(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】電装品モジュール
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20220329BHJP
F24F 1/22 20110101ALI20220329BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220329BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/22
H05K7/20 Q
H05K7/14 A
(21)【出願番号】P 2018011162
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】特許業務法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 保志
(72)【発明者】
【氏名】畠山 幸子
(72)【発明者】
【氏名】菅原 有理
(72)【発明者】
【氏名】眞砂 秀基
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-078305(JP,A)
【文献】特開2016-109314(JP,A)
【文献】特開2014-240727(JP,A)
【文献】特開2010-197031(JP,A)
【文献】特開2004-085143(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03163186(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F24F 1/22
H05K 7/20
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン基板と、パワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載される固定板とを備え、冷媒配管を有する空気調和機の室外機の正面のサービスパネルの奥側の機械室に、前記メイン基板の正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記固定板が取り付けられる電装品モジュールであって、
前記メイン基板に前記空気調和機の制御を行うための低電圧が印加される電子部品が搭載され、
前記パワー基板に前記空気調和機の制御を行うための高電圧が印加されるパワーデバイスを含む電子部品が搭載され、
前記室外機は前記サービスパネルの方向を向くように前記冷媒配管の一部に取り付けられた冷却器を備え、前記パワーデバイスは前記冷却器に熱的に結合され
、
前記固定板の上部を前記機械室に取り付ける上フレームと、前記固定板の下部を前記機械室に取り付ける下フレームを備え、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載の電装品モジュールにおいて、
前記室外機には熱交換器室と前記機械室を区画する仕切板が取り付けられ、
前記上フレームの一端と前記下フレームの一端は前記仕切板に取り付けられ、前記上フレームの他端と前記下フレームの他端は前記冷却器に取り付けられていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項3】
請求項
2に記載の電装品モジュールにおいて、
前記パワーデバイスは、前記上フレームの前記他端と前記下フレームの前記他端の間に位置することを特徴とする電装品モジュール。
【請求項4】
請求項1、2
又は3に記載の電装品モジュールにおいて、
前記冷却器は、前記パワーデバイスに熱結合されるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管の一部に取り付けるカバーとを有することを特徴とする電装品モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機の正面のサービスパネルの奥側の機械室に取り付けられる電装品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、
図12に示すように、室外に設置される室外機10と室内に設置される室内機20を備えている。室外機10と室内機20は、冷媒配管30によって接続され、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0003】
室外機10には、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、圧縮機12から吐き出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器13、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁14、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁16などが設けられている。また、室内機20には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器21、送風ファン21Fなどが設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16、及び室内熱交換器21を接続している。冷媒配管30は、液側冷媒配管30Lとガス側冷媒配管30Gとを含む。
【0004】
室外機10は、
図13に示すように、仕切板171によって、筐体17の内部が左右方向に熱交換器室10Aと機械室10Bに区画され、熱交換器室10Aには前述した室外熱交換器11と送風ファン11Fが配置されている。機械室10Bには、前述した圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16などが収容され、これらは
