(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】設定制御プログラム及び設定制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220329BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220329BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G06F3/12 304
G06F3/12 375
G06F3/12 364
G06F3/12 355
G06F3/12 353
H04N1/00 C
(21)【出願番号】P 2018017029
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】味岡 敬
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109738(JP,A)
【文献】特開2011-002506(JP,A)
【文献】特開2013-046349(JP,A)
【文献】特開2013-049213(JP,A)
【文献】特開2017-213728(JP,A)
【文献】特開2010-224591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0265547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 15/00-15/36
G03G 21/00-21/20
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブの修正を行う装置で動作する設定制御プログラムであって、
前記印刷ジョブに、期限日が設定されており、
前記装置に、
予め登録された前記印刷ジョブの設定情報を読み出して、各項目の設定値を修正可能に表示する第1処理、
いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部に退避させる第2処理、
前記印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない第1項目と設定値が修正された第2項目とに分類し、前記第1項目及び当該第1項目の設定値の組と前記第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とを識別可能にデータベースに登録する第3処理、を実行させ
、前記第3処理では、設定値を修正した項目であっても、前記期限日以降に設定値を修正した場合は、当該項目を前記第2項目に分類しない、
ことを特徴とする設定制御プログラム。
【請求項2】
前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行ったオペレータの情報が関連付けて登録されており、
前記第2処理では、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行ったオペレータの情報を関連付けて登録し、
前記第3処理では、設定操作を行ったオペレータとは異なるオペレータが前記項目の修正操作を行った場合に、当該項目を前記第2項目に分類する、
ことを特徴とする請求項1に記載の設定制御プログラム。
【請求項3】
前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行った部署が関連付けて登録されており、
前記第2処理では、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行った部署を関連付けて登録し、
前記第3処理では、設定操作を行った部署とは異なる部署で前記項目の修正操作が行われた場合に、当該項目を前記第2項目に分類する、
ことを特徴とする請求項1に記載の設定制御プログラム。
【請求項4】
前記第3処理では、前記印刷ジョブに設定されている納品日を前記期限日に設定する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の設定制御プログラム。
【請求項5】
前記第3処理では、前記印刷ジョブに含まれる文字列に基づいて前記期限日を設定する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の設定制御プログラム。
【請求項6】
前記印刷ジョブは、第1工程と、前記第1工程よりも後の第2工程と、に対する処理を指示するものであり、前記第2工程の処理を行う装置に、前記第1乃至第
3処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一に記載の設定制御プログラム。
【請求項7】
印刷ジョブの設定を行う第1装置と前記印刷ジョブの修正を行う第2装置とを含むシステムにおける設定制御方法であって、
前記印刷ジョブに、期限日が設定されており、
前記第1装置は、
前記印刷ジョブの設定操作を受け付け、当該印刷ジョブの設定情報を登録し、
前記第2装置は、
前記登録された印刷ジョブの設定情報を読み出して、各項目の設定値を修正可能に表示し、
いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部に退避させ、
前記印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない第1項目と設定値が修正された第2項目とに分類し、前記第1項目及び当該第1項目の設定値の組と前記第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とを識別可能にデータベースに登録
