(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/49 20180101AFI20220329BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20220329BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20220329BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20220329BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20220329BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20220329BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220329BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/46
F24F11/54
F24F11/58
F24F11/62
F24F11/88
F24F11/89
(21)【出願番号】P 2017185454
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】北島 真枝
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255900(JP,A)
【文献】特開2006-343063(JP,A)
【文献】国際公開第2012/123989(WO,A1)
【文献】特開2013-083437(JP,A)
【文献】特開2003-166740(JP,A)
【文献】特開平09-170841(JP,A)
【文献】特開2016-158315(JP,A)
【文献】特開平08-271017(JP,A)
【文献】特開2007-271112(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119150(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0253026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/49
F24F 11/46
F24F 11/54
F24F 11/58
F24F 11/62
F24F 11/88
F24F 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被空気調和領域に
、第1室外機と接続された複数の室内機で構成される第1室内機群と、第2室外機と接続された複数の室内機で構成される第2室内機群とを、一方の群の室内機と他方の群の室内機が隣接するように配置し、
各室内機の故障予兆を検出する故障予兆検出部と、
前記故障予兆検出部で故障予兆が検出された室内機の運転負荷を抑制し、この運転負荷の抑制分を他の室内機が補う協調制御を行う協調制御部とを備え、
前記故障予兆検出部で故障予兆が検出された場合に、前記協調制御部は、故障予兆が検出された当該室内機に対して運転負荷を抑制した状態で運転する運転負荷抑制指令を送信する空気調和装置
において、
前記第1室内機群及び前記第2室内機群の何れか一方の群の室内機が運転負荷を抑制される状態となったときに、運転負荷の抑制分を他方の群の室内機で補うようにしたことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記協調制御部は、前記複数の室内機とネットワークを介して接続されている請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記故障予兆検出部は、前記複数の室内機とネットワークを介して接続され、前記ネットワークを介して、各室内機に備えられた状態検出センサのセンサ情報を収集する情報収集部と、故障予兆を判定する際に基準となる基準センサ情報を記憶する基準センサ情報記憶部を備えた情報記憶部と、該情報記憶部に記憶された基準センサ情報と新たに収集されたセンサ情報とを比較して故障予兆を判定する故障予兆判定部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記故障予兆検出部は、各室内機内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記協調制御部は、前記協調制御を、故障予兆が検出された空気調和機数が閾値を超えるまで継続し、故障予兆が検出された空気調和機数が前記閾値を越えたときに、修理点検を促す報知を行うことを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障の予兆を検出可能な空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置は室内に配置される室内機と室外に配置される室外機とを有する。
【0003】
室内機は、空気を吹き出す送風ファンを駆動するモータ、風向きを調整する風向板を回動させるモータや、各モータを駆動するモータ駆動回路、冷媒との熱交換を行う熱交換機等の多くの部品が搭載されている。同様に、室外機もモータや熱交換機等の多くの部品を搭載している。これらの部品は、空気調和機の使用に伴って経年劣化により品質や性能が低下する。品質や性能が低下した部品をそのままの使用条件で継続使用すると部品の寿命が短くなる傾向にある。
