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特許7047265ネットワークシステム、画像形成装置、および、情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、画像形成装置、および、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220329BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220329BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220329BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220329BHJP
   G03G 21/02 20060101ALI20220329BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
H04N1/00 C
G06F3/12 303
G06F3/12 373
G06F3/12 336
G06F3/12 392
G06F3/12 374
B41J29/00 E
B41J29/00 Z
B41J29/38
G03G21/02
G03G21/00 388
G03G21/00 386
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017121143
(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公開番号】P2019009519
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村川 彰
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-011590(JP,A)
【文献】特開2015-030136(JP,A)
【文献】特開2016-025488(JP,A)
【文献】特開2007-267370(JP,A)
【文献】特開2007-087076(JP,A)
【文献】特開2017-105015(JP,A)
【文献】特開2017-069903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/02
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末と画像形成装置との間で通信が可能なネットワークシステムであって、
前記画像形成装置での画像形成に応じて課金処理をする課金処理手段を含み、
前記画像形成装置は、
第1の通信方式で通信をする第1の通信手段と、
第2の通信方式で通信をする第2の通信手段と、
カード情報を読取る情報読取り手段とを含み、
前記携帯情報端末は、
前記第1の通信方式で通信をする第1の端末通信手段と、
前記第2の通信方式で通信をする第2の端末通信手段と、
カードエミュレーション機能で動作させるカードエミュレーション手段とを含み、
前記情報読取り手段は、前記第1の通信手段と前記第1の端末通信手段とによる前記第1の通信方式で前記携帯情報端末と通信がされたことに応じて、前記カードエミュレーション機能でカードエミュレーションしたカードのカード情報を前記携帯情報端末から読取り、
前記課金処理手段は、前記情報読取り手段により前記携帯情報端末のカード情報が読取られたことに応じて前記課金処理を開始し、前記携帯情報端末と前記画像形成装置との間において、前記第2の端末通信手段と前記第2の通信手段とによる前記第2の通信方式で通信が、通信状態を最低限維持可能な第1の電波強度よりも高い第2の電波強度でされていることを条件として、前記画像形成装置において複数回予定された画像形成が1回実行されるごとに、前記課金処理を実行する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記携帯情報端末と前記画像形成装置との間において、前記第2の通信方式で通信がされなくなったことを条件として、前記画像形成装置における画像形成が中止され、前記課金処理が中止される、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記携帯情報端末と前記画像形成装置との間において、前記第2の通信方式で通信がされなくなったときでも前記画像形成装置における画像形成を継続させるとともに、前記課金処理を実行可能とさせるための操作が可能な継続操作手段をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記画像形成装置における画像形成と前記課金処理とを中止させるための操作が可能な中止操作手段をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記携帯情報端末と前記画像形成装置との間において、前記第2の通信方式で通信がされなくなったときにおいて、前記画像形成装置における画像形成がされなくなることを報知可能な報知手段をさらに含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記携帯情報端末と前記画像形成装置との間において、前記第2の通信方式で通信がされなくなったときでも所定期間内に前記第2の通信方式で通信が再開されたことを条件として、前記画像形成装置における画像形成を継続させるとともに、前記課金処理を実行可能とする非通信状態対応手段をさらに含む、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記第2の端末通信手段と、前記カードエミュレーション手段とが、同一の前記携帯情報端末に含まれているか否かを確認する確認手段をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項8】
携帯情報端末との通信が可能であり、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置であって、
第1の通信方式で通信をする第1の通信手段と、
第2の通信方式で通信をする第2の通信手段と、
カード情報を読取る情報読取り手段とを含み、
前記情報読取り手段は、前記第1の通信手段による前記第1の通信方式で前記携帯情報端末と通信がされたことに応じて、前記携帯情報端末においてカードエミュレーション機能でカードエミュレーションされたカードのカード情報を読取り、
前記情報読取り手段により前記携帯情報端末のカード情報が読取られたことに応じて前記課金処理の開始が可能となり、
