(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20220329BHJP
H04W 4/90 20180101ALI20220329BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20220329BHJP
【FI】
H04W72/04 131
H04W4/90
H04W4/44
(21)【出願番号】P 2018041571
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 弘毅
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/114838(WO,A1)
【文献】特開2009-118153(JP,A)
【文献】特開2014-225842(JP,A)
【文献】国際公開第2009/137375(WO,A1)
【文献】Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,On congestion control for V2V communication[online], 3GPP TSG-RAN WG1#86 R1-167802,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_1796/Docs/R1-167802.zip>,2016年08月12日
【文献】LG Electronics,Solution for Key Issue#4 and Key Issue#7 for PC5 based V2X message transmission[online], 3GPP TSG-SA WG2#114 S2-161527,インターネット:<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_114_Sophia_Antipolis/Docs/S2-161527.zip>,2016年04月05日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自通信装置にあらかじめ設定された自送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を基地局に送信する送信部と、
他の通信装置から、該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信する受信部と、
前記受信部が、特定信号を受信した場合に、前記自通信装置の送信周期を延長し、前記自送信順位及び前記他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出し、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記送信部を制御する制御部と、を備える、通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記自通信装置が特定状態になった場合に、
前記特定信号及び前記自通信装置にあらかじめ設定されている送信順位を送信させるとともに、前記送信周期を短縮し、前記送信順位を最先に繰り上げて、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記送信部を制御する
、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
複数の通信装置と、基地局とから構成される通信システムにおいて、
各通信装置は、あらかじめ設定された送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を含む送信信号を基地局に送信する送信部と、他の通信装置から該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信する受信部と、特定状態の通信装置が発生した場合に、自通信装置の送信周期を変更するとともに、自送信順位及び他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出し、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記送信部を制御する制御部と、を備え、
第1の通信装置が特定状態になった場合、前記第1の通信装置の制御部は自通信装置の送信周期を短縮し、前記送信順位を最先に繰り上げて位置情報を前記基地局に送信するように前記第1の通信装置の送信部を制御し、前記第1の通信装置以外の通信装置の制御部はそれぞれ自通信装置の送信周期を延長し、前記自通信装置の送信順位及び前記第1の通信装置の送信順位を比較して位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングをそれぞれ算出し、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記自通信装置の送信部を制御する、通信システム。
【請求項4】
あらかじめ設定された送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を含む送信信号を基地局に送信するステップと、
他の通信装置から該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信するステップと、
特定状態の通信装置が発生した場合に、自通信装置の送信周期を変更するとともに、自送信順位及び他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出するステップと、
前記位置情報を前記基地局に送信するステップと、を有し、
第1の通信装置が特定状態になった場合に、特定信号を送信して、自通信装置の送信周期を短縮し、前記送信順位を最先に繰り上げて前記位置情報を前記基地局に送信するステップと、
前記特定信号を受信した場合に、それぞれ自通信装置の送信周期を延長し、前記自通信装置の送信順位及び前記第1の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングをそれぞれ算出し、前記基地局に送信するステップと、