【0004】
従来、複数の室外ユニットのうち、故障した室外ユニットが運転の継続が可能な軽微な故障であるか否かを判定し、軽微な故障時には運転を継続させ、故障した室外ユニットの故障状態を報知するようにした空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、各種センサが故障した場合により正常に近い状態で運転できるように、安定運転時の各検出値に基づいて、各検出値の異常を判別し、異常と判別された検出値と同一種類の各検出値の平均値を推定値として故障したセンサの検出値と置き換えて機器の運転を行う空気調和機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、冷凍サイクル装置全体の状態量に基づいて故障の予兆を早期に検出可能な冷凍サイクル装置の故障診断装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、経年劣化等によりパネル展開機構部分の負荷が増大し、パネル開閉機構が動作しにくい状態となった場合、パネル開閉機構の動作が完了するまで駆動源から伝達される駆動力を増大させるように制御する空気調和機の室内機も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-178122号公報
【文献】特開平9-152175号公報
【文献】特開2008-249234号公報
【文献】特開2005-214562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~4に記載されている先行技術では、故障した部品が存在する場合でも、故障の度合いが軽微で空調継続運転が可能な軽微な故障や安全な空調運転に支障のない部品の故障等、空調運転が可能な故障であれば、システム全体の運転は、そのまま継続させ、室内環境を維持することができる。
【0010】
しかしながら、空気調和機の運転を継続することにより、個々の部品において軽微な故障から修理点検が必要な故障への進行が早まるおそれがあり、部品毎に異なるタイミングで故障が発生し、結果的に空気調和機全体の修理点検頻度が増加してしまう可能性があるという課題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上述した先行技術の課題に着目してなされたものであり、室内環境を維持しながら故障予兆のある室内機の故障予兆状態から故障状態への状態の進行を抑制して、修理点検の頻度を低下させることができる空気調和装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、被空気調和領域に、第1室外機と接続された複数の室内機で構成される第1室内機群と、第2室外機と接続された複数の室内機で構成される第2室内機群とを、一方の群の室内機と他方の群の室内機が隣接するように配置し、各室内機の故障予兆を検出する故障予兆検出部と、故障予兆検出部で故障予兆が検出された室内機の運転負荷を抑制し、この運転負荷の抑制分を他の室内機が補う協調制御を行う協調制御部とを備え、故障予兆検出部で故障予兆が検出された場合に、協調制御部は、故障予兆が検出された当該室内機に対して運転負荷を抑制した状態で運転する運転負荷抑制指令を送信する空気調和装置において、第1室内機群及び第2室内機群の何れか一方の群の室内機が運転負荷を抑制される状態となったときに、運転負荷の抑制分を他方の群の室内機で補うようにした空気調和装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、被空気調和領域に配置された複数の室内機の少なくとも1台に故障予兆が検出されたときに、該当する室内機の運転負荷を抑制し、この運転負荷の抑制分を他の室内機で補うように制御する。このため、ユーザーの必要とする室内環境を維持しながら故障予兆状態から故障状態への状態の進行を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る空気調和装置の全体構成を示す配置図である。
【
図3】室内機の室内機制御部で実行する連携制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】管理装置で実行する管理処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】管理装置で実行するサポート運転処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な構成部品については以下の説明を参酌して判断すべきものである。
【0016】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る空気調和装置について説明する。
【0018】
図1に示すように、空気調和装置1は、例えばビル用マルチエアコンである。この空気調和装置1は、複数例えば2組の第1室外機10及び第2室外機11と、第1室外機10に個別に接続された複数例えば6台の室内機10a~10fで構成される第1室内機群G1と、室外機11に個別に接続された複数例えば6台の室内機11a~11f(
図1でハッチング表示されている)で構成される第2室内機群G2とを備えている。
【0019】
第1室外機10及び第2室外機11は例えばビルの屋上に配置されている。第1室内機群G1の各室内機10a~10f及び第2室内機群G2の室内機11a~11fは、例えば1つのフロアに仕切り壁12で仕切られた2つの被空気調和領域13A及び13Bの天井に配置されている。
