IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-混合装置 図1
  • 特許-混合装置 図2
  • 特許-混合装置 図3
  • 特許-混合装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/10 20220101AFI20220329BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220329BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220329BHJP
   B01F 25/21 20220101ALI20220329BHJP
【FI】
B01F5/00 G
B01F3/04 Z
B01F15/02 A
B01F5/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018013548
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019130452
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】若林 美咲
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05766484(US,A)
【文献】特開2006-150049(JP,A)
【文献】特開2003-265938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-35/95
C02F 1/00-11/20
E03F 1/00-11/00
A01K 61/00-61/65、
61/80-63/10
A23K 10/00-40/35、50/15
A21D 2/00-17/00
C23F 1/00- 3/06
B08B 3/00- 3/14
A61K 6/00-51/12
A47K 3/00
E03C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に流体を混合するための混合装置であって、
前記液体および前記流体の混合体が貯留される貯留室を有する処理槽を備え、
前記貯留室の第一内面には、
前記液体および前記流体を前記貯留室内に注入するための注入路の注入口が開口するとともに、
前記混合体を前記貯留室内から排出するための排出路の排出口が開口しており、
前記排出口は、前記注入口の下方に配置され、
前記第一内面の下縁部から前記注入口の中心位置までの高さは、前記第一内面の高さの0.5倍以上0.9倍以下であるとともに、
前記注入口から前記貯留室内に注入される前記液体および前記流体の毎分の流量は、前記貯留室内の体積の15倍以上であり、
前記貯留室内の上部まで前記混合体を貯留させた状態で、前記注入口から前記液体および前記流体を前記貯留室内に注入することで、前記貯留室の上部空間で前記混合体を渦流させた後に、前記排出口から前記混合体を排出させることを特徴とする混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の混合装置であって、
前記注入口の中心位置と前記排出口の中心位置との間の距離は、前記第一内面の高さの0.1倍以上0.7倍以下であることを特徴とする混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に流体を混合するための混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学工業や生物工業等の分野では、液体中にファインバブルと呼ばれる直径100μm以下の気泡を生成させている場合がある。微細化された気泡は、水面に浮上して破裂することなく、水中に長期間に亘って残存する。そして、気泡が液体に効率良く混合、拡散、溶解されることで、様々な機能を液体に付加することができる。
従来、例えば、汚水処理において、活性汚泥による生物処理を行う場合には、有機物を分解する活性汚泥(微生物)に酸素を供給するために、曝気槽で被処理水(汚水)に酸素を混合している。
【0003】
そして、各種の水処理において、被処理水に気体を混合するための混合装置を槽内に設けているものがある。このような混合装置としては、貯留室の内面に注入路が開口し、その内面に対峙する他の内面に排出路が開口しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような混合装置では、被処理水と気体とを注入路から貯留室内に注入し、貯留室で被処理水と気体を混合した後に、貯留室内の処理水(混合体)を排出路から例えば曝気槽内に排出している。