を含む、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の通信装置から周期的に情報を受信することによって、各通信装置から情報を収集する技術が知られている。
【0003】
特許文献1は、GPS(Global Positioning System)から得られる時刻情報に基づいて、ターミナル局ごとに固有の送信タイミングを算出することによって、ターミナル局同士の送信タイミングが重複しないデータ伝送システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の移動局と、基地局とから構成される通信システムにおいて、各移動局は、あらかじめ設定された送信順位と、送信周期とに従って、自身の位置情報を基地局に送信する。ここで、複数の移動局のうち、特定の移動局で緊急事態が発生した場合には、その移動局は、基地局に現在地を正確に伝えるために、短い送信周期で位置情報を基地局に送信することが望ましい。しかしながら、特許文献1には、例えば、緊急事態の発生時のような特定のタイミングを境にして、送信周期のみを短くし、かつ他の移動局との送信タイミングと重複しないようにする移動局に関する技術の記載はない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、特定状態である場合には送信周期を短くし、かつ他の通信装置と送信タイミングが重複することを防止できる通信装置、通信システム、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の通信装置は、自通信装置にあらかじめ設定された自送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を基地局に送信する送信部と、他の通信装置から、該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信する受信部と、前記受信部が特定信号を受信した場合に、前記自通信装置の送信周期を延長し、前記自送信順位及び前記他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出し前記位置情報を前記基地局に送信するように前記送信部を制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の第3の態様の通信システムは、複数の通信装置と、基地局とから構成される通信システムにおいて、各通信装置は、あらかじめ設定された送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を含む送信信号を基地局に送信する送信部と、他の通信装置から該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信する受信部と、特定状態の通信装置が発生した場合に、自通信装置の送信周期を変更するとともに、自送信順位及び他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出し、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記送信部を制御する制御部と、を備え、第1の通信装置が特定状態になった場合、前記第1の通信装置の制御部は自通信装置の送信周期を短縮し、前記送信順位を最先に繰り上げて位置情報を前記基地局に送信するように前記第1の通信装置の送信部を制御し、前記第1の通信装置以外の通信装置の制御部はそれぞれ自通信装置の送信周期を延長し、前記自通信装置の送信順位及び前記第1の通信装置の送信順位を比較して位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングをそれぞれ算出し、前記位置情報を前記基地局に送信するように前記自通信装置の送信部を制御する。
【0010】
本阿発明の第4の態様の通信方法は、あらかじめ設定された送信順位及び送信周期に従って、自身の位置情報を含む送信信号を基地局に送信するステップと、他の通信装置から該他の通信装置にあらかじめ設定されている送信順位及び受信信号を受信するステップと、特定状態の通信装置が発生した場合に、自通信装置の送信周期を変更するとともに、自送信順位及び他の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングを算出するステップと、前記位置情報を前記基地局に送信するステップと、を有し、第1の通信装置が特定状態になった場合に、特定信号を送信して、自通信装置の送信周期を短縮し、前記送信順位を最先に繰り上げて前記位置情報を前記基地局に送信するステップと、前記特定信号を受信した場合に、それぞれ自通信装置の送信周期を延長し、前記自通信装置の送信順位及び前記第1の通信装置の送信順位を比較して前記位置情報を前記基地局に送信する送信タイミングをそれぞれ算出し、前記基地局に送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定状態である場合には送信周期を短くし、かつ他の通信装置と送信タイミングが重複することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る通信システムの動作の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る通信システムの通常状態における動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る通信システムの緊急状態における動作の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る通信システムの緊急状態における動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る通信システムの緊急状態が解除された場合における動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る通信システムの緊急状態における動作の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る通信装置が緊急信号を受信した場合の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る通信装置が緊急信号を送信する場合の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一の符号を付して適宜説明は省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【0015】
