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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/08 20060101AFI20220329BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G03G21/08
G03G15/01 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017227514
(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2019095723
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198819(JP,A)
【文献】特開2006-251256(JP,A)
【文献】特開2016-126068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0183333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/08
G03G 21/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム状の像担持体及び前記像担持体の回転方向に順次配置された現像部、転写部、クリーニング部を有し、中間転写体の走行方向に沿って並設された3つの画像形成ユニットを備え、
前記3つの画像形成ユニットは、前記走行方向の下流側に設けられ前記中間転写体に黒色のトナー像を形成する第1画像形成ユニットと、前記第1画像形成ユニットよりも前記走行方向の上流側に設けられ前記中間転写体に有彩色のトナー像を形成する第2画像形成ユニットと、前記第1画像形成ユニットとの中間に前記第2画像形成ユニットが配置されるように設けられた第3画像形成ユニットと、を含み、
前記第1画像形成ユニットは、第1像担持体、第1現像部、及び第1転写部を含み、
前記第2画像形成ユニットは、第2像担持体、第2現像部、第2転写部、及び第2クリーニング部を含み、
前記第3画像形成ユニットは、第3像担持体、第3転写部及び第3クリーニング部を含み、
前記第1像担持体において前記第1現像部と前記第1転写部との間の第1照射位置、及び前記第2像担持体において前記第2転写部と前記第2クリーニング部との間の第2照射位置に向けて除電光を出射する第1除電部と、
前記第2像担持体において前記第2現像部と前記第2転写部との間の第3照射位置、及び前記第3像担持体において前記第3転写部と前記第3クリーニング部との間の第4照射位置に向けて除電光を出射する第2除電部と、
前記第1照射位置に照射される光の光量を、前記第3照射位置に照射される光の光量よりも少なく制限する光量制限部と、
を更に備え、
前記光量制限部は、前記第1除電部よりも前記走行方向の下流側に位置する前記第1画像形成ユニットの筐体に設けられ、前記筐体と前記中間転写体との間に介在しており、
前記光量制限部において前記第1除電部と対向する部分は、吸光性を有する色に着色されている画像形成装置。
【請求項2】
前記光量制限部は、前記中間転写体から離間しており、
前記光量制限部と前記中間転写体との間の隙間は、前記第2画像形成ユニット及び前記第3画像形成ユニットの筐体と前記中間転写体との間の隙間よりも狭い、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に光を照射して前記像担持体を除電する除電部を備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、帯電プロセスにより帯電された複数の感光体ドラムのそれぞれに、画像データに基づく変調光が照射される。これにより、前記複数の感光体ドラムの周面のそれぞれには静電潜像が形成される。次に、前記静電潜像のそれぞれが互いに異なる複数色のトナーで現像され、前記周面のそれぞれに対応する色のトナー像が形成される。ここで、前記複数色は、複数の有彩色と、黒とを含む。前記トナー像のそれぞれは、中間転写方式の場合、一次転写プロセスにより前記感光体ドラムから、予め定められた走行方向に走行する中間転写ベルト上に転写されて重畳される。
【0003】