図13に示すように筐体17の前面の図示しないサービスパネルを取り外すことにより、外部から視認可能となっている。
【0005】
この機械室10Bには、さらに、その上下方向のほぼ中間位置に電装品モジュール40が配置されている。この電装品モジュール40は、空気調和機の全体の動作を制御する制御回路、空気調和機の各種設定を行うための設定回路、空気調和機の状態を表示する表示回路、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路、コンバータ回路から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路、その他の回路などを搭載したモジュールであり、プリント基板41にそれらの回路を実現するための複数の電子部品が搭載されている。プリント基板41は、機械室10Bの奥側に配管スペースを確保できるように、1枚で構成されている。
【0006】
図14に電装品モジュール40の正面を示す。プリント基板41は、機械室10B内に起立した姿勢で取り付けられている。このプリント基板41は上下方向に弱電領域41Aと強電領域41Bに分割されて配置されている。
【0007】
弱電領域41Aには、前記した制御回路の一部を構成するマイコン等の電子部品、設定回路を構成するスイッチ41A1やプラグを抜き差しする小電力用コネクタ41A2などの操作のための低電圧が印加する電子部品、表示回路を構成するLED41A3などの低電圧が印加する電子部品が搭載される。また、強電領域41Bには、前記した制御回路の残りの部分を構成する電力変換を行うための高電圧が印加する複数の電子部品、例えばコンバータ回路のIC、インバータ回路のICなどのパワーデバイス41B1、平滑用の大容量電解コンデンサ41B2、大電力用コネクタ41B3などの電子部品が搭載される。
【0008】
強電領域41Bには、さらに、パワーデバイス41B1で発生する熱を冷却するための冷却器50が配置されている。この冷却器50は冷媒配管30の液側冷媒配管30Lに取り付けられるような形状の図示しないヒートシンクを備える。そのヒートシンクはパワーデバイス41B1が発生する熱が伝わるように熱的に結合させるプリント基板41の正面側に図示しないサービスパネル側に向けて配置されている。液側冷媒配管30Lには、冷房運転時には室外熱交換器11で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には室内熱交換器21で凝縮され膨張弁14で減圧された冷媒が流れるので、その冷媒温度によって冷却器50のヒートシンクが冷却され、パワーデバイス41B1の温度が所定値以下に保持される。以上説明した空気調和機については、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記した室外機10では、弱電領域41A1に弱電系電子部品を配置し強電領域41A2に強電系電子部品を配置する、つまりプリント基板41の同じ正面に上下方向にそれらを並べて搭載しなければならないので、そのプリント基板41の上下方向サイズが大きくなる問題があり、機械室10Bの上下スペースに余裕が少ない室外機10には、このプリント基板41を適用することができない。また、パワーデバイス41B1が電装品モジュール40の正面側に配置されるため、これを冷却する冷却器50と液側冷媒配管30Lも電装品モジュール40の正面側に配置されることになるので、その電装品モジュール40の着脱に特別な工夫が必要になる。さらに、電装品モジュール40のプリント基板41には、低電圧が印加される電子部品の他に高電圧が印加されるパワーデバイスを含む電子部品も搭載されることになるので、接触による感電事故の防止対策に大きな注意を払う必要がある。
【0011】
本発明の目的は、上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができ、また機械室への着脱が容易となり、接触による感電事故の防止対策が不要となった電装品モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、メイン基板と、パワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載される固定板とを備え、冷媒配管を有する空気調和機の室外機の正面のサービスパネルの奥側の機械室に、前記メイン基板の正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記固定板が取り付けられる電装品モジュールであって、前記メイン基板に前記空気調和機の制御を行うための低電圧が印加される電子部品が搭載され、前記パワー基板に前記空気調和機の制御を行うための高電圧が印加されるパワーデバイスを含む電子部品が搭載され、前記室外機は前記サービスパネルの方向を向くように前記冷媒配管の一部に取り付けられた冷却器を備え、前記パワーデバイスは前記冷却器に熱的に結合され、前記固定板の上部を前記機械室に取り付ける上フレームと、前記固定板の下部を前記機械室に取り付ける下フレームを備え、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、前記室外機には熱交換器室と前記機械室を区画する仕切板が取り付けられ、前記上フレームの一端と前記下フレームの一端は前記仕切板に取り付けられ、前記上フレームの他端と前記下フレームの他端は前記冷却器に取り付けられていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の電装品モジュールにおいて、前記パワーデバイスは、前記上フレームの前記他端と前記下フレームの前記他端の間に位置することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載の電装品モジュールにおいて、前記冷却器は、前記パワーデバイスに熱結合されるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管の一部に取り付けるカバーとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メイン基板を固定板の正面に、パワー基板を固定板の裏面にそれぞれ搭載するので、それらメイン基板とパワー基板の上下方向サイズをプリント基板が1枚の場合の上下方向サイズと比較して大幅に小さくすることができ、機械室の上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができる。また、固定板の裏面側のパワー基板に搭載されたパワーデバイスは、冷却器に熱的に結合するので、効果的に冷却される。さらに、その冷却器はサービスパネルの方向を向いているので、電装品モジュールを機械室正面から着脱する際に、その冷却器に邪魔されることがない。さらに、低電圧が印加される電子部品は固定板の正面側のメイン基板に搭載されるが、高電圧が印加する電子部品は固定板の裏面側のパワー基板に搭載されるので、その高電圧が印加する電子部品は固定板の裏面に隠れることになり、接触による感電事故の防止対策が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】サービスパネルを取り外した同室外機の斜視図である。
【
図3】機械室から電装品モジュールを取り外した状態の同室外機の斜視図である。
【
図5】上フレームと下フレームを仕切板へ取り付ける取付説明図である。
【
図6】電装品モジュールと冷却器の縦断面図である。
【
図8】室外機の天面パネルを取り外した平面図である。
【
図9】室外機の右側面パネルを取り外した右側面図である。
【
図13】従来の室外機のサービスパネルを取り外した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図3、
図8、
図9に本発明の実施例の室外機100を示す。この室外機100の筐体110は、前面パネル111、その前面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備え、底面パネル117にはスタンド118が取り付けられている。この筐体110は仕切板119によって、正面パネル111の奥側が熱交換器室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。この仕切板119は機械室110Bの壁面一部を構成している。そして、熱交換器室110Aに前述した室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。また、機械室110Bに、前述した冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁14、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁16などが収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の前面側から視認可能となっている。
【0016】
200は電装品モジュールであり、
図4~
図9に示すように、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部が取り付けられる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部が取り付けられる長尺形状の下フレーム230と、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されるメイン基板260と、制御回路の残りの部分を構成する電子部品やその他の電子部品、後記するパワーデバイス274が搭載されるパワー基板270を備える。
【0017】
このように、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分割されていて、メイン基板260は後記する裏面260bが固定板210の後記する正面211aに対面するように固定板210に搭載され、パワー基板270は後記する裏面270bが固定板210の後記する裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される。
【0018】
300は冷却器であり、後記するように冷媒配管30LのU字折曲部31が取り付けられた状態で上フレーム220と下フレーム230に跨るように、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0019】
固定板210は、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その折曲片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213を備える。また、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。その下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0020】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、その縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の上横片222と、縦片211の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0021】