し、
前記第2装置は、設定値を修正した項目であっても、前記期限日以降に設定値を修正した場合は、当該項目を前記第2項目に分類しない、
ことを特徴とする設定制御方法。
【請求項8】
前記第1装置は、
前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行ったオペレータの情報を関連付けて登録し、
前記第2装置は、
設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行ったオペレータの情報を関連付けて登録し、
設定操作を行ったオペレータとは異なるオペレータが前記項目の修正操作を行った場合に、当該項目を前記第2項目に分類する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の設定制御方法。
【請求項9】
前記第1装置は、
前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行った部署を関連付けて登録し、
前記第2装置は、
設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行った部署を関連付けて登録し、
設定操作を行った部署とは異なる部署で前記項目の修正操作が行われた場合に、当該項目を前記第2項目に分類する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の設定制御方法。
【請求項10】
前記第2装置は、
前記印刷ジョブに設定されている納品日を前記期限日に設定する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の設定制御方法。
【請求項11】
前記第2装置は、
前記印刷ジョブに含まれる文字列に基づいて前記期限日を設定する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の設定制御方法。
【請求項12】
前記印刷ジョブは、第1工程と、前記第1工程よりも後の第2工程と、に対する処理を指示するものであり、前記第1装置が前記第1工程を実施し、前記第2装置が前記第2工程を実施する、
ことを特徴とする請求項
7乃至
11のいずれか一に記載の設定制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定制御プログラム及び設定制御方法に関し、特に、印刷ジョブの設定情報の登録を制御する設定制御プログラム及び設定制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷処理を行う場合、印刷設定画面の各項目を設定して印刷ジョブを生成するが、その設定作業を容易にするために、過去に実行した印刷ジョブの設定情報をデータベースに登録しておき、データベースを参照して機械学習により設定候補を提示するシステムが提案されている。
【0003】
ここで、印刷ジョブの設定は組み合わせによる制約条件が複雑であるため、適切な設定候補を抽出するには機械学習にかかるコストが大きくなる。また、印刷ジョブは設定する項目が多く、設定内容も複雑であるため、入力の間違いを起こしやすい。さらには、当初予測できなかった材料の相性を考慮しなければならない場合もある。そして、設定に問題があると無駄な生産物による損害が生じることから、禁則と呼ばれる問題のある設定の組み合わせを、予め印刷設定を行うソフトウェアに持たせて対処している。
【0004】
上記印刷設定を行うソフトウェアに関して、例えば、下記特許文献1には、コンピュータの応用ソフトからプリンタで印刷を行う場合に、基本ソフト上で動作するプリンタドライバであって、前記応用ソフトから印刷ジョブを受け付けた場合に印刷条件の設定及び確認する印刷条件設定確認手段と、前記印刷条件の内容を取得して履歴として記憶する印刷条件情報記憶手段と、前記印刷ジョブのために受け付けた文書データを前記印刷条件に基づいて、印刷データに変換する印刷データ生成手段と、前記印刷データの印刷に係る関連情報を取得して履歴として記憶する印刷データ情報取得記憶手段と、印刷中止と印刷中止理由とを入力して受け付ける印刷中止手段と、前記印刷中止を受け付けた場合に、印刷中止理由を含む印刷中止情報を取得して履歴として記憶する印刷中止情報記憶手段と、前記印刷条件情報と前記印刷データ情報と前記印刷中止情報と、を関連付けて記憶管理する情報管理手段と、前記情報管理手段により関連付けて記憶管理されている過去の前記印刷中止理由と前記印刷データ情報と前記印刷条件の内容と、受け付けた前記印刷ジョブの印刷データ情報と印刷条件の内容と、が予め設定された類似度の判定方法により類似しているか否かを判定する類似度判定手段と、前記類似度判定手段により類似していると判定された場合に、印刷を継続するか否かを表示して指示を入力する印刷継続入力手段と、を有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、印刷設定を行うソフトウェアで禁則を判断しているが、印刷では各工程で複数社の製品が入り混じることがあるため、事前に禁則を確実に想定することは困難である。