IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
  • 特許-画像形成装置 図11
  • 特許-画像形成装置 図12
  • 特許-画像形成装置 図13
  • 特許-画像形成装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20220329BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220329BHJP
   G03G 15/14 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 538
G03G21/00 530
G03G15/14 101C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018081380
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019191287
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳴瀬 邦彦
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-118487(JP,A)
【文献】特開2016-085407(JP,A)
【文献】特開2011-081051(JP,A)
【文献】特開2016-051000(JP,A)
【文献】特開平10-026898(JP,A)
【文献】特開2008-134446(JP,A)
【文献】実開平04-121959(JP,U)
【文献】特開2016-206511(JP,A)
【文献】特開2017-191227(JP,A)
【文献】特開2016-184125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02-13/20、
15/00-15/20、
21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にトナー画像を転写する2次転写ローラーと、
前記用紙の搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙上に転写された前記トナー画像を定着させる定着ローラーを含む定着装置と、
前記2次転写ローラーを通過するようにエアーを吸引する用紙引付ファンユニットと、
前記用紙引付ファンユニットに設けられ、前記用紙引付ファンユニットから吐出されるエアーを前記定着ローラーに向けて吐出させるガイド部材と、
前記ガイド部材から吐出されたエアーを通過させて排出するフィルター装置と、を備え、
前記ガイド部材は、少なくとも前記定着ローラーの回転軸の両端部に向けて、前記回転軸に交差する方向にエアーを案内し、
前記2次転写ローラーが設けられる搬送ガイドを含み、
前記搬送ガイドには、前記2次転写ローラーに向けてエアーを通過させるためのエアー吸引口が設けられ、
前記エアー吸引口は、前記2次転写ローラーの後流側に設けられ、
前記エアー吸引口の開口高さをD2とし、前記定着ローラーの前記回転軸と前記2次転写ローラーの回転軸との間の距離をD1とした場合に、[D1/2]>D2の関係である、
画像形成装置。
【請求項2】
前記定着ローラーの上流側に、前記用紙引付ファンユニットから吐出されるエアーの経路を、前記用紙のサイズに応じて切り替える、経路切替装置をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙のサイズが大きい場合は、前記経路切替装置により、前記定着装置の上流側のエアー経路を、前記定着ローラーを外す位置にする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記フィルター装置は、
前記ガイド部材から吐出されたエアーを1箇所に集約するフィルターダクトと、
前記フィルターダクトにより集約されたエアーを通過させるフィルター部材と、を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フィルター部材は、UFPを捕集するフィルターである、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記フィルターダクトには、外気を取り込むための外気取込みダクトが連通されている、請求項4または請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記外気取込みダクトの中心線は、前記フィルターダクトが延びる線に対して鋭角をな