注入路から貯留室内に被処理水および気体を注入すると、キャビテーション効果により、気体が微細気泡化する。このように、被処理水中の気体を微細気泡化することで、被処理水から大気中に気散する気体の量を少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-000563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の混合装置では、注入路から貯留室内に被処理水および気体を注入すると、被処理水および気体が貯留室内で渦流する。このとき、貯留室内で被処理水および気体を十分に渦流して、被処理水と気体とを接触させることで、処理水の酸素濃度を高めることが好ましい。
【0007】
被処理水などの液体に酸素などの流体を良く混ぜるためには、貯留室内で液体および流体を十分に渦流させることが好ましい。
しかしながら、従来の混合装置のように、注入路および排出路が貯留室内の対峙する二面に開口している場合には、液体および流体が渦流に巻き込まれないまま排出路から排出され易いという問題がある。
【0008】
本発明は、前記した問題を解決し、液体と流体とを効率良く混ぜることができる混合装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、液体に流体を混合するための混合装置であって、前記液体および前記流体の混合体が貯留される貯留室を有する処理槽を備えている。前記貯留室の第一内面には、前記液体および前記流体を前記貯留室内に注入するための注入路の注入口が開口するとともに、前記混合体を前記貯留室内から排出するための排出路の排出口が開口している。前記排出口は、前記注入口の下方に配置され、前記第一内面の下縁部から前記注入口の中心位置までの高さは、前記第一内面の高さの0.5倍以上0.9倍以下である。前記注入口から前記貯留室内に注入される前記液体および前記流体の毎分の流量は、前記貯留室内の体積の15倍以上である。前記混合装置は、前記貯留室内の上部まで前記混合体を貯留させた状態で、前記注入口から前記液体および前記流体を前記貯留室内に注入することで、前記貯留室の上部空間で前記混合体を渦流させた後に、前記排出口から前記混合体を排出するように構成されている。
【0010】
本発明の混合装置では、第一内面の注入口から貯留室内に注入した液体および流体(気体または液体)は、第一内面に対峙する他の内面に当接して流れが上向きに大きく変化する。そして、液体および流体は、貯留室の上部空間で渦流した後に、貯留室の下部空間を通過して排出口から排出される。
【0011】
このように、本発明の混合装置では、注入口および排出口が同一面に開口しているため、貯留室に注入された液体および流体が渦流に巻き込まれないまま排出路から排出され易いという問題を減少させることができる。
【0012】
また、本発明の混合装置では、注入口から貯留室内に注入した液体および流体は、貯留室の上部空間で渦流することになる。これにより、液体および流体の渦流が小さく形成され、渦流の運動エネルギー(動圧)が大きくなるため、渦流を安定して形成することができる。
また、前記した混合装置では、前記注入口から前記貯留室内に注入される前記液体および前記流体の毎分の流量は、前記貯留室内の体積の15倍以上である。このようにすると、注入口から貯留室内に注入した液体および流体が、第一内面に対峙する他の内面に当接して流れが変化するため、渦流を安定して形成することができる。
【0013】
したがって、本発明の混合装置では、貯留室内に安定して渦流を形成することができ、液体および流体を十分に渦流させるため、液体と流体とを良く混ぜることができる。
【0014】
また、本発明の混合装置は、簡素化された構造であるため、製造コストを低減することができる。
また、本発明の混合装置では、注入路の配管と、排出路の配管とが処理槽の両側に突出しないため、設置スペースを小さくすることができるとともに、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0015】
前記した混合装置において、前記注入口の中心位置と前記排出口の中心位置との間の距離を、前記第一内面の高さの0.1倍以上0.7倍以下に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の混合装置によれば、簡素化された構造で、貯留室内に安定して渦流を形成することができ、液体と流体とを効率良く混ぜることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る混合装置を示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る混合装置を示した側断面図である。