前記第2の通信手段による前記第2の通信方式で前記携帯情報端末と通信が、通信状態を最低限維持可能な第1の電波強度よりも高い第2の電波強度でされていることを条件として、前記画像形成装置において複数回予定された画像形成が1回実行されるごとに、前記課金処理を実行可能とする、画像形成装置。
【請求項9】
携帯情報端末との通信が可能であり、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置で実行される情報処理プログラムであって、
第1の通信方式で前記携帯情報端末と通信するステップと、
前記携帯情報端末においてカードエミュレーション機能でカードエミュレーションされたカードのカード情報を読取るステップと、
前記カード情報が読取られたことに応じて前記課金処理の開始を可能とするステップと、
第2の通信方式で前記携帯情報端末と通信するステップと、
前記第2の通信方式で前記携帯情報端末と通信が、通信状態を最低限維持可能な第1の電波強度よりも高い第2の電波強度でされていることを条件として、前記画像形成装置において複数回予定された画像形成が1回実行されるごとに、前記課金処理を実行可能とするステップとを実行する、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示はネットワークシステム、画像形成装置、および、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗、または、公共施設等に設置されたMFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置を使用して、有料でコピー機能またはプリンタ機能等により印刷をするときに用いる決済手段として、電子マネーによる決済を用いる場合がある。電子マネーによる決済は、ICカード等のカード情報等を用いて行なわれるため、現金の支払いを用いる決済と比べて使用者の操作が簡単であるため、今後も活用場面と使用機会とが広がっていくと思われる。
【0003】
このような電子マネーを用いて決済をする画像形成装置としては、一度の印刷時において、カード情報を読取らせる操作を使用者が複数しなければならないものがあった(特許文献1,2)。たとえば、画像形成装置での印刷前に、課金予定額が設定され、使用者によりタッチ操作等のカード情報を読取らせる1回目の操作がされると課金処理等がされる。そして、印刷実行後に、再度使用者によりタッチ操作等のカード情報を読取らせる2回目の操作がされたことに応じて、課金予定額との差額の表示および不足金額の課金処理等がされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-58566号公報
【文献】特開2007-299293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述のような課金処理をする従来の画像形成装置では、一度の印刷時においてカード情報を複数回読取らせることが必要であり、使用者の操作を煩雑化させるという問題があった。
【0006】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、使用者の操作を容易化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、携帯情報端末と画像形成装置との間で通信が可能なネットワークシステムであって、画像形成装置での画像形成に応じて課金処理をする課金処理手段を含み、画像形成装置は、第1の通信方式で通信をする第1の通信手段と、第2の通信方式で通信をする第2の通信手段と、カード情報を読取る情報読取り手段とを含み、携帯情報端末は、第1の通信方式で通信をする第1の端末通信手段と、第2の通信方式で通信をする第2の端末通信手段と、カードエミュレーション機能で動作させるカードエミュレーション手段とを含み、情報読取り手段は、第1の通信手段と第1の端末通信手段とによる第1の通信方式で携帯情報端末と通信がされたことに応じて、カードエミュレーション機能でカードエミュレーションしたカードのカード情報を携帯情報端末から読取り、課金処理手段は、情報読取り手段により携帯情報端末のカード情報が読取られたことに応じて課金処理を開始し、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の端末通信手段と第2の通信手段とによる第2の通信方式で通信がされていることを条件として、課金処理を実行する。
【0008】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされていることを条件として、画像形成装置において画像形成がされるごとに、課金処理が順次実行されるように構成されてもよい。
【0009】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされなくなったことを条件として、画像形成装置における画像形成が中止され、課金処理が中止されるように構成されてもよい。
【0010】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされなくなったことを条件として、画像形成装置における画像形成が中止され、第2の通信方式で通信がされているときにされた画像形成について、課金処理がまとめて実行されるように構成されてもよい。
【0011】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされなくなったときでも画像形成装置における画像形成を継続させるとともに、課金処理を実行可能とさせるための操作が可能な継続操作手段をさらに含むように構成されてもよい。
【0012】
ネットワークシステムは、画像形成装置における画像形成と課金処理とを中止させるための操作が可能な中止操作手段をさらに含むように構成されてもよい。
【0013】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされなくなったときにおいて、画像形成装置における画像形成がされなくなることを報知可能な報知手段をさらに含むように構成されてもよい。
【0014】
ネットワークシステムは、携帯情報端末と画像形成装置との間において、第2の通信方式で通信がされなくなったときでも所定期間内に第2の通信方式で通信が再開されたことを条件として、画像形成装置における画像形成を継続させるとともに、課金処理を実行可能とする非通信状態対応手段をさらに含むように構成されてもよい。
【0015】