この問題に対して、特許文献1では、印刷が中止されたジョブについての情報を保存しておき、その後の対策に利用できるようにしているが、この方法では、実際に印刷が中止になった後に、オペレータが明示的に印刷中止と印刷中止理由とを入力して登録しなければならず、作業の負荷が増大し、実用的な方法とは言えない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、印刷ジョブにおける問題のある項目をデータベースに登録する際のオペレータの入力負荷を軽減することができる設定制御プログラム及び設定制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1における設定制御プログラムは、印刷ジョブの修正を行う装置で動作する設定制御プログラムであって、前記印刷ジョブに、期限日が設定されており、前記装置に、予め登録された前記印刷ジョブの設定情報を読み出して、各項目の設定値を修正可能に表示する第1処理、いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部に退避させる第2処理、前記印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない第1項目と設定値が修正された第2項目とに分類し、前記第1項目及び当該第1項目の設定値の組と前記第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とを識別可能にデータベースに登録する第3処理、を実行させ、前記第3処理では、設定値を修正した項目であっても、前記期限日以降に設定値を修正した場合は、当該項目を前記第2項目に分類しないことを特徴とする。登録後に修正が行われた場合は、修正前の設定値の一部の組み合わせに問題点が含まれると判断し、修正した項目の修正前の設定値と修正していない項目の設定値との組み合わせが問題の原因の一端であること、修正していない項目の設定値同士の組み合わせは問題の原因でないことが強く示唆されることから、修正していない項目を確かな項目(第1項目)、修正した項目を不確かな項目(第2項目)として、それぞれを区別してデータベースに登録する。これにより、データベースを利用して技術者が確認、又は統計処理や機械学習などの手法を用いて処理することにより、禁則を新たに判別して設定することができる。また、請求項1の構成は印刷ジョブ特有の課題に対応する。定期刊行物や類似仕様の包装など、前回生産物の類似品目を生産することが印刷産業では頻繁に起こる。このとき、少々の仕様変更はよくあるが、この時にも前回の印刷ジョブの設定の一部に問題があるとしてしまうと、実際には製造が終了していて問題がない設定であるにもかかわらず、修正した項目が不確かな項目として登録されてしまい、データベースの精度が下がる。そこで、期限日以降に修正された項目は不確かな項目として登録しないことによってデータベースの精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2における設定制御プログラムは、前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行ったオペレータの情報が関連付けて登録されており、前記第2処理では、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行ったオペレータの情報を関連付けて登録し、前記第3処理では、設定操作を行ったオペレータとは異なるオペレータが前記項目の修正操作を行った場合に、当該項目を前記第2項目に分類することを特徴とする。一般的な設定制御プログラムが保存する項目と設定値の組に加え、各項目にオペレータの情報を関連付ける。同一人物が修正するケースは単なる選択ミスや入力ミスの可能性が高いため、不確かな項目としては登録しない。一方、他の人物、例えば確認権限を持つ上長や次工程の作業者が登録情報を確認し、問題点を発見して登録情報を修正した場合は、不確かな項目として登録する。これにより、単なるミスで修正した項目が不確かな項目として登録されることを防ぎ、データベースの精度を向上させることができる。
【0010】
請求項3における設定制御プログラムは、前記印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行った部署が関連付けて登録されており、前記第2処理では、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行った部署を関連付けて登録し、前記第3処理では、設定操作を行った部署とは異なる部署で前記項目の修正操作が行われた場合に、当該項目を前記第2項目に分類することを特徴とする。これにより、オペレータが同一であっても工程が異なる場合(例えば、あるオペレータが設計工程で設定を入力後、そのオペレータが印刷作業工程で間違いに気付いた場合など)にも、修正した項目を不確かな項目として登録することができ、データベースの精度を向上させることができる。
【0012】
請求項4における設定制御プログラムは、前記第3処理では、前記印刷ジョブに設定されている納品日を前記期限日に設定することを特徴とする。また、請求項5における設定制御プログラムは、前記第3処理では、前記印刷ジョブに含まれる文字列に基づいて前記期限日を設定することを特徴とする。請求項4と請求項5は請求項1における期限日の決め方の自動化に関わる。納品日以降であれば正常に生産されたと考えられるため、請求項4では納品日を期限日に設定する。請求項5では品名などに含まれる特徴的な単語を利用して期限日を設定する。例えば「月刊」といった文字列が含まれていれば一か月としたり、日本の商習慣であれば雑誌の発行日を過ぎてから生産することはないため発行日が記述されていればその発行日を期限日に設定したりする。これにより、期限の二重入力を不要としてオペレータの入力負荷を軽減することができる。
【0013】
請求項6における設定制御プログラムは、前記印刷ジョブは、第1工程と、前記第1工程よりも後の第2工程と、に対する処理を指示するものであり、前記第2工程の処理を行う装置に、前記第1乃至第3の処理を実行させることを特徴とする。印刷処理は、設計工程と印刷工程、印刷工程と後処理工程のように、複数の工程で構成されることが多く、前の工程で設定した内容を後の工程で修正する際に設定の組み合わせに問題があることが分かる。そこで、後の第2工程の処理を行う装置に上記第1乃至第3の処理を実行させることにより、オペレータの入力負荷を軽減することができる。