図3】本発明の実施例および比較例の混合装置を示した構成図である。
図4】本発明の実施例および比較例の試験結果を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされるものであるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
代表的な本実施形態では、生活排水などの被処理水(汚水)を浄化する汚水処理に用いられる混合装置について説明する。
本実施形態の混合装置は、活性汚泥による生物処理において、有機物を分解する活性汚泥(微生物)に酸素を供給するために、被処理水(特許請求の範囲における「液体」)に酸素(特許請求の範囲における「流体」)を混合するものである。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0020】
本実施形態の混合装置1は、図1に示すように、貯留室10を有する処理槽2と、処理槽2に設けられた注入路15および排出路16と、を備えている。
混合装置1では、注入路15から貯留室10に被処理水および酸素を注入し、貯留室10内で被処理水に酸素を混合した後に、被処理水および酸素を混合した処理水(特許請求の範囲における「混合体」)を貯留室10内から排出路16を通じて曝気槽や調整槽(排水槽)などの外槽(図示せず)に排出する。
【0021】
処理槽2は、中空な直方体であり、内部に貯留室10が形成されている。処理槽2は、上下一対の頂板20および底板30と、左右一対の左側壁40および右側壁50と、前後一対の前壁60および後壁70と、を備えている。
【0022】
頂板20および底板30は、水平に配置された長方形の平板である。頂板20は底板30の直上に配置されている。頂板20と底板30とは同じ形状であり、前後方向よりも左右方向が長く形成されている。頂板20の内面21と底板30の内面31とは、上下方向に対峙している。
【0023】
底板30の左右の縁部には、左側壁40および右側壁50がそれぞれ立ち上げられている。左側壁40および右側壁50は、底板30に対して上方に向けて垂直に延びている。左側壁40と右側壁50とは同じ形状であり、前後方向よりも上下方向が長く形成されている。
【0024】
底板30の前後の縁部には、前壁60および後壁70がそれぞれ立ち上げられている。前壁60および後壁70は、底板30に対して上方に向けて垂直に延びている。前壁60と後壁70とは同じ形状であり、左右方向よりも上下方向が長く形成されている。
【0025】
左側壁40、右側壁50、前壁60および後壁70によって角筒状の胴部80が形成されている。胴部80の下面は底板30によって塞がれており、胴部80の上面は頂板20によって塞がれている。
【0026】
貯留室10は、胴部80によって外周が囲まれるとともに、頂板20および底板30によって上面および下面が塞がれた直方体の空間である。
貯留室10の内面には、上下一対の内面21,31と、左右一対の内面41,51と、前後一対の内面61,71とが形成されている。
【0027】
左側壁40の内面41(特許請求の範囲における「第一内面」)と、右側壁50の内面51とは、左右方向に対峙している。前壁60の内面61と、後壁70の内面71とは、前後方向に対峙している。
【0028】
左右に対峙する一対の内面41,51と、前後に対峙する一対の内面61,71とは角筒状に配置されている。
本実施形態の混合装置1では、左側壁40の内面41と右側壁50の内面51との間の距離は、前壁60の内面61と後壁70の内面71との間の距離よりも長く形成されている。
このように、本実施形態の貯留室10では、左右方向の幅Lが前後方向の幅W(奥行き)よりも大きく形成されている。これにより、貯留室10内の空間は、左右方向に幅広で前後方向に狭い扁平な直方体に形成されている。
【0029】
本実施形態の処理槽2には、図2に示すように、被処理水および酸素を貯留室10内に注入するための注入路15と、処理水を貯留室10内から排出するための排出路16と、が設けられている。
【0030】
注入路15は、左側壁40の内面41に開口した注入口15aと、注入口15aに連通する注入穴15bと、左側壁40の外面に設けられた注入管15cと、によって構成されている。
【0031】
注入口15aは、左側壁40の内面41に開口している。注入口15aは、円形の開口部である(図1参照)。注入口15aは、左側壁40の内面41の前後方向の中央部に配置されている(図1参照)。
注入穴15bは、注入口15aに連通する円形の穴であり、左側壁40を左右方向に貫通している。
【0032】