図1に示すように、通信システム1は、第1の移動局10-1と、第2の移動局10-2と、・・・、第Nの移動局10-Nと、基地局20とを含む。本実施形態では、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、例えば、無線機などの通信装置が搭載された車両である。無線機が搭載された車両としては、例えば、タクシー、パトカー、救急車、消防車、ごみの収集車、レッカー車、スクールバス、警備車両、現金輸送車が挙げられる。また、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、ハンディタイプの無線機を携帯している人物(例えば、警備員)であってもよい。基地局20は、通信装置が搭載された車両、例えば、タクシー、パトカー、救急車、消防車、ごみの収集車、レッカー車、スクールバス、警備車両、現金輸送車の位置情報などを管理する管理センタに設置されている。
【0016】
第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、それぞれ、無線ネットワーク30を介して基地局20と接続されている。第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、無線ネットワーク30を介して、自身の位置情報を基地局20に送信する。第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nには、それぞれ、自身の位置情報を基地局20に送信する順番(送信順位)と、送信周期と、送信間隔とが、あらかじめ設定されている。具体的には、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nには、それぞれ異なる送信順位が設定されている。第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nには、それぞれ同一の送信周期と、送信間隔とが設定されている。このため、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、自身の位置情報を送信するタイミングが他の移動局と重ならないように、それぞれ異なるタイミングで、かつ周期的に自身の位置情報を基地局20に送信する。本実施形態において、通信システム1を構成する移動局の台数に制限はないが、例えば、数十~数百台である。
【0017】
送信周期とは、ある移動局が自身の位置情報を基地局20に送信した後、次に自身の位置情報を送信するまでの間隔を意味する。送信間隔とは、送信順位がN番目の移動局が基地局20に自身の位置情報を送信した後、N+1番目の移動局が基地局20に自身の位置情報を送信するまでの時間の間隔を意味する。
【0018】
基地局20は、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nのそれぞれから送信された位置情報を受信する。基地局20は、受信した位置情報に基づいて、第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nの現在位置を常時把握することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る通信システムの動作を説明するための図である。
図2を用いて、通信システム1が、第1の移動局10-1と、第2の移動局10-2と、第3の移動局10-3とを含む場合について説明する。
【0020】
通信システム1において、各移動局が基地局20に自身の位置情報を送信する送信タイミングは、タイムマークによって規定されている。タイムマークは、移動局ごとに設定されており、具体的には、以下の式で求めることができる。
タイムマーク=(送信順位-1)×送信間隔・・・(1)
【0021】
複数の移動局が、自身の位置情報を同一チャンネルで基地局20に送信する場合、位置情報を送信するタイミングが他の移動局と重ならないように、各移動局は、例えば、全ての移動局と同期したタイムスロットを保持している。この場合、各移動局は、自身が保持するタイムスロットに従って、自身の位置情報を基地局20に送信する。タイムスロットとは、例えば、各移動局が、内蔵または外付けのGPSレシーバからUTC(協定世界時)を取得し、取得した時刻の分と秒とに基づいて、下記の式で表した0~3599の値のことを意味する。
タイムスロット=分×60+秒・・・(2)
【0022】
図2に示すように、第1の移動局10-1、第2の移動局10-2、および第3の移動局10-3には、それぞれ、送信周期として「6」、送信間隔として「2」が設定されている。第1の移動局10-1には、送信順位として「1」、タイムマークとして「0」が設定されている。第2の移動局10-2には、送信順位として「2」、タイムマークとして「2」が設定されている。第3の移動局10-3には、送信順位として「3」、タイムマークとして「4」が設定されている。この場合、第1の移動局10-1は、タイムスロットが「0」の時点で位置情報a1を、タイムスロットが「6」の時点で位置情報a2を基地局20に送信する。この場合、位置情報a1の送信時刻と、位置情報a2の送信時刻との時間間隔が、第1の移動局10-1に設定されている送信周期である。第2の移動局10-2は、タイムスロットが「2」の時点で位置情報b1を、タイムスロットが「8」の時点で位置情報b2を基地局20に送信する。