ネットワークシステムは、画像形成装置が、第2の端末通信手段と、カードエミュレーション手段とが、同一の携帯情報端末に含まれているか否かを確認する確認手段をさらに含むように構成されてもよい。
【0016】
本開示の他の局面に従うと、携帯情報端末との通信が可能であり、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置であって、第1の通信方式で通信をする第1の通信手段と、第2の通信方式で通信をする第2の通信手段と、カード情報を読取る情報読取り手段とを含み、情報読取り手段は、第1の通信手段による第1の通信方式で携帯情報端末と通信がされたことに応じて、携帯情報端末においてカードエミュレーション機能でカードエミュレーションされたカードのカード情報を読取り、情報読取り手段により携帯情報端末のカード情報が読取られたことに応じて課金処理の開始が可能となり、第2の通信手段による第2の通信方式で携帯情報端末と通信がされていることを条件として、課金処理を実行可能とする。
【0017】
本開示の他の局面に従うと、携帯情報端末との通信が可能であり、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置で実行される情報処理プログラムであって、第1の通信方式で携帯情報端末と通信するステップと、携帯情報端末においてカードエミュレーション機能でカードエミュレーションされたカードのカード情報を読取るステップと、カード情報が読取られたことに応じて課金処理の開始を可能とするステップと、第2の通信方式で携帯情報端末と通信するステップと、第2の通信方式で携帯情報端末と通信がされていることを条件として、課金処理を実行可能とするステップとを実行する。
【0018】
本開示の他の局面に従うと、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置と通信が可能な携帯情報端末であって、第1の通信方式で通信をする第1の端末通信手段と、第2の通信方式で通信をする第2の端末通信手段と、カードエミュレーション機能で動作させるカードエミュレーション手段とを含み、カードエミュレーション手段は、第1の端末通信手段による第1の通信方式で画像形成装置と通信がされたことに応じて、カードエミュレーション機能でカードエミュレーションしたカードのカード情報が画像形成装置に読取られ、カードエミュレーション機能でエミュレーションしたカードのカード情報が読取られたことに応じて課金処理が開始され、第2の端末通信手段による第2の通信方式で画像形成装置と通信することにより、第2の通信方式で画像形成装置と通信がされていることを条件として、課金処理が実行可能とされる。
【0019】
本開示の他の局面に従うと、画像形成に応じて課金処理が可能とされる画像形成装置と通信が可能な携帯情報端末で実行される情報処理プログラムであって、第1の通信方式で通信をするステップと、第2の通信方式で通信をするステップと、カードエミュレーション機能で動作させるステップとを含み、カードエミュレーション機能で動作させるステップは、第1の通信方式で画像形成装置と通信がされたことに応じて、カードエミュレーション機能でカードエミュレーションしたカードのカード情報が画像形成装置に読取られるステップを含み、カードエミュレーション機能でエミュレーションしたカードのカード情報が読取られたことに応じて課金処理が開始され、第2の通信方式で通信をするステップによって画像形成装置と通信することにより、第2の通信方式で画像形成装置と通信がされていることを条件として、課金処理が実行可能とされる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、一度の印刷時においてカード情報を1回読取らせれば課金処理が完了することが可能となり、使用者の操作を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ネットワームシステムの構成を示す図である。
図2】携帯情報端末を用いて画像形成装置で有料の画像形成をするときの課金処理等の各種情報処理の流れを示すフローチャートである。
図3】画像形成装置1における印刷中に表示部において表示される画面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、ネットワークシステムの実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0023】
[ネットワークシステムの構成概要]
図1は、通信システムであるネットワームシステム10の構成を示す図である。図1に示すように、ネットワークシステム10では、端末である携帯端末2と、携帯端末2と通信可能な画像形成装置1と、画像形成装置1と通信可能な課金サーバ3とを含む。
【0024】
画像形成装置1と携帯端末2とは、各種の近距離無線通信技術を用いて互いに通信を行う。たとえば、画像形成装置1と携帯端末2との間では、近距離無線通信として、NFC(Near Field Communication)規格に基づく通信(以下、NFC通信という)と、Bluetooth(登録商標)規格に基づく通信(以下、ブルートゥース通信という)とが用いられる。
【0025】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置1としては、画像形成装置1は、スキャン機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能等を備える複合機であるMFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))が例示されている。画像形成装置1は、画像読取部11、印刷出力部12、通信部13、操作部14、記憶部15、およびコントローラ(制御部)16等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0026】
画像読取部11は、画像形成装置1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部11は、スキャン部であるとも称される。印刷出力部12は、印刷対象に関するデータに基づいて紙等の各種の媒体に画像を印刷出力する処理部である。
【0027】
通信部13は、公衆回線(インターネットを含む)等を介したファクシミリ通信およびデータ通信を行うことが可能な処理部である。また、通信部13は、NFC通信およびブルートゥース通信のような近距離無線通信を含む各種の無線通信(無線LANによる無線通信等も含む)を行うことも可能である。さらに、通信部13は、有線LAN等による有線通信を行なうことも可能である。
【0028】