【0014】
請求項7乃至12における設定制御方法は、システムが実行する方法を規定する。印刷処理は、設計工程と印刷工程、印刷工程と後処理工程のように、複数の工程で構成されることが多く、前の工程で設定した内容を後の工程で修正する際に設定の組み合わせに問題があることが分かる。そこで、前の工程の処理を行う装置及び後の工程の処理を行う装置の各装置で行う処理を規定することにより、発明を明確にする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の設定制御プログラム及び設定制御方法によれば、印刷ジョブにおける問題のある項目をデータベースに登録する際のオペレータの入力負荷を軽減することができる。
【0016】
その理由は、印刷ジョブの修正を行う装置では、印刷ジョブに、期限日が設定されており、予め登録された印刷ジョブの設定情報を読み出して、各項目の設定値を修正可能に表示し、いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部に退避させ、印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない第1項目と設定値が修正された第2項目とに分類し、第1項目及び当該第1項目の設定値の組と第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とを識別可能にデータベースに登録し、設定値を修正した項目であっても、期限日以降に設定値を修正した場合は、当該項目を前記第2項目に分類しないからである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係る印刷システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る印刷システムの他の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る第1処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る第2処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る印刷システムの動作(全体処理)を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る印刷システムの動作(第2処理装置の比較処理)を示すフローチャート図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る第1処理装置に表示される印刷設定画面の一例である。
【
図8】本発明の一実施例に係る印刷設定画面の一部の項目及びその設定値の一例である。
【
図9】本発明の一実施例に係る印刷設定画面の一部の項目及びその設定値の一例(第1処理装置のオペレータ情報を関連付けた例)である。
【
図10】本発明の一実施例に係る印刷設定画面の一部の項目及びその設定値の一例(第2処理装置のオペレータ情報を関連付けた例)である。
【
図11】本発明の一実施例に係る記憶装置に記憶されるデータベースの登録情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
背景技術で示したように、印刷ジョブの設定は組み合わせによる制約条件が複雑であるため、適切な設定候補を抽出するには機械学習にかかるコストが大きく、また、印刷ジョブは設定する項目が多く、設定内容も複雑であるため、入力の間違いを起こしやすく、さらには、当初予測できなかった材料の相性を考慮しなければならない場合もある。そこで、印刷設定を行うソフトウェアで禁則を判断している。
【0019】
しかしながら、印刷では各工程で複数社の製品が入り混じることがあるため、事前に禁則を確実に想定することは困難である。この問題に対して、印刷が中止されたジョブについての情報を保存しておき、その後の対策に利用できるようにする方法が提案されているが、この方法では、実際に印刷が中止になった後に、オペレータが明示的に印刷中止と印刷中止理由とを入力して登録しなければならず、作業の負荷が増大する。
【0020】
例えば、印刷で不具合が生じたかどうかは、実際に印刷が完了しなければ分からず、特に、印刷工程が前工程と後工程とを含む複数の行程で構成される場合、前工程で設定した内容の適否を判断するのに、オペレータは後工程の処理が終了するまで待たなければならない。また、前工程と後工程とが別々の場所(例えば、前工程が印刷所、後工程が加工所など)で行われる場合は、前工程のオペレータは後工程が行われる場所に移動して結果を確認しなければならない。
【0021】
そこで、本発明の一実施の形態では、印刷ジョブで設定された項目の内の問題のある項目を特定し、当該項目を自動的にデータベースに登録することによって、オペレータの入力負荷を軽減する。具体的には、印刷ジョブの修正を行う装置では、予め登録された印刷ジョブの設定情報を読み出して、各項目の設定値を修正可能に表示し、いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部に退避させ、印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない確かな項目と設定値が修正された不確かな項目とに分類し、確かな項目及び当該項目の設定値の組と不確かな項目及び当該項目の修正前の設定値の組とを識別可能にデータベースに登録する。
【0022】