【0020】
被空気調和領域13Aには、
図1に示すように、第1室内機群G1の室内機10a~10cと第2室内機群G2の室内機11a~11cとが3台1列で2列分計6台が互いに千鳥状に配列され、第1室内機群G1の室内機には第2室内機群G2の室内機が隣接するように配置されている。
【0021】
同様に、被空気調和領域13Bには、室内機10d~10fと室内機11d~11fとが3台1列で2列分計6台が互いに千鳥状に配列され、第1室内機群G1の室内機には第2室内機群G2の室内機が隣接するように配置されている。
【0022】
なお、第1室外機10と第1室内機群G1の室内機10a~10fとは一対のガス(高圧側)管と液(低圧側)管とで接続される。
図1では、ガス管と液管とを簡略化して1本の線で表される冷媒配管15aとして図示している。また、第2室外機11と第2室内機群G2の室内機11a~11fも同様に、一対のガス管と液管とで接続され、
図1ではこれらガス管と液管を簡略化して冷媒配管15bとして図示する。
【0023】
また、
図2に示すように、第1室外機10及び第2室外機11と、各室内機10a~10f及び11a~11fは、ネットワーク16を介して例えばクラウドサーバである管理装置30に接続されており、相互にデータ通信を行うことが可能とされている。第1室外機10及び第2室外機11と、各室内機10a~10f及び11a~11fには、個別の識別情報が割り当てられている。
【0024】
各室内機10a~10f及び11a~11fは、温度センサ21、湿度センサ22、空気調和機の状態を検出する状態検出センサ23、通信部24、モータ駆動部25、風向板駆動部26及びこれらを制御する室内機制御部27、室内ファンモータ28、風向板29を備えている。
【0025】
温度センサ21は、各室内機の室内温度を検出する。湿度センサ22は、各室内機の室内湿度を検出する。
【0026】
状態検出センサ23は、室内機に搭載された各種部品の状態を検出するものであり、冷媒センサ、電流センサ、音センサ、振動センサ、電気部品温度センサ等のうち1つのセンサ又は複数のセンサで構成されている。
【0027】
ここで、冷媒センサは、冷媒の微量な漏洩を検知する。電流センサは、交流電流を直流電流に変換したときのリップル電流を検出して平滑用の電解コンデンサの劣化を検出する第1電流センサと、モータ駆動部のモータ電流を検出してフィルタの目詰まり等による吸込負荷の上昇を検出する第2電流センサとを有する。
【0028】
音センサは、モータを構成する軸受の劣化による異常音を検出し、振動センサは異常振動を検出する。電気部品温度センサは、モータ駆動部25、風向板駆動部26及び室内機制御部27等に設けられたに半導体素子や電気部品の温度を検出し、電気部品の劣化を検出する。
状態検出センサ23を構成する各センサで検出される検出値が各部品の状態を表す状態量となる。
【0029】
通信部24は、ネットワーク16を介して管理装置30との間でデータ通信を行う。
【0030】
モータ駆動部25は、室内ファンモータ28を駆動制御する。風向板駆動部26は、風向板29の角度を制御する。
【0031】
室内機制御部27は、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を含んで構成されている。この室内機制御部27は、室内温度を設定された目標温度に近づける空気調和制御処理を実行するとともに、管理装置30との間で通信を行い
図3に示す連携制御処理を実行する。
【0032】
連携制御処理は、
図3に示すように、先ず、ステップS1で、室内機制御部27が管理装置30から自己宛のセンサ情報送信要求を受信したか否かを判定し、センサ情報送信要求を受信したときにはステップS2に移行する。
【0033】
このステップS2では、室内機制御部27が温度センサ21、湿度センサ22及び状態検出センサ23の各センサ情報を取得して自己の識別情報とともに管理装置30へ送信してからステップ1に戻る。
【0034】
一方、室内機制御部27は、ステップS1の判定結果がセンサ情報送信要求を受信していないときにはステップS3に移行する。
【0035】
このステップS3では、室内機制御部27が管理装置30から自己宛の環境情報送信要求を受信したか否かを判定し、環境情報送信要求を受信したときには、ステップS4に移行して、温度センサ21及び湿度センサ22で検出した室内機の周囲の温度及び湿度を環境情報として識別情報とともに管理装置30へ送信してからステップS1に戻る。
【0036】
一方、室内機制御部27は、ステップS3の判定結果が環境情報送信要求を受信していないときにはステップS5に移行する。
【0037】
このステップS5では、室内機制御部27が管理装置30から自己宛の運転負荷抑制指令を受信したか否かを判定する。この判定結果が、運転負荷抑制指令を受信したときにはステップS6に移行して、運転負荷抑制指令に応じた運転負荷を抑制するようにして、モータ駆動部25や風向板駆動部26の電流制限処理を行って検出された故障予兆部の故障予兆状態から故障状態への状態の進行を遅らせてからステップS1に戻る。
【0038】
また、室内機制御部27は、ステップS5の判定結果が、運転負荷抑制指令を受信していないときにはステップS7に移行する。
【0039】
ステップS7では、室内機制御部27が管理装置30から自己宛の高負荷運転指令を受信したか否かを判定し、高負荷運転指令を受信したときには、ステップS6に移行して、隣接する室内機10i(i=a~f)又は11j(j=a~f)が運転負荷の抑制状態となったものと判断して、その運転負荷の抑制分を補うように高負荷運転を実施してからステップS1に戻る。