下フレーム230は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0022】
冷却器300は、パワー基板270の正面270aに搭載された後記するパワーデバイス274に熱的に結合されるアルミニウム製のヒートシンク310と、そのヒートシンク310に形成された断面が半円形状の2個の溝311に嵌め込まれた液側冷媒配管30LのU字折曲部31と、そのU字折曲部31をヒートシンク310に固定するための板金製のカバー320とで構成されている。ヒートシンク310は、溝311に加えて、パワーデバイス274が押し付けられて熱的に結合する厚板部312と、その厚板部312の両側に形成されたカバー取付部313、314を有する。カバー320は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31を押圧する中央の押え部321と、その押え部321の一端から折り曲げられたフック部322と、押え部321の他端からフック部322と向き合うように折り曲げられた取付部323とを備える。
【0023】
メイン基板260には50V未満のAC又はDCの低電圧が印加される電子部品が搭載され、且つ50V以上のAC又はDCの高電圧が印加される電子部品は搭載されない。その正面260aには、
図10に示すように、表示器としてのLEDランプ261a、操作部としてのディップスイッチ261bやボタンスイッチ261cなどを含む表示設定回路261、制御回路の一部を構成するマイクロコンピュータ等の制御IC262、周辺部に配置される複数のコネクタ263、膨張弁14を駆動する膨張弁駆動回路265、冷媒配管30の温度を検出する図示しないサーミスタに接続される温度検出回路265などが搭載されている。260bはメイン基板260の裏面である。260cは上端、260dは下端、260eは左端、260fは右端である。このメイン基板260は、裏面260bが固定板210の本体部211の正面211aと対面するようにその正面211aに搭載される。
【0024】
パワー基板270には50V以上のAC又はDCの高電圧が印加する電子部品が搭載される。その正面270aには、
図11に示すように、整流用のダイオードブリッジ271a、バイポーラトランジスタのゲート部分にMOSFETを組み込み動作抵抗を小さくしたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子271b、高速動作用のFRD(Fast Recovery Diode)素子271c、力率改善用のPFC(Power Factor Correction)コイル271d、大電力平滑用の電解コンデンサ271eが搭載される。これらダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、PFCコイル271d、電解コンデンサ271eなどは交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路271を構成する。さらに、駆動回路や自己保護機能が組み込まれコンバータ回路271から出力される直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路を構成するIPM(Intelligent Power Module)素子272も搭載され、スイッチング電源回路273を構成するスイッチングトランス273aやスイッチングIC273bなどの素子、コンデンサ374aやコモンコイル274bを含む外来ノイズ及び自発ノイズの対策用のEMC(ElectroMagnetic Compatibillity)フィルタ回路274、四方弁駆動回路275、室内機/室外機通信回路276などの回路も搭載されている。270bはパワー基板270の裏面である。270cは上端、270dは下端、270eは左端、270fは右端である。ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272などは発熱の大きなパワーデバイス277を構成し、左端270eの近傍に縦並びで搭載されている。このパワー基板270は、裏面270bが固定板210の本体部211の裏面211bと対面するように、その裏面211bに搭載される。冷却器300は、パワーデバイス277の部分に当接される。なお、このパワー基板270には、スイッチング電源回路273以外の図示しないノイズ発生源も集約して搭載される。IGBT素子271bはMOSFETに置き換えられる場合もある。
【0025】
なお、以上説明したメイン基板260、パワー基板270に搭載される電子部品はあくまで一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0026】
さて、電装品モジュール200を室外機100の機械室110Bに配置するには、まず仕切板119に斜面241を有する取付金具240と、斜面251を有する取付金具250を予め取り付けておく。そして、
図5に示すように、上フレーム220の取付片223を取付金具240の斜面241にネジ止めし、下フレーム230の取付片234を取付金具250の斜面251にネジ止めする。これにより、上フレーム220と下フレーム230が、仕切板119に片持ち支持の形で横姿勢で取り付けられる。
【0027】
次に、
図6に示すように、上フレーム220の縦片221の端部224と下フレーム230の上部縦片233の端部235の間に跨るように、冷却器300のヒートシンク310をネジB1,B2で取り付ける。また、
