センサー
64 位置検知センサー
65 位置検知センサー
66 位置検知センサー
70 吸引ファン