【0040】
一方、管理装置30は、室内機10a~10f及び11a~11fの設置時に、被空気調和領域13Aに設置された室内機10a~10c及び11a~11cを第1グループGP1としてグループ化するとともに、被空気調和領域13Bに設置された室内機10d~10f及び11d~11fを第2グループGP2としてグループ化する。
この管理装置30は、
図1に示すように、故障予兆検出部31と、協調制御部32と、情報記憶部33とを備えている。
【0041】
故障予兆検出部31は、各室内機10a~10f及び11a~11fの故障予兆を個別に検出するものであり、情報収集部31aと、故障予兆判定部31bとを備えている。
【0042】
情報収集部31aは、各室内機10a~10f及び11a~11fに対して、定期的に、個別にセンサ情報送信要求を送信して、温度センサ21、湿度センサ22及び状態検出センサ23で検出したセンサ情報を収集し、収集したセンサ情報を情報記憶部33に識別情報毎に区画された情報格納領域に格納する。
【0043】
また、各室内機10a~10f及び11a~11fが故障予兆の無い正常時における冷房時及び暖房時のセンサ情報が基準センサ情報として予め情報記憶部33の基準センサ情報記憶部に記憶されている。この基準センサ情報は、実験値を使用したり、シミュレーションによる計算値を使用したりすることができる。
【0044】
あるいは、空気調和装置1を設置して室内機の試運転を終了した段階で収集した各室内機10a~10f及び11a~11fにおける運転初期のセンサ情報を基準センサ情報としてもよい。この場合、基準センサ情報としては、冷房運転時と暖房運転時とでセンサ情報が異なるので、冷房運転時と暖房運転時との双方の基準センサ情報を収集して記憶する。
【0045】
故障予兆判定部31bは、情報収集部31aで定期的に収集した各室内機10a~10f及び11a~11fの通常収集時センサ情報と情報記憶部33に記憶されている基準センサ情報とを比較し、通常収集時センサ情報が基準センサ情報に対して予め設定した許容範囲内であるか否かを判定する。通常収集時センサ情報が基準センサ情報の許容範囲内であるときには故障予兆がなく正常状態と判断し、通常収集時センサ情報が基準センサ情報の許容範囲外となったときに、故障予兆があるものと判断する。
【0046】
この故障予兆判定は、状態検出センサ23で検出されるセンサ情報全てについて実行され、何れか一つのセンサ情報で故障予兆があると判断したときに、故障予兆がある室内機として識別情報を情報記憶部33の故障予兆出現室内機記憶領域に格納する。
【0047】
協調制御部32は、故障予兆判定部31bで故障予兆ありと判定された室内機10i(i=a~f)又は11j(j=a~f)に対して、運転負荷抑制指令を送信するとともに、故障予兆ありと判定された室内機10i又は11jに隣接する室内機に対して、高負荷運転指令を出力する。
【0048】
ここで、運転負荷抑制指令は、例えば、故障予兆ありと判定された室内機10i又は11jの室内機制御部27で算出される通常負荷の例えば75%程度で運転するかあるいは通常負荷の上限値を最大負荷の75%に制限して運転する低負荷運転状態に設定する。これらの制限値は、一例であって75%に限定されるものではなく、故障予兆状態から故障状態への状態の進行を抑制できれば、任意の値に設定することができる。
【0049】
高負荷運転指令は、故障予兆有りと判定された室内機10i又は11jに隣接する室内機に対して、自己の温度センサ21及び湿度センサ22が取得した温度及び湿度が目標値となるような運転(通常負荷運転)よりも高負荷な運転(高負荷運転)を指示する。具体的には、管理装置30が故障予兆ありと判定された室内機10i又は11jの温度センサ21及び湿度センサ22のセンサ情報を取得し、この温度及び湿度が目標値となるように、故障予兆有りと判定された室内機10i又は11jに隣接する室内機に対して、高負荷運転を指示する。
【0050】
管理装置30は、設定した第1グループGP1及び第2グループGP2毎に、各室内機の運転時に、
図4に示す管理処理を実行する。この管理処理は、所定時間毎にメインプログラムに対するタイマ割込処理として実行される。第1グループGP1と第2グループGP2とで同一の処理を実行するので、第1グループGP1について説明する。
【0051】
先ず、ステップS11で、第1グループGP1内の各室内機10a~10c及び11a~11cにセンサ情報送信要求を送信して運転時センサ情報を収集して情報記憶部33に識別情報毎に記憶し、次いでステップS12に移行して、第1グループGP1内に故障予兆がある室内機が存在するか否かを判定する。
【0052】
この判定は、各室内機10a~10c及び11a~11c毎に、収集した運転時センサ情報が基準センサ情報の許容範囲内であるか否かを判断することにより行い、運転時センサ情報が基準センサ情報の許容範囲内であるときには故障予兆がないものと判断し、運転時センサ情報が基準センサ情報の許容範囲外であるときに故障予兆があるものと判断する。
【0053】
そして、ステップS12の判定結果が第1グループGP1内に故障予兆のある室内機が存在しない場合には、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、第1グループGP1内に故障予兆のある故障予兆有り室内機が存在する場合にはステップS13に移行する。
【0054】