図7に示すように、このヒートシンク310の溝311に冷媒配管30LのU字折曲部31を押し当ててから、カバー320のフック部322をヒートシンク310の一方のカバー取付部313に係合し、押え部323をヒートシンク310の他方のカバー取付部314に押し付けて、その押え部323をカバー取付部314にネジB3、B4で固着する。この作業は室外機100の背面パネル116を取り外した状態で行われる。以上によって、上フレーム220の端部224と下フレーム230の端部235の間に跨るように、且つヒートシンク310の厚板部312がサービスパネル112の方向を向くように、冷却器300が取り付けられる。
【0028】
また、固定板210の本体部211の正面211aにメイン基板260を搭載し、裏面211bにパワー基板260を搭載しておく。そして、これらメイン基板260とパワー基板270が搭載された固定板210を、その上縦片213が上フレーム220の縦片221に、その下縦片215が下フレーム230の下縦片231に合わさるように、ネジB5、B6によって取り付ける。このとき、上フレーム220の取付片223が取付金具240によって、下フレーム230の取付片234が取付金具250によって、それぞれ仕切板119に取り付けられており、且つ上フレーム220他端224と下フレーム230の他端235が冷却器300によって液側冷媒配管30LのU字曲折部31に固定されているので、当該の固定板210は強固に固定される。また、パワー基板270のパワーデバイス277は、冷却器300のヒートシンク310の厚板部312に対面して押し付けられてそこで熱的に結合が行われる。よって、空気調和機の運転が開始すれば、パワーデバイス277で発生した熱は冷却器300によって冷却される。ヒートシンク310の厚板部312に熱伝導性の高い放熱用グリースを塗布しておけば、熱的な結合がより良好となる。以上のようにして機械室110Bに電装品モジュール200が取り付けられた後に、その電装品モジュール200のメイン基板260のコネクタ263に所要の配線が接続されたプラグが接続され、端子板400に所要の別の配線が接続される。
【0029】
このように本実施例では、メイン基板260とパワー基板270を、機械室110Bに取り付けられる固定板210を介在して裏面合わせでその固定板210に搭載するので、それらメイン基板260とパワー基板270の上下方向サイズを、メイン基板260とパワー基板270を上下に並べて1枚とした場合のプリント基板の上下方向サイズと比較して、大幅に小さくすることができ、上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができる。
【0030】
また、下フレーム230の下縦片231は上横片232によって固定板210よりも正面側に突出し、その下縦片231の正面231aに端子板400が取り付けられるので、端子板400が前方に突出してそこへのアクセスが容易となるともに、下縦片231の裏面231bには広い空間SPができるので、下フレーム230がその空間SPに配置される配管などの邪魔をしなくなる。
【0031】
また、パワー基板270に搭載されたパワーデバイス277は、固定板210の裏面211b側において冷却器300に熱的に結合するが、冷却器300に対しては押し付けられているだけであるので、ネジB5,B6を緩めれば、その冷却器300に邪魔されることなく、固定板210、メイン基板260、パワー基板270を一体として、機械室110Bの正面から取り外すことが可能となり、メイン基板260とパワー基板270のメンテナンスが容易となる。
【0032】
また、メイン基板260には、その正面260aに、LEDランプ261a、ディップスイッチ261b、ボタンスイッチ261cなどを含む表示設定回路261や複数のコネクタ263を搭載しているので、室外機100からサービスパネル112を取り外すだけで、LEDランプ261aの表示内容によって空気調和機の動作内容を確認したり、ディップスイッチ261bやボタンスイッチ261cなどを操作することで設定内容の変更を行ったり、コネクタ263へのプラグの抜き差しによって回路接続を切り替えたりすることなどが容易となる。
【0033】
また、ノイズを発生するコンバータ回路271、インバータ回路272、スイッチング電源回路273その他のノイズ発生源は、パワー基板270に集約して搭載されている。そして、このパワー基板270は、固定板210、仕切板119、右側面パネル113、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117などによってその全周囲が覆われている。このため、そのパワー基板270のノイズ発生源で発生するノイズは効果的にシールドされ、そのノイズがメイン基板260側に搭載した電子部品に影響を与えることを防止することができ、特別なノイズ対策が不要となる。
【0034】
さらに、低電圧が印加される電子部品は固定板210の正面のメイン基板260に搭載されるが、高電圧が印加される電子部品は固定板210の裏面のパワー基板270に搭載されるので、その高電圧が印加される電子部品は固定板210の正面から隠れることになり、接触による感電事故の防止対策が不要となる。
【符号の説明】
【0035】
30L:液側冷媒配管、31:U字折曲部
100:室外機、110:筐体、110A:熱交換器室、110B:機械室、111:正面パネル、112:サービスパネル、113:右側面パネル、114:左側面パネル、115:天面パネル、116:背面パネル、117:下面パネル、118:スタンド、119:仕切板
200:電装品モジュール
210:固定板、211:本体部、211a:正面、211b:裏面、212:上横片、213:上縦片、214:下横片、215:下縦片
220:上フレーム、221:縦片、222:横片、223:取付片
230:下フレーム、231:下縦片、232:上横片、233:上縦片、234:取付片
240:取付金具
250:取付金具
260:メイン基板、260a:正面、260b:裏面
270:パワー基板、270a:正面、270b:裏面、277:パワーデバイス
300:冷却器、310:ヒートシンク、320:カバー
400:端子板