この場合、位置情報b1の送信時刻と、位置情報b2の送信時刻との時間間隔が、第2の移動局10-2に設定されている送信周期である。また、位置情報a1の送信時刻と、位置情報b1の送信時刻との間の時間間隔が各移動局に設定されている送信間隔である。第3の移動局10-3は、タイムスロットが「4」の時点で位置情報c1を、タイムスロットが「10」の時点で位置情報c2を基地局20に送信する。この場合、位置情報c1の送信時刻と、位置情報c2の送信時刻との時間間隔が、第3の移動局10-3に設定された送信周期である。また、位置情報b1の送信時刻と、位置情報c1の送信時刻との間の時間間隔が、各移動局に設定された送信間隔である。また、位置情報c1の送信時刻と、位置情報a2の送信時刻との間の時間間隔が各移動局に設定された送信間隔である。より具体的には、各移動局は、現在のタイムスロットを自身の送信周期で割り、その余りが自身のタイムマークと一致したとき、位置情報を基地局20に送信する。
【0023】
図3を用いて、通常状態の移動局が自身の位置情報を基地局に送信する動作の流れについて説明する。
図3は、本実施形態の通信システムにおいて、通常状態の3つの移動局が基地局に位置情報を送信する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0024】
図3に示すように、第1の移動局10-1は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS101)。次に、第2の移動局10-2は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS102)。次に、第3の移動局10-3は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS103)。以降、通信システム1は、ステップS101~ステップS103の処理を繰り返す。
【0025】
再び
図1を参照する。第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、それぞれ、通常状態から特定状態になった場合に、無線ネットワーク30を介して、自局以外の移動局と、基地局20とに特定信号と、自身の送信順位とを送信する。例えば、第1の移動局10-1が特定状態になった場合には、第1の移動局10-1は、第2の移動局10-2~第Nの移動局10-Nと、基地局20とに特定信号と、自身の送信順位とを送信する。第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは、それぞれ、特定状態が解消された場合に、自局以外の移動局と、基地局20とに特定解除信号を送信する。
【0026】
特定状態とは、基地局に対して、他の移動局よりも優先的に位置情報を送信することが望ましい状態のことを意味する。例えば、特定状態は、タクシーなどにおいて、強盗に襲われた、急病人が発生した、不審車両または不審人物を発見した場合の緊急状態である。特定信号とは、ある移動局が特定状態になった場合に、他の移動局と、基地局とに対して、特定状態であることを通知するために送信する信号のことを意味する。例えば、特定信号は、緊急状態の時に送信する緊急信号である。
【0027】
第1の移動局10-1~第Nの移動局10-Nは同様の構成をしている。したがって、第2の移動局10-2が緊急状態になって緊急信号を送信し、第1の移動局10-1が緊急信号を受信する場合の第1の移動局10-1と、第2の移動局10-2との動作について説明する。以後、特定状態が緊急状態であるものとして説明するが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。
【0028】
第2の移動局10-2は、緊急状態になった場合に、自身の送信順位と、緊急信号とを第1の移動局10-1と、基地局20とに送信する。第2の移動局10-2は、緊急状態になった場合に、あらかじめ設定されている自身の送信周期を短縮する。第2の移動局10-2は、緊急状態になった場合に、あらかじめ設定されている自身の送信順位を最先の送信順位に繰り上げる。第2の移動局10-2は、変更された送信周期と、送信順位とに従って、自身の位置情報を基地局20に送信する。すなわち、第2の移動局10-2は、緊急状態になると、あらかじめ設定された送信周期と、送信順位とを自動的に変更する。また、第2の移動局10-2は、緊急状態が解消されると、緊急解除信号を第1の移動局10-1と、基地局20とに送信する。第2の移動局10-2は、緊急状態が解消されると、変更されている送信周期と、送信順位とをリセットして元に戻す。
【0029】
第1の移動局10-1は、緊急信号を受信した場合に、あらかじめ設定されている送信周期(第1の送信周期とも呼ばれる)を延長し、第1の送信周期よりも周期の長い送信周期(第2の送信周期とも呼ばれる)に変更する。第1の移動局10-1は、あらかじめ設定されている送信順位(第1の送信順位とも呼ばれる)と、第2の移動局10-2に設定されている送信順位(第2の送信順位とも呼ばれる)とに基づいて、基地局20に対して位置情報を送信する送信タイミング(タイムマーク)を算出する。詳細は後述するが、第1の移動局10-1は、第1の送信順位が第2の送信順位よりも高い場合には送信順位を1つ繰り下げ、第1の送信順位が第2の送信順位よりも低い場合には送信順位を変更しない。第1の移動局10-1は、第2の送信周期と、算出された送信タイミングとに従って、自身の位置情報を基地局20に送信する。すなわち、第1の移動局10-1は、緊急信号を受信すると、送信周期と、送信順位と、送信タイミングとを自動的に変更する。第1の移動局10-1は、緊急解除信号を受信すると、変更された送信周期と、送信順位と、送信タイミングとをリセットして元に戻す。
【0030】
図4を用いて、緊急状態における移動局の動作について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る通信システムの緊急状態における動作を説明するための図である。
図4は、