これにより、オペレータの入力負荷を軽減することができ、設定値に問題がない確かな項目と修正前の設定値に問題がある不確かな項目との関係を自動的に学習することができる。また、不確かな項目に対して設定時に注意喚起することができ、不適切な設定を未然に防止することができる。
【実施例】
【0023】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る設定制御プログラム及び設定制御方法について、
図1乃至
図11を参照して説明する。
図1及び
図2は、本実施例の印刷システムの構成を示す模式図であり、
図3は、第1処理装置の構成を示すブロック図、
図4は、第2処理装置の構成を示すブロック図である。また、
図5及び
図6は、本実施例の印刷システムの動作を示すフローチャート図であり、
図7は、本実施例の第1処理装置に表示される印刷設定画面の一例、
図8乃至
図10は、印刷設定画面の一部の項目及びその設定値の一例、
図11は、本実施例の記憶装置に記憶されるデータベースの登録情報の一例である。以下では、印刷処理が前工程と後工程で構成され、第1処理装置で印刷ジョブの設定を行って前工程を実施し、第2処理装置で印刷ジョブの設定を確認/修正して後工程を実施するものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施例の印刷システム10は、記憶装置20、第1処理装置30、第2処理装置40などで構成され、これらはイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク50を介して接続されている。
【0025】
なお、
図1では、第1処理装置30を画像形成装置とし、第2処理装置40を後処理装置としているが、
図2に示すように、第1処理装置30をコンピュータ装置などの設定装置とし、第2処理装置40を画像形成装置などの実処理を行う装置としてもよいし、第1処理装置30及び第2処理装置40をコンピュータ装置などの設定装置(例えば、第1処理装置30を営業部門のオペレータが入力する装置、第2処理装置40を設計部門のオペレータが入力する装置)としてもよい。
【0026】
また、本実施例では、第1工程を実施する場所に設置された第1処理装置30で印刷ジョブの設定操作を行い、第1工程よりも後の第2工程を実施する場所に設置された第2処理装置40で印刷ジョブの編集操作を行うものとするが、1つの処理装置を用いて、第1工程を実施する場所で印刷ジョブの設定操作を行い、第2工程を実施する場所で印刷ジョブの編集操作を行う構成としてもよい。以下、
図1の構成を前提にして、各装置について説明する。
【0027】
[記憶装置]
記憶装置20は、印刷ジョブの設定情報(印刷設定画面における各項目の設定値)をデータベースとして記憶する装置である。本実施例では、データベースは、第2処理装置40で第1処理装置30の設定値が修正されていない確かな項目と設定値が修正された不確かな項目とに分類され、確かな項目及び当該項目の設定値の組と不確かな項目及び当該項目の修正前の設定値の組とが識別可能に登録されている。なお、不確かな項目に関しては、修正前後の設定値を組み合わせて登録してもよい。
【0028】
[第1処理装置]
第1処理装置30は、印刷ジョブで指定された工程の内の前工程(本実施例では印刷工程)を実施するMFP(Multi-Functional Peripherals)などの画像形成装置である。この第1処理装置30は、
図3(a)に示すように、制御部31、記憶部35、ネットワークI/F部36、表示操作部37、画像処理部38、印刷処理部39などで構成される。
【0029】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)32とROM(Read Only Memory)33やRAM(Random Access Memory)34などのメモリとで構成され、CPU32は、ROM33や記憶部35に記憶した制御プログラムをRAM34に展開して実行することにより、第1処理装置30全体の動作を制御する。
【0030】
上記制御部31は、
図3(b)に示すように、オペレータ特定部31a、印刷ジョブ設定部31bなどとして機能する。
【0031】
オペレータ特定部31aは、表示操作部37によって入力されたユーザ情報と、記憶部35などに予め登録された情報と、を比較することにより、第1処理装置30を操作(印刷ジョブを設定)するオペレータを特定する。なお、ユーザ情報は表示操作部37によって入力された情報に限らず、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどに記憶された情報、指紋情報や声紋情報、虹彩情報などの生体情報などを利用することができる。
【0032】
印刷ジョブ設定部31bは、表示操作部37に印刷設定画面を表示させ、印刷設定画面の各項目に対する設定操作を受け付け、各項目の設定値に基づいて印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを記憶装置20や第2処理装置40に出力することにより、当該印刷ジョブの設定情報を登録する。また、印刷ジョブ設定部31bは、必要に応じて、印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目に設定操作を行ったオペレータの情報や部署を関連付けて登録する。
【0033】
なお、