前記画像形成装置では、前記周面には、下記の転写メモリー画像が発生するおそれがある。前記一次転写プロセス中、前記感光体ドラムには転写電流が流れる。前記転写電流の量は、前記周面上におけるトナーの付着部と非付着部との間で相違する。前記転写メモリー画像は、前記転写電流の相違により前記周面上に帯電ムラが生じることで発生する。
【0004】
前記感光体ドラムへの前記転写電流の流入を低コストで抑制するために、前記画像形成装置では、1つの除電器により転写前除電及び転写後除電が行われることがある(例えば、特許文献1を参照)。前記除電器は、前記転写前除電において、一次転写プロセス前に、前記複数の感光体ドラムの一つに光を照射する。これにより、前記周面から正電荷が除去され、前記帯電ムラが生じることが抑制される。
【0005】
前記除電器は、前記転写後除電において、前記転写前除電で光を照射する前記感光体ドラムに対して前記走行方向における隣の前記感光体ドラムに光を照射する。これにより、前記隣の感光体ドラムから前記正電荷が前記帯電プロセス前に除去される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-113901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記黒のトナー像は、前記有彩色のトナー像と比較すると、文字又は図形のように細い線状部分を含むことが多い。また、前記転写前除電における前記感光体ドラムへの照射光量が多すぎ、その結果、前記正電荷を除去しすぎてしまうと、前記感光体ドラム上のトナーが前記付着部から前記被付着部に移動することがある。このようなトナー移動が、前記黒のトナー像における細い線状部分で発生すると、前記線状部分が不鮮鋭になるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、転写メモリー画像の発生を抑制しつつ、黒のトナー像における線状部分が不鮮鋭になることを抑制可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、3つの画像形成ユニットを備える。前記3つの画像形成ユニットは、ドラム状の像担持体及び前記像担持体の回転方向に順次配置された現像部、転写部、クリーニング部を有する。また、前記3つの画像形成ユニットは、第1画像形成ユニットと、第2画像形成ユニットと、第3画像形成ユニットと、を含む。前記第1画像形成ユニットは、前記走行方向の下流側に設けられ前記中間転写体に黒色のトナー像を形成する。前記第2画像形成ユニットは、前記第1画像形成ユニットよりも前記前記走行方向の上流側に設けられ前記中間転写体に有彩色のトナー像を形成する。前記第3画像形成ユニットは、自身と前記第1画像形成ユニットとの中間に前記第2画像形成ユニットが配置されるように設けられている。前記第1画像形成ユニットは、第1像担持体、第1現像部、及び第1転写部を含む。前記第2画像形成ユニットは、第2像担持体、第2現像部、第2転写部、及び第2クリーニング部を含む。前記第3画像形成ユニットは、第3像担持体、第3転写部及び第3クリーニング部を含む。また、前記画像形成装置は、第1除電部と、第2除電部と、光量制限部と、を更に備える。前記第1除電部は、前記第1像担持体において前記第1現像部と前記第1転写部との間の第1照射位置、及び前記第2像担持体において前記第2転写部と前記第2クリーニング部との間の第2照射位置に向けて除電光を出射する。前記第2除電部は、前記第2像担持体において前記第2現像部と前記第2転写部との間の第3照射位置、及び前記第3像担持体において前記第3転写部と前記第3クリーニング部との間の第4照射位置に向けて除電光を出射する。光量制限部は、前記第1照射位置に照射される光の光量を、前記第3照射位置に照射される光の光量よりも少なく制限する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転写メモリー画像の発生を抑制しつつ、トナー像の線状部分が不鮮鋭になることを抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の各実施形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係るイエロー用及びシアン用の画像形成ユニットを示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係るマゼンタ用及び黒用の画像形成ユニットを示す模式図である。