図2において、第2の移動局10-2が緊急状態となり、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3とに緊急信号を送信した場合を示している。
【0031】
図4に示すように、第2の移動局10-2は、送信順位が最先に繰り上げられており、送信周期が「6」から「4」に短縮されている。通常状態では送信順位が第2の移動局10-2よりも高い第1の移動局10-1は、送信順位が「1」から「2」に1つ繰り下がり、タイムマークが「0」から「2」に変更され、送信周期が「6」から「8」に延長されている。通常状態では送信順位が第2の移動局10-2よりも低い第3の移動局10-3は、送信順位に変更はないが、タイムマークが「4」から「6」に変更され、送信周期が「6」から「8」に延長されている。なお、通常状態から緊急状態に変更しても、送信間隔に変更はない。
【0032】
第1の移動局10-1は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報a1と、位置情報a2との位置情報を基地局20に送信する。第2の移動局10-2は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報b1と、位置情報b2と、位置情報b3と、位置情報b4との位置情報を基地局20に送信する。第3の移動局10-3は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報c1と、位置情報c2との位置情報を基地局20に送信する。すなわち、第2の移動局10-2は、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3とに比べて、短い周期で多くの位置情報を基地局に20に送信する。また、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3の送信周期と、送信タイミングも変更されているので、第1の移動局10-1と、第2の移動局10-2と、第3の移動局10-3との間で位置情報を送信するタイミングが重複することもない。
図4では、第2の移動局10-2、第1の移動局10-1、第2の移動局10-2、第3の移動局10-3の順に、基地局20に位置情報の送信を繰り返す。この場合、通常状態の移動局が位置情報を基地局20に送信し、次に送信するまでの間に、緊急状態の移動局は位置情報を基地局20に2回送信することとなる。緊急状態の移動局と、通常状態の移動局が基地局20に位置情報を送信する回数の割合は、例示であり、本発明を限定するものではない。例えば、通常状態の移動局が位置情報を基地局20に送信し、次に送信するまでの間に、緊急状態の移動局は位置情報を基地局20に3回以上送信するようにしてもよい。すなわち、緊急状態の移動局の送信周期は、通常状態の移動局の送信周期よりも少なくとも短ければよい。
【0033】
具体的には、本実施形態では、緊急信号を受信した移動局の送信周期は、例えば、以下の式で求めることができる。
送信周期=(移動局の総数-1)×(送信間隔×2)・・・(3)
ここで、移動局の総数は、(通常状態の送信周期÷送信間隔)で算出することができる。
【0034】
本実施形態では、緊急信号を受信した移動局の送信順位を変更する処理は、緊急信号を受信した移動局の通常状態の送信順位が、緊急信号を送信した移動局の送信順位よりも高い場合と、低い場合とで異なる。緊急信号を受信した移動局の通常状態の送信順位が、緊急信号を送信した移動局の送信順位よりも低い場合、緊急信号を受信した移動局は送信順位の変更を行わない。一方、緊急信号を受信した移動局の通常状態の送信順位が、緊急信号を送信した移動局の送信順位よりも高い場合、緊急状態になった移動局の送信順位が最先に繰り上がるため、緊急信号を受信した移動局は送信順位を1つ繰り下げる。
【0035】
本実施形態では、緊急信号を受信した移動局のタイムマークは、以下の式で求めることができる。
タイムマーク=(緊急状態の移動局を除いたなかでの送信順位-1)
×(送信間隔×2)+送信間隔・・・(4)
【0036】
具体的に、緊急信号を受信した第1の移動局10-1について、送信周期と、タイムマークとを計算する場合について説明する。送信間隔は、緊急信号を受信する前後で変化しないため、「2」秒である。送信周期は、移動局の総数が「3」、送信間隔が「2」秒なので、(3-1)×(2秒×2)=「8」秒となる。タイムマークは、緊急状態の移動局を除いたなかでの送信順位が「1」、送信間隔が「2」秒なので、(1-1)×(2秒×2)+2秒=2秒となる。なお、緊急信号を受信した移動局の送信周期およびタイムマークを算出する式(3)および式(4)は例示であり、本発明を限定するものではない。
【0037】
一方、本実施形態では、緊急状態になった移動局の送信周期は、例えば、以下の式で求めることができる。
送信周期=送信間隔×2・・・(5)
【0038】
本実施形態では、緊急状態になった移動局の送信順位は、最先に繰り上がるため、1位となる。
【0039】
本実施形態では、緊急状態になった移動局のタイムマークは、例えば、以下の式で求めることができる。
タイムマーク=(送信順位-1)×送信間隔・・・(6)
【0040】
具体的に、緊急状態になった第2の移動局10-2について、送信周期と、タイムマークとを計算する。送信間隔は、緊急状態になる前後で変化しないため「2」秒である。送信周期は、送信間隔が「2」秒なので、2秒×2=4秒となる。タイムマークは、送信順位が「1」位なので、(1-1)×2秒=0となる。なお、緊急状態になった移動局の送信周期およびタイムマークを算出する式(5)および式(6)は例示であり、本発明を限定するものではない。
【0041】
図5を用いて、1つの移動局が緊急状態になった場合の通信システムの動作の流れについて説明する。
図5は、
図3において、第2の移動局10-2が緊急状態になった場合の通信システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0042】