本実施形態の注入口15aの中心位置は、左側壁40の内面41の高さH1の中央よりも上方に配置されている。つまり、本実施形態の注入口15aは、左側壁40の内面41の上部に開口している。
左側壁40の内面41の下縁部から注入口15aの中心位置までの高さH2は、左側壁40の内面41の高さH1の0.5倍以上0.9倍以下であることが好ましく、0.55倍以上0.7倍以下であることがより好ましい。
本実施形態では、左側壁40の内面41の下縁部から注入口15aの中心位置までの高さH2は、左側壁40の内面41の高さH1の0.6倍である。
【0033】
注入管15cの先端部は、左側壁40の外面に取り付けられており、注入管15cは注入穴15bに連通している。注入管15cの基端部は、供給装置(図示せず)に連結されており、供給装置から注入管15cに被処理水と高濃度の酸素が一緒に供給される。そして、被処理水および酸素は、注入管15cから注入穴15bを通じて、注入口15aから貯留室10内に注入される。
注入口15aから貯留室10内に注入される被処理水および酸素の毎分の流量(L/min)は、貯留室10内の体積(L)の15倍以上であることが好ましく、貯留室10内の体積の20倍以上であることがより好ましい。
【0034】
排出路16は、左側壁40の内面41に開口した排出口16aと、排出口16aに連通する排出穴16bと、左側壁40の外面に設けられた排出管16cと、によって構成されている。
【0035】
排出口16aは、左側壁40の内面41に開口している。排出口16aは、円形の開口部である(図1参照)。排出口16aは、注入口15aの下方に配置されている。また、排出口16aは、左側壁40の内面41の前後方向の中央部に配置されている(図1参照)。
排出穴16bは、排出口16aに連通する円形の穴であり、左側壁40を左右方向に貫通している。
【0036】
本実施形態の注入口15aの中心位置と排出口16aの中心位置との間の距離H3は、左側壁40の内面41の高さH1の0.1倍以上0.7倍以下であることが好ましく、0.4倍以上0.6倍以下であることがより好ましい。
本実施形態では、注入口15aの中心位置と排出口16aの中心位置との間の距離H3は、左側壁40の内面41の高さH1の0.6倍である。本実施形態の排出口16aは、左側壁40の内面41の下部に開口している。
【0037】
排出管16cの先端部は、左側壁40の外面に取り付けられており、排出管16cは排出穴16bに連通している。排出管16cの基端部は、次の工程(例えば、曝気槽や調整槽などの外槽)への配管に連結されている。そして、貯留室10内の処理水は、排出口16aから排出穴16bおよび排出管16cを通じて、次の工程に送られる。
【0038】
次に、本実施形態の混合装置1を用いて、被処理水と酸素とを混合する処理について説明する。
まず、図2に示すように、供給装置(図示せず)から注入管15cに被処理水および高濃度の酸素を供給し、その被処理水および酸素を注入口15aから貯留室10内に注入する。
【0039】
注入口15aから貯留室10内に被処理水および酸素を注入すると、被処理水および酸素は右側壁50の内面51に当接して流れが上向きに大きく変化する。そして、被処理水および酸素は、貯留室10の上部空間で縦方向に渦流した後に、貯留室10の下部空間を通過して、処理水が左側壁40の内面41の排出口16aから排出される。そして、処理水は、排出管16cを通じて、次の工程に送られる。
【0040】
以上のような本実施形態の混合装置1では、注入口15aと排出口16aとが対峙した二面に形成されていないため、被処理水および酸素が渦流に巻き込まれないまま排出口16aから排出され易いという問題を減少させることができる。これにより、被処理水および酸素は、貯留室10内で長い経路を流れることになり、貯留室10内の被処理水および酸素の挙動が大きく乱れることで、被処理水と酸素とが十分に接触するため、被処理水と酸素とを良く混ぜることができる。
【0041】
また、本実施形態の混合装置1では、注入口15aから貯留室10内に注入した被処理水および酸素は、貯留室10の上部空間で渦流することになる。これにより、渦流は小さく形成され、渦流の運動エネルギー(動圧)が大きくなるため、渦流を安定して形成することができる。
【0042】
また、本実施形態の混合装置1では、注入口15aの中心位置と排出口16aの中心位置との間の距離H3を左側壁40の内面41の高さの0.1倍以上0.7倍以下に設定することで、渦流を安定して形成することができる。
【0043】
また、本実施形態の混合装置1では、注入口15aから貯留室10内に注入される被処理水および酸素の毎分の流量が貯留室10内の体積の15倍以上である。これにより、注入口15aから貯留室内に注入した被処理水および酸素が、右側壁50の内面51に当接して流れが変化するため、渦流を安定して形成することができる。