図4図4は、図2及び図3に示される除電部の詳細な構成を示す模式図である。
図5図5は、図4に示される導光部材の内部を伝搬する光及び除電光の光路を示す模式図である。
図6図6は、図4に示される導光部材の前後方向に直交する導光部材の断面形状を示す模式図である。
図7図7は、第2実施形態に係るマゼンタ用及び黒用の画像形成ユニットを示す模式図である。
図8図8は、第2実施形態に係る屈折反射部の傾斜角度を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1において、画像形成装置10は、カラープリンターであって、パーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力される画像データに基づき、電子写真方式により、カラー画像又はモノクロ画像をシート上に形成する。また、画像形成装置10は、ファクシミリー、コピー機、及び複合機等でもよい。画像形成装置10は、図1に示すように、4つの画像形成ユニット1~4、中間転写体としての中間転写ベルト5、光走査装置6、二次転写ローラー7及び定着装置8等を備える。
【0014】
画像形成ユニット1~4は、所謂タンデム方式の画像形成部を構成する。ここで、中間転写ベルト5の下端は、画像形成装置10の左右方向に平行な走行方向D1に送られる。画像形成ユニット1~4は、中間転写ベルト5の下端の直下に走行方向D1に沿って並設されている。画像形成ユニット1、2,3,4は、イエロー用、シアン用、マゼンタ用及び黒用に設けられ、イエロー、シアン、マゼンタ及び黒のトナー像を中間転写ベルト5に形成する。なお、イエロー、マゼンタ、シアンは本発明における有彩色の一例である。画像形成ユニット1~4は、走行方向D1の上流側から下流側に向かって画像形成ユニット1、2、3、4の順番で配置されている。なお、画像形成ユニット4,3,2は、本発明における3つの画像形成ユニットの一例である。特に、画像形成ユニット4,3,2は、本発明における第1画像形成ユニット、第2画像形成ユニット及び第3画像形成ユニットの一例である。
【0015】
画像形成ユニット1,2(図2を参照)及び画像形成ユニット3,4(図3を参照)は、感光体ドラム11と、感光体ドラム11に対応して設けられた帯電部12、現像部13、除電部14、一次転写部15、及びクリーニング部16とを備える。なお、画像形成ユニット1~4は、後述の光量制限部17を除き同じ形状及び構成を有するので、以下では、画像形成ユニット1~4の構成を包括的に説明する。
【0016】
感光体ドラム11のそれぞれは、ドラム状の像担持体であって、中間転写ベルト5の直下において走行方向D1に沿って並設されている。また、感光体ドラム11のそれぞれは、画像形成装置10の前後方向において予め定められた長さを有し、自身の上端において中間転写ベルト5の下端面と接触する。また、感光体ドラム11は、矢印D2で示される方向(以下、回転方向という)D2に回転する。感光体ドラム11の周囲には、回転方向D2に沿って帯電部12、現像部13、除電部14、一次転写部15及びクリーニング部16が順次配置されている。なお、黒用、シアン用及びマゼンタ用の感光体ドラム11は、本発明における第1像担持体、第2像担持体及び第3像担持体の一例である。
【0017】
帯電部12のそれぞれは、感光体ドラム11の下端と対向する位置に設けられる。帯電部12のそれぞれは、帯電ローラー121を有し、不図示の電源から帯電バイアス電圧が印加されることにより、対向する感光体ドラム11を帯電させる。感光体ドラム11には、前記画像データに基づく変調光が光走査装置6(図1参照)により照射され、静電潜像が形成される。
【0018】
現像部13のそれぞれは、帯電部12を基準として、感光体ドラム11の回転方向D2における下流側に設けられ、感光体ドラム11と対向する。また、現像部13のそれぞれは、中間転写ベルト5の下側の位置で走行方向D1に沿って並ぶ。現像部13のそれぞれは、現像ローラー131及び筐体132等を有する。筐体132には現像ローラー131等が収容される。各色用の筐体132は、前記上下方向における上端に、走行方向D1と平行な平坦面である上面S1を有する。各色用の上面S1は、中間転写ベルト5の前記下端から第1離間距離G1だけ離れている。第1離間距離G1は各色用の現像部13の間で互いに同じである。現像部13のそれぞれは感光体ドラム11上にトナー(現像剤)を供給してトナー像を形成する。具体的に、前記黒用の現像部13は、感光体ドラム11に形成されている静電潜像に黒トナーを供給する。前記イエロー用、前記マゼンタ用及び前記シアン用の現像部13は、対応する感光体ドラム11に形成されている静電潜像に、前記有彩色としてのイエロー、マゼンタ及びシアンのトナー(即ち、有彩色トナー)を供給し、これにより、黒トナー像及び有彩色のトナー像が形成される。