図5に示すように、第2の移動局10-2は、ユーザから通常状態から緊急状態へと切り替える指示を受け付ける(ステップS201)。第2の移動局10-2は、緊急信号と、自身の送信順位とを第1の移動局10-1に送信する(ステップS202)。第2の移動局10-2は、緊急信号と、自身の送信順位とを第3の移動局10-3に送信する(ステップS203)。第2の移動局10-2は、緊急信号と、自身の送信順位とを基地局20に送信する(ステップS204)。なお、ステップS202からステップS204の動作を1つのステップで行ってもよい。すなわち、第2の移動局10-2は、緊急信号と、自身の送信順位とを、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3と、基地局20とに一斉に送信してもよい。
【0043】
第2の移動局10-2は、送信周期を短縮し、タイムマークを変更する(ステップS205)。第1の移動局10-1は、送信周期を延長し、タイムマークを変更する(ステップS206)。第3の移動局10-3は、送信周期を延長し、タイムマークを変更する(ステップS207)。
【0044】
第2の移動局10-2は、自身の位置情報を基地局20に送信する(ステップS208)。第1の移動局10-1は、自身の位置情報を基地局20に送信する(ステップS209)。第2の移動局10-2は、自身の位置情報を基地局20に送信する(ステップS210)。第3の移動局10-3は、自身の位置情報を基地局20に送信する(ステップS211)。以後、通信システム1は、ステップS208~ステップS211の処理を繰り返す。
【0045】
図6を用いて、通信システムにおいて、緊急状態が解消された場合の動作の流れについて説明する。
図6は、
図5において、第2の移動局10-2の緊急状態が解除された場合の通信システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【0046】
図6に示すように、第2の移動局10-2は、ユーザから緊急状態を解除する指示を受け付ける(ステップS301)。第2の移動局10-2は、緊急解除信号を第1の移動局10-1に送信する(ステップS302)。第2の移動局10-2は、緊急解除信号を第3の移動局10-3に送信する(ステップS303)。第2の移動局10-2は、緊急解除信号を基地局20に送信する(ステップS304)。なお、ステップS302からステップS304の動作を1つのステップで行ってもよい。すなわち、第2の移動局10-2は、緊急解除信号を、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3と、基地局20とに一斉に送信してもよい。
【0047】
第2の移動局10-2は、短縮されている送信周期と、変更されているタイムマークとをリセットして元に戻す(ステップS305)。第1の移動局10-1は、延長されている送信周期と、変更されているタイムマークとをリセットして元に戻す(ステップS306)。第3の移動局10-3は、延長されている送信周期と、変更されているタイムマークとをリセットして元に戻す(ステップS307)。
【0048】
第1の移動局10-1は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS308)。次に、第2の移動局10-2は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS309)。次に、第3の移動局10-3は、基地局20に自身の位置情報を送信する(ステップS310)。以後、通信システム1は、ステップS308~ステップS310の処理を繰り返す。
【0049】
本実施形態では、移動局の数によらず、上述の式(3)~(6)に従うことで、緊急状態の移動局が発生した場合に、各移動局の送信周期やタイムマークなどを算出することができる。
図7は、5台の移動局を含む通信システムの緊急状態における動作を説明するための図である。
図7は、第2の移動局10-2が、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3と、第4の移動局10-4と、第5の移動局10-5とに緊急信号を送信した場合を示している。
【0050】
第1の移動局10-1は、通常状態では、送信順位が「1」、タイムマークが「0」であるとする。第2の移動局10-2は、通常状態では、送信順位が「2」、タイムマークが「2」であるとする。第3の移動局10-3は、通常状態では、送信順位が「3」、タイムマークが「4」であるとする。第4の移動局10-4は、通常状態では、送信順位が「4」、タイムマークが「6」であるとする。第5の移動局10-5は、通常状態では、送信順位が「5」、タイムマークが「8」であるとする。
【0051】
図7に示すように、第1の移動局10-1は、緊急信号を受信すると、送信順位が「1」、送信周期が「16」、タイムマークが「2」となる。第2の移動局10-2は、緊急状態になると、送信順位が「1」、送信周期が「4」、タイムマークが「0」となる。第3の移動局10-3は、緊急信号を受信すると、送信順位が「2」、送信周期が「16」、タイムマークが「6」となる。第4の移動局10-4は、緊急信号を受信すると、送信順位が「3」、送信周期が「16」、タイムマークが「10」となる。第5の移動局10-5は、緊急信号を受信すると送信順位が「4」、送信周期が「16」、タイムマークが「14」となる。ここで、第1の移動局10-1と、第3の移動局10-3と、第4の移動局10-4と、第5の移動局10-5との送信順位は、緊急状態の移動局を除いたなかでの送信順位である。
【0052】
第1の移動局10-1は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報a1を基地局20に送信する。第2の移動局10-2は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報b1と、位置情報b2と、位置情報b3と、位置情報b4との4つの位置情報を基地局20に送信する。第3の移動局10-3は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報c1を基地局20に送信する。第4の移動局10-4は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報d1を基地局20に送信する。第5の移動局10-5は、タイムスロットが「0」~「14」の間に、位置情報e1を基地局20に送信する。