すように交差している、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記外気取込みダクトは、前記フィルターダクトに向うにしたがって、窄む形態を有している、請求項6または請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記エアー吸引口は、前記2次転写ローラーの中央領域を含むように設けられている、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記用紙引付ファンユニットは、ファンを含み、
前記用紙の紙種に応じて前記ファンの風量を切換える、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記用紙を通紙しない場合にも、前記ファンを回転させる、請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、レーザービームプリンタ、FAXやこれら複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、用紙へのトナー画像を定着させるために、定着装置を用いてトナー画像に熱を加えている。定着装置の内部に設けられた定着ローラーは、用紙が通紙した領域は用紙に熱が伝わるために温度が低下する。そのため、用紙の通紙時に、常に熱を加える必要がある。その結果、用紙が通紙していない定着ローラーの端部においては高温となる傾向がある。
【0003】
他方、用紙の搬送速度の高速化が進むに連れて、2次転ローラーの排出部の用紙安定性が不安定となること、定着装置の熱が高温になることでUFP(Ultrafine Particle)の放出量が増加すること、画像形成装置内の温度が上昇すること、という課題も顕在化している。
【0004】
特開2006-349826号公報(特許文献1)および特開2016-51000号公報(特許文献2)には、定着ローラーに向けてエアーを流すことで、UFPの放出量を低減させる技術が開示されている。特開2013-190627号公報(特許文献3)には、定着装置において、加圧ローラーを冷却する冷却ファンを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-349826号公報
【文献】特開2016-51000号公報
【文献】特開2013-190627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置に、用紙の搬送性を安定させるファン、定着ローラー端部を冷却するファン、および、UFPを捕集するファンを設置することで、夫々の課題を解決することができる。しかし、ファンの増設により、画像形成装置のコストの上昇、および、画像形成装置の大型化という新たな課題が発生する。
【0007】
この発明は上記課題を解決することを目的とし、用紙搬送性を安定させるファンの吐出しエアーを用いて、定着ローラーの端部を冷却し、その排出エアーをフィルターを通して排出することで、用紙搬送性、機内温度、定着ローラーの端部冷却、および、UFP捕集を、画像形成装置のコストの上昇、および、画像形成装置の大型化を抑制しながら実現する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この画像形成装置においては、用紙にトナー画像を転写する2次転写ローラーと、上記用紙の搬送方向の下流側に設けられ、上記用紙上に転写された上記トナー画像を定着させる定着ローラーを含む定着装置と、上記2次転写ローラーを通過するようにエアーを吸引する用紙引付ファンユニットと、上記用紙引付ファンユニットに設けられ、上記用紙引付ファンユニットから吐出されるエアーを上記定着ローラーに向けて吐出させるガイド部材と、上記ガイド部材から吐出されたエアーを通過させて排出するフィルター装置と、を備え、上記ガイド部材は、少なくとも上記定着ローラーの回転軸の両端部に向けて、上記回転軸に交差する方向にエアーを案内する。
【0009】
他の形態においては、上記定着ローラーの上流側に、上記用紙引付ファンユニットから吐出されるエアーの経路を、上記用紙のサイズに応じて切り替える、経路切替装置をさらに備える。
【0010】
他の形態においては、上記用紙のサイズが大きい場合は、上記経路切替装置により、上記定着装置の上流側のエアー経路を、上記定着ローラーを外す位置にする。
【0011】
他の形態においては、上記フィルター装置は、上記ガイド部材から吐出されたエアーを1箇所に集約するフィルターダクトと、上記フィルターダクトにより集約されたエアーを通過させるフィルター部材と、を有する。
【0012】
他の形態においては、上記フィルター部材は、UFPを捕集するフィルターである。
他の形態においては、上記フィルターダクトには、外気を取り込むための外気取込みダクトが連通されている。
【0013】