【0019】
なお、黒用、シアン用及びマゼンタ用の現像部13は、本発明における第1現像部、第2現像部及び第3現像部の一例である。
【0020】
各色の一次転写部15は走行方向D1に沿って並んでいる。一次転写部15のそれぞれは、現像部13を基準として回転方向D2の下流側に設けられる。また、一次転写部15のそれぞれは、中間転写ベルト5を挟んで感光体ドラム11の上端と対向する位置に設けられる。一次転写部15のそれぞれは、一次転写プロセスにおいて、不図示の電源から転写バイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム11に形成されたトナー像を中間転写ベルト5に転写する。
【0021】
より具体的に、黒用及び有彩色用の一次転写部15は、前記黒トナー像及び前記有彩色トナー像を中間転写ベルト5に転写する。中間転写ベルト5は各感光体ドラム11の上端に沿って走行し、中間転写ベルト5の同一エリアに各色のトナー像が順次重ね合わせられる。前記トナー像は、中間転写ベルト5に担持され、二次転写ローラー7(図1参照)に向けて搬送される。また、二次転写ローラー7には、前記シートも搬送されてくる。二次転写ローラー7は、中間転写ベルト5に担持されるトナー像を前記シート上に転写する。その後、前記シート上のトナー像は、定着装置8(図1を参照)で加熱されて前記シートに溶融定着する。
【0022】
なお、黒用、シアン用及びマゼンタ用の一次転写部15は、本発明における第1転写部、第2転写部及び第3転写部の一例である。
【0023】
図2及び図3のそれぞれにおいて、クリーニング部16のそれぞれは、一次転写部15を基準として回転方向D2の下流側に設けられる。また、各色用のクリーニング部16は走行方向D1に沿って並んでいる。また、クリーニング部16のそれぞれは、中間転写ベルト5の下方向において予め定められた第2離間距離G2だけ離間して配置されている。また、クリーニング部16のそれぞれは、クリーニングローラー又はクリーニングブレード等のクリーニング部材161を有し、中間転写ベルト5に前記トナー像が転写された後の感光体ドラム11を清掃する。
【0024】
なお、黒用、シアン用及びマゼンタ用のクリーニング部16は、本発明における第1クリーニング部、第2クリーニング部及び第3クリーニング部の一例である。
【0025】
除電部14のそれぞれは、クリーニング部16と中間転写ベルト5との間において、中間転写ベルト5から下方に予め定められている距離だけ離れた位置に設けられる。また、除電部14のそれぞれは、対応色のクリーニング部16の筐体162の上面に設けられている。なお、画像形成ユニット3,2に設けられている除電部14は、本発明の第1除電部及び第2除電部の一例である。
【0026】
また、除電部14のそれぞれは、転写後除電及び転写前除電を行うことが可能に構成されている。除電部14のそれぞれは、前記転写後除電のため、後側照射位置P1に向けて除電光L1を出射する。後側照射位置P1は、除電部14と走行方向D1の上流側の位置で対向する感光体ドラム11において、一次転写部15とクリーニング部16との間の位置である。換言すると、除電部14のそれぞれは、感光体ドラム11において、一次転写部15よりも回転方向D2の下流側であってクリーニング部16よりも回転方向D2の上流側の部分に除電光L1を照射する。
【0027】
また、除電部14のそれぞれは、前記転写前除電のために前側照射位置P2に向けて除電光L2を出射する。前側照射位置P2は、除電部14と走行方向D1の下流側の位置で対向する感光体ドラム11において、現像部13と一次転写部15との間の位置である。換言すると、除電部14のそれぞれは、感光体ドラム11において、現像部13よりも回転方向D2の下流側であって一次転写部15よりも回転方向D2の上流側の部分に除電光L2を照射する。
【0028】
上記のように、前記一次転写プロセスの前後に感光体ドラム11の除電が行われることにより、感光体ドラム11の所謂メモリー画像が抑制される。特に、前記一次転写プロセス前の前記転写前除電が行われることにより、感光体ドラム11上の正電荷が除去される。そのため、感光体ドラム11の帯電ムラが抑制されるため、感光体ドラム11に転写メモリー画像が形成されることを抑制することができる。