通信部13は、NFC通信部131、ブルートゥース通信部132、カードリーダ部133、および、外部通信部134を含む。NFC通信部131では、携帯情報端末2等との間でNFC通信を用いたネットワーク通信が行なわれる。NFC通信部131により実行されるNFC通信では、携帯情報端末でのカードエミュレーション機能に基づくカード情報が、NFC通信部131で受信され、カードリーダ部133により読取られる。ブルートゥース通信部132では、携帯情報端末2等との間でブルートゥース通信を用いたネットワーク通信が行なわれる。ブルートゥース通信部132により実行されるブルートゥース通信は、コピー動作およびプリンタ動作等に伴なう印刷等の画像形成装置1での画像形成に応じた課金処理を継続して実行するための条件として用いられる。
【0029】
外部通信部134は、無線LAN、有線LAN等のLANまたはインターネット等の外部通信回線により、画像形成装置1が設置された場所の外部に設けられた課金サーバ3と通信可能に接続されている。外部通信部134は、画像形成装置1で画像形成が行なわれるときに、カードリーダ部133により読取られたカード情報および画像形成装置1での画像形成に応じた課金情報を課金サーバ3に送信する。
【0030】
記憶部15は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
操作部14は、画像形成装置1に対する操作入力を受け付ける操作入力部141と、各種情報の表示出力を行う表示部142とを備える。
【0031】
画像形成装置1においては、略板状の操作パネル部が設けられている。また、操作パネル部は、その正面側にタッチパネルを有している。タッチパネルは、操作入力部141の一部としても機能するとともに、表示部142の一部としても機能する。タッチパネルは、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
【0032】
コントローラ(制御部)16は、画像形成装置1に内蔵され、画像形成装置1を統括的に制御する制御装置である。コントローラ16は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ16は、CPUにおいて、ROM等に格納されているソフトウエアプログラムである情報処理プログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリ等の可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体を介して画像形成装置1にインストールされているようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされて画像形成装置1にインストールされるようにしてもよい。
【0033】
コントローラ16は、当該プログラムの実行により、通信制御部と入力制御部と表示制御部とを含む各種の処理部を実現する。通信制御部は、他の装置(携帯情報端末2等)との間の通信動作を通信部13等と協働して制御する処理部である。通信制御部は、各種データの送信動作を制御する送信制御部と各種データの受信動作を制御する受信制御部とを有する。また、通信制御部は、通信部13と協働して、接続元装置とのペアリング動作等をも制御する。
【0034】
入力制御部は、操作入力部141(タッチパネル等)に対する操作入力動作を制御する制御部である。たとえば、入力制御部12は、タッチパネルに表示された操作画面に対する操作入力を受け付ける動作を制御する。
【0035】
表示制御部は、表示部142(タッチパネル等)における表示動作を制御する処理部である。表示制御部は、画像形成装置1を操作するための操作画面等をタッチパネル25に表示させる。
【0036】
[携帯情報端末の構成]
携帯情報端末2は、画像形成装置1との間でのネットワーク通信が可能な情報入出力端末装置(情報端末)である。携帯情報端末2としては、スマートフォンを例示する。なお、携帯情報端末2は、タブレット型端末等であってもよい。
【0037】
携帯情報端末2は、通信部21、記憶部23、操作部22およびコントローラ(制御部)24等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0038】
通信部21は、携帯電話の通信機能(図示省略)に加えて、画像形成装置1の通信部13と同様に、NFC通信およびブルートゥース通信のような近距離無線通信を含む各種の無線通信(無線LANによる無線通信等も含む)を行うことも可能である。さらに、通信部13は、有線LAN等による有線通信を行なうことも可能である。
【0039】
通信部21は、NFC通信部211、ブルートゥース通信部212、および、カードエミュレーション部213を含む。NFC通信部211では、画像形成装置1等との間でNFC通信部を用いたネットワーク通信が行なわれる。カードエミュレーション部213では、携帯情報端末2の所有者が持つ電子マネーを使用可能なICカード等のような、カード決済が可能なカードをエミュレーションすることにより、携帯情報端末2のNFC機能を用いて、携帯情報端末2の機能によりカード決済ができるようにするカードエミュレーション処理を実行する。具体的に、カードエミュレーション部213は、ハードウェア回路で構成されている。なお、カードエミュレーション部213は、コントローラ24のCPUにより構成されてもよい。また、カードエミュレーション部213は、セキュリティの観点からはハードウェア回路で構成されることが望ましい。
【0040】
NFC通信部211により実行されるNFC通信では、カードエミュレーション部213でのカードエミュレーション機能に基づくカード情報が、画像形成装置1のNFC通信部131に向けて送信される。ブルートゥース通信部212では、画像形成装置1のブルートゥース通信部132等との間でブルートゥース通信を用いたネットワーク通信が行なわれる。
【0041】
記憶部23は、不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。記憶部23には、コントローラ24で実行する制御プログラム(アプリケーションプログラム等)や、各種画面(詳細にはその表示用データ)が格納されている。さらに、記憶部23には、ブルートゥース通信における接続先候補の画像形成装置1(接続候補装置)と通信を行う優先順位の設定情報も格納されている。
【0042】
操作部22は、携帯情報端末2に対する操作入力を受け付ける操作入力部221と、各種情報の表示出力を行う表示部222とを備える。携帯情報端末2においては、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成されたタッチパネルが設けられている。タッチパネルは、操作入力部221の一部としても機能するとともに、表示部222の一部としても機能する。