他の形態においては、上記外気取込みダクトの中心線は、上記フィルターダクトが延びる線に対して鋭角をなすように交差している。
【0014】
他の形態においては、上記外気取込みダクトは、上記フィルターダクトに向うにしたがって、窄む形態を有している。
【0015】
他の形態においては、上記2次転写ローラーが設けられる搬送ガイドを含み、上記搬送ガイドには、上記2次転写ローラーに向けてエアーを通過させるためのエアー吸引口が設けられ、上記エアー吸引口は、上記2次転写ローラーの後流側に設けられている。
【0016】
他の形態においては、上記エアー吸引口は、上記2次転写ローラーの中央領域を含むように設けられている。
【0017】
他の形態においては、上記用紙引付ファンユニットは、ファンを含み、上記用紙の紙種に応じて上記ファンの風量を切換える。
【0018】
他の形態においては、上記用紙を通紙しない場合にも、上記ファンを回転させる。
【発明の効果】
【0019】
この画像形成装置によれば、用紙搬送性を安定させるファンの吐出しエアーを用いて、定着ローラーの端部を冷却し、その排出エアーをフィルターを通して排出することで、用紙搬送性、機内温度、定着ローラーの端部冷却、および、UFP捕集を、画像形成装置のコストの上昇、および、画像形成装置の大型化を抑制しながら実現する画像形成装置の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図2】実施の形態の2次転写部を含む領域の部分拡大図である。
図3】実施の形態の用紙引付ファンユニットの構成の概略を示す斜視図である。
図4図2中のIV線矢視図である。
図5】実施の形態の用紙引付ファンユニットおよびフィルター装置の構成を示す図である。
図6】実施の形態の開口調整機構を示す概略図である。
図7】実施の形態の開口調整機構の第1状態を示す図である。
図8】実施の形態の開口調整機構の第2状態を示す図である。
図9】実施の形態の開口調整機構の第3状態を示す図である。
図10】実施の形態の経路切替装置の第1状態を示す図である。
図11】実施の形態の経路切替装置の第2状態を示す図である。
図12】実施の形態の外気取込み口の外観を示す斜視図である。
図13】実施の形態の外気取込み口の構成を示す縦断面図である。
図14】実施の形態のフィルター装置のフィルターダクトの開口面積と、外気取込み口のフィルターダクト側の開口面積との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、本実施の形態における画像形成装置について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0022】
(画像形成装置100)
図1から図5を参照して、本実施の形態における画像形成装置100の概略構成を説明する。図1は、画像形成装置100の内部構成を示す概略図、図2は、2次転写部30を含む領域の部分拡大図、図3は、用紙引付ファンユニット10の構成の概略を示す斜視図、図4は、図2中のIV線矢視図、図5は、用紙引付ファンユニット10およびフィルター装置50の構成を示す図である。
【0023】
図1を参照して、画像形成装置100は、装置本体2と、用紙収容部9とを主として備えている。装置本体2は、記録媒体としての用紙Sに画像を形成するための部位である画像形成部2Aと、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための部位である給紙部2Bとを含んでいる。用紙収容部9は、画像形成部2Aに供給するための用紙Sを収納するものであり、給紙部2Bに着脱自在に設けられている。
【0024】
画像形成装置100の内部には、複数のローラー3が設置されており、これにより用紙Sが所定の方向に沿って搬送される搬送経路4が、上述した画像形成部2Aおよび給紙部2Bに跨って構築されている。図1中に示すように、装置本体2には、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための手差しトレイ9aが別途設けられていてもよい。
【0025】
画像形成部2Aは、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー画像を形成可能な作像ユニット5、作像ユニット5に張架された中間転写ベルト7aと、搬送経路4上であってかつ中間転写ベルト7aの走路上に設けられた2次転写部30と、2次転写ローラー30rを含む2次転写部30よりも下流側の部分の搬送経路4上に設けられた、定着装置20とを主として備えている。
【0026】
作像ユニット5は、トナー画像を感光体の表面に形成し、これを中間転写ベルト7aに転写する(いわゆる一次転写)。これにより、中間転写ベルト7aには、カラートナー画像あるいはモノクロトナー画像のトナー画像が形成される。
【0027】