【0044】
したがって、本実施形態の混合装置1では、処理水の酸素濃度が高くなるため、活性汚泥による有機物の分解能力を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態の混合装置1は、簡素化された構造であるため、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の混合装置1では、注入口15aに接続される注入管15cと、排出口16aに接続される排出管16cとが処理槽2の両側に直線状に配置されないため、混合装置1の設置スペースを小さくすることができるとともに、混合装置1のレイアウトの自由度を高めることができる。
【実施例
【0046】
次に、本発明の効果を確認した実施例および比較例について説明する。
実施例および比較例の混合装置1は、図3に示すように、左側壁40の内面41に四つの開口部A~Dを形成している。各開口部A~Dは円形の開口部である。
左側壁40の内面41の下縁部から開口部Aの中心位置までの高さは、左側壁40の内面41の高さの0.7倍である。
左側壁40の内面41の下縁部から開口部Bの中心位置までの高さは、左側壁40の内面41の高さの0.6倍である。
左側壁40の内面41の下縁部から開口部Cの中心位置までの高さは、左側壁40の内面41の高さの0.4倍である、
開口部Dは、左側壁40の内面41の下端部に配置されている。
【0047】
実施例では、開口部Aまたは開口部Bを注入口に設定し、その開口部Aまたは開口部Bよりも下方となる開口部B~Dを排出口に設定している。また、比較例では、開口部Cを注入口に設定し、開口部Dを排出口に設定している。
そして、注入口に設定された開口部A~Cから貯留室10内に被処理水および酸素を73~75L/minの流量で注入したときの処理水の溶解酸素量を測定した。
【0048】
なお、実施例および比較例では、被処理水および処理水の溶存酸素濃度の差から、被処理水に溶解した酸素量を求めた。
また、実施例および比較例では、排出口から排出される処理水の流量に溶存酸素値(DO値)の増加量を掛けた値を酸素溶解量として、処理水の酸素溶解量を測定した。
【0049】
図4の測定結果に示すように、注入口の高さが内面41の高さの0.5倍以上0.9倍以下の範囲内である場合には、注入口の高さが内面41の高さの0.4倍である比較例に比べて、溶解酸素量が大幅に高くなる。つまり、前記した高さの範囲内に注入口を配置することで、被処理水と酸素とを効率良く混ぜることができ、処理水の酸素濃度が高くなることが分かった。
【0050】
以上、本発明の本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、図1に示すように、汚水処理に用いた混合装置1について説明したが、本発明の混合装置を用いて混合可能な液体および流体の種類は限定されるものではない。例えば、液体に他の液体を混合してもよい。
【0051】
本実施形態の混合装置1において、貯留室10、注入口15aおよび排出口16aの形状や大きさは限定されるものではなく、要求される処理能力に応じて適宜に設定される。
【0052】
本実施形態の混合装置1では、左側壁40の内面41に注入口15aおよび排出口16aが配置されているが、注入口15aおよび排出口16aを右側壁50の内面51、前壁60の内面61または後壁70の内面71に配置してもよい。
【0053】
本実施形態の混合装置1では、注入口15aおよび排出口16aを左側壁40の内面41の前後方向の中央部に配置しているが、注入口15aおよび排出口16aを左側壁40の内面41の前部または後部に配置してもよい。また、注入口15aと排出口16aとを前後方向にずらしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の混合装置によれば、例えば、ビルの地下に設けられたビルピット、マンホールや工場などの排水(用水)施設に設置することが可能である。また、微細気泡化を活用する分野では、例えば水産物・農畜産物の成長促進や鮮度保持、食品の風味・食感の改質、精密機械・電子部品の洗浄や剥離、医療・医薬品、化粧品などの各種用途において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 混合装置
2 処理槽
10 貯留室
15 注入路
15a 注入口
15b 注入穴
15c 注入管
16 排出路
16a 排出口
16b 排出穴
16c 排出管
20 頂板
30 底板
40 左側壁
41 内面
50 右側壁
51 内面
60 前壁
70 後壁
80 胴部
図1
図2
図3
図4