【0043】
コントローラ(制御部)24は、携帯情報端末2に内蔵され、携帯情報端末2を統括的に制御する制御装置である。コントローラ24は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ24は、CPUにおいて、記憶部23や記憶部(半導体メモリ等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラムである情報処理プログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリ等の可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体を介して携帯情報端末2にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされて携帯情報端末2にインストールされるようにしてもよい。
【0044】
具体的には、コントローラ24は、当該プログラムの実行により、通信制御部と入力制御部と表示制御部と検出部と設定部と決定部とを含む各種の処理部を実現する。
【0045】
通信制御部は、通信部21等と協働して、画像形成装置1等との通信動作を制御する。また、通信制御部は、接続先装置とのペアリング動作等をも制御する。
【0046】
入力制御部は、操作入力部221(タッチパネル等)に対する操作入力動作等を制御する。表示制御部は、表示部(タッチパネル等)における各種情報の表示動作を制御する。
【0047】
[課金サーバの構成]
課金サーバ3は、サーバ機能を有するコンピュータ等よりなる情報処理装置であり、画像形成装置1が設置された場所の外部に設けられる。課金サーバ3は、無線LAN、有線LAN等のLANまたはインターネット等の通信ネットワークにより、画像形成装置1と情報通信が可能な態様で設けられている。
【0048】
なお、課金サーバ3は、画像形成装置1が設置された場所の近傍に設けられてもよく、当該場所からは離隔した場所に設けられたデータセンタ等の外部施設に設けられてもよい。課金サーバ3は、複数の画像形成装置1に対応するサーバとして設けられてもよく、1つの画像形成装置1に対応するサーバとして設けられてもよい。
【0049】
課金サーバ3は、通信部31、課金処理部32、記憶部33、および、コントローラ34を含む。通信部31は、前述のような通信ネットワークを通じ、外部通信部134と接続可能に構成されている。これにより、画像形成装置1と課金サーバ3との間でネットワーク通信が行なわれる。さらに、通信部31は、その他の通信ネットワークを通じ、電子マネー管理会社等のカード情報確認サーバ等に接続可能に構成されている。課金処理部32は、コントローラ34により制御され、画像形成装置1でのコピーおよびプリントのような印刷等の画像形成装置の動作に対して課金をする課金処理を実行する。記憶部33は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
【0050】
課金サーバ3は、コントローラ34により、通信部31を介してカード情報を受け取り、電子マネー管理会社等のカード情報確認サーバ等と情報通信をしてカード情報の真偽を確認することが可能である。カード情報の真偽の確認とは、たとえば、カード情報が、電子マネー管理会社に登録されているカードの情報に対応するものであるか否かを確認することにより、カード情報の真偽を確認することである。
【0051】
コントローラ(制御部)34は、課金サーバ3を統括的に制御する制御装置である。コントローラ34は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ34は、CPUにおいて、ROM内に格納されている所定のソフトウエアプログラムである情報処理プログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリ等の可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体を介して画像形成装置1にインストールされているようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされて課金サーバ3にインストールされるようにしてもよい。
【0052】
コントローラ34は、当該プログラムの実行により、通信制御部と課金制御部とを含む各種の処理部を実現する。通信制御部は、他の装置(画像形成装置1等)との間の通信動作を通信部31等と協働して制御する処理部である。通信制御部は、各種データの送信動作を制御する送信制御部と各種データの受信動作を制御する受信制御部とを有する。
【0053】
課金制御部は、画像形成装置1での有料のコピー動作およびプリント動作による印刷のような画像形成処理に対する課金処理を制御する制御部である。たとえば、課金制御部は、画像形成装置1で有料のコピー動作による印刷が実行された場合に、コントローラ34は、携帯情報端末2により設定され、画像形成装置により読取られたカードのカード情報に基づき、当該カードで決済可能な課金処理を行なう。たとえば、画像形成装置1での有料のコピー動作が実行されるときに、画像形成装置1から、携帯帯情報端末2でエミュレートされたカードのカード情報と、画像形成動作の実行による課金情報とを情報通信により取得し、取得したカード情報に基づき、当該カードに対して、取得した課金情報に基づき、印刷が1枚されるごとに課金をする処理を実行する。
【0054】
[画像形成に基づく課金に関する処理のフローチャート]
次に、図1に示されたネットワークシステム10において、携帯情報端末2を用いて画像形成装置1で有料の画像形成をするときの課金処理等の各種情報処理の流れについて説明する。
【0055】
図2は、携帯情報端末2を用いて画像形成装置1で有料の画像形成をするときの課金処理等の各種情報処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
図2には、画像形成装置1、携帯情報端末2、および、課金サーバ3において実行される処理が関連付けて示される。画像形成装置1において実行される処理は、コントローラ16のCPUが特定のプログラムを実行することによって実現される。携帯情報端末2において実行される処理は、コントローラ24のCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。課金サーバ3において実行される処理は、コントローラ34のCPUが予め定められたプログラムを実行することによって実現される。