中間転写ベルト7aは、その表面に形成されたトナー画像を2次転写部30へと移送し、給紙部2Bから2次転写部30へと搬送されてきた用紙Sとともに2次転写部30において圧接される。これにより、中間転写ベルト7aの表面に形成されたトナー画像が用紙Sへと転写される(いわゆる2次転写)。
【0028】
トナー画像が転写された用紙Sは、定着装置20の加熱装置20hおよび定着ローラー20rにより、用紙S上のトナー画像が定着される。これにより、用紙Sに画像が形成される。その後、用紙Sは、装置本体2から排出される。
【0029】
画像形成装置100は、検出部12と制御部13とをさらに備えている。検出部12は、用紙収容部9から搬送経路4に沿って搬送される用紙Sのサイズを検出する。
【0030】
画像形成装置100は、搬送ガイド150を備える。搬送ガイド150には、2次転写ローラー30rが、その回転軸30a(図5参照)を中心に回転可能に取り付けられている。さらに、搬送ガイド150には、用紙引付ファンユニット10が取り付けられている。
【0031】
図2から図4を参照して、用紙引付ファンユニット10は、クロスフローファン11を2つ有する。クロスフローファン11は、それぞれ定着ローラー20rの回転軸20a(図4参照)の軸方向で見た場合に、両側に配置されている。クロスフローファン11は、定着装置20の上流側に位置している。このクロスフローファン11は用紙Sを2次転写ローラー30rから分離させることと、用紙Sの姿勢を安定させる効果を持たせるために、2次転写ローラー30rの下流側の直後の搬送ガイド150にエアー吸引口150Wを設けてエアーを吸引している。
【0032】
図4を参照して、搬送ガイド150に設けられるエアー吸引口150Wは、2次転写ローラ-30rの後流側に設けるとよい。さらに、2次転写ローラ-30rの中央領域を含むように開口を設けるとよい。
【0033】
さらに、エアー吸引口150Wの開口高さ(D2)は、定着ローラー20rの回転軸20aと2次転写ローラー30rの回転軸30aとの間の距離をD1とした場合に、[D1/2]>D2(D3>D2)の関係であるとよい。
【0034】
これにより、用紙Sの2次転写ローラ-30rからの分離性を補助するとともに、用紙Sの搬送性の安定化を向上させることができる。なお、本実施の形態では、エアー吸引口150Wは、一つの穴から構成される横長の長方形形状の形態を採用しているが、複数の穴を設けてエアー吸引口150Wとしてもよい。
【0035】
クロスフローファン11は、中心部からエアーを吸い込み、定着装置20の定着ローラー20r側にエアーを吹き出す。クロスフローファン11は、エアーを定着ローラー20r側に案内するダクト12dと、このダクト12dに連続して設けられ、ダクト12dから突出されるエアーを定着ローラー20r側に整流する複数のフィン12rを有している。
【0036】
クロスフローファン11から吐出されたエアーは、ダクト12dおよびフィン12rを通過し、定着ローラー20rの両端部に向けて、定着ローラー20rの回転軸20a方向に対して交差する方向(図示において上方)に吹き出される。
【0037】
図5を参照して、2つのクロスフローファン11の上方(エアー流れの下流側)には、フィルター装置50が設けられている。フィルター装置50は、両側のフィン12rを覆う一つのフィルターダクト51を有し、クロスフローファン11から吐出されたエアーを1箇所に集約する。
【0038】
フィルターダクト51の内部には、エアーを上方(エアー流れの下流側)に向けて吸引する吸引ファン52が2カ所に設けられている。さらに、吸引ファン52の上方(エアー流れの下流側)には、フィルター部材53が設けられている。本実施の形態では、フィルター部材53には、UFPを捕集するフィルターを設けることが好ましい。
【0039】
上述のように、クロスフローファン11から吐出されたエアーを1箇所に集約するフィルターダクト51を採用することで、クロスフローファン11の数量に関係なく、一つのフィルター部材53を準備するだけでよい。
【0040】
吸引ファン52は、用紙引き付け用のクロスフローファン11から吐き出されたエアーを吸引し、定着装置20を通過した後に用紙Sと一緒に用紙の排紙口に排気されないようにしている。
【0041】
このように本実施の形態における画像形成装置100においては、2次転写ローラー30rが取り付けられた搬送ガイド150に取り付けられたクロスフローファン11を用いて、定着装置20の上流側の搬送ガイド150に設けられたエアー吸引口150Wからエアーを吸引し、そのエアーを定着ローラー20rの軸方向の両端部に向けて、定着ローラー20rの回転軸20a方向に対して交差する方向に吐出し、さらに、そのエアーをフィルター装置50を通して排出している。
【0042】