図2の構成の場合、上記印刷ジョブ設定部31bの機能は、プリンタドライバ又はダイレクトプリントユーティリティに持たせることができる。例えば、PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)の印刷ジョブを生成する場合は、プリンタドライバに印刷ジョブ設定部31bの機能を持たせ、プリンタドライバが表示する印刷設定画面で設定操作を受け付けることができる。また、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)、OOXML(Office Open XML)、ODF(OpenDocument Format)などのダイレクトプリントが可能な印刷ジョブを生成する場合は、ダイレクトプリントユーティリティに印刷ジョブ設定部31bの機能を持たせ、ダイレクトプリントユーティリティが表示する印刷設定画面で設定操作を受け付けることができる。
【0034】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU22が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、印刷ジョブ設定部31bが生成した印刷ジョブ、画像処理部38が生成した画像データなどを記憶する。
【0035】
ネットワークI/F部36は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、第1処理装置30を通信ネットワーク50に接続し、記憶装置20や第2処理装置40に印刷ジョブを送信する。
【0036】
表示操作部37は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面を表示し、印刷に関する各種操作を可能にする。本実施例では、特に、印刷設定画面を表示し、印刷ジョブの設定操作を可能にする。
【0037】
画像処理部38は、RIP部(Raster Image Processor)として機能し、ジョブを翻訳して中間データを生成し、レンダリングを行ってビットマップ形式の画像データを生成する(この一連の処理をRIP処理と呼ぶ。)。また、画像処理部38は、必要に応じて、画像データに対して、スクリーン処理、階調補正、濃度バランス調整、細線化、網点処理などを行う。そして、画像処理部38は、生成した画像データを印刷処理部39に出力する。
【0038】
印刷処理部39は、画像データに基づいて印刷処理を実行する。この印刷処理部39は、画像データに基づいてレーザ光を照射して露光する露光部と、感光体ドラムと現像部と帯電部と感光体クリーニング部と1次転写ローラとを備え、CMYKの各色のトナー像を形成する画像形成部と、ローラによって回転され、画像形成部で形成されたトナー像を用紙に搬送する中間転写体として機能する中間ベルトと、中間ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する2次転写ローラと、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部と、用紙を搬送する給紙ローラやレジストローラ、ループローラ、反転ローラ、排紙ローラ等の搬送部などで構成される。
【0039】
[第2処理装置]
第2処理装置40は、印刷ジョブで指定された工程の内の後工程(本実施例では後処理工程)を実施する後処理装置などである。この第2処理装置40は、
図4(a)に示すように、制御部41、記憶部45、ネットワークI/F部46、表示操作部47、後処理部48などで構成される。
【0040】
制御部41は、CPU42とROM43やRAM44などのメモリとで構成され、CPU42は、ROM43や記憶部45に記憶した制御プログラムをRAM44に展開して実行することにより、第2処理装置40全体の動作を制御する。
【0041】
上記制御部41は、
図4(b)に示すように、オペレータ特定部41a、設定情報確認部41b、設定情報登録部41cなどとして機能する。
【0042】
オペレータ特定部41aは、表示操作部47によって入力されたユーザ情報と、記憶部45などに予め登録された情報と、を比較することにより、第2処理装置40を操作(印刷ジョブの設定値を修正)するオペレータを特定する。なお、ユーザ情報は表示操作部47によって入力された情報に限らず、例えば、RFIDタグなどに記憶された情報、指紋情報や声紋情報、虹彩情報などの生体情報などを利用することができる。
【0043】
設定情報確認部41bは、記憶部45や記憶装置20に予め登録された印刷ジョブの設定情報を読み出し、表示操作部47に各項目の設定値を修正可能に表示する。
【0044】
設定情報登録部41cは、いずれかの項目の設定値を修正する際に、当該項目の修正前の設定値を記憶部45などに退避させる。そして、印刷ジョブの各項目を、設定値が修正されていない確かな(問題にない)項目(第1項目と呼ぶ。)と設定値が修正された不確かな(問題のある)項目(第2項目と呼ぶ。)とに分類し、第1項目及び当該第1項目の設定値の組と第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とを識別可能に(例えば、第2項目にフラグを設定するなどして)データベースに登録する。また、印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行ったオペレータの情報が関連付けて登録されている場合は、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行ったオペレータの情報を関連付けて登録し、設定操作を行ったオペレータとは異なるオペレータが上記項目の修正操作を行った場合に、当該項目を第2項目に分類する。また、印刷ジョブに、当該印刷ジョブの各項目の設定操作を行った部署が関連付けて登録されている場合は、設定値を修正した項目に、当該項目の修正操作を行った部署を関連付けて登録し、設定操作を行った部署とは異なる部署で上記項目の修正操作が行われた場合に、当該項目を第2項目に分類する。また、印刷ジョブに期限日が設定されている場合は、設定値を修正した項目であっても、期限日以降に設定値を修正した場合は、当該項目を前記第2項目に分類しない。上記期限日は、印刷ジョブに設定されている納品日に設定してもよいし、印刷ジョブに含まれる文字列に基づいて設定してもよい。