このステップS13では個々の故障予兆有り室内機に隣接する故障無し室内機のうちから故障予兆有り室内機の空気調和領域の室内環境をサポート可能な1台をサポート運転室内機として選択してからステップS14に移行する。このステップS14では、故障予兆有り室内機及び選択したサポート運転室内機に対する
図5について後述するサポート運転処理を起動してからステップS15に移行する。なお、本実施例ではサポート運転室内機を、故障無し室内機のうちから1台選択するとしたが、複数台を選択するようにしてもよい。
【0055】
このステップS15では、故障予兆有り室内機の台数が予め設定した閾値以上であるか否かを判定し、故障予兆有り室内機の台数が閾値未満であるときにはタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、故障予兆有り室内機の台数が閾値以上であるときにはステップS16に移行して、故障予兆有り室内機に対して修理・点検を促す警報を警報報知部ARから報知してからタイマ割込処理を終了してメインプログラムに復帰する。
【0056】
ここで、
図4の管理処理におけるステップS11の処理を情報収集部31aが実行し、ステップS12の処理を故障予兆判定部31bが実行し、ステップS13~S16の処理を協調制御部32が実行する。
【0057】
また、ステップS14で起動されるサポート運転処理は、
図5に示すように、先ず、ステップS21で、故障予兆有り室内機と前述した管理処理のステップS13で選択されたサポート運転室内機とを関連付けするペアリングを行ってからステップS22に移行する。
【0058】
このステップS22では、故障予兆有り室内機に故障予兆状態から故障状態への状態の進行を遅らせるために運転負荷を抑制した状態で運転する運転負荷抑制指令を送信してからステップS23へ移行する。
【0059】
このステップS23では、故障予兆有り室内機に対して温度センサ21で検出した温度及び湿度センサ22で検出した湿度を室内環境情報として送信するように室内環境情報送信要求を送信してからステップS24に移行する。
【0060】
このステップS24では、故障予兆有り室内機から室内環境情報を受信したか否かを判定し、室内環境情報を受信していないときには受信するまで待機し、室内環境情報を受信したときにはステップS25に移行する。
【0061】
このステップS25では、受信した室内環境情報と目標値とを比較し、比較結果が故障予兆有り室内機が運転負荷を抑制されることによる運転負荷の抑制分をサポート運転室内機で補うサポート運転が必要であるか否かを判定する。この判定結果が、サポート運転の必要がないときにはステップS23に戻り、サポート運転の必要があるときには、ステップS27に移行する。
【0062】
このステップS27では、サポート運転室内機に対して故障予兆有り室内機の負荷抑制分を補う高負荷運転指令を送信してからステップS28に移行する。
このステップS28では、サポート運転を開始したサポート運転室内機から運転停止情報を受信したか否かを判定する。この判定結果が、サポート運転室内機の運転停止情報を受信しているとき、すなわちサポート運転室内機が運転停止したときにはステップS29に移行する。
【0063】
このステップS29では、運転停止したサポート運転室内機のサポート対象となる故障予兆有り室内機に隣接してサポート運転可能な代替サポート運転室内機が存在するか否かを判定する。この判定結果が、代替サポート運転室内機が存在する場合には、ステップS21に戻り、代替サポート運転室内機が存在しない場合にはステップS30に移行する。
このステップS30では、故障予兆有り室内機30に対して通常負荷運転指令を送信し、次いでステップS31に移行してサポート運転室内機が存在しない旨の警報を出力してから運転サポート処理を終了する。
【0064】
また、ステップS28の判定結果が、サポート運転室内機から運転停止情報を受信していないときにはステップS32に移行して、サポート対象である故障予兆有り室内機から運転停止情報を受信したか否かを判定する。
【0065】
この判定結果が、故障予兆有り室内機から運転停止情報を受信したときには、サポート対象が存在しなくなったものと判断してステップS33に移行し、サポート運転室内機に通常負荷運転指令を送信してからステップS34に移行する。
【0066】
このステップS34では、運転停止した故障予兆有り室内機から運転開始情報を受信したか否かを判定し、故障予兆有り室内機から運転開始情報を受信したときにはステップS22に戻り、故障予兆有り室内機から運転開始情報を受信していないときにはステップS23に戻る。
【0067】
また、ステップS32の判定結果が、サポート対象となる故障予兆有り室内機から運転停止情報を受信していないときには、ステップS35に移行して、故障予兆有り室内機が運転停止中であるか否かを判定する。この判定結果が、故障予兆有り室内機が運転停止中であるときにはステップS34に移行し、故障予兆有り室内機が運転中であるときにはステップS36に移行する。
【0068】
このステップS36では、故障予兆有り室内機に対して室内環境情報の送信を要求する室内環境情報送信要求を送信し、次いでステップS37に移行して、故障予兆有り室内機から室内環境情報を受信したか否かを判定し、室内環境情報を受信していないときには受信するまで待機し、室内環境情報を受信したときにはステップS38に移行する。
【0069】
このステップS38では、受信した故障予兆有り室内機の室内環境情報と目標値との偏差を算出し、次いでステップS39に移行して、算出した偏差が許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲外であるときにはステップS28へ戻り、許容範囲内であるときにはステップS40に移行する。