図7では、第2の移動局10-2、第1の移動局10-1、第2の移動局10-2、第3の移動局10-3、第2の移動局10-2、第4の移動局10-4、第2の移動局10-2、第5の移動局10-5の順に基地局20への位置情報の送信を繰り返す。この場合、通常状態の移動局が位置情報を1回送信する間に、緊急状態の移動局は位置情報を4回送信することとなる。
【0053】
次に、
図8を用いて、本実施形態の移動局が備える通信装置の構成について説明する。
図8は、各移動局が備える通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0054】
図8に示すように、通信装置100は、取得部110と、入力部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150とを備える。本実施形態では、通信装置100は、タクシーなどの車載に備え付けられた車載器であってもよいし、ユーザが携帯することのできる携帯端末であってもよい。
【0055】
取得部110は、通信装置100の位置情報を取得する。位置情報を取得する方法に特に制限はないが、取得部110は、例えば、GPS衛星から受信するGPS信号に基づいて、通信装置100の位置情報を取得する。また、取得部110は、その他公知の方法で通信装置100の位置情報を取得してもよい。
【0056】
入力部120は、通常状態から緊急状態へと切り替えたり、緊急状態を解除したりするための指示をユーザから受け付ける。入力部120は、例えば、ユーザによって押下されるボタンである。この場合、ユーザは、ボタンを押下することによって、通常状態から緊急状態へ切り替えたり、緊急状態を解除したりすることができる。入力部120は、例えば、通信装置100に所定の閾値以上の衝撃が加わった場合に、その衝撃によって通常状態から緊急状態へと切り替えてもよい。また、入力部120は、所定の期間、通信装置100が操作されなかった場合に、通常状態から緊急状態に切り替えてもよい。
【0057】
通信部130は、他の通信装置や、基地局と無線ネットワークを介して通信を行う。通信部130は、送信部131と、受信部132とを有する。
【0058】
送信部131は、取得部110が取得した自身の位置情報を、基地局に送信する。送信部131は、入力部120が通常状態から緊急状態へと切り替える指示を受け付けた場合に、あらかじめ通信装置100に設定されている自身の送信順位と、緊急信号とを他の通信装置と、基地局とに送信する。送信部131は、入力部120が緊急状態を解除する指示を受け付けた場合、緊急解除信号を他の通信装置と、基地局とに送信する。
【0059】
受信部132は、他の通信装置から、その通信装置の送信順位、緊急信号、および緊急解除信号などを受信する。
【0060】
記憶部140は、あらかじめ設定された自身の送信順位、送信周期、送信間隔、タイムマークなどを記憶している。また、記憶部140は、制御部150が通信装置100の各部を制御するためのプログラムなどを記憶している。記憶部140は、通信装置100におけるデータの一時記憶などにも利用してよい。記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブ、光ディスクなどの記憶装置である。また、記憶部140は、無線または有線で接続される図示しない外部記憶装置などであってもよい。
【0061】
制御部150は、通信装置100を構成する各部を制御する。具体的には、制御部150は、記憶部140に記憶されているプログラムを展開して実行することによって、通信装置100を構成する各部を制御する。制御部150は、受信部132が緊急信号を受信した場合に、記憶部140が記憶しているあらかじめ設定された送信周期(第1の送信周期とも呼ばれる)を延長し、第1の送信周期よりも周期の長い送信周期(第2の送信周期とも呼ばれる)に変更する。制御部150は、記憶部140が記憶しているあらかじめ設定された通信装置100の送信順位(第1の送信順位とも呼ばれる)と、緊急信号を送信した他の通信装置の送信順位(第2の送信順位とも呼ばれる)とに基づいて、取得部110が取得した位置情報を基地局に送信する送信タイミングを算出する。制御部150は、第1の送信順位が第2の送信順位よりも高い場合には第1の送信順位を1つ繰り下げて、第1の送信順位が第2の送信順位よりも低い場合には第1の送信順位を変更しない。制御部150は、第2の送信周期と、算出した送信タイミングとに従って、取得部110が取得した通信装置100の位置情報を基地局に送信するように送信部131を制御する。制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む、電子的な回路などで実現することができる。制御部150は、送信周期変更部151と、タイムマーク算出部152と、送信制御部153とを有する。
【0062】
送信周期変更部151は、受信部132が緊急信号を受信した場合に、あらかじめ設定された送信周期を延長する。この場合、送信周期変更部151は、例えば、「(移動局の総数-1)×(送信間隔×2)」という式に従って、送信周期を延長する。送信周期変更部151は、受信部132が緊急解除信号を受信した場合、延長した送信周期をリセットして元に戻す。
【0063】
送信周期変更部151は、通信装置100が緊急状態になった場合に、あらかじめ設定された送信周期を短縮する。この場合、送信周期変更部151は、例えば、「送信間隔×2」という式に従って送信周期を短縮する。送信周期変更部151は、通信装置100の緊急状態が解消された場合、短縮されている送信周期をリセットして元に戻す。
【0064】
タイムマーク算出部152は、受信部132が緊急信号を受信したり、通信装置100が緊急状態になったりした場合に、記憶部140が記憶しているあらかじめ設定されたタイムマークとは異なる新たなタイムマークを算出する。