【0029】
なお、画像形成ユニット4,3の前側照射位置P2が本発明の第1照射位置及び第3照射位置の一例である。また、画像形成ユニット3,2の後側照射位置P1が本発明の第2照射位置及び第4照射位置の一例である。なお、理解を容易にする目的で、図3において、画像形成ユニット4,3の第1照射位置及び第3照射位置には、参照符号P21,P22が付されている。また、図3において画像形成ユニット3の第2照射位置には参照符号P11が、図2において画像形成ユニット2の第4照射位置には参照符号P12が付されている。
【0030】
また、イエローの画像は目立たないため、イエロー用の感光体ドラム11には除電光L2が照射されなくても前記メモリー画像の問題は顕在化しにくい。そのため、画像形成装置10には、イエロー用の感光体ドラム11に除電光L2を照射する除電部14は設けられていない。これにより、除電部14の総数を低減できるため、画像形成装置10のコストを抑制することができる。
【0031】
前記転写前除電に関し、前記転写メモリー画像の発生を抑制するには、感光体ドラム11への照射光量を多くして、より多くの正電荷を感光体ドラム11から除去する必要がある。その一方で、多くの正電荷が除去されると、感光体ドラム11上のトナーが前記付着部から前記被付着部に移動しやすくなる。このようなトナー移動が前記トナー像における細い線状部分(例えば文字又は図形)で発生すると、前記線状部分が不鮮鋭になるおそれがある。前記線状部分は、黒のトナー像に多く含まれる。したがって、黒用の感光体ドラム11に関しては、前記転写メモリー画像の発生抑制よりも、前記トナー移動を抑制する必要があると考えられる。一方、前記有彩色で印刷される写真等では、前記鮮鋭性よりもむしろグラデーションが重視されるため、前記転写メモリー画像の発生抑制を重視する必要があると考えられる。
【0032】
そこで、前記第1実施形態では、各除電部14(図2図3を参照)は下記のような構成を有し、画像形成装置10は、前記黒用の現像部13に光量制限部17を備える(図3を参照)。
【0033】
図2及び図3のそれぞれにおいて、前記有彩色用の除電部14は、走行方向D1において隣り合う感光体ドラム11の間において、前記上下方向及び前記前後方向において同じ位置に配置される。また、前記有彩色用の除電部14において走行方向D1において隣り合う2つの除電部14は、左右方向において予め定められている同じ第4離間距離G4だけ離間して配置される。前記黒用の除電部14は、前記上下方向及び前記前後方向に関しては前記有彩色用の除電部14と同じ位置に配置され、前記左右方向に関しては、前記マゼンタ用の除電部14を基準として走行方向D1の下流側に第4離間距離G4だけ離間して配置される。各色の除電部14は、上記配置を除いて互いに同じ構成を有する。それ故、以下では、各色の除電部14を包括的に説明する。
【0034】
除電部14は、図4に示すように、光源141と、導光部材142と、を有する。導光部材142は、前記前後方向に予め定められている長さを有する。導光部材142は、前記長さに関し、感光体ドラム11よりも長く、走行方向D1における上流側および下流側の感光体ドラム11の間に、前記前後方向に沿って設けられている。なお、前記前後方向は、本発明における直交方向の一例である。
【0035】
また、画像形成ユニット3に設けられる光源141及び導光部材142が本発明の第1光源及び第1導光部材の一例である。また、画像形成ユニット2に設けられる光源141及び導光部材142が本発明の第2光源及び第2導光部材の一例である。
【0036】
光源141は、不図示の電流源からの入力電流により、予め定められている波長帯を有する光を出射するLED(Light Emitting Device)等である。前記波長帯は、可視領域の波長帯等である。光源141は、導光部材142の前記前後方向の一端側の端面である入光面143に対向し、入光面143から予め定められている距離だけ離間する位置に設けられる。なお、光源141は、導光部材142の他端側に設けられてもよい。光源141は、入光面143に向けて光を出射する。ここで、光源141の出射光量は、前記黒色用及び前記有彩色用で互いに同じである。
【0037】