【0057】
画像形成装置1において画像形成を開始するときには、まず、使用者(ユーザ)が、携帯情報端末2の所定位置に設けられたNFC通信部211を、画像形成装置1の特定位置に設けられたNFC通信部131にかざす動作がされたことを条件として(ステップS(以下、Sと略称する)1)、携帯情報端末2のNFC通信部211と、画像形成装置1のNFC通信部131との間でNFC通信により相互に情報通信が開始される(S2,S3)。
【0058】
その後、携帯情報端末2のNFC通信部211と、画像形成装置1のNFC通信部131との間で通信が確立する(S3,S12)と、携帯情報端末2では、カードエミュレーション部213でのカードエミュレーション機能により得られたカード情報を、NFC通信部211を介して画像形成装置1に渡す情報通信が実行される(S4)。そして、画像形成装置1では、NFC通信部131を介してカード情報を受け取る処理をし(S13)、その後、受け取ったカード情報を、外部通信部134を介して、課金サーバ3に渡す情報通信が実行される(S14)。
【0059】
そして、課金サーバ3では、通信部31を介してカード情報を受け取り、電子マネー管理会社等のカード情報確認サーバ等と情報通信をしてカード情報の真偽を確認し、カード情報が真のカードに基づくカード情報であることが確認されたときには、携帯情報端末2から画像形成装置1が取得したカード情報に基づき、対応するカードに対して課金処理を開始する(S31)。
【0060】
次に、携帯情報端末2のブルートゥース通信部212においては、ブルートゥース通信による情報通信を開始させる(S5)。画像形成装置1のブルートゥース通信部132においては、ブルートゥース通信による情報通信を開始させるとともにブルートゥース通信を確立させる(S15)。これにより、携帯情報端末2と画像形成装置1との間で、ブルートゥース通信が確立され、相互に情報通信が実行された後に、携帯情報端末2と画像形成装置1との間がブルートゥース通信状態であるか否かの確認が行なわれる(S6,S16)。ブルートゥース通信は、近距離無線通信であり、ブルートゥース通信状態は、電波強度が所定強度以上となる所定の通信距離範囲内にペアリングされた通信装置が存在している場合に、ブルートゥース通信状態となる。
【0061】
このように、携帯情報端末2と画像形成装置1との間がブルートゥース通信状態であることが確認されている間に、画像形成装置1で1枚目の印刷が実行されたときには、1枚目の課金情報が課金サーバ3に送信され(S17)、課金サーバ3において、1枚目の印刷についての課金処理が実行される(S32)。これにより、携帯情報端末2が画像形成装置1からブルートゥース通信状態となることが可能な所定の通信距離範囲内にある場合にのみ、印刷が実行されて課金処理が実行されることとなる。
【0062】
なお、携帯情報端末2と画像形成装置1との通信状態が、ブルートゥース通信状態を維持するために最低限必要な特定の電波強度以上のブルートゥース通信状態となるときに印刷が実行されて課金処理が実行されるようにしてもよい。また、携帯情報端末2と画像形成装置1との通信状態が、ブルートゥース通信状態を維持するために最低限必要な特定の電波強度よりも高い、予め定められた電波強度以上のブルートゥース通信状態となるときに印刷が実行されて課金処理が実行されるようにしてもよい。
【0063】
その後、画像形成装置1での2枚目以降の印刷についても、同様に、携帯情報端末2と画像形成装置1との間がブルートゥース通信状態であることが確認されている間(S7,S18)に実行されると、1枚の印刷ごとの課金情報が課金サーバ3に送信され(S19,S20)、課金サーバ3において、1枚の印刷ごとの課金処理が実行される(S33,S34)。
【0064】
その後、携帯情報端末2と画像形成装置1との間がブルートゥース通信状態であることが確認されている間(S8,S21)に画像形成装置1で最終枚目(N枚目)の印刷が実行されると、最終枚目の印刷の課金情報が課金サーバ3に送信され(S22)、課金サーバ3において、最終枚目の課金処理が実行される(S35)。
【0065】
図2に示すような画像形成に基づく課金に関する処理が実行されれば、携帯情報端末2と画像形成装置1との間がブルートゥース通信状態であることが確認されていることを条件として、画像形成装置1で印刷が実行され、1枚の印刷ごとに課金サーバ3において課金処理が実行される。
【0066】
つまり、画像形成装置1において、第1の通信方式であるNFC通信により携帯情報端末2からカード情報が読取られたことに基づいて課金処理が開始され、その後、携帯情報端末2と画像形成装置1と間で第2の通信方式であるブルートゥース通信の通信状態が確認され、ブルートゥース通信状態であることを条件として、1枚の印刷が実行されるごとに課金サーバ3において課金処理が実行される。これにより、用紙のジャムまたは用紙切れ等により予想外の状況により印刷が終了した場合でも、印刷した枚数分だけ課金処理が実行されるので、印刷終了後に再度携帯情報端末2からカード情報を画像形成装置1に再度読取らせて精算をする必要がなくなる。そして、一度の印刷時において携帯情報端末2からカード情報を画像形成装置1に1回読取らせれば、その後、携帯情報端末2からカード情報を再度読取らせることなく課金処理が完了することが可能となることにより、使用者の操作を容易化することができる。
【0067】
[課金処理のその他の例]
図2では、課金処理として、画像形成装置1で印刷が1枚実行されるごとに課金額をカード決済する処理を説明したが、画像形成装置1で印刷1枚が実行されるごとに課金額を加算しておき、最終的な印刷終了時に合計金額をカード決済する処理を実行してもよい。以下にそのような課金処理の例を説明する。
【0068】
図2のS32,S33,S34の処理を実行せず、S17,S19,S20において、画像形成装置1で印刷が1枚実行されるごとに画像形成装置1の記憶部15に加算してこの合計値金額を更新記憶しておき、S22において、最終枚目の印刷のときに、それまでの合計金額の課金情報を課金サーバ3に送信し、課金サーバ3において、S35の代わりに、送られてきた合計金額の課金情報をカード決済する処理を実行すればよい。
【0069】
[画像形成処理および課金処理の中止または継続操作例]
次に、前述したようなネットワークシステム10で画像形成処理および課金処理を実行する場合における処理の中止操作および継続操作を可能とする例を説明する。
【0070】