【0045】
なお、上記オペレータ特定部41a、設定情報確認部41b、設定情報登録部41cはハードウェアとして構成してもよいし、制御部41を、オペレータ特定部41a、設定情報確認部41b、設定情報登録部41c(特に、設定情報確認部41b、設定情報登録部41c)として機能させる設定制御プログラムとして構成し、当該設定制御プログラムをCPU42に実行させるようにしてもよい。
【0046】
記憶部45は、HDDやSSDなどで構成され、CPU42が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、記憶装置20から取得、又は、第1処理装置30から受信した印刷ジョブ、第1項目と第2項目の分類結果、修正操作が行われた項目の修正前の設定値などを記憶する。
【0047】
ネットワークI/F部46は、NICやモデムなどで構成され、第2処理装置40を通信ネットワーク50に接続し、第1処理装置30から印刷ジョブを受信したり、記憶装置20から印刷ジョブを取得したり、記憶装置20に設定情報を送信したりする。
【0048】
表示操作部47は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面を表示し、印刷に関する各種操作を可能にする。本実施例では、特に、印刷ジョブの各項目の設定値を修正可能に表示し、設定値の修正操作を可能にする。
【0049】
後処理部48は、第1処理装置(画像形成装置)30が印刷出力した用紙に対して、パンチ、ステープル、折り、小冊子、断裁などのユーザの希望する後処理を加えて出力する。
【0050】
なお、
図1乃至
図4は、本実施例の印刷システム10の一例であり、本実施例の設定制御が実施可能な限りにおいて、各装置の構成や制御は適宜変更可能である。例えば、
図1及び
図2では、第1処理装置30と第2処理装置40と記憶装置20とを別々の装置としたが、記憶装置20を第1処理装置30又は第2処理装置40に含める(第1処理装置30の記憶部35又は第2処理装置40の記憶部45にデータベースを保存する)場合は、記憶装置20を省略してもよい。また、本実施例では、第1処理装置30を画像形成装置、第2処理装置40を後処理装置としているが、第1処理装置30が前工程、第2処理装置40が前工程よりも後の後工程を実施すればよく、前工程及び後工程の内容は任意に設定することができる。
【0051】
以下、本実施例の印刷システム10の動作について具体的に説明する。第2処理装置40のCPU42は、ROM43又は記憶部45に記憶した設定制御プログラムをRAM44に展開して実行することにより、
図5のフローチャート図に示すS104以降の処理及び
図6のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0052】
まず、第1処理装置30の制御部31(オペレータ特定部31a)は、必要に応じて、第1処理装置30を操作するオペレータを特定する。そして、制御部31(印刷ジョブ設定部31b)は、表示操作部37に、例えば
図7に示すような印刷設定画面60を表示させて設定値の入力を受け付け(S101)、各項目に対して入力された設定値を記憶装置20に登録したり第2処理装置40に送信したりする(S102)。その際、必要に応じて、入力された設定値にオペレータ情報を関連付ける。その後、第1処理装置30が実処理を行う装置の場合は、印刷設定画面60の設定に従って第1工程の処理(例えば、画像処理部38による画像データの生成処理、及び、印刷処理部39による用紙への画像形成処理)を実行する(S103)。
【0053】
次に、第2処理装置40の制御部41(オペレータ特定部41a)は、必要に応じて、第2処理装置40を操作するオペレータを特定する。次に、制御部41(設定情報確認部41b)は、記憶部45や記憶装置20に予め登録された印刷ジョブの設定情報を読み出し、表示操作部47に各項目の設定値を修正可能に表示する(S104)。そして、制御部41(設定情報確認部41b)は、設定値の修正を受け付ける時に、直前まで保存されていた設定値(前設定値)を記憶部45などに退避させ(S105)、設定値が修正されたら(S106)、修正された設定値を記憶部45などに登録する(S107)。その際、必要に応じて、退避させた前設定値及び修正された設定値にオペレータ情報を関連付ける。
【0054】
次に、制御部41(設定情報登録部41c)は、S105で退避させた前設定値とS107で登録した修正後の設定値とを比較する処理を行う(S108)。
【0055】
図6は、このステップの詳細を示しており、まず、1つの項目を選択し(S201)、、設定値が修正されたかを判断する(S202)。設定値が修正された場合は、必要に応じて、設定操作を行ったオペレータと修正操作を行ったオペレータとが同じであるか(又は、設定操作を行った部署と修正操作を行った部署とが同じであるか)を判断する(S203)。双方のオペレータが異なる(又は、双方の部署が異なる)場合は、必要に応じて、設定値の修正日が予め設定された期限日以降であるかを判断する(S204)。
【0056】