導光部材142への入射光の一部は、導光部材142と外部空間との境界面で全反射しながら、前記前後方向において入光面143と対向する端面144に向かって導光部材142の内部を伝搬する。
【0038】
導光部材142は、透明の樹脂材料又はガラス等で形成されている。導光部材142は、図6に示されるように、自身の表面に、半円部151と、台形部152とを有する。半円部151及び台形部152において前記前後方向に直交する断面の形状は略半円形及び台形の形状を有する。導光部材142は、半円部151の直径部分と台形部152の上底部分において接合された形状を有する。
【0039】
導光部材142は、自身の表面に、第1の光学面145、第2の光学面146及び2つの第3の光学面147を有する。第1の光学面145は、半円部151の外周において前記直径部分と対向する部分に相当する曲面である。第2の光学面146は、台形部152の下底部分に相当する平面である。また、2つの第3の光学面147は、台形部152の一方及び他方の脚に相当する平面である。なお、2つの第3の光学面147の間隔は、第2の光学面146に近づくほど拡がっている。
【0040】
上記構成の導光部材142は、図4に示されるように、走行方向D1における直ぐ上流側の感光体ドラム11及び直ぐ下流側の感光体ドラム11の間で前記前後方向に沿って設けられる。具体的に、導光部材142は、第1の光学面145が走行方向D1における上流側の感光体ドラム11に対向し、第2の光学面146が走行方向D1における下流側の感光体ドラム11と対向するよう配置される。
【0041】
さらに具体的に、第2の光学面146は、図5に示されるように、平面部181と、複数の屈折反射部182とを有する。複数の屈折反射部182は、導光部材142の第2の光学面146に前記前後方向に予め定められた間隔G6をあけて形成され、前記前後方向に沿って配列されている。各屈折反射部182は、平面部181と直交する平面に沿う断面形状が三角形上の溝であって、プリズムである。各屈折反射部182は、前記プリズムに代えて反射シートとすることも考えられる。各屈折反射部182は、前記前後方向に対し予め定められた前側傾斜角度及び後側傾斜角度をなす前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3(図5中の一点鎖線の枠内を参照)を有する。前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3は、平面部181から導光部材142の内側に向かって傾斜する。
【0042】
図5において、導光部材142内を伝搬する光は、屈折反射部182の前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3に入射される。入射光の一部は、前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3で反射し、導光部材142の第1の光学面145から、前記前後方向に沿う線状光である除電光L1として後側照射位置P1(図3を参照)に向けて出射される。また、屈折反射部182への入射光の残りの一部は、前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3で屈折し、導光部材142の第2の光学面146側から、前記前後方向に沿う除電光L2として前側照射位置P2(図3を参照)に向けて出射される。
【0043】
ここで、導光部材142における前記前側傾斜角度、前記後側傾斜角度及び間隔G6は、除電光L1及び除電光L2のそれぞれが前記前後方向において均等な光量を有するように、画像形成装置10の設計段階の実験又はシミュレーション等で予め定められている。また、除電光L2の光量は、特に有彩色用の感光体ドラム11において前記転写メモリー画像の発生を抑制可能な値に、画像形成装置10の設計段階の実験又はシミュレーション等で予め定められている。これにより、前記有彩色で印刷される写真等のグラデーションが前記転写メモリー画像により劣化することを抑制することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、前記前後方向において隣り合う2つの屈折反射部182の間隔G6は、光源141から遠ざかるほど(即ち、導光部材142の端面144に近づくほど)狭くなっている。導光部材142における光量は、入射光が導光部材142の入光面143から端面144に向かって伝搬する間に徐々に低下するためである。間隔G6を適宜調整することにより、導光部材142の前後方向における除電光L1及び除電光L2それぞれの光量を均一化することができる。