図3は、画像形成装置1における印刷中に表示部142において表示される画面図の一例である。図3を参照して、画像形成装置1における印刷中においては、ボタンアイコン画像よりなる継続ボタン6と中止ボタン8とのそれぞれが表示される。
【0071】
継続ボタン6は、次のような機能を実行するときに操作可能な操作手段である。前述したネットワークシステム10では、情報携帯端末2を所有した使用者が画像形成装置1から所定距離以上離隔する等、情報携帯端末2と画像形成装置1との間でのブルートゥース通信状態が解消されると、画像形成処理および課金処理が実行されなくなる。このような状況が生じると、使用者の利便性に欠けるので、継続ボタン6を予め操作すれば、情報携帯端末2を所有した使用者が画像形成装置1から所定距離以上離隔する等の事情によりブルートゥース通信状態が解消されても、例外的に、画像形成処理および課金処理が継続して実行されるようにする。
【0072】
具体的に、画像形成装置1では、印刷の実行中の表示画面において、表示部142で「印刷を実行中です。」というような、印刷中を案内する印刷中案内表示4の画像が表示される。そして、印刷実行中の画面において、たとえば、「本機から離れると印刷が停止します。本機から離れている間に印刷の継続を希望する場合は継続ボタンを操作してください。」というような、離隔時に印刷および課金を継続させる操作を案内する継続操作案内表示5の画像が表示されるとともに、その案内で示される継続ボタン6のボタンアイコン画像が表示される。
【0073】
印刷の実行中に、継続ボタン6が操作されると、画像形成装置1のコントローラ16では、図2のS6,S16等で確認しているようなブルートゥース通信状態が維持されなくなった場合でも、画像形成装置1において、画像形成処理(印刷)および課金処理を継続して実行させる制御が行なわれる。このような制御が行なわれれば、使用者が携帯情報端末2を持って画像形成装置1から離隔した場合でも、離隔中に印刷および課金処理が継続されるので、使用者が画像形成装置1から短時間離隔した場合に、離隔中に印刷を完了させることが可能となる等、使用者の利便性を向上させることができる。
【0074】
中止ボタン8は、次のような機能を実行するときに操作可能な操作手段である。前述したネットワークシステム10においては、情報携帯端末2を所有した使用者が画像形成装置1で印刷中に、何らかの事情により印刷を中止させる必要が生じた場合には、情報携帯端末2を持った使用者が画像形成装置1から、ブルートゥース通信状態が解消される距離まで離隔することで印刷を中止することが可能である。しかし、印刷の途中で、それまでに印刷された印刷物を受け取って印刷を中止させるために、情報携帯端末2を持った使用者が画像形成装置1から離隔する際に、単に離隔するだけでは、使用者がブルートゥース通信状態が解消される距離まで離隔する間も印刷および課金処理が継続されるので、その間に印刷され、課金処理の対象となった印刷物を使用者が受け取れない場合が生じ得る。
【0075】
具体的に、図3に示すように、画像形成装置1では、表示部142における印刷の実行中の表示画面において、たとえば、「印刷を中止したい場合は中止ボタンを操作してください。」というような、印刷および課金を中止させる操作を案内する中止操作案内表示7の画像が表示されるとともに、その案内で示される中止ボタン8のボタンアイコン画像が表示される。
【0076】
印刷の実行中に、中止ボタン8が操作されると、画像形成装置1のコントローラ16では、実行中の印刷および課金処理を強制的に中止させる制御が行なわれる。このような制御が行なわれれば、印刷を中止する際に、課金処理の対象となった印刷物を使用者が全て受けることが可能となり、無駄な印刷および課金処理の実行を防ぐことができる。
【0077】
[画像形成処理および課金処理の中止事前報知例]
次に、前述したようなネットワークシステム10で画像形成処理および課金処理を実行する場合における処理の中止事前報知例を説明する。
【0078】
前述したネットワークシステム10では、情報携帯端末2を所有した使用者が画像形成装置1から所定距離以上離隔する等、情報携帯端末2と画像形成装置1との間でのブルートゥース通信状態が解消されると、画像形成処理および課金処理が実行されなくなる。使用者によっては、そのような通信の仕組みを把握していない場合もあり、把握していても忘れてしまう場合もある。
【0079】
そこで、画像形成装置1での印刷中において、ブルートゥース通信状態が維持されなくなる手前の所定の電波強度となっているか否かを画像形成装置1のコントローラ16が監視し、当該所定の電波強度となったときに、コントローラ16が、画像形成装置1のブルートゥース通信部132から、ブルートゥース通信状態にある情報携帯端末2のブルートゥース通信部212に、印刷がされなくなることを報知するためのデータを送信する制御を行なう。このようなデータを受信した情報携帯端末2では、コントローラ24が、たとえば「これ以上本機から離れると印刷が中止します」というような通知文を示す文字画像を表示する中止事前報知表示を、表示部222において実行させる制御を行なう。
【0080】
このような中止事前報知表示が実行されると、ネットワークシステム10で印刷を実行するときの通信の仕組みを把握していない使用者、および、そのような仕組みをうっかり忘れた使用者等が、情報携帯端末2を持って必要以上に画像形成装置1から離隔して意図しない印刷中止状態(たとえば、使用者が画像形成装置1から離隔後、戻ってきたときに、予定していた印刷の実行ができていない状態)が発生することを未然に防ぐことができる。
【0081】
[ブルートゥース通信状態の再開時制御例]
次に、前述したようなネットワークシステム10で画像形成処理および課金処理を実行する場合におけるブルートゥース通信状態が、印刷中において一旦解消した後、所定期間内に再開されたときに実行する再開時制御例を説明する。
【0082】
前述したネットワークシステム10では、情報携帯端末2を所有した使用者が画像形成装置1から所定距離以上離隔する等、情報携帯端末2と画像形成装置1との間でのブルートゥース通信状態が解消されると、画像形成処理および課金処理が実行されなくなる。画像形成装置1での印刷中においては、情報携帯端末2を持った使用者が、何らかの事情で離隔した場合、または、特に事情はないがうっかり離隔した場合において、使用者が意図していないような印刷中止状態となる場合が生じ得る。
【0083】
そこで、画像形成装置1での印刷中において、画像形成装置1のコントローラ16は、ブルートゥース通信状態が解消されたときに、画像形成処理および課金処理を一旦中断するが、タイマ等の計時手段により、ブルートゥース通信状態が解消されてからの時間を計時する。そして、コントローラ16は、その計時中において、ブルートゥース通信状態が解消されたときから所定時間内に、ブルートゥース通信状態が再開された場合には、中断していた画像形成処理を再開して継続させるとともに、課金処理を再開して継続させることにより、中断していた印刷を再開して継続させる制御を行なう。