【0070】
このステップS40では、サポート運転室内機に対して、室内環境情報と目標値との偏差を許容範囲内に維持可能な程度に熱交換量を抑制した高負荷運転状態を継続させる高負荷運転継続指令を送信してからステップS28へ戻る。この場合、高負荷運転継続指令は、サポート運転室内機の熱交換量を、室内環境情報と目標値と偏差を許容範囲内に維持することが可能な程度に高負荷運転指令より低めに抑制した値に調整する。熱交換量は、例えば、サポート運転室内機の送風ファンの回転数を高負荷運転指令より低下させたり、サポート運転室内機の熱交換器に流れる冷媒量を高負荷運転指令より低下させたりすることで調整できる。
【0071】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
【0072】
各室内機10a~10c及び11a~11cが運転状態となると、各室内機10a~10c及び11a~11cで
図3に示す連携制御処理が実行開始される。これと同時に、管理装置30で
図4に示す管理処理が実行開始される。
【0073】
このため、管理装置30では、各室内機10a~10c及び11a~11cに対して、温度センサ21で検出した温度、湿度センサ22で検出した湿度及び状態検出センサ23で検出した故障予兆情報で構成されるセンサ情報の送信要求を送信して、センサ情報を収集する(ステップS11)。収集したセンサ情報は識別情報毎に情報記憶部33に記憶される。
【0074】
そして、各室内機10a~10c及び11a~11c毎に、収集されたセンサ情報に基づいて故障予兆の有無を判定する。この故障予兆の有無は、例えば、状態検出センサ23を構成する各種センサの検出値と、情報記憶部33に予め記憶した基準センサ情報すなわち各種センサの正常値との偏差を算出し、算出した偏差が許容範囲内であるときには故障予兆が無いと判断し、許容範囲外であるときには故障予兆が有ると判断する。
【0075】
例えば、前述したように、冷媒センサで冷媒の微小な漏洩を検出したときには、空気調和機としての寿命の短縮が懸念される。
【0076】
また、電流センサで、リップル電流の増加を検出したときには、整流回路の出力側に接続した電解コンデンサの劣化が懸念されるとともに、モータ電流の増加を検出したときにはフィルタの目詰まり等による吸込負荷の上昇が懸念される。
【0077】
また、音センサで異常音を検出したり、振動センサで異常振動を検出したりしたときには、モータやファン等の回転部における軸受などの摩耗や電食による劣化が懸念される。
【0078】
さらに、電気部品温度センサで異常温度を検出したときに、モータ駆動回路を構成するICの劣化が懸念される。
【0079】
これら状態検出センサ23の検出値を正常値と比較することにより、各部品の故障予兆を検出することができ、検出値と正常値との偏差が許容範囲外となると、故障予兆有りと判断される。
【0080】
したがって、故障予兆有り室内機が存在しない場合には、そのまま管理処理を終了し、故障予兆有り室内機が存在する場合には、故障予兆有り室内機に隣接する故障予兆無し室内機のうち故障予兆有り室内機の空気調和領域の室内環境をサポート可能な故障予兆無し室内機をサポート運転室内機として選択し(ステップS13)、次いでサポート運転処理を起動する(ステップS14)。
【0081】
このサポート運転処理では、故障予兆有り室内機と選択されたサポート運転室内機とをペアリングし(ステップS21)、故障予兆有り室内機に対して運転負荷抑制指令を送信する(ステップS22)。この運転負荷抑制指令を受信した故障予兆有り室内機は、運転負荷を通常負荷の例えば75%に制限するか、上限負荷を通常負荷の例えば75%に抑制する運転を行うことで、故障予兆状態から故障状態への状態の進行を遅れさせる。
【0082】
この故障予兆有り室内機が運転負荷を抑制される状態となると、故障予兆有り室内機に対して室内環境情報送信要求を送信し(ステップS23)、故障予兆有り室内機から室内環境情報を受信したときに(ステップS24)、受信した室内環境情報を目標値と比較してサポート運転が必要か否かを判定する(ステップS25,S26)。
【0083】
サポート運転が必要無い場合には、故障予兆有り室内機の室内環境情報の監視を継続し、サポート運転が必要となったときに、サポート運転室内機に対して故障予兆有り室内機が運転負荷を抑制されることによる運転負荷の抑制分を補うように通常負荷に比較して高い高負荷運転とする高負荷運転指令を送信する(ステップS27)。
【0084】
この高負荷運転指令を受信したサポート運転室内機は、自身の温度センサ21及び湿度センサ22の検出値に基づく通常負荷運転に対して負荷を例えば20%高めた高負荷運転を実施するサポート運転状態となる。
【0085】
そして、サポート運転室内機の高負荷運転が、サポート運転室内機及びサポート対象となる故障予兆有り室内機が運転を継続している間は、故障予兆有り室内機の温度センサ21及び湿度センサ22で検出される検出値と目標値との偏差が許容範囲内となるまで継続される。
【0086】
そして、検出値と目標値との偏差が許容範囲内となると(ステップS39)、サポート運転室内機に高負荷運転継続指令を送信して、サポート運転室内機の熱交換量を室内環境情報の検出値と目標値との偏差が許容範囲内を維持可能な程度に、高負荷運転指令よりは低めの熱交換量に設定して通常負荷運転状態よりは負荷が高い高負荷運転状態を継続する(ステップS40)。例えば、高負荷運転継続指令で設定するサポート運転室内機の熱交換量は、サポート運転室内機の送風ファンの回転数を低下させたり、サポート運転室内機の熱交換器に流れる冷媒量を低下させたりすることで調整することができる。