【0045】
図3において、光量制限部17は、画像形成ユニット4の前側照射位置P2(即ち、第1照射位置P21)に照射される除電光L2の光量を、画像形成ユニット3の前側照射位置P2(即ち、第3照射位置P22)に照射される除電光L2の光量よりも少なく制限する。具体的に、光量制限部17は、不透光性樹脂等から作製され、シート状の形状を有する。前記前後方向への長さに関しては、光量制限部17は前記黒用の感光体ドラム11以上である。前記左右方向への幅に関しては、光量制限部17は前記黒用の上面S1以下である。光量制限部17は、前記黒用の現像部13の筐体132において中間転写ベルト5寄りの位置に設けられる。前記位置としては、前記黒用の現像部13の上面S1が考えられる。光量制限部17は、筐体132と中間転写ベルト5との間に介在し、中間転写ベルト5の下端から下方向へ予め定められている第5離間距離G5だけ離間する。光量制限部17の前記上下方向における厚さはG1-G5である。なお、第5離間距離G5は、第1照射位置P21に除電光L2を照射するために、第1離間距離G1未満の値に予め定められている。これにより、光量制限部17と中間転写ベルト5との間の隙間は、画像形成ユニット3及び画像形成ユニット2における現像部13の筐体132と、中間転写ベルト5との間の隙間よりも狭くなる。
【0046】
具体的に、光量制限部17の前記厚さが(G1-G5)であるため、除電部14から出射される除電光L2の一部は光量制限部17により遮られ、画像形成ユニット4の前側照射位置P2(即ち、第1照射位置P21)には、画像形成ユニット3の前側照射位置P2(即ち、第3照射位置P22)よりも少ない光量の光が照射されることになる。ここで、光量制限部17の前記厚さとしてのG1-G5は、第1照射位置P21において前記黒トナー移動の発生が抑制可能な値に、画像形成装置10の設計段階における実験等により定められている。これにより、黒トナー像における文字等の線状部分が不鮮鋭になることを抑制することができる。なお、黒トナー像がグレースケール画像の場合もある。したがって、光量制限部17の前記厚さは、前記グレースケール画像のグラデーションと前記線状部分の鮮鋭性等に基づき、光量制限部17が中間転写ベルト5の下端と離間するように第1離間距離G1未満に定められることが好ましい。
【0047】
また、光量制限部17の表面において、除電部14と対向する部分P3は、除電光L2の波長帯に対する吸光性を有する。具体的に、部分P3は吸光性の高い色(例えば黒)に予め着色されている。これにより、光量制限部17は、除電部14から出射される除電光L2のうち、部分P3への入射光を吸収する。即ち、部分P3における光反射を抑制することができるため、その結果、画像形成装置10内において迷光が発生することを抑制できる。
【0048】
また、光量制限部17は前記黒色用の現像部13の筐体132に設けられる。それゆえ、各色用の筐体132は互いに同一とすることが可能となり、その結果、筐体132を製造するための金型等を作製及び管理するためのコストを抑制することができる。また、前記黒用の現像部13は、光量制限部17を除き、前記有彩色用の現像部13と同じ形状及び構成を有する。また、各色の除電部14は、互いに同じ構成を有し、対応色の現像部13に対して互いに同じ位置関係とすることができる。それゆえ、各色の光源141への前記入力電流は互いに同じでよい。これにより、各光源141への入力電流制御を簡素化することができる。
【0049】
なお、光量制限部17は、現像部13に限らず、クリーニング部16の筐体162の上面に設けられてもよい。他にも、光量制限部17は、前記黒用の現像部13の筐体と一体に設けられ、筐体132又は筐体162から中間転写ベルト5に向かって予め定められている高さだけ突出し、中間転写ベルト5から離間するリブであってもよい。
【0050】
他にも、前記有彩色用の現像部13の筐体の上面を、前記黒用の現像部13の筐体の上面よりも中間転写ベルト5から離間させてもよい。この場合、前記黒用の現像部13の筐体の上端自体が光量制限部17として機能する。
【0051】
また、光量制限部17の厚さは、前記前後方向における一端から他端にわたって一定であると説明した。しかし、除電部14から出射される除電光L2の光量は、前記前後方向における位置により変化する場合がある。この場合、光量制限部17の厚さは、前記光量の変化に応じて異なっていてもよい。