【0084】
このようなブルートゥース通信状態の再開時制御が実行されると、ネットワークシステム10で印刷を実行するときに、情報携帯端末2を持った使用者が何らかの事情により画像形成装置1から短時間離隔したときの救済措置として、画像形成処理および課金処理が再開されて継続されるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0085】
なお、ブルートゥース通信状態が解消されたときに、画像形成装置1のブルートゥース通信部132から、ブルートゥース通信状態にある情報携帯端末2のブルートゥース通信部212に、離隔によって印刷が中断されたことを表示する通知をするためのデータを送信して、情報携帯端末2の表示部222でそのような通知をする制御を実行し、そのような通知を受けて短時間で画像形成装置1付近に戻ることによりブルートゥース通信状態が再開するような制御を行なうようにしてもよい。その場合には、そのような通知を受けて短時間でブルートゥース通信状態を再開させた使用者に対して、画像形成処理および課金処理の継続という使用者の利便性の面で救済措置を実行することができる。
【0086】
[通信対象の情報携帯端末確認制御例]
次に、カードエミュレーション機能に基づくカード情報を取得した携帯情報端末と、ブルートゥース通信をする携帯情報端末とが同一の携帯情報端末であることを確認するための通信対象情報携帯端末確認制御例を説明する。
【0087】
通信対象情報携帯端末確認制御は、次のような通信手順にしたがって、画像形成装置1と、携帯情報端末2との間で、セキュリティ確認用のデータとして用いるキー情報を(鍵情報)相互交換することにより、実行される。
【0088】
まず、携帯情報端末2のカードエミュレーション機能により得られたカード情報を、NFC通信により画像形成装置1に渡す情報通信の開始時において、画像形成装置1のコントローラ16が、キー情報を生成する処理を行ない、生成したキー情報を記憶部15に記憶する。キー情報は、生成するタイミングごとに異なる情報となるように生成される。そして、そのように画像形成装置1で生成されたキー情報を、NFC通信により画像形成装置1から携帯情報端末2に送信する情報通信を実行する。携帯情報端末2では、そのような情報通信より受信したキー情報を記憶部23に記憶する。その後、携帯情報端末2と画像形成装置1との間のブルートゥース通信による情報通信の開始時において、携帯情報端末2が、NFC通信時に受信して記憶したキー情報を、ブルートゥース通信により携帯情報端末2から画像形成装置1に送信する情報通信を実行する。
【0089】
画像形成装置1では、そのような情報通信より受信したキー情報を、NFC通信開始時に記憶しておいたキー情報と比較することにより、カードエミュレーション機能に基づくカード情報を取得した携帯情報端末と、ブルートゥース通信をする携帯情報端末とが同一の携帯情報端末であることを確認する。具体的に、比較したキー情報が一致するときに、画像形成装置1では、カードエミュレーション機能に基づくカード情報を取得した携帯情報端末と、ブルートゥース通信をする携帯情報端末とが同一の携帯情報端末であると判断し、通信を継続して前述のような画像形成処理および課金処理を実行する。一方、比較したキー情報が異なるときに、画像形成装置1では、カードエミュレーション機能に基づくカード情報を取得した携帯情報端末と、ブルートゥース通信をする携帯情報端末とが同一の携帯情報端末ではないと判断し、通信を切断して前述のような画像形成処理および課金処理を実行しない。
【0090】
このような通信対象情報携帯端末確認制御を実行することにより、前述したネットワークシステム10において、画像形成装置1が、カードエミュレーション機能に基づくカード情報を取得した携帯情報端末と、ブルートゥース通信をする携帯情報端末とが同一の携帯情報端末であることを確認できることにより、なりすまし等による不正なブルートゥース通信に基づく、不正な画像形成処理および課金処理の実行を防ぐことができる。
【0091】
[その他の構成例]
前述した画像形成装置1としては、MFPを一例として説明したが、これに限らず、コピー機、プリンタ、ファクシミリ等のその他の画像形成装置であってもよい。
【0092】
前述した画像形成処理および課金処理を実行する条件となる第2の通信方式としては、画像形成装置1としては、ブルートゥース通信を一例として説明したが、NFC通信のような第1の通信方式と異なる通信方式であれば、ブルートゥース通信以外の通信方式を用いてもよく、たとえば、Wi-Fi通信、および、ZigBee通信等のその他の近距離通信方式を用いてもよい。
【0093】
前述した携帯情報端末2から画像形成装置1にカード情報を送信する第1の通信方式は、非接触式の通信手段と、接触式の通信手段とのどちらを用いてもよい。
【0094】
前述した携帯情報端末2としては、スマートフォン等の汎用の携帯情報端末を一例として説明したが、画像形成装置1等の特定の装置を動作させるときにのみに用いる専用の携帯情報端末を用いてもよい。
【0095】
前述した携帯情報端末2のカードエミュレーション機能によりカードエミュレーションされ、課金処理の対象となるカードは、電子マネーによる決済が可能なカードを一例として説明したが、これに限らず、クレジットカード等のその他の方式のカード決済が可能なカードを用いてもよく、電子マネーによる決済と、その他の方式の決済との両方をすることが可能なカードを用いてもよい。
【0096】
前述したネットワークシステム10は、前述したような各種通信、画像形成処理、および、課金処理を実行する情報処理プログラムを組込んだ新たな画像形成装置1、携帯情報端末2、および、課金サーバ3を製造することにより実現されてもよい。また、前述したネットワークシステム10は、前述したような各種通信、画像形成処理、および、課金処理を実行する情報処理プログラムを、既存の画像形成装置1、携帯情報端末2、および、課金サーバ3のそれぞれにインストールすることにより実現されてもよい。
【0097】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0098】
10 ネットワークシステム、1 画像形成装置、2 携帯情報端末、131,211 NFC通信部、132,212 ブルートゥース通信部、213 カードエミュレーション部、133 カードリーダ部、3 課金サーバ。
図1
図2
図3