【0065】
タイムマーク算出部152は、受信部132が緊急信号を受信した場合に、「(緊急状態の移動局を除いたなかでの送信順位-1)×(送信間隔×2)+送信間隔」という式に従ってタイムマークを算出する。タイムマーク算出部152は、通信装置100が緊急状態になった場合に、「(送信順位-1)×送信間隔」という式に従ってタイムマークを算出する。
【0066】
送信制御部153は、通信装置100の位置情報を基地局に送信するように送信部131を制御する。送信制御部153は、通信装置100が緊急状態になった場合に、通信装置100の送信順位と、緊急信号とを他の通信装置と、基地局とに送信するように、送信部131を制御する。送信制御部153は、通信装置100が緊急状態になった場合に、送信周期変更部151によって変更された送信周期と、タイムマーク算出部152によって算出されたタイムマークとに従って、通信装置100の位置情報を基地局に送信するように送信部131を制御する。送信制御部153は、通信装置100の緊急状態が解消された場合、緊急解除信号を他の通信装置と、基地局とに送信するように送信部131を制御する。
【0067】
次に、
図9を用いて、通信装置100の制御部150の動作の流れについて説明する。
図9は、通信装置100が他の通信装置から緊急信号を受信してから緊急解除信号を受信するまでの制御部150の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
制御部150は、受信部132が緊急信号を受信しない場合(ステップS11の「No」)、ステップS11の動作を繰り返す。制御部150は、受信部132が緊急信号を受信した場合(ステップS11の「Yes」)、ステップS12に進む。
【0069】
制御部150は、送信周期を延長し、タイムマークを変更する(ステップS12)。そして、制御部150は、ステップS13に進む。
【0070】
制御部150は、受信部132が緊急解除信号を受信しない場合(ステップS13の「No」)、ステップS13の動作を繰り返す。制御部150は、受信部132が緊急解除信号を受信した場合(ステップS13の「Yes」)、ステップS14に進む。
【0071】
制御部150は、延長した送信周期と、変更したタイムマークとをリセットして元に戻す(ステップS14)。そして、制御部150は、動作を終了する。
【0072】
次に、
図10を用いて、通信装置100の動作の流れについて説明する。
図10は、通信装置100が通常状態から緊急状態または緊急状態から通常状態に変化した場合の、制御部150の動作の流れを示すフローチャートである。
【0073】
制御部150は、通信装置100の状態が変わらない場合(ステップS21の「No」)、ステップS21の処理を繰り返す。制御部150は、通信装置100の状態が変わった場合(ステップS21の「Yes」)、ステップS22に進む。
【0074】
制御部150は、状態が変わる前の通信装置100状態が緊急状態でない場合(ステップS22の「No」)、ステップS23に進む。
【0075】
制御部150は、他の通信装置に、通信装置100の送信順位と、緊急信号とを送信する(ステップS23)。そして、制御部150は、ステップS24に進む。
【0076】
制御部150は、通信装置100の送信周期を短縮し、新たなタイムマークを算出する(ステップS24)。そして、制御部150は、動作を終了する。
【0077】
一方、ステップS22において、状態が変わる前の通信装置100状態が緊急状態であった場合(ステップS22の「Yes」)、制御部150は、ステップS25に進む。
【0078】
制御部150は、送信部131を制御し、他の通信装置に緊急解除信号を送信する(ステップS25)。そして、制御部150は、ステップS26に進む。
【0079】
制御部150は、短縮されている送信周期と、変更されているタイムマークとをリセットして元に戻す(ステップS26)。そして、制御部150は、動作を終了する。
【0080】
上述したとおり、本実施形態では、各移動局は、送信周期やタイムマークを算出するための数式をあらかじめ記憶している。そのため、各移動局は、特定状態になったり、特定信号を受信したりした場合に、送信順位、送信周期、およびタイムマークを自発的に変更することができる。これにより、本実施形態では、基地局からの制御によらず、移動局同士で位置情報を送信するタイミングが重複しないようにすることができる。
【0081】
また、本実施形態では、特定状態の移動局は、基地局に対して短い周期で位置情報を送信することができる。これにより、基地局は、特定状態の移動局の現在位置をより正確に把握することができる。また、本実施形態では、特定信号を受信した他の移動局は、長い周期にはなるが、基地局に対して、継続的に位置情報を送信することができる。これにより、基地局は、他の移動局の現在位置を継続して把握することができる。
【0082】
また、本実施形態では、複数の移動局のうち、1台の移動局のみが緊急状態になった場合について説明したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本実施形態では、2台以上の移動局が同時期に緊急状態になった場合であっても、あらかじめ設定された送信順位と、送信周期とに基づいて、各移動局の送信周期と、タイムマークとを算出することができる。このような場合、例えば、緊急状態の移動局の中での送信順位を算出し、緊急状態の移動局の全てが位置情報を送信した後に、通常状態の移動局が位置情報を送信するように、各移動局の送信順位と、送信周期と、タイムマークとを算出すればよい。
【0083】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 通信システム
10-1 第1の移動局
10-2 第2の移動局
10-3 第3の移動局
10-N 第Nの移動局
20 基地局
30 無線ネットワーク
100 通信装置
110 取得部
120 入力部
130 通信部
131 送信部
132 受信部
140 記憶部
150 制御部
151 送信周期変更部
152 タイムマーク算出部
153 送信制御部