設定値が修正されていない場合(S202のNo)、又は、双方のオペレータが同じ(又は双方の部署が同じ)である場合(S203のYes)、又は、設定値の修正日が期限日以降の場合は(S204のYes)、当該項目を確かな項目(第1項目)に分類する(S206)。一方、設定値が修正されており(S202のYes)、双方のオペレータ(又は部署)が異なり(S203のNo)、設定値の修正日が期限日より前の場合は(S204のNo)、当該項目を不確かな項目(第2項目)に分類する(S205)。その後、全ての項目を選択したかを判断(S207)、選択していない項目がある場合は(S207のNo)、S201に戻って、次の項目に関して同様の処理を繰り返す。全ての項目を選択したら(S207のYes)、第1項目及び当該第1項目の設定値の組と、第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組と、を作成する(S208)。
【0057】
図5に戻って、設定値の比較後、制御部41(設定情報登録部41c)は、第1項目及び当該第1項目の設定値の組と、第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組とをデータベースとして利用可能に記憶装置20に登録する(S109)。その際、第2項目及び当該第2項目の修正前の設定値の組にフラグを立てるなどして、第2項目を識別可能にすることが好ましい。その後、制御部41は、修正を続けるかを判断し(S110)、修正を続ける場合は(S110のYes)、S105に戻って同様の処理を繰り返し、この処理を各工程の設定が完了するまで繰り返し実行する。そして、修正を終了する場合は(S110のNo)、修正した設定値に従って第2工程の処理(例えば、後処理部48による後処理)を実行する(S111)。
【0058】
以下、具体例を挙げて説明する。
【0059】
図7は、第1処理装置30の表示操作部37に表示される印刷設定画面60の一例であり、この印刷設定画面60には、前工程と後工程の双方に関する項目が表示され、各項目に対して設定値が入力される。
図8は、印刷設定画面60で設定する項目の中の一部を抜き出したものであり、ここでは、印刷方式、仕上がりサイズ、用紙サイズ、製本方式、納期などの各項目に対して設定値が入力されている。これらの設定情報が、営業担当者(オペレータA)が仮に入力したものである場合は、例えば
図9に示すように、各項目にオペレータの属性が関連付けて登録される。
【0060】
次工程(後工程)の設計部門にて当該印刷ジョブのオペレータBが仕上がりサイズと用紙サイズに対して問題点を発見し、
図10に示すように用紙サイズをA4からA3に修正したとする。この場合、「用紙サイズ」の項目については、設定値が異なり、かつ、オペレータが異なるため、
図11に示すように、当該項目と修正前の設定値「用紙サイズ:A4」の組を不確かな設定内容としてデータベースに登録し、その他の未修正の項目とその設定値の組を確かな設定内容としてデータベースに登録する。このとき、納期のような個別性が高い項目は登録を省略することができる。
【0061】
そして、この不確かな設定内容と確かな設定内容とを、技術者が個別に確認したり、統計処理や機械学習などを用いて処理したりすることにより、新たな禁則項目を判別して設定することができる。このケースでは、「印刷方式:DEP」と「仕上がりサイズ:A4」と「製本方式:中綴じ」の条件であれば「用紙サイズ:A4」は好ましくないといった禁則を新たに設定することができる。
【0062】
このように、前工程で設定した項目に対して、後工程で設定が変更された場合に、その項目の設定値は不確かであると判断し、その項目を識別できるようにして自動的にデータベースを構築することにより、オペレータの入力負荷を軽減することができ、設定値に問題がない確かな項目と修正前の設定値に問題がある不確かな項目との関係を自動的に学習することができる。また、不確かな項目に対して設定時に注意喚起することができ、不適切な設定を未然に防止することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、印刷システムの構成や制御は適宜変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施例では、第1処理装置30を画像形成装置とし、第2処理装置40を後処理装置とする場合について記載したが、第1処理装置30をコンピュータ装置などの設定装置とし、第2処理装置40を画像形成装置などの実処理を行う装置としたり、第1処理装置30及び第2処理装置40をコンピュータ装置などの設定装置としたりする場合に対しても、本発明の設定制御方法を同様に適用することができる。
【0065】
また、上記実施例では、設定項目として、印刷方式、仕上がりサイズ、用紙サイズ、製本方法、納期を例示したが、設定項目は任意であり、適宜変更することができる。また、上記実施例では、印刷処理を行うシステムに関して記載したが、一方の装置で設定操作を行い、他方の装置で修正操作を行う任意のシステムに対して、本発明の設定制御方法を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、印刷ジョブの設定情報の登録を制御する設定制御プログラム、当該設定制御プログラムを記録した記録媒体及び設定制御方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 印刷システム
20 記憶装置
30 第1処理装置
31 制御部
31a オペレータ特定部
31b 印刷ジョブ設定部
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 ネットワークI/F部
37 表示操作部
38 画像処理部
39 印刷処理部
40 第2処理装置
41 制御部
41a オペレータ特定部
41b 設定情報確認部
41c 設定情報登録部
42 CPU
43 ROM
44 RAM
45 記憶部
46 ネットワークI/F部
47 表示操作部
48 後処理部
50 通信ネットワーク
60 印刷設定画面