これにより、用紙搬送性を安定させるクロスフローファン11の吐出しエアーを用いて、定着ローラー20rの端部を冷却し、その排出エアーをフィルター装置50を通して排出することで、用紙搬送性、機内温度、定着ローラー20rの端部冷却、および、UFP捕集を、画像形成装置のコストの上昇、および、画像形成装置の大型化を抑制しながら実現することができる。
【0043】
上記実施の形態では、2個のクロスフローファン11を設けるようにしたが、1個のクロスフローファン11を用いて、定着ローラー20rの両端部に向けてエアーを送風するようにしてもよい。
【0044】
(開口調整機構40)
以下、好ましい実施の形態について説明する。図6から図9を参照して、定着ローラー20rへのエアーの吐き出し口の開口調整機構40の一例について説明する。図6は、開口調整機構40を示す概略図、図7から図9は、開口調整機構40の第1状態から第3状態を示す図である。開口調整機構40の制御は、検出部12によって検出された用紙Sのサイズに基づき、制御部13により実行される。
【0045】
図6を参照して、開口調整機構40は、ピニオンギアを有するステッピングモーター44を有し、ピニオンギアに螺合する一対のラック43が設けられている。それぞれのラック43には、開閉板43aが設けられ、ダクト12dの内部に向って突出可能に設けられている。ダクト12dの内部には、開閉板43aに当接することにより、回動可能な回動板41が設けられている。回動板41は、軸41dを有し、回動バネ45により起立状態が維持するように付勢されている。なお、左右の開口調整機構40の構成は同じであることから、以下では、図示において左側の開口調整機構40の構成について説明する。
【0046】
図7に示す状態は、開閉板43aは、ダクト12dの内部から後退した位置に待機しており、ダクト12dの内部は開放された状態となっている。その結果、クロスフローファン11から吐出されるエアーは、全てが定着ローラー20rの両端部側に送られる。この状態は、用紙Sのサイズ(定着ローラー20rの回転軸20a方向のサイズ)が比較的小さい場合、つまり、定着ローラー20rの両端部において、用紙Sの非通過領域の面積が大きい場合に採用される。
【0047】
図8に示す状態は、ステッピングモーター44の回転を制御して、開閉板43aが回動板41に当接する位置にまで突出させた状態を示している。この状態では、ダクト12dの内側部分が開閉板43aによって閉鎖され、外側方向にクロスフローファン11から吐出されるエアーが案内される。この状態は、用紙Sのサイズが最大ではないものの、図6に示す状態のサイズよりも大きい場合に採用される。
【0048】
図9に示す状態は、ステッピングモーター44の回転を制御して、開閉板43aが回動板41に当接し、さらに、回動バネ45の付勢力に対抗して、開閉板43aが回動板41を押し倒す位置にまで、突出させた状態を示している。この状態では、ダクト12dの内側部分が開閉板43aおよび回動板41によって閉鎖され、クロスフローファン11から吐出されるエアーは定着ローラー20r側には送り込まれない。この状態は、用紙Sのサイズが最大の場合に採用される。
【0049】
このように、用紙Sのサイズが小さい場合には、定着ローラー20rの非通紙領域が大きなるため、ダクト12dの送風面積を大きくし、用紙Sのサイズが大きい場合には、定着ローラー20rの非通紙領域が小さくなるため、ダクト12dの送風面積を小さくする制御を行なうことができる。
【0050】
(経路切替装置120)
用紙Sのサイズが大きい場合には、定着ローラー20rの非通紙領域が小さくなるため、クロスフローファン11から吐出されるエアーを定着ローラー20rに送り込まなくても良い場合が考えられる。このような場合には、図2に示すように、クロスフローファン11の上部に、経路切替装置120を設けるようにすると良い。
【0051】
図10および図11に、経路切替装置120の概略構成を示す。図10および図11は、経路切替装置120の第1状態および第2状態を示す図である。経路切替装置120は、定着ローラー20rの上流側に設けられ、経路切替板121と、ステッピングモーター122とを有する。経路切替板121とステッピングモーター122との間には、ラックアンドピニオン機構により、経路切替板121をクロスフローファン11の上部に向けて突出可能としている。
【0052】
図10に示す状態においては、経路切替板121は、後退した位置に待機しており、クロスフローファン11から吐出されるエアーは、全て定着ローラー20rに送り込まれる経路A11を流れる。図11に示す状態においては、経路切替板121はステッピングモーター122により位置が制御され、クロスフローファン11側に突出した位置に移動させられている。クロスフローファン11から吐出されるエアーは、経路切替板121に遮られ、定着ローラー20rからは遠ざかり、定着ローラー20rから外れる位置の経路A12を流れることとになる。