【0087】
この高負荷運転継続指令をサポート運転室内機に送信することで、サポート運転室内機で故障予兆有り室内機の周囲の室内環境を適正に維持することができる。このため、サポート運転室内機が高負荷運転継続指令によってサポート運転を行っている状態では室内環境情報と目標値との偏差が許容範囲内に維持される。
【0088】
次に、サポート対象となる故障予兆有り室内機に対してサポート運転室内機でサポート運転を行っている場合に、ユーザーが例えばリモートコントロール装置を使用して、故障予兆有り室内機の運転を停止させた場合について説明する。
【0089】
この場合には、故障予兆有り室内機から運転停止情報が管理装置30に送信される。このため、
図5の運転サポート処理において、故障予兆有り室内機からの運転停止情報を受信すると、サポート運転の必要性がないものと判断してサポート運転室内機に対して通常負荷運転指令を送信する。サポート運転室内機は、通常運転負荷指令を受信することにより、高負荷運転状態から通常負荷運転状態に復帰し、サポート運転を中断する。
【0090】
このサポート運転の中断状態では、サポート運転室内機が運転状態を継続している場合には、
図5のステップS28、ステップS32、ステップS35を経てステップS34に移行して、故障予兆有り室内機から運転開始情報を受信したか否かを判定し、運転開始情報を受信していないときにはステップS28に戻って、故障予兆有り室内機の運転開始を監視している。
【0091】
この監視状態で、故障予兆有り室内機がユーザーのリモートコントロール装置の操作によって運転開始されると、故障予兆有り室内機から運転開始情報が送信される。この運転開始情報を受信すると、ステップS34からステップS22に戻ることにより、サポート運転処理を再開する。
【0092】
さらに、サポート運転室内機でサポート運転を行っている状態で、ユーザーのリモートコントロール装置の操作によって、サポート運転室内機が運転停止されると、このサポート運転室内機から運転停止情報が管理装置30に送信される。
【0093】
このため、
図5のサポート運転処理において、サポート運転室内機から運転停止情報を受信すると(ステップS28)、サポート対象となる故障予兆有り室内機に隣接するサポート運転可能な代替サポート運転室内機が存在するか否かを判定する(ステップS29)。
【0094】
このとき、代替サポート運転室内機が存在する場合には、ステップS21に戻って、代替サポート運転室内機と故障予兆有り室内機とのペアリング処理を行って、前述した運転サポート処理を継続する。
【0095】
しかしながら、代替サポート運転室内機が存在しない場合には、故障予兆有り室内機のサポート運転を行うことができないので、故障予兆有り室内機に対して通常負荷運転指令を送信し(ステップS30)、故障予兆有り室内機を通常負荷運転状態とする。これにより、故障予兆有り室内機の周囲の室内環境を最適に維持する。この場合には、サポート運転室内機を存在しない旨の光、音、表示等による警報を出力することにより、管理者にサポート運転ができないことを報知する(ステップS31)。
【0096】
また、管理装置30では、第1グループGP1の他の故障予兆無し室内機に故障予兆が発生して故障予兆有り室内機となると、隣接する故障予兆無し室内機を選択してサポート運転を開始する。
【0097】
さらに、サポート運転中のサポート運転室内機が故障予兆有り室内機となった場合には、サポート対象となる故障予兆有り室内機に対して新たにサポート運転室内機を選択してサポート運転を継続するとともに、新たに故障予兆有り室内機となった室内機に対しても隣接する故障予兆無し室内機からサポート運転室内機を選択する。
【0098】
さらに、故障予兆有り室内機の台数が予め設定された閾値以上となると、警報を警報報知部ARから報知し、故障予兆有り室内機の修理・点検を促す(ステップS16)。
【0099】
このように、上記実施形態によると、複数の室内機のうち故障予兆が発生した故障予兆有り室内機に対して運転負荷を抑制する状態とすることで、故障予兆の有る空気調和機の故障予兆状態から故障状態への状態の進行を遅らせることができる。
【0100】
そして、故障予兆有り室内機が運転負荷を抑制される状態となることによるその周囲の室内環境情報が目標値から外れる状態となると、隣接するサポート運転室内機が高負荷運転状態となることにより、故障予兆有り室内機の負荷の抑制分を補って室内環境を目標値近傍に確保することができる。
【0101】
したがって、被空気調和領域13A及び13Bに配置された複数の室内機における状態悪化を遅らせることができ、室内機の寿命の延命を図ることができ、例えば、室内機に故障が発生する毎に修理を行う場合に比較して修理の頻度を低下させることが可能となる。したがって、修理・点検費用の削減を図ることができる。
【0102】
しかも、サポート運転室内機は、サポート対象となる故障予兆有り室内機の室内環境情報と目標値との偏差が許容範囲内に収まると、その後は、室内環境情報と目標値との偏差が許容範囲内を維持可能な程度に熱変換量を抑制した高負荷運転継続状態となる。このため、サポート運転室内機が、熱交換量が高い高負荷運転状態を過剰に継続することがなく、サポート運転室内機の負荷を軽減することができる。
【0103】
また、1台の室内機とこれに隣接する室内機とを異なる室外機に接続することにより、1台の室内機が故障予兆有り室内機となった場合に、この故障予兆有り室内機をサポートする隣接するサポート運転室内機が別系統の室外機に接続されている。