【0052】
以下、図7図8を参照し、第2実施形態に係る画像形成装置10について説明する。図7において、図1図6に示される構成要素と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それぞれの説明を省略する。
【0053】
図7において、画像形成装置10は、画像形成ユニット4に光量制限部17(図3を参照)を備えておらず、画像形成ユニット3に設けられる除電部14(図3を参照)の屈折反射部182が光量制限部17である点で相違する。
【0054】
具体的に、除電部14のそれぞれにおいて、屈折反射部182は、図8に示すように、平面部181に直交する平面に沿う断面形状が三角形状を有する溝であって、平面部181から導光部材142の内側に向けて予め定められた前側傾斜角度α及び後側傾斜角度βで傾斜する前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3を有する。ここで、前側傾斜角度α及び後側傾斜角度βは、より具体的には、平面部181と前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3とがそれぞれなす角度のうち、導光部材142の内側に向いている角度である。
【0055】
ここで、画像形成ユニット1,2(図2を参照)及び画像形成ユニット4(図7を参照)における前側傾斜角度α及び後側傾斜角度βをα1,β1とする。また、画像形成ユニット3(図7を参照)における前側傾斜角度α及び後側傾斜角度βをα2,β2とする。α1,α2,β1,β2は、α2>α1及びβ2≧β1を満たす値に予め定められている。なお、α2>α1及びβ2≧β1の場合であっても、画像形成ユニット1~4において前記溝の深さは互いに同じでよい。これにより、画像形成ユニット1,2,4の屈折反射部182の反射率は、画像形成ユニット3の屈折反射部182の反射率よりも大きくなる。したがって、画像形成ユニット3の除電部14から出射される除電光L2の光量は、画像形成ユニット1,2,4の除電部14から出射される除電光L2の光量よりも少なくなる。換言すると、画像形成ユニット3において、屈折反射部182は、除電部14から出射される除電光L2の光量を制限する光量制限部17として機能する。
【0056】
α1,β1は、具体的には、除電光L2により第3照射位置P22等で前記転写メモリー画像の発生を抑制可能な値に、画像形成装置10の設計段階の実験又はシミュレーション等で予め定められている。また、α2,β2は、除電光L2により第1照射位置P21で前記黒トナー移動の発生が抑制可能な値に、画像形成装置10の設計段階における実験等により定められている。
【0057】
なお、画像形成ユニット3(即ちマゼンタ用)の屈折反射部182が本発明の第1屈折反射部の一例である。また、マゼンタ用の屈折反射部182における前側傾斜角度α、後側傾斜角度β、前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3が、本発明における第1屈折反射部における第1傾斜角度、第2傾斜角度、第1傾斜面及び第2傾斜面の一例である。また、画像形成ユニット2(即ちシアン用)の屈折反射部182が本発明の第2屈折反射部の一例である。また、シアン用の屈折反射部182における前側傾斜角度α、後側傾斜角度β、前側傾斜面S2及び後側傾斜面S3が本発明における第2屈折反射部における第3傾斜角度、第4傾斜角度、第3傾斜面及び第4傾斜面の一例である。
【0058】
また、第2実施形態では、第1の光学面145が走行方向D1における上流側の感光体ドラム11に対向し、第2の光学面146が走行方向D1における下流側の感光体ドラム11と対向する(図4を参照)。この場合、α1,α2,β1,β2は、α2>α1及びβ2>β1を満たす値となる。しかし、第1の光学面145及び第2の光学面146の配置によっては、α1,α2,β1,β2は、α2<α1及びβ2<β1を満たす値となる場合もある。
【符号の説明】
【0059】
10 画像形成装置
1~4 画像形成ユニット
11 感光体ドラム
13 現像部
14 除電部
141 光源
142 導光部材
182屈折反射部
15 一次転写部
16 クリーニング部
17 光量制限部
5 中間転写ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8