【0053】
このように、経路切替装置120を用いて、用紙Sのサイズに応じて、クロスフローファン11から吐出されるエアーの流路を切替えることにより、用紙Sのサイズが大きい場合は定着ローラー20rを冷やすと無駄な電力を消費してしまうため、定着ローラー20rにエアーが触れない経路A12に沿ってエアーを突出させる。
【0054】
用紙Sのサイズが小さい場合は、定着ローラー20rの端部を冷却するために経路A11を通って定着ローラー-20rに交差する方向にエアーを突出させる。さらに、用紙Sのサイズが小さければ小さいほど、上述したようにダクト12dの送風面積を大きくして、定着ローラー20rの端部の冷却範囲を広げるとよい。
【0055】
(外気取込みダクト80)
図1図2、および、図12から図14を参照して、外気取込みダクト80について説明する。図12は、外気取込みダクト80の外観を示す斜視図、図13は、外気取込みダクト80の構成を示す縦断面図、図14は、フィルター装置50のフィルターダクト51の開口面積A1と、外気取込みダクト80のフィルターダクト51側の開口面積A2との関係を示す図である。
【0056】
画像形成装置100の筐体101には、外気取込みダクト80が設けられている。この外気取込みダクト80は、フィルター装置50のフィルターダクト51に連通している内部ダクト81と、画像形成装置100の幅方向に延びる複数のルーバー80rとを有している。ルーバー80rは、風向の調整と外部からの異物の混入を防止している。
【0057】
外気取込みダクト80からフィルターダクト51に至るまで、内部ダクト81が設けられ、外気取込みダクト80から取り込まれた機外のエアーは、内部ダクト81を通じてフィルターダクト51の内部に送り込まれる。内部ダクト81のフィルターダクト51への連結位置は、吸引ファン52の上流側の位置が好ましい。
【0058】
内部ダクト81の上下壁の間隔は、外側から内側に向って窄む形態を有しいてる。このように窄む形態を採用することで、機外から取り入れられたエアーの流速を徐々に速める効果が得られる。
【0059】
図13を参照して、外気取込みダクト80の上下の壁の間隔の中間位置を結んで形成される外気取込みダクト80の中心線CL1は、フィルターダクト51が延びる線VLに対して鋭角(β1)をなすように交差しているとよい。この構成により、フィルターダクト51の内部に存在するUFPを含んだエアーの機外への放出を防止することができる。
【0060】
図14を参照して、フィルター装置50のフィルターダクト51の開口面積A1(W11×W12)と、外気取込みダクト80のフィルターダクト51側の開口面積A2(W21×W22)との関係は、A1>A2となっているとよい。この面積の関係にすることにより、内部ダクト81の内部よりもフィルターダクト51の内部の方が負圧状態となり、フィルターダクト51の内部に存在するUFPを含んだエアーの機外への放出をさらに防止することができる。
【0061】
さらに、クロスフローファン11および吸引ファン52(以下、総称してファンと称する)のそれぞれの風量は、用紙Sの紙種(坪量)によって調整可能である。薄い用紙Sは、厚い用紙Sよりもファンの風量を少なくなるように制御するとよい。ファンの回転タイミングは、用紙Sを通紙している時だけでなく、連続印刷時において、用紙Sと次の用紙Sとの間の用紙Sが通過していない間に回転を開始させたり、定着装置20に熱を与え始めたタイミングから回転を開始させるとよい。
【0062】
用紙Sを通紙しない場合にも、ファンを回転させることで、UFPの放出量を抑制することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0064】
2 装置本体、2A 画像形成部、2B 給紙部、3 ローラー、4 搬送経路、5 作像ユニット、7a 中間転写ベルト、9 用紙収容部、9a 手差しトレイ、10 用紙引付ファンユニット、11 クロスフローファン、12 検出部、12d ダクト、12r フィン、13 制御部、20 定着装置、20a,30a 回転軸、20h 加熱装置、20r 定着ローラー、30 2次転写部、30r 2次転写ローラー、40 開口調整機構、41 回動板、41d 軸、43 ラック、43a 開閉板、44,122 ステッピングモーター、45 回動バネ、50 フィルター装置、51 フィルターダクト、52 吸引ファン、53 フィルター部材、80 外気取込みダクト、80r ルーバー、81 内部ダクト、100 画像形成装置、101 筐体、120 経路切替装置、121 経路切替板、150 搬送ガイド、150W エアー吸引口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14