【0104】
このため、例えば冷媒の漏洩等が発生して故障予兆有り室内機となった室内機に対する室外機の冷媒圧力を低下させ、他方の室外機の冷媒圧力を増加させることが可能となる。したがって、故障予兆有り室内機が存在する状態となったときに室内機及び室外機を含めた全体の空気調和機装置を協調制御することにより、室内環境を維持しながら、故障予兆の有る空気調和機の故障予兆状態から故障状態への状態の進行を遅らせることができる。
【0105】
さらに、各室内機の故障予兆を管理装置30に設けた故障予兆検出部31で検出することにより、各室内機に故障予兆検出部31を個別に設ける必要がなく、管理装置30で故障予兆検出処理とサポート運転を行う協調制御処理を一括で管理することができ、各室内機の制御処理への負担を軽減することができる。
【0106】
なお、上記実施形態では、ビルの1フロアに2つの被空気調和領域13A及び13Bが配置されている場合ついて説明したが、これに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上の被空気調和領域が配置されている場合にも本発明を適用することができる。また、被空気調和領域に配置される室内機の台数についても任意に設定することができる。
【0107】
さらに、上記実施形態では、隣接する室内機を異なる室外機に接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、被空気調和領域毎に、複数の室内機を異なる室外機に接続するようにしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、管理装置30に故障予兆検出部31を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各室内機10a~10f及び11a~11fのそれぞれに故障予兆検出部を個別に設け、各故障予兆検出部で故障予兆有りを検出した場合に、管理装置30に通知して管理装置でサポート室内機の選択及びサポート運転処理を行うようにしてもよい。また、サポート室内機が選択された場合に、サポート室内機側で管理装置30を経由して故障予兆有り室内機の室内環境情報を取得してサポート処理を行うようにしてもよい。
【0109】
さらには、管理装置30を省略して、各室内機10a~10f及び11a~11fをネットワーク16で接続し、個々に情報通信を行うことにより、故障予兆有り室内機から隣接する故障予兆無し室内機に対してサポート運転処理を要請するようにしてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、故障予兆有り室内機が存在する場合に、隣接する1台の故障予兆無し室内機を選択してサポート運転を実施する場合について説明したが、故障予兆有り室内機に隣接してサポート運転可能な故障予兆無し室内機が複数存在する場合には、これら複数の故障予兆無し室内機で共同してサポート運転を行うようにしてもよい。この場合には、サポート運転室内機1台当たりの負荷増加分を減少させることができ、サポート運転による室内機の負担を軽減することができる。この場合、故障予兆有り室内機の台数の増加に応じてサポート運転する故障予兆無し室内機の台数を減少させるようにしてもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態では、状態検出センサ23のセンサ情報と基準センサ情報との偏差が許容範囲を超えると故障予兆有り室内機として運転の負荷を抑制する状態とする場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、状態検出センサ23のセンサ情報と基準センサ情報との偏差を判定する複数段階の許容範囲を設定し、故障予兆状態の進行度合いに応じて運転の負荷を抑制する状態の運転負荷の抑制分を増加させるようにしてもよい。同様に、サポート運転する故障予兆無し室内機についても高負荷状態を複数段階に設定して、サポート対象となる故障予兆有り室内機の故障予兆の進行度合いに応じて高負荷状態を変更するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、本発明をビル用マルチエアコンで構成される空気調和装置1に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、1つの室外機に対して複数の室内機が接続されたマルチエアコンや、室外機と室内機とが1対1に接続された空気調和機が1つの被空気調和領域に複数配置されている場合でも、各室内機を共通の管理装置で管理するか、又は個別に隣接する室内機同士で連携して管理することにより、協調制御を行うことができる。
【0113】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【符号の説明】
【0114】
1…空気調和装置、10…第1室外機、10a~10f…室内機、11…第2室外機、11a~11f…室内機、13A,13B…被空気調和領域、G1…第1室内機群、15…冷媒配管、16…ネットワーク、21…温度センサ、22…湿度センサ、23…状態検出センサ、24…通信部、25…モータ駆動部、27…室内機制御部、26…風向板駆動部、28…室内ファンモータ、29…風向板、AR…警報報知部、30…管理装置、31…故障予兆検出部、31a…情報収集部、31b…故障予兆判定部、32…協調制御部